貿易関連業界のM&A動向!売却・買収事例5選と成功のポイントを解説!【2024年最新】

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

この記事では総合商社などを中心とした貿易関連業界の動向や、貿易関連企業のM&Aと売却・買収の事例5つを紹介します。実際にM&Aを成功させるためのポイントも解説しますので、貿易関連業界でのM&Aの特色を知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

  1. 貿易関連業界の概要と動向
  2. 貿易関連会社をM&Aするメリット
  3. 貿易関連会社のM&A・買収・売却事例5選
  4. 貿易関連業界のM&Aの成功のポイント
  5. 貿易関連業界のM&A・事業譲渡まとめ
  6. 運送・物流業界の成約事例一覧
  7. 運送・物流業界のM&A案件一覧
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1. 貿易関連業界の概要と動向

貿易関連業界は、主に商社が展開する事業がメインです。貿易会社とは、商品の輸出入貿易と国内取引を担っている事業者のことを指します。M&Aに関する内容の補足として、まずは貿易関連業界の概要を紹介します。

貿易関連業界とは

貿易関連業界とは、多種多様な商品・サービスの輸出入、卸売販売、中間流通等の事業展開するジャンルの総称です。一般的に総合商社とも呼ばれて、国内外にルートを拡大している企業のことを指します。

事業範囲はかなり幅広く、石油・鉄鉱石・石炭といった資源開発から始まり、電力・鉄道といったインフラ関連、食料・繊維・生活用品などの分野にまで至っています。

貿易関連業界の市場規模と動向

貿易関連業界の市場は、時代と共に変革をし続けています。初歩的な段階では、発電に利用するための燃料用石炭・鉱山事業、石炭火力発電事業よりスタートしました。しかし技術の発展に伴って市場からの撤退・縮小の動きが広がって今日に至っています。

温室効果ガスの排出量削減に対応し、投資家でも環境保全を重視した動きも目立っています。三菱や三井といった老舗商社の多くは、石炭や鉱山だけにとどまらず石油関連の事業も2030年までに手放す予測もあるほどです。

その一方で、再生可能エネルギー・新エネルギーの分野への足掛かりを求め、次第に加速しています。丸紅は大規模な太陽光発電事業への参画を公表し、伊藤忠商事は液化水素製造プラントを中部地方に設置する動きが代表的な事例です。

2. 貿易関連会社をM&Aするメリット

規模もさまざまではありますが、貿易関連業界では大手総合商社へ売却する中小商社の動きが目立ちます

売却側のメリット

では、M&Aにて専門商社を売却するメリットにはどのようなものがあるのか見ていきましょう。その際は、売却先が同業者なのか異業種なのかによるの差も考えられます。そこで、「同業者への売却」と「異業種企業への売却」に分類しながらメリットを紹介します。

同業者への売却

同業者への売却では以下のようなメリットが誕生しやすいでしょう。

  • 大手商社との提携により取引先拡大・財務基盤安定化・営業力強化
  • 事業承継の問題解決
  • 売却益確保
  • 既存スタッフの雇用存続
  • 仕事の効率化

同業者への売却メリットで大きいのは、大手商社への傘下入りで、取引先拡大・財務基盤安定化・営業力強化が著しく向上することです。今まで関係性のなかったクライアントとも接点ができるかもしれません。

また、同業種に限った話ではありませんが、後継者不在の問題を解消し事業承継が行えることです。同時に売却益が確保されつつスタッフの雇用存続も期待できます。他にも、仕事が効率化されたり、売却先企業との相互送客、経営資源の相互活用もできるはずです。

異業種企業への売却

異業種企業へのM&Aの売却では、以下のようなメリットが考えられます。

  • 製品ラインナップ拡充と財務基盤の安定化を図れる
  • 異業種との連携強化により小売業者への販売ルートが確立する
  • 情報共有が多彩になりさらに顧客ニーズに合う事業展開できる

