2024年12月01日公開
採石・砂利採掘・砕石のM&A動向!売却・買収事例4選とメリットを解説!【2023年最新】
採石・砂利採掘・砕石業界は後継者不足をはじめとする問題を解消するためにM&Aが活発になると予測されます。
今回は採石・砂利採掘・砕石業界の概要やM&AのメリットやM&A事例などについて解説します。
目次
1. 採石・砂利採掘・砕石業界の概要と動向
まずは、採石・砂利採掘・砕石業界の概要や市場規模や動向などについて解説します。
採石・砂利採掘・砕石業界とは
採石業とは、山や平地に存在する岩石や砂などを採取し、製品として出荷する産業のことで、砂利採掘業も含まれます。採石・砂利採掘・砕石業は、建設業および土木工事などの分野において欠かせない存在です。同業界は、建設特需の増加に伴い市場環境が大きく変化しています。
採石・砕石は岩石の有効開発を目的として、国が1950年に制定した採石法の適用を受けています。
採石法は採石業者の地位保護を目的として、採石権の権利を保護する法律でした。その後の経済成長に伴い、採石業者の乱立や採石現場での環境破壊などの問題に対応するため改正が行われ現在の制度となっています。
採石と砕石ではそれぞれの用途や製造工程が大きく異なります。砕石の生産や出荷量は土木建設工事の影響を受けやすく、道路舗装の路盤およびアスファルト混合物やコンクリートなどの骨材に使用します。
砕石には大きく4つの種類があり、道路工事用の「道路用砕石」・コンクリートに合わせて使用する「コンクリート用砕石」、鉄道の線路下に敷く「道床バラスト」、護岸工事などに使用する「割栗石」です。道路用砕石にも単粒度砕石をはじめ、クラッシャラン、粒度調整砕石などがあります。
砕石とは採石後に破砕粉砕を行い、一定の規格に合わせて製品化します。採石法に定められた岩石は24を数え、砂岩と安山岩で2/3です。
2. 採石・砂利採掘・砕石業界の市場規模と動向
直近の市場動向を見てみると、採石業者の令和3年現在の事業者数は2,124件でこれは前年と比較し-1.7%となっています。また採取場の数は2,657件でこちらは前年比-1.3%です。さらに岩石生産量は約174百万トンで前年比-3.3%です。このマイナスの傾向は前年から引き続いています。
近年は、高層ビルや大型商業施設の建設ラッシュが続き、需要が高まっています。また、道路や橋などの公共工事にも注力されていて、砂利などの建材に対する需要が拡大しています。
その一方で、採石・砂利採掘・砕石業界は、環境問題に直面しているのも事実です。砕石場やその周辺の環境被害や、採石に伴う地盤沈下などの問題があります。そのために環境に配慮した採石・砂利採掘・砕石業界が求められており、リサイクル素材の利用も進んで行くとみられています。
3. 採石・砂利採掘・砕石業界のM&A動向
採石・砂利採掘・砕石業界は既出のように業者数が減少傾向にあり、廃業も他の業種とほぼ同等の2〜3%となっています。また、経営者の高齢化に伴う後継者問題も顕在化しています。これらの問題を考慮すると、M&Aは増加していくでしょう。
また近年、採石・砂利採掘・砕石業界ではM&Aが活発に行われている背景には、需要の拡大やコスト削減、環境規制の厳格化、人手不足などもあり、大企業が優位に立ちやすい状況です。
このような背景から、多くの採石・砂利採掘・砕石業者がM&Aを進めることで、需要地に近くに生産拠点を持ち、大量生産することでコスト削減を図り競争力を高めています。また、M&Aにより大企業が生まれ、生産技術の共有および人材の活用など、シナジー効果の発生も期待されています。
しかし、M&Aにはリスクがあるのも否めません。買収予定企業の経営状況や負債、人材など、さまざまな問題が発生する可能性があります。また、M&Aを行った結果、生産拠点が重複してしまうケースがあります。その場合は余剰能力の解消の必要があり、コストや人員の削減に迫られることになるでしょう。
4. 採石・砂利採掘・砕石会社をM&Aで売却するメリット
採石・砂利採掘・砕石会社がM&Aで譲渡するメリットは以下の3点があります。詳しく見ていきましょう。
事業を拡大できるチャンスが得られる
採石・砂利採掘・砕石業の会社を譲渡すると、新たな経営者が進める経営手法や技術によって、事業の効率化が期待できます。一例を挙げると、省力化および自動化などの技術を導入すれば、生産性の向上やコスト削減が可能です。
また、同業者同士でM&Aを行えば、人材や機械設備などの資源が増えるので事業規模の拡大が可能です。それが別エリアの会社であれば商圏拡大にもつながります。
さらに、買収側企業が上場企業や大手企業の場合、傘下に入ることで、企業の知名度や信頼性が高まり、新たな顧客や取引先を獲得しやすくなります。
従業員の雇用継続
M&Aを行うと従業員の雇用を守れるメリットがあります。実際、廃業してしまうと従業員は失業してしまいます。従業員やその家族に大きな影響を与えてしまうのは避けられません。特に中堅規模や中小企業のM&Aでは多くの場合、従業員の雇用の継続がM&Aの条件の一つに挙げられることが多いです。
