外食コンサルの事業承継・M&Aガイド|成功事例と注意点を専門家が解説

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

外食コンサルティング業界で事業承継を検討していませんか?後継者不足や事業拡大など、課題解決の手段としてM&Aが注目されています。本記事では、最新の動向や成功事例、注意点を専門家が解説します。

目次

  1. 外食コンサル業界を取り巻く現状とM&Aの動向
  2. 外食コンサル・設計会社のM&A・事業承継の最新事例
  3. 外食コンサルティング会社のM&A・事業承継の一般的な流れ
  4. 外食コンサルの事業承継・M&Aを成功させるための6つの注意点
  5. 外食コンサル・設計会社のM&A・事業承継時におすすめの相談先
  6. M&A相談先を選ぶ際の6つの重要ポイント
  7. 外食コンサル・設計会社のM&A・事業承継まとめ
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1. 外食コンサル業界を取り巻く現状とM&Aの動向

外食コンサルティング会社は、飲食店の売上向上やメニュー開発、人材育成などを支援する専門家集団です。しかし、経営者の高齢化による後継者不足は業界共通の深刻な課題であり、事業の将来性を見据えた事業承継やM&Aが重要な経営戦略となっています。

2023年はコロナ禍4年目で、第8波が1月に発生しましたが、3月のマスク着用緩和と5月の感染症法上の「5類」移行により「ポストコロナ」時代へ進みました。この中で外食需要は回復傾向を見せ、年間売上は前年比114.1%、2019年比107.7%を記録し、特に入国規制の終了に伴うインバウンド需要が売上増加に寄与しました。

ただし、回復の多くは客単価の上昇によるもので、客数は2019年比で約90.9%にとどまっています。業態別ではファーストフードが好調ですが、ファミリーレストランや居酒屋は売上が回復基調にあるものの、コロナ前水準には戻らず、特に居酒屋業態では店舗数減少が続く厳しい状況です。

参考:日本フードサービス協会「日本フードサービス協会会員社による外食産業市場動向調査 令和5年(2023年)年間結果報告 」

2. 外食コンサル・設計会社のM&A・事業承継の最新事例

ここでは、実際の外食コンサル・設計会社によるM&A・会社売却事例を紹介します。

サンマルクHDによるB級グルメ研究所HDなど2社の買収

サンマルクホールディングスは、2024年11月19日にB級グルメ研究所ホールディングスとBQ International株式会社の株式を取得し、両社を子会社化することを発表しました。この結果、牛かつもと村(東京都武蔵野市)および台湾の極品國際餐飲股份有限公司が孫会社となります。

サンマルクグループは、「サンマルクカフェ」や「鎌倉パスタ」などの外食事業を展開しており、本件M&Aを通じてインバウンド需要や海外進出を強化しました。特に牛かつもと村を取り込み、物件情報や物流網の共有によるコスト削減と成長を目指します。

株式の取得(子会社化および孫会社化)に関するお知らせ

焼肉坂井HDによるテンフォーの一部株式の譲渡

焼肉坂井ホールディングスは、2023年1月31日に連結子会社であるテンフォー(北海道函館市)の株式の一部を株式会社コイサンズ(三重県津市)へ譲渡することを決定しました。この結果、テンフォーは連結子会社から除外されます。テンフォーはピザの製造・宅配事業を展開し、コイサンズは三重・愛知でベーカリーや外食店舗を運営するフードカンパニーです。

焼肉坂井ホールディングスは、新型コロナ収束後を見据え、焼肉事業などのイートイン事業に注力するため、事業ポートフォリオの最適化を進める一環として譲渡を決定しました。譲渡後も株主優待券の利用を含め、テンフォーとの協力関係を維持します。

連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ

ジャストプランニングによるプットメニューの全株式譲渡

ジャストプランニングは、2022年6月30日に連結子会社であるプットメニュー(東京都大田区)の全株式をボクシーズ株式会社(東京都千代田区)に譲渡し、プットメニューは連結対象子会社から除外されました。

