会社分割(吸収分割・新設分割)とは?わかりやすく解説!

Medium
この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

会社分割とは、事業の一部または全部を承継する手法を指します。本記事では、会社分割とはどのような手法なのかについて、特徴やメリット・デメリット、手続き方法などをわかりやすく解説します。また、実際に会社分割が行われた事例も併せてご紹介します。

目次

  1. 会社分割とは
  2. 会社分割が活用される場面
  3. 会社分割のメリット・デメリット
  4. 会社分割の手続き
  5. 会社分割における労働契約の承継等に関する法律手続き
  6. 会社分割の際の簡易組織再編と略式組織再編
  7. 会社分割の税務
  8. 繰越欠損金を引き継ぐための要件
  9. 会社分割が行われた事例
  10. 会社分割の相談先
  11. まとめ
  • 今すぐ買収ニーズを登録する
  • 公認会計士がM&Aをフルサポート まずは無料相談

1. 会社分割とは

会社分割とは

会社分割とは、事業を切り離して別の会社に引き継ぐ手法のことです。会社分割はM&Aの際に用いられたり、グループ企業の再編に用いられたりします。会社分割と似たような手法に事業譲渡があります。

また、会社分割には吸収分割と新設分割があり、それぞれ主な目的や分割方法が違います。まずは会社分割について、吸収分割と新設分割の違いや、事業譲渡との違いなどを解説します。

吸収分割とは

吸収分割とは、会社の一部事業、または全部の事業を既存の他企業に引き継ぐ手法です。吸収分割には、分社型吸収分割と分割型吸収分割があります。

分社型と分割型の主な違いは、事業を引き渡した対価を誰がもらうかという点です。ここでは、分社型吸収分割と分割型吸収分割について解説します。

①分社型吸収分割

分社型吸収分割とは、事業を引き渡した対価を売り手企業が受け取る場合の呼び方です。事業の売り手企業が、対価として買い手企業の株式を受け取った場合、買い手企業は売り手企業の株主になります。

売り手企業が、すべての事業を買い手企業に引き渡すと、買い手企業は、売り手企業を完全子会社化することになります。

分社型吸収分割は、売り手企業と買い手企業の親子関係、言い換えると縦の関係を築く際によく用いられる手法です。

②分割型吸収分割

分割型吸収分割とは、事業を引き渡した対価を、売り手企業の株主が受け取る場合の呼び方です。

売り手企業の株主が対価として買い手企業の株式を受け取ると、株主は売り手企業と買い手企業両方の株式を保有することになります。

分社型吸収分割は、売り手企業と買い手企業の兄弟関係、言い換えると横の関係を築く際によく用いられる手法です。

新設分割とは

新設分割とは、会社の一部事業、または全部の事業を、新しく設立した会社に引き継ぐ手法です。

新設分割にも吸収分割と同様、分社型と分割型があります。分社型新設分割と分割型新設分割の違いもまた、事業を引き渡した対価のもらい先です。

①分社型新設分割

分社型新設分割とは、事業を引き渡した対価を売り手企業が受け取る場合の呼び方です。売り手企業は、事業を引き渡した対価として新設会社の株式を受け取り、新設会社の子会社となります。

売り手企業がすべての事業を引き渡すと、新設会社は売り手企業の完全子会社化となります。分社型新設分割は、持株会社化する際などに適した手法です。

②分割型新設分割

分割型新設分割とは、事業を引き渡した対価を売り手企業の株主が受け取る場合の呼び方です。

売り手企業の株主は、事業を引き渡した対価として新設会社の株式を受け取り、売り手企業と新設会社両方の株式を保有することになります。

分割型新設分割は、グループ企業の再編を行う際に適した手法です。

③共同新設分割

共同新設分割とは、2社以上の売り手企業がそれぞれ事業を分割し、新設会社に引き渡す手法のことです。

例えば、グループ企業の親会社と子会社から、それぞれ一部事業を切り離し、新設会社に引き継ぐといった形です。

分割会社とは

分割会社とは、会社分割における事業の売り手側の呼び方です。分割契約書などの公的な書面では、売り手企業を分割会社と呼びます。

本記事では、これ以降、売り手側の呼び方を分割会社で統一して解説します。

【関連】承継会社とは?意味や分割会社との違いを解説!

