2024年12月01日公開
製缶板金業界のM&A動向!売却のメリットや成功のコツを解説!【2024年最新】
製缶板金業界でも、人手不足や後継者問題、産業構造の変化への対応などのためにM&Aを検討する会社が増えています。この記事では、製缶板金業界でM&Aをするメリットや実際にM&Aが行われた事例を紹介します。
1. 製缶板金業界の概要と動向
製造業界では、様々な要因によりM&Aが実施されたり、M&Aの必要性を強く感じている経営者が増加しています。
製造業の一端を担う製缶板金業界でも、M&Aの動きが活発化しているようです。この記事では、まず製缶板金業界の動向をまとめた後で、製缶板金業界でのM&Aについて詳しく見ていきましょう。まずは、製缶板金業界の概要と動向です。
製缶板金業界とは
製缶板金とは、鋼板や鋼材を求められた形状に加工することです。同じような仕事に板金加工があります。製缶板金と板金加工の違いは、扱う鋼板の厚みと出来上がった製品の大きさです。
製缶板金の方が板金加工よりも厚い材料で大きなものを製造します。とはいえ、鋼板何ミリ以下が板金加工になり、何ミリ以上が製缶板金になる、といった決まりは特にありません。
金属加工を必要とするメーカーや業界によって、製缶板金と板金加工の区別を付けています。
製缶板金では、切断加工、曲げ加工、機械加工などを行います。また、複数の部品を接続するのに溶接加工も必要になることがあります。どの工程も熟練した職人の高い技術が必要です。
製缶板金業界の市場規模と動向
製缶板金業界に限定した統計が取られていないので、製缶板金業界が属する金属製造、金属加工業界全体の市場規模と動向でみていきましょう。
業界動向サーチの分析によると、2013年度の金属製品の売上高は18.5兆円で、2017年までほぼ横ばいで推移しています。
2018年は20.8兆円、コロナ禍の2020年は少し落ち込んで16.9兆円、2021年は18.4兆円でした。
近年は老朽化した住宅のリフォーム需要が増加しており、さらに、2021年にはコロナ禍でいったん落ちた住宅の新築着工件数も増加したことから、住宅向けの金属製品の需要が増加していて、金属加工業界の売上増加にもつながっています。
また、製缶板金業界を含む金属加工業界は、世界経済の動向に大きく左右されますが、世界中がコロナ禍から回復傾向にある2021年以降は、住宅や自動車の売上が世界的に伸びていることから、金属加工業界の業績も好調に推移しています。
参考:業界銅壺サーチ「金属製品業界の動向や現状、ランキングなどを解説」
2. 製缶板金業界のM&A動向
製缶板金業界では、短期的な業績は好調ですが、長期的に将来を考えると、人手不足や後継者問題、さらにアジア各国など海外の安い製品との価格競争など、厳しい状況にある会社が多いのが現状で、その解決のためのM&Aを進める動きが活発化しています。
製缶板金会社には、大規模な設備が必要ですが、長年操業していた会社では、設備の老朽化が進んでいます。また、新しい技術やDX化への対応も迫られており、大規模な設備投資が欠かせません。
製缶板金業界では、後継者問題や人材不足を解決するためのM&Aによる会社売却や、設備投資の資金を得るために大手傘下に入るM&Aが増加傾向にあるようです。
3. 製缶板金会社をM&Aで売却するメリット
製缶板金会社の事業承継がうまくいかずに存続が難しくなった時の選択肢は、廃業かM&Aによる売却です。廃業と比較した場合の、M&Aで売却するメリットとはどのようなものがあるのでしょうか。製缶板金会社をM&Aで売却する3つのメリットについて解説します。
後継者問題の解決
製缶板金をM&Aで売却するメリットのひとつが、後継者問題を解決できるという点です。
現在、製缶板金会社に限らず、日本の会社の6割以上の社長が60歳以上と、経営者の高齢化が進んでいます。さらに、4割以上の会社で親族や社内に後継者がいなくて、将来的な会社の存続が危ぶまれる状況です。
後継者がいない場合には、会社の業績が好調であっても、現在の経営者が経営を続けられなくなったら廃業するしかありません。
会社を廃業してしまうと、その会社が培ってきた貴重な技術やノウハウが失われてしまいます。特に、高い技術力を必要とする製缶板金業界で、技術やノウハウが失われてしまう損失は計り知れないものがあるでしょう。
会社をM&Aで売却することができれば、後継者がいなくても会社を買収側の会社に託すことができます。後継者問題を解決して会社を存続させるための方法として、M&Aが現在注目されているのです。
従業員の雇用確保
製缶板金をM&Aで売却するメリットのひとつには、従業員の雇用を確保できるという点もあります。
もしも、会社を廃業することになると、長年会社を支え続けてくれた従業員は全員解雇するしかありません。現在は人手不足が深刻なので、資格や技術を持っている若手職人なら、簡単に次の職場が見つかるでしょう。
しかし、定年まで10年を切っているような高齢の職人や、事務職員は簡単に次の職場が見つかるとは限りません。
会社の廃業による失業は会社都合の退職なので、失業保険はすぐに給付されますが、高齢の職人が失業保険が切れるまでに、再就職できる保証はないのです。
M&Aで会社を売却する場合には、基本的に従業員の雇用は買収側に引き継がれます。現在の経営者が会社を経営するのが難しくなっても、従業員を路頭に迷わせることなく、雇用を継続できるのです。
創業者利益の獲得
製缶板金をM&Aで売却するメリットのひとつに、経営者は創業者利益を獲得できるという点もあります。
M&Aで会社を売却すれば、売却した代金が経営者の手元に入ってきます。そこから所得税と住民税を支払った残りは経営者が好きに使えるので、引退後の生活費や、新規事業を立ち上げるための資金にすることが可能です。
