2025年10月30日公開
弁当会社の事業承継を徹底解説!注意点や相談先・事例を紹介!
弁当会社の中には後継者問題が深刻化しており事業承継に不安を感じている経営者も多くみられます。一方で、近年、弁当の需要は増加傾向にあり、他業種や同業者からのM&Aによる事業承継も増加中です。この記事では、弁当会社を事業承継の注意点など解説します。
1. 弁当業界の概要と動向
弁当業界では、社会構造の変化に伴って需要が伸びる一方で、後継者問題を解決できないなどの理由で廃業を考える弁当会社もあります。
しかし、弁当業界は参入障壁が低いため、M&Aでの事業承継も検討すれば、後継者問題が解決できなくても会社を存続させられる可能性が高い業界です。
この記事では、弁当業界の近年の動向と事業承継について解説します。まずは、弁当業界の近年の動向についてみていきましょう。
弁当業界とは
弁当箱に主食と色とりどりのおかずを詰め込んだ弁当は、日本独自の文化として海外からも注目されています。コンビニや弁当専門店で弁当が販売されるようになったのは1970年代頃からで、その頃から弁当の製造などを行う弁当会社が発展してきました。
弁当会社には様々な形態があり、独自の店舗を構えて店舗販売を行っている会社もあれば、宅配専門で弁当の製造から宅配での販売まで行っている会社、キッチンカーでの移動販売を行う会社、コンビニやスーパーなどに製造した弁当を納入している会社などがあります。
弁当業界は比較的参入障壁が低いことから、他業種から新規参入や、規模を拡大したい同業者からのM&Aでの買収希望が増加しているようです。
弁当業界の市場規模と動向
弁当業界の市場規模と動向です。
弁当需要は増加傾向
弁当業界を含めた中食業界の2022年から2023年の業界規模は約4,000億円でした。ここ10年程は4,000億円程度の横ばいで推移しています。2020年と2021年には新型コロナ禍の影響で一時的に売上が減少しましたが、2022年にはコロナ禍前の水準に回復しています。
弁当を含めた中食の需要は増加しており、今後も増界傾向が続くと思われます。
参考:業界動向サーチ「中食業界の現状や動向、ランキングなどを解説」
拡大する配食サービス
弁当業界でも特に注目されているのが、配食サービスです。高齢世帯の増加により、高齢者向け弁当の宅配サービスが増加しています。
また、ウーバーイーツなどの宅配サービスの利用者の増加に伴って、弁当の製造だけする宅配専門のゴースト店舗も増加しています。
2. 弁当会社の3つの事業承継方法
弁当会社を事業承継する方法には、親族承継、従業員承継、M&Aの3つの方法があります。それぞれの方法について解説します。
親族承継
親族承継とは、経営者の子供や孫などの親族を後継者にする事業承継の方法です。従業員や取引先などの関係者が最も心情的に受け入れやすく、資産と経営権をまとめて承継させやすいというメリットがあります。
ただし、身内に後継者にふさわしい人物がいなかったり、子供や孫が跡継ぎになることを嫌がったりする可能性もあるので、親族承継を考える場合には、うまくいかなかった場合の代案も用意しておくように注意しましょう。
従業員承継
従業員承継とは、会社の役員や従業員の中から後継者を選ぶ事業承継の方法です。会社の業務を熟知している人物が後継者になることから、経営の連続性を保ちやすいというメリットがあります。
ただし、従業員は経営者になることを想定して入社していない人が多いので、後継者を経営者にふさわしい人物に育成するのに時間がかかるでしょう。
また、経営者の親族が株式を相続する場合には、相続時にトラブルが生じる可能性があります。事前の根回しや相続対策を十分に行っておくことが大切です。
M&A
M&Aは、会社とは全く関係がない第三者に会社を売却する方法です。親族や従業員に適切な後継者が見つからない場合の、最終的な事業承継方法として近年注目されています。
経営者が変わることで経営方針が変わる可能性が高く、経営の連続性を保つことは難しいのですが、会社を存続させて、従業員や顧客を守ることができる方法として、他の方法が難しい場合には検討する価値があるでしょう。
3. 弁当会社の事業承継の相談先
弁当会社の事業承継を考え始めたら、どこに相談したらいいのでしょうか。おすすめの相談先を紹介します。
M&A仲介会社
M&Aの仲介会社は、主に中小零細企業のM&Aを専門的に扱っている会社です。しかし、M&Aも事業承継の1種類なので、親族承継や従業員承継の手続きなどにも高い専門性があります。
M&A仲介会社は、親族承継や従業員承継がうまくいかなかった場合に、M&Aの案件をたくさん持っているので、売却先探しがスムーズに行く可能性があります。事業承継計画策定のサポートなども依頼できるので、一度相談してみることをおすすめします。
金融機関
金融機関でも近年は中小零細企業の事業承継の相談に乗ってくれるところが増えました。地域密着の地方銀行や信用金庫は、地域企業のネットワークが強いので、M&Aをすることになった場合には、地元企業とマッチングできる可能性が高まるでしょう。
まずは、取引のある金融機関に相談してみるのもおすすめです。
公的機関
2021年に中小企業庁が全都道府県に事業承継・引き継ぎ支援センターを設置しました。このセンターでは、原則無料で事業承継のサポートを一貫して行ってくれます。
事業承継計画の策定から計画の実行のサポートや、M&Aの場合の売却先とのマッチングなどを、専門性の高い職員がサポートしてくれます。費用を掛けたくない場合には、まずはこちらに相談してみるといいでしょう。
