屋根工事業界のM&A動向!売却・買収事例と成功のポイントを解説!【2024年最新】

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

この記事では屋根工事業界のM&A動向を解説します。屋根工事業界は、その他の建設業界の動向に大きく依存しており、新設住宅着工数などにも注目する必要があります。屋根工事業界では資本力のある会社によるM&Aが進むなど業界再編が進んでいます。

目次

  1. 屋根工事業界の概要と動向
  2. 屋根工事業界のM&A動向
  3. 屋根工事会社をM&Aするメリット
  4. 屋根工事会社のM&A・買収・売却事例
  5. 屋根工事業界のM&Aの成功のポイント
  6. 屋根工事業界のM&A・事業譲渡まとめ
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1. 屋根工事業界の概要と動向

屋根工事業界は、近年、住宅向けの太陽光パネルの設置工事が後押しとなって、売上を伸ばしている業界です。ここではまず、屋根工事業界の概要と動向について説明していきます。

屋根工事業界とは

屋根工事業界とは、建物の外装工事業界の一つで、屋根材を加工して、家屋の屋根に敷き詰め、それをしっかり固定することを専門的に行っている事業者によって構成される業界です。

屋根工事は、建設業法に定められた建設工事業種の一種となっています。

仕上げ材を用いて屋根を覆うことは、屋根を葺く(ふく)と言うことから、屋根工事業界は、屋根を葺くことを専門とする事業者であると言い換えられます。

「軽微な建設工事」を除くすべての屋根工事を扱う場合、公共工事か民間工事かを問わず必ず建設業許可(屋根工事業許可)の取得が求められます。そのため、屋根工事を専門職として行う事業者となるためには、専門知識や技能が必要となります。

従来の屋根工事業界では、屋根ふき工事が主な仕事であったものの、近年では、屋根一体型の太陽光パネルの設置工事を行うなど、伝統的な仕事とは異なる仕事も多くなってきています。

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屋根工事業界の市場規模と動向

矢野経済研究所の調査によれば、国内屋根材市場規模は2020年度まで減少傾向にあったものの、2021年度から増加に転じています。この理由は、新設住宅着工数が増加したり、倉庫を中心とした建設需要が増加しているからです。

屋根材市場は住宅建設業界の動向に大きく依存しています。今後も倉庫の建築着工や新設住宅着工の動向に連動して業績が推移すると考えられるため、それぞれの動向も把握しておくことが大切です。

また、リフォーム需要の高まりにより、屋根の修繕依頼が増加していることから、今後の屋根工事業界は堅調に売上高が伸びていくと考えられます。

矢野経済研究所 屋根材市場に関する調査を実施(2022年)
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2. 屋根工事業界のM&A動向

屋根工事業界では、需要が急増していることを背景に、業界全体でのM&Aが盛んに行われています。

屋根工事業界は、建物の屋根に使用される金属素材を加工して家屋に設置することで収益が生まれます。近年、建築物の高層化やエネルギー効率化の進歩により、この業界に対する需要は急増しているのです。そのため、市場拡大への戦略を見直し、M&Aを通じて競争力を強化することが求められています。

さらに、屋根工事では、施工過程で高度な技術力と経験が求められます。新たな素材の開発や省エネルギー化への対応には人材への投資が不可欠です。そのため、業界に属する企業は、M&Aを利用して自社の技術力を強化し、市場における競争力を保持することを目指しています。

加えて、労働力不足が深刻化している現在、企業はM&Aを通じて必要な人材を確保しようとしています。M&Aを通じてスキルアップやキャリア進展の機会を提供し、労働者の定着率を高めるよう努めています。

3. 屋根工事会社をM&Aするメリット

次に屋根工事会社をM&Aするメリットについて解説します。M&Aによって会社を売却することを考えている場合には、事前に享受できるメリットを想定することが大切です。

売却利益の獲得

屋根工事会社をM&Aによって売却すれば、その対価として経営者は売却利益を得られます。

株式を譲渡すると、その対価として現金を受け取ることになります。特に、中小企業のオーナーで株式譲渡を行う人々は、自社の株式の大部分を保有していることが多いでしょう。そのため、株式を売却することで、会社を第三者に引き渡すだけでなく、創設者として利益を得られます。

後継者がいない、または活動から引退したいと考えている場合、株式譲渡は非常に効果的なM&Aの方法です。

創設者としての利益を得ることで、新たなビジネスの資金にしたり、老後資金にあてたりと、さまざまな選択肢が広がります。

事業の拡大

M&Aによって会社や事業を売却することは、新たなビジネスの可能性を広げることに繋がります。

売却先の企業が屋根工事業と相互補完的なビジネスを展開している場合、その組み合わせは互いの強みを最大限に活用することを可能にします。これにより、互いの事業の拡大や業績の向上が期待できます。

