アパレル業界のM&A・買収の動向【2021年最新事例】

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

昨今、日本のアパレル業界では、M&A(企業買収・合併)の実施件数が増加傾向にあります。M&Aは、アパレル業界を生き残るうえで大きな力を発揮する経営戦略の1つです。そこで本記事では、アパレル業界のM&A動向および買収・合併の最新事例などを紹介します。

目次

  1. アパレル業界の最新動向
  2. アパレル業界のM&A・買収の最新動向
  3. アパレル業界同士のM&A・買収事例
  4. アパレル業界と異業種・関連業種のM&A・買収事例
  5. アパレル業界のM&A売却・譲渡案件
  6. アパレル業界でM&Aを行うメリット
  7. アパレル業界のM&A・買収の最新動向まとめ
  • アパレルメーカー・アパレル会社のM&A・事業承継

1. アパレル業界の最新動向

アパレル業界の歴史は長いです。アパレル業界ではメーカー・卸売業・小売業の垂直統合が多いため、メーカーや卸売業などが経営する小売業のほか、企画製造までを幅広く行うSPAと呼ばれる業態も見られます。

こうした特徴を持つアパレル業界も、事業譲渡買収などのM&Aが活発に実施されている業界の1つです。アパレル業界は市場縮小や大手ファストファッションの台頭で競争が激しくなっており、今後ともアパレル業界が絡むM&Aは活発に実施されるものと推測されています。

マールオンライン「グラフで見るM&A動向 1985年以降のマーケット別M&A件数の推移」によると、そもそも日本のM&A件数は、2017年には3,000件・2019年には4,000件を超えました(2020年以降はコロナ禍の影響により減少傾向)。

これに伴い、近年はアパレル業界でもM&Aが活発に実施されています。例えば、事業承継・国内市場での生き残り・世界進出によるさらなる成長などを図るために、日本のアパレル企業は経営戦略としてM&Aを用いている状況です。

そこで、本記事では、アパレル業界の現状や売却・譲渡や買収の動向を詳しく解説します。

アパレル業界の基本情報

アパレル業界は衣服に携わる職業として、さまざまな職種の中でも高い人気を誇る職業の1つです。買収や売却・譲渡の動向を把握する前に、まずはアパレル業界の定義や特性などを解説します。

アパレル業界の詳しい定義や特性を知っておくと、アパレル業界で事業譲渡や買収が盛んに実施されている理由を把握できます。そのため、M&Aを実施する前に、しっかりと理解を深めましょう。

アパレル業界定義

アパレル業界とは衣類(服)の製造・流通・販売を行う業界のことであり、英語では「apparel」と表記されます。

アパレル業界には、メーカー・卸売業までを統合して手掛ける企業のほか、メーカー・卸売業から仕入れて店頭などで販売のみを行う企業があります。衣類(服)のデザイン企画から流通まで一貫して手掛ける企業まで存在するなど、さまざまな業態があるでしょう。

ここでは、一般的な位置付けにある、「メーカーから商品(服)を仕入れて店舗で販売する」アパレル業界の小売業を取り上げます。

「ファッション業界」と「アパレル業界」の違い

アパレルとは、衣料・衣服・既製服を意味する言葉です。これを踏まえて、アパレル業界とは、デザイン・縫製などの製造分野を中心とした衣料品業界をさします。

その一方で、ファッションとは「fashion=流行」を意味する言葉であり、衣服や洋服などの意味は含まれません。そのため、ファッション業界とは、流行や装飾性を意識しながら身の回りを装飾する業界全般をさします。

アパレル業界の企業タイプ

アパレル業界は、以下のような企業タイプに分かれています。
 

企業タイプ 事業内容
アパレルメーカー 商品の企画・製造・流通
小売店への卸売
製造業者 糸製造、製織、染色・加工、縫製
小売店 メーカーが製造した商品を販売(百貨店・量販店・専門店)
繊維商社 商品・生地・原材料の買い付け、輸出入
アパレルメーカー商品の仕入れ・販売
海外ブランドの販売・ライセンスビジネス
OEM(他社ブランド製品の製造)
ODM(他社ブランド製品の企画から生産まで一括)
アパレル物流業者 アパレルや生地などの商品の一連の流れを管理
SPA企業 自社商品を自社店舗チェーンやECサイトで販売
D2C企業 自社商品を自社ECサイトで販売

アパレル業界は、通常、水平的に分業を行うのが一般的でしたが、昨今はアパレルメーカーと小売店の両方を兼ねる企業が多くなっているのが特徴です。

商流・事業の特性

アパレルの生産・流通の流れを見ると、「糸のメーカー」→「生地のメーカー」→「服の生産・卸売」→「小売」といったように大きく4段階に分かれています。

アパレル業界では、上記を川の流れに例えて以下の3段階に分類しています。

 

  • 川上→紡績・加工業、服地の生産、染色加工業、化学繊維製造業
  • 川中→供給される素材をもとに服飾品を生産・企画する企業
  • 川下→消費者へ販売する小売業者

そして、アパレル業界の特性として挙げられる点が、主に以下の4つです。

 

  • 服のトレンドに左右されやすい
  • 季節性のある服は売れ残るため在庫や値引き販売が見られる
  • 商品のライフサイクルが短く在庫リスクが高い
  • バーゲン販売の実施


つまり、2021年に流行した服が2022年に流行する保証はなく、特定のアパレルブランドが流行すれば消費者の興味がそちらに向いてしまって商品が売れなくなるなど、在庫リスクが非常に高いビジネスです。