分割承継会社とは

分割承継会社とは、会社分割における事業の買い手側の呼び方です。単に承継会社と呼ぶこともあります。吸収分割の場合は買い手の既存企業、新設分割の場合は新設会社が該当します。

本記事では、これ以降、買い手側の呼び方を分割承継会社で統一して解説します。

事業譲渡との違い

会社分割と似たような手法として、事業譲渡があります。事業譲渡とは、売却する事業に関連した資産を個別に取引する売買行為のことです。

会社分割と事業譲渡には手続き面や税金面などに多くの違いがありますが、大きな違いは、組織再編行為と売買行為である点、包括承継と個別承継である点です。

会社分割は組織再編行為に該当し、事業譲渡は売買行為に該当します。また、会社分割は事業を包括的に引き継ぐのに対して、事業譲渡は事業資産を個別に選択することができます。

【関連】事業譲渡のキホン!手続きの流れや従業員の処遇、譲渡範囲を徹底解説!

2. 会社分割が活用される場面

会社分割が活用される場面

会社分割は大きく分けて、以下の場面で用いられます。

  1. M&Aの手法として活用
  2. グループ内の再編を実行するために活用

①M&Aの手法として活用

会社分割はM&A手法の1つとして用いられます。分割会社の目的としては、会社のスリム化、不採算事業の切り離し、分割承継会社との協力関係の構築などがあります。

分割承継会社の目的としては、事業規模の拡大、新規事業の取得、技術・人材の獲得などがあります。

②グループ内の再編を実行するために活用

会社分割は、グループ企業内再編の際によく用いられる手法です。会社分割には、優遇税制や簡易手続きがあり、グループ企業内再編の場合、要件を満たせばこれらの恩恵を得られるメリットがあります。

また、事業譲渡よりも会社分割の方が、規模の大きい事業の承継に向いていることから、大企業の再編にもよく用いられる手法です。

3. 会社分割のメリット・デメリット

会社分割のメリット・デメリット

会社分割にはさまざまなメリットがありますが、当然デメリットも存在しています。会社分割を行う際は、主なメリット・デメリットを把握しておきましょう。

会社分割のメリット

会社分割には主に以下のメリットがあります。

  1. 株式を対価にするため資金が不要
  2. 資産や契約関係を移転させる手続きが不要
  3. 一部事業のみの譲渡する事ができる
  4. 買収秀によるシナジー効果が得やすい
  5. 他のM&A手法と違い税金の負担が少ない

①株式を対価にするため資金が不要

株式譲渡や事業譲渡などの買収手法では、買収資金を用意しなければなりません。自社に資金がなければ金融機関から借り入れるなど、債務を抱えることになります。

しかし、会社分割では株式を対価として用いることができるので、現金を用意しなくても事業の買収が可能です。

②資産や契約関係を移転する手続きが不要

類似手法である事業譲渡の場合は、従業員や取引先、許認可などの各種契約を、個別にし直さなければなりません。

しかし会社分割では、基本的に契約もそのまま引き継がれるので、事業譲渡に比べて手続きが少なく済みます。

そのため、規模の大きい事業を引き継ぐ際は、事業譲渡よりも会社分割の方が向いています。

③一部事業のみ譲渡する事ができる

株式譲渡や株式交換、株式移転などの手法は会社の経営権を引き継ぐことはできますが、一部事業のみを引き継ぐことはできません。

そのため、必要のない事業も引き継ぐことになります。しかし、会社分割であれば必要な事業のみを引き継げるので、無駄のない譲渡が可能です。

④買収によるシナジー効果が得やすい

会社分割では、関連性の高い事業のみを引き継ぐことができるので、事業シナジーが得やすいメリットがあります。

例えばアパレル企業が、アパレル事業と太陽光発電事業を営んでいる企業を買収した場合、太陽光発電事業は一般的に事業シナジーが得難い事業となります。

しかし、会社分割でアパレル事業のみを取得できれば、同種事業同種事業シナジーが期待できます。

⑤他のM&A手法と違い税金の負担が少ない

事業譲渡の場合は税制適格要件がないので、基本的に税金を安くすることはできませんが、会社分割は適格要件を適用できれば、税金を安く抑えることができます。

また、事業譲渡は消費税が課せられる資産があるので、税金が高くなりがちです。一方、会社分割の事業資産には、消費税がかかりません。

会社分割のデメリット

会社分割には以下のデメリットがあります。

  1. 買い手企業の株価が下落するリスクがある
  2. 結果として買収した企業の株主が買い手企業の株主となる
  3. 負債や債務を引き継ぐ必要がある
  4. 経営統合プロセスがスムーズに進まない可能性
  5. 株式総会にて特別決議など多くの手続きが必要になる

