合併とはどんな手法?吸収合併や買収との違いは?メリット・デメリットを解説!

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

合併とはどのような手法なのでしょうか。吸収合併と新設合併の違いや、買収・提携といった他のM&A手法との違い、合併の手続き方法やメリット・デメリットなどについて解説しながら、合併とはどのようなものなのかについてご紹介していきます。


目次

  1. 合併とは
  2. 合併の種類
  3. 合併と他の手法の違い
  4. 合併のメリット
  5. 合併のデメリット
  6. まとめ
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1. 合併とは

合併とは

合併とはどのような手法なのでしょうか。まずは合併の定義や合併の手続き方法、合併をする意味について解説します。

合併とは

合併とは、2つ以上の法人を統合する手法のことです。合併を行うことで、2つ以上の法人格は資産や負債などを統合し、1つの法人格となります。

買収や業務提携、資本提携などの手法では、法人同士の結び付きは強くなりますが、合併のように法人格が消滅することはありません。合併とは最も結び付きの強い手法といえます。

合併の種類には吸収合併と新設合併があります。合併の種類によって手法の特徴やメリット・デメリットなどが異なります。

法的定義

吸収合併の意味は会社法第2条27号で、新設合併の意味は会社法第2条28号で定義されています。

吸収合併とは、合併後に存続する会社が合併後に消滅する会社の資産、負債、権利義務などの全てを承継する合併手法のことです。消滅会社は解散登記を行い、存続会社と同一の法人格となります。

新設合併とは、合併を行う企業同士で新たに会社を設立し、新設合併を行う当事会社の資産や負債などを新設会社に引き継ぐ合併手法です。合併当事会社は全て解散登記を行い、新設会社で1つの法人格となります。

合併の手続き

合併の手続きは以下に作成した図の流れで進んでいきます。

合併の準備段階では、債権者などへの説明と合併契約書の作成を進めます。合併契約書の作成は法令で定められています。取締役会で合併の承認を得ることができたら、各方面への告知を始めます。

合併の当事会社間で合併契約を締結したら、官報公告や個別告知、事前開示書類の備置によって合併を行うことを周知します。

株主総会で合併契約の承認を得て、反対株主や債権者の異議申し立てへの対応が済めば、予定していた合併の効力発生日を迎えることができます。

合併の効力発生日以降は、登記申請手続きと事後開示書類の備置が完了すれば合併手続きの終了となります。

合併の手続き①

合併の意味

合併することは企業にとってどのような意味があるのでしょうか。

事業にとっての意味としては、同業種の企業同士が合併することによって事業シナジーを得ることができます。また、能力の高い従業員が集まることで生産性が高まります。

合併による規模の拡大にも意味があります。同業種の合併によって、業界でのシェアを広げ、競争力を高めることができます。商品やサービスの提供を充実させることもできるようになります。

コスト削減の意味でも効果があります。合併前よりも大量仕入れや大量生産ができるようになり、コスト削減につながります。

イメージ戦略としての意味も持ちます。売り手企業は、ブランド力のある企業と合併することで信用力を得ることができます。買い手企業は、資金力や成長性のアピールになります。

企業によって合併する意味はさまざまです。メリットだけでなくデメリットもあるので、短期的な意味だけでなく長期的な意味も見通しながら合併を決定します。

【関連】吸収合併契約書の作り方・記載事項を解説!【ひな型/記載例あり】

2. 合併の種類

合併の種類

合併の種類には吸収合併と新設合併があります。合併の種類による特徴や、合併の種類ごとの違いについて解説します。

吸収合併

吸収合併とは、存続会社が消滅会社の資産、負債、権利義務など会社を丸ごと取り込む合併方法です。消滅会社は廃業します。

資本の大きい会社が資本の小さい会社を取り込む事例や、親会社が子会社を取り込む事例が大半ですが、まれに逆の事例も存在します。

法人であれば株式会社以外でも吸収合併を行います。市町村合併でも吸収合併の方式を利用します。

新設合併

新設合併とは、新しく会社を設立し、消滅会社の全ての資産、負債などを新しく設立した会社に移します。元の会社は全て解散し、新設会社が1つの法人格として経営します。

新設合併の事例は吸収合併に比べてかなり少ないですが、複数の子会社をまとめる場合などに採用されています。設計、製造、販売などそれぞれ機能が散らばっている会社を新会社として1つに統合することで事業の効率化を図る事例などがあります。

吸収合併と新設合併の違い

吸収合併と新設合併では全ての資産や負債などを引き継ぐ点は共通していますが、新設合併の場合は存続会社に消滅会社の許認可や免許まで承継することはできません。吸収合併の場合は許認可や免許も承継できる点が違いの1つです。

