2025年09月11日公開
産業廃棄物処理会社の事業承継を徹底解説!注意点や相談先・事例を紹介!
産業廃棄物処理業界では、後継者問題などで事業承継に悩む経営者が増えています。この記事では、産業廃棄物処理会社の事業承継を検討している経営者の方に向けて、事業承継の方法や相談先、実際に成功した事業承継の事例などについて解説します。
目次
1. 産業廃棄物処理業界の概要と動向
産業廃棄物処理業界では、後継者問題による事業承継に悩まされる経営者が増えていますが、事業承継にはどのような方法や相談先があるのでしょうか。この記事では、産業廃棄物処理業界の近年の動向と事業承継について詳しくみていきましょう。
産業廃棄物処理業界とは
産業廃棄物とは、事業活動、産業活動によって生じる廃棄物の中で、廃棄物処理法で定められている20種類のことです。
20種類の廃棄物とは、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず、コンクリートや陶磁器くず、鉱さい、がれき、紙くず、木くず、繊維くず、動植物残渣、動物系固形不要物、動物の糞尿と死体などです。
産業廃棄物処理業界では、これらの法律で定められている20種類の廃棄物を収集して、それぞれの廃棄物に適した処理方法で処理をして、リサイクルや最終処分に回す事業を行っています。
産業廃棄物処理業界における4つの特徴
産業廃棄物処理業界には、次のような特徴があります。
- 地域密着のビジネス
- 許認可制で新規参入が難しい
- 市場が細分化されており小規模事業者が多い
- 環境への配慮など法律の規定を大きく受けて設備コストもかかる
4つ目の部分では、不法時や土壌や水質汚染などで裁判沙汰になることもあります。環境基準や法令の遵守が特に必要な業界といえるでしょう。
産業廃棄物業界の市場規模と動向
産業廃棄物処理業界の売上高は、2013年には約2兆円だったのが、2019年には約2.4兆円、2020年には約2.6兆円と増加傾向にあります。
近年、建築物の新設や解体が増加していることから、産業廃棄物業界の売上高は今後も増加傾向が続くでしょう。2020年からの新型コロナ禍の影響も受けていない他、非鉄金属や鉄スクラップ価格が上昇していることも、業績好調を支えています。
参考:業界動向サーチ「産業廃棄物業界の動向や現状、ランキングなど」
2. 産業廃棄物処理会社の3つの事業承継方法
産業廃棄物処理会社の事業承継方法には、親族内承継、従業員や役員へ承継させる従業員承継、第三者である他社へ会社を売却するM&Aの3つの方法があります。それぞれの方法について解説します。
親族内での承継
親族内承継は、会社の経営を現在の経営者の子や孫、兄弟の子など、親族に承継させる事業承継方法です。経営者の財産相続と経営の承継を一体化させやすく、従業員や取引先の理解も得やすいというメリットがあります。
一方、時間をかけて後継者を育成する必要があり、経営者が自身の引退時期から逆算して準備を始める必要があること、後継者に個人保証などの経済的負担が大きくかかる点などに注意が必要です。
従業員や役員への承継
親族ではない社員に事業承継させる方法が従業員承継です。会社の事業に長年携わってきて、経営者としての能力に優れている人材を見極めて承継させることができれば、事業承継後も経営方針の一貫性を保ちながら、安定した経営を続けられるというメリットがあります。
一方、経営者の親族や相続人が株主である場合には、親族株主の同意を得ることが難しい場合があるので、事前に関係者との調整が必要です。
また、承継者に資金力が不足することが多いので、持株会社、従業員持株会などのスキームを取り入れるなども検討したほうがいいでしょう。
M&Aによる承継
株式譲渡や事業譲渡で、社外の第三者に事業承継させるのがM&Aです。M&Aを実施するためには、買い手側の企業にとって価値のある会社であることが大切なので、本業の強化、ガバナンスや内部統制の構築などで、企業価値を高めておく必要があります。
また、買収先探しや手続きに時間がかかるので、早めに準備を始めることも大切です。
3. 産業廃棄物処理会社の事業承継の相談先
