理化学機器業界のM&A動向!売却・買収事例2選と成功のポイントを解説!【2024年最新】

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

理化学機器業界のM&Aを成功するためには、売却後を視野に入れた戦略が必要です。どのような企業なら高額での売却が可能なのでしょう?また、M&Aを成功するための注意点も確認しておきましょう。あわせて理化学機器業での売却・買収事例も紹介します。

目次

  1. 理化学機器業界の概要と動向
  2. 理化学機器業界のM&A動向
  3. 理化学機器会社をM&Aするメリット
  4. 理化学機器会社のM&A・買収・売却事例2選
  5. 理化学機器業界のM&Aの成功のポイント
  6. 理化学機器業界のM&A・事業譲渡まとめ
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1. 理化学機器業界の概要と動向

まずは、理化学機器業界のあらましや流れなどと市場規模、近年の動向などを見ていきます。詳しく解説いたします。

理化学機器業界とは

理化学機器とは、試験管やビーカー、フラスコなどの器具類や乾燥器・電気炉・遠心機などの汎用機器です。理化学機器業界は、扱う製品や技術の分野がニッチで多岐に渡るので製造業・販売業・輸入業も同じく重要な位置を占めています。どれか一つ欠けても成り立ちません。

理化学機器業界の市場規模と動向

理化学機器業界は、科学技術の進歩に従い、さまざまな分野で需要が高まっています。そのため、市場規模は拡大しており、今後も成長が期待できます。

一方で、競合が激しくなっており、価格競争が激しくなっています。また、国内外の大手のメーカーが直接販売するケースも増えています。

また、海外市場への進出も着目されており、グローバルな展開が期待されています。しかし、さまざまな国の法規制や文化の違いなどもあるため、準備に十分な時間をかける必要があります。

このように理化学機器業界は、需要拡大に伴い成長が期待されるものの、競合が激化しているので、付加価値の高い商品やサービスの提供を求められています。

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2. 理化学機器業界のM&A動向

理化学品業界の国内市場は近年縮小傾向です。国内市場はすでに飽和状態になっており新市場開拓が困難になっています。

そのため技術やノウハウの獲得、成長分野への進出、海外市場への参入などを目指したM&Aが増加しています。

ここでは近年の理化学業界の中でもメーカーのM&A動向を解説します。

先行きが不安な中小企業が大手への傘下入りを図る売却も多い

近年、業界再編が進んでいる理化学機器業界の中小企業は、先行きに不安を抱えています。再編が進んでいる業界は、市場が縮小していたり、今後縮小されることが予想されます。そのため現在の業績は良好であっても、今後自社の力だけで生き残るのは難しいのではないかと将来の不安を感じます。将来の不安をきっかけに事業譲渡を考える経営者は多いのです。

万一、事業承継をせずに廃業した場合は、従業員の雇用や顧客との取引を打ち切らなくてはなりません。このような中小メーカーは経営基盤が安定していて、以前から取引がある大手メーカーの傘下に入るケースが多いです。

多角化戦略を行うための異業種M&Aが見られる

業界の変革に対するために、異業種企業とのM&Aを行い、ビジネスモデルを変更する企業が増えてきました。異業種を買収するということは、多角化戦略を意味します。

多角化戦略とは、従来とは異なる新たな製品を新たな市場で展開する戦略です。製品と市場のどちらも既存の足場がない状態で新たな分野へ進出する試みです。特にAIやloTへの対応のため、IT関連企業をM&Aで取り込む企業が増加しています。

業績が低迷しているメーカーをファンドが買収するケースも多い

技術力はあるのに業績が低迷しているメーカーを、ファンドが買収するケースも多いです。中小企業のメーカーには、高い技術力を保有しているにも関わらず経営戦略や資本戦略が検討されていない企業があります。

ファンドは買収先を検討し、決定後買収を実行に移します。買収した企業の価値を上げるためにバリューアップを行い、買収先株式の譲渡または、IPOなどを実施し投資資金の回収を行います。

