燃料卸売/小売のM&A・売却・買収・事業承継!成功事例・業界動向・価格相場を解説

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

国内で年々増加傾向にあるM&Aでの会社売却・買収・事業承継ですが、燃料卸売/小売業界ではどうなっているでしょうか。燃料卸売/小売会社のM&Aによる売却・買収の実態について、事例を交えながら動向・相場・事業承継などの観点で探ります。

目次

  1. 燃料卸売/小売業界の現状と今後
  2. 燃料卸売/小売業界のM&A・売却・買収・事業承継動向
  3. 燃料卸売/小売のM&A・売却・買収・事業承継の成功事例
  4. 燃料卸売/小売のM&A・売却理由
  5. 燃料卸売/小売のM&A・売却・買収・事業承継の手順
  6. 燃料卸売/小売のM&A・売却・買収価格相場
  7. 燃料卸売/小売のM&A・売却・事業承継を成功させるコツ
  8. 燃料卸売/小売のM&A専門家の選び方
  9. 燃料卸売/小売のM&A・売却・買収・事業承継まとめ
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1. 燃料卸売/小売業界の現状と今後

燃料卸売/小売業界の現状と今後について、以下のトピックに分けて解説します。

  • 揮発油販売業者数・給油所数の推移
  • 燃料別新車販売台数(2023年)
  • 近い将来の石油・石炭・天然ガスの利用急減

揮発油販売業者数・給油所数の推移

資源エネルギー庁の資料によると、ガソリン(揮発油)を取り扱う販売業者や給油所の数は年々減少しています。

1994年(平成6年)には全国に60,421カ所あった給油所が、2022年(令和4年)には27,963カ所と半分以下に減少しました。

また、ガソリン販売業者も1989年(平成元年)には32,835事業所ありましたが、2022年には12,754事業所まで減少しています。

この減少の背景には、産業や科学技術の進展や国内外の情勢変化による需要の変動が影響しています。

参考:資源エネルギー庁「揮発油販売業者数及び給油所数の推移(登録ベース)」

燃料別新車販売台数(2023年)

現在、ガソリン車やディーゼル車の割合は約37%に過ぎず、ハイブリッド車(HEV)が55%以上を占めています。

将来的には、プラグインハイブリッド車(PHEV)や電気自動車(EV)の普及が進むと予想されており、それに伴ってガソリンの需要が一層減少すると見込まれています。

参考:一般社団法人 日本自動車販売協会連合会「燃料別メーカー別登録台数(乗用車) 2023年12月」

近い将来の石油・石炭・天然ガスの利用急減

国際エネルギー機関(IEA)は、今後約10年間で世界のエネルギーシステムが大きく変わり、石油や石炭、天然ガスの使用が大幅に減少すると報告しています。

IEAの「年次報告書」によると、太陽光や風力、電気自動車などのクリーンエネルギー技術が急速に発展し、電力供給システムが再編されると予測しています。

この報告はあくまで予測ですが、クリーンエネルギー技術の需要拡大に伴い、石油などの化石燃料の需要が世界的に減少する傾向が強まると考えられます。

参考:IEA「World Energy Outlook 2023」

2. 燃料卸売/小売業界のM&A・売却・買収・事業承継動向

燃料卸売/小売会社のM&A・売却・買収・事業承継を成功させるためには、業界のM&A動向を把握しておくのが大切です。M&A動向を把握しておいて、より適切なタイミング・手法・価額でM&Aを進められます。

【燃料卸売/小売業界のM&A・売却・買収動向】

  • 石油燃料の高騰による経営難
  • 海外企業へのM&Aの増加
  • 自動車需要の減少による競争の激化
  • 大手・中堅企業同士のM&A

石油燃料の高騰による経営難

燃料卸売/小売会社にとっては、石油燃料の価格変動が自社の経営状況に大きく影響します。近年は、石油燃料の高騰などが影響して、経営難に陥る燃料卸/小売会社も増加しており、打破策の1つとしてM&Aが注目されています。

