2023年03月28日更新
M&Aのスペシャリストとは?資格の特徴や強みから相談先の違いを紹介!
本記事では、M&Aのスペシャリストの特徴や強み、違いを解説します。M&Aのスペシャリストとは、M&Aの知識や実務スキルを備えた専門家です。M&Aを不備なく進めるには、スペシャリストのサポートが必須です。M&Aのスペシャリストについて知見を深めたい方は必見です。
目次
1. M&Aのスペシャリストとは
M&Aのスペシャリストとは、M&Aの知識や実務スキルを持つM&A支援を行うプロフェッショナル(専門家)のことです。
M&Aでは、取引先の選定・交渉や各契約書の締結など各プロセスで専門的な知識を必要とするため、M&Aのスペシャリストのサポートを受けながら進めることが一般的です。主だったM&Aのスペシャリストには、以下の職業に従事する者が該当します。
- 公認会計士・税理士
- 弁護士・司法書士
- ファイナンシャルプランナー
- M&Aの資格習得者
公認会計士・税理士
公認会計士とは企業の監査と会計、税理士とは税務を専門分野とする国家資格を有する者のことです。
公認会計士は資格試験の難度が非常に高く、毎年の合格者人数は1,000人前後です。国内の公認会計士の数は非常に少なく、依頼する際の報酬も高くなる傾向にあります。
日常的に企業の経営に携わっているため、なじみ深い士業でもあり、中小企業は税理士・大手企業は公認会計士と顧問契約するのが一般的です。
弁護士・司法書士
弁護士・司法書士とは、法務を専門分野とする国家資格です。弁護士は全ての法律業務・司法書士は扱える範囲が限られており、主に登記・供託を請け負います。
本来、すべての法律業務は弁護士が行うべきものですが、弁護士の数が足りていないことから司法書士制度が設けられ、登記・供託を司法書士が手掛けることになりました。
現在、多重債務者問題をきっかけとして、140万円以下の民事訴訟も法務大臣の認定を受けている認定司法書士であれば扱えるようになっています。
M&Aにおける弁護士の役割については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーとは、収支や資産のデータから将来的なライフプランニングを行い、資金計画に関するアドバイスを行う職業のことです。
金融機関や士業事務所に勤務する「企業系FP」、一般企業に勤務する「企業内FP」、自身の事務所を構える「独立系FP」など、さまざまな種類に分かれます。
ファイナンシャルプランナーの資格は以下のとおりです。
- 1~3級FP(ファイナンシャル・プランニング)技能士
- CFP(サーティファイドファイナンシャルプランナー)
- AFP(アフィリエイテッドファイナンシャルプランナー)
M&Aの資格習得者
M&A業務を行ううえで、法的に必要となる資格はありません。しかし、資格を所有していると信用度が高くなり、相談を受けるうえでも有利に働きます。主だったM&Aの資格は、以下のとおりです。
- M&Aエキスパート
- M&Aスペシャリスト
- JMAA認定アドバイザー
- バトンズ認定承継アドバイザー
M&Aエキスパート
M&Aエキスパートは、日本M&Aセンターと一般社団法人金融財政事情研究会が運営する試験のM&A資格です。M&Aエキスパートの資格は3段階に分けられており、最もスタンダードなものは「事業承継・M&Aエキスパート試験」です。
金融財政事情研究会は、高い専門性をもってM&A業務に携われるように支援する目的で運営されており、M&Aエキスパート所有者は事業承継・M&Aに精通していることを証明できます。
M&Aエキスパートの種類は以下のとおりです。
- 事業承継・M&Aエキスパート試験
- 事業承継シニアエキスパート養成スクール・試験
- M&Aシニアエキスパート養成スクール・試験
M&Aスペシャリスト
M&Aスペシャリストは、一般社団法人日本経営管理協会(JIMA)が認定するM&Aの資格です。M&Aスペシャリスト資格の主な目的は、激変する経済環境による経営難や、後継者問題などの解決に必要なM&A知識を磨いていくことです。
時代の流れに合わせていくために毎年の研修受講と3年ごとの更新が義務付けられており、M&Aスペリシャスト資格の所有者は実務能力を備えていることを証明できます。
JIMAでは、資格保有者に対して継続的な経営コンサルティングスキルの向上を目的とした継続セミナーを提供中です。M&Aスペシャリスト資格保有者のスキルに応じてM&Aコンサルティング事業会社の活動への参加できる機会も提供しています。