①買い手企業の株価が下落するリスクがある

会社分割では、株式を対価とすることがほとんどなので、分割承継会社は株価が下がる場合があります。

対価として新株を発行し、分割会社に交付した場合、株式数が増えているので1株あたりの価値は下がり、一時的に株価は下がりやすくなります。

②結果として買収した企業の株主が買い手企業の株主となる

会社分割では、分割承継会社が株式を対価として分割会社の株主に交付することから、分割会社の株主は、結果的に分割承継会社の株主にもなります。

全員友好的な株主であれば問題ありませんが、敵対的な株主がいた場合には、後々問題になりかねません。

③負債や債務を引き継ぐ必要がある

事業譲渡を用いた場合、個別に事業資産を取得できるので、債務を引き継ぐ必要はありません。

それに対して、会社分割は引き継ぐ事業資産を選択できないので、債務も引き継ぐ必要があります。

しかし会社分割には、事業譲渡にはないメリットも多いので、専門家のアドバイスなどを基に、慎重に選択することが重要です。

④経営統合プロセスがスムーズに進まない可能性

株式譲渡などの買収手法であれば、経営権が移るだけで、会社内の組織再編はそれほど必要ありません。

しかし会社分割では、事業が統合されるので、システムやルール・従業員の意思統合などを、綿密に行う必要があります。

統合プロセスが円滑に進まないと、事業シナジーが得られないばかりか、経営に支障が出ることにもなり得るので注意が必要です。

⑤株式総会にて特別決議など多くの手続きが必要になる

会社分割では事業譲渡のように、株主や債権者などから個別に同意を得る手続きは必要ありませんが、債権者保護や反対株主への対応、労働者・労働組合との協議などの手続きは必要です。場合によってはこれらの対応に時間がかかることもあります。

一方、簡易会社分割や略式会社分割の要件を満たせば、株主総会の特別決議を省略することも可能です。

【関連】会社分割のメリット・デメリットを詳しく解説!

4. 会社分割の手続き

会社分割の手続き

ここからは会社分割の手続きについて、吸収分割と新設分割に分けて解説します。

吸収分割の場合

吸収分割では主に以下の手続きを行う必要があります。

  1. 吸収分割に関する基本合意書の締結
  2. 各社の取締役会の承認
  3. 吸収分割契約の締結
  4. 吸収分割契約書などの事前開示
  5. 吸収分割会社の株主総会の特別決議・承認
  6. 反対株主の株式買取請求通知
  7. 債権者保護手続き
  8. 吸収分割書面などの事後開示
  9. 各社の変更登記

①吸収分割に関する基本合意書の締結

吸収分割を実施することが決まったら、分割会社と分割承継会社で基本合意書を締結します。以下は、基本合意書に記載する事項の一例です。

  • 吸収分割の目的
  • 吸収分割のスケジュール
  • 吸収分割の対価
  • 分割する事業の内容

②各社の取締役会の承認

基本合意が締結されたら、本契約に進む前に、業務執行決定機関で承認を得なければなりません。取締役会がある場合は、取締役会での承認が必要です。

③吸収分割契約の締結

合意内容に問題がなければ、吸収分割契約を締結します。吸収分割契約書の内容は、基本合意書と同じです。また、基本合意書の締結はせずに、直接本契約を行う場合もあります。

④吸収分割契約書などの事前開示


分割会社と分割承継会社は、吸収分割契約書などの事前開示書類を会社の本店に備え置くことが、法令で定められています。事前開示書類は、吸収分割の効力発生日から6ヶ月の間、備え置かなければなりません。