ジャストプランニングは外食業界向けの経営管理ASPサービスを提供しており、プットメニューはオーダーシステム「Putmenu」を利用した情報処理サービスを行っています。ボクシーズはソフトウェア開発やコンサルティングを手掛ける企業で、屋内位置情報サービスの特許技術を保有するグループ会社も抱えています。

オーダーシステム「Putmenu」の事業拡大や運営の安定性を図るため、ボクシーズによる単独運営が最適と判断され、今回の譲渡に至りました。

ワタミによるi-NEXTの全株式譲受

2020年5月20日、ワタミは、ITbookホールディングスの子会社i-NEXT株式会社を譲渡契約により取得し、新たにワタミエージェント株式会社を設立しました。

ワタミは、国内外食事業や宅食事業を展開しており、新型コロナウイルス感染拡大による外食店舗の約400店舗の休業と従業員の自宅待機を受け、雇用維持と収入確保を課題としていました。

i-NEXTは労働者派遣事業を運営しており、今回のM&Aにより、ワタミは休業中の従業員に派遣先を提供し、働き方の多様化と雇用維持を図ります。これを通じて、派遣事業を通じた社会課題の解決にも取り組む方針です。

3. 外食コンサルティング会社のM&A・事業承継の一般的な流れ

外食コンサルティング会社のM&A・事業承継は、一般的に以下のステップで進行します。全体像を把握し、計画的に準備を進めることが成功の鍵です。
 

① M&Aの準備と専門家への相談

まずは、M&Aの目的(事業承継、事業拡大など)を明確にし、社内で秘密裏に準備チームを組織します。この段階で、M&A仲介会社などの専門家に相談し、自社の企業価値の概算(バリュエーション)や今後の進め方についてアドバイスを受けることが重要です。
 

② 買い手候補の選定と交渉

専門家と連携し、ノンネームシート(社名を伏せた企業概要書)を用いて、買い手候補となる企業に打診します。関心を示した企業とは秘密保持契約(NDA)を締結した上で、より詳細な企業情報(IM:インフォメーション・メモランダム)を開示し、トップ面談などを通じて交渉を進めます。

③ 基本合意の締結とデューデリジェンス

交渉がある程度進み、主要な条件で双方が合意に至った段階で、基本合意書(LOI)を締結します。基本合意書には、譲渡価格の目安や独占交渉権などが盛り込まれます。その後、買い手側によるデューデリジェンス(買収監査)が実施され、売り手企業の財務や法務、事業内容に問題がないか詳細な調査が行われます。
 

④ 最終契約の締結とクロージング

デューデリジェンスの結果を踏まえ、最終的な譲渡条件を交渉し、最終契約書(DA)を締結します。契約内容に基づき、株式や事業の譲渡、対価の決済が完了すると、M&Aはクロージング(成立)となります。

4. 外食コンサルの事業承継・M&Aを成功させるための6つの注意点

ここでは、外食コンサル・設計会社のM&A・会社売却を進める際に注意すべき点を取り上げて解説します。

  • 計画的に準備を行う
  • 自社の強みを伝える
  • M&Aの目的を明確にする
  • 売却先の選定を行う
  • 情報漏えいに気をつける
  • M&Aの専門家に相談する

①計画的に準備を行う

M&A・会社売却をスムーズに進めて成功させるには、スケジュールの策定・会社のプラッシュアップ・税務上の問題整理などを事前に準備したうえで、自社に最適なタイミングを逃さず行う必要があります。

中には時間と手間を要する準備もあるため、外食コンサル・設計会社のM&A・会社売却を行う際は、できるだけ早い段階から計画を立てて準備を進めましょう。

②自社の強みを伝える

買い手は、買収により、どのようなメリットが得られるのか検討して相手先企業を決定します。そのため、売却側としては、自社の強みをしっかりアピールすることが大切です。

具体的には、自社の財務状況・対応する業態や規模・内外装に対する設計や施工の実施などを資料にまとめて相手に提示すれば、客観的かつ正確に強みを伝えられます。

③M&Aの目的を明確にする

なぜM&Aや事業承継を行うのか、その目的を明確にすることが全ての出発点です。「後継者不在問題の解決」「従業員の雇用維持」「創業者利益の確保」「別事業への集中」など、目的によって最適なスキームや交渉戦略は異なります。