JMAA認定M&Aアドバイザー
JMAA認定M&Aアドバイザーは、一般社団法人日本M&Aアドバイザー協会(JMAA)が認定するM&Aの資格です。JMAA認定M&Aアドバイザーは、いくつものステップを踏んで初めて認定されるものであり、まずM&A実務スキル養成講座を受講します。
試験対策を行ったうえで修了試験に挑み、合格すると修了証書が発行されます。その後、規程の入会資格を満たしたうえで理事会の審査に通ればJMAAの正会員として認められ、協会よりJMAA認定M&Aアドバイザーの認定証書が発行される仕組みです。
JMAA認定M&Aアドバイザーの所有者は、JMAA正会員のネットワークを活用した精度の高いM&A支援を行えるスペリシャストであることを証明されます。
バトンズ認定承継アドバイザー
バトンズ認定承継アドバイザーは、バトンズが認定するM&Aの資格です。バトンズはM&Aマッチングプラットフォームを運営しており、2019年より認定制度を開始しています。
M&Aの有資格者や士業者を対象としたバトンズ認定承継アドバイザー実践講座を受講することで、修了証が授与されます。講座は全6日間で構成されており、M&Aの実践的なスキルを身につけられるほか、営業スタートキットやバトンズのWebサイトで紹介されるなどの特典を得ることが可能です。
バトンズ認定承継アドバイザー所有者は、座学だけでなく実務でも活躍できるスペシャリストであることが証明されます。
M&Aの資格・種類については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
2. M&Aを行うスペシャリストの特徴
M&Aの各スペシャリストは、どのようなM&Aプロセスを担うのでしょうか。この章では、M&Aのスペシャリストの特徴を解説します。
公認会計士・税理士の特徴
公認会計士・税理士がM&Aで担う役割には、以下の3点があります。
- 企業価値評価
- 財務デューデリジェンス
- 会計・税務・財務
企業価値評価
企業価値評価はM&Aの譲渡・売却対象価値の算出方法です。M&Aで重要な要素である売却額を決定するため、会計や財務の知識は必要不可欠です。
M&Aの企業価値評価(バリュエーション)については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
財務デューデリジェンス
財務デューデリジェンスは、譲渡・売却対象の価値・リスクを調査する活動です。M&Aプロセスの終盤において実態純資産を確認するために公認会計士・税理士が派遣されます。
賃借対照表に記載されない簿外債務などを見落としてしまうと、M&A成約後にトラブルに発展してしまうことがあるため、最終契約を締結する前に財務デューデリジェンスを徹底する必要があります。
会計・税務・財務
会計・税務・財務は、M&Aに伴う金銭のやり取りや税金関連の処理です。大きな資金が動くM&Aは会計処理を適切に行う必要があります。節税テクニックを活用することで、税金負担を軽減することも可能です。
弁護士・司法書士の特徴
弁護士・司法書士がM&Aで担う役割には、以下の3点があります。
- 契約書の作成・確認
- 取引先との交渉
- 法務デューデリジェンス
契約書の作成・確認
契約書の作成・確認とは、M&Aを成約させるまでに必要な契約書の作成および、その確認作業です。法律にかかわる要素も多いため、弁護士・司法書士などのサポートが欠かせません。
取引先との交渉
取引先の交渉は、M&Aの目的を達成するうえで必要不可欠です。交渉の担当者は弁護士・行政書士である必要はありませんが、法務とM&Aの知識を兼ね備えた弁護士・行政書士の交渉能力はM&Aを進めるうえで頼りになります。
法務デューデリジェンス
法務デューデリジェンスとは、譲渡・売却対象の法務上における問題の有無を調査する活動です。主だった内容は、譲渡・売却対象の事業に関する許認可や届け出、およびこれらに関する書類のチェックです。
M&Aの法務DD(デューデリジェンス)については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
ファイナンシャルプランナーの特徴
ファイナンシャルプランナーはM&Aの特定のプロセスに特化せず、全体的なサポートを得意としています。M&Aの全体的な流れを把握し、各プロセスで必要となるスペシャリストとの橋渡し役を担います。
