リフォーム業界のM&A・事業承継動向!事例や案件・成功のポイントを解説

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

リフォーム業界ではM&A・事業承継ニーズが高まっています。リフォーム会社のM&A・事業承継の動向や、買収・売却のメリット、成功させるポイントを解説します。リフォーム会社のM&A・事業承継の事例も紹介するので、参考にしてください。

目次

  1. リフォーム業界の現状
  2. リフォーム業界のM&A・事業承継の動向
  3. リフォーム業界でM&A・事業承継を行うメリット
  4. リフォーム業界のM&A・事業承継の相場
  5. リフォーム業界のM&A・事業承継の案件例
  6. リフォーム業界のM&A・事業承継の事例
  7. リフォーム業界の事業承継M&Aの手法
  8. リフォーム業界でM&A・事業承継を成功させるポイント
  9. リフォーム会社のM&A・事業承継でおすすめの相談先
  10. リフォーム会社のM&A・事業承継の動向まとめ
  11. リフォーム業界の成約事例一覧
  12. リフォーム業界のM&A案件一覧
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1. リフォーム業界の現状

M&Aを成功させるためには、業界の現状をしっかり把握しておくことが重要です。ここでは、リフォーム業界の現状について解説します。

リフォーム業界の市場規模

国土交通省の「建築物リフォーム・リニューアル調査報告」によると、2023年度のリフォーム・リニューアル工事の受注総額は13兆2,739億円となり、前年から14.9%増加しました。

2023年には新型コロナウイルスが「5類」に分類され、消費者の関心がリフォームや家具・家電といった家庭内消費から、旅行や外食といった外向きの消費へとシフトしました。その影響で、リフォームの需要(工事件数)は減少傾向にありました。

しかし、建築資材や人件費の高騰に加え、高付加価値リフォームへの需要が増加した結果、1件あたりの工事単価が上昇。これにより、需要の減少を単価の上昇が補い、リフォーム市場全体の規模は前年と同水準か、やや拡大する形で推移しました。

参考:国土交通省「建築物リフォーム・リニューアル調査報告(概要)」
   矢野経済研究所「住宅リフォーム市場に関する調査を実施(2024年)」

リフォーム業界の課題と展望

建設業界、特にリフォーム業界では、人手不足が長年の課題となっています。加えて、従業員の高齢化が進み、若い人材の確保が急務となっています。

1998年から2010年にかけて技術者の数は減少を続け、それ以降は横ばい状態が続いています。この背景には少子化による労働人口の減少が影響していると考えられます。

リフォーム業では高い技術力や豊富な経験が求められるため、新しく人材を採用することが難しい場合が多々あります。さらに、リフォーム業務は体力的にも負担が大きく、工期の関係で繁忙期には時間外労働が増える傾向があります。こうした条件は若い世代にとって敬遠されがちな要因のひとつです。

また、建設業界全体で若年層の割合が低いことも深刻な問題です。29歳以下の従業員は全体の約10%程度にとどまり、このままでは高齢化がさらに進み、業界全体が人材不足に陥るリスクが高まっています。

こうした状況を受けて、人材確保の手段としてM&A(企業買収・合併)を活用する企業が増えています。また、リフォーム需要は大規模イベント後に一時的な反動で減少する可能性もあるため、資金調達のタイミングを見計らってM&Aを実施し、経営基盤を強化する動きも見られるようになっています。

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2. リフォーム業界のM&A・事業承継の動向

近年におけるリフォーム会社のM&A・事業承継の動向には、以下4つの特徴がみられます。

M&Aにより異業種からの新規参入が多い業界構造

リフォーム会社は、一定の規模以下であれば許認可のいらない工事があるので、異業種からも新規参入しやすい業界です。

例えば、2017年4月、2002年より住宅事業に参入しているナックは、日本製紙の子会社「国木ハウス」の全株式取得・子会社化しました。

ただし、新規参入自体は行いやすくても、十分なノウハウがなければ売上を伸ばすのは難しいでしょう。参入後撤退していく企業も少なくありません。

関連事業・周辺事業からの規模拡大を狙ったM&Aも目立つ

リフォームに関連した事業は多岐にわたります。住宅に関連した新たな技術やビジネスモデルも次々に生まれ、そういった関連事業を行う企業が、リフォーム事業への範囲拡大により本業とのシナジー効果を得るケースがあるでしょう。