⑤吸収分割会社の株主総会の特別決議・承認

吸収分割を行うには、株主総会の特別決議で承認が必要です。株主総会の招集通知は開催日の1週間前まで、上場企業は、2週間前までに送付しなければなりません。

非上場企業でも書面投票や電子投票を行う場合は、2週間前までに送付する必要があります。

株主総会の承認

吸収分割実施の承認を得るには、株主総会の特別決議に議決権を持つ株主の過半数以上が出席し、3分の2以上の承認を得なければなりません。

なお、下記の要件を満たすと、株主総会の特別決議を省略することができます。

  • 簡易組織再編による承認 = 分割会社と分割承継会社は、簡易会社分割に該当すると株主総会の特別決議を省略できる。簡易会社分割とは、吸収分割によって株主に与える影響が少ない場合に適用される措置のこと。
 
  • 略式組織再編による承認 = 略式会社分割に該当すると、株主総会の特別決議を省略できる。略式会社分割とは、分割会社と分割承継会社が、特別支配関係にある場合に適用できる制度。

⑥反対株主の株式買取請求通知

分割会社と分割承継会社は、吸収分割に反対の場合は株式を買い取る旨を反対株主に通知する必要があります。

一般的に反対株主への通知は、吸収分割を実施する通知や、株主総会開催の通知と共に送付します。

⑦債権者保護手続き

吸収分割では、債権者から個別に承認を得る必要がない代わりに、債権者保護手続きを行う必要があります。

債権者保護手続きとは、吸収分割によって、債権者が権利を行使できないなどの不利益を被らないようにするための手続きです。官報公告と個別催告によって、債権者に異議申立ての権利があることを周知します。

⑧吸収分割書面などの事後開示

分割会社と分割承継会社は、吸収分割の効力発生日以降速やかに事後開示書類を本店に備え置かなければなりません。事後開示書類とは、吸収分割に関する重要事項を記載した各種書類のことです。

⑨各社の変更登記

分割会社と分割承継会社は、効力発生日から2週間以内に登記を行う必要があります。登記の際には、登録免許税と、吸収分割を行ったことを周知するための官報公告費などが必要になります。

新設分割の場合

新設分割の手続きは、以下の手順で行われます。

  1. 分割会社の取締役会の決議
  2. 新設分割計画書の作成
  3. 新設分割計画書などの事前開示
  4. 新設分割会社の株主総会の特別決議・承認
  5. 反対株主の株式買取請求通知
  6. 債権者保護手続き
  7. 新設分割書面などの事後開示
  8. 新設会社の設立登記・各社の変更登記

①分割会社の取締役会決議

分割会社は取締役会での承認が必要です。取締役会決議では、新設分割契約書の承認や株主総会の開催について決議を行います。

②新設分割計画書の作成

新設分割では、新設分割計画書の作成と締結を行います。新設分割計画書の内容例は以下の通りです。

  • 新設会社の定款記載事項や役員など
  • 承継する資産や権利義務
  • 分割対価
  • 新設会社の資本金など
  • 新設分割のスケジュール

③新設分割計画書などの事前開示

分割会社は新設分割契約書など、会社法で定められた書類を本店に備え置く必要があります。事前開示書類は新会社設立から6ヶ月間備え置きます。

④新設分割会社の株主総会の特別決議・承認

分割会社は株主総会の特別決議で、新設分割を行う承認を得る必要があります。

株主総会の招集通知は吸収分割と同様、開催日の1週間前まで、上場企業は2週間前までに送付しなければなりません。また、非上場企業で書面投票や電子投票を行う場合は、2週間前までに送付しなければなりません。

また、分割会社が新設分割について株主総会の承認を得るには、吸収分割と同様、株主総会の特別決議に議決権を持つ株主の過半数以上が出席し、3分の2以上の承認を得る必要があります。

新設分割の場合、分割会社は下記の要件を満たすと、株主総会の特別決議を省略することができます。
 

  • 簡易組織再編による承認 = 新設分割では、承継資産が分割会社の総資産額の2割以下の場合、簡易新設分割を適用できる。
 
  • 略式組織再編による承認 = 吸収分割では略式組織再編が可能ですが、新設分割では略式組織再編は認められいない。

⑤反対株主の株式買取請求通知

分割会社は、新設分割に反対の場合は株式買取請求を受け付ける旨を株主に通知します。通知の際は、新設分割実施のお知らせや株主総会招集通知と共に送付可能です。

⑥債権者保護手続き

分割会社は、官報公告と個別催告で債権者の異議申立てを受け付ける旨を通知します。ただし、新設分割後も債権者の権利に影響がない場合は、債権者保護手続きを省略できます。

