2024年03月30日更新
会社売却とは?手続きの流れやメリットデメリットなど徹底解説!
会社売却とは企業や個人などの他者へ会社を売ることをいいます。会社を売るのは重大な決断ですが、事業の成長や発展にも期待できることです。この記事では、会社売却のメリットとデメリット、相場や流れ・成功へのポイントを紹介します。
目次
1. 会社売却とは
会社売却の意味
会社売却とは、文字通り「会社(自社)を売却すること」つまり、会社の所有権を第三者に譲渡し、対価をもらうことをいいます。M&Aは日本語に置き換えると「買収と合併」という意味になりますが、この買収は買い手企業からみた言葉です。
一方で、会社売却は売り手側企業からみた言葉であり、M&Aにおける会社売却では株式譲渡によって経営権を移転するケースが多くみられます。
会社売却の増加している理由
独立行政法人 中小企業基盤整備機構「令和4年度 事業承継・引継ぎ支援事業の実績について」
出典:https://www.smrj.go.jp/press/2023/a19vbo00000057kn-att/20230530_press01.pdf
会社売却は近年増加傾向にあります。理由としては、後継者不在による事業承継・事業の将来性に対する不安・経営基盤の安定化や事業成長など、ケースによってさまざまです。近年の中小企業においては、事業承継目的での第三者への会社売却が増加しています。
事業の選択と集中
例えば、ノンコア事業から撤退し選択と集中を行って、本業に専念するといった戦略的な理由もあれば、大企業の傘下に入ることでより大規模に事業を展開できる環境を整えたり、ベンチャー企業のイグジット手法として行ったりすることもあるでしょう。
このような理由は比較的前向きな攻めの姿勢ですが、そうでない場合もあります。債務を抱えている、従業員が不足しているなど、事業再編に迫られて売却するケースもあるでしょう。ネガティブな理由として人材不足の他に、後継者不在で企業譲渡を行う会社も増えています。
中小企業の後継者問題
国内企業の9割を占める中小企業は、経済的に大きな役割を担っています。しかし、近年は後継者がみつからず黒字であっても廃業を選択する企業も多いです。
2022年に帝国データバンクが全国・全業種の約27万社を対象に行った調査では、60歳以上の中小企業経営者の50%超が将来的な廃業を予定していると回答しています。
また、同調査における後継者不在の企業は全体の57.2%であり、過半数を超えているものの調査開始以降では初めて60%を下回りました。
その背景としては、国による中小企業の事業承継への後押しやM&Aのイメージ向上などにより、第三者へのM&Aや事業譲渡などが活発になったことがあげられます。
参考:株式会社帝国データバンク「全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)」
アーリーリタイア
「アーリーリタイア」を目的に会社売却を行うケースもみられます。アーリーリタイアとは、定年と考えられる時期よりも早期に経営から退くことです。
30~40代の若い起業家のなかには、アーリーリタイアを目指すケースも多くみられます。会社売却によって得た利益で引退後は自由な生活を送ったり新たな事業を始めたりできるのがアーリーリタイアのメリットです。
2. 会社売却のメリット
会社を売却するのは、非常に大きな決断で大変なことです。では、そこまでして売却をするメリットはどこにあるのでしょうか。ここでは会社を売るメリットを紹介します。
後継者問題の解決
中小企業の多くは後継者が見つからないという悩みを抱えています。会社売却を選択することで第三者へ事業を引き継ぐことができます。
従業員の雇用や処遇を守ることができます。
創業者・株主が利益を得られる
まず、創業者や株主が大きな利益を得られるメリットがあります。会社売却は大きな金額が動く取引です。もともと株式を保有していた創業者や株主は、大きな利益を得られます。
M&Aをしたアントレプレナーとして評価される
2つ目は、M&Aをしたアントレプレナーとして評価されるメリットです。アントレプレナーとは、事業を立ち上げて経営を始める人のことをいいます。
会社が価値のある事業を行っており、その事業が評価されてから売却した際、創業者に経営手腕があった証明にもなるでしょう。
従業員の雇用確保
仮に後継者が見い出せず、経営者の引退とともに会社が廃業となってしまったら、働いていた従業員は職を失い路頭に迷うことになります。しかし、会社売却が成立すれば会社は存続していくわけですから、従業員の雇用は守られて安泰です。
個人保証や連帯保証から解放される
3つ目は、個人保証や連帯保証から解放されるメリットです。会社を経営していくうえで、銀行から多額の借入をすることもよくあります。その際、創業者や役員が保証人になるのが一般的です。
会社を売却する場合、一般的に保証人を買い手企業が引き継ぐので、売り手企業の経営者は保証人から外れます。
事業承継により休める
4つ目は、事業承継ができることで休めるメリットです。事業を引き継いでもらえると、それまで会社を引っ張ってきた役割から解放されます。事業承継することで休みの時間が得られ、家族との時間や趣味に多くの時間を使えるでしょう。
買い手企業とのシナジーや企業基盤の強化が期待できる
買い手企業とのシナジーや企業基盤が強化されるメリットもあります。ここでいうシナジーは、会社が単独で事業を行うよりも組み合わさることでより大きな成果が出る効果です。
会社が単独で事業を行うと、頭打ちになる時期がきます。そのときに他社へ会社を売却すると、買い手企業の事業とうまく相乗効果を出せることが期待できるでしょう。それにより、会社の基盤が強化されより安定した経営が可能になることも見込めます。
廃業・倒産を回避できる