例えば、2020年3月、大手専門商社のユアサ商事が、リフォーム工事業高千穂の全株式取得、子会社化しました。
 

地域性に密着した業界からM&Aの増加が予測される

リフォーム会社は地域密着型の企業が強い業界です。事業エリアを拡大するためには、地域とのつながりがとても重要です。今後事業エリアの拡大を検討している企業は、M&Aによって地域密着型の企業を買収するケースが増えると予想されます。

例えば、2024年7月、ガス事業、インフラ設備事業、総合エネルギー事業等を行っている日本海ガス絆HDが、北雄ホームサービスを完全子会社化しました。

3. リフォーム業界でM&A・事業承継を行うメリット

リフォーム会社におけるM&A・事業承継のメリットについて、売却側と買収側に分けて紹介します。

売却側のメリット

リフォーム会社の売却側には、以下5つのメリットがあります。 

従業員の雇用確保

会社を清算すると、大事な従業員の仕事を失わせることが経営者の悩みです。売却・譲渡であれば、信頼できるリフォーム会社に従業員を任せられます。

後継者問題の解決

他業界と同じく、リフォーム会社も後継者不在問題が深刻です。特に、小規模工務店の多くが、後継者不在によって廃業に追い込まれています。売却・譲渡であれば、信頼できるリフォーム会社に会社を預けられるでしょう。

売却・譲渡益の獲得

リフォーム会社を清算するにもお金がかかります。M&Aによって売却益・譲渡益を得れば、引退後の生活資金や次の事業資金として使えます。リフォーム会社の規模を縮小して続けることも可能です。

資本力の後ろ盾による経営の安定化

大手リフォーム会社の傘下に入れば、十分な資金力とブランド力の中で安定した経営が可能です。ただし、売却・譲渡先選定は、自社の価値観と合う相手を選ぶ必要があります。

個人保証・債務・担保などの解消

M&Aによってリフォーム会社を売却・譲渡できれば、個人保証や債務、担保などを解消できます。お金の負担と精神的な負担が解消される大きなメリットとなるでしょう。

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買収側のメリット

ここに追加 リフォーム会社の買収側には、以下5つのメリットがあります。

人材の確保

深刻な人材不足のリフォーム業界で、リフォーム会社の買収によって人材を確保できることは大きなメリットです。貴重な人材の雇用を守れるので、リフォーム業界への貢献にもなります。

必要な事業を低コストで獲得

必要な事業をM&Aで獲得すると、リフォーム事業の縦展開、横展開が可能です。さまざまな事業を自社内・自社グループ内で行えば、経営の効率化が見込めます。

新規事業へ低コストで参入

他業界からリフォーム業界に参入する際、一からの事業立ち上げには多くの資金と時間が必要です。M&Aであれば、低コストでの参入が可能となります。

顧客・取引先・ノウハウなどの獲得

リフォーム業界は地域性が高く、地域の取引先や地域に合わせたノウハウを獲得することが重要です。リフォーム会社は口コミも大事なので、すでに地域の信頼を獲得しているリフォーム会社を手に入れることで、早い段階での収益化が可能となるでしょう。

地域性の高い業界のためエリア拡大の大きなポイントになる

経営戦略として事業エリアの拡大を行う場合、地域性を考慮せずに地域参入しても自社のノウハウが通用せず、撤退せざるを得なくなるケースがあります。

リフォーム会社は地域に合わせたノウハウ・サービスが必要です。M&Aによって地元リフォーム会社を取得すれば、スムーズな地域参入が可能になります。

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4. リフォーム業界のM&A・事業承継の相場

昨今、リフォーム会社の買収需要は高まっています。売上が伸び悩んでいる赤字続きの企業でも、希望額で売却・譲渡が成立しているケースが多いでしょう。

リフォーム業界におけるM&A・事業承継の相場は、会社の規模にもよりますが、一般的に、営業利益の2~4倍くらいになります。300万~3,000万円前後のケースがよく見られます。

