制御盤設計製造業界のM&A動向!売却・買収事例4選とメリットを解説!【2024年最新】

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

制御盤設計製造業界を含む製造業界全般では、後継者不足や最新技術への対応等の問題に対処するためのM&Aが活発化しています。この記事では、制御盤設計製造業界で実際に行われたM&Aの事例などから、M&Aの動向をみていきましょう。

目次

  1. 制御盤設計製造業界の概要と動向
  2. 制御盤設計製造業界のM&A動向
  3. 制御盤設計製造会社のM&Aにおけるメリット
  4. 制御盤設計製造業界のM&Aにおける買収・売却事例4選
  5. 制御盤設計製造会社のM&Aにおける成功のポイント
  6. 制御盤設計製造業界のM&A・事業譲渡まとめ
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1. 制御盤設計製造業界の概要と動向

日本の製造業界では、グローバルな競争に勝つための大幅な業界再編の必要性が叫ばれていますが、製造業界の一端を担う制御盤設計製造でも、M&Aの動きが加速化しています。

記事では、制御盤設計製造業界の概要と近年の動向をみた上で、制御盤設計製造のM&A動向について詳しくみていきましょう。

制御盤設計製造業界とは

制御盤とは、機械や設備を電気制御するために必要な機能を詰め込んだものです。

盤というので、板状のものを想像する人もいるようですが、実際には金属製の箱の中に必要な機器や部品を詰め込んでいます。身近なものではエレベーターの制御盤などがあります。

制御盤設計製造とは、この制御盤の設計製造を行うことです。

制御盤が必要な機械や設備を製造している顧客から依頼された仕様に従い、電気制御機器や電気機器の配置やプログラミング、配線をして、それらを全て入れる金属製の箱を作り、全て詰め込むこと、これらの全てが制御盤設計製造で行う業務となります

制御盤設計製造では、設計、電気制御技術、プログラミング、板金、組立、配線など幅広い技術をもつ人材が重要です。

制御盤設計製造業界の市場規模と動向

基盤整備センターの資料によると、制御盤設計製造の生産実績は2008年に約7,000億円でしたが、リーマンショックの影響で2009年には6,000億円に満たず、大幅に売上高が減少しました。

その後もほぼ横ばいで、2014年には6,000億円強です。

その後、AIやIoT化の進展により、制御盤設計製造の需要は大幅に伸びているところもありますが、AIを取り入れた最新の制御盤への対応など、新しい技術への対応などに課題を持つ会社も増えています。

参考:基盤整備センター「配電盤・制御盤製造業の動向と人材育成

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2. 制御盤設計製造業界のM&A動向

制御盤設計製造業界を含む製造業界では、中小企業での後継者不足が深刻化しています。そこで、後継者不足を解決するためのM&Aを探る動きが活発化しています

また、中小企業1社だけではグローバル化や新しい技術への対応が難しく、会社の成長に限界を感じている経営者が、シナジー効果を求めて大手企業の傘下へ入ることを希望しての、戦略的なM&Aも増加しているようです

自社の成長を求めてのM&Aでは、同業他社だけでなく、商社や海外の企業とM&Aで提携する動きもあり、多様な形のM&Aが実施されています。

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3. 制御盤設計製造会社のM&Aにおけるメリット

制御盤設計製造のM&Aにはどのようなメリットがあるのでしょうか。売却側のメリットと、買収側のメリットをそれぞれみておきましょう。

売却側のメリット

制御盤設計製造をM&Aで売却するメリットは次のようなものがあります。

  • 後継者問題の解決
  • 経営基盤の強化
  • 売却利益の獲得

現在、制御盤設計製造業界に限らず、日本の中小企業の6割以上の社長が60歳以上と高齢化しています。また、中小企業の4割が後継者不足により、将来的な会社の存続が危うい状況にあります。

