レンタル業界のM&A動向!売却・買収事例5選とメリットを解説!【2025年最新】

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

レンタル業界は取り扱う商品の分野によって市場の縮小と拡大がみられます。市場縮小がみられるレンタル会社は、今後は国内だけでなくM&Aで海外にも目を向けていくことなどが大切でしょう。この記事では、レンタル業界での最新のM&A動向を解説します。

目次

  1. レンタル業界の概要と動向
  2. レンタル業界のM&A動向
  3. レンタル会社をM&Aで売却するメリット
  4. レンタル会社のM&A・買収・売却事例5選
  5. レンタル会社のM&Aにおける成功のポイント
  6. レンタル業界のM&A・事業譲渡まとめ
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1. レンタル業界の概要と動向

現在、国内の多くの業界で、後継者問題の解決や業界再編の手法としてM&Aが注目されています。レンタル業界でもM&Aで、事業拡大やサービス体制の強化を図る動きがみられます。

この記事では、レンタル業界の近年の概要と動向、M&Aのメリットや事例などについて詳しくみていきましょう。

レンタルとは

まずは、レンタル事業とはどのようなものなのかその概要を解説します。

レンタル業界の仕組み

レンタル業界の仕組み

レンタル事業とは、レンタル事業者が自社で購入した物品を使用者に一定期間貸し出して賃料を得る事業です。

上記の図の通り、レンタル会社はまずメーカーや販売会社から、機械や設備、器具、備品等を購入します。その後、使用者が一定期間、その物品を占有、使用するレンタル契約を結ぶことで、使用者はその契約期間だけ、その物品を使用することができます

同じようなビジネスモデルにリースがありますが、レンタルとリースの違いは契約期間の違いです。一般的にレンタルは使用者の使用期間が短期間で、リースは長期に及びます。

リースは年単位での契約となることが一般的ですが、レンタルは最短1日から長くても数ヶ月の契約期間となります。

レンタルやリースの利用者にとってのメリットは、その物品を購入するよりも安価に、必要な期間だけ利用できる点です。高額な物品が必要な期間が一定期間である場合などに、レンタルを利用したほうがコストの面でのメリットが得られます。

レンタル事業を始めるのには一部を除き許認可や資格は必要ありません。ただし、CD、DVD、書籍のレンタルには著作権者の許可が必要となります。また、レンタカー業は自家用自動車有償貸渡業の許可が、中古品のレンタルは古物商許可の取得が必要です。

レンタル業界の市場規模と動向

業界動向サーチの「建機レンタル業界の動向やランキングなど」によると、レンタル業界の一角を占める建機レンタルの2022年から2023年の業界規模は約8,000億円でした。

建設土木業界で厳しい状況が続き、各社で建機を購入するよりもより安価なレンタルの利用が増加しているためか、コロナ禍に入るまでここ10年ほど右肩上がりの成長でした。

コロナ禍で若干落ち込んだものの、経済の回復とともに増加傾向がみられます。

その他の物品も含めたレンタル・リース業界の市場規模も、「リース業界の動向や現状、ランキングを研究」によると増加傾向にあります。リース業界の業界規模は2022年から2023年の10.8兆円で、成長率も7%と今後の成長が見込まれます。

しかし、レンタル・リース契約高の推移を見ると、2006年の6兆円超えをピークに減少が続き、近年は3兆円台が続いています。今後はコロナ禍からの経済回復の波による増加が期待できますが、利用する企業や個人の経済状況にレンタル・リース業界は左右される面が大きい業界です。

