2021年02月24日公開
サイト売買の相場やコツは?売り手と買い手のメリットをそれぞれ解説

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。
サイト売買とは、ウェブサイトを商品として売買することです。一般的なM&Aと同じように、企業あるいは個人間でサイトの運営権を移転させることで取引が成立します。本記事では、サイト売買の相場やコツと売り手・買い手のメリットを解説します。
1. サイト売買とは
近年、M&Aという言葉を見聞きする機会が増えており、経営者だけでなくサラリーマンや個人にとってもM&Aが身近な存在になりつつあります。
特に身近な例が個人レベルでも行えるサイト売買です。サイト売買は、ウェブサイトを商品として売買することを指し、アフィリエイトサイトやECサイトなどの売買が頻繁に行われています。
個人運営のサイトでも売却チャンスがありますが、個人でサイト売買を検討する際は買い手を探したり価格交渉をしたりするのはハードルが高いのも事実です。
サイト売買の失敗リスクを抑えながら取引を成立させるためには、サイト売買の相場やコツを押さえておくことが大切です。
2. サイト売買の相場
サイト売買の相場は、対象サイトの月々の収益×20~30ヵ月分とされています。相場通りに取引が成立すれば、一度に2年相当の収益を獲得することができます。
これは大まかな目安であり、実際はさまざまな査定基準を基に価値を算出することになります。場合によっては、目安以上に高い評価を受けて売却できるチャンスもあります。
例えば、サイトが発展途上でPV数は伸びているものの直接的な収益に結びついていないサイトでも、将来的な収益価値を見込んだ評価を受けることもできます。
【サイト売買の査定基準】
- システム資産・・・システム自体の価値
- 情報資産・・・サイトに掲載されているコンテンツの価値
- プロモーション価値・・・PV(ページビュー)やSEO的価値
- 収益力・・・サイトの収益性(月間売上等)
- 運営コスト・・・サイト運営にかかる費用
- 将来性・持続性・・・サイトやコンテンツの将来性
- インフラ(顧客・取引先)・・・サイトの登録会員数や提携先
3. サイト売買のコツ
サイト売買は個人で実施できる取引ですが、広く普及しているとは言い難いため、相手がみつからなかったり交渉がうまくいかなかったりなどの理由で成立しないケースも少なくありません。
サイト売買で相手をみつけて取引を成立させるには、優良コンテンツ作りや適切な売買価格設定などが必要になります。この章では、サイト売買のコツを解説します。
【サイト売買のコツ】
- 需要のあるサイトであること・制作していること
- 適切な売買価格を設定すること
- SEO対策をしている・良質なコンテンツがあること
- サイト売買・M&Aの専門家に相談すること
1.需要のあるサイトであること・制作していること
サイト売買は、サイトの収益力を基準に価格設定されることが多いため、収益に繋がりやすいサイト作りを心掛ける必要があります。
サイトの収益は、個人ブログやアフィリエイトサイトであればウェブ広告掲載による広告収入がほとんどです。個人から個人に対して直接訴求できるので、広告を出す企業側からも需要の高いメディアと認識されています。
アフィリエイト商材や広告出稿などのニーズがないウェブサイトでは収益をあげることが難しいため、売却できる可能性は低くなります。
2.適切な売買価格を設定すること
サイト売買では、サイトの価値に見合った売買価格設定が大切です。買い手側は高値づかみをは避けたいので、売買価格の設定が高すぎるとそもそも交渉の場まで進まない可能性も高いです。
サイト売買の価格設定の目安は「月々の収益×20~30ヵ月分 - サイト運営費」です。月々50万円の収益と月々10万円の費用があるサイトの場合、1ヵ月の営業利益は40万円となり適切な売買価格は800~1200万円となります。
収益性以外にも付加価値がある場合は、事前に資料として揃えておくと相手との価格交渉を円滑に進められます。
3.SEO対策をしている・良質なコンテンツがあること