目的が曖昧だと、交渉が長引いたり、本来の希望と違う結果になったりする可能性があるため、最初に言語化しておくことが重要です。

④売却先の選定を行う

十分な調査を経ずにM&A・会社売却先を選定してしまうと、不当な譲渡価額での譲渡・取引や、雇用契約の解除、財務状況の悪化などのトラブルを招くことになります。

したがって、外食コンサル・設計会社のM&A・会社売却では、シナジー効果を得られる同業者・関連業者など、事業経験があったり経営を安心して任せられたりする売却先を選びましょう。

⑤情報漏えいに気をつける

外食コンサル・設計会社のM&A・会社売却を進めていく際には、情報漏えいに十分、気を配る必要があります。これを怠り、仮に情報が漏れてしまった場合、起こり得るのが以下の事象です。
 

  • 従業員に漏れた場合:M&Aに不安感や反発心を持った従業員が離職
  • 取引先に漏れた場合:不信感により契約打ち切り
  • 交渉相手(買い手側):秘密事項を漏らしたことで信用をなくしM&Aが破談

上記のような事態を避けるため、社内でも経営者や役員、M&A担当者以外には少なくとも基本合意書締結までは決して事実を明かさないことが重要です。

⑥M&Aの専門家に相談する

M&Aは、企業価値評価、法務、税務など高度な専門知識が求められる複雑なプロセスです。自社だけで進めようとすると、適切な売却先を見つけられなかったり、不利な条件で契約してしまったりするリスクがあります。

経験豊富なM&Aの専門家に相談することで、自社の価値を正しく評価し、最適な相手とのマッチングから交渉、契約までをスムーズに進めることが可能になります。

5. 外食コンサル・設計会社のM&A・事業承継時におすすめの相談先

外食コンサル・設計会社のM&A・事業承継の相談先としては、以下の機関などがあります。

  • M&A仲介会社
  • 金融機関
  • 公的機関
  • 士業事務所
  • M&Aマッチングサイト

M&A仲介会社

外食コンサル・設計会社のM&A・会社売却の相談先として最も一般的なのは、M&A仲介会社です。M&A仲介会社はM&Aの専門業者であり、M&Aの仲介・アドバイザリーに特化した組織を持ちます。売却先情報を豊富にそろえており、仲介・アドバイザリー業務を任せられる点も安心です。

【関連】M&A・事業承継ならM&A総合研究所
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金融機関

金融機関は、取引先企業の経営相談を受ける関係であることから、M&A仲介会社とは異なった売却先情報を持っている可能性があります。また、昨今はM&A部門を設置し、仲介業務を行う金融機関も増加中です。ただし、M&Aのサポート業務では、M&A仲介会社の方が専門的に手掛けています。

公的機関

公的機関では、経営相談の一環として、外食コンサル・設計会社のM&A・会社売却の相談もできます。代表的なものとしては、後継者不在による事業承継のためのM&Aであれば「事業承継・引継ぎ支援センター」、総合経営相談所であれば「よろず経営支援」などです。いずれも、都道府県ごとに設置されています。

また、国や自治体の機関ではありませんが、商工会・商工会議所も公的機関に準じた存在として、M&A・会社売却の相談が可能です。ただし、公的機関での相談は無料ですが、仲介業務・アドバイザリー業務は行っていません

士業事務所

弁護士・税理士・公認会計士などの士業事務所も、外食コンサル・設計会社のM&A・会社売却の相談先として有力です。顧問契約を結んでいて自社の状況にくわしい士業事務所があるのなら、M&A・会社売却の相談をしてみるのも有効策です。

最近では、M&A仲介業務を行う士業事務所も増えてきていますが、M&A仲介会社のように専門業者ではありませんから、仲介・アドバイザリー業務を依頼する場合には、事前に実績を十分に確認しましょう。

M&Aマッチングサイト

相談ではなく自分で売却先を見つける方法として、M&Aマッチングサイトがあります。一般的な利用方法としては、無料会員登録を行うことで、登録されている買い手候補の情報を閲覧可能です。また、逆に自社の登録情報を見た買い手希望者から、交渉が申し込まれるかもしれません。