海外企業へのM&Aの増加

近年は、人口の減少や少子高齢化、自動車の燃費改善などの影響によって燃料・ガソリンの需要が低下し、燃料卸売/小売業界の国内での経営状況が厳しくなっています。

そのような現状を打破するために、事業規模拡大・販路拡大を目的として海外企業を買収する燃料卸売/小売企業も増加中です。

自動車需要の減少による競争の激化

近年は、自動車需要の減少に伴い、燃料卸売/小売業界の競争が激化しています。国内需要が低下しているため、市場シェア争奪戦は加速しており、燃料卸売/小売業界の中小企業にとっては、特に苦しい経営環境です。

そのような背景により、競争激化による倒産・廃業を避けるために、M&Aを実施して大手企業に会社売却・事業承継を実施する中小企業は、今後ますます増加していくと考えられます。

大手・中堅企業同士のM&A

日本国内では2016(平成28)年から電力の小売自由化がスタートし、消費者が利用するエネルギーを自由に選べるようになりました。これに伴い、燃料卸売/小売業界を含めたエネルギー関連業界では、新規顧客獲得競争が激化しています。

他業界との競争で優位になるのを目的に、大手・中堅の燃料卸売/小売会社同士がM&Aによって統合する動きが見られ、これは今後も増加していくでしょう。

【関連】LPガス業界のM&A動向!会社売却のメリットや成功のポイント・事例25選を徹底解説【2024年最新】

3. 燃料卸売/小売のM&A・売却・買収・事業承継の成功事例

ここでは、燃料卸売/小売会社のM&A・売却・買収・事業承継の事例を8件紹介します。

【燃料卸売/小売会社のM&A・買収・売却事例】

  1. サンリンによる吸収合併
  2. 東邦ガスのM&A
  3. 吉原燃料店の事業承継
  4. ダイヤ通商による事業譲渡
  5. 秋山商店の事業承継
  6. 日本瓦斯による株式交換
  7. Misumiによる吸収合併
  8. 日本瓦斯によるオーストラリア事業の再編

サンリンによる吸収合併

サンリンは、富山県魚津市にある非連結子会社「松野燃料」を吸収合併することを決定しました。この合併により、松野燃料は解散し、サンリンが存続会社となります。

サンリンは燃料の卸売と小売を行っており、松野燃料は燃料の小売を専門としています。松野燃料は2020年6月にサンリンの子会社となりましたが、両社の業務が重複していたため、グループ全体での業務効率化を目的に今回の合併が行われることになりました。

子会社(非連結)の吸収合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ

東邦ガスのM&A

2019(令和元)年4月、ガス事業・熱供給事業・電気供給事業などを行う東邦ガスは、ヤマサホールディングスの子会社ヤマサの全株式を取得し完全子会社化しました。

ヤマサは、自身の子会社7社が行うLPガス事業の経営統括会社であり、東邦ガスとしては、ヤマサの子会社も自社グループに取り込んだケースになります。なお、取得価額は公表されていません。

東邦ガスは、同業種の複数の企業をグループに加えて、規模の拡大と大きなシナジー効果が得られるとしています。

吉原燃料店の事業承継

2016年12月、埼玉県入間市をメインに事業を展開していたプロパンガス供給会社である吉原燃料商店は、埼玉県さいたま市のガスエネルギー供給および販売を行っている企業であるサイサンに事業承継を行うのに成功しました。

この事業承継によって、サイサンは自社のサービスの提供エリアを拡大でき、吉原燃料商店は、サイサンの傘下に入って、従業員の雇用や顧客を守れました。

ダイヤ通商による事業譲渡

2015(平成27)年1月、サービスステーション運営などを行うダイヤ通商は、同じくサービスステーションを運営しているカメイに、仙台エリアのサービスステーション事業を譲渡しました。