産業廃棄物処理会社を事業承継したいと思ったときに、方法や手続きなどについて相談するのはどこがいいのでしょうか。事業承継について相談できるところを紹介します。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、企業同士の買収、売却であるM&A以外にも事業承継も扱っています。手数料がかかる場合がありますが、どのような案件でも気軽に相談しやすいのがM&A仲介会社です。
親族承継、従業員承継、M&Aと3つある事業承継の方法の中で、どの方法を選ぶのがいいのか、どのような手続きで事業承継を進めるべきか、豊富なM&Aや事業承継のサポート経験や専門的な知識に基づいて、的確なアドバイスをしてくれるでしょう。
金融機関
地域経済を支える金融機関にとっては、地域の産業を支える企業の存続は重大な問題なので、近年は事業承継の相談に乗ってくれるところが増えてきました。
地域密着の金融機関であれば、地域の企業との強力なネットワークを持っているので、近隣地域の会社とのM&Aを希望する会社には特におすすめです。まずは、取引先の金融機関に相談してみることをおすすめします。
公的機関
後継者問題で廃業危機に陥る中小企業が増加していることを受けて、企業の事業承継の相談を受ける公的機関も増加しています。
中小企業庁が全都道府県に設置しているのが「事業承継・引継ぎ支援センター」です。事業承継の相談や手続きのサポート、M&Aのマッチングなどを原則無料で行っています。
各地域の商工会議所や商工会、業界ごとの同業者組合などでも、事業承継セミナーや相談会を実施している場合があるので、問い合わせてみるのもいいでしょう。
税理士・会計士・弁護士など
事業承継やM&Aの手続きには、税理士や会計士、弁護士といった士業のサポートが欠かせません。そのために、事業承継について専門性の高い士業が多く、税理士事務所、会計士事務所、弁護士事務所でも相談に乗ってくれる場合があります。
まずは会社の顧問税理士などに相談してみるといいでしょう。顧問の事務所が事業承継を扱っていない場合でも、事業承継を扱っている事務所を紹介してもらえる可能性があります。
4. 産業廃棄物処理会社の事業承継の注意点
産業廃棄物処理会社の事業承継を成功させるためには、いくつか注意しなければいけない点があります。その注意点について解説します。
専門家に相談をする
産業廃棄物処理会社の事業承継を検討し始めたら、まずは専門家に相談しましょう。
事業承継を行うためには、親族内承継や従業員承継なら適切な人材の見極めがもっとも重要です。M&Aであれば、売却後にシナジー効果を最大限に発揮できる最適な売却先の選定が必要です。
また、事業承継の手続きには、財務や法務の高度な知識も必要なので、事業承継やM&Aについて専門性の高い専門家のサポートが欠かせません。まずは、事業承継について詳しいM&Aの専門家のアドバイスを仰ぐことから始めることが大切です。
M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください
M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。
M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
M&Aを成功させるポイントを押さえておく
M&Aで事業承継を行う場合には、成功させるために特に注意しなければいけないポイントがあります。M&Aでの売り手側、買い手側のそれぞれのポイントを解説します。
売り手側
M&Aで産業廃棄物処理会社を売却する側の注意点は次のとおりです。
- 地域性を考えて買い手探しを行う
- 事業の透明性を高めておく
- M&Aの準備を早めに始める
産業廃棄物処理業は地域密着の事業です。会社売却後も、地域に迷惑をかけないように、地域性を考えて売却先を探しましょう。
また、産業廃棄物処理業は許認可性の事業であり、さらに環境問題などで市民からの目も厳しいので、マニフェストの管理などをしっかりと行い、業務の透明性を確保しておきましょう。