一般的にM&A成立後、従業員は新オーナーのもと、以前と変わらぬ条件で継続して雇用され、顧客や取引先も引き継がれます。また、M&Aの相手が上場企業や大手であれば、従業員に今以上の労働環境や安定した雇用を提供されることも期待可能です。
従業員の雇用を守るのがM&Aの目的の一つであるなら、交渉時に買収側の意向を確認し、契約書にも雇用の継続に関して盛り込んでおきましょう。
売却益の入手
M&Aで売却・譲渡を行うと売却側は投資資金を回収できます。事業を続けていれば長い年月をかけて少しずつ回収していきますが、株式を譲渡した場合は、その時点で回収可能です。またM&Aを行うと多額の売却益を手に入れられます。事業規模や収益にもよりますが、数千万から数億円の売却益を手にできるかもしれません。
経営者はこの資金を引退後の生活費や残った債務があればその返済に充てられるのはもちろん、次の事業資金などにも利用可能です。場合によっては創業時の投資額を上回るリターンを得られる可能性もあります。
会社経営の跡継ぎ問題の解決
近年は、少子高齢化が進み、ほとんどの業界において後継者問題が話題にのぼります。実際に企業の約61.5%は後継者がおらず、後継者不足が原因で黒字廃業するケースが少なくありません。一方で、M&Aを行えば親族や社内に後継者がいない企業でも事業承継が可能です。
後継者がいない場合通常は、後継者を育てるまたは探すことになるのでかなりの時間がかかります。そこでM&Aを実行すれば、株式を譲渡するとともに、経営者を派遣してもらい後継者問題が解決できます。
5. 採石・砂利採掘・砕石業界のM&Aにおける買収・売却事例4選
採石・砂利採掘・砕石業界のM&Aを理解するには、採石・砂利採掘・砕石会社が当事者となった過去の事例が役に立ちます。
これから紹介する事例に目を通しておけば、M&Aの進め方をイメージしやすくなるでしょう。
ミダックホールディングスが遠州砕石をM&Aした事例
2023年7月21日、株式会社ミダックホールディングスは遠州砕石株式会社の全株式を取得し子会社化しました。
ミダックグループは、事業者の廃棄物収集運搬および中間処理などに纏わる事業を行っています。一方の遠州砕石は、自社の採掘場にて原石を切り出した上で一定の加工を施し販売する砕石製造業を主に行っていました。
今回のM&Aで50年以上の業歴を持つ砕石製造業を継続するとともに、同社が保有する土地の有効利用が可能になります。具体的には、グループ内の株式会社ミダックが推し進めている、管理型最終処分場の「奥山の杜クリーンセンター」の工事で排出される残土管理を、遠州砕石に委託可能です。
この残土管理の内製化は、かなりのコストの削減効果が期待でき、さらに自社のグループ内で残土の適正処分・管理の徹底を図ることでガバナンス強化も可能になります。
参考:遠州砕石を子会社化
住石ホールディングスが第三者に株式譲渡した事例
2021年5月31日、住石ホールディングス株式会社は連結子会社の住石山陽採石株式会社を第三者に売却しました。住石ホールディングスは、石炭事業を展開するグループ会社の経営を支援しています。住石山陽採石は、岩石の採掘と骨材の生産・販売をしていました。
住石ホールディングスは、売却対象会社の将来性と当社グループの戦略を総合的に判断して今回の売却を決めたと述べています。売却先の企業名は公表されていません。
参考:住石山陽採石を株式譲渡
相鉄ホールディングスが松上産業に株式を譲渡した事例
2016年3月24日、相鉄ホールディングス株式会社は、グループ会社の相鉄鉱業株式会社の株式すべてを松上産業株式会社へ譲渡しました。
相鉄鉱業は神奈川県をはじめ茨城県、栃木県にて砂利採取事業を行っています。しかし神奈川県内においては、赤字が続いており、生産に欠かせない重機やプラントへの多額にのぼる投資や契約等による十数年間の事業継続が必要な点を踏まえ、本譲渡に踏み切りました。
一方の松上産業は、神奈川県の鉱山地帯で相鉄鉱業と協力し、砂利の採掘を行っておりました。
参考:相鉄鉱業の株式譲渡
南海電気鉄道がトラックターミナルサービスを子会社化した事例
2016年4月1日、南海電気鉄道株式会社のグループ会社である南海ビルサービス株式会社が株式会社TTSを買収し、子会社化しました。
南海ビルサービス株式会社は、関西を中心にビルやホテル、空港などの保守管理業務や不動産関連、建築物の設計・施工・管理などを手がける会社です。TTSは、大阪府東大阪市に本社を置き、ビル管理業を行っている会社で、南海グループの泉北高速鉄道株式会社の東大阪トラックターミナルの日常保守業務を担当していました。
この買収により、南海グループはシナジー効果を期待し、経営基盤の強化と業績の向上を目指すとしています。
参考:トラックターミナルサービスを子会社化
6. 採石・砂利採掘・砕石業界のM&Aにおける成功のポイント
ここからは、採石・砂利採掘・砕石業界のM&Aを成功させるポイントについて解説します。
M&Aの専門家に相談をする