⑦新設分割書面などの事後開示

新設会社の設立日を迎えたら、新設分割書面などの必要書面を6ヶ月間本店に備え置く必要があります。

⑧新設会社の設立登記・各社の変更登記

新設会社の設立日を迎えたら、分割会社は変更登記、新設会社は新設登記を行います。変更登記と新設登記は、同じタイミングで行う必要があります。

5. 会社分割における労働契約の承継等に関する法律手続き

会社分割における労働契約の承継等に関する法律手続き

会社分割では、労働契約承継法によって労働者保護手続きを行う必要があります。また、大企業・上場企業の場合、金融商品取引法や独占禁止法に抵触しないよう注意が必要です。

会社分割で必要な以下の手続きについて解説します。

  1. 公正取引委員会、監督官庁などへの事前確認
  2. 契約書類などの開示臨時報告書の提出
  3. 労働者・従業員への理解
  4. 労働組合との事前協議
  5. 労働組合・労働者・従業員への通知
  6. 労働者の意見申述
  7. 公正取引委員会への事前届出

①公正取引委員会、監督官庁などへの事前確認

大企業の場合、会社分割によって事業規模が拡大し、独占禁止法に抵触する可能性があります。

独占禁止法に抵触すると、会社分割スケジュールが遅れたり、中止になったりする可能性があります。

そのため、独占禁止法に抵触する恐れがある場合は、公正取引委員会などにあらかじめ確認しておくことが重要です。

②契約書類などの開示臨時報告書の提出

上場企業で金融商品取引法の定める組織再編行為に当てはまる場合、その企業は臨時報告書や有価証券届出書、有価証券通知書を提出する必要があります。

③労働者・従業員への理解

労働契約承継法では、会社分割を実施する際の労働者保護を重視し、労働者への理解を示すこと、また労働者から理解を得ることを義務付けています。

具体的には、労働者との協議や、労働者からの異議申立ての受け付けを行う必要があります。

④労働組合との事前協議

労働契約承継法では、分割会社は労働組合・労働者と事前協議を行うことを義務付けています。協議内容の例は以下の通りです。
 

  • 労働者が働く会社の情報
  • 労働者が従事する仕事内容
  • 労働者の意思を聴き取り

⑤労働組合・労働者・従業員への通知

分割会社は分割契約に該当する労働者や労働組合に対して、労働者の意思決定に必要な情報を記載した書面と共に、異議申立てを受け付ける旨を通知します。

⑥労働者の意見申述

分割契約に該当する労働者は、異議がある場合会社に対して異議申立てを行うことができます。異議申立てができる条件は以下の通りです。
 

  • 分割事業に専ら従事しているにもかかわらず、承継先に移る取り決めがされていない場合、異議申立てによって、承継先に移ることが可能
  • 分割事業に従事していないにもかかわらず、承継先に移る取り決めがされている場合、異議申立てによって分割会社に残ることが可能

