2024年12月01日公開
ベルトコンベアー・搬送装置業界のM&A動向!売却・買収事例5選とメリットを解説!【2024年最新】
ベルトコンベアー・搬送装置業界は市場拡大などのために、M&Aが活発です。ただし、そのM&Aを成功するにはコツがあります。この記事では、ベルトコンベアー・搬送装置業界のM&Aにおけるメリット、実際の事例や成功のコツなどについて解説します。
目次
1. ベルトコンベアー・搬送装置業界の概要と動向
まずは、ベルトコンベアー・搬送装置業界の概要や市場規模、動向について解説します。
ベルトコンベアー・搬送装置業界とは
同業界は、マテリアルハンドリングとも呼ばれ、大規模な生産工場や物流業などで大いに貢献している業界です。中小企業でも成功を収めている会社も多く、大手企業の工場でも、特定の業者に任せているケースもよく見られます。
技術面では機械制御や電気制御、電子制御のすべての特性を持っており、各社が得意分野を持っていますが、全般的に技術力が高い企業が多いようです。
ベルトコンベアーのシステムは、ベルトを継続して回転させるために2つ以上のプーリーを用いられています。高い汎用性、軽量性、費用対効果からさまざまな業界で高い人気です。
ベルトコンベアー・搬送装置業界の市場規模と動向
コンベアーシステム市場は2021年に54億米ドルの規模に達しています。今後は2029年までに77億6000万米ドルに成長していると予測されています。
また、国内の市場に目を移すと、経済産業省によると日本のゴム産業でのコンベアーベルトとエレベーターベルトの2021年の販売額は前年と比較し7億円増加したそうです。
コンベアーベルトは人との接触を最小限に抑え、食品加工をより安全で効率的にするために食品・飲料業界で幅広く使用されています。
ベルトコンベアー・搬送装置市場は電力や鉱業、製造業などの需要の高まりを受けて成長しており、今後5年間のベルトコンベアー市場においても緩やかな成長が見込まれています。
2. ベルトコンベアー・搬送装置業界のM&A動向
ベルトコンベアー・搬送装置業界のM&Aは、近年さまざまな要因により活発化しています。ベルトコンベアーは製造業や物流業などさまざまな業界で使用される設備です。しかし、少子高齢化の影響による労働人口の減少により、ベルトコンベアーの製造やメンテナンスを行う労働力不足が深刻化しています。
そのため、M&Aを活用し、異なるエリアや業種の企業を統合し、事業規模の拡大を図り労働力の効率的な活用やコスト削減を目指す企業が増加中です。
また、同業界ではloTやAIなどの技術革新が加速しています。M&Aによって異なる企業の技術やノウハウを融合することで競争力の強化を図り、新製品や新サービスの開発が期待されています。
3. ベルトコンベアー・搬送装置会社のM&Aにおけるメリット
ここでは、ベルトコンベアー・搬送装置業界のM&Aを行うメリットについて解説します。1つずつ具体的に見ていきましょう。
事業を拡大できるチャンスが得られる
買収側企業が上場企業や大手企業の場合は、M&Aを活用し会社を譲渡し傘下に入れば、売却先からの資金調達が可能となり、事業を拡大するチャンスが得られます。
豊富にある資金および人員、最新設備、ブランド力などを活用すれば、より安定的に会社を経営し事業拡大のスピードを早めることが可能です。
従業員の雇用継続
従業員の雇用を継続できるのも、M&Aのメリットといえます。もし、会社を廃業した場合、従業員は失業してしまいます。従業員だけではなく、その家族の生活にも大きな影響を与えてしまうでしょう。
M&Aで事業承継ができれば、多くの場合従業員の雇用は継続できます。M&A後新たな経営者のもと、従来通りの条件で引き続き雇用されるケースが一般的です。ただし買収側企業の意向によっては、雇用継続が難しいケースも存在します。
従業員の雇用継続のためにM&Aを検討しているのであれば、交渉の際に相手企業の意向を確認し、契約書にも雇用の継続について盛り込んでおきましょう。
また、自社よりも財務基盤が安定している会社とM&Aを実行すれば、従業員は今まで以上に安定した環境で働けます。
売却益の入手
一般的に同業界の事業は概ね時価純資産+営業利益の2〜5年分の金額で売却可能です。需要が高い経営資源を保有していれば、さらに高額での譲渡もあり得ます。
多額の売却益を入手することで、新規事業の立ち上げやリタイア後の生活資金に使えます。特に経営者は会社員と異なり退職金がありません。そのため廃業した場合には生活資金に困る可能性があります。
一方でM&Aを行い売却益を受け取れば、生活資金の不安を抱えることなく老後生活を送れる可能性が高まります。
会社経営の跡継ぎ問題の解決
零細企業をはじめ、中小規模の企業にとって、大きなメリットとなるのが跡継ぎ問題の解決です。