参考:業界動向サーチ「建機レンタル業界の動向やランキングなど」「リース業界の動向や現状、ランキングを研究

【関連】福祉用具レンタル会社のM&A・事業承継の動向!事例や費用相場も解説

2. レンタル業界のM&A動向

レンタル業界でのM&Aは、レンタル会社同士の同業者によるM&Aと、レンタル会社と異なる業界の会社が合併する異業種間でのM&Aのどちらもみられます。

レンタル会社同士の同業者間でのM&Aでは、取扱高を増やす目的や、地域や商品分野などを広げて新規顧客開拓を目的としたりするものが多いようです。

異業種間では、地域限定の小規模なレンタル会社が、IT会社などの傘下に入る例がみられます。特に、今後の成長が期待できる福祉用具レンタルなどへの参入を目的としたM&Aが多いようです。

【関連】金融・リース・レンタルのM&A・事業承継買収ニーズ一覧 | M&A総合研究所

3. レンタル会社をM&Aで売却するメリット

レンタル会社をM&Aで売却するとどのようなメリットがあるのでしょうか。4つのメリットについて解説します。

後継者問題の解決

レンタル会社をM&Aで売却するメリットの1つは、後継者問題を解決できるという点です。近年、レンタル業界を含む多くの業界で、会社の経営を引き継ぐ人が見つからない後継者問題が深刻化しています。

少し前であれば、経営者の身内が会社を引き継ぐのは当然でしたが、近年は子供や孫がいても会社の後を継いでもらえないというところが増えているようです。

身内や社内に会社を引き継ぐ人がいない場合の事業承継方法として注目されているのがM&Aです。

後継者問題を解決できなければその会社は廃業するしかありません。M&Aは、その有力な解決方法なのです。

売却益の獲得

レンタル会社をM&Aで売却するメリットの1つは、売却益を獲得できるという点です。もしも、M&Aで会社を売却せずに廃業した場合には、従業員への退職金の支払いや、設備や建物の処分費用などのコストが必要になります。

金融機関からの借入が残っている場合には、廃業後も経営者が返済し続けなければいけない可能性も出てくるでしょう。

しかし、M&Aで売却することができれば、従業員や設備、会社の債務は一般的に買収側の会社に引き継いでもらえます。その上、売却益を手に入れることができるので、もしも売却後に引退するのであれば、余裕のあるリタイア生活の可能性も高まるでしょう。

従業員の雇用確保

レンタル会社をM&Aで売却するメリットの1つは、従業員は雇用を確保できる可能性が高まるという点です。

もしも会社を廃業した場合には、従業員は全員解雇するしかありません。解雇された従業員は、会社が雇用保険をかけていれば会社都合での退職としてすぐに失業保険が給付されます。

しかし、失業保険が切れたあとで、必ず全員再就職できるとは限らないでしょう。もしも、再就職できない人が出てしまったら、その人は露頭に迷ってしまう可能性も出てきます。

M&Aで会社を売却すれば、多くの場合、従業員の雇用も買収側に引き継いでもらえるので、従業員の生活を守りながら、経営者は経営から身を引くことが可能です。

経営基盤の安定

レンタル会社をM&Aで売却するメリットの1つは、経営基盤の安定化を図ることができるという点もあります。

レンタル会社のM&Aでは、地域限定や商材限定のレンタル会社が、全国展開している大手のレンタル会社の傘下に入るという形もみられます。

レンタル業界は景気の動向に大きく左右されるので、地域と商材が限られていると、景気の悪化やトレンドの変化に乗り遅れたときに、経営に大きなダメージを受ける可能性があるでしょう。

その点、多拠点で多商材を扱っている大手の傘下に入れば、大手のリソースを利用させてもらったり、資金調達がしやすくなったりします。経営基盤を強化できるので、安定した経営を継続できるようになるでしょう。

【関連】リース業界のM&A動向!会社売却のメリットや成功のポイント・事例19選を徹底解説【2025年最新】

4. レンタル会社のM&A・買収・売却事例5選

レンタル業界で今までに実施されたM&Aでの買収や売却の事例を紹介します。

パラマウントケアサービスがSMFLレンタルの福祉用具レンタル卸事業を取得した事例

2024年2月5日に、パラマウントベッドホールディングス株式会社から、同社の連結子会社であるパラマウントケアサービス株式会社が、SMFLレンタル株式会社が新設する会社の全株式を取得することが発表されました。