特に本記事で後述する売却・譲渡のポイントを押さえる企業であれば、他業界と比べても高い相場で売却・譲渡が可能となるでしょう。ただし、多額の借入金がある企業の場合は、売買が成立しないか、成立したとしてもかなり安い金額で売却・譲渡となる可能性が高くなります。

リフォーム会社の売却・譲渡を検討する場合は、赤字や多少の借入金があっても、必要以上に希望の売却・譲渡価額を下げる必要はありません。不安であれば、M&A仲介会社などの専門家に、簡易企業価値算定を依頼しましょう。

M&A総合研究所では、専門的な知識や経験が豊富なM&Aアドバイザーが培ったノウハウを生かして案件をフルサポートします。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談を随時受け付けていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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5. リフォーム業界のM&A・事業承継の案件例

弊社M&A総合研究所が取り扱っているリフォーム業界のM&A・事業承継の案件例をご紹介します。

【業績20年以上/高い技術力】リフォーム・新築工事事業(東北エリア)

累計1万世帯以上のリフォーム及び新築工事等の施工実績があります。宅建士等の資格保有者が従業員の半数であるため、安心した施工相談が行えます。
 

エリア 東北
売上高 2.5億円〜5億円
譲渡希望額 希望なし
譲渡理由 後継者不在(事業承継)

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【関西/OBからの高い信頼】木造住宅の新築・リフォーム工事業

累計施工数120棟以上で、OBからの改築ニーズも多数あります。集客はOBからの紹介や、HPからの引き合いが中心です。
 

エリア 近畿
売上高 1億円〜2.5億円
譲渡希望額 1000万円〜5000万円
譲渡理由 財務的理由、後継者不在(事業承継)、事業存続に対する不安

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【好立地・高収益】東海地方 / 注文住宅・不動産売買・リフォーム

個人顧客向けに、注文住宅、リフォーム事業を展開しています。不動産の仕入れから、自社で行うことで、顧客満足度が高いです。
 

エリア 中部・北陸
売上高 2.5億円〜5億円
譲渡希望額 1000万円〜5000万円
譲渡理由 後継者不在(事業承継)、事業存続に対する不安

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【自社製材品を使用した木造建築】東海地方の注文住宅建築・リフォーム業

業歴60年以上の歴史を誇る会社であり、豊富な建築実績あります(坪単価55万円/坪~)。建築工事が主力事業ながら、自社製材による国産材を多く活用した建築を得意としています。
 

エリア 中部・北陸
売上高 2.5億円〜5億円
譲渡希望額 1000万円〜5000万円
譲渡理由 後継者不在(事業承継)

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6. リフォーム業界のM&A・事業承継の事例

リフォーム会社のM&A・譲渡理由の事例を紹介します。

岩谷産業によるアイエスジーのM&A・事業承継

2024年11月、岩谷産業は、千葉県を拠点とするアイエスジーの全株式を取得し、M&A契約を締結しました。岩谷産業はLPガスや水素を中心に幅広いエネルギー事業を展開しており、アイエスジーはLPガス販売や住宅リフォーム事業を手掛けています。

この買収により、岩谷産業は千葉・茨城エリアでの事業拡大や物流・営業効率の向上を目指します。また、両社の強みを組み合わせることで、顧客向けサービスの充実や脱炭素社会への貢献を強化し、グループ全体で「エネルギー生活総合サービス事業者」としての基盤をさらに強固にする方針です。

アイエスジー株式会社の株式取得に関するお知らせ

積水化学工業によるクレアストのM&A・事業承継

2024年10月、積水化学工業は、北海道を拠点とするクレアストの全株式を取得する契約を締結しました。積水化学工業は、住宅やまちづくり事業などを展開しており、クレアストは戸建住宅やマンション、飲食店のリフォームや買取再販事業を行っています。

この買収を通じて、積水化学工業は北海道エリアでの住宅リフォーム事業を強化し、空き家増加や環境問題といった社会課題の解決を目指します。特に、RC造マンションのリフォームや施工体制の強化に注力し、循環型社会の実現やSDGs推進に貢献するビジネスモデルの構築を進めていく方針です。