ダイヤ通商は事業の選択と集中戦略として、仙台エリアで強力な事業基盤を持つカメイに同事業を譲渡し、自身は関東地域でのサービスステーション事業に特化するのが目的です。

秋山商店の事業承継

2014(平成26)年10月、日本瓦斯は簡易吸収分割によって、埼玉県の秋山商店から簡易ガス事業を事業承継しました。なお、取引金額は6,000万円です。

日本瓦斯は、簡易ガス事業の効率的運営と市場での競争力向上を目的として、このM&Aを実施しています。

日本瓦斯による株式交換

2014年3月、LPガス・都市ガス事業など、総合エネルギー事業を展開する日本瓦斯は、東彩ガス・東日本ガス・新日本瓦斯・北日本ガスの4社を、株式交換によって完全子会社化しました。

日本瓦斯は、グループ企業間の連携を強化して、燃料卸売/小売業界での存在価値と企業評価価値を高めるのを目的としています。

Misumiによる吸収合併

2013(平成25)年10月、石油部門・ガス部門・電力部門があるMisumiは、100%子会社であるミスミ建設を吸収合併しました。なお、取引金額は非公表です。

Misumiは、グループ全体の経営効率化と販売力強化を推進する目的で、このM&Aを実施しています。

日本瓦斯によるオーストラリア事業の再編

2013年9月、日本瓦斯はオーストラリアの電力事業大手企業であるAGL Energy LimitedグループからTOBの提案により、Australian Power and Gas Company Limitedの株式を売却しました。

日本市場でのエネルギー小売事業モデルを確立するのを目的に、オーストラリア国内で電力エネルギー・マネジメント・サービスを手掛けるCOzero社への資本・経営参加を実施しています。

【関連】M&A成功事例30選!【2023年最新】買収・合併の失敗事例も併せて紹介!

4. 燃料卸売/小売のM&A・売却理由

この項では、燃料卸売/小売会社がM&A・会社売却を検討する主な理由を解説します。

【燃料卸売/小売会社がM&A・売却を検討する理由】

  1. 後継者問題の解決
  2. 将来性不安の解決
  3. 単独での海外進出が難しいため
  4. 倒産・廃業を回避する手段として
  5. 譲渡・売却益の獲得

後継者問題の解決

燃料卸売/小売会社がM&A・売却を考える理由の1つ目は、後継者問題を解決するためです。燃料卸売/小売業界に限らず、国内の中小企業の多くは後継者問題に直面しています。

経営者の高齢化などを理由に事業を承継したくても、周りに後継者となり得る人物がいないため、結果として廃業・倒産せざるを得ないケースもあるほどです。

しかし、M&Aで第三者の企業や個人に事業譲渡や会社売却をすれば、廃業・倒産せずに事業を継続でき、さらに従業員の雇用も守れます

将来性不安の解決

近年は、自動車需要の低下や原料価格の高騰などが影響して、燃料卸売/小売業界全体の収益性が低下しています。他のエネルギー業界との競争激化なども相まって、競争力がない中小企業の多くは、その将来性に不安を感じているでしょう。

しかし、M&Aを実施して大手企業の傘下に入れれば、ブランド力を生かした営業網の拡大、シナジー効果による事業基盤の拡大などが期待でき、将来に対する不安を解消できます。

単独での海外進出が難しいため

国内需要の低下に伴い、海外市場への進出を検討する大手燃料卸売/小売会社も増加しています。しかし、単独・新規で海外進出するには、設備・施設を建設したり海外の人材を採用したりする必要があるため、多くのコストと時間がかかるのは必定です。

そこで、すでに事業展開している現地の海外企業をM&A・買収すれば、単独・新規で行うよりも少ないコストで海外市場に参入できます。

倒産・廃業を回避する手段として

業界全体の競争激化や人手不足などが相まって、倒産・廃業を余儀なくされる燃料卸売/小売会社が増えています。倒産・廃業を選択した場合は、廃業コストが必要になるうえ、従業員を解雇しなければなりません。