少子高齢化が進み、企業の61.5%が跡継ぎ問題に直面しています。ベルトコンベアー・搬送装置業界も例外ではなく、親族を後継者とする親族内承継であったり、社内承継といい従業員を後継者とすることができない企業もあります。その結果跡継ぎ問題を理由に、事業承継ができずに黒字であるにも関わらず廃業するケースも少なくありません。
多くの企業が頭を抱えている、跡継ぎ問題の解決策として有効なのがM&Aです。M&Aを行い第三者に会社を引き継ぐことができれば、親族や社内に跡継ぎがいなくても事業承継が可能です。
4. ベルトコンベアー・搬送装置業界のM&Aにおける買収・売却事例5選
ここからは、ベルトコンベア・搬送装置業界でのM&Aにおける実際の買収・売却事例について解説します。5つの事例について見ていきましょう。
リックスがCEMをM&Aした事例
2022年6月14日、リックス株式会社は同社の子会社リックステクノ株式会社を通して、株式会社CEMの全株式を取得し子会社化しました。リックスに対しては孫会社化になります。
リックスは創業当時、足袋の販売に携わり、その後鉄鋼業界をはじめ各産業界にビジネスを広げてきました。現在は、鉄鋼や自動車、電子・半導体、ゴム・タイヤをはじめとする幅広い業界に向けて産業機械の製造・販売を行っているメーカー商社です。子会社のリックステクノは、自動車部品洗浄装置や産業用機械の製造販売やメンテナンスを行っています。
一方のCEMは、産業用機械の制御盤の制作をはじめ、搬送機械の設計および調整、ソフト開発などを行っています。
今回のM&Aでグループ内での機電一体を実現していくと発表しました。
参考:CEMを子会社化
東邦ホールディングスが富士フイルムホールディングスとM&Aした事例
2021年5月30日、東邦ホールディングスは傘下の東邦薬品を通して、富士フイルムホールディングス傘下の富士フイルム富山化学より定温搬送装置事業を承継しました。
富士フイルム富山化学は独自の温調技術や冷熱設計ノウハウに基づき、庫内温度を4°C〜37℃の間で一定に保てる小型軽量の電子冷却式の搬送装置を事業展開しています。
一方の東邦ホールディングスグループは温度帯に応じた物流温度管理体制の構築を重点課題と位置付けており、既にバイオ医薬品などの搬送で富士フイルム富山化学が提供する定温搬送装置を活用中です。
今後はデータ管理システムの構築などを進め、メーカーから卸を通じて医療機関までの郵送時の温度管理やデータ管理を強化するとしています。
参考:富士フイルムホールディングスより事業承継
SYSホールディングスがアットワンとM&Aした事例
2019年4月1日、株式会社SYSホールディングスは子会社の株式会社エスワイシステムを通じてシステム開発を手掛ける株式会社アットワンの搬送機関連顧客システム開発事業を取得しました。
アットワンは搬送機関連顧客に対するシステム開発事業に関連する、設計からテストまでを通して手がけており、エスワイシステムとも長期に渡り取引関係にあります。
一方のSYSホールディングスは、「グローバル製造業ソリューション」「社会情報インフラソリューション」「モバイルソリューション」を主力事業としています。子会社のエスワイシステムの主力事業は「コンサルティング」「システムソリューション」「システム開発」などです。
今回の事業譲渡により、顧客との取引拡大や、技術者の受け入れを通じて技術力やノウハウの共有が可能になるとしています。
参考:アットワンより事業承継
シチズンホールディングスが日本金銭機械とM&Aした事例
2016年7月1日、シチズンホールディングス株式会社は、子会社のシルバー電研の遊戯機器事業の一部を日本金銭機械に譲渡しました。
シルバー電研は、遊技場設備の製造や販売、設計・施工並びに保守・メンテナンスを行っています。一方の日本金銭機械は、貨幣処理機器。遊技場向け機器の開発、製造を行っています。
今回の事業譲渡の対象は、データ改ざん防止装置を組み込んだセキュリティ技術による売上管理システムに関する商品群および遊戯料金の紙幣取り込みと紙幣搬送機器事業です。
日本金銭機械は、今回の事業譲渡で子会社のJCMシステムズ株式会社が展開する国内遊技場機器事業における製品のラインナップと顧客基盤の拡大および技術力の強化、収益力の改善を図るとしています。
また、シチズンホールディングスは譲渡の理由を「時計事業。工作機械事業、小型精密部品事業などに資源を集中することが、企業評価向上につながると判断した」としています。
参考:シチズンホールディングスより事業承継
中国工業が日新製鋼とM&Aした事例
2019年12月25日、中国工業株式会社は当社の筆頭株主であった日鉄日新製鋼株式会社より自己株式を取得しました。