北海道エリアでの住宅ストック事業強化に向けて リフォーム会社「株式会社クレアスト」の全株式を取得

キムラタンによるイストグループ3社のM&A・事業承継

2024年8月、キムラタンは、宮城県仙台市に拠点を置くイストグループ(イスト、ライブ、コネクト)の全株式を取得し、子会社化することを決定しました。

キムラタンは不動産やアパレル事業を展開しており、イストグループは個人向け不動産販売やリフォーム、不動産賃貸を手掛けています。この買収により、キムラタンはイストグループの賃貸収入や不動産販売収入を活用して収益力を強化するとともに、不動産事業の領域を広げ、多様なビジネスモデルを展開していく方針です。

子会社の異動を伴う株式取得に関するお知らせ

アークホームによるフレッシュハウスのM&A・事業承継

リフォーム会社におけるM&A・売却・買収・譲渡の事例は、アークホームによるフレッシュハウスのM&Aです。

2024年6月、アークホームはフレッシュハウスの全ての株式を取得しました。アークホームはアークホーム戸建て・マンションのリフォームやリノベーションを行っています。フレッシュハウスは、横浜市に本社を置く住宅のリフォームおよびリノベーションを行っています。

今回のM&Aにより、リフォーム事業のさらなる拡大を目指します。

エムビーエスによるリグノマテリアのM&A・事業承継

リフォーム会社におけるM&A・売却・買収・譲渡の事例は、エムビーエスとリグノマテリアの資本業務提携です。2023年7月、エムビーエスとリグノマテリアは資本業務提携を行うことを発表しました。

エムビーエスは、住宅など建造物のリフォーム工事や機能性塗料の開発・販売などを手掛けています。一方のリグノマテリアは、化成品や天然物由来の原料・加工品の製造販売、コンサルタント事業などを手掛ける企業です。

本資本業務提携について、エムビーエスは新しい建築資材の開発やプラント建設・製造物の販売拡大を協力して進めることで、両社の発展および企業価値向上につながるとしています。

参考:株式会社エムビーエス「資本業務提携契約締結に関するお知らせ 」

コーナン商事によるパナソニックプロイエサービスのM&A・事業承継

リフォーム会社におけるM&A・売却・買収・譲渡の事例は、コーナン商事によるM&Aです。

2021年10月、コーナン商事はパナソニックプロイエサービスの住宅設備維持修繕事業の一部を事業譲渡で取得しました。

プロイエは、首都圏でリフォーム事業を展開しています。この契約締結により、コーナン商事の人材不足を解消するとともに、リフォーム事業に関する成長戦略を一層加速させる見込みです。

参考:コーナン商事株式会社「リフォーム関連事業の一部事業譲受に関するお知らせ」

日本管理センターによるシンエイとシンエイエステートのM&A・事業承継

リフォーム会社におけるM&A・売却・買収・譲渡の事例は、日本管理センターによるM&Aです。

2021年6月、賃貸住宅の経営代行・管理・運用を行っている日本管理センターはシンエイおよびシンエイエステートの全株式を取得し、完全子会社化しました。

シンエイおよびシンエイエステートは、東京・多摩地域を中心に、首都圏で9,000戸を超える賃貸住宅の管理・運用を展開しています。50年以上地域に密着した会社です。

日本管理センターグループの持つリフォーム事業、滞納保証事業、保険事業を提供することで、さらなる収益向上が期待されます。AIとICTを融合したPropTechを活用することで、業務効率化も見込まれます。両社の強みを生かした事業強化により、企業価値向上につなげる考えです。

参考:日本管理センター株式会社「株式会社シンエイおよび株式会社シンエイエステートの 株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」