また、新設合併前の企業が上場企業だった場合、新設合併すると上場廃止となります。あらためて上場の手続きが必要です。吸収合併の場合は上場が維持されます。

他にも、吸収合併と新設合併では、合併の登録免許税の額にも差が出ます。吸収合併の場合は、資本金の増加分のみに対して課税されますが、新設合併の場合は、資本金自体に課税されます。

消滅会社の株主への対価にも違いがあります。吸収合併では現金による対価の交付が可能ですが、新設合併では現金の受け渡しはできません。

吸収合併は合併の一つ

合併の種類には吸収合併と新設合併がありますが、吸収合併の方がメリットが多くデメリットが少ないため、大半の合併は吸収合併のことを指しています。

また、対等合併という表現をすることもありますが、対等合併は法令で定められた合併の種類ではありません。

合併というと吸収合併というイメージが強いですが、吸収合併はあくまで合併の種類の1つのことを言います。

【関連】【保存版】吸収合併とは?吸収合併・新設合併との違いやメリット・デメリットを解説!

3. 合併と他の手法の違い

合併と他の手法の違い

合併と他の手法は、企業間の結び付きを強めるという点では似ていますが、それぞれ違った特徴があります。買収と合併の違い、提携と合併の違いについて解説します。

買収との違い

買収には株式買収と事業譲渡があります。買収とはどのような手法なのか、買収と合併の違いについて解説します。

買収とはどんな手法?

買収の種類には株式買収と事業譲渡があります。中でもよく使われるのが、株式買収の1つである株式譲渡です。

議決権のある株式の50%以上を取得すると、買収企業は被買収企業の経営権を手に入れることができます。さらに議決権のある株式の2/3以上を取得すると、支配権を手に入れることができます。支配権があると経営上重要な事項への大きな発言権を持ちます。

株式を100%保有すると、被買収企業は完全子会社となります。

また、事業譲渡は取得する事業を選ぶことができます。欲しい事業だけを切り離して取得したり、債務は引き継がないといった選択が可能です。

買収と合併の違い

株式譲渡は、株式の取得割合によって被買収企業への支配範囲が変わります。株式を100%保有して完全子会社化しても、被買収企業が消滅することはありません。

また、事業譲渡は、被買収企業を丸ごと引き継ぐ必要はありません。欲しい事業だけを切り出すことができます。事業譲渡の場合も、被買収企業は消滅しません。

一方合併は、消滅会社の全てを存続会社に移行します。一部分だけを移行することはできません。強制的に全て引き継ぐことになります。

消滅会社は解散して1つの法人格として経営することになります。

提携との違い

提携には業務提携と資本提携があります。提携の手法についてと、提携と合併の違いについて解説します。

提携とはどんな手法?

提携には業務提携と資本提携があります。業務提携とは、提携する企業同士のリソースを活用することによって、事業を効率的に行う方法のことです。共同で商品を開発したり資金協力をしたりと、さまざまな業務提携の事例があります。

資本提携とは、お互い支配権を持たない程度に株式を保有し合い、協力関係を築く方法です。業務提携に比べて提携関係は強くなります。

提携と合併の違い

提携によって支配権を持つことはありません。提携企業は独立したまま協力関係を築くことができます。その分結び付きは弱いので、提携関係の解消も比較的簡単に行うことができます。

一方合併は完全に1つの法人格となるので、協力関係の強さでは提携よりも相当強い結び付きとなります。一体化しているので、提携のように関係を解消することができません。

【関連】合併(吸収合併)と買収の違いは?M&A手法を徹底解説!

4. 合併のメリット

合併のメリット

合併には経営の一元化によるメリットや組織の大型化によるメリット、税務面のメリットなどがあります。それぞれのメリットについて解説します。

経営の一元化

合併で経営を一元化することにより、収益力の拡大と経営の効率化を図ることができます。共通部門の一元化によってコスト削減が可能になり、事業展開の一体化によって収益性が高まります。

共通部門の一元化

合併で共通部門を統合することによって、コスト削減につながり効率の良い経営を行うことができます。営業部門の事例でいうと、買収であれば買収企業と被買収企業で、使用する営業管理システムはお互いの企業にそれぞれ存在することになります。

しかし合併であれば、営業管理システムを一元化することができます。システム管理費は大幅に削減できます。

事業展開の一体化

合併当事会社同士の既存顧客や販売ネットワーク、取引先などを一体化することで、より効果的な事業展開ができるようになります。

顧客数の増加、顧客単価アップ、新規顧客の獲得など、事業展開がしやすくなるメリットがあります。

組織の大型化に伴うメリット

従業員の一体感や取引先・顧客のイメージアップ、金融機関から融資が受けやすくなるなど、合併によるスケールメリットは多岐に渡ります。

大組織の一員としての一体感

吸収合併では規模の大きい企業が規模の小さい企業を吸収合併する事例が多くあります。これまでよりも規模の大きい企業の一員となったという一体感を感じることができます。

新設合併でも同程度の規模の企業が合併する事例がほとんどなので、大組織となった一体感を感じることがあります。

ただしうまく融合することができなければ、一体感を得ることができず逆に人間関係の不和を生んでいる事例も多いので、合併の前に丁寧な準備が必要な部分でもあります。

信用力の強化

合併を行うことで、存続会社は合併する余裕があるという経営状態の良さをアピールできます。また、一般的には財務状況が良く成長性のある企業同士が合併する事例が多いので、さらに財務状況が良くなり信用力の強化につながります。