もしも、M&Aによる売却ではなくて廃業を選んだ場合、解雇する従業員への退職金や、設備などの処分費用を負担しなくてはいけません。
しかし、M&Aによる会社の売却であれば、従業員も設備も全て買収側の会社へ引き継いでもらえるので、これらの費用負担もありません。
経営者が会社の連帯保証人になっている場合には、債務も買収側へ引き継いでもらえるので、個人保証や担保の負担からも解放されます。
M&Aで会社を売却できれば、個人保証の負担がなくなり、さらに利益も手に入れることができるのです。
4. 製缶板金会社のM&Aにおける成功のコツ
製缶板金会社に限らず、M&Aで他の会社に経営権を譲渡したいと思っても、実は日本ではM&Aの成功率は4割程度といわれています。
会社を売却したいと思っても、約6割の会社は売却できずに廃業するしか道が残されていないということです。
M&Aに成功した会社と、M&Aできなかった会社の違いとはどのような点なのでしょうか。ここからは、製缶板金会社のM&Aを成功させるためのコツについて解説します。
M&Aの専門家への相談
会社をM&Aで売却した方がいいのかどうか悩み始めたら、まずはM&Aの専門家へ相談してみましょう。
本来であれば、会社の経営や将来については取引のある金融機関に相談するものです。しかし、日本では金融機関が中小企業のM&Aを扱ってくれません。
その代わり、中小企業のM&Aを専門的に扱う専門家がいます。M&Aの専門家であれば、会社の状況を詳しく分析した上で、会社の将来にとってM&Aが最適な選択肢であるかどうか、というところから一緒になって考えてくれるでしょう。
また、会社をM&Aすることに決めたら、M&Aに関する法律や財務についての高度な知識が必要な手続きも親身になってサポートしてくれます。
一人で悩んだり、売却先を探そうとしないで、まずはM&Aの専門家への相談から始めましょう。
M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください
M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。
M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
情報収集の徹底と相手先の選定
M&Aは会社同士の結婚だともいわれています。結婚は結婚式がゴールではなく、その後に続く実際の生活が大切であるように、M&Aは会社を統合した後に、うまく両社がなじんで業績を上げることができるかどうかがもっとも重要です。
M&Aで売却側の会社の社長が退くことになったとしても、会社の従業員は買収側の経営体制のもと長く働き続けることになるので、気持ちよく働き続けられるかどうか、企業文化などが合うかどうかはとても重要なポイントです。
そこで大切になるのが、M&Aを進める前の情報収集です。相手企業の財務状況など数字でわかる点だけでなく、多面的に相手企業の情報を集めて分析をすることが大切になります。
情報収集は、社内の取締役会にチームを作って情報を集めるほか、M&Aの専門家からの意見なども交えて、多角的に集めることが重要です。
情報漏洩に気をつける
M&Aが成功するかどうかは、情報が漏洩しないかどうかにかかっているとも言われています。
M&Aに関しての情報漏洩が心配される場面は2つあります。
一つは、買収側がM&Aの検討のために開示したノウハウなどの情報が、M&A以外の目的で買収側に使われてしまうことです。
もう一つは、最終契約書を締結する前に社内や取引先に会社売却の噂が流れてしまうことです。
買収側に開示した情報の流出を防止するためには、秘密保持契約の内容をしっかりと確認することが大切です。開示する情報の使用目的、返却期限、万が一流出した場合の罰則などがちゃんと盛り込まれているか確認しましょう。
M&Aの噂が流れてしまうと、従業員の離職や取引先からの取引停止を招く可能性もあります。
噂は電話や応接室での会話の断片から広がっていくものです。M&Aについての情報は、社内で限られた役員とだけ共有して、M&Aについて話をする時には周囲の状況によく気をつけるようにしましょう。
早めの検討
M&Aで会社を売却したかったのに売却できずに廃業せざるを得なかったとか、希望していた金額で売却できずに買い叩かれてしまった、というのは、短い期間で売却しようとしていたことが原因の場合が多いようです。
M&Aは、M&Aの専門家に相談してから、売却に成功するまで最短で半年、通常でも1年以上、長い場合は数年の時間をかけて準備することもあります。
経営者が高齢化して健康不安を感じるようになってから、慌てて会社の売却を検討し始めても、時間的な余裕がなく、売却に失敗する例が多いようです。
できれば、経営者がまだまだ元気で判断力もしっかりしているうちに、いつでも売却できるように準備を整えておき、最も高額で売却できるタイミングを逃さずに売却することが理想的なM&Aといえるでしょう。
5. 製缶板金業界のM&A・事業譲渡まとめ
製缶板金業界では、職人の高齢化や新しい製品への対応、アジアの新興国との競争など、今後も厳しい状況が続くことでしょう。しかし、もしも会社を廃業してしまったら、製造業にとって欠かすことができない製缶板金の技術やノウハウが失われてしまいます。
M&Aで会社を売却できれば、会社を存続させられる可能性があります。製缶板金会社の将来に不安を感じているのであれば、まずはM&Aの専門家へ相談してみましょう。
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