昨今は、倒産・廃業を回避する手段としてM&Aを実施するケースも増加しており、M&Aで自社の売却ができれば、従業員の雇用を確保でき、廃業にかかるコストも不要になります。

譲渡・売却益の獲得

燃料卸売/小売会社がM&A・売却を検討する理由の1つに、譲渡・売却益の獲得があります。得られる譲渡・売却益は会社の規模や収益性などによって異なりますが、うまくいけば億単位の譲渡・売却益を獲得できる可能性もあるでしょう。

譲渡・売却益は創業者利益とも呼ばれる場合もあり、創業者が経営を引退した後の生活費や、新しく事業を立ち上げる際の初期費用など、多様な使い道に耐える利益を手にできます

【関連】会社売却のメリット・デメリットを徹底分析!リスクはある?

5. 燃料卸売/小売のM&A・売却・買収・事業承継の手順

燃料卸売/小売のM&A・売却・買収はおおよそ次のような手順で進んでいきます。

①M&A仲介会社への相談・依頼

M&A・売却・買収を検討し始めたら、まずはM&A仲介会社へ相談しましょう。自社のリソースや情報だけを使って、M&A・売却・買収を成立させるのは不可能です。したがって、まずは、M&A仲介会社へ相談し、M&A先・売却先・買収先となる企業を探しましょう。

M&A仲介会社が、適切な相手企業を探し出してくれますし、成約に至るまでのプロセスについて詳細に説明してくれます。終始安心してプロセスを進められるでしょう。

②相手先企業とのマッチング

M&A仲介会社が間に入ってくれれば、相手先候補となる企業は数多く見つかるはずです。しかし、相手先企業とのマッチングのためには、お互いの取引条件のすりが必要となります。相手の条件と自社の条件をすり合わせて、お互いに利益があるように、取引内容を精査しなければなりません。

③基本合意契約書の締結

お互いの企業の条件のすり合わせがある程度進み、M&A・売却・買収のいずれかが行われるのが決まったら、基本合意契約書を締結します。基本合意書には、M&A・売却・買収が成立するまでに行われるスキームやプロセスの概要が記されていますが、まだ正式な書面ではないため、法的な拘束力を持ちません。

④デューデリジェンス(買収監査)の実施

M&A・買収が決まったら、相手先企業の監査を行います。これをデューデリジェンス(買収監査)といいます。このプロセスは非常に重要で、ここでM&Aや買収に至るまでのプロセスで顕在化しそうなリスクの洗い出しを行ったり、M&Aや買収後の偶発債務の発生可能性などをチェックしたりします。

⑤最終契約書の締結

デューデリジェンス(買収監査)を終えたら、実際にM&A・売却・買収が法的に成立した証拠となる最終契約書を締結します。デューデリジェンスで明らかとなった事項と基本合意書の内容を精査して、売り手・書いての双方が合意に至ると、最終契約書を締結します。

⑥クロージング・経営統合

最終契約書を締結しても、M&A・売却・買収プロセスが完了するわけではありません。紙面で契約を結んでも、実際には2つの企業や事業が統合しますので、その統合プロセスは極めて重要な意味を持っています。

このプロセスがうまくいくかどうかは、今後の経営を占ううえで非常に重要です。クロージング・経営統合では、従業員の給与制度の統合やマニュアルの整備などが行われます。

6. 燃料卸売/小売のM&A・売却・買収価格相場

燃料卸売/小売会社におけるM&A・売却・買収の相場価格が気になる方も多いでしょう。実のところ、M&A・売却・買収の相場を断言するのは、難しいといわざるを得ません。

その理由は、取引金額を決める際の参考となる企業評価価値は、対象企業の規模や保有資産・将来の収益性・算定方法などによって異なるためです。しかし、企業評価価値を求めれば、M&A相場をある程度把握できます。以下では、企業評価価値の算定方法を見てみましょう。

