2023年08月31日公開
宗教法人業界のM&A動向!売却・買収メリットと成功のポイントを解説!【2023年最新】
この記事では、宗教法人業界におけるM&A動向について解説します。宗教法人は特殊な組織構造を持つ法人です。売却・買収・譲渡のメリットと宗教法人業界においてM&Aを成功させるためのポイントについても解説するので、是非参考にしてください。
1. 宗教法人業界の概要と動向
宗教法人業界は、昭和26年に制定された宗教法人法により誕生し、多くの宗教団体がこの法に基づき法人格を取得してきました。
法人格を持たなくとも宗教活動は可能ですが、現状では宗教団体の約8割が宗教法人として登録され、様々な活動を展開しています。以下、この業界の詳細な特徴や動向について掘り下げていきます。
宗教法人業界とは
宗教法人は、宗教法人法に基づき法人格を取得した宗教団体のことを指します。
この法人格を取得することにより、不動産などの所有や様々な事業活動が可能となりました。
法人としての宗教団体の数は225,000を超えるとされ、そのうち約8割、すなわち180,000が宗教法人としての登録をしています。
参考: 宗教統計調査
宗教法人業界の市場規模と動向
この業界の市場規模は、約7兆円と評価されており、これはドラックストア市場とほぼ同等の規模です。宗教法人の事業は大きく「宗教本来の事業」と「収益事業」に分類されます。
前者は、宗教活動の一環としての境内での参拝業務や葬儀を中心とした法事、法話の講演などがあり、これらは非課税の対象となっています。一方、収益事業としては、お守りやおみくじの販売、不動産の貸付、茶道や生け花の教授、駐車場や結婚式場の経営などが含まれ、これらは課税対象となります。
市場の動向としては、近年、公益事業部門では法事の減少やお葬式の簡素化、納骨堂の台頭などにより厳しい状況にある一方、デジタル化や多様化の波により新しい取り組みも増えてきています。
例えば、お寺でのアート展開催や電子マネーでのお賽銭、WEBでのお祓いサイトなど、伝統的な活動と新しい技術や文化が融合する動きが見られます。
2. 宗教法人業界のM&A動向
宗教法人業界は、非常に独特な業界構造を持っています。公益法人の一部として位置づけられ、営利を目的としない非営利団体としての性格を有しています。
この法人格を持つことで不動産などの財産を所有する権利主体として活動することができる一方、法人格を有していなくとも宗教活動自体は自由に行うことができます。
これらの宗教法人は、神道系、仏教系、キリスト教系、諸系というように大きく4つのカテゴリに分類されます。
近年の動向として注目されるのが、M&Aの増加とそれに伴う問題点です。
宗教法人は、宗教法人法に基づいて、その活動の実態を国などに報告する義務があります。しかしながら、2004年以降、報告を行っていない宗教法人が急増しているとの報告があります。この背景には、税制上の優遇措置や認証の取り消しの難しさが影響していると考えられます。
特に、宗教法人の法人格が税制上の優遇を受けられることから、これを悪用してブローカーや不正を目的とする者たちによる法人格の売買が盛んに行われているとの指摘があります。
これにより、法人格を持つことの信頼性が低下しており、脱税などの違法行為に悪用されるケースが増加しているのです。
このような背景から、宗教法人業界におけるM&A動向は、単なる組織の合併や資産の移転という面だけでなく、税制や法制度、さらには社会的な信頼性といった側面も考慮して進められるべきであるとの意識が高まってきています。
宗教法人業界がこれからどのような動向を取るのかは注目されるところですが、今後のM&A活動は、これらの問題点を解決する方向で進行されることが求められるでしょう。
参考: 宗教統計調査
3. 宗教法人をM&Aで売却・買収するメリット
M&Aは、企業同士の合併や買収を指します。近年、宗教法人間のM&Aが増加しており、その背景には多くのメリットが存在しています。
売却するメリット
宗教法人を売却・譲渡する際のメリットには、明確なメリットがあります。以下では、2つのメリットについて説明します。