廃業・倒産を回避できるメリットもあります。会社に負債があっても、株式譲渡の手法であれば負債ごと譲り受けてもらえるでしょう。事業譲渡であれば、現金にできる部門だけを売却すると、負債の返済にあてて財務状況を健全にしてから、主な事業や新しい事業に投資できます。
3. 会社売却のデメリット
会社売却にはデメリットもあり、主なものには以下の6つがあります。
意思決定が遅くなる
1つ目のデメリットは、経営の意思決定を買い手企業と相談する必要があることです。
会社を売却する際は、買い手企業との間に今後の意思決定に関する齟齬(そご)がないようにすべきでしょう。買い手企業と認識がずれていると、思いもよらないトラブルに見舞われるリスクがあるからです。会社売却後の意思決定は、買い手企業に随時報告しながら行わなければなりません。
売却先の企業に拘束されるリスクがある
2つ目は、買い手企業に拘束されるリスクがあることです。売却してしまうと会社の所有権は売却先に移ります。しかし、譲渡条件によっては、ある程度の期間は子会社の社長として勤務しなければならないなど拘束されるケースもあるでしょう。
売却後に事業領域が制限される
3つ目は、売却した後に事業領域が制限されることです。売却後に事業領域が制限されることを、競業避止義務といいます。競業避止義務があると、売却後数年間は売却した事業に関われません。
モチベーションの低下を招く
4つ目のデメリットは、ロックアップ中にモチベーションが維持できないことです。ロックアップとは、事業が頓挫しないように売却から数年間は決められた対象者(キーマン)は辞められない規定をさします。
多くの場合、キーマンは会社の重要な役職に就いているCEOといった人です。ロックアップ期間中は、キーマンのモチベーションを下げないよう維持するのが難しいといえます。
買い手企業ともめる可能性がある
5つ目のデメリットは、買い手企業ともめるリスクです。2つ以上の異なる文化を持つ会社同士のやりとりなので、うまくコミュニケーションができなくなるリスクを避けてとおれません。事前の契約事項における解釈が異なって、トラブルになることもあります。
会社を売却する場合は、買い手企業とのコミュニケーションや創業者のかかわり方など、さまざまな課題を解決しなければなりません。
自社の売却後に寂しさを感じる
6つ目のデメリットは、会社を売却して経営から離れるためオーナー経営者が寂しさを感じる点です。
人生をかけて取り組んできた会社経営が終わりを迎え、やりがいが失われたと感じる経営者も少なくありません。自己の原点に立ち返り、もう一度本当にやりたかったことを始めてみると良いでしょう。
4. 赤字でも会社売却を検討してみよう
赤字の会社は、経営が成り立たなくなっているイメージがあるかもしれません。しかし、赤字であっても会社売却が成約する可能性はあります。
会社や事業をを買収しようとする多くの会社は、業界の新規参入や会社の規模拡大などを目的としています。買収会社にはないノウハウや技術力、人材などを獲得することで事業成長のスピード向上やシナジー創出を期待しています。そのため、赤字であっても買収したいという会社はあります。
赤字の場合でも、買収側にとって魅力的に感じる会社がある可能性があるため廃業を検討している場合もまずはM&Aを視野に入れてみることが大切です。
5. 会社売却を行う目的
ここでは、会社売却の代表的な目的を4つ紹介します。
大手グループへの傘下入り
大企業の一部になることは、会社を売る理由の一つです。大手企業の一員になると、その企業の力を借りて事業がさらに大きくなることが期待できます。特に、新しい会社がこの理由で売られることが多いです。
イグジットの実現
イグジットとは、企業の創業者や経営者、出資者が保有する株式を売却し、投資した資金を回収することです。その中で、株を公開する「IPO」という方法と、会社を売る方法が比べられます。株式を公開することも成功の一つですが、それを実現できる会社は少なく、時間もかかります。
昔は、日本での成功の方法としては、ほとんどがIPOでした。しかし、アメリカでは会社を売る「M&A」という方法が主流で、日本でも最近はこの方法が増えてきています。新しい会社を始める人たちは、最初からこのような成功を目指して会社を運営しています。
事業再生
会社を売る理由の一つは、事業を再生するためです。業績が下降している会社でも、大きな会社や投資ファンドなどの下で新しく始めることが考えられます。早めに売ることを考えることで、損失を少なくして新たなスタートが切れることもあります。
特に、赤字の会社では、良い部分と問題のある部分に分けて考えることができます。良い部分だけを売って新しいスタートを切り、問題のある部分は整理する方法も選べます。
主軸事業への注力
経営上のリソースをより効果的に使うため、利益や成長が期待できない事業部門を売ることも考えられます。特に、新しい事業を始めたり、他の会社を買収して事業を拡大してきた企業が、今後の方向性を明確にするために、いくつかの事業を整理する場合があります。
6. 会社売却の方法(スキーム)
会社売却の方法は複数の種類があり、状況に応じて適切なものを選択することが大切です。どの方法が最適なのか判断するには専門的な知見が必要となるため、M&A仲介会社など専門家のアドバイスを受けながら決めることをおすすめします。
株式譲渡
株式譲渡とは、会社の株式を保有する株主が他の企業や個人に株式を譲り渡すことです。M&Aでは、株式を第三者に売却することによって会社の経営権を譲渡します。
事業譲渡
事業譲渡は、会社における事業の一部(あるいは全部)を切り出し、他の企業に売却する方法です。事業の売買であり株式の移動は伴わないため、売り手会社はM&A後もそのまま経営することができます。
不採算事業の切り離しなど、売り手会社が運営する事業の一部のみを切り出したい場合に用いられる方法です。
合併
