2025年09月16日公開
遊園地業界のM&A動向!売却・買収事例5選とメリットを解説!【2025年最新】
近年遊園地業界はコロナ禍を受けた事業構造改革、サービスの共同開発などを目的としたM&Aが盛んに行われています。本記事では遊園地業界におけるM&Aの背景や動向、そしてどのようなメリットが得られるのかについて解説します。
目次
1. 遊園地業界の概要と動向
遊園地やテーマパークなどの娯楽施設は、私たちの生活に欠かせない存在です。ところが、近年は少子高齢化や競争激化などの厳しい課題に直面し、市場規模は縮小の傾向にありました。
しかし、2022年に入ると、コロナ禍からの回復やインバウンドの増加などがあり、市場規模は拡大に転じました。
ここでは、遊園地業界の概要と動向に焦点を当て解説します。
遊園地業界とは
遊園地業界とは、遊園地やテーマパークの運営を行う業界を指します。遊園地とは、ジェットコースターや観覧車などの遊ぶためのさまざまな乗り物や設備を設けた施設です。
テーマパークとは遊園地以外にも博物館や動物園、水族館などが併設されたり統合された、多岐にわたるアトラクションを含む総合的なレジャー施設を指すこともあります。
遊園地業界の市場規模と動向
ディズニーランド、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)などが代表的な遊園地業界ですが、どのような動向で実際に好調なのか不調なのか意外に知らないことも多いものです。
近年、遊園地業界の市場環境は大きな変化を迎えています。観光需要が高まりを見せ、若者層のライフスタイルの変化に伴い、遊園地業界は大きな注目を集めています。しかし、同時に競合も激しさを増し、新アトラクションの設置やイベントの開催、テクノロジーの導入など差別化を図る努力が求められています。
コロナ禍により遠のいた客足が戻り業績は急回復
2023年5月の新型コロナの5類感染症への移行により、国内はもちろん、インバウンド需要も回復し、全国の遊園地やテーマパークには客足が戻ってきました。
各地の遊園地・テーマパークは、コロナ禍で営業の自粛や営業時間の短縮、収容人数の制限、イベントの縮小や中止・延期などが原因で客足が遠のきました。その結果2020年度の業績は大幅に落ち込んだのです。2021年度も売上はやや持ち直したものの、2期連続で赤字を計上しました。
2022年になると入場規制が緩和され、入場料の値上げや変動価格制の導入などの施策を実行し業績が大きく改善し、赤字から脱却しました。
具体的には、遊園地やテーマパークの2022年の市場規模は6,910億円で前年比96.3%増と前年の2倍近くの増収を果たしました。2022年の3月下旬に政府が行動規制を解除後、テーマパークのパレードなどが本格的に再開したのを受けて来場者が大幅に増えました。
多くの企業が増収、黒字を計上
遊園地業界では、2022年に多くの企業が黒字を計上しました。これは、コロナ禍からの回復や、インバウンドの増加などの要因が考えられます。
東京商工リサーチの調査によると、2022年度の遊園地・テーマパークを運営する主要182社の最終損益は、前年度比76.1%増の820億2,300万円の黒字となりました。これは、3年ぶりの黒字転換となります。
売上高の増加は、コロナ禍の制限緩和により、入場者数が回復したことが主な要因です。2022年度の入場者数は、前年度比70.4%増の7,702万人となりました。また、インバウンドの増加も、売上高の増加に貢献しました。2022年度の外国人入場者数は、前年度比26.0%増の1,592万人となりました。
黒字転換は、増収に加えて、コスト削減などの経営努力が奏功したことが要因です。具体的には、以下の取り組みが挙げられます。
- 人件費の削減
- 施設の改修や新設の延期
- マーケティング費の削減
2. 遊園地業界のM&A動向
遊園地業界におけるM&Aは近年ますます活発です。
2022年において、以下のM&Aが発表されました。
- オリエンタルランドが、長谷工からブライトン社を買収
- フィンテックグローバルが、ムーミン物語の所有権を持つライツ・アンド・ブランズの全株式を松屋に譲渡
- H.I.S.が、子会社ハウステンボスの売却を発表
これらのM&Aの背景には、以下の要因が考えられます:
- 少子高齢化や競争激化といった課題への対応による、事業規模や経営基盤の拡大を志向する意図
- 新たな顧客層の開拓や価値の創造を目指し、異業種との連携を強化するための意図
遊園地業界のM&Aは、業界の競争環境や、経営戦略の変化を反映して、今後も活発化していくと考えられます。
3. 遊園地業界のM&Aにおけるメリット・デメリット