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日本リビング保証による横浜ハウスのM&A・事業承継

リフォーム会社におけるM&A・売却・買収・譲渡の事例は、日本リビング保証によるM&Aです。

2020年7月、日本リビング保証は横浜を拠点とした住宅建設およびリフォーム工事業の横浜ハウスを株式譲渡により子会社化しました。

日本リビング保証は、保証・アフターサービス業務代行やCRM支援サービスなどをつうじて、住宅事業者に経営効率化・新商流形成の支援を行っています。この契約締結により、「住宅関連リアルサービス提供体制の強化」を目指します。

参考:日本リビング保証株式会社「横浜ハウス株式会社の完全子会社化について」

アサンテによるハートフルホームのM&A・事業承継

リフォーム会社におけるM&A・売却・買収・譲渡の事例は、アサンテによるM&Aです。2020年5月、アサンテは北海道のハートフルホームの全発行済み株式を取得し、同社を子会社化すると発表しました。

アサンテは、木造住宅向けのハウスメンテナンスサービスを手掛けており、白蟻防除をメインに事業を行っています。子会社となったハートフルホームは金属サイディングによる外壁リフォームを得意とする北海道の建築リフォーム会社です。札幌市を拠点に事業を展開しており、外壁リフォームでは道内トップクラスの実績を持っています。

本M&Aは事業エリアの拡大とサービス分野の拡充が主な目的です。アサンテはハートフルホームの子会社化により、新規エリアとなる北海道に拠点を構えることとなり、同エリアでの事業拡大を進めるとともに既存事業とのシナジー創出を目指すとしています。

参考:株式会社アサンテ「株式会社ハートフルホームの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

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7. リフォーム業界の事業承継M&Aの手法

リフォーム業界のM&A・事業承継で多く活用されている手法は、株式譲渡と事業譲渡の2つです。ここでは、それぞれどのような特徴があるのかを簡単に解説します。

株式譲渡

株式譲渡

株式譲渡は、売却側の発行済み株式(議決権のある株式)を買収側へ譲渡することによって、経営権を移転させる手法です。

株式譲渡後の支配関係は譲渡する株式割合で決まり、売却側が全発行済み株式を譲渡すればM&A後は買収側の完全子会社となり、過半数以上を譲渡すれば子会社となります。

株式譲渡は、売却側の権利・義務が包括的に買収側へと引き継がれる点が特徴のひとつです。対象となるのは資産や負債だけでなく、従業員の雇用や許認可なども含まれます。

事業譲渡

事業譲渡

事業譲渡とは、複数事業を行う企業が事業の全部または一部を譲渡する手法です。譲渡対象および範囲は売却側・買収側が協議して細かく決めることができます。

株式の移転は伴わないため、M&A後も売却側は譲渡対象以外の事業を引き続き行うことが可能です。事業譲渡は株式譲渡のように権利・義務が包括的に承継されるわけではなく、買収側が引き継ぐためには個々に手続きを行わなければなりません。

従業員の雇用契約を買収側が引き継ぐ場合は個別に同意を得たうえで、改めて契約の結びなおしが必要です。また、売却側の保有する許認可は、原則として引き継ぐことはできません。

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8. リフォーム業界でM&A・事業承継を成功させるポイント

リフォーム会社のM&A・事業承継を成功させるには、以下8つのポイントを押さえることが大切です。

①他社にはない強み・アピールポイントがある

小規模のリフォーム会社は競争が激しく、契約が取れても薄利での受注になってしまうケースが多いです。安売りしなくても、契約が取れる強みを持ったリフォーム会社であれば、相場よりも高い金額で買い手が付きます。

②事業の健全化・価格の透明化がなされている

リフォーム会社は口コミによる契約獲得が重要です。事業のやり方や価格設定に不透明な部分があると、安定した経営ができません。事業の健全化と価格の透明化がしっかりしているリフォーム会社であれば、良い買い手が付きやすいです。

③コンプライアンスに基づいた運営をしている

近年、リフォームに関するトラブルの多さが目立つことや、大手建築会社による不祥事が続いていることなどから、リフォーム会社に対する目は厳しくなっています。コンプライアンスを徹底しているリフォーム会社であれば、買収側は安心して取得できるでしょう。

④職人の充実・優秀な人材を保有している

リフォーム会社は深刻な人材不足であるため、近年は人材確保目的での買収も増えている現状です。優秀な人材がいるリフォーム会社は、赤字でもすぐに買い手が付くケースが多く見られます。