サイト売買のコツはSEO対策をしていることも大切です。ウェブサイトの流入チャネルは大半が検索エンジンからなので、SEO対策済みでPV数を稼げるサイトは多くのユーザーに対する訴求力があると評価されます。
コンテンツに関しては、オリジナリティの高いサイトが評価されやすい傾向にあります。オリジナリティの低いサイトは検索順位が落ちてPV数も伸び悩んでしまうためです。
アフィリエイト商材を主な収入源としている場合は、トレンドに左右されることが多いです。常にトレンドを把握して需要の高いサイトを維持できる仕組みを構築できていると、良質なコンテンツとして高い評価を受けやすくなります。
4.サイト売買・M&Aの専門家に相談すること
サイト売買は相手探しや価格交渉が必要なので、サイト売買・M&Aの専門家に相談することをおすすめします。
専門家のネットワークであれば、広範囲からの選定で好条件の取引相手をみつけやすくなり、取引価格を高める効果も期待できます。
サイト売買の相談先で特におすすめなのはM&A仲介会社です。中堅・中小規模の案件を取り扱っているので、個人運営のサイト売買についても相談に乗ってもらえる可能性が高いです。
4. サイト売買の売り手と買い手のメリット
サイト売買は売り手・買い手の双方にメリットがあります。この章では、サイト売買の売り手・買い手のメリットを解説します。
サイト売買の売り手側のメリット
まずは、サイト売買の売り手側のメリットの解説です。サイト売買で売却すると主に以下のようなメリットが得られます。
【サイト売買の売り手側のメリット】
- 売却益の獲得
- サイト運営からの解放
- ネット事業の選択と集中
- 運用コストの削減
1.売却益の獲得
個人でサイトを運営していると収益的な限界を感じることがあります。収益を伸ばすために大きく方針を転換すると、既存のユーザーが離れてしまう恐れがあるので、行動を起こしづらいという問題もあります。
サイト売買であればサイトの運営権限を第三者に売却することで、サイトの価値に応じた売却益を一度に獲得することができます。
その資金を元手に新たなサイトを作成することによって、需要の高い新たな分野で勝負することができます。
2.サイト運営からの解放
サイト運営は、かけた労力が必ず成果としてでるものではなく、運営が辛いと感じてしまうこともあるでしょう。収益がでてからも維持するためには、管理・運営を続けなくてはなりません。
サイト売買であればサイト運営者という立場から解放され、自由な時間を増やすことができます。また、獲得した資金や空いた時間を使って、新たな事業を起こすことも可能です。
3.ネット事業の選択と集中
サイト運営者は、複数のサイトを管理・運営しているケースも多いです。複数のサイト運営は収益増大のチャンスが大きい反面、かかる手間や負担の大きさも計り知れません。
サイト売買であれば、必要なサイトだけを残して売却することで、ネット事業の選択と集中を行えます。
将来性・持続性がないサイトや得意ではないジャンルを扱うサイトを売却してしまえば、本当に有用なサイトの管理・運営に集中することができます。
4.運用コストの削減
ウェブサイトの運用には、サーバー費用やドメイン費用などのコストが継続的に発生するので、積みあがってくると結構な金額になります。
そのため、複数のサイトを運営している場合は、運用コストの捻出に頭を悩ませることも少なくありません。
サイト売買でサイトを売却すると、その分の運用コストを削減することができます。収益性が悪いサイトであれば、思い切って売却してコスト負担を軽くする方法も有効です。
サイト売買の買い手側のメリット
続いて、サイト売買の買い手側のメリットです。買い手側にとって特に恩恵が大きいメリットは以下の3点です。
【サイト売買の買い手側のメリット】
- 事業を始めやすい
- 既存事業とのシナジー効果の創出
- サイト作成の手間・費用の削減
1.事業を始めやすい
新規にウェブサイトを立ち上げようとすると、マーケティングからドメイン取得やサイト構築などの手順が必要になります。
サイト売買で既存のウェブサイトを購入すると、サイト構築までに必要な手順を省略することができます。
完成度の高いサイトを個人で制作するのは難しいですが、土台の出来上がったサイトの運営であれば個人でも継続的な運用がしやすくなります。
