2024年12月09日公開
金属スクラップ・卸売業界のM&A動向!売却・買収のメリットを解説!【2024年最新】
金属スクラップ・卸売業界では、価格競争に強い体質づくりなどを目的としたM&Aが活発化しています。この記事では、金属スクラップ・卸売業界のM&Aについて、売却や買収のメリット、M&Aで会社を譲渡する際の成功のポイントなどを解説します。
目次
1. 金属スクラップ・卸売業界の概要と動向
世界的に環境意識の高まりがみられる中で、金属スクラップ・卸売業界に対する注目が集まっていて、M&Aでの会社の売却や買収が増加傾向にあります。この記事では、金属スクラップ・卸売業界の動向とM&Aについて詳しくみていきましょう。
金属スクラップ・卸売業界とは
金属スクラップとは、不要になった金属製品や、製品を作る過程で出てくる廃金属のことをいいます。
金属スクラップは、正しく分別すれば金属を溶かして再利用することが可能であることから、鉄鋼メーカーなどへ売却することが可能です。
金属スクラップ・卸売会社とは、不要になった金属製品や廃金属を回収して、金属の種類ごとの分別、圧縮などの加工を行い、最終的に金属スクラップを買い取る会社へ売却する会社のことをいいます。
金属スクラップ・卸売会社を営むためには、古物商もしくは金属くず商の許可が必要です。
金属スクラップ・卸売業界の市場規模と動向
金属スクラップ・卸売業界は、回収した金属を販売する先の鉄鋼業界や非鉄金属業界の動向に大きく左右される業界です。
世界での粗鋼生産量は、2017年には17.3億トンだったのが、2022年には18.7億トンとなっています。この間の動きも若干の増減の変動はあるものの、ほぼ横ばいが続いています。
最近は、インドなどのアジアでの金属需要が増加しており、また、円安で日本からの金属輸出に価格競争力が出てきていることから、2023年9月の鉄スクラップのH2炉前価格は前月比、関東で500円ほど、関西で1,000円ほど高くなっています。
参考:業界動向サーチ「鉄鋼業界の動向やランキング、今後などを分析」 一般社団法人日本鉄リサイクル工業会「市況【2023年9月29日掲載】」
2. 金属スクラップ・卸売業界のM&A動向
現在、国内では非鉄金属の需要は堅調であるものの、鉄スクラップは国内で供給過多な状況です。
そこで、金属スクラップ・卸売業界では、近年、金属スクラップ需要の高いインドなどの海外への輸出力強化が課題となっています。
また、環境意識の高まりの中で金属スクラップ・卸売業界にも環境に配慮したビジネスモデルの構築が求められるようになりました。
そこで、金属スクラップ・卸売業界では、海外展開や環境問題へ対応するためのM&Aを模索する動きが活発化しています。
3. 金属スクラップ・卸売会社をM&Aで売却するメリット
金属スクラップ・卸売会社をM&Aで売却したり買収したりするメリットはどのようなものがあるのでしょうか。売却側のメリットと買収側のメリットをそれぞれ解説します。
売り手側のメリット
金属スクラップ・卸売会社を売却する側のメリットは次の4つです。
後継者問題の解決
金属スクラップ・卸売会社に限らず、現在日本の多くの会社で後継者問題が深刻化しています。現在の経営者の後を継ぐ人材が社内や親族にいないために、経営者が経営を続けられなくなったときに、会社の廃業を選択するしかなくなってしまうという会社が増えているのです。
しかし、金属スクラップ・卸売会社には循環型社会を守っていくという社会的使命もあり、後継者問題で廃業して設備やノウハウが失われてしまうことは、社会的にも大きな損失といっていいでしょう。
M&Aで会社を売却することができれば、買収側の会社に経営権を譲渡することができるので、社内に後継者がいなくても会社の経営を続けることが可能になります。後継者問題の解決策として、近年、M&Aが大きな注目を集めているのです。
従業員の雇用確保
M&Aで会社を売却することができれば、従業員を雇用し続けることができます。
もしも、M&Aでの売却ではなく廃業を選んだ場合は、従業員は全員解雇するしかありません。すぐに再就職できる人もいるでしょうが、年齢などを理由に再就職が難しくて、生活に困ってしまう人も出てくる可能性があります。
M&Aでは、売却側の会社の従業員の雇用は買収側に引き継がれることが一般的です。M&Aは従業員の生活を守ることができるというメリットもあります。
売却譲渡益の獲得
M&Aで会社を売却すれば、経営者は売却した利益を手に入れることができます。売却益から税金を支払った残りは、経営者が好きなように使っていいものです。
引退するのなら生活費に充ててもいいですし、新しい事業を起こすために資金を使うこともできます。
M&Aでの売却ではなくて廃業した場合には、従業員への退職金や設備の処分費用などの支出があります。M&Aで売却できれば、これらの出費は必要なく、プラスの利益を手に入れることができるのです。
個人保証・債務の解消
中小企業では、金融機関からの借り入れに対して経営者の個人保証をつけることが一般的です。経営者は会社の連帯保証人になったり、土地や住宅などの個人資産を担保として提供したりします。
M&Aで会社を売却すれば、多くの場合、会社の債務も買収側に引き継いでもらうことができます。売却側の経営者が提供していた個人保証は外すことができ、債務の負担から解放されるのです。
買い手側のメリット
M&Aの買収側のメリットは次のとおりです。
企業価値の向上
M&Aで金属スクラップ・卸売会社を買収することで、買収側の会社は企業価値を向上させることができます。
金属スクラップ・卸売会社には、集めた金属スクラップを環境に配慮しながら分別、圧縮などの加工をする技術や設備が整っています。
企業の環境問題に対する視線が厳しくなっている現在、金属スクラップ・卸売会社を買収して、環境に配慮する姿勢をアピールすることは、企業価値の向上に大きく寄与できるポイントでしょう。