合併は、2つ以上の異なる会社が一つになることです。一方の会社が吸収するものと、全く異なる第3の会社を設立するものがあります。
会社分割
会社分割は、事業を切り離して別の会社に引き渡すことです。会社分割には、会社の一部の事業、または全部の事業を既存の他企業に引き渡す「吸収分割」と、会社の一部の事業、または全部の事業を、新しく設立した会社に引き継ぐ「新設分割」の2つがあります。
7. 会社売却に必要な手続き・流れ
実際の会社売却は、以下の流れで行われます。会社売却の流れと手続きを、詳しくみていきましょう。
①会社を売る準備
後継者不在による事業承継など、売り手企業のなかで売却の意思が固まったらM&Aを行う準備を始めます。売却の理由は企業によってさまざまですが、まず「なぜ自社を売却するのか」という理由を明確にしておくことが重要です。
また、M&Aで必要になる資料の準備もしておきましょう。過去三期分の決算書や自社の強みをアピールできる資料などを揃えておくと、基本合意までの交渉をスムーズに進めることができます。
②M&A仲介会社と契約
次に、M&A仲介会社と契約します。M&A仲介会社は多く、それぞれに得意分野があります。自社の状況や希望に合ったM&A仲介会社を選ぶことが重要です。
M&A仲介会社によって、手数料やM&A成立までのスピードも異なります。自社に適したM&A仲介会社を選ぶためには、複数のM&A仲介会社を比較することが大切です。
③買い手企業候補の選定と打診
M&A仲介会社と契約した後、自社の分析を行ってもらいます。自社の強みや弱みを自分で分析するのは難しいので、専門家であるM&A仲介会社と一緒に行うのがおすすめです。
そして、買い手企業候補を探します。買い手企業候補を見つける際は、M&A仲介会社のネットワークも活用しながら探しましょう。M&A仲介会社に依頼すれば、複数の買い手企業候補をピックアップしてくれます。
気に入った買い手企業候補を見つけたら打診し、買い手企業候補が関心を示せば面談です。
トップ面談
買い手企業候補に打診したら、トップ面談を行います。トップ面談とは、売り手企業と買い手企業の経営者が直接話し合うことです。主に以下のことを話し合います。
- 経営方針
- 経営理念
- 企業文化
- M&Aへの考え方
- 今後のビジョン
互いの会社を理解するために、相手の会社や工場に出向くこともあります。トップ面談で買い手企業に会社を売却して良いと思えれば、本格的な交渉を行いましょう。
売り手企業の経営者一人では、自社の希望を伝えられないこともあります。交渉は、M&A仲介会社などM&Aに詳しい専門家に同席してもらいましょう。
⑤基本合意契約の締結
買い手企業と売却の条件を決めたら、基本合意契約を締結します。基本合意契約とは、買い手企業と話し合った条件でM&Aを進めることを約束する契約のことです。
基本合意契約は非常に重要な契約で、大きな問題が生じない限りは、基本合意契約の内容が最終契約書になることもあります。しっかりと確認しましょう。
基本合意書には、取引の基本的条件、価格、売買までのスケジュール、契約予定日、デューデリジェンスに関して、独占交渉権、当該基本合意文書の有効期限と法的拘束力の範囲などを記載します。
独占的交渉権が付与されると、基本合意契約を締結した後に、売り手企業は買い手企業以外の相手と売買交渉ができないことも多いため注意が必要です。
⑥デューデリジェンスの対応
基本合意書を締結したら、デューデリジェンスが行われます。デューデリジェンスよって自社の価値やリスクが判断され、その結果は最終交渉の参考にされるものです。
準備した資料をもとに審査されます。デューデリジェンスはたくさんの観点がありますが、案件によって特に重要とされる切り口が異なるため、優先順位をつけて行われることが多いです。
デューデリジェンスは膨大な資料を求められることもあるため、M&A仲介会社など専門家に協力してもらうとスムーズに進められるでしょう。
⑦最終契約の締結とクロージング
デューデリジェンスが滞りなく終われば、いよいよ最終契約書の締結です。デューデリジェンスに問題がなければ、基本合意書の内容がほぼそのまま反映されます。その後、譲渡が実行・入金が行われクロージングとなります。
⑧経営統合(PMI)
買い手側にとって経営統合(PMI)はM&Aが成功したかを決める重要なものになります。M&Aの後、想定していたシナジー発揮などの効果を最大化するために行います。
PMIに関する検討は、M&Aの準備段階からスタートさせており、デューデリジェンスを行いながら並行して計画策定を始めます。
8. 会社売却の成功ポイント
会社を売却するメリットとデメリットを理解したうえで、会社売却の何に気をつければいいのでしょうか。ここでは、会社売却のポイントを紹介します。
①会社売却のタイミングが良いこと
何かを売りに出す際は、タイミングが非常に重要です。特に会社を売却するなら、企業価値が最大になるタイミングで売却するのが理想的でしょう。
例えば、技術系の業界は、最新技術や独自技術が社会の潮流として必要とされれば、会社を高値で売ることが可能です。しかし、すでに廃れた技術や規制緩和によって免許も必要ないケースなどでは、企業の価値が低くなるケースもよく見られます。
会社を担う人たちにも、同じことがいえるでしょう。日本の中小企業は高齢化が進み、事業承継のために会社を売却しようと考えても、役員や従業員が高齢であると将来性がないとみなされ売却価格は下がってしまいます。
このように、企業価値が高いタイミングは会社によって異なります。会社売却を考えたらまずは専門家に相談して、売却に一番良いタイミングを逃さないようにしましょう。
②会社の強み・弱みを明確にできていること
買い手企業が売り手企業を買収するインセンティブの1つに、「自社にない強みを手に入れたいから」があります。売り手企業は売却前に自社の持つ強みを明確にすることが必須です。