今回の取得の理由について、資本効率の向上を図るとともに、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を遂行するためとしています。
参考:日新製鋼とM&A
5. ベルトコンベアー・搬送装置会社のM&Aにおける成功のコツ
ここからは、ベルトコンベア・搬送装置業界でのM&Aを成功させるコツについて解説します。
M&Aの専門家への相談
ベルトコンベアー・搬送装置業界のM&Aには、M&Aに関する専門知識はもちろん、同業界特有の知識も必要です。また、シナジー効果を見込める買収先企業を探すにあたっては、幅広いネットワークが求められます。
つまり、満足できる条件で売却できる相手を見つけるには、ベルトコンベアー・搬送装置業界のM&Aに関する実績や知識が豊富な仲介会社などの専門家を選ぶことが重要です。
どの専門家に実務を依頼するかによって、買収先探し・成約までの期間や譲渡金額が大きく変わってくる可能性もあるので、専門家の選定は慎重に検討しましょう。
また、弁護士や税理士などの士業を選ぶ際にも、同業界に詳しいかという点を確認してください。
たとえ税務や法律の実務知識を持っていても業界に詳しくない場合や業界のM&Aに関する実績がないと、自社と相性がよい買収先企業を選ぶことや人材・技術の強みを正当に評価するのは困難です。
M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください
M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。
M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
情報収集の徹底と相手先の選定
M&Aは会社を売却して終わりではありません。売却後も会社を大事に育ててくれる相手を選定する必要があります。資本力があり、知名度がある企業ばかりが最適な買収先とは限りません。そのためには、M&A計画の策定や企業価値の向上、売却相手の選定など、M&Aの準備や情報収集を丁寧に行うことが必須です。
また、何度もコミュニケーションを重ねたり、双方の現場に足を運ぶなどして自社との相性をよく見て判断することも重要です。
情報漏洩に気をつける
M&Aの交渉を行う際は、従業員はもちろん、顧客や取引先などにも情報が漏れないように気を付けましょう。交渉の途中でM&Aを検討していることが発覚した場合、不安を感じた従業員のモチベーションの低下や離職につながる可能性があります。
また、顧客や取引先から取引を減らされたり、契約を打ち切られたりするリスクがあります。その結果、最終的にM&Aの交渉自体が決裂する可能性も否定できません。
M&Aをスムーズに行うためにも、M&Aを検討している旨は公開義務が生じるまで漏れないように細心の注意を払いましょう。買収先企業や仲介会社などと秘密保持契約を締結するのはもちろんですが、うっかり口を滑らせることのないように注意してください。
早めの検討
M&Aを活用し会社を譲渡・売却するには1年程度は見なければなりません。さらにM&Aが成立してもその後の引き継ぎにそれなりの時間を要します。
基本的にM&Aの検討を始めるのは、少し早いと感じるくらいがちょうどいいタイミングです。M&Aを行う上でタイミングが遅すぎて失敗するケースはありますが、早すぎる理由で失敗するケースはありません。
常に情報に対して敏感にしておき、きっかけを見つけたらすぐに動き出せるように、準備をしておきましょう。
6. ベルトコンベアー・搬送装置会社のM&Aにおける注意点
後継者不足が深刻なベルトコンベアー・搬送装置業では、優秀な人材獲得のためのM&Aが増えています。M&Aによる人材の獲得は効率的ですが、同時にリスクがある点にも注意が必要です。
買収側はリスクを把握するためにデューデリジェンスを行いますが、売却側も自社で調査しておくと、M&A前に自社の課題を把握できます。事前に課題に対して対策をしておけば、高額での売却につながるかもしれません。早めに専門家に相談するなどして、企業価値の向上に取り組んでおくことが重要です。
7. ベルトコンベアー・搬送装置業界のM&A・事業売却まとめ
事業承継や人材確保などの目的をスピーディに達成できるM&Aは非常に有用な戦略です。
M&Aでなるべく高く、かつ良い買収先に会社を譲渡しようと考えるならば、なるべく早く動き出し、余裕を持ってM&Aを行うのが重要です。売りたいタイミングのギリギリになってから動き出しても満足いく結果にはならないでしょう。
M&Aには売却側買収側双方にメリットがあるので、経営の不安解消や事業拡大を実現させたい経営者の方はM&Aに挑戦してみてはいかがでしょう。
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