M&Aの資格習得者の特徴
M&Aの資格習得者は、M&Aに精通している団体や企業から認定を受けている有資格者です。M&Aに関する知識を十分に備えているため、M&Aの包括的なサポートが期待できます。
単身でM&Aの一貫したサポートを行えるわけではありませんが、各スペシャリストとのつながりを持っていることが多く、M&Aに大いに貢献できます。
3. M&Aを行うスペシャリストの強み
M&Aを行ううえでM&Aのスペシャリストのサポートは必要不可欠です。しかし、どのスペシャリストに相談すべきか迷うことも少なくありません。この章では、M&Aを行うスペシャリストの強みを紹介します。
公認会計士・税理士の強み
公認会計士・税理士の強みは、会計・税務・財務サポートです。M&Aの交渉で重要な要素となるのが、企業価値評価です。
適切な方法で算出された適正な売却額でなければ、売り手と買い手の双方が納得できません。公認会計士が総合的な観点から算出した企業価値であれば、双方にとって大きな安心材料となります。
弁護士・司法書士の強み
弁護士・司法書士の強みは、法務サポートです。M&Aは契約書の締結や法務デューデリジェンスなど、さまざまなプロセスで法務がかかわります。
契約書は基本的に法的な効力を持つため、一度契約したら破棄できません。片方に不利な内容になっていないか、法的な不備がないか、あらゆる観点から慎重にチェックする必要があります。
ファイナンシャルプランナーの強み
ファイナンシャルプランナーの強みは、資産運用のスペシャリストであることです。M&Aの各プロセスのアドバイスはもちろん、M&A成約後の資産運用も専門的に精度の高いアドバイスを受けられます。獲得した売却益の使い方を相談したい場合は、大きな強みです。
M&Aの資格習得者の強み
M&Aの資格習得者の強みは、M&Aに関する知識や実務スキルが保証されていることです。M&Aを成約させるまでに必要な各プロセスを安心して任せられます。
資格習得者であれば、M&Aの専門家を自称して高い手数料をだまし取るような悪質な業者にあたることもありません。
4. M&Aを行う各スペシャリストの違い
各スペシャリストには、事業領域の違いや特徴、強みにも違いが見られます。下表は各スペシャリストの特徴と強みをまとめたものです。相談先を決める際は、各特徴を比較検討したうえで自社に合ったところを選びましょう。
特徴 | 強み | |
公認会計士・税理士 | ・企業価値評価 ・財務デューデリジェンス ・会計・税務 |
会計・税務・財務サポート |
弁護士・行政書士 | ・契約書の作成・確認 ・取引先との交渉 ・法務デューデリジェンス |
法務サポート |
ファイナンシャルプランナー | ・全体的なサポート | 資産運用のスペシャリスト |
資格習得者 | ・全体的なサポート | M&A団体・企業からの認定 |
5. M&Aのスペシャリストとその他の専門家との違い
昨今のM&A需要を受けて、M&A仲介を請け負う団体や企業が爆発的に増加しています。実際に今回ご紹介したM&Aのスペシャリスト以外にも、M&Aの専門家として活動する団体や企業が存在します。
しかし、国家資格者やM&A資格習得者であるM&Aのスペシャリストと比較すると、知識や実務スキルで大きな差があるといわざるを得ません。M&Aの成功率を高めるためにも、M&Aのスペシャリストが在籍する仲介会社に相談することをおすすめします。
M&Aのご相談はM&A総合研究所へ
M&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。豊富な支援実績を有するM&Aアドバイザーが担当につき、一貫したサポートを行います。
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6. M&Aのスペシャリストのまとめ
M&AのスペシャリストはM&Aに関する知識と実務スキルを兼ね備えたM&Aのプロフェッショナルです。各所で専門的な知識を要するM&Aも、適切なスペシャリストに依頼することで円滑にM&Aを進めることが可能です。
しかし、スペシャリストはそれぞれに得意とする分野があるため、単体ではM&Aの一貫したサポートは難しい実状があります。一貫したサポートを希望される際は、M&A仲介会社にご相談することをおすすめします。
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