強みだけでなく、弱みも明確にしましょう。弱みを明確にすることは企業の評価を下げることにつながらず、企業の強みを際立たせる説得力につながるからです。
弱みのない企業など存在しません。弱みを明確にすれば、よく自社を分析していると高評価を受けることも期待できます。買い手企業に対して今後の意思決定や事業計画に対するヒントを与えることにもつながるでしょう。
③買い手にとって魅力的な経営資源を確保すること
顧客リスト・優秀な人材などの確保には、かなりの時間や労力を必要とするため、これらの経営資源を確保するために買収を実施する買い手は少なくありません。買い手にとって魅力的な経営資源があれば、より多くの買い手が興味を持つでしょう。
特に確保に時間やコストがかかるものや希少な経営資源を保有していると、企業価値が相場より高く評価されやすいです。
優秀で経験の多い人材、収益性などが高い技術やノウハウ、大手企業など質の高い顧客リスト、特許や商標などの知的財産権、業界内におけるブランド力などを、早い時期から確保しましょう。
④シナジー効果のある買い手企業を見つけること
会社を売却することは、非常にコストと手間がかかります。事前の準備やコミュニケーションが大変なうえ、売却した後も継続的にやりとりを続けなければなりません。これほどの手間をかけて行うため、それと同じかそれ以上のシナジー効果を発揮しなくては意味がないでしょう。
シナジー効果を発揮できる事業や組織文化を持つ買い手企業を見つけられるかが、会社売却を成功させる大きなポイントになります。
買い手企業は、自力で探すこともM&A仲介会社など専門家に探してもらうことも可能です。M&A仲介会社などの専門家に依頼すれば、自社とシナジー効果を期待できる買い手企業が見つかる可能性が高くなります。
⑤買い手企業の経営者と人間的に合うこと
会社の売却とはいえ、本質的には人間対人間のコミュニケーションです。買い手企業の経営者や従業員と人間的に合うかどうかも大きなポイントになるでしょう。
人間的に合えばコミュニケーションをスムーズに行え、売却後も滞りなく事業を進められます。M&Aを進める中での面談で、しっかりと話して会社を任せられるか判断しましょう。
⑥会社売却に良いM&A仲介会社を見つけること
会社の売却にかかわるさまざまな手続きや準備を全て自分だけで行うのは、非常に困難です。専門的な知識やネットワークが必要になるうえ、社内外での調整も必要となります。M&A仲介会社に協力してもらいましょう。
M&A仲介会社はピンからキリまであります。自社と相性の良いM&A仲介会社を見つけることが大切です。
会社を売却する方法は複数ありますが、M&A仲介会社によって得意な売却方法、業界などが分かれます。何をどこまで行うかも異なるため、自社に適したM&A仲介会社を見つけましょう。
M&A仲介会社をお探しの際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所では、会社売買に詳しいM&Aアドバイザーが会社の売却をフルサポートします。
料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談を受け付けていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
9. 会社売却の相場
会社売却時の企業価値はどのように計算され、相場はどの程度なのでしょうか。会社を売却する金額は買い手企業との交渉で決まるため、自社が持つ強みや弱みによっても評価金額が変わります。
最もわかりやすい会社の価格は貸借対照表に表れる「自社が保有する純資産の価格」ですが、M&A交渉のベースとなるのは「企業価値」と呼ばれる評価額です。
M&A手法と相場の関係性
実は、会社の売却額相場は、どのM&A手法を取るかにより変わり、たとえば株式譲渡と事業譲渡では前者の売却額が高くなります。
というのは、株式譲渡では売り手会社が買い手会社の傘下に入るので、売り手会社が従来の取引先に対して持つ信用力やブランドが保持されるためです。
しかし、事業譲渡では経営者が交代することがほとんどであり、買い手会社の意向で事業の方針が転換することも多いため、将来のキャッシュフローが少なく見積もられます。
簡易的な算出方法
年倍法ともいわれる手法で、具体的には次の計算によって相場を求めます。
- 株式譲渡の場合 相場=純資産+(営業利益+ 役員報酬)×2(年)
- 事業譲渡の場合 相場=事業資産+事業利益×2(年)
10. M&Aによる会社売却価額の決め方(企業価値評価方法)
会社売却手続きの流れで最初のプロセスである「準備段階」において、自社の企業価値評価(バリュエーション=valuation)を行うことを説明しました。この企業価値評価方法には、M&Aの現場において確立された専門的な算出方法が複数あります。
さまざまな企業価値評価方法を大別すると、それは以下の3種類です。それぞれの概要を説明します。
①コストアプローチ
売却企業の純資産に着目し、それをベースに企業価値評価を行うのがコストアプローチの手法です。端的には、主として貸借対照表の各数値から計算を行います。客観的かつ比較的簡易に算定できるのが特徴です。
具体的なコストアプローチの代表例としては、「時価純資産法」や「簿価純資産法」などがあります。
簿価純資産法
簿価純資産法とは、帳簿上の資産合計から負債合計を差し引いて純資産を算出しそれを株式価値とする方法です。
会計上の帳簿価格に基づいた企業価値の算出方法のため客観性を保つことができる点がメリットです。また、計算が簡単であるため作業がほとんどないです。
一方、デメリットとしては、資産や負債の帳簿価格と時価に差がある場合は帳簿の価格に基づき計算するため、簿価純資産は実態と乖離している可能性があります。
時価純資産価額法