2.既存事業とのシナジー効果の創出
サイト売買は単純な足し算ではなく、相乗効果を期待することもできます。シナジー効果と呼ばれており、新しい価値を生み出して、サイトの収益力を大きく高めることができます。
サイト売買であれば、顧客の共有でより多くのユーザーに対してアプローチしやすくなるなどの効果が期待できます。ただし、シナジー効果はマイナス面に働くこともあるため注意が必要です。
3.サイト作成の手間・費用の削減
ウェブサイト作成は、多数の手順を踏む必要があるので手間がかかります。さらにユーザーを集めようとすると、SEO対策や広告配信などの施策のために費用もかかります。
サイト売買で完成したウェブサイトを購入すれば、サイト作成の手間・費用を削減することができます。サイト購入のためのまとまった資金は必要ですが、自分好みのサイトを即座に運営することができます。
5. サイト売買の流れ
サイト売買の方法には「M&A仲介会社への相談」と「マッチングサイトの利用」の2パターンがあります。
この章では、サイト売買でマッチングサイトを利用した場合の流れを売り手・買い手の視点別に解説します。
サイト売買の売り手側の流れ
まずは、サイト売買の売り手側の流れから解説します。売却が成立するまでの流れは以下のようになっています。
【サイト売買の売り手側の流れ】
- マッチングサイトへ登録
- サイト査定・審査
- 秘密保持契約の締結
- サイト売買の交渉開始
- サイト売買の取引成立
1.マッチングサイトへ登録
まずは、サイト売買の専用サイトやM&Aマッチングサイトに登録します。これらのサイトには、サイト売買に関心の高い個人・企業が集まっていて、多数の売却・購入案件が掲載されています。
マッチングサイトに登録する情報は「売却したいウェブサイトのURL」「PV数」「月々の収益」などです。できる限り詳細な情報を登録しておくと、買い手にアピールしやすくなります。
2.サイト査定・審査
自分のウェブサイトの客観的な評価が欲しい場合は、マッチングサイトにサイト査定・審査を依頼することができます。
M&Aマッチングサイトの場合、査定・審査が厳格になる傾向があります。少しハードルが高くなる分、信用力が増すので、真剣にサイト購入を検討している買い手がみつかりやすくなります。
3.秘密保持契約の締結
秘密保持契約は、業務や取引で知り得た営業秘密や個人情報を、目的外使用しないことを制約する契約書です。
電子契約サービスが発達しているので、ウェブ上で締結することができます。サイト売買においては、サイトの内情を買い手に対して公開するので、サイト購入の検討以外の目的に使用しないことを約束してもらいます。
4.サイト売買の交渉開始
前準備が完了したら、買い手との交渉を開始します。主に価格や運営権譲渡日などについて、双方の意見を出して話し合いを重ねる流れとなります。
買い手側からの質問に関しては、レスポンスが早いほど成約に結びつきやすくなります。可能な限りスピーディーな対応を心掛けるようにしましょう。
5.サイト売買の取引成立
買い手との交渉がまとまったら、最終契約書を締結してサイト売買成立となります。契約書は必須ではありませんが、後々のトラブルを回避するためにも締結しておくほうが安心です。
サイトの運営権と引き換えに売却益を獲得します。サイト売買専用サイトは各自に利用手数料を設けているので、売却益の一部から支払うことが一般的です。
サイト売買の買い手側の流れ
続いて、サイト売買の買い手側の流れをみていきます。サイトを購入するまでの一般的な流れは以下のようになります。
【サイト売買の買い手側の流れ】
- マッチングサイトへ登録
- サイトの売却案件の検討
- サイト売買の交渉開始
- サイト売買の取引成立
1.マッチングサイトへ登録
まずは、サイト売買の専用サイトやM&Aマッチングサイトに登録します。複数のサイトに登録すると、多数の売却案件を比較検討できます。
買い手側は簡単な個人・法人情報を登録するだけですが、購入案件を掲載したい場合は求めているサイトのジャンルやPV数などの情報が必要になります、
2.サイトの売却案件の検討