M&Aマッチングサイトでは、当事者同士が直接交渉します。不安がある場合は、別途、手数料を支払えばM&Aアドバイザーに業務依頼できるシステムのサイトがほとんどです。料金を含めた使用規定は各社異なるので、十分に規定を確認してから利用しましょう。

M&Aの相談相手については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】M&Aの相談相手はどこがおすすめ?無料の相談先ごとにメリット・デメリットを徹底解説| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

6. M&A相談先を選ぶ際の6つの重要ポイント

ここでは、外食コンサル・設計会社のM&A・会社売却の相談先を選ぶポイントを解説します。

  1. M&A・会社売却の知識や経験が豊かなこと
  2. 飲食・コンサル業界の動向とトレンドに詳しい
  3. 経営者目線で最善の提案ができる
  4. 自社のM&Aと類似する案件の取扱い実績を持つ
  5. 相手先企業の紹介・選定・仲介を手掛けている
  6. 担当スタッフとの相性が良い

①M&A・会社売却の知識や経験が豊かなこと

M&A仲介会社などの専門家によって、得意とする業種・事業規模は異なります。外食コンサル・設計会社のM&A・会社売却の実績があれば、必要十分な専門知識を有していると考えられるので、適切なアドバイス・サポートを受けられるでしょう。

M&A・会社売却を相談する場合、M&A・会社売却の知識がある、外食コンサル・設計会社のM&A・会社売却サポート実績があることなどを確かめましょう。

②飲食・コンサル業界の動向とトレンドに詳しい

外食業界はトレンドの移り変わりが激しい分野です。相談先の専門家が、デリバリーやテイクアウトの定着、インバウンド需要の回復、深刻化する人手不足とDX化の必要性といった最新動向を深く理解しているかは重要な判断基準です。

業界への知見がなければ、自社の強みや将来性を買い手に正しく伝えられず、適切な企業価値評価も望めません。業界特有の課題を共有できる専門家を選びましょう。

③経営者目線で最善の提案ができる

相談先の中には、自分たちの利益・成約ばかりを優先し、依頼者に見合わない買い手を紹介する企業・専門家も少なからず存在します。外食コンサル・設計会社のM&A・会社売却の相談時には、経営者の立場に寄り添った仲介を行う専門家を選びましょう。

④自社のM&Aと類似する案件の取扱い実績を持つ

M&A仲介会社などは、各社で得意とするM&Aの規模が異なっています。大企業のM&Aを得意・専門としている会社もあれば、中小企業のM&Aを得意・専門としている会社もあるのです。したがって、自社と同等規模の企業のM&Aを得意とする企業に相談・依頼するのが、有効となります。

⑤相手先企業の紹介・選定・仲介を手掛けている

外食コンサル・設計会社のM&A・会社売却の相談をする場合、相談して終わりではなく、むしろ、そこからスタートします。したがって、相談後、売却先企業探しを行えて、その選定のアドバイスもでき、さらにM&A・会社売却の仲介まで依頼できる相手を選んだ方がスムーズに進められます。

M&Aのさまざまなプロセスを、ワンストップ・サービスで受けられるのはM&A仲介会社です。

⑥担当スタッフとの相性が良い

M&A仲介会社などに業務を依頼する場合、交渉などは全てアドバイザーが代行します。いい方を変えると、担当アドバイザーに全てを託すわけです。したがって、こちらの考えや思いを十分にくみ取ってくれる人物が担当者でないと、思い描いたM&Aの成約に近づけない可能性があります。

一般的にM&Aは半年~1年程度を費やす長丁場であるため、担当者の相性は重視すべきです。

飲食・外食業界のM&A動向と最新事例については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】【2023】飲食・外食業界のM&A動向と最新事例を紹介!現状の課題は?

7. 外食コンサル・設計会社のM&A・事業承継まとめ

外食コンサル・設計業では、飲食業界で見られるトレンドなども考慮して、M&A・事業承継を進める必要があります。そのような情報をよく把握・精通しているM&Aの専門家に相談・依頼をするのが、外食コンサル・設計会社のM&A・会社売却を成功させるポイントです。

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