SMFLレンタルはパラマウントケアサービスの代理店事業を営んでいましたが、新設会社に同事業を吸収分割した上でのM&Aとなります。

パラマウントケアサービスは福祉用具レンタル卸業と、パラマウントベッドと連携した福祉用具のオリジナル商品開発を行っている会社です。SMFLレンタルは、パラマウントケアサービスのフランチャイズとして事業を展開していました。

このM&Aは、パラマウントグループがFCを系列化する初めての試みであり、これをきっかけにさらなる事業拡大や、福祉用具貸与事業所に対するより高品質で安心・安全な製品やサービスの提供をしていくとのことです。

参考:連結子会社によるレンタル事業会社の株式取得に関するお知らせ

エヌリンクスがCoCoXiaを子会社化した事例

2023年12月14日に、株式会社エヌリンクスから、CoCoXia株式会社の全株式を取得して子会社化することが発表されました。

エヌリンクスは、メディア運営や営業代行などの事業を展開している会社です。CoCoXiaは福祉分野での用具のレンタルや販売、住宅改修などの事業を営んでいます。

エヌリンクスとしては、さらなる会社の発展のために新規インダストリーの開拓が必要だと判断してのM&Aです。

今後の高齢化社会でのシニアケア用品分野の成長が見込めることと、エヌリンクスが培ってきた「リアル×ウェブ」の情報分野での経験を活かしたシナジーを創設できると見込んでいるとのことです。

参考:CoCoXia株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

アマナフォトグラフィがPORTに撮影スタジオ・動画機材レンタル事業を譲渡した事例

2023年10月26日に、株式会社アマナから、同社の特定子会社である株式会社アマナフォトグラフィの一部を構成するスタジオ及び機材のレンタル事業を、株式会社PORTに譲渡することが発表されました。

アマナは広告ビジュアル制作会社で、広告写真などの制作を行っています。株式会社PORTは、スタジオや機材のレンタル事業を行っている会社です。

アマナでは、厳しい経営状況から利益創出と内部統制強化を基本方針とした経営計画を立て、業務改善に取り組んでいます。そのような中で、固定費の一部変動費化を目的として、事業譲渡することにしました。

アマナが今後も、スタジオと機材の販売と仕入れを継続できる体制を維持しながら、協業体制を構築していくとのことです。

参考:当社子会社の事業譲渡及び特別利益の計上に関するお知らせ

幸和ライフゼーションがヤマシタに福祉用具レンタル事業を譲渡した事例

2023年10月11日に、株式会社幸和製作所から、同社の連結子会社である株式会社幸和ライフゼーションのレンタル事業の一部を、株式会社ヤマシタに事業譲渡することが発表されました。

幸和製作所は福祉用具の製造販売を中心とした事業を展開する会社です。ヤマシタは、福祉用具の販売及びレンタルやリネンサプライ事業を長年展開してきた会社です。

今回は、ヤマシタから、幸和ライフゼーションが関東圏で展開しているレンタル事業についての譲渡の打診を受けて、今後は福祉用具の製造販売に経営資源を集中することが企業価値向上に資すると判断して、事業譲渡を決断したとのことです。

参考:事業譲渡に関するお知らせ

ワキタが大喜産業を子会社化した事例

2023年1月27日に、株式会社ワキタから、大喜産業株式会社の全株式を取得して子会社化することが発表されました。

ワキタは、建設機械や土木機械の販売やレンタルなどの事業や不動産事業などを幅広く手掛けている会社です。大喜産業は、滋賀県守山市で土木機械や建設機械、自動車などのレンタル事業を行ってきました。