ファンドがこのようなM&Aを行う目的は、メーカーの企業価値を上げた後に売却しキャピタルゲインを得ることです。

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3. 理化学機器会社をM&Aするメリット

理化学機器会社がM&Aを行い売却・買収するメリットは多種多様ですが、売却側・買収側双方の代表的なメリットを解説します。

売却側のメリット

業績が悪化している中小の理化学機器会社の中には、このままでは経営の継続が難しくなってしまうというケースも考えられます。また、後継者候補がおらず、事業承継が進まない事態もあり得ます。

会社を売却することによって問題の解消に繋がるかもしれません。まずは売却側のメリットを解説します。

資金調達の容易化

理化学機器会社では、高額な設備投資や研究開発費用が必要になり、資金調達が難しい場合があります。しかし、企業を譲渡すれば、譲渡先の新たな経営者からの投資や資金調達が可能になるので、事業の拡大や新商品の開発ができるようになります。

従業員の雇用先の確保

従業員の身になって考えると廃業はできないと考える経営者や、廃業に向けて従業員の再雇用先に苦労する経営者は多いです。中小の理化学機器会社の中で多いのが、先行きが見えないので自身の代で廃業を決めている経営者がいることです。

しかし近年ではM&Aのイメージアップが見られることから、第三者に事業を売却するケースも増加しています。M&Aによる売却で従業員の雇用確保が可能になります。また、取引先へ迷惑をかける事態も避けられます。

廃業によるコストや手間、迷惑をかける事態を避けられます。、

将来の不安からの解放

M&Aは経営者の不安を解消できるのが大きなメリットです。前述のように、再編が進んでいる理化学機器業界の中小企業は今後の経営が不安な経営者も多いです。そのような不安も大手企業に譲渡すれば、自社の存続を図り、潤沢な資本に支えられ安定した経営を行うことができます。

また、譲渡の際には創業者利益も得られます。この利益をもとにしてアーリーリタイアや新事業への挑戦も可能です。

廃業コスト発生の回避

理化学機器業界は、一般的に大型な機械や設備を自社資産として保有しています。これらの機械や設備を廃棄するとしたら多額の費用がかかります。しかし、単なる廃業ではなく、事業譲渡であれば廃棄費用の発生は回避できます。

また、本業が厳しい経営を強いられている場合、とりあえず新事業を立ち上げて経営をカバーする戦略をとる経営者の方もいます。新事業が軌道に乗った後に本業をM&Aによって売却して新事業に集中する経営者も多いです。

買収側のメリット

理化学機器業界のM&Aに関しては、買収側にもメリットがあります。新事業を立ち上げて利益が出るようになるには、かなりの時間と手間がかかります。しかし、現存する企業を買収すれば、買収側はスピード感をもって事業展開ができる可能性があります。

ここからは、買収側のメリットを解説します。

事業の成長や立ち上げの時間の短縮

競争力を強化する手段の1つに事業規模を拡大し、コストを削減する方法があります。しかし、新たに事業所を立ち上げるには土地の取得、従業員の確保、許認可の取得など多くの負担がかかります。これらの負担をクリアしたとしても、確実に利益を上げられるかは不明です。

M&Aで他社を買収すれば、このようなさまざまな問題をクリアできます。既存の事業所を買収するので、土地の取得や、許認可の申請も不要ですし、従業員や取引先も引き継げます。収益も実績から判断できるでしょう。

このように、規模の拡大を検討している企業にとって、M&Aは大きなメリットのある手法です。

経験豊かな従業員や設備を確保できる

前項でも触れましたが、人材を採用して育成する手間やコストがかからないのも、メリットの一つです。従業員も引き継ぐ契約であれば、技術のある経験豊かな人材をすぐに獲得できます。指導することなく、すぐに稼働できる現場を構築できます。

また、設備に関しても、適切な更新やメンテナンスを行っている企業を買収すれば、その設備を使い続けられます。

事業を始めるのに必要なものがそろっているので、買収すれば事業拡大が可能です。

事業の内製化が可能になる

多くの下請けを通していた構造から、自社グループ内で製造を完結させるビジネスモデルに転換する大手企業が増えています。M&Aで買収すれば、効率的に事業の内製化が可能です。