たとえば、売却先の企業が独自の技術を持っている場合、その技術を屋根工事業に適用することで、新たな製品やサービスを開発することができるかもしれません。

また、売却先が広範な顧客ネットワークを持っている場合、そのネットワークを活用して新規市場への進出を促進することも可能です。これらは、一企業が単独で行うよりも効率的に事業を拡大できる機会を提供します。

このように、屋根工事業の会社を譲渡することは、事業の成長や競争力強化につながる多くのメリットを持っています。しかしながら、これらのメリットを最大限に活用するためには、譲渡先企業の選定や譲渡条件の設定について、慎重な検討が必要です。

4. 屋根工事会社のM&A・買収・売却事例

以下では、実際にM&Aを行った事業者の事例を紹介していきます。

北恵が古賀文化瓦工業所をM&Aした事例

2022年12月、株式会社北恵は、有限会社古賀文化瓦工業所を子会社化するのに成功しました。

北恵にとってもともと古賀文化瓦工業所は取引先であり、九州北部における瓦・屋根工事において実績をあげていた企業です。

このM&Aをきっかけに、買収側である北恵は、新規取引先を開拓したり、オリジナル商品・施工付商品・住宅設備機器などの販売強化に取り組んで、業績の向上を目指しています。

参考: 北恵による有限会社古賀文化瓦工業所の子会社化

5. 屋根工事業界のM&Aの成功のポイント

屋根工事会社が会社や事業を売却する場合は、以下のポイントを十分に踏まえたうえで適切に行動しなければなりません。それぞれのポイントについて、ここでは詳しく解説していきます。

シナジー効果の見込める売却先を探す

屋根工事業界に属する会社を売却する場合、M&Aの結果としてシナジー効果が見込める売却先を探すことが重要です。

M&Aは会社や事業を売却して終わるわけではありません。むしろ、売却後にいかに事業を展開するかが重要となります。売却先の経営者や従業員と協力して、事業を盛り上げていかなければなりません。

売却先企業の経営資源を自社の活動に組み込むことで、相乗効果で業績を向上させていく必要があります。

したがって、シナジー効果が見込める売却先を探すことが、M&Aを成功させるために重要です。

自社の強みを明確化・アピールする

M&Aを行う前に、売却側は、自社の強みを明確化しておく必要があります。その理由は、自社の強みの明確化が企業価値を向上させるからです。一般に、自社の強みを明確化するプロセスは、磨き上げと呼ばれています。

その強みを売却側にアピールすることで、高く自社を売却できる可能性が高くなります。

自社の強みを明確にしても、それが買収側に伝わらなければ意味がありません。したがって、自社の強みを明確にしたら、それをアピールすることが必要です。

進行中の案件について売却先と協議する

進行中の案件についても売却先と事前に協議しておくことが大切です。

長期間にわたる契約プロジェクトを持つ状況下でM&Aを実施するケースも当然あります。そのとき、現在進行中のプロジェクトをどのように処理するかは、売却側と買収側の間での議論が必要です。

一般に、プロジェクトは買収側に引き渡されるか、または他の屋根工事会社に引き継がれます。

プロジェクトを買い手や別の屋根工事会社に引き継ぐ際には、将来的な問題を避けるために、工事の費用負担についての詳細を明確にしておくことが重要です。さらに、プロジェクトを他の屋根工事会社に引き継ぐ場合、その旨を発注者に確認して、同意を得ておかなければなりません。

専門家に相談する

屋根工事業界でのM&Aを成功させるには、M&A自体の専門知識だけではなく、屋根工事事業の許認可や使用する技術など、特定の業界知識も必要不可欠です。

適切な売却先を見つけるためには、建設業界に広範囲にわたるネットワークも必要となります。

したがって、条件が満たされる売却先を探し出すためには、屋根工事業界におけるM&Aの経験と知識が豊富な仲介者、アドバイザー、またはプラットフォームなどの専門家を選ぶことが重要です。

M&A業務を委託する先によっては、売却先を見つける時間、成約までの期間、さらにはM&Aの取引価格が大幅に変動する可能性があります。

したがって、専門家の選択は慎重に行わなければなりません。

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6. 屋根工事業界のM&A・事業譲渡まとめ

屋根工事業界は、住宅建設業界の動向を大きく受ける業界です。近年では、新築着工件数が増えるなど、業界全体の需要が高まっていることから、屋根工事会業界全体の業績も上向いてきています。

伝統的な屋根を葺く業務だけではなく、太陽光パネルの設置やリフォームなどを手掛けるようになっている屋根工事業界は、今後も成長が見込める業界です。これらの需要に対応することを目的に、多くの屋根工事会社がM&Aを行っています。

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