資金繰りが容易になる

1つの法人格として資金が増加することで、資金繰りが楽になります。提携や買収ではあくまで他社同士なので、会社間の資金移動は簡単ではありません。合併によって資金移動が簡単になることが大きなメリットとなります。

税務面でのメリット

合併には条件によって適格要件と非適格要件があります。適格要件に該当すれば、さまざまな税務上の優遇が受けられます。実際の合併事例の多くはこの適格合併に該当するように手続きを進めます。

また、条件によっては消滅会社の繰越欠損金を利用することもできますが、こちらは条件が厳しく、租税回避と判断されてしまうリスクもあるので注意が必要です。

5. 合併のデメリット

合併のデメリット


合併にはメリットが多くありますが、デメリットも多くあります。コスト面のデメリット、組織の巨大化によるデメリット、環境の変化によるストレスについて解説します。

コストがかかる

合併によって多くのコストがかかります。合併にかかるコストと合併によって得られるメリットをあらかじめしっかりと計算しておかなければなりません。

合併時

合併には多くのコストがかかります。株主や債権者、合併の手続きに関わる専門家への支払いなど、合併するまでのコストから、合併後の事業やシステム、人材を融合させるコストもかかります。

人件費

合併によって基本的には消滅会社の従業員は全員引き継がなければなりません。その際に給与水準は高い方に合わせる事例がほとんどなので、その分人件費は増大します。

税金面

法人税法では、資本金が1億円以下の企業はさまざまな優遇措置が受けられます。しかし合併によって資本金が1億円を超えてしまう場合は、税金の負担が増えてしまうことがあります。

組織の巨大化

会社が大きくなるスケールメリットがある反面、規模の肥大化によってデメリットが生じることもあります。

意志の共通が難化

組織が大きくなることによって、部門間での意思の疎通が難しくなり、縦割りの構造になってしまうことがあります。また、経営陣の考えが下にうまく伝わりにくくなるという問題も起こり得ます。

責任の所在

合併によって事業範囲が広くなると、責任の所在が曖昧になります。その結果、責任の押し付け合いが増えたり無責任な幹部が出てきたり、不祥事が出てきたりするようになります。

ストレス

合併によって環境が大きく変わるため、合併時や合併後に強いストレスを訴える事例が多く出てきます。

合併時のストレス

合併の際には経営者や従業員に大きな負担がかかります。日常の業務だけでも大変な中、そこにプラスして合併に関わる業務もこなさなければなりません。

その企業にとって初めての合併ともなれば、業務の負担や精神的負担はかなり大きなものとなります。

合併後の社員のストレス

合併当事会社の社員同士がなかなか馴染めない場合があります。また、一方の会社の従業員がもう一方の会社の従業員を下に見る事例もよくあります。会社側は平等な合併とは言いながらも、従業員が合併後の人事や待遇に不平等感を訴える事例も多いです。

6. まとめ

まとめ

本記事では合併の定義から合併の種類、他の手法との違いについて解説してきました。また、合併のメリットやデメリットについてもご紹介しました。

最後に、簡単に本記事の内容をまとめます。

合併とは

合併とは2つ以上の法人を統合する手法のことで、合併によって当事会社は1つの法人格となる手法のことです。

合併の種類には吸収合併と新設合併があります。吸収合併とは、存続会社が消滅会社の資産、負債、権利義務などの全てを引き継ぐ方法で、新設合併とは、新設会社に消滅会社の資産や負債などを引き継ぐ方法です。

合併と他の手法の違い

合併の他にも買収や提携によって他の企業と結び付きを強める方法がありますが、合併と他の手法との最も大きな違いは、合併の場合は1つの法人格として存続し、消滅会社は解散する点です。

買収や提携では会社を解散させる必要はありません。

合併のメリットとデメリット

合併のメリットには

  • 経営の一元化
  • 組織の大型化に伴うメリット
  • 税務面でのメリット

デメリットには
  • コストがかかる
  • 組織の巨大化
  • 合併によるストレス

などがありました。

これら合併のメリットを最大化し、デメリットを極力無くするためには、合併を進める際にデューデリジェンス(企業調査)やPMI(経営統合のマネジメント計画)を徹底的に行う必要があります。

それには豊富な経験と知識を持った専門家の協力が欠かせません。

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