また、地域の商工会議所や商工会でも事業承継の勉強会や相談会を実施することがあるので、参加してみるのもおすすめです。
税理士・会計士・弁護士など
事業承継の手続きには、財務や法律についての専門性が必要なので、必ず税理士、会計士、弁護士が関わることになります。そのために、税理士事務所、会計士事務所、弁護士事務所でも、事業承継の相談に乗ってくれるところがあります。
事業承継を扱っている事務所を探して相談してみるのもおすすめです。ただし、税理士、会計士、弁護士でも事業承継やM&Aについて詳しくない人もいるので、それまでの事業承継を扱った経験などを確認するように注意しましょう。
4. 弁当会社の事業承継の注意点
弁当会社の事業承継を成功させるための注意点です。
M&Aを成功させるには専門家への相談が大切
事業承継を進めるためには、親族承継と従業員承継では事業承継計画の策定と実行が、M&Aでは最適な売却先探しや複雑な手続きへの対応など、事業承継やM&Aの専門性がないと難しい点がたくさんあります。
事業承継やM&Aを成功させるためには、事業承継に詳しい専門家に相談して、適切なサポートを受けるように注意しましょう。
M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください
M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。
M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
事業承継は早期から検討する
社内での後継者育成が必要な親族承継と従業員承継では、後継者を育てるのに5年から10年程度の長い時間がかかるといわれています。M&Aは最適な売却先とのマッチングや手続きへの対応に、最低でも1年程度、できれば数年単位で時間をかけたほうがいいでしょう。
どの方法を選択する場合でも、事業承継には長い時間が掛かるので、経営者の引退時期から逆算して早期に準備を始めることをおすすめします。
資金面や税金面での負担を考える
親族承継では贈与税や相続税の負担があります。M&Aでは売却益に対して所得税と住民税が掛かります。従業員承継では、後継者が会社の株式を購入するための資金調達の負担が大きくのしかかります。
事業承継では税金や資金調達の負担に対しての対策もしっかりと検討するようにしましょう。
従業員・取引先への報告は事業継承後
M&Aで会社を売却する場合には、M&Aの実施の公表は最終契約書締結後になります。それ以前に会社売却の情報が漏れると、従業員や取引先の間に不安が広がり、退職や取引停止を招く恐れがあるので、情報漏洩しないように注意しましょう。
M&Aの公表後でも退職や取引停止の申し出が相次ぐ場合もありますが、会社売却後の待遇や取引について丁寧に説明して、理解を求めるように努めてください。
5. 弁当会社の事業承継事例3選
弁当会社で事業承継を実施した事例を3つ紹介します。
ヤマタネが弁当・給食向け業務用食品卸のショクカイを事業承継した事例
2023年8月29日に、物流や食品などの事業を展開している株式会社ヤマタネが、弁当給食向け業務用食品の卸売事業を展開する株式会社ショクカイの全株式を取得して、子会社化するための株式譲渡契約書を締結したことを発表しました。
ヤマタネとしては、この事業承継により新しいソリューションの実現が可能となり、両社の経営資源を相互に最大限に活用することで、長期的な価値の創出が可能になるとしています。
キユーピーがコンビニ向け弁当・惣菜事業を事業承継した事例
2018年8月7日に、キユーピー株式会社が、同社の連結子会社の株式会社グルメデリカが持つ、コンビニエンスストア向けのお弁当、おにぎり、惣菜等の製造及び販売事業の一部を、三菱商事株式会社に譲渡することを発表しました。
譲渡する事業を新設分割で新設会社に承継させた上で、新設会社の株式の80%を三菱商事へ譲渡します。
キユーピーとしては、世間の食のニーズが多様化する中で、付加価値の高いサービスを提供し続けるためには、経営管理と事業基盤の強化が必要であることから、食品業界における経営資源や事業ノウハウを利用している三菱商事への譲渡を決定したとのことです。
ファミリーマートが高齢者専門宅配弁当事業を事業承継した事例
2012年3月5日に、国内外で2万5,000店舗近いコンビニを展開している株式会社ファミリーマートが、高齢者専門の宅配弁当事業などを運営する株式会社シニアライフクリエイトの発行済株式81.6%を取得して子会社化することを発表しました。
少子高齢化でコンビニの役割が変化する中で、この事業承継により、ファミリーマートとしては、宅配や高齢者向け商品の開発のノウハウなどを有効活用して、ビジネス領域のさらなる拡大を図りたいとしています。
6. 弁当会社の事業承継まとめ
弁当の需要は今後も増加していくことから、弁当会社の事業承継が難しくても、M&Aでの買収を希望するところは必ず現れるでしょう。
弁当会社を廃業してしまえば、従業員は解雇となり、弁当を楽しみにしていた顧客も残念な思いをするでしょう。後継者問題などで会社の将来が不安であれば、事業承継の可能性について、事業承継やM&Aの専門家にまずは相談してみることをおすすめします。
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