時価純資産価額法とは、帳簿上の全ての資産と負債を時価で再評価し、純資産の金額を計算して企業価値を求める方法です。無形資産も含めて計算します。無形資産に該当するものには、従業員・スキル・ノウハウ・技術・ブランド力・特許・商標権などがあります。
従業員の技術や特許などは企業によって企業ごとに違うため、算出に含めることで低いと感じていた企業価値が実は高かったというケースもあり得ます。
計算が簡単で、客観的な評価ができる点がメリットです。帳簿上の資産や負債の時価も反映されているため、実際の企業価値に近いです。
一方デメリットには、収益性が考慮されない点や評価の前提である帳簿金額が間違っていた場合は適切に評価できない点が挙げられます。
②マーケットアプローチ
マーケットアプローチとは、株式市場やM&A市場での他社の取引価額をベースとして企業価値評価を行うことです。
具体的には、上場企業や公表されているM&A実施企業のなかから、売却企業と同業種・同規模の会社を探し、その会社の株価やM&A実施時の売却価額を参照するものです。客観性に優れる方法ですが、同業種・同規模の会社が見つからないと実施できません。
具体的なマーケットアプローチの代表例としては、「類似企業比較法」や「類似取引比準法」などがあります。
類似会社比準法(マルチプル法)
類似会社比準法(マルチプル法)では、同じような事業を行っている上場企業の株価をベースとして算出する方法です。
メリットは、類似の複数の上場会社を選び、数値から倍率をベースに株式価値を算定するため客観性の高い結果が得られることです。
一方デメリットは、対象会社に近い事業規模の企業が存在しないケースがある点や主観的な判断が入る可能性や、個別の事象を反映できない点が挙げられます。
③インカムアプローチ
売却企業が、今後に生み出すであろうキャッシュフローや利益を算出し、そこにリスクも勘案して企業価値評価を行うのがインカムアプローチです。具体的には、売却企業の中期計画をベースとして企業価値を導き出します。
売却企業の現在の価値だけではなく、将来の収益力も勘案している点で優れた企業価値評価方法です。しかし、そのベースとなる中期計画において、計画作成者の恣意性が加わる可能性は否定できず、その点で信頼性が揺らぎます。
具体的なインカムアプローチの代表例としては、「DCF(Discounted Cash Flow=割引キャッシュフロー)法」や「配当還元法」などがあります。
DCF法
DCF法は、将来期待できるキャッシュフローを現在価値に割り引くことで企業価値を求める方法です。
メリットは、対象会社の事業計画を基に株式価値を算定するため、現在の収益率が芳しくなくても将来の利益計画が明確であれば、買収の妥当性などが検討しやすい点です。
一方でデメリットは、対象会社の作成した事業計画であるため、作成側の主観や恣意性が入りやすいことです。事業計画の損益の妥当性やシナジー効果など、自社の評価を高く見積もってしまう可能性もあるため、結果として事業価値が変わってしまうケースもあります。
複雑な企業価値の算出はM&A専門のアドバイザーにお任せ
会社売却の際は、数多くの複雑な手続きが待っています。企業価値価額の算出は最たる例でしょう。「どういった算出方法で企業価値を導き出せばいいのかわからない」ときは、M&A専門のアドバイザーによるサポートがおすすめです。
M&A総合研究所には、会社売却に関する知識・経験豊富なM&Aアドバイザーが在籍しています。難しい企業価値価額の算出はもちろん、案件を親身になってフルサポートします。
M&A総合研究所の料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)
無料相談を随時お受けしておりますので、M&Aをご検討の際はお電話・Webよりどうぞお気軽にお問い合わせください。
11. 会社売却で発生する税金
会社売却を行った場合、その利益は課税対象となるため、あらかじめ把握しておくことが必要です。ここでは、会社売却で発生する主な税金を紹介します。
株式譲渡の税金
株式譲渡を行った際は、経営者(株主)が得た株式譲渡所得に対して20.315%が課税されます。分離課税方式がとられており、所得税15%・住民税5%・復興特別所得税0.315%(2037年まで)という内訳です。
株式譲渡所得は「譲渡価額-(株式取得費用+譲渡手数料)」で算出しますが、株式売却価額が所得税法上の評価額とが大きく違う場合は追徴課税の対象となる可能性もあります。
事業譲渡の税金
事業譲渡の場合、譲渡対価を受け取るには企業となるため、経営者個人への課税はありません。企業が得た譲渡益に対して法人税と消費税がかかります。
法人税の実効税率(実質的な所得税負担率)は現行で約30%です。また、事業譲渡益は「譲渡価額-(譲渡対象資産-譲渡対象負債)」 で算出されます。
合併の税金
合併の際に発生する税金は、適格合併と非適格合併とで変わります。適格合併に該当している場合は、株主・存続会社・消滅会社ともに原則として税金はかかりません。
適格合併として認められるためには要件を満たす必要があり、同一グループ内での統合であることなどが細かく決められています。
非適格合併の場合は、消滅会社に法人税(含み損益に対して計算)がかかり、消滅会社の株主には所得税が課されますが最大で49.44%となるため注意が必要です。
12. 会社売却で発生する費用
会社売却を行う際はM&Aの専門家にサポートを依頼することが多いため、費用(専門家への報酬)が生じます。下の表はM&A仲介会社などの専門家へ依頼した場合にかかる主な費用です。また、報酬体系は各社異なり、必ずしもすべての費用が発生するわけではありません。
内容 | 相場 | |
相談料 | 支援業務の依頼前に相談する費用 | 0~1万円 |
着手金 | 支援業務の契約締結時に発生する費用 | 0~200万円 |
月額報酬 | 業務依頼締結時~M&A成約まで毎月発生する顧問料 | 0~50万円 |