このM&Aでワキタが大喜産業を連結子会社化することで、守山市近辺での既存拠点とのシナジー効果を期待できるとのことです。

参考:株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

【関連】金融・リース・レンタル業界の事業承継とは?事例やメリット、節税方法について解説

5. レンタル会社のM&Aにおける成功のポイント

レンタル会社を成功させるための注意点にはどのようなポイントがあるのでしょうか。成功のための注意点を解説します。

M&Aの専門家に相談をする

レンタル会社のM&Aを成功させるための1つ目の注意点は、M&Aの専門家に相談することです。近年は、M&Aの情報サイトやマッチングサイトが充実してきたことから、専門家に頼らず自分だけでM&Aを進めようとする経営者も増えているようです。

しかし、M&Aを成功させるためには、最適な相手とのマッチングと法律や財務などについての専門的な手続きが必要であり、M&Aの経験がないと難しい点がたくさんあります。

M&Aの専門家なら、M&Aをするべきかどうかといったところから、相手探し、手続きのサポートまで親身になって相談に乗ってくれるでしょう。無料相談を受け付けているところもあるので、M&Aについて検討を始めたらまずは専門家へ相談してください。

M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください

M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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早期に検討をする

レンタル会社のM&Aを成功させるための2つ目の注意点は、早めに準備を始めるという点です。

M&Aでの売却を希望しても売却できずに廃業に追い込まれてしまう会社が多くあります。M&Aに失敗する理由の一つが準備不足です。

特に、経営者の高齢化によって健康問題が悪化してからM&Aの準備を始めた場合には、時間切れで売却できないことが多くなります。

M&Aは専門家に相談してからクロージングまで1年以上かかることが一般的です。できれば、まだ経営者が元気なうちからM&Aの検討をはじめて、最適なタイミングで売却することがおすすめです。

相乗効果が得られる相手先を選ぶ

レンタル会社のM&Aを成功させるための3つ目の注意点は、相乗効果を得られる相手を選ぶということです。

M&Aの最大の目的は、会社の合併によって両社の業績を向上させることでしょう。しかし、M&A後に想定していたほど業績が上向かない場合も多くあります。

M&Aは進めていくうちに、会社の売買が目的化してしまい、M&A後の相乗効果についての検討が疎かになってしまうことがよくあります。

そのようなことにならないように、M&A後の統合で、どのような相乗効果がお互いに得られるのか、といったことを慎重に検討しましょう。

目的を明確にする

レンタル会社のM&Aを成功させるための4つ目の注意点は、目的を明確化させてから相手探しなどの具体的な手順に入ることです。

M&Aは目的がもっとも重要です。売却側は、目的によって選択するべきM&Aのスキームの洗濯が異なってきます。経営者の引退や大手の傘下に入ることが目的であれば株式譲渡、一部の事業を整理したい場合には事業譲渡が一般的です。

買収側は、地域や商材、顧客拡大などで選ぶべき相手が違ってくるでしょう。売却側も買収側も、最初に目的を明確化した上で、その条件に最も合う相手を探すことが重要です。

情報漏洩に気をつける

レンタル会社のM&Aを成功させるための5つ目の注意点は、情報漏洩を起こさないことです。特に、売却側はM&Aの最終契約書を締結するまで、会社売却のうわさが流れないように気をつけましょう。

万が一、情報を公開できる段階に入る前にうわさが流れてしまうと、会社の将来を心配した従業員の離職や、取引先からの取引停止を招く恐れがあります。

M&Aでは、買収側の目的が人材や顧客、調達先の獲得の場合もよくあるので、そのような事態を起こさないためにも、情報漏洩には気をつけましょう。

【関連】金融・リース・レンタル業界の事業売却(事業譲渡)を初心者向けに解説

6. レンタル業界のM&A・事業譲渡まとめ

レンタル業界でも、後継者問題や景気に左右されやすいビジネスモデルである点などから、会社の将来に大きな不安を感じている経営者が増えています。M&Aでの会社売却は、会社を安定的に持続させるための解決策になる可能性が高いでしょう。

会社の将来に不安を感じているのであれば、一度、M&Aの専門家に相談してみましょう。

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