M&Aで会社を売却できれば、後継者がいなくても会社を存続させることができます。

また、大手企業の傘下に入ることで、販売先や調達ルートの拡充や、最新技術の導入などが可能になり、経営基盤を強化することができます。

廃業してしまえば、従業員の退職金などのコストがかかりますが、M&Aで売却すれば経営者には売却利益が入るというメリットも見逃せません。

買収側のメリット

買収側のメリットは次のようなものがあります。
 

  • 事業の拡大とシェア向上
  • 新規事業への参入
  • シナジー効果の創出

同業他社を買収すれば、買収した会社の顧客も自社に取り込むことができシェアを拡大することが可能です。

また、制御盤設計製造部門を社内に立ち上げたいのなら、ゼロから立ち上げるよりも制御盤設計製造会社をM&Aで買ってしまった方が簡単です。

自社にはない技術やノウハウを持つ制御盤設計製造会社を買収することで、既存の事業とのシナジー効果も期待でき、さらなる事業の発展が期待できます。

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4. 制御盤設計製造業界のM&Aにおける買収・売却事例4選

制御盤設計製造業界で、実際にM&Aで会社が売却されたり買収したりした事例にはどのようなものがあるのでしょうか。実際に制御盤設計製造業界で行われたM&Aの事例を4つ紹介します。

リックスがCEMをM&Aした事例

2022年4月に、リックス株式会社から、同社の子会社であるリックステクノ株式会社が、株式会社CEMの全株式を取得して子会社化(リックス株式会社にとっては孫会社化)するM&Aを実施したことが発表されました

リックスは1907年に足袋の販売で創業し、現在は幅広い産業に向けて産業機械の製造販売を行うメーカー商社です。

CEMは、石川県白山市に本社を構える、制御システムの提供を行う会社です。

リックスでは、産業機械の製造において電装部分を外注化しているという課題がありました。このM&Aにより念願だった電装部分の内製化が可能になり、グループ内での機械と電気の一貫した製造が可能になるとのことです。

参考:リックス株式会社「当社連結子会社による株式会社CEMの株式取得(孫会社化)に関するお知らせ

サカイオーベックスが攝津電機工業をM&Aした事例

令和元(2019)年11月に、サカイオーベックス株式会社から、攝津電機工業株式会社の全株式を取得して子会社化するM&Aが発表されました。

サカイオーベックスは、福井県福井市に本社のある、繊維製品、アパレルの製造販売と、資材事業と制御機器事業を展開している会社です。

攝津電機工業は、大阪府箕面市に本社のある各種制御盤・受配電盤の設計・製作などを手掛けている会社です。

このM&Aにより、サカイオーベックスとしては、攝津電機工業の人材とノウハウを傘下に収めて、繊維事業との両輪である制御機器事業のさらなる強化を図ることができるとしています。

参考:サカイオーベックス株式会社「子会社の異動を伴う株式の取得について

スズデンが愛知電機をM&Aした事例

平成28(2016)年3月に、スズデン株式会社から、愛知電機株式会社の全株式を取得して子会社化するM&Aが発表されました。

スズデンは製造業の調達などをサポートしている会社です。愛知電機は主に自動車産業において制御通信機器や変圧器などを製造販売しているメーカーです。

スズデンは医療機器分野に長年注力していましたが、さらなる企業規模の拡大を図るために自動車関連分野への進出も目指しています。

自動車関連の大手企業との取引のある愛知電機を子会社化することで、自動車分野への営業力を強化できるとしています。

参考:スズデン株式会社「愛知電機株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

八洲電機がカミヤ電機をM&Aした事例

平成27(2015)年10月に、八洲電機株式会社から、同社の連結子会社であるヤシマコントロールシステムズ株式会社が、カミヤ電機株式会社の全株式を取得するM&Aが発表されました。

八洲電機は幅広いエンジニアリング事業を手掛ける会社で、子会社のヤシマコントロールシステムズ(2021年に八洲制御システム株式会社へ社名変更)は、制御盤設計製造設計製造を行う会社です。