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4. 理化学機器会社のM&A・買収・売却事例2選

ここからは、理化学機器会社のM&A・買収。売却事例を解説します。どのような企業が何を目的にM&Aを行ったのでしょう。

ジェイテックコーポレーションが電子科学をM&Aした事例

2021年5月31日株式会社ジェイテックコーポレーションは、理化学機器開発の電子科学株式会社の全株式を取得し子会社化しました。

ジェイテックコーポレーションは、世界の放射光施設、X線自由電子レーザー施設で使用される高精細ミラーや、再生医療および創薬の分野で用いられる3次元培養装置を主力製品としています。

一方の電子科学は1978年に日本電子を出身した方が作った会社で、理化学機器の開発や分析業務で実績を積んできました。現在は超微量の水素・水を観測可能である独自の昇温脱離分析装置で国内トップを誇ります。

今回のM&Aで、半導体。液晶・有機EL分野での新製品開発などの相乗効果を期待しています。

参考:電子科学を子会社化

三洋貿易が古江サイエンスをM&Aした事例

2017年2月28日三洋貿易株式会社は、子会社である三洋テクノス株式会社を通じてマイクロポンプ専業メーカーの古江サイエンス株式会社の全株式を取得し子会社化しました。

三洋貿易は東京都千代田区に本社を構える商社で、主力商品は合成ゴムや化学品などの原材料、副資材をはじめ、機械や各種測定装置です。

一方の古江サイエンスは、ローラーポンプとマイクロフィーダーの開発および製造と販売に携わっています。

今回のM&Aで、三洋テクノスと古江サイエンスの事業シナジーが見込まれるので、三洋グループ全体の企業価値の上昇に貢献し、科学機器事業部としての本格的なスタートとなると位置づけています。

参考:古江サイエンスを子会社化

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5. 理化学機器業界のM&Aの成功のポイント

理化学機器業界がM&Aを成功させるための注意点を見ていきましょう。M&Aを成功させるためには、相乗効果を意識して買収側を選定することが大切です。

また、適切な時期を迎えるまで、従業員や取引先など関係者に情報が漏れないようにすることも注意点です。

専門家に相談する

自社を売却する際には、強みや弱みを把握して相乗効果が生まれそうな買収側候補にアプローチします。候補となる企業とのつながりが必要です。また、交渉を行い条件を調整して契約書を締結するまでには法律の知識も必要となります。

幅広い分野の専門知識が必要なので、M&Aの専門家に依頼しましょう。理化学機器業の技術や業界の動きを正しく理解している専門家であれば、円滑に話を進める上で力になってくれます。

M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください

M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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目的の明確化と自社の現状の分析

自社が理化学機器業としての強みや特徴を明確にしておけば、よい買い手と出会ったり、円滑に交渉を進めることにつながります。M&Aを行う際には、自社の強みや特徴を磨いたり、M&Aの目的を明確にしておいたりするなどの準備が重要です。

情報漏洩の危険性

M&Aを進める上での、注意点となるのが情報の漏洩です。M&Aを検討しているということだけでも、関係者に漏れると混乱が起こりかねません。

中小企業にとって経営者が変わるというのは大きな変化です。従業員の中には、経営者の考え方や姿勢に魅力を感じ、ついてきている方もいるので、M&Aを行われるタイミングで退職してしまう方が出てくる可能性もあります。

M&Aを行うかもしれないなどの情報が取引先に漏れてしまうと、取引量の縮小や契約の終了も起こってしまうリスクがあります。適切なタイミングで関係者に発表できるよう、検討段階では情報が漏れないようにするのも注意点です。

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6. 理化学機器業界のM&A・事業譲渡まとめ

企業規模に関係なく、日本においてもM&Aが一般的な手段になってきております。M&Aの旨味を得るためには、売却後の展開を視野に入れた戦略を立てて、最後まで目的を見失わずに実行していくのが重要です。

M&Aで会社を売却すると、親族や社内に後継者がいなくても事業を引き継げます。廃業コストも掛かりませんし、従業員の雇用も維持でき、取引先にも迷惑をかけずに済むでしょう。

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