売却利益の獲得
宗教法人の土地や施設は、しばしば価値が高く、売却により大きな利益を得ることができます。
特に、立地条件が良好な場合や、歴史的背景や特色を持つ寺院や神社の場合、高い売却価格が期待されることが多いです。
後継者不足の解決
宗教法人は、後継者を見つけるのが難しい場合が多いです。
特に、都市部での後継者不足は深刻な問題となっています。M&Aを活用することで、新しい代表役員や住職を迎えることができ、廃寺や閉鎖を防ぐ手段としても有効です。
買収するメリット
宗教法人を買収する側にも、様々なメリットがあります。
税制優遇
宗教法人は、一般の企業と比べてさまざまな税制上の優遇措置を受けることができます。
寄付やお布施が非課税であるほか、特定の活動に対する税制優遇措置も存在します。
これにより、運営コストを削減することが期待されます。
買収手続きが簡単
新規に宗教法人を設立する場合、多くの手続きや条件をクリアする必要があります。
しかし、既存の宗教法人をM&Aによって買収する場合、これらの手続きを大幅に簡素化することができ、迅速に業務を開始することが可能となります。
4. 宗教法人業界のM&Aの成功のポイント
宗教法人業界のM&Aは、一般の企業とは異なる独自の特性と課題を持っています。
そのため、M&Aを成功させるためには業界特有のポイントを理解し、適切な戦略を立てることが不可欠です。
M&Aが必要かどうかを考える
M&Aを行う前の最も基本的なステップは、それが本当に必要かどうかを深く考えることです。
宗教法人業界では、宗教的価値や伝統、地域社会との関わりなど、多くの要素が絡み合っています。これらの要素を考慮に入れつつ、M&Aの目的や目標を明確にすることが非常に重要です。
後継者不足や経済的な困難、地域社会との関係の再構築など、M&Aを検討する理由は様々です。
しかし、それだけで即座にM&Aを進めるのではなく、その背後にある課題や将来のビジョン、宗教法人の使命や価値を再評価することが求められます。
適切なパートナー選びやM&A後の戦略など、長期的な視点での計画が必要です。
【関連】M&Aの相談先9選のメリットデメリットを徹底比較!選び方や相談時の注意点も解説
専門家に相談する
宗教法人業界のM&Aは、独自の専門性と複雑さを持っているため、専門家の意見やアドバイスを得ることは非常に有効です。専門家は、M&Aの法的手続きや契約内容、業界の動向、財務分析など、多岐にわたる専門知識を持っています。
宗教法人におけるM&Aは、単に事業の統合や資産の移転だけでなく、宗教的・文化的な価値や伝統の継承といった点も考慮する必要があります。
専門家はこれらの要点を踏まえた上で、最適なM&A戦略を提案できます。また、障壁やリスクを事前に指摘し、それらを回避または最小限に抑えるアドバイスを行ってくれるでしょう。
M&Aの過程は多くの困難や課題を伴いますが、正確な情報と適切なアドバイスを元に計画を進めることで、成功の可能性を大きく高めることができます。従って、専門家との連携は宗教法人業界でのM&A成功のための欠かせない要素と言えるでしょう。
【関連】M&Aブティックとは?役割や業務内容・仲介会社との違いまで分かりやすく解説!
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5. 宗教法人業界のM&A・事業譲渡まとめ
宗教法人業界のM&Aや事業譲渡は、その市場規模が約7兆円という大きさを持ちながら、公益事業の減少や多様化の波などの影響を受けています。
近年、公益事業としての収入が減少している一方で、収益事業の課税対象となる事業部門では、税率の優遇措置などから、宗教法人を買収するケースが増加しています。
特に、税率が約35%軽減される収益事業の中で、不動産貸付やお土産販売、結婚式場経営などの範囲でM&Aが活発に行われており、業界全体の構造変化や新たな事業モデルの探求が進行中です。
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