中間金 | M&Aの一定条件を達成した時点で発生する費用 (成功報酬の一部前払いとするかたちが多い) |
0~100万円 または 成功報酬の10~20%程度 |
デューデリジェンス費用 | 買収監査にかかる費用(買い手企業のみ) | 0~200万円 |
成功報酬 | M&A成約時に発生する | 買収金額×5%程度 ※取引額で料率が異なる |
上表のうち、着手金と中間金はM&Aが不成立に終わった場合でも返還されません。また、成功報酬はM&Aが成立(成約)した場合のみ支払うもので、レーマン方式と呼ばれる算出方法を採用しているところがほとんどです。
表中の金額はあくまでも目安であり、報酬体系によっても計算方法が変わります。M&A専門家に依頼する際は必ず報酬体系を確認することが重要です。
13. M&Aによる会社売却をするための準備期間
ここまで、会社売却における手続きと流れを紹介してきましたが、具体的に会社売却にはどれくらいの期間を要するのでしょうか。もし、できるだけ良い金額や条件で会社を売却しようと考えている場合、一般的に2年は必要であるといわれています。
十分な準備期間を設けず会社を売り急いでしまった場合、買い手が見つからず倒産してしまったり、買い手が見つかっても不利な条件を提示されてしまったりするかもしれません。
買い手が欲しがるような魅力を増すためにも準備期間を十分確保し、M&A仲介会社などとともに会社の内容を整理し、希望する条件や金額で会社売却を目指しましょう。
14. 会社売却前に必要な準備
会社の売却に移る前にどのような準備が必要なのでしょうか。ここでは、会社を売る前に必要な準備を順番に解説します。
①会社売却の譲渡スケジュールを決める
会社を売却する際、スケジュールは肝心です。特に、大変な作業だからこそしっかりとしたスケジュール感のもとで進めることが求められます。
スケジュールは、あまりにも短すぎると調整が忙しくなり大変です。しかし、長く取りすぎると業界を取り巻く状況が変わってしまうリスクが高くなり、好条件で売却するのが難しくなる可能性があるので注意が必要です。
M&A仲介会社には、成立までの時間が早いことを売りにしている会社もあるので、早く成立させたい場合はこの観点から探すとよいでしょう。
②会社の業績、取引先を整理しておく
デューデリジェンスや交渉に備えて、自社の業績を整理し、現在どの程度の売り上げや純資産があるのか整理しましょう。整理した内容が、買い手企業が確認する第一の情報です。
理想的には3期以上の赤字が続かない財務体質があり、過度な税金対策を行わないことが求められます。売り上げの大きさよりも利益を重視した経営を行い、できれば利益が伸びている状況を作ると成長できる会社として高く評価される可能性が高くなるでしょう。
中長期的には、しっかり売り上げを作れる状態を整える必要もあります。これにより、売却した後にもある程度稼ぎを出せる企業として評価が大きくなるでしょう。
会社の価格には、現在どの程度稼ぎ出せる力があるか、つまり「将来的なキャッシュフロー」が大きな影響を与えます。この段階でしっかりと準備しましょう。
③不透明な取引をまとめておく
不透明な取引があれば、まとめて整理しておく必要があります。不透明な取引とは、詳細がよくわからない取引や税務上問題のある取引であったり、反社会的なかかわりがある取引先などです。
このような取引が交渉段階で明らかになれば、心証が悪くなり、最悪のケースでは売却の話がなかったことになりかねません。
事前に詳細を明確にするために、税理士や会計士などにアドバイスを求めるといった対策をとることも可能です。実際に法律面や税制面で不透明な取引が行われていた場合は、事前に買い手企業に伝えましょう。
④会社を売る条件を明確にしておく
交渉ごとでは当然のことですがどこまで譲歩でき、どこからは譲歩できないのかを事前に明確にする必要があります。売却後にどのように事業を進めていきたいのかしっかりと考えておきましょう。
売却の金額やロックアップ、雇用条件に関しては、丁寧に考える必要があります。売却額も、自社のデューデリジェンスによってある程度は決定しますが、算段をつけておきましょう。
ロックアップの期間は、どの程度なら許容できるのか整理しておくと交渉しやすいです。従業員の待遇や雇用といった事項を売却条件にする場合は整理しましょう。
15. 会社売却の際に準備すべき資料
ここで、会社売却の手続きに必要な書類を確認しましょう。会社売却の際には、方法によって必要な書類が異なりますが、主なものを挙げると以下のようになります。
- 自社のPR資料
- 基本的資料
- 財務資料
- 人事資料
- 契約関連の書類
自社PR資料 | 自社をアピールできる資料 | 話題になった商品や雑誌の掲載、新聞記事など |
---|---|---|
事業計画書 | 今後3ヶ年分の見通し(中期計画書) | |
基本的資料 | 商業登記簿謄本 | 履歴事項全部証明書 |
定款 | - | |
株主名簿 | - | |
会社案内 | - | |
印鑑証明書 | 法人・代表者各1通 | |
財務資料 | 決算書など財務資料一式 | 税務申告書、決算書、勘定科目内訳書(直近3期分)、納税証明書や借入金の詳細状況など |
月次試算表 | 月単位の収支予測を事業ごとに用意 | |
土地・借地権台帳 | 不動産登記簿謄本、最新の借地権の路線価図 | |
人事資料 | 組織図 | 本社・支店・子会社・関連会社 |
役員の経歴書 | 部門長含む | |
従業員名簿 | 氏名・年齢・勤続年数・役職・給与 | |
就業規則などの規則や退職金などの規定 | - | |
契約関連書類 | 取引先との契約書 | - |
賃貸借契約書 | - | |
リース等の契約書 | - | |
保険契約書 | - | |
許認可等の写し | - | |