⑦公正取引委員会への事前届出

会社分割によって独占禁止法に抵触する恐れがある場合、公正取引委員会へ事前に届け出をしておくことで、会社分割手続きを円滑に行うことができます。

公正取引委員会による調査は、時間がかかることがあるので、余裕を持って届け出ておく必要があります。

6. 会社分割の際の簡易組織再編と略式組織再編

会社分割の際の簡易組織再編と略式組織再編

会社分割のような組織再編行為では、一定の要件を満たすと簡易組織再編や略式組織再編に該当し、手続きを簡略化できます。

簡易組織再編とは

分割会社と分割承継会社は、以下の要件を満たすと簡易会社分割を適用することができます。簡易会社分割とは、以下の場合に株主総会の特別決議を省略できる制度です。
 

  • 分割会社 = 承継資産が分割会社の総資産額の2割以下の場合
  • 分割承継会社 = 承継の対価が分割承継会社の純資産額の2割以下の場合

略式組織再編とは

略式会社分割に該当すると、株主総会の特別決議を省略できます。略式会社分割とは、分割会社と分割承継会社が特別支配関係の場合に適用できる制度です。

特別支配関係とは、親会社が子会社の議決権を9割以上持つ親子関係のことです。吸収分割が承認されることは間違いないため、子会社側は株主総会の特別決議を省略できます。

7. 会社分割の税務

会社分割の税務

会社分割では、一定の要件を満たすことで適格要件を適用できます。

税制適格分割要件とは

税制適格分割要件とは、会社分割によって承継する資産や負債を簿価で引き継ぐことができる特例措置のことです。

グループ企業内の会社分割で、一定の要件を満たしている場合に適用されます。

税制非適格分割要件とは

税制非適格分割要件とは、会社分割によって承継する資産や負債を時価で引き継ぐ際の要件です。グループ企業外でのM&Aの場合などは適格要件が適用されず、非適格となります。

共同事業適格要件とは

共同事業適格要件とは、グループ企業同士以外の会社分割であっても、一定の要件を満たすことで優遇措置を利用できる制度です。

共同事業適格要件では、事業の類似性や事業規模の同等性などが、判断基準になります。

【関連】M&Aの税務を解説!税制適格・非適格って何?

8. 繰越欠損金を引き継ぐための要件

繰越欠損金を引き継ぐための要件

会社分割では、一定の要件を満たすことで繰越欠損金を引き継ぐことができます。繰越欠損金とは、将来に繰り越せる赤字のことです。

繰越欠損金を引き継ぐことにより、節税が可能になります。

税制適格分割要件の場合

適格分割の場合、分割会社は繰越欠損金を制限なく利用できますが、既存の分割承継会社は利用に制限があります。また、新設会社は繰越欠損金を利用できません。

税制非適格分割要件の場合

非適格分割の場合、分割会社は繰越欠損金を制限なく利用できます。また、既存の分割承継会社は条件によって利用できます。新設会社は利用することができません。

共同事業適格要件の場合

グループ企業以外同士の会社分割であっても、みなし共同事業要件で認められれば、繰越欠損金を利用することができます。

みなし共同事業要件とは、事業の関連性・事業規模の同等性・事業の継続性により、判断されます。

9. 会社分割が行われた事例

会社分割が行われた事例

実際に会社分割が行われた事例を以下の5件ご紹介します。

  1. マイネットグループとINDETAILによる会社分割
  2. トーカイとイビデン産業による会社分割
  3. マーケットエンタープライズとプロトコーポレーションによる会社分割
  4. クラウディアホールディングスと内田写真による会社分割
  5. 商船三井とパーソルテンプスタッフによる会社分割

①マイネットグループとINDETAILによる会社分割

オンラインゲームの運営などを行うマイネットグループは、子会社のマイネットゲームスを通じて、同じくオンラインゲームの運営などを行うINDETAILのオンラインゲーム事業を吸収分割により取得しました。

これにより、マイネットグループは、オンラインゲームサービスの種類をさらに充実させています。

【関連】ゲーム会社の買収・M&A・売却の完全マニュアル【相場/成功事例あり】

②トーカイとイビデン産業による会社分割

介護関連事業を営むトーカイは、同じく介護関連事業を営むイビデン産業の福祉用具関連事業を、会社分割により取得しました。

全国で介護関連事業を行っているトーカイは、イビデン産業の事業を取得することで、中部地方の事業基盤を固める計画です。

③マーケットエンタープライズとプロトコーポレーションによる会社分割

買取専門サイトなどを運営するマーケットエンタープライズは、生活系情報サイトの運営などを行うプロトコーポレーションの買取比較サイト「おいくら」事業を、会社分割により取得しました。

これにより、マーケットエンタープライズはメディア事業にも力を入れ、買取専門サイトとのシナジー効果を見込んでいます。

④クラウディアHDと内田写真による会社分割

リゾート挙式事業などを行うクラウディアHDは、内田写真館から写真撮影事業を、会社分割により取得しました。

クラウディアHDは、挙式事業と関連性の高い写真事業を取得することで、シナジー効果や写真事業の拡大を目指しています。

⑤パーソルHDと商船三井による会社分割

パーソルHDは子会社のパーソルテンプスタッフを通じて、商船三井の子会社である商船三井キャリアサポートから人材関連事業を取得しました。

これにより、パーソルHDは人材関連事業を拡大し、商船三井キャリアサポートは、商船三井からの業務受託に注力する計画です。

10. 会社分割の相談先

会社分割の相談先

会社分割は、労働者や債権者への対応・税制の適用要件の判断など、幅広い知識や豊富な実務経験が必要となる場面の多い手法であり、円滑に進めるには専門家のサポートが不可欠です。