遊園地業界におけるM&A(合併・買収)は、業界の競争激化や市場の変化に対応するための一手段として注目されています。ここでは、譲渡側・買収側双方から見たM&Aがもたらすメリットとデメリットについて解説します。
譲渡側
まずは譲渡側のメリット・デメリットについて解説します。
メリット
遊園地業界のM&Aにおける譲渡側のメリットは、大きく分けて以下の4つが挙げられます。
- 資金調達の手段としての譲渡
- 事業の再編成や統合のための譲渡
- 事業承継問題解決のための譲渡
- 事業戦略の転換
遊園地業界におけるM&Aは、事業承継問題の解決や経営資源の獲得、事業戦略の転換など、多くのメリットがあるのです。
デメリット
遊園地業界のM&Aにおける譲渡側のデメリットは、主に以下の4点が挙げられます。
- 経営権の喪失
- 事業の方向性変更の可能性
- 従業員の離職リスク
- M&Aが成立しないリスク
遊園地業界のM&Aには、事業承継問題の解決や経営資源の獲得、事業戦略の転換など、多くのメリットが存在します。ただし、M&Aには検討すべきリスクもあるため、事前に慎重な検討と判断が重要です。
買収側
続いては、買収側のメリット・デメリットについて解説します。
メリット
遊園地業界のM&Aにおける買収側の利点は、主に以下の4つが挙げられます。
- 事業拡大・多角化
- 競争力強化
- 新規顧客層の獲得
- 迅速な事業展開の実現
以上のメリットがある一方で、M&Aは大きな投資とリスクを伴うため、十分な調査と計画が欠かせません。
デメリット
遊園地業界のM&Aにおける買収側のデメリットは、主に以下の3点が挙げられます。
- 買収コストの負担
- 統合リスク
- コンプライアンスリスク
4. 遊園地・レジャー施設業界のM&Aにおける売却・買収事例5選
遊園地・レジャー施設業界のM&Aは業界においてごく一般的なものです。ここでは売却・買収事例を5つ紹介します。
三精テクノロジーズが遊園地・テーマパーク事業を手がけるカナダ企業をM&Aした事例
2023年12月1日、三精テクノロジーズ株式会社は、カナダのEorrec Ltdを傘下に置く持ち株会社のLaird Holdings Incの株式70%を取得し子会社化しました。
Laird Holdings Incはカナダのトロントに本社を構え、テーマパークや観光施設などに対するコンセプト提案、デザインおよび設計コンサルティング業務を展開しています。
一方の三精テクノロジーズは、遊戯機械や舞台機構および昇降機などの企画・設計・製作・施工・保守・改修までを手がけています。
今回のM&Aの狙いはテーマパークなどのデザインをはじめ設計、遊戯機械の製造から販売までを一気通貫で提供できる世界的な体制づくりとしています。
参考:カナダ企業を子会社化
GENDAが遊園地・テーマパーク向けアトラクションの企画を手がけるダイナモアミューズメントをM&Aした事例
2023年9月30日、株式会社GENDAは、株式会社ダイナモアミューズメントの全株式を取得し連結子会社化しました。
GENDAは、エンターテインメント事業会社を傘下に持つ純粋持ち株会社です。主力事業は、GENDA GiGO Entertainmentを通じ、主に「GiGO」ブランドで約250店舗のアミューズメント施設を運営しています。
一方、ダイナモアミューズメントは、体感型シアターアトラクションをはじめとした数々の「体験型コンテンツ」の企画・製作・販売を展開しています。
GENDAは今回のM&Aでアミューズメント施設運営などのグループの既存事業とのシナジー効果創出により企業価値が向上すると判断したとしています。
参考:ダイナモアミューズメントを子会社化
日本駐車場開発が那須りんどう湖レイクビューを運営する那須興業をM&Aした事例
2020年5月1日、日本駐車場開発株式会社は連結子会社の日本テーマパーク開発株式会社を通じ、那須興業株式会社の全株式を取得し子会社化しました。
日本駐車場開発は、駐車場に関する総合コンサルティングを展開しています。また、連結子会社の日本テーマパークは、現在「那須ハイランドパーク」の運営を行っています。
一方の那須興業は、1965年に開園した那須りんどう湖レイクビューを運営していますが、近年はレジャーの多様化で赤字が常態化していました。
日本駐車場開発は、那須興業をグループに迎え入れることで、グループのテーマパーク事業の収益の安定化およびサービスの拡充が図れると判断したとしています。
参考:那須興業を子会社化
日本駐車場開発が遊園地を運営する藤和那須リゾートをM&Aした事例
2016年5月31日、日本駐車場開発株式会社は、連結子会社の日本テーマパーク開発株式会社を通じて藤和那須リゾート株式会社の全株式を取得し子会社化しました。