⑤業界団体・地域貢献などを行っている

消費者が安心してリフォームを行えるように、リフォーム業界には国土交通省が定めた業界団体があります。団体の要件を満たして登録していると安心につながります。

他業界と同じく、リフォーム会社でもCSR(企業の社会的責任)を行っているかが注目されるようになりました。小さなことでも地域貢献を継続して行っていることが大事です。

⑥同業種・関連業種などとの幅広い情報がある

リフォーム会社はさまざまな業種との連携が必要です。買収後に幅広い情報を築くには時間がかかるため、同業種・関連業種との幅広い情報を持てば、買収側は効率良く事業を引き継げます。

⑦リフォームに対する多くの経験・実績がある

消費者がリフォーム会社に求めるポイントで上位に入るのが、値段の安さです。リフォーム価格は、日数と人手によって決まります。

リフォームの経験が豊富なリフォーム会社であれば、同じ作業でも費用を抑えられます。信頼感・安心感を求める消費者にとって、実績豊富なリフォーム会社は依頼しやすいでしょう。

⑧会社売却の専門家に相談する

現在リフォーム会社は買収需要が高い状況です。だからこそ売却・譲渡側は、売却・譲渡先の選定をしっかりと行い、売却・譲渡の手法を目的に合わせて的確に選ぶことが重要です。

M&A仲介会社はM&Aに関するサポートを一貫して行います。相談無料の仲介会社も多いです。売却・譲渡を検討している場合、まずは仲介会社に相談しましょう。

9. リフォーム会社のM&A・事業承継でおすすめの相談先

リフォーム会社のM&A・事業承継でおすすめの相談先をご紹介します。

金融機関

金融機関がM&Aのファイナンシャル・アドバイザーを務めることがあります。外資系投資銀行や日系証券会社は大型M&Aを得意としており、成功報酬の目安は外資系で2億円以上、日系で2千万円以上です。商業銀行の場合、メガバンクは2千万円以上、地方銀行は数百万円以上が基準となります。

金融機関を利用するメリットは、高度な専門知識や資金調達に関する相談ができる点です。一方で、規模が小さい中小企業の案件では専門性を十分に発揮できない場合があり、成功報酬が高額であることもデメリットといえます。

【関連】M&Aにおける銀行の役割とは?融資やアドバイザリーの特徴・成功のコツ・利益相反の注意点を解説

公的機関

商工会議所などの公的機関は、中小企業向けにM&A支援を提供しています。政府が作成した「事業承継ガイドライン」でもM&Aが重要な手法として位置づけられています。

公的機関のメリットは、中小企業の業務や文化への深い理解があり、売り手・買い手企業が中小企業の場合に特に適している点です。また、商工会議所会員であれば、初期費用無料でM&Aの相談や着手が可能です。

一方で、商工会議所の会員になるには費用が発生するため、これが利用の大きなハードルになる場合があります。

M&A仲介会社

M&A仲介会社は、M&Aに特化したサービスを提供しており、各社ごとに得意分野や経験が異なるため、自社に適した仲介会社を選ぶことが重要です。

仲介会社を利用するメリットは、幅広い選択肢からM&Aの相手先候補を探してもらえる点と、金融機関に比べて成功報酬が比較的安い場合が多い点です。これにより、コストを抑えつつ専門的なサポートを受けられます。

一方で、一部の仲介会社では、報酬を優先するあまり契約の成立を急がせる対応が見られることがデメリットです。信頼できる仲介会社を選ぶことが、成功の鍵となります。

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10. リフォーム会社のM&A・事業承継の動向まとめ

リフォーム業界は新規参入しやすい業界構造です。異業種からの参入も多く、地域性に密着した業界からM&A・事業承継は増えていくと予測されます。

リフォーム業界でのM&A・事業承継を行う際は、業界動向を踏まえて検討しましょう。M&A仲介会社など専門家のサポートを受けながら進めることをおすすめします。

11. リフォーム業界の成約事例一覧

12. リフォーム業界のM&A案件一覧

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