M&A総合研究所では、会社分割の実務経験豊富な公認会計士が専任につき、迅速で丁寧なサポートをいたします。

着手金・中間報酬は無料、成果報酬は業界最安水準
とシンプルな報酬体系を実現しています。

無料相談を行っていますので、会社分割をご検討の際は、お気軽にお問い合わせください。

【関連】M&A・事業承継ならM&A総合研究所
電話で無料相談
0120-401-970
WEBで無料相談
M&Aのプロに相談する

11. まとめ

まとめ

本記事では、会社分割の特徴や手続き方法、メリット・デメリットなどについて解説してきました。最後に会社分割の特徴を簡単にまとめます。

会社分割には以下のメリット・デメリットがあります。

メリット

  1. 株式を対価にするため資金が不要
  2. 資産や契約関係を移転させる手続きが不要
  3. 一部事業のみの譲渡する事ができる
  4. 買収秀によるシナジー効果が得やすい
  5. 他のM&A手法と違い税金の負担が少ない

デメリット
  1. 買い手企業の株価が下落するリスクがある
  2. 結果として買収した企業の株主が買い手企業の株主となる
  3. 負債や債務を引き継ぐ必要がある
  4. 経営統合プロセスがスムーズに進まない可能性
  5. 株式総会にて特別決議など多くの手続きが必要になる

会社分割の手続きは主に以下の方法で進めます。

吸収分割
  1. 吸収分割に関する基本合意書の締結
  2. 各社の取締役会の承認
  3. 吸収分割契約の締結
  4. 吸収分割契約書などの事前開示
  5. 吸収分割会社の株主総会の特別決議・承認
  6. 反対株主の株式買取請求通知
  7. 債権者保護手続き
  8. 吸収分割書面などの事後開示
  9. 各社の変更登記

新設分割
  1. 分割会社の取締役会の決議
  2. 新設分割計画書の作成
  3. 新設分割計画書などの事前開示
  4. 新設分割会社の株主総会の特別決議・承認
  5. 反対株主の株式買取請求通知
  6. 債権者保護手続き
  7. 新設分割書面などの事後開示
  8. 新設会社の設立登記・各社の変更登記

会社分割では他にも以下の手続きが必要です。
  1. 公正取引委員会、監督官庁などへの事前確認
  2. 契約書類などの開示臨時報告書の提出
  3. 労働者・従業員への理解
  4. 労働組合との事前協議
  5. 労働組合・労働者・従業員への通知
  6. 労働者の意見申述
  7. 公正取引委員会への事前届出

会社分割は、手続き面や税制面でメリットが多い手法ですが、事業の統合を円滑に進めるには専門家の協力が不可欠です。

M&A総合研究所では、会社分割の実務経験豊富な公認会計士が、フルサポートいたします。

【関連】M&A・事業承継ならM&A総合研究所

M&A・事業承継のご相談ならM&A総合研究所

M&A・事業承継のご相談なら専門の会計士のいるM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。

M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴

  1. 業界最安値水準!完全成果報酬!
  2. M&Aに強い会計士がフルサポート
  3. 圧倒的なスピード対応
  4. 独自のAIシステムによる高いマッチング精度
>>M&A総合研究所の強みの詳細はこちら

M&A総合研究所は会計士が運営するM&A仲介会社です。
企業会計に強く、かつM&Aの実績も豊富です。全国にパートナーがいるので案件数も豊富。
また、業界最安値水準の完全成果報酬制のため、M&Aが成約するまで完全無料になります。
まずはお気軽に無料相談してください。

>>【※国内最安値水準】M&A仲介サービスはこちら

  • 02
  • 03
  • 04
  • 05

関連するまとめ

新着一覧

最近公開されたまとめ