また、春夏の服よりも秋冬の服の単価を高くするなど、時期の動向を見ながらプロパー販売・セール販売など販売のスタイルを変えていく必要があります。

消費者・顧客の状況

昨今では、ファッション性が高く低価格な商品を展開するSPA(製造小売業)が台頭しており、小売業の川上進出などバリューチェーンを超えた相互進出が行われているために競争率が高まっています。

低価格とファッション性を追求し販売する「ファストファッション」と呼ばれるアパレルブランドが増加しており、消費者からお手頃商品として大きく注目されています。

ただし、これらのアパレルブランドは、主にSPAの業態でコストの安い海外地域で大量生産を行っているため、国内の外衣生産量自体は減少傾向にある点が特徴的です。

仕入れの状況

アパレル業界の衣料小売業では、卸売業と提携して複数メーカーの商品を仕入れることで、ファッショントレンドへ柔軟に対応できる品ぞろえを可能としています。そのため、卸売業界の市場が縮小しているにもかかわらず、競争激化により企業数が減少している状況です。

こうした状況下で、大手アパレルメーカーは、商品企画・素材手配・生産管理・川下の小売業への販売(卸業)を一括で行える機能を獲得しています。そのうえ、SPAの川上進出による業界内参入が起こっているため、競争力のない卸売業者は淘汰(とうた)されている状況です。

競合や代替品による業界の変化

アパレル業界では競合企業が増えており、大手SPAをはじめとするアパレル企業は低価格化・店舗展開などを推進して高付加価値を打ち出しています。

ブランド拡大のためにM&Aを実施しているため、今後も付加価値を打ち出せない企業は淘汰(とうた)されていくでしょう。

さらに、収益を伸ばすべくグローバル展開にも力を入れており、これに成功している企業も多く存在します。このように、アパレル業界で大きな収益を得るには、海外展開も視野に入れなければなりません。

主要プレーヤー

ここでは、デジタル&ワークス「業界動向サーチ アパレル業界の売上高ランキング(2019年-2020年)」から発表されている、アパレル業界の主要プレーヤー(ブランド・メーカー・企業)の2019年売上高ランキングを取り上げます。

  1. ファーストリテイリング:2兆2,905億円
  2. しまむら:5,219億円
  3. オンワードホールディングス:2,482億円
  4. ワールド:2,362億円
  5. アダストリア:2,223億円
  6. 青山商事:2,176億円
  7. 良品計画:1,875億円
  8. ワコールホールディングス:1,867億円
  9. AOKIホールディングス:1,802億円
  10. TSIホールディングス:1,700億円

上位のリストを見ると一般的に有名なアパレルブランドがそろっています。1位のファーストリテイリングは、世界的に有名なユニクロやGUなどのブランドを持つ企業であり、売上高も群を抜いている状況です。

近年の動向を見ると、インターネット通販で業績を伸ばしているアパレルブランドが多く見られます。特にワールドやオンワードホールディングスは通販に力を入れており、今後も業績が拡大する見込みです。

2021年以降のアパレル業界では、ECサイトをさらに充実させるなどして他ブランドとの差別化を図る戦略が求められるものと推測されます。

アパレル業界全体の市場状況

近年のアパレル業界の市場状況を見ると、横ばいを続けていて伸び悩んでいます。

消費者の動向が従来の販売チャンネルとは異なる方向にあり、従来の商品販売を継続している企業では業績の悪化が見られる状況です。ここからは、アパレル業界の市場状況がどのように変化し、実際にどのような経営改変が実施されているのか紹介します。

全体の市場規模は鈍化

近年のアパレル業界は、深刻な不振が続いています。なぜなら、消費者の衣服に関する家計消費は減少傾向にあるためです。

これを受けて、ファストファッションや価値の高いハイブランドを除いて、国内のアパレルブランドはほとんど壊滅状態に近いとされています。

矢野経済研究所「国内アパレル市場に関する調査を実施(2020年)」によると、業界の動向として、1990年代には15兆円を超えていた国内の市場規模は、2019年には10兆円を下回っています。

そして、こうした市場状況を象徴するように、アパレル業界では大手企業が小規模企業を丸ごと飲み込むM&A事例がそれほど見られません。

その一方で、業界変革を行うためにM&Aを活用するケースが増えています。

参考:経済産業省「アパレル・サプライチェーン研究会 報告書 参考資料集」

ECサイトは右肩上がり

アパレル業界自体は失速が続いていますが、販売チャンネルの多様化が目立っています。これを受けて、中小規模だけでなく大手のアパレルブランドでも、インターネット通販などECサイトでの販売を強化している状況です。

特にインターネットの進化と消費者の動向に目を付けている企業では、アプリ開発やECサイトでの販路強化を行っており好調を続けています。

海外企業は二極化

アパレル業界を見ると、外資系企業では「カジュアルブランド」もしくは「ラグジュアリーブランド」に2極化している傾向が見受けられます。

なぜなら、昨今のアパレル業界の市場状況で低迷していない分野が「ファストファッション」と「ハイブランド」であるためです。これを受けて、海外企業は、日本国内でターゲットを絞ったマーケティングを実施しています。

上記の戦略の背景にはSNSの流行や消費者の服にかけるお金の減少などがあり、こうした動向に合わせた販路強化が求められています。

アパレルメーカー・小売店を取り巻く環境

近年、アパレル業界は横ばいの推移を見せているのが特徴ですが、多くの企業の売上はマイナスとなっているのが現状で、業界内の勝ち組と負け組が明確化しています。

その背景には、ファストファッションを展開するブランドが市場の大部分を席巻していることと、IT化に伴い消費者がスマートフォン経由でのインターネット利用が急拡大しているのが挙げられるでしょう。