異業種企業への売却においては、同業種の時に得られるメリットに加えて、製品ラインナップ拡充と財務基盤の安定化が見込めます。

あるいは、メーカーと連携強化が図れることで、小売業者への製品販売ルートが広がり収益確保につながる可能性があるでしょう。

買収側のメリット

売却側と同じように、買収側においても同業者か異業種メーカーでM&Aのメリットに多少の違いがあります。では、「同業者の買収」と「異業種メーカーの買収」の2タイプでメリットを紹介しましょう。

同業者の買収

同業者の買収によって以下のようなメリットが誕生しやすいでしょう。

  • 特定の製品分野を強化して事業展開できる
  • 海外進出や未進出エリアへ拡張ができる
  • 商社事業の規模拡大と成長の加速が見えてくる

同業者のM&A買収では、特定の製品分野についての強化と事業展開が期待できるでしょう。また、内容によっては海外進出・未進出エリアへの拡張などの事業領域を広げる足がかりになるかもしれません。

異業種企業の買収

異業種企業間でも、M&A買収によって以下のようなメリットを生みやすくします。

  • 消費者ニーズを共有し合える
  • 調達から販売までのサプライチェーンが自社完結する
  • 新分野への進出・海外進出につながる

異業種企業とのM&A買収によって、消費者ニーズを共有し合えるため、顧客ニーズによりマッチする製品開発・生産ができるでしょう。それに、もし商材に共通項があれば原材料調達の強化が図れます。

それに伴い、調達から販売までのサプライチェーンを、自社完結する一貫したラインが確立します。他にも、協働することにより、新分野への進出・海外進出につながりやすくなるでしょう。

3. 貿易関連会社のM&A・買収・売却事例5選

貿易関連業界では、実際にどのようなM&Aでの売却・買収が行われているのでしょうか。過去に実施された貿易関連会社の、M&Aを介する売却と買収の事例を5つ紹介します。

三洋貿易がコスモ・コンピューティングシステムをM&Aした事例

2022年10月28日、三洋貿易株式会社はM&Aにより、株式会社コスモ・コンピューティングシステムの全株式を取得して、子会社化に成功しています。

三洋貿易は、ゴム製品や化学品を中心としたライフサイエンスを主軸にする商社で、コスモ・コンピューティングシステムは、ソフトウェア受託開発・システム開発を行っている会社です。

M&Aを通じて、システム開発を内製化できた三洋貿易は、より近いところでデジタルサービスの提供ができる体制を整えられました。ビジネス環境の変化と顧客のデジタル化ニーズに準じた企業価値の向上が期待できます。

参考:子会社の異動を伴う株式取得に関するお知らせ

アサヒ衛陶が友琪貿易をM&Aした事例

2022年3月29日、アサヒ衛陶はM&Aを通じて、輸出入業務を手がける友琪貿易の株式59.2%を取得し、子会社化を決定させました。

友琪貿易は、古物商許可を保有する企業です。衛生陶器関連を中心に日用品、雑貨類を取り扱うアサヒ衛陶にとっては、今回の買収によりリサイクル関連の事業展開の可能性も広がりました。

参考:友琪貿易株式会社への出資による子会社化及び新たな事業の開始に関するお知らせ

Cominixが広州加茂川国際貿易有限公司をM&Aした事例

2021年9月30日、Cominixは、日系企業の広州加茂川国際貿易有限公司の全株式を取得し、子会社化することを決定させました。

広州加茂川国際貿易有限公司は、機械・工具を中心とした生産財総合卸業者です。切削工具や耐摩工具の専門商社のCominixにとっても、より海外への事業展開に拍車がかかる好都合なM&A買収を実現させたことになります。

参考:広州加茂川国際貿易有限公司の持分取得(子会社化)に関するお知らせ

メニコンが板橋貿易をM&Aした事例

2021年1月8日、メニコンは、医療用機械器具の販売・輸出入の企業である板橋貿易をM&Aにより子会社化させました。

板橋貿易は元々、中国の大連にて子会社も経営していた経緯があり、中国市場への本格進出を考えていたメニコンにとって、コンタクトレンズ事業の拡大にもつながる買収となりました。

