レジャー施設業界のM&A動向!売却・買収事例5選と成功のポイントを解説!【2024年最新】

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

コロナ禍を経て事業の構造改革に迫られているレジャー施設業界では、M&Aによる業界再編が活発化しています。レジャー施設の売却や買収をしたいときには、どのような点に気をつけるべきなのでしょうか。この記事では、レジャー施設のM&Aについて解説します。

目次

  1. レジャー施設業界の概要と動向
  2. レジャー施設業界のM&A動向
  3. レジャー施設会社をM&Aで売却するメリット
  4. レジャー施設会社のM&A・買収・売却事例5選
  5. レジャー施設業界のM&Aの成功のポイント
  6. レジャー施設業界のM&A・事業譲渡まとめ
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1. レジャー施設業界の概要と動向

コロナ禍による環境の激変を経て、レジャー施設業界でもM&Aによる業界再編の動きが活発化しています。この記事では、レジャー施設業界の動向とM&Aの傾向について解説します。

レジャー施設業界とは

レジャー施設業界では、余暇を楽しむための施設やサービスを提供しています。具体的には、旅行関連施設、ゴルフ場やレジャー施設、動植物園や水族館、美術館、博物館、娯楽、遊技場、パチンコ、カラオケ店など、幅広い種類の施設をレジャー施設業界にくくることができます。

レジャー施設業界の市場規模と動向

2020年のコロナ禍前までは、国内旅行者数は横ばいで推移していました。特に、近年はコト消費を求める人が増えたことで、多様なレジャーを多くの人が楽しむようになってきたので、レジャー市場は好調に推移していました。

業界動向サーチの分析によると、テーマパークの売上高は2015年には6,560億円だったのが、2019年には7,184億円と順調に業界全体の成長が見られていました。

ところが、2020年からのコロナ禍で売上は大きく落ち込み、2020年には2,638億円、経済が回復してきた2022年も5,807億円までの回復となっています。今後、行動制限が撤廃されたことやインバウンド客の増加での売上増加を期待したいところです。

参考:業界動向サーチ「レジャー施設業界の動向や現状、ランキング等を研究

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2. レジャー施設業界のM&A動向

レジャー施設業界では、サービスのオンライン化やデジタルマーケティング導入の必要性に迫られており、IT化やDX化を進める必要があるでしょう。また、コト消費を求めるようになった消費ニーズへの対応も大切です。

中には、コロナ禍で経営が悪化したり、後継者問題を解決できなかったりする会社も少なくありません。そのような中で、新しい技術の導入や消費ニーズをつかんだ設備投資ができる企業への売却が進むなど、レジャー施設業界でもM&Aによる業界再編の動きが加速しています

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3. レジャー施設会社をM&Aで売却するメリット

レジャー施設会社をM&Aで売却するメリットは次のとおりです。

売却利益の獲得

ひとつ目のメリットに挙げられるのは、売却利益の獲得です。レジャー施設が不採算で赤字だったとしても、M&Aによって事業や施設を売却できれば、売却した利益を手に入れることができます

もしも、M&Aで売却せずに施設を閉鎖した場合、施設の取り壊しや従業員のへの退職金などで費用がかかります。しかし、売却すれば閉鎖するときにかかるコストは一切必要ありません。負債も買収側に引き継いでもらえるので、利益のみが残り、主力事業への新しい資金源にすることができます。

事業の安定化

メリットの2つ目は事業の安定化です。大手企業の傘下に入るM&Aもあります。大手企業の一員となることで、グループ全体のリソースを活用できるようになります。

事業のオンライン化や業務のDX化などを進めたくても、自社だけではうまく進められないこともあります。今まで自社だけでは難しかったことに挑戦しやすくなり、レジャー施設事業をより安定的に運営できるようになるでしょう。

新規開発や事業成長

メリットの3つ目は新規開発を行い事業の成長が見込めることです。大手企業の傘下に入ることによって、今までは自社だけでは難しかった新規事業の開発なども進めることができるようになるでしょう。

さまざまな事業を傘下に持つグループの一員になれば、グループ内の他の事業や施設とのシナジーも生み出せるかも知れません。今まで、自社だけでは思いもよらなかったような新規事業を開発して、事業をより成長させられる可能性が広がるでしょう。