日本駐車場開発は既述のように、駐車場に関する総合コンサルティングを展開しています。また、連結子会社の日本テーマパーク開発は、遊園地やテーマパークなどの運営および管理、経営コンサルティングを行っています。
一方の、藤和那須リゾートは総合リゾートの「那須ハイランド」を運営しており、敷地内にある遊園地の「那須ハイランドパーク」は近隣県のファミリー層に支持されています。
日本駐車場開発は別荘オーナー向けの遊園地。別荘施設を運営し、地域社会の雇用や定住者の拡大を図るとしています。
参考:藤和那須リゾートを子会社化
エイチ・アイ・エスがテーマパーク「ラグーナ蒲郡」をM&Aした事例
2014年8月1日、株式会社エイチ・アイ・エスは新しく設立した子会社ラグーナテンポスを通して第三セクターの蒲郡海洋開発が運営する「ラグーナ蒲郡」の主要事業を吸収分割により承継しました。
ラグーナ蒲郡は78億円の債務超過を抱えています。エイチ・アイ・エスは経営不振であった長崎県のハウステンボスを立て直した実績があり、将来的にはアジア各国からも誘客できる施設を目標として展開していく方針です。
参考:ラグーナ蒲郡をM&A
5. 遊園地事業のM&Aにおける成功のポイント
M&Aを成功するには適切な戦略を練りノウハウを持つ専門家のサポートを受けることなどが大切です。ここからは、遊園地事業がM&Aで成功するためのポイントについて解説します。
M&Aの専門家に相談する
M&Aは経営者の時間的・精神的負担が決して少なくありません。日常の業務と並行して行うにはあまりに負担が大きいため、M&A仲介会社などの専門家の助けが必要不可欠です。
専門家であれば財務状況を見直して効果的な企業価値の向上を図ることも可能です。
M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください
M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。
M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
十分な情報収集を行い慎重に相手先を選定する
M&Aの成功において、相手先の選定は重要な要素であり、慎重な情報収集が不可欠です。遊園地事業は多額の資金や経営資源が必要な事業であり、M&Aを通じて譲渡側の経営資源を取得することで事業の拡大や多角化、競争力の向上など多様なメリットが期待されます。
情報が漏れないように徹底する
M&Aを行う上でもっとも注意する必要があるのが情報の秘匿性です。売却側企業にとって自社がM&Aを検討しているなどの情報が流失してしまうとさまざまな問題につながります。
実際にM&Aをおこなうには、財務情報や従業員情報、事業詳細などの開示をしなければ、買収側企業との交渉は不可能です。しかし、そのような情報は会社の根幹にかかわる重要な情報で、万一漏洩すると会社は大きな損失を受けるリスクがあります。
すでに事情を認識している関係者へ、秘密保持の重要性を十分伝えたうえで、どのように対処・対策を行うかが重要です。
M&Aに適したタイミングを狙う
遊園地事業のM&Aにおいて成功を収めるためには、「M&Aにふさわしい時期を見極める」ことが鍵とされます。遊園地事業は景気や社会情勢の変動に強く影響を受けるため、M&Aのタイミングは十分に検討されるべきです。
具体的には、以下のタイミングがM&Aに最適と考えられます。
- 遊園地業界全体が好調な際
- 買収対象の遊園地が業績不振に陥っている際
- 買収対象の遊園地が事業承継を模索している際
遊園地業界が全体的に好調な場合、買収価格が上昇する可能性があるため、M&Aにおいて利益が減少するかもしれません。逆に、買収対象の遊園地が業績不振に陥っている場合、買収価格を抑えつつM&Aを進めることができます。また、買収対象の遊園地が事業承継を検討している場合、M&Aの交渉が円滑に進む可能性があります。
さらに、M&Aを検討する際には業界全体のトレンドや規制なども考慮する必要があります。例えば、近年では少子高齢化やインバウンドの増加など、遊園地業界を取り巻く環境が大きく変化しています。このような環境変化を踏まえ、M&Aの適切なタイミングを検討することが重要です。
6. 遊園地事業のM&Aまとめ
遊園地業界のM&Aは、近年活発化しています。その背景には、少子高齢化やインバウンドの増加など、業界を取り巻く環境の変化が挙げられます。
M&Aのメリットとしては、以下のような点があります。
- 事業拡大・多角化
- 競争力強化
- 新規顧客層の獲得
- 迅速な事業展開の実現
M&Aを検討する際は、業界全体のトレンドや規制なども考慮しましょう。
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