企業評価価値の算定方法

企業評価価値は、M&A取引金額を決定する際に参考とされるもので、算定方法には主に以下の3種類があります。

【企業評価価値の算定方法】

  • コストアプローチ
  • インカムアプローチ
  • マーケットアプローチ

コストアプローチとは、企業の貸借対照表上に記載された純資産を基準に、企業評価価値を算定する方法になります。帳簿上の結果をもとにしているため、客観性に優れている点が特徴です。コストアプローチには、時価純資産価額法と修正簿価純資産法の2種類があります。

インカムアプローチとは、対象企業が将来獲得するであろうと予測される収益や、キャッシュフローをもとに企業評価価値を算定する方法になります。

企業の将来性・期待値が企業評価価値に反映されるため、最も合理的な算定方法といわれており、実際に使用される頻度も高いです。インカムアプローチは、DCF法による算出と収益還元法による算出の2つに分類されます。

マーケットアプローチは、対象企業と同一業種・同一規模の企業の市場価格をもとに、企業評価価値を算定する方法になります。

ここでいう市場価格とは、主に株式市場で成立している価格です。マーケットアプローチは、類似業種比準方式と類似会社比準省式の2種類に分類できます。

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企業価値の算出は個人で行えるのか?

企業評価価値を算定する方法は複数あるため、よほどM&Aに精通していない限り、適切な算定方法を選ぶのは難しいでしょう。

実際に企業評価価値を算出する際は、会計や税務などの専門的知識が必要になるため、より正確な企業評価価値を求めるためには、M&A仲介会社など専門家に依頼する方が無難です。

7. 燃料卸売/小売のM&A・売却・事業承継を成功させるコツ

この項では、燃料卸売/小売会社のM&A・売却を成功させるコツについて解説します。M&Aを成功させるためには、以下のポイントを意識しながらM&A手続きを進めるのが大切です。

【燃料卸売/小売会社のM&A・売却を成功させるコツ】

  1. M&Aは計画的に準備を行う
  2. M&Aの目的を明確にする
  3. 譲れないポイントをまとめておく
  4. M&Aの契約成立まで情報の漏えいを防ぐ
  5. M&Aの専門家に相談する

M&Aは計画的に準備を行う

燃料卸売/小売会社のM&A・売却を成功させるためには、事前の計画的な準備が必要です。M&Aで会社売却や事業承継を実施する場合には、売却先候補との交渉や複雑な手続きなど、多くの過程を経なければなりません。

M&Aの手続きは短くて6カ月、長い場合は1年以上かかります。事前準備をしっかりしておかなければ、交渉がスムーズに進まず、手続きに余計な手間がかかってしまい、本業に支障が出る可能性もあります。適切なタイミングでよりよい交渉が可能となるよう、計画的に準備を行うように意識しましょう。

M&Aの目的を明確にする

燃料卸売/小売会社のM&Aを成功させるためには、M&Aの目的を明確にしておくのも大切です。

M&Aの目的は、後継者問題の解消・倒産や廃業の回避・事業基盤の拡大など会社によってさまざまですが、目的ごとに選ぶべき手法は異なります。

事前にM&Aの目的を明確にしておけば、適切な手法を選択でき、M&Aアドバイザーの的確なサポートにつながるため、M&Aの成功確率も高まるでしょう。

譲れないポイントをまとめておく

燃料卸売/小売会社のM&A・売却を成功させるために、M&A全体において譲れないポイントを事前にまとめておくのも大切です。

自社にとって何が必要であり大切なのかを不明瞭なまま手続きを進めてしまうと、交渉が長引いたり不利な条件でM&Aが成約してしまったりする可能性があります。

最低希望売却価格やM&A実施後の従業員への待遇など、ここだけは譲れない条件をあらかじめ決めておき、その条件を交渉相手にしっかり伝えるようにしましょう。

M&Aの契約成立まで情報の漏えいを防ぐ

M&Aの契約が成立するまでは、情報が漏えいしないように、細心の注意を払う必要があります。M&Aが成約する前に情報が漏えいしてしまうと、不信感を抱いた従業員が離職したり、不満を抱いた取引先が契約解除を申し出たり、M&Aの中止を求めたりするなどのリスクがあるからです。