その他の契約書 | - |
役所に行けば手配できる資料も多いですが、自分たちで作成しなければならない資料もあります。このような資料を作るのは大仕事なので、M&A仲介会社や税理士、弁護士など専門家のアドバイスをもらいながら作成すると良いでしょう。
会社売却の契約書
上述した契約書類は相手方に提示する資料ですが、会社売却ではその実施のために新たに締結する契約書が複数あります。まずはじめに締結する必要があるのは、M&A仲介会社などとの業務委託契約です。
そして、トップ面談までに複数の買い手候補企業と秘密保持契約書を結び、M&Aについての基本的な合意となれば基本合意契約書を交わします。
基本合意後、デューデリジェンスを経て最終譲渡契約書締結の運びとなりますが、M&Aのケースにより内容・項目はさまざまです。会社法上の取り決めも特にありません。
この秘密保持契約書、基本合意契約書、最終譲渡契約書の契約書は、各種の法規制を押さえて交わす必要があるため、不備がないよう弁護士などの専門家のチェックが必要です。
会社売却を円滑に進めるためには、この3つの契約書を正確に作成しなければなりません。信頼できるM&A仲介会社などを探すことが会社売却成功の第一歩といえるでしょう。
M&A仲介会社の選び方のコツは、その実績に着目することです。実績のあるM&A仲介会社ほど、その情報網も充実している可能性が高いです。
16. 会社売却後の影響
会社売却後は、売り手企業の経営者・従業員・役員にどのような影響があるのでしょうか。ここでは、各立場のM&Aに起こりうる変化を紹介します。
経営者
売り手企業の経営者は会社売却後は代表から退き、買い手企業が新たに選出した代表へ経営を引き継ぎます。M&A後の事業運営をスムーズにするためには、買い手企業は事業内容や社員のスキルなどをよく理解したうえで戦略をたて実行する必要があります。
そのためには、売り手企業経営者の協力が不可欠であり、引き継ぎを行うために一定期間業務をあたるケースが多いです。これをキーマンロックといい、通常はその条件を取り決めて契約書に記載します。
社員
M&Aに社員の待遇は最終的に買い手企業の意向で決定されますが、中小企業がM&Aを行う場合は社員の雇用は維持されるケースがほとんどです。
M&A後は給与形態も買い手企業と同じになるケースが多く、ノウハウ・スキルを有する売り手企業の社員は即戦力として認められるため、M&Aに給与が上がるケースもよくみられます。
役員
売り手企業の役員は、会社売却後も役員として継続勤務するケースもあれば、役員という肩書がなくなるケースなどさまざまです。
どのような処遇になるかは最終的に買い手企業の意向によりますが、M&A交渉時に役員の処遇も取り決めておくとよいでしょう。
17. 会社売却において高値で売れやすい企業の特徴
会社を売却する際により高い価格で売るためには、自社が持っている事業や技術、人材、文化が高く評価される必要があります。何よりもまず誠実であることが重要です。
一般的に企業の売買が行われる際は、デューデリジェンスと呼ばれる企業価値を判断するための調査が入ります。デューデリジェンスは、法務や財務、ビジネスモデル、人事、環境などの切り口から行われるのが一般的です。
その際、引け目を感じてネガティブ要素を隠していることが判明すると、買い手企業への印象が非常に悪くなり、信用を失うことにもつながりかねません。会社売却において高値で売れやすい企業には、以下の特徴があります。
- 特許や技術を持っていること
- 業界が成長していること
- シェアを持っていること
- 優秀な従業員が定着していること
- 取引先などの顧客リストが充実していること
- 誠実に対応すること
これらはどれも重要なポイントで、会社の価格を決める際に大きな影響を与えます。買い手企業の心理を考えると、充実した顧客リストや独自の技術などを持ち、優秀な従業員が定着しているシェアを押さえた会社は非常に魅力的に映るでしょう。
18. 会社売却の成功事例10選
ここでは、実際に行われた会社売却の成功事例を5つ紹介します。
コネクシオによるノジマへの会社売却
2023年2月、ノジマは携帯電話の販売・卸売りを行うコネクシオのプライム市場上場の株式を公開買付けにより取得することを発表しました。
ノジマは本M&Aにより店舗運営の効率化、接客サービスの高品質化、ノジマ、ノジマの グループ会社及び対象者において展開している法人事業の成長加速化及び経営基盤の共通化や 事業のデジタル化に伴う投資の効率化等の領域において連携及び協力を進めていくとしています。
テスパックによる中央倉庫への会社売却
2023年1月、テスパックは中央倉庫へ全株式を売却し、中央倉庫の子会社化を発表しました。
テスパックは、梱包〜通関手続きの代行までを一貫して受注できる体制と梱包の専門業者として高い技術力を有する企業です。
中央倉庫はテスパックが保有する優秀な人材や営業基盤と中央倉庫の経営資源を融合し、梱包事業の一層の態勢強化を図るとしています。
sweeepによるfreeeへの会社売却
2023年1月、sweeepはfreeeへ会社売却を行い、freeeの完全子会社化を発表しました。
sweeepは請求書の受取・仕訳・振込・保管を自動化するサービスやビジネス文書に特化した電子帳簿保存法対応のクラウドキャビネットとして「sweeep」シリーズを展開している企業です。
freeeはインボイス制度への対応を見据え、意思決定の迅速化やグループ内の一層の連携強化を通じて企業価値の向上を図るとしているとしています。
エイベックス通信放送によるNTTドコモへの会社売却
2022年11月、エイベックス通信放送はNTTドコモへ会社売却をし、ドコモの子会社になることが決定しました。
エイベックス通信放送を子会社化することで、より迅速な意思決定を可能とし映像事業の更なる強化をめざすとしています。
日水製薬による島津製作所への会社売却