ここでは、アパレルメーカー・小売店を取り巻く環境を説明します。

市場規模の縮小・百貨店の低迷

経済産業省「繊維産業の現状と経済産業省の取組(2020年)」によると、国内アパレル市場規模はバブル期の約15兆円から10兆円程度へと減少しており、その後はほぼ横ばいで伸び悩みが続いているのが現状です。

その一方で、アパレル供給量は20億点から40億点規模へと倍増しており、アパレル製品の単価は大幅に下落しているのです。

背景には、需要が伸び悩むなかでの過剰出店・過剰供給と不採算店舗の増加などが挙げられるでしょう。そうした中で、原価率や品質の低下、正価への不信感などを招き、収益性・集客力低下といった負のスパイラルが起こっています。

そうした傾向は、販売チャンネルの多様化によりECサイトでの販売が伸びている中で、百貨店・量販店でとくに顕著です。

これまでの国内市場では、アパレルが百貨店に軒並みそろい、消費者が実際に手に取って商品を購入していく形式が主流でした。ところが、昨今では、百貨店に代わる形でインターネット通販が大きく注目されています。

インターネット通販は従来よりも便利になっており、商品の説明が丁寧に記載されています。SNSの発達によりモデル側の意見が取り入れられるようになった点や、配達産業の発達により商品が早く届く点なども、百貨店の市場状況が低迷しているのが原因です。

SPA企業のシェア拡大

上記で説明したとおり百貨店などは低迷していますが、SPA(製造小売)の事業形態をとっている企業は、シェアを大きく伸ばしています

従来は製造と企画、小売を別々の企業が行う水平分業型の体制が一般的でしたが、SPAはすべての製造を自社工場で行う体制が多くなっています。

SPAでは、商品を多数の店舗に効率よく分配し、過剰供給や在庫不足を防ぐ、中間業者がなくなるため大幅なコストカットなどが実現できるでしょう。これによって、商品を消費者へ安価に提供できるのです。

大手SPA企業は、流行性・品質と低価格を両立させた「ファストファッション」を持続的に供給し、消費者に受け入れられるものとなっています。

低価格・カジュアル志向化

アパレル業界の商品単価の低下やファストファッションは、昨今、消費者の低価格志向やカジュアル志向にも
つながっています。ファッションも良質で安価なファッションを楽しむ傾向に変化してきたといえるでしょう。

リモートワーク増加などを受けて、オフィスウェアのカジュアル化が進み、オンオフ兼用の服を着回しできるようになった結果、ビジネス・フォーマル系アパレルの消費はとくに大きな下落が顕著となっています。

EC・D2Cの導入拡大

物販業界全般でEC化が進んでいます。衣服・服飾雑貨などの物販におけるEC化率は上昇し、市場規模も年々拡大傾向です。

アパレル業界には潜在的にさらなるEC化の余地があるため、低迷を続ける百貨店業界でもECの導入が進みつつあります。ECサイトの販売チャネルを増設とともに、アプリやSNSなども活用しつつ、実店舗での販売とシームレスに連携していく取り組みも必要でしょう。

オリジナルブランド商品を自社運営のECサイトで販売するD2Cといった事業モデルを主要とする企業も多数登場しています。事業ポートフォリオの転換・拡大を図るためにD2Cモデルを取り入れる動きは、今後活発化する見込みです。

EC、オムニチャネル、D2Cを積極的に展開するなど、アパレル業界向けのクラウドソフトウェアサービス(SaaS)を開発する動きもみられます。

アパレル製造業を取り巻く環境

アパレル製造業も大きな転換期を迎えており、従来のあり方からの転換と改革を図るための取り組みが行われています。ここでは、アパレル製造業を取り巻く環境を解説します。

製造業者や出荷額の減少・輸入率の増加

経済産業省「繊維産業の現状と経済産業省の取組(2021年)」によると、アパレル製造などに関わる国内繊維産業の事業所数・製造品出荷額は、国内生産の減少により1991年比で4分の1にまで減少しました。

一方、国内アパレル供給量に占める輸入浸透率は急激に上昇し、2018年には97.7%と、非常に高い水準を推移しています。国内のアパレル市場が縮小したことや、生産拠点を海外にシフトしたことなどが原因として挙げられるでしょう。

多品種小ロット生産への移行・国内メーカーとの関係希薄化

高品質な多品種・小ロット生産を短納期で行える体制を有する企業は、厳しい競争でも生き残っています。日本のアパレル製造技術は、国際的にも高く評価されているため、海外有名ブランドとの間でOEMや素材供給の取引を行う企業も多くあります。

国内アパレルメーカーでは、高い技術力のある国内製造業者に生産を委託するケースがあるものの、生産力の主軸は海外に移行するケースも多く、国内メーカーとの関係が希薄化しているのです。

コロナ禍がアパレル業界にもたらした影響

コロナ禍によって外出する機会が減り、アパレルのニーズが急落し、低価格化・カジュアル化の流れが加速し他ため、アパレル業界は大きな打撃を受けました。

ビジネス・フォーマルウェアは苦戦し、企業の事業ポートフォリオの転換を迫られていることでしょう。一方で、コロナ禍はECサイトにとっては追い風となり、オンライン上で取引ができる企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)導入を促す要因ともなっています。

アパレル業界の課題と展望

アパレル業界は、インターネットの影響で、今後も業界構造の変化が加速していくと見られています。業界内ではD2Cといった、消費者に対して商品を直接的に販売する仕組みが浸透しつつあるのです。

今後はさらに、自社のECサイトなどで直接販売するモデルへと転換していくことが予想されるでしょう。それに伴い、アパレル業界ではAIの導入も行われています。

アパレル業界は、多様性に富んだファッションを提案する必要があり、AIが持つ可能性と非常に相性がよいでしょう。

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2. アパレル業界のM&A・買収の最新動向

昨今では、アパレル業界でも市場の縮小やインターネットの流行に伴い、アパレル業界は大きな転換期を迎えています。

M&Aはそうした取り組みを短期間に推し進められるといったメリットがあり、M&A(企業買収・事業譲渡・売却など)が頻繁に実施されています。

アパレルブランドが総合商社やIT企業に事業譲渡・売却する事例や、大手アパレル企業が小規模なアパレルブランドを買収する事例などが目立っている状況です。

アパレルブランドのM&Aは急増中

近年、アパレル業界のM&A事例を見ると、2018年にビギホールディングスが三井物産およびその関連企業に買収されるニュースが大きな注目を浴びました。

ビギホールディングスの買収は、アパレル業界でM&Aが加速している要因を把握しやすい事例です。三井物産では、ビギホールディングスの企画や販売のプラットフォームを強化しつつ、単一ブランドごとの事業展開およびブランドポートフォリオの形成などを目指しています。

この事例からわかるように、アパレル業界のM&Aではブランドマーケティング力・グローバルネットワークを駆使しつつ、新たなブランドの導入・ECなどの成長市場に向けた戦略により、販売チャンネルの強化・新規参入を目指すことが大きな目的とされています。

ここからは、アパレル業界でのM&Aが急増している3つの要因を取り上げます。

  • 他業界の買収が盛ん
  • 他業界からの買収も盛ん
  • 事業提携による構造変革が重要

それぞれの項目を順番に詳しく紹介します。

他業界の買収が盛ん

現代は、ファストファッションが定着し、EC専業ブランドが登場しています。こうした状況下でアパレル業界が生き残るには、企画力・生産・物流・店頭までのサプライチェーンを構築しつつ、競争力の高い商品を生み出す必要があるのです。

そこで、アパレル業界で生き残るための力を獲得すべく、資金力のある企業・ノウハウを持つ大手・新たな手法で問題解決を図るスタートアップ企業などの異業種を買収する企業が増えています。

近年、注目されたアパレル企業による他業界の買収事例には、アパレル大手「オンワードホールディングス」による自然派化粧品を取り扱うベンチャー企業の買収(2017年)が挙げられます。本件では、ECサイトを販路として広げつつ、5年以内に売上高100億円を目指しました。

ビームスやボロックジャパンなども、テクノロジー系企業を含めたM&Aの実施を示唆しています。

このように、市場縮小が深刻化するアパレル企業では、親和性のある化粧品企業の事業を譲受して売上高を伸ばしたり、市場を拡大したりする動きが目立っている状況です。

他業界からの買収も盛ん

厳しい現状にあるアパレル業界ですが、他業界への事業譲渡や売却をとおして、アパレルブランドの磨き上げを図るケースも多く存在します。

例えば、三井物産は5か年計画でリテール事業の強化を図るため、M&Aを活用しました。カナダのオーダーメイドスーツブランドへの投資や、世界展開を推進するためのデジタル化・顧客データの活用など商品調達の基盤となるサプライチェーンの構築も支援しています。

このほかにも、2005年〜2017年の期間には、総合商社・IT企業などがアパレルブランドの事業を譲受し、アパレル業界に進出する動向が目立っていました。

近年ではRIZAPグループが「ジーンズメイト」の堀田丸正を買収(2017年)するなど、アパレル業界のM&Aは加速を続けています。

事業提携による構造変革が重要

現アパレル業界における構造変革の主体は、EC企業やマーケティング企業に移行しつつあります。もはやアパレル業界の主戦場は店舗ではなくネット通販であり、このトレンドは2021年も変わっていません。

こうした状況の中で重要視されるのが、デジタルマーケティング・AI(人工知能)・ビッグデータのテクノロジーなどです。実店舗は商品の確認やブランドストーリーの体感を行う場所となり、実際に商品を購入する場所はネット上に置かれます。

そのため、アパレル業界ではこれまで参入していなかった事業へのチャレンジを強いられるため、事業提携やM&Aの需要が高まっている状況です。

以上、アパレル業界でのM&Aが急増している要因を紹介しました。アパレル業界ではブランドの統合や業務提携も盛んに行われており、今後も生き残っていくためには経営戦略としてのM&Aを視野に入れる必要があります。

もしもアパレル業界でM&Aを検討しているのであれば、M&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所には知識と経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、これまでに培ってきたノウハウを生かしてM&A手続きをフルサポートしております。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、アパレル業界でのM&Aを検討している場合には、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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3. アパレル業界同士のM&A・買収事例

近年、アパレル業界ではM&Aによる企業改変が多く実施されており、大手企業の売却および買収がメディアで大きく取り上げられています。ここでは、アパレル業界同士のM&A・買収事例をまとめました。

それぞれの事例からポイントをつかみ、自社のM&A戦略に役立てましょう。

①宝島ジャパンがアパレルECサイト運営会社の事業を譲受

宝島ジャパンは2021年8月、アパレルECサイト運営会社の事業を譲受しました。

宝島ジャパンは、茨城県に拠点を置き、モンゴル産製品の取り扱いを主にしており、アパレル販売や貿易事業健康食品販売、などを行っています。対象会社は、大阪に拠点を置く、アパレル・雑貨を扱うECサイト運営会社です。

今回のM&Aにより、宝島ジャパンはデジタル面の強化だけでなく商材面のシナジーも期待できるとしています。

②C.R.E.A.Mがジャパンイマジネーションの2ブランド事業を譲受

C.R.E.A.Mは2021年2月、ジャパンイマジネーションのブランド「BE RADIANCE」「Fabulous Angela」の2ブランドの事業を譲受しました。

C.R.E.A.Mはレディースドレスやスーツ向けのブランドの企画・製造・販売を行う企業で、フォーマルだけではなく他分野のファッションにもブランド展開を広げる必要がありました。

そうした中、OLIVE des OLIVEを展開するオリーブ・デ・オリーブの前会長渡辺氏により、ジャパンイマジネーションの2ブランド事業を譲り受けることになったのです。今回のM&Aにより、2ブランドならびに企業の成長を目指します。

③W&Dインベストメントデザインと八木通商がリデアの事業を譲受

W&Dインベストメントデザイン(W&DiD)と八木通商は2020年11月、民事再生手続き開始したリデア(現:ストラスブルゴ)スポンサー契約を締結しました。

リデアは、クリチアーニやキートンなどの海外ラグジュアリーブランドを取り扱うセレクトショップ「STRASBURGO」を展開しています。

譲受側のW&Dインベストメントデザインはファンド運用会社で、ファッションの事業の新たなブランドの構築から、日々のオペレーションを行っています。八木通商は、多数の海外ブランドの輸出入・卸・ライセンス事業を行う繊維商社です。

今回のM&Aにより、民事再生法に基づく裁判所の許可を条件に、W&Dインベストメントデザインと八木通商のスポンサー2社による新会社によって、再成長を図ります。

④TSIホールディングスが3ミニッツのアパレル事業を譲受

2020年7月、TSIホールディングスは、3ミニッツのアパレル事業「ETRÉ TOKYO(エトレトウキョウ)」を譲受すると発表しました。TSIホールディングスは、東京都港区に本社を構えるアパレル企業です。

対する3ミニッツは、ファッション動画マガジン「MINE」運営などのメディア事業および、デジタルキャンペーン設計などのブランドスタジオ事業を手掛けています。

アパレル事業では、自社Eコマースを主要販路に、SNSをはじめ新たなデジタルメディアをコミュニケーションツールとして活用するマーケティング手法により20~30代女性を中心に支持を拡大していました。

本件M&Aの目的は、生産物流および海外の事業インフラなどの活用推進・事業の成長スピードの加速化にあります。

⑤ワークトゥギャザー・ロックトゥギャザーが神戸ザックの事業を承継

ワークトゥギャザー・ロックトゥギャザーは2020年6月、神戸ザックの「イモック」の事業を譲受しました。

ワークトゥギャザー・ロックトゥギャザーは神戸・大阪・東京でセレクトショップ「乱痴気(LANTIKI)」を展開している企業です。

売り手の神戸ザックは、創業より自社工房・店舗ではオリジナルブランド「イモック」のアウトドア用リュックの製造・販売を行っています。

今回のM&Aで、ワークトゥギャザー・ロックトゥギャザーは、神戸ザックの持つ技術など希少価値を存続させつつ、新工房兼店舗で国内外へ向けて販売拡大を目指します。

⑥花菱縫製とメルボグループが生産・販売事業を統合

2020年3月、花菱縫製とメルボグループは、生産・販売事業を統合すると発表しました。花菱縫製は、オーダースーツの企画や生産・販売を行う会社です。対するメルボグループは、紳士服やメンズウェアーなどの生産・販売をグループとして行っています。

両社はいずれも品質に強みを持っていますが、業界環境が厳しくなってきたことを受けて、シナジー効果の獲得によってさらなる発展を目指して統合しました。

⑦ニッセンがマロンスタイルを買収・子会社化

2019年2月、ニッセンは、マロンスタイルを買収して子会社化しました。ニッセンが展開しているブランド「スマイルランド」は主に40代を中心に高い人気を誇っていますが、経営が芳しくなく業績回復と成長のためのビジネスモデル再構築に取り組んでいます。

その一方で、マロンスタイルもニッセンの「スマイルランド」と同じくサイズの大きい商品を販売するほか、女性専用の通信販売サイト「clette」を展開している会社です。

ニッセンは、マロンスタイルを取り込むことで自社ブランドよりも若い年齢層の取り込みを目指すとしています。

⑧アングローバルがアンドワンダーを買収・子会社化

2019年1月、アングローバル(現:TSI)は、アンドワンダーの株式を100%取得して子会社化しました。当時のアングローバルはTSIホールディングスの子会社であり、人気ブランド「マーガレット・ハウエル」や「エムエイチエル」を展開していました。

一方のアンドワンダーも、人気ブランド「andwandar」を展開する会社です。アングローバルは、EC分野に強みを持つアンドワンダーを取り込んで規模拡大を図るとしています。

アンドワンダーも、生産管理に強みを持つアングローバルのノウハウを生かして生産環境の整備を図るとしました。

⑨三井物産がビギホールディングスを買収

ビギホールディングスは、1970年に創業されました。アパレルブランド「ZARA」が日本に上陸した際、スペインのインデックス社との合弁で「ザラジャパン」を設立し日本進出の支援を行った企業として有名です。

前会長(現:名誉顧問)の大楠氏は70歳半ばです。アパレル製品の生産委託やブランドライセンスをとおして30年以上の取引関係にある三井物産と手を組むことがベストと判断し、2018年1月にM&Aに至ったとされています。

三井物産ではビギホールディングスの企画・販売プラットフォーム機能を強化しながら、単一ブランドごとの事業展開・ブランドポートフォリオの構築・川上事業の強化が目標です。

共同出資する会社「MSDファンド」の投資事業力と三井物産のブランドマーケティング力およびグローバルネットワークを活用し、新たなアパレルブランドの導入・成長する市場に向けた販路の強化なども図っています。

⑩TSIホールディングスがHUFを買収・子会社化

2017年11月、TSIホールディングスは、スケーターブランドHUFの企画販売を行う「HUF Holdings LLC」の株式を90%取得し子会社化すると発表しました。同年12月、持分譲渡を実行しています。

「HUF Holdings LLC」はスケーターのキース・ハフナゲルが設立し、アメリカ・欧州を中心に30カ国で事業展開しているアパレルブランドです。

日本ではアパレルブランド「STUSSY(ステューシー)」を展開しているTSIホールディングスの子会社「ジャック」が国内販売権を取得しており、2015年より代理店として販売を行っています。

この販売代理店としての2年間をとおして同グループ企業のノウハウを積極的に投入しており、これまで以上に国内・アジアを中心とした海外市場で成長できると見込んでいます。

TSIホールディングスの前代表取締役・斎藤氏は東京五輪でスケートボードが正式種目に決まったことで競技人口の増加を予想し、日本だけでなく中国での拡大も意気込んでおり、中国の大手アパレル企業との合併交渉を進めました。

⑪スタートトゥデイがIQON(アイコン)の全株式を取得し子会社化

2017年10月、大手アパレルECサイト「ZOZOTOWN」を手掛けるスタートトゥデイ(現:ZOZO)は、メディアサービス「IQON(アイコン)」を運用する「VASILY」の株式を取得し完全子会社化しました。

ZOZOTOWNは、数多くのアパレルブランドを取り扱うファッション通販サイトです。そのZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイは国内でも有名な大手企業であり、アパレル業界ではM&Aの取り組みを加速させました。

対する「VASILY」はテクノロジーとデザインの力を活用し、人類の進化に貢献するような発明を行い続けることを目的としたテクノロジー企業です。

200以上のECサイトからファッションアイテムをユーザーが自由にコーディネートできるサービス「IQON」や、ファッションメディアの運営・ソフトウエアの受託開発なども行っている企業です。これらのサービスを利用して、AIを駆使した分野でも高い技術力を持っています。

こうしたVASILYの技術を使い、スタートトゥデイではEC分野およびアパレル分野での成長を実現する方針を見せています。

⑫スタニングルアーがジャパンイマジネーションに事業譲渡

2017年3月、セシルマクビーなど若い女性をターゲットに事業を続けるアパレル企業「ジャパンイマジネーション」は、瀧定大阪の子会社「スタニングルアー」のアパレル事業を譲受すると発表しました。

同年4月、ジャパンイマジネーションの子会社として「スタニングルアー」を立ち上げ、ウィメンズブランド「スタニングルアー(STUNNING LURE)」の全事業を運営しています。

ジャパンイマジネーションは顧客の嗜好(しこう)が多様化する中でマルチブランド化を進めており、「スタニングルアー」は既存ブランドのシナジー効果に加えて新規顧客の開拓も期待されています。

一方、瀧定大阪は9割の売上高を占める事業に集中する方針を打ち出しており、この事業譲渡はその一環です。

もともとスタニングルアー事業は、2013年にリステアホールディングから吸収分割する形で瀧定大阪の子会社スタニングルアーが譲渡を受けた事業です。しかし、本件M&Aに伴って、運営方針・販売拠点・取引先を承継しつつ独立した事業会社として運営を開始しています。

  • アパレルメーカー・アパレル会社のM&A・事業承継

4. アパレル業界と異業種・関連業種のM&A・買収事例

昨今、異業種の企業がアパレル業界への参入を発表するなどのケースも目立っています。アパレル企業は、さらに独自性を強めるために、M&Aを積極的に行い、事業を多様化していく企業も増えていく可能性が高いです。

ここでは、アパレル業界と異業種・関連業種のM&A・買収事例を紹介しましょう。

①EPSホールディングスが尚捷集團控股有限公司を買収・子会社化

EPSホールディングスは2021年4月、尚捷集團控股有限公司の株式の75%を取得し、子会社化しました。EPSホールディングスは医薬品・医療機器業界向けのアウトソーシングサービスを展開している持株会社です。

対象会社の尚捷集團控股有限公司は香港に拠点を置く会社で、アパレル向けにサプライチェーンマネジメントサービスを行っています。

今回のM&Aにより、EPSホールディングスはアウトソーシングサービスを中核事業としており、中国でも医薬品・医療機器の自社プロダクトの開発・製造・販売を行っています。

今後、自社プロダクト事業を進める方針で、「アパレル×ヘルスケア」といったデジタル事業推進のためM&Aを行いました。

②アパレルReSTARTファンドがFactory Express Japanを買収・完全子会社化

アパレルReSTARTファンドは2021年3月、Factory Express Japanの全ての株式を取得し、完全子会社化しました。

アパレルReSTARTファンドは、アパレルブランドの再生を支援している企業です。

対象会社のFactory Express Japanは、紳士ビジネスシャツなどで有名な山喜の子会社です。ECショップおよびWebメディアの運営でものづくりや商品展開を支援しているのが特徴となっています。

今回のM&Aにより、アパレルReSTARTファンドは自社のノウハウを活かし、山喜と連携体制を取りながら事業展開を目指します。

③プレティア・テクノロジーズがアダストリアと資本提携

2021年3月、プレティア・テクノロジーズは、アダストリアとの間で資本提携を締結すると発表しました。プレティア・テクノロジーズは、ARクラウドおよび各種ARサービスの企画・開発・運営などを手掛けているスタートアップ企業です。

対するアダストリアは、グローバルワーク・ニコアンド・ローリーズファームなどのブランドを展開するアパレル企業です。本件M&Aの目的は、ファッション領域でのDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進にあります。

プレティア・テクノロジーズの持つARテクノロジーの利用によって、ECや物流など多様な分野で売上拡大・業務効率化に向けたソリューションを提供できると期待されています。

④インキュベイト・ファンドとEast Venturesが park&portに出資

インキュベイト・ファンドとEast Venturesが2021年2月、park&portによる第三者割当増資を引き受け出資しました。

インキュベイト・ファンドはスタートアップ企業への投資に特化したベンチャーキャピタルで、East Venturesは東南アジアと日本で投資事業を展開しているベンチャーキャピタルです。

一方、対象会社であるpark&portはアパレルメーカーに特化した営業支援SaaSを開発・提供している会社です。今回のM&Aにより、インキュベイト・ファンドとEast Venturesはpark&portの事業を推進します。

⑤D2C&Co.がGOOD VIBES ONLYと資本業務提携を締結

D2C&Co.は2020年10月、GOOD VIBES ONLYへ出資を行い、資本業務提携契約を締結しました。D2C&Co.は丸井グループの子会社で、D2C企業への投資・融資・出店支援などを行う企業です。

対象会社であるGOOD VIBES ONLYは、アパレル業界向けにCGやAIなどを活用したDXソリューションを提供しており、インフルエンサーを活用したD2Cブランドの自社運営、プロデュースを行っています。

今回のM&Aにより、D2C支援ビジネスのパートナーシップを構築し、丸井グループの実店舗運営・クレジットカード事業とGOOD VIBES ONLYのサービスの連携を図ります。

⑥九州オープンイノベーションファンドとちゅうぎんインフィニティファンドがpatternstorageの第三者割当増資を引き受け

patternstorageは2020年10月、九州オープンイノベーションファンドとちゅうぎんインフィニティファンドを引受先とする第三者割当増資を行いました。

九州オープンイノベーションファンドは、ベンチャーキャピタルのGxPertners LLPとFFGベンチャービジネスパートナーズが運営、ちゅうぎんインフィニティファンドは、中国銀行と中銀リースが運営しています。

対象会社であるpatternstorageは、多品種小ロット生産など、アパレル生産管理クラウドソフトウェアなどを開発している企業です。

今回のM&Aにより、patternstorageの事業推進とアパレル製造業全体に向けてサプライチェーンのDXを支援するソフトウェアの提供を目指します。

⑦アドベンチャーがwundouの株式を譲渡

2020年8月、アドベンチャーは、自身の連結子会社「wundou」の株式を丸井織物に対して譲渡すると発表しました。アドベンチャーは、主にコンシューマ事業(航空券販売サイト「skyticket」の運営)および投資事業などを行っている企業です。

「wundou」では、スポーツ用品衣類やカジュアルウェアーの製造販売などを手掛けていました。対する丸井織物は、織から加工までを手掛ける繊維メーカーです。

本件M&Aの目的は、主要事業である旅行事業に対する経営資源の集中にあります。新型コロナウイルスの感染拡大などの影響を受けたために、旅行事業への集中を図る体制を強化し、企業価値のさらなる向上に努めると発表されました。

⑧豊島がSpiberと資本業務提携を締結

豊島は2020年5月、Spiberの第三者割当増資を引き受け、共同研究契約を締結しました。

豊島はアパレル原料・生地の買い付けから製品の企画・生産まで全過程に関わる事業を展開している繊維商社です。対象会社であるSpiberは、サステナブル素材である植物由来構造タンパク質素材の産業化に取り組む企業です。

今回の資本業務提携により、ファッション分野、ライフスタイル全般で、構造タンパク質繊維を広めるため共同開発を行うとしています。

⑨オンワードホールディングスが大和を買収・子会社化

2019年3月、オンワードホールディングスは、大和の株式を100%取得して子会社化しました。オンワードホールディングスは、アパレル事業やグルメなど生活に関連する事業を展開する持株会社です。一方で、大和はギフト商品の企画や販売までを行っています。

もともと両社は、ギフトカタログについて、仕事の発注や請負を行う関係にありました。オンワードホールディングスでは、大和を取り込むことで新規事業の拡大やサービスの強化を図るとしています。

⑩ライザップがカジュアルブランドジーンズメイトを買収・子会社化

キャッチーなCMで有名な「ライザップグループ」ですが、近年はM&Aに積極的であることから投資家も大きく注目しています。

ライザップでは、アパレル業界を中心にM&Aを手掛けています。過去には、レディースアパレル通販企業「夢展望」の買収(2015年3月)や、カジュアルブランド「ジーンズメイト」の買収(2017年1月)が注目を浴びました。

ライザップは2016年の秋にアパレル業界への参入を発表しており、2017年以降はECショップでの展開に注力しています。

【関連】ライザップの買収・M&A実績25選!失敗した理由と次の予定は?

5. アパレル業界のM&A売却・譲渡案件

本章では、アパレル業界のM&A売却・譲渡案件の中から、実際に公開されている2件を取り上げます。

①新世代のヤンキーアパレルブランド事業譲渡

アパレル業界のM&A売却・譲渡案件の1つ目は、新世代のヤンキーアパレルブランドの事業譲渡です。

「特攻服をカジュアルに」「ヤンキー2.0」をコンセプトに掲げる特攻服のアパレルブランドです。2018年に設立された後、ブランドのOPENからわずか3カ月で13のコラボ案件が決定しています。

アーティストやタレントへの衣装需要・コラボ需要などが高いうえに、競合ブランドが見られない点も強みです。
 

売上高 1,000万円〜5,000万円
譲渡希望価格 1,000万円〜5,000万円
譲渡理由 資金調達

②Instagramフォロワー1.6万人のECアパレルサイト

アパレル業界のM&A売却・譲渡案件の2つ目は、Instagramフォロワー1.6万人のECアパレルサイトの譲渡です。

中国から無在庫で仕入れるドレスショップを運営しています。LINE@・ツイッター・アメブロ・BASEなどでも多くのフォロワーおよびアクセス数を抱えている点が魅力です。
 