事業の継続

メリットの4つ目は事業の継続が可能になることです。レジャー施設業界に限らず、日本の社長の約6割は60歳以上の高齢者といわれています。そして、多くの会社で適切な跡継ぎがいないために廃業の危機に見舞われています。

レジャー施設業界でも、後継者問題に悩んでいる会社の場合には、M&Aで売却することで事業を廃業することなく続けることができるでしょう。

廃業すれば施設の撤去費用などのコストがかかるだけでなく、従業員の雇用も失われてしまいますが、M&Aで売却すれば施設も従業員の雇用もそのまま継続して買収側へ引き渡すことができます。

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4. レジャー施設会社のM&A・買収・売却事例5選

レジャー施設業界で実施されたM&Aの事例を紹介します。

ワイドレジャーがアドアーズを吸収合併した事例

令和4(2022)年2月に、株式会社ワイドレジャーから、同社の100%子会社であるアドアーズ株式会社を吸収合併するM&Aが発表されました。ワイドレジャーが存続会社となり、アドアーズが消滅会社となります。

ワイドレジャーは楽市楽座やASOBLEなどのレジャー施設を全国展開している会社です。アドアーズ株式会社は1971年に設立されたメダルゲームやゲームセンター事業を手掛ける会社で、2018年にワイドレジャーの子会社となりました。吸収合併の理由などの詳細は公表されていません。

参考:株式会社ワイドレジャー「吸収合併に関するお知らせ

日本駐車場開発が那須興業を孫会社化した事例

2020年2月に日本駐車場開発の子会社である日本テーマパーク開発株式会社が、那須興業株式会社の全株式を取得して子会社化(駐車場開発にとっての孫会社化)するM&Aを発表しました。

日本テーマパーク開発は、2016年に那須ハイランドパークを取得して運営を行ってきました。那須りんどう湖レイクビューを運営している那須興業株式会社をグループ内に迎え入れることで、那須エリアのさらなる発展に寄与できるとしています。

参考:日本駐車場開発株式会社「当社子会社による株式の取得(孫会社化)に関するお知らせ

平和の子会社が恵那ゴルフの株式を取得した事例

平成28(2016)年10月に、株式会社平和の連結子会社パシフィックゴルフプロパティーズ株式会社が、恵那ゴルフ株式会社の全株式を取得するM&Aを実施したことを発表しました。

パシフィックゴルフプロパティーズは150近いゴルフ場を保有するゴルフ場の運営や管理を行なっている会社です。恵那ゴルフ株式会社は、株式会社ZERO・Managementが経営していたニューキャピタルゴルフ倶楽部に関する事業を新設分割により設立した会社です。

平和ではゴルフ事業拡大のために積極的にゴルフ場の買収を進めており、このM&Aのその一環として、長期的に安定した収益基盤を構築するために行なったものです。

参考:株式会社平和「当社子会社による恵那ゴルフ株式会社の株式取得に関するお知らせ

日本駐車場開発が藤和那須リゾートを孫会社化した事例

平成28(2016)年5月に、日本駐車場開発の連結子会社である日本テーマパーク株式会社が、藤和那須リゾート株式会社の全株式を取得して子会社化(駐車場開発にとっては孫会社化)するM&Aの実施を発表しました。

日本駐車場開発は駐車場だけでなくスキー場事業も展開してきて、2016年にテーマパークや遊園地の運営を目的とした日本テーマパーク株式会社を子会社として設立しました。

集客力のあるテーマパークを取得することでビジネスチャンスを広げるとともに、冬季に収益が偏るスキー場運営の他に、夏季の収益が望める那須リゾートを取得することで、収益の年間を通した平準化を図ることができるようになるとしています。

参考:日本駐車場開発株式会社「当社子会社による株式の取得(孫会社化)に関するお知らせ

エイチ・アイ・エスがラグーナ蒲郡の事業を継承した事例

平成26(2014)年6月に、株式会社エイチ・アイ・エス(HIS)から、ラグーナ蒲郡の主要事業を承継するM&Aの実施が発表されました。

HISが設立する新会社である株式会社ラグーナテンボスが、ラグーナ蒲郡を運営してきた蒲郡海洋開発株式会社から吸収分割の方法で、主要事業を引き継ぎます。このM&Aにより、HISとしては事業の再生と地域経済の振興、雇用機会の維持、創出に貢献できるようにしたいとしています。