既存事業の強化
すでに金属スクラップ・卸売部門を持っている会社が金属スクラップ・卸売会社をM&Aで買収した場合には、既存事業の強化につなげることができます。
買収した会社の設備と人員を自社に取り組むことができるようになったことで、自社で扱える金属スクラップの量を大幅に増やすことが可能です。
また、今まで進出したかったエリアや、自社では扱えなかった種類の金属を扱える金属スクラップ・卸売会社を買収すれば、新規エリア開拓や、その金属を扱うための設備の拡充などの手間をかけずに、事業を拡大することができるでしょう。
新規事業への進出
金属スクラップ・卸売事業に興味があるけれども、なかなか進出するチャンスを得ることが難しかった、という会社の場合には、M&Aで金属スクラップ・卸売会社を買収することで、新規事業として金属スクラップ・卸売部門を立ち上げることができます。
新規事業を立ち上げる場合には、設備の整備、人員や販路、仕入先の確保をゼロから行う必要があります。
M&Aで金属スクラップ・卸売会社を売却すれば、これらがすべて揃った状態で金属スクラップ・卸売事業を始めることが可能です。
海外展開の加速
現在、国内では鉄スクラップが需要過多になっていることから、国内での鉄スクラップの価格は下落傾向にあります。
そこで、海外に鉄スクラップスを輸出する必要性が高まっていますが、中小企業の金属スクラップ・卸売会社では海外展開への対応が難しいところがあるようです。
M&Aですでに海外展開をしている会社を買収したり、他業種でも海外への販売ルートのある会社を買収することで、海外展開を加速することが可能になります。
4. 金属スクラップ・卸売会社のM&Aにおける成功のポイント
M&Aは会社を売却したいと思っても、成功率は4割程度といわれています。会社の売却を希望しても、約6割の会社は売却できずに廃業するしかない現実があるのです。
会社を廃業するよりもM&Aには大きなメリットがあります。M&Aを成功させるためにはどうしたらいいのでしょうか。M&Aを成功させるためのポイントについて解説します。
M&Aの専門家に相談をする
M&Aでの会社売却を考え始めたら、まずはM&Aの専門家に相談しましょう。M&Aでの会社売却は、M&Aの知識がない人には難しく感じることが多いでしょう。
最適な相手探しや専門知識が必要な手続きには、M&Aの専門家のサポートが必要になります。M&Aを扱ったことがない会社の顧問弁護士や顧問会計士には手が負えるものではないので、M&Aについては、M&Aの専門家に相談することをおすすめします。
M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください
M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。
M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
情報漏洩に気をつける
M&Aが成功するかどうかは、情報漏洩が起きないかどうかにかかっているといっても過言ではありません。M&Aで情報漏洩が起きる場面は2つあります。
1つは、買収側に検討のために渡した売却側の機密情報が、M&A以外の目的に使われてしまうことです。これは、資料を相手方に渡す前に秘密保持契約をしっかりと結ぶことで対策できるでしょう。
もう1つは、社内に会社売却の噂が広がってしまうことです。最終契約書を交わす前に噂が広がってしまうと、無用な憶測を呼び、従業員の離職や取引先からの取引停止という事態が起きてしまう可能性があります。
M&Aの専門家と話をする時には、周囲の状況によく気をつけて、会話を聞かれないようにしましょう。
目的の明確化
M&Aの手法には、株式譲渡や事業譲渡、合併など、手法(スキーム)がいくつもあります。
スキームの選び方は、後継者問題の解決なのか、不採算事業からの撤退なのかなど、M&Aの目的によって異なるので、M&Aを進める前に目的を明確化しておきましょう。
早めに動き出す
M&Aは最初にM&Aの専門家に相談してからクロージング日を迎えるまでに、1年以上かかるのが一般的です。慎重に確実に進めようと思うと数年単位で時間がかかることも珍しくありません。
会社を売却したいと思っても、すぐに売却できるものではないので、早めに動き始めることをおすすめします。
よくあるのが、経営者が高齢化して健康問題が生じてから慌てて会社を売ろうとすることですが、時間的な余裕がなく売却相場より低く手放すケースが多いのが現実です。
できれば、経営者がまだ元気で判断力がしっかりしているうちにM&Aの準備を数年単位で進めて、最高額で売却できるタイミングを見計らうことがおすすめです。
相乗効果が得られる相手先の選定
M&Aはクロージングを迎えてからが本当の勝負だともいわれています。統合した2つの会社が、うまく1つの会社として馴染めるかどうかが最大のポイントです。
お互いがお互いの利益になり、業績向上に両社が寄与できるような関係性を作れる相手かどうかが、相手選びではとても大切になります。
買収側に引き取られた従業員が安心して働き続けられる環境を作るためにも、M&Aによってお互いに相乗効果を得られる相手を選ぶように心がけましょう。
5. 金属スクラップ・卸売業界のM&A・事業譲渡まとめ
金属スクラップ・卸売業界でも、経営者の高齢化と後継者不足などで廃業を検討しなくてはいけない会社が増えています。
しかし、環境問題への意識が高まる中、リサイクルを行っている金属スクラップ・卸売会社の重要性は社会的意義が高まっており、廃業は社会的な損失になるでしょう。
M&Aで会社を売却できる道がないかどうか、会社の将来に不安を感じているのであれば、専門家へ一度相談してみるのがおすすめです。
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