2022年5月、日本水産傘下の日水製薬は島津製作所への会社売却を発表しました。島津製作所は完全子会社化を目的にTOBを実施すると発表しました。
日水製薬と島津製作所はが従来の事業領域や、新たに遺伝子検査薬への注力により、対象者からの要請により公開買付者製ノロウイルス検出試薬キットでの販売提携を開始した 2015年以降現在に至るまで、臨床検査市場での業務提携を通じて関係を築いてきました。
島津製作所は試薬の開発製造能力や販売サービス網と、強みであるハードウェアなどを組み合わせ、臨床検査市場での新たな価値創出を図り、新たな協業の機会の創出に積極的に取り組んでいきたいとしています。
motoによるログリーへの会社売却
2021年4月、転職メディアを運営するmotoは全株式をログリーへ売却しました。譲受側のログリーは、ネイティブ広告配信プラットフォ運営する企業です。
売却側のmotoが運営する「転職アンテナ」では、代表取締役CEO戸塚氏の実体験に基づくコンテンツが人気を得ています。
本M&Aの目的は広告配信ジャンルの拡大であり、両社のノウハウ・データを組み合わせることで新しい事業が生み出せるとし、取得に至りました。
取得価額は約7億円であり、そのほかアーンアウトによる成功報酬(最大3億円)も設定されています。
武田薬品工業によるブラックストーン・グループへの子会社売却
2021年3月、武田薬品工業は連結子会社の武田コンシューマーヘルスケアの全株式を、アメリカのブラックストーン・グループと関係会社運用のPEファンドが管理するOscar A-Coへ売却しました。譲渡価額は約2420億円です。
武田薬品工業は医薬品の研究開発および製造販売を中心に事業展開しており、売却した武田コンシューマーヘルスケアは医薬品および医薬部外品・食飲料品などの研究開発と製造販売を手掛けています。本M&Aの目的は、事業ポートフォリオの最適化です。
オリンパスによるロート製薬への子会社売却
2021年3月、大手電子機器メーカーのオリンパスは子会社であるオリンパスRMSの全株式をロート製薬へ売却しました。
オリンパスRMSは再生医療技術を専門としており、軟骨細胞を使用した関節治療の研究開発を手掛けています。本M&Aの目的は、ロート製薬における再生医療事業の領域拡大と成長促進です。
ロート製薬は、オリンパスRMSのノウハウを取り込むことで、注力事業である再生医療分野の成長を図るとしています。
三井E&Sホールディングスによるベインキャピタルへの子会社売却
2020年1月、三井E&Sホールディングスは子会社の昭和飛行機工業の全保有株式を、アメリカの投資ファンドであるベインキャピタルへ売却すると発表しました。なお、本株式譲渡後、ベインキャピタルはTOBにより同社を完全子会社化しています。
本売却は三井E&Sホールディングスによるリストラ策の一環であり、造船事業などの不振で近年は業績が悪化が続いていました。非中核事業である昭和飛行機工業を売却し、主軸である舶用エンジンや海洋開発などにリソースを集中することが目的です。
コインチェックによるマネックスグループへの会社売却
2018年4月、コインチェックは全発行済み株式をマネックスグループへ売却しました。金融サービス業を手掛けるマネックスグループは、仮想通貨事業を「第二創業」と位置付けており、業界有数のコインチェック買収を決定しています。本買収額は36億円です。
売却側のコインチェックは、NEM(ネム)の不正流出問題で経営体制の立直しが迫られる状態だったため、両社の思惑が一致したかたちでのM&A成立となりました。
19. M&Aによる会社売却先を探すには
会社売却実施時の最大のポイントは、買い手探しといっても良いでしょう。通常、自力で探すのは難しい会社売却の相手探しについて、その有効な探し方、および依頼相手について、あらためて検証してみましょう。
会社売却の依頼先は主に下記の通りです。
①M&A仲介会社
M&A仲介会社はM&Aの専門家です。各社は、それぞれ独自のネットワークを構築し、多数の会社売却および買収希望企業の情報を持っています。
成約までに相応の手数料は発生しますが、専門的な各プロセスの手続きも安心して委託できることも含め、依頼先の第1候補です。
②各都道府県の公的機関
中小企業の後継者不足による事業承継問題は全国的な課題ですが、近年、その解決方法としてM&Aによる事業承継が注目を集めています。国や自治体も後継者難の中小企業の事業承継を推進すべく、相談先として公的機関を設立しました。
代表的なのは、各都道府県で組成された事業承継ネットワークと、その中核的存在である事業引継ぎ支援センターです。事業引継ぎ支援センターは、中小企業庁からの委託事業として各都道府県で設置されました。
そして、事業引継ぎ支援センターを中心として各都道府県で構成されたのが事業承継ネットワークです。その構成メンバーは、自治体、商工会・商工会議所、金融機関、士業団体、その他の公的機関などで、どの機関に行っても無料で相談できるメリットがあります。
ただし、具体的に会社売却が進んでいく場合、そのサポートには民間のM&A仲介会社が紹介・斡旋されることになるので、その意味では最初からM&A仲介会社に相談した方が話が早いかもしれません。特に現在、ほとんどのM&A仲介会社は無料相談を受け付けています。
20. 会社売却のまとめ
今回は、会社売却のメリットとデメリット、そして売却に関する知識をさまざまな角度から紹介しました。会社を売却するメリットとデメリットをよく理解したうえで、より良い結果が出るよう努めましょう。
会社売却をしたくてもM&Aを自力で進めることは困難です。自社に合ったM&A仲介会社の利用をおすすめします。
M&A・事業承継のご相談ならM&A総合研究所
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