燃料卸売/小売会社のM&Aをスムーズに進め、M&A実施後も利害関係者と良好な関係を維持するためにも、情報漏えいには十分注意しておかなければなりません。

M&Aの専門家に相談する

燃料卸売/小売会社のM&A・売却を成功させるためには、M&A動向や業界に精通したM&Aの専門家によるサポートは不可欠ともいえるでしょう。

M&A手続きや交渉をスムーズに進め、自社の希望に沿った結果を得るためには、M&Aに関する知識や交渉力に加え、会計・税務・法務などの専門的知識も必要になります。

M&A専門家に相談をすれば、M&A手続きに必要なサポートを受けられ、万が一、トラブルが発生した際にも適切な対処やアドバイスをしてくれるでしょう。

M&A専門家は幅広いネットワークを持っているので、効率的に相手先企業を探せます。後継者不足に悩まされている会社には、大きなメリットといえるでしょう。

8. 燃料卸売/小売のM&A専門家の選び方

燃料卸売/小売業界のM&A専門家の選び方は、以下のポイントを押さえて依頼するのが大切です。

燃料卸売/小売業界に精通している

M&Aはすべてが同じように進むのではなく、それぞれ業界独自のルール・慣習・法制度に対応していくのが大切です。燃料卸売/小売業界でM&Aを実施するのであれば、燃料卸売/小売業界のM&A支援実績が豊富であったり、経験豊富なM&Aアドバイザーがいたりする仲介会社に相談することで、スムーズなM&Aが実現できるでしょう。

自社と同規模の案件実績を持つ

M&Aは案件規模によって、必要な人員やアドバイザーの能力などが違ってくるでしょう。M&Aの専門家に依頼する場合は、これまでの案件規模や実績内容をホームページや電話での確認が必要です。

M&Aの知識・経験に長けている

M&Aを仲介する専門業者の数も2000年代から拡大しており、知識や経験も大きな違いがあります。M&A支援は、最終的にはM&Aアドバイザーの資質もM&A結果に影響する点が特徴的です。知名度や会社規模だけでなく、アドバイザーのこれまでの経験なども考慮して判断するのが大切でしょう。

手数料・相談料などがわかりやすい

近年、報酬体系がシンプルでわかりやすいM&A専門家が増加しています。しかし、実際の支払手数料額に大きな差が出るケースもあるでしょう。例えば、成功報酬でレーマン方式を採用していても、移動総資産ベースか譲渡価格ベースかによって支払額には差が生じる可能性があるでしょう。

思わぬ手数料負担が発生し、トラブルに陥るケースもあるため、専門家を選ぶ際は手数料・相談料などをしっかりと確認するのが大切です。

担当者との相性が良い

M&Aでは、依頼者とM&Aアドバイザーなどの専門家との相性、信頼関係がM&Aの結果を左右するケースもあります。中小企業などの場合は、大手とは違い、経営者とアドバイザーの関係性が重要視される傾向があるでしょう。

自社との相性が良く、信頼できる専門家かどうかを、相談をする中でしっかりと判断することが大切です。

【関連】M&Aアドバイザーとは?仕事内容や手数料・選ぶポイントを徹底解説

9. 燃料卸売/小売のM&A・売却・買収・事業承継まとめ

今回は、燃料卸売/小売会社のM&Aについて、M&A動向・事例・相場価格・成功のコツなど、あらゆる角度から分析しました。

燃料卸売/小売業界では、将来性の不安や後継者不足などを解消したり、海外市場に進出したりする目的で、M&A件数が増加しています。自社の求める条件でM&Aを成功させるためには、市場動向を注視し計画的に進めていくのが大切です。

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