採石・砂利採掘・砕石業界のM&Aを行う際は、同業界のM&Aについての実績が豊富な専門家へ依頼すると、スムーズに進みます。M&Aについての知識や、採石・砂利採掘・砕石業界の技術、特殊な経営業務などについて精通している専門家のサポートは心強いでしょう。
また、買い手探しを行うには、業界に対する幅広いネットワークが必要です。満足できる条件で買収してくれる相手を探すには、業界のM&Aに関する実績や知識が豊富な専門家を選ぶのが大切です。
どこの仲介会社に依頼するかによって、成約にかかる期間やM&Aの金額も大きく変わってくる可能性もあるので仲介会社の選定は慎重に行う必要があります。
もちろん、仲介業者を選ぶ際にも、採石・砂利採掘・砕石業界に強いところがおすすめです。また、士業を選ぶ際にも採石・砂利採掘・砕石業界に詳しいかを確認しましょう。
M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください
M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。
M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
シナジー効果が見込まれる相手先の選定
M&Aにおけるシナジー効果とは、2社以上の会社が1つの会社に統合された際に、各社が別々に事業を続ける場合と比較して大きな成果を得られる効果です。
自社の事業と大きなシナジー効果を見込める買い手であれば、事業の評価が高くなりやすいです。そのため、高い金額で売却したいのであれば、なるべく大きなシナジー効果を見込める買収先探しに注力しましょう。
シナジー効果を買収先企業に認識してもらうには、技術や人材などの強みや自社事業とのシナジー効果をアピールし、買収側にそれを認めてもらう必要があります。そのためには、まず自社の強みや買収先候補とのシナジー効果を洗い出して明確にすることが重要です。また客観的なデータや事業計画を準備しておくことも大切です。さらに余裕を持ったスケジュールで幅広く買収先企業を探したり、複数の買収先候補と交渉するのも効果的といえます。
条件の交渉やエグゼキューションの要点を押さえる
どんなにシナジー効果があったとしても、M&Aの条件によっては本来の目的が果たせなくなる場合もあります。
それを防ぐには、買収側企業と売却側企業の立場は対等と認識し、買収側企業は売却側企業に対し「大切な会社を買収する」との気持ちで臨むことが重要です。また、買収先企業は売却側企業の実態をなるべく早い段階で把握し費用に見合うだけの効果があるのかを見極めなければなりません。さらにリスクを徹底的に洗い出し、専門家と相談し回避策を取り許容できる範囲内に収める必要があります。
そしてM&Aでは、手続き(エグゼキュ―ション)も成功を左右するポイントとなります。候補企業とのマッチング後の以下の手続きを認識しておいてください。
・トップ面談・手法の検討・条件交渉
・基本合意の締結
・デューデリジェンスの実施
・最終交渉、最終契約の締結
7. 採石・砂利採掘・砕石業界のM&Aにおける注意点
ここでは、採石・砂利採掘・砕石業界のM&Aにおける2つの注意点について解説します。
情報漏えいによる損失のリスク
M&Aを行う際は、財務情報や従業員情報。事業詳細などを開示せずに買収候補との交渉はあり得ません。しかし、それらの情報は会社の重要な情報で万一漏洩してしまうと会社は大きな損失を被る可能性があります。M&Aを行うかもしれないといった情報が取引先に発覚すると、取引量の縮小や契約終了も起こり得ます。
M&Aは秘密保持が非常に重要です。M&Aを検討しているという事実自体、関係者が知ると混乱になりかねません。適切なタイミングを見計らって関係者に伝えられるよう検討段階で情報が漏れないように注意してください。
取引先や従業員の理解を得られるよう説明する
M&Aの事実を公表した際、取引先や従業員から不安や不満の声が上がる可能性があります。情報を開示する際は今後の処遇も含めて経営者の口から丁寧に説明し不安を取り除くのが大切です。
また、M&Aの準備段階においては、主要取引先との契約内容を再確認してください。契約内容によっては一方的に経営権の移動があった場合には契約内容に制限がかかったり解除が可能なチェンジオブコントロール条項が規定されている場合があります。今後の取引先との関係性継続に関しては、事前に買収側企業と意見交換を行いM&A成立後の取引内容の大幅な変更をないようにすることが、理解を得るための手段です。
8. 採石・砂利採掘・砕石業界のM&A・事業売却まとめ
採石・砂利採掘・砕石業界も他業種と同じように、後継者問題をはじめ、経営環境の悪化などを原因とした事業再編が起こりやすい業種です。今後は事業の発展のために、さらにM&Aが一般的になっていくと予想されます。
メリットや注意点などを考慮しながら効果的かつ積極的に進めていきましょう。
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