M&Aでの会社売却には時間がかかります。親族内承継や従業員承継のような経営者育成期間は必要ありませんが、それでも短期間の準備では失敗しやすいものです。
数年単位で準備をすると、条件に合った企業への高額売却が実現しやすいので、早めに準備を始めましょう。
買い手側
M&Aで産業廃棄物処理会社を買収する側の注意点は次のとおりです。
- 買収する企業の事業内容などを正確に把握した上で検討する
- 許認可、設備、人材を事前によく確認する
産業廃棄物処理会社と一口にいっても、収集運搬、中間処理、最終処理と、全て行っている会社と、一部の業務だけ行っている会社があります。
自社が必要としている業務を行っている会社なのか、必要な許認可や設備、人材が揃っている会社なのか、事前の確認が必要です。
また、厳しい価格競争にさらされている業界なので、業績などの確認も重要です。
産業廃棄物処理業許可の引き継ぎについて
産業廃棄物処理会社は許認可がないと運営できないので、事業承継のときには許認可の引き継ぎが可能か、新規取得が必要か、承継前によく確認しておきましょう。
産業廃棄物処理会社が法人である場合には、許認可は法人に対してのものなので、役員の変更届だけで大丈夫です。
産業廃棄物処理会社が個人事務所である場合には、事業者個人に対しての許認可になります。許認可を受けている人が亡くなった場合には、許認可は消滅するので新規取得が必要です。
5. 産業廃棄物処理会社の事業承継事例3選
産業廃棄物処理会社で実施された事業承継の事例を3つ紹介します。
THE WHY HOW DO COMPANYが産業廃棄物処理業の宇部整環リサイクルセンターを事業承継した事例
2023年8月29日に、IoT事業や飲食業、エンタメ事業などを幅広く手掛けるTHE WHY HOW DO COMPANY株式会社(以下、ワイハウ)が、山口県宇部市の産業廃棄物処理会社の株式会社宇部整環リサイクルセンターの全株式を取得して、子会社化したことを発表しました。
ワイハウとしては、培ってきたIoT技術は、脱炭素、低炭素化、運搬収集の効率化に活かせるものであり、カーボンニュートラル社会実現に貢献できるとともに、焼却炉施設から発生する熱エネルギーを使った発電事業にも参入する見込みであるとのことです。
参考:株式会社宇部整環リサイクルセンターの株式取得(子会社化)に関するお知らせ
ヤマダホールディングスが産業廃棄物処理のあいづダストセンターを事業承継した事例
2023年1月17日に、日本最大手の家電量販店チェーンを展開する株式会社ヤマダホールディングスが、福島県会津若松市を中心に産業廃棄物の収集運搬から中間処理、最終処分まで行う株式会社あいづダストセンターの全株式を取得することを発表しました。
このM&Aにより、ヤマダデンキとしては使用済み家電のリユース工場で、再資源化や焼却できない廃棄物の埋め立てによる最終処分ができるようになり、グループ内で自己完結型の資源循環システムを構築できるようになるとしています。
参考:当社連結子会社による株式会社あいづダストセンターの株式取得(子会社化)に係る 株式譲渡契約締結に関するお知らせ
ジェイホールディングスが産業廃棄物処分業のエイチビーを事業承継した事例
2022年9月26日に、飲食店業などを展開する株式会社ジェイホールディングスから、同社の連結子会社で環境ビジネスを営む株式会社ジェイクレストが、岡山県倉敷市の産業廃棄物処理会社のエイチビー株式会社の全株式を取得して子会社化することが発表されました。
ジェイホールディングスでは、この事業承継により、最終処分場事業へ進出して、新しい事業基盤を構築し、企業価値、株主価値の向上を図るとのことです。
参考:連結子会社による株式取得(孫会社化)に関するお知らせ
6. 産業廃棄物処理会社の事業承継まとめ
産業廃棄物処理会社は小規模な会社が多く、親族に後継者がいない会社などは事業承継に頭を抱えている経営者も多いようです。そのようなときに、頼りになるのがM&Aや事業承継の専門家です。まずは、M&Aの専門家へ相談してみることをおすすめします。
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