掲載されている売却案件のなかから、気になる案件をピックアップします。一般公開情報よりも詳しい情報が欲しい場合は、売り手にコンタクトを取ると対応してもらえることもあります。
3.サイト売買の交渉開始
気になる案件がみつかったら、売り手にサイト売買の交渉を申し込みます。秘密保持契約を締結した後にURLの開示などが行われ、本格的に検討することができるようになります。
4.サイト売買の取引成立
売り手との交渉が終わったら、サイト売買の取引成立となります。取引価格や運営権譲渡日などの条件を記載した契約書を締結します。
取引価格を支払うと、サイトの運営権を獲得できます。支払う利用手数料については、サイト購入資金以外にも用意しておく必要があります。
6. サイト売買の手続きと注意するポイント
サイト売買の手続きには、いくつか注意するポイントがあります。注意ポイントはサイトのジャンルや規模次第で変わりますが、共通するものは次の3点です。
【サイト売買の手続きと注意するポイント】
- ドメインの移管手続き
- サーバーの移管手続き
- 権利問題に注意
1.ドメインの移管手続き
ドメインとは、コンピューターやネットワークを識別するための名前です。ウェブサイトに関してはサイトの住所の役割を持ちます。
サイト売買で管理者が変わる場合は、売り手側からドメイン管理会社に移管申請をだして手続きを行う必要があります。ドメイン移管にかかる日数は基本的に1週間程度です。
詳細な手続きは、ドメイン管理会社や契約内容によって変わります。譲渡日に間に合わなくなる可能性もあるので、事前に確認しておくことが大切です。
2.サーバーの移管手続き
ウェブサイトのデータを置いているサーバーに関しては、そのまま引き継ぐか別のサーバーに移管するかを決めておく必要があります。
買い手がほかにウェブサイトを運営していない場合は、そのまま引き継ぐ形が多いです。その場合はサーバー管理会社に名義変更を申請して完了です。
買い手が既にウェブサイトを運営している場合は、管理の負担を軽くするためにもサーバー管理会社を統一しておくほうがよいでしょう。早期に話し合いを進めておき、余裕をもって移管手続きを済ませておくと安心です。
3.権利問題に注意
サイト売買では、ウェブサイトの運営権限と一緒に、サイトに掲載されている画像や記事などの全てのコンテンツを譲渡します。
コンテンツの著作権は、サイトの所有者が持っているとは限りません。外部のイラストレーターやライターなどが関わっている場合、契約内容次第では所有権・著作権が放棄されていないこともあります。
そのため、サイト売買の前にはサイトのコンテンツの所有権・著作権の確認が大切です。もし放棄されていない場合は、引き続き掲載できるように許可取りを行う必要があります。
7. サイト売買の相談はM&A仲介会社がおすすめ
サイト売買はマッチングサイトでも行えますが、交渉や移管手続きは当事者が進めなければなりません。不要なトラブルを避けて円滑に進めるためには、M&A仲介会社に相談することをおすすめします。
M&A総合研究所は、中堅・中小規模のM&A仲介を専門業務とする会社です。特にIT分野に精通しており関連ノウハウをサイト売買の仲介に活かすことができます。
M&Aの料金体系は完全成功報酬制です。ITノウハウを活用することで業務効率化を図っているので、業界最安値水準の料金体系を実現しています。
無料相談は24時間お受けしています。サイト売買を検討の際は、お気軽にM&A総合研究所までご連絡ください。
8. まとめ
サイト売買は、インターネットの情報発信の価値が高まり続けているので、個人運営のウェブサイトでも高額売却の可能性が十分にあります。
まとまった資金を獲得したい、サイト運営に疲れたという場合は専門家へ相談すると、必要な流れやコツについてアドバイスを受けることができます。
【サイト売買まとめ】
- サイト売買とはウェブサイトを商品として売買すること
- サイト売買の相場は対象サイトの月々の収益×20~30ヵ月分
【サイト売買のコツ】
- 需要のあるサイトであること・制作していること
- 適切な売買価格を設定すること
- SEO対策をしている・良質なコンテンツがあること
- サイト売買・M&Aの専門家に相談すