音楽業界のM&A動向!売却・買収事例5選と成功のポイントを解説!【2023年最新】

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

今回取り上げる音楽業界は、マスター音源の原盤権を軸としたビジネスが展開される業界です。昨今、CDから配信へと音楽業界の環境が大きく変わりつつある中で、音楽業界でのM&Aも盛んに実施されています。この記事では、音楽業界のM&Aについて詳しく解説します。

目次

  1. 音楽業界の概要と動向
  2. 音楽業界のM&A動向
  3. 音楽会社をM&Aするメリット
  4. 音楽会社のM&A・買収・売却事例5選
  5. 音楽業界のM&Aの成功のポイント
  6. 音楽業界のM&A・事業譲渡まとめ
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1. 音楽業界の概要と動向

音楽業界では、CDからダウンロードやストリーミングでの視聴が増えるなど、音楽を聴く環境が大きく変わりつつあります。そのような中で、音楽業界でもM&Aが活発化する兆しが見えつつあります。

この記事では、音楽業界の動向とM&Aの動向について詳しく解説します。まずは、音楽業界の概要と動向についてみていきましょう。

音楽業界とは

音楽業界とは、アーティストが演奏を録音・制作したマスター音源の原盤権を軸にビジネスを展開していく業界です

アーティストの制作した音源からCDやダウンロードやストリーミングで再生するファイルを作成して、リスナーの元に届ける音楽業界での過程には、音楽プロダクション、レコード会社、音楽出版社の3つの業種が関わっています。

音楽プロダクション

音楽プロダクションとは、アーティストと契約してマネジメントをする会社です。


音楽プロダクションでは、アーティストの育成や交渉、プロモーション、スケジュール管理、コンサートの企画などを行います

アーティスト自身が、自分自身で会社を立ち上げて音楽プロダクションとして業務を行う場合もあれば、多くのアーティストが所属する音楽事務所として業務を行う場合もあります。

レコード会社

レコード会社とは、音楽作品が録音、録画された記録媒体を制作し、宣伝して、流通、販売する会社のことです

レコード会社は、アーティストと録音契約を結び、録音した音源を独占販売できる契約を結びます。契約期間中は、他のレコード会社で同じ音源を販売することはできません。

音楽出版社

音楽出版社とは、音楽の著作権者から著作権を譲り受けて著作権者となり、その音楽の著作権を利用、開発により収益を得るビジネスを展開する会社のことです

現在は、原盤を制作してレコード会社へ提供もしています。近年では、音楽出版社がCDを制作したり、音楽配信を行う例も見られるようになっています。

音楽業界の市場規模と動向

一般社団法人日本レコード協会の資料によると、オーディオレコード全体の売上は、2013年に1,984億6,000万円だったのが、2021年には1,279億9,200万円にまで落ち込みました

2022年には少し持ち直しましたが、1,348億7,300万円と2013年とは比較にならないほどの落ち込みようです。

音楽業界は、音楽を聴く環境がCDからダウンロード再生やストリーミング再生へ大きく変化して多様化しています。そのような中で、CDの売上は大きく減少を続けています。ストリーミングでは、サブスクリプションサービスの利用者が増加しており、2017年は263億円だったのが2022年では928億円まで売上を伸ばしています。

今後、CD市場はますます縮小する一方で、サブスクサービスとオンラインライブなどネットを活用した新たなデジタルサービスの展開が期待されます。

参考:一般社団法人日本レコード協会 日本のレコード産業2023

2. 音楽業界のM&A動向

音楽業界では、経営基盤を強化する目的でのM&Aやサービスの多角化を進めるための異業種とのM&Aが盛んに実施されています

大手プロダクションがライブ配信事業を手掛ける企業をM&Aで取得したり、音楽事務所がインフルエンサー事務所やライバー事務所をM&Aで取得ずる事例がよく見られます。

3. 音楽会社をM&Aするメリット

音楽業界でM&Aを実施するメリットは次のようなものが考えられます。

  • 激化する競争への対応力強化
  • グローバル化への対応力強化
  • コンテンツの多様化への対応力強化
  • 経営リスクの軽減
  • 経営資源の最適化

サブスクリプションサービスなどを通じたストリーミング再生が、今後、音楽業界での主流となっていくでしょう。また、テレビやラジオ、CDといった従来のコンテンツだけでなく、ネットが音楽ビジネスの主戦場となりつつあります。

今後、世界レベルでの競争が激しくなる音楽業界にあって、M&Aによる事業の譲渡や取得によるシナジー創出は、買収する側にもされる側にも大きなメリットをもたらすものと考えられます。

4. 音楽会社のM&A・買収・売却事例5選

音楽会社で実施されたM&Aの事例を紹介します。

ソニーがソンリブレをM&Aした事例

2021年4月にソニーグループ株式会社の子会社であるSony Music Entertainmentの子会社が、ブラジルの独立系音楽レーベルSom Livreを買収するM&Aが実施されました。

Som Livreの株式を所有していたブラジルのメディア企業であるGlobo Comunicação E Participações S.A.から、Som Livreの全株式を1,438百万ブラジルレアル(当時1レアル20円程度)で取得する形でのM&Aです。

Som Livreはブラジル音楽の開拓者的存在であり、ブラジル音楽界での音楽出版事業やライブ開催、楽曲販売などを手掛けています。

ソニーの傘下に入ることにより、Som Livreが手掛けるブラジル音楽がグローバル市場に開かれることになり、Som Livreの持続的成長やブラジルのアーティストへの新しい機会創出のきっかけになるとのことです。

参考:ソニーグループ株式会社「Sony Music Entertainmentによる ブラジルの音楽レーベルSom Livreの事業買収に関する確定契約締結のお知らせ

ソニーがAWALをM&Aした事例

2021年2月にソニー株式会社の子会社であるSony Music Entertainmentが、Kobalt Music Group Limitedが保有するAWALとKobalt Neighbouring Rightsの事業に関する全ての株式を、430百万米ドルで取得するM&Aが実施されました。

AWALはインディーズアーティストに対して、グローバルなサービスを提供し、柔軟性のある契約をオファーするために設立されました。Kobalt Neighbouring Rightsは、隣接録音権の管理者として業界をリードする存在です。

このM&Aにより、AWALに所属するアーティストは、ソニーのグローバルな配給網を活用することが可能になります。また、ソニーに所属するアーティストは、Kobalt Neighbouring Rightsのインフラを活用できるようになります。

参考:ソニー株式会社 「Sony Music Entertainmentによる Kobalt Music Group Limitedの一部の事業買収に関するお知らせ

アミューズがライブ・ビューイング・ジャパンをM&Aした事例

2019年に、株式会社アミューズが、株式会社ライブ・ビューイング・ジャパンの株式を取得して子会社化するM&Aが実施されました。

このM&Aにより、アミューズのライブ・ビューイング・ジャパンに対する議決権所有割合は50.10%となりました。株式の取得金額は非公表です。

アミューズは大手芸能事務所です。多くの芸能人が所属している他、テレビ番組や映画、舞台作品の制作やDVDなどのソフト販売も手掛けています。

ライブ・ビューイング・ジャパンは、2011年に設立された、舞台やコンサートなどを映画館などに配信してライブビューイングを行う事業を主に展開している事業です。

アミューズでは、このM&Aで生じるシナジーにより、制作するコンテンツをより多くのファンに届けることが可能になるとしています。

参考:株式会社 アミューズ「株式会社ライブ・ビューイング・ジャパンの株式取得(子会社化・連結対象)に関するお知らせ

エイベックスがLIVESTARをM&Aした事例

2019年11月に、エイベックス株式会社が、株式会社LIVESTARが実施した第三者割当増資を引受けて株式を取得し、子会社化しました。

エイベックスグループは音楽事業やアーティストのマネジメント事業、映像事業などを手掛けています。

LIVESTARはライブ配信を行うライバーが所属する、日本で最大級のライバー事務所です。

近年、個人クリエイターによるコンテンツの影響力が大きくなり、個人のメディア化が進んでいます。

エイベックスではここ数年、インフルエンサーやYouTuberに関する事業を展開しており、LIVESTARの子会社化により、ネット領域でのクリエイターを発掘、育成、支援することで、グループ全体のヒット創出を目指すとしています。

参考:会社名 エイベックス株式会社 「株式会社LIVESTARの株式取得に関するお知らせ

ローソンがHMVジャパンをM&Aした事例

2010年10月に、株式会社ローソンがHMVジャパン株式会社の全ての株式を18億円で取得して、完全子会社化するM&Aが実施されました。

ローソンは全国に1万4,000店舗以上を展開しているコンビニチェーンです。ローソンでは、店内に設置したマルチメディア端末Loppiなどを活用したエンタテイメント系オリジナル商品の開発や販売、コンサートのチケットサービスなどを展開しています。

HMVは、イギリス発のレコード販売店グループで、日本法人であるHMVジャパンは1990年に設立されました。HMVジャパンでは、実店舗とネット販売の両方で国内有数のシェアを獲得していました。

ローソンとしては、HMVのグループ化により、リアルとネットでの総合エンタテイメントショップの実現が可能となり、競争力の強化が期待できるとしています。

参考:ローソン公式ホームページ「HMVジャパン株式会社の株式取得(完全子会社化)に関するお知らせ

5. 音楽業界のM&Aの成功のポイント

M&Aは成功率が4割に満たないとも言われていますが、音楽業界で、M&Aを成功させるために必要な4つのポイントについて解説します。

デューデリジェンスの重要性

デューデリジェンスとは、買収する側が譲渡される会社のリスクについて徹底的に調査して評価することです。主に、財務、法務、人事、業務の観点から行われて、潜在的なリスクや問題を明確にします。

企業価値を正確に算定して、最終交渉を円滑に進めるために欠かせないプロセスです。

デューデリジェンスの結果によっては、基本合意書で合意した売却金額からの引き下げ交渉や、M&Aの破談の可能性も生じます。

コミュニケーションの重要性

M&Aを実施するということは、それまで全く違う道を歩んできた2つの会社が、同じ傘の下に入るということを意味します。

全く異なる企業文化や経営者の考え方のもとで発展してきた会社が1つの組織になるので、双方の会社の出身者同士でのコミュニケーションに問題が生じるのは当然のことです。

統合後に生じるであろうコミュニケーションの課題について、双方の文化を融合して、業務を円滑に進められるように、改善策をあらかじめ講じることが重要です

リスクマネジメントの徹底

M&Aによって経営統合を行うことで、コミュニケーションの問題以外にも、さまざまなリスクが生じます。

統合計画を策定し、組織やプロセス、システム、人材の再配置などを実施する中で、生じるであろうリスクについて、リスクマネジメントを徹底することが重要となります。

専門家への相談

音楽業界でM&Aの必要性を感じ始めたら、まずはM&Aの専門家に相談しましょう。日本には、中小企業のM&Aの相談に専門的に応じる専門家がいます。

M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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6. 音楽業界のM&A・事業譲渡まとめ

サブスクやストリーミングサービスの台頭で、世界中の音楽をいつでも気軽に楽しめるようになり、音楽業界は大きな変革の時期を迎えています。今後の事業の展開に不安がある、M&Aによって事業を強化したいと考えている方は、ぜひ一度、M&Aの専門家に相談してみましょう。

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