参考:板橋貿易株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

極東貿易が株式会社ミツトヨをM&Aした事例

2020年11月30日、極東貿易(日本システム工業)が子会社を通じて、計測器メーカーの株式会社ミツトヨより、地震計関連事業を買収・取得が決定したことを公表しました。

電力設備を中心としたインフラ機器の販売、保守・サービス業務などに強い極東貿易にとって、地震計関連の事業も手掛けられることは相乗効果がある契約とされています。

参考:当社連結子会社における事業譲受に関するお知らせ

  • 運送・物流会社のM&A・事業承継

4. 貿易関連業界のM&Aの成功のポイント

貿易関連業界でのM&Aを実施するには、以下のような成功のためのポイントを知っておく必要があります。

  • 専門家への相談
  • シナジー効果を最大限に発揮できるか
  • 財務諸表の確認
  • 取引にマイナスとなる要素の解消

専門家への相談

どのような業種・業界でも共通なことは、M&Aについて精通している専門家や業者への相談からスタートさせるのが成功の近道です。

特に中小企業がM&Aをする際は、情報整理してお互いにフェアな取引ができなければなりません。

M&Aについての知識や経験が少ないと、かえって決定を渋ってしまうことや細かい問題点が浮上しかねないでしょう。経営戦略としてM&Aによる売却・買収を考える以上は、、実際に経験豊富な専門家を中間に置いて進めることをおすすめします。

M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください

M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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シナジー効果を最大限に発揮できるか

M&Aを行うことでシナジー効果が期待できるかどうかは、成功のためのポイントになるでしょう。既存の事業と買収した事業の組み合わせ次第で何倍もの業績をあげることも可能です。

例えば、M&Aで専門商社を買収した場合など、相互送客やクロスセルにより売上高が合計額よりもプラスアルファとなるものを作れればシナジー効果を発揮したことになります。

会社の大小よりも、シナジー効果を期待できる企業を買収することのほうが費用対効果が期待できるでしょう。

売却側としても、どういった会社とM&Aを行うことが一番双方にとってメリットが大きくなるのか?という点を考えて売却先を検討することが重要です。

財務諸表の確認

M&Aを行うのに必要なチェックポイントとして、財務諸表の確認があります。買い手企業としても、客観的に買収判断をする材料となるのが貸借対照表、損益計算書といったものです。財務諸表で確認しておきたい内容はいくつかあります。

主に以下のようなポイントを確認することが大切です。

  • 売上と営業利益の推移
  • 無駄なコストと在庫
  • 経営者と家族への報酬
  • 有利子負債の金額
  • 個人保証・担保の状況
  • 売掛金と買掛金の状況
  • 不動産や株式など有価証券の種類・金額
  • 運転資金、資金繰りの状況
  • 簿外債務・偶発債務の種類と金額

取引にマイナスとなる要素の解消

売却側・買収側の双方のリスク軽減のためにも、現行にてマイナス要素が有るか、もしあればどの程度なのかも確認することが大切です。もし買収企業が売却側を確認するとしたら、以下のようなマイナス要素が考えられるでしょう。

  • 粉飾決算と不正経理
  • 顧客および従業員からの訴訟問題の有無
  • 経営者のワンマン経営の有無と実情
  • M&A後のスタッフの離職リスク
  • 本社や事業所のアクセス事情
これらはデューデリジェンス段階で明らかになることが多いですが、売却側は買収側に対して事前に開示しながら交渉を進めることが大切です。更にはこれらを事前に解消することができれば、ネガティブな印象を減らすことができます。

5. 貿易関連業界のM&A・事業譲渡まとめ

現在の貿易関連業界では、専門商社が事業承継・事業拡大を目的に、会社の売却をする傾向が目立ち始めています。また、会社の全部を売却するのではなく、あくまでも資本提携をして出資を受けた協力関係を作る動きもあるようです。

頑なに自社のフィールドや業界にこだわっているだけではなく、売却側・買収側のメリットや異なる得意分野を応用させる意味でのM&Aの契約は、今後も増えていく可能性があるでしょう。

6. 運送・物流業界の成約事例一覧

7. 運送・物流業界のM&A案件一覧

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