参考:株式会社エイチ・アイ・エス 「当社グループによるラグーナ蒲郡の主要事業承継に関するお知らせ

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5. レジャー施設業界のM&Aの成功のポイント

日本ではM&Aを希望しても4割程度しか成功しないといわれています。M&Aで事業や会社を売却したいと思っても、6割の希望者は売却ができないわけです。

M&Aを成功させるためにはどのような点に気をつけたらいいのでしょうか。レジャー施設業界でM&Aを成功させるためのポイントについてみていきましょう。

専門家への相談

M&Aを成功させるためには、適切な相手を見つけて、複雑で法務や財務についての専門的な知識が必要な手続きを法的に正しい形で進めなければいけません。顧問会計士や顧問弁護士がいたとしても、M&Aについての知見があるとは限りません。

M&Aを成功させるためには、M&Aの専門家に相談することが大切です。日本には、中小企業のM&Aを主に取り扱っている専門家がいます。

M&Aをするべきかどうか、というところから、M&Aを決断したら最適な相手とのマッチング、複雑な手続きのサポートまで、売却が成功するまで徹底的に寄り添ってくれます。まずは、M&Aの専門家の無料相談を受けてみましょう。

M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください

M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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従業員や取引先などへの説明

M&Aは最終的な契約書を締結するまで絶対に情報が漏れないようにしなければいけません。また、一転してM&Aの実施を公表できる段階になったら、従業員や取引先へ丁寧な説明を尽くしましょう

M&Aによる会社の売却や事業の譲渡の噂が流れると、従業員や取引先が今後について不安になり、噂だけで離職や取引の打ち切りを招きかねません。

また、M&Aを公表できるようになってからでも、売却や事業譲渡の必要性と雇用や取引が今までと変わりなく継続されることを丁寧に説明しないと、疑心暗鬼になり大量離職を招きかねません。

M&Aで会社を買収する側としては、従業員や取引先を含めて事業を円滑に引き継げる状態での承継がベストです。従業員や取引先の離反を招かないように気をつけましょう。

シナジー効果が生まれる売却先の選定

M&Aで会社の売却や事業譲渡するのなら、売却先とどのようなシナジーを生み出せるのかをよく考えて、売却先を選びましょう。レジャー施設は施設ごとに特徴が大きく異なり、その特徴を支える企業風土もそれぞれの会社で全く異なります。

企業風土やレジャー施設としての価値観が全く異なる会社へ売却してしまうと、経営統合がうまく行かずに、サービスの質の低下を招き、業績が悪化してしまうこともあります。売却先の選定は慎重に検討しましょう。

労務・財務状況の明確化

M&Aを実施するときには、買収側が売却側のリスクを調査するデューデリジェンスが行われます。デューデリジェンスでは、M&Aについて詳しい法務、財務などの専門家が、売却側の状況を徹底的に調査して、何らかの問題がないかどうかを調べます。

基本合意の段階で開示されていなかった問題がデューデリジェンスで見つかった場合、売却金額を値下げされたり、M&A自体が破断になったりするかもしれません

そのようなことにならないようにするためには、基本合意時点で情報はできる限り正確に相手側に開示しておくことが大切です。M&Aでの売却を希望するのであれば、事前に労務や財務状況を正確に、明確化しておくことが大切です。

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6. レジャー施設業界のM&A・事業譲渡まとめ

日本国内での旅行もコロナ禍か復活をみせており、海外からの観光客も増加しつつあります。レジャー施設も今後業績が回復していくでしょうが、コロナ後の新しい世界に適用するようにアップデートすることも大切で、そのためのM&Aが今後も活発化していくでしょう。

レジャー施設をM&Aしたほうがいいのかどうか悩んでいるようなら、まずは専門家に相談してみましょう。専門的な知見から有用なアドバイスをしてくれることに間違いはありません。

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