カミヤ電機は、愛知県に本社がある制御盤設計製造設計製造で60年の歴史のある会社です。

今後、制御盤マーケットの拡大が予測され、八洲電機としては制御盤設計製造拠点の拡充を計画しています。歴史あるカミヤ電機を傘下に納めることで、シナジー効果を期待できるとのことです。

参考:八洲電機株式会社「当社連結子会社による株式取得に関するお知らせ

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5. 制御盤設計製造会社のM&Aにおける成功のポイント

日本では、M&Aを希望しても実際に会社の売買に至るのは4割程度しかないといわれています。売却や買収を希望しても、6割の会社はM&Aできずに、中には売却を希望するも廃業するしかないというところもあるのが現実です。

制御盤設計製造会社のM&Aを成功させるためにはどのようなポイントに気をつけたらいいのでしょう。M&Aを成功させるための4つのポイントについて解説します。

M&Aの専門家への相談

制御盤設計製造会社をM&Aで譲渡したいと考え始めたら、まずはM&Aの専門家へ相談しましょう。

事業についての相談先は通常であれば取引のある金融機関ですが、中小企業のM&Aは金融機関では扱ってくれません。その代わり、中小企業のM&Aを専門的に扱う専門家がいるので、そちらに会社の売却を相談してみましょう

M&Aの専門家は、会社を存続させるためにM&Aが最適な方法なのかどうかといったところから親身になって相談に乗ってくれます。

また、M&Aを進めることを決断したら、適切な相手探しや法律や財務についての高度で複雑な知識が必要な手続きのサポートもしてくれます。

まずは、M&Aの専門家への相談がおすすめです。

M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください

M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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シナジー効果が見込まれる相手先の選定

M&Aでは、従業員も買収先に引き取られることになるので、会社を売却した後に従業員が安心して働き続けられる環境にするためには、買収側にとって意味のあるM&Aにならなければいけません。

そのためには、自社の事業が買収側の事業にシナジー効果を与えることが大切です。自社との合併により、相手企業に相乗効果で大きな利益をもたらすことができれば、従業員の待遇の大幅な改善も期待できるでしょう。

売却先を選ぶ時には、自社とのシナジー効果が見込まれる相手かどうかをしっかりと見極めることが大切です。

情報漏洩に気をつける

M&Aについての情報は、最終契約書を締結するまで外部はもちろんのこと、社内にも漏れないように注意しましょう。M&Aについて相談するのは、幹部クラスでも必要最低限の人に限り、最終契約書の締結までは秘密裏に進めることが必要です。

その理由は、会社が売却されるかもしれない、という噂が立つと、従業員や顧客が不安になってしまうためです。会社の将来を悲観して、離職や取引停止を招いてしまうこともあります。

M&Aについての会話の断片から噂が流れてしまうこともよくあるので、M&Aについて相談する時には周囲の状況によく気をつけましょう。

早めの検討

M&Aは、M&Aの専門家に相談してから会社の売却に成功するまで最低でも半年から1年、長ければ数年単位の時間がかかることもあります。

時間がかかる理由は、最適な売却先探しは慎重に検討したほうが良いことと、デューデリジェンスなどの手続きに時間がかかるためです。

譲渡金額など、売却側の会社の経営者が納得できるM&Aを実施するためには、時間をかけて慎重にさまざまな検討を重ねたほうが良いのはいうまでもありません。あまり急いで売却しようとすると、本来の価値よりも買い叩かれてしまうおそれもあります。

経営者が高齢化して健康状態が悪化してから売却先探しを始めるのでなく、まだまだ十分に気力があり、自らの判断で動けるうちから、会社の将来についての検討を始めたほうがいいでしょう。

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6. 制御盤設計製造業界のM&A・事業譲渡まとめ

制御盤設計製造業界は、なかなか厳しいといわれますが、製造業に欠かすことができない分野の一つです。廃業してしまうと、それまでのノウハウなどが失われてしまい、日本の製造業のダメージとなります。

会社の将来的な存続が難しいと感じているのなら、まずはM&Aの専門家に相談して、売却できる可能性はないか検討してみることをおすすめします。

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