売上高 1,000万円〜5,000万円
譲渡希望価格 〜1,000万円
譲渡理由 資金調達・新規事業への集中

【関連】個人・中小企業向けのM&A案件情報を得るには?【売却・買収一覧あり】

6. アパレル業界でM&Aを行うメリット

アパレル業界のM&Aでは、企業やアパレルブランドの特徴によって得られる効果や利益が異なります。

最後に、アパレル業界でM&Aを行うメリットを、買収側(譲渡される側)と売却側(譲渡する側)に分けて紹介します。

買収のメリット

近年、アパレル業界の経営戦略では、企業規模の拡大とグループ力の強化といった2つのテーマが大きく取り上げられています。

この2つの経営戦略を有効化できるのが、アパレル業界のM&Aで得られるメリットです。アパレル業界に限らず、M&Aによって得られるメリットは大きく、昨今はほとんどの業界で経営改革の手段として取り入れられています。

アパレル業界のM&Aで買収側が得られるメリットは、主に以下のとおりです。
 

  • 事業拡大・多角化
  • ノウハウの取得

それぞれのメリットを順番に詳しく紹介します。

事業拡大・多角化

これまで店頭での営業を続けている企業からすると、ECサイトやインターネット販売の強い企業を取り入れることで企業規模の拡大が見込めます。

アパレルブランドとして申し分のない技術を持つ企業が店頭販売を苦手としている場合、店頭販売に強い企業を買収すると売上高のアップ・グループ力の強化などが期待可能です。

このように、新たな要素をほかの企業から取り入れることで、事業の拡大や多角化などが実現します。

ノウハウの取得

アパレル業界で収益を伸ばすためのノウハウとしては、人材はもちろん、材料の受注先・販売スキル・企画などさまざまな要素が求められます。

このノウハウは、老舗ブランドや大手企業でも作り上げる際にかなりの時間とコストをかける必要があります。そのために要する時間とコストは、事業の拡大に際して非常に大きな悩みとなるのです。

しかし、M&Aを行えば、経営に必要な人材・資源・ノウハウを、時間をかけずに得られます。

売却のメリット

M&Aは、アパレル業界だけでなく、ほとんどの業界で重要な経営戦略とされていますが、買収側だけではなく売却側にもメリットがないと取引は成立しません。ここからは、アパレル業界を売却するメリットを解説します。

これらは、良い商品やアイデアを持っているのにもかかわらず、売却を検討する企業が存在する理由でもあるため、買収を検討する経営者の方も確認しましょう。アパレル業界でM&Aにより売却するメリットは、以下のとおりです。
 

  • 廃業コスト削減
  • 事業存続
  • 従業員の雇用存続
  • キャピタルゲインの受け取り

それぞれのメリットを順番に詳しく紹介します。

廃業コスト削減

アパレル業界で最も大きなリスクは、在庫が残ることです。そのため、思った収益が見込めずに廃業を余儀なくされるアパレル企業が多数存在しています。

アパレル業界では、繊維業者やデザイナーなど取引先との契約・在庫の処分など廃業時にかかるコストが非常に高いです。しかし、M&Aで売却できればこれらのコストを削減できます。

このように、廃業コスト削減のために、事業譲渡や売却を行うアパレルブランドは少なくありません。

事業存続

良い商品や服を扱っているブランドであるにもかかわらず、経営がうまくいかずに廃業となるケースも少なからず見られます。

その問題を解決するために売却(大手企業の傘下に入る)できれば、苦労して作り上げたブランドや商品を消滅させずに済むでしょう。

アパレル業界には、商品に思い入れがある企業も多く存在しています。自社のアパレルブランドをより拡大させるためにも、事業譲渡・売却は非常に効果的です。

従業員の雇用存続

アパレル企業では、アパレルブランドやカルチャーに憧れて入社する従業員の方も多いです。しかし、会社を存続させられなければ、彼らの雇用は守れません。

このような雇用問題の解決のために、M&Aが活用されるケースも多いです。これまで一緒にがんばってきた従業員がより良い環境で活躍できる場所を提供するためにも、M&Aによる売却で新たな企業のもとで雇用を維持させましょう。

キャピタルゲインの受け取り

アパレル業界では、デザイン企画・マーケット開拓・材料の受注・ノウハウなど開発に多くの費用がかかります。しかし、売却時には、これらも資産価値として売却額に反映させられるのです。

事業規模に応じたキャピタルゲインを受け取れるため、企業を立ち上げてから培ってきたノウハウなどは無駄になりません。

以上、アパレル業界でM&Aを行うメリットを紹介しました。もしもアパレル業界でM&Aを行うのであれば、M&A総合研究所へご相談ください。

M&A総合研究所には経験豊富なアドバイザーが在籍しており、相手との交渉・契約・クロージングに至るまでM&A手続きをフルサポートいたします。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、アパレル業界でのM&Aを検討している場合には、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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7. アパレル業界のM&A・買収の最新動向まとめ

アパレル業界では、M&A・買収が増加傾向にあります。買収の目的はさまざまですが、最も大きな点は顧客層を広げて売上を拡大する点です。そのため、アパレル企業が業界外の事業を買収するケースも増加しています。

アパレル業界のM&Aを自社のみで完結させることは難しいです。M&Aを実現させるには、業界調査・相手企業選び・シナジー効果の検証・相手企業との条件交渉など、さまざまなプロセスを遂行する必要があります。

契約書の作成・デューデリジェンスなど専門知識が必要となる場面も多いため、M&A仲介会社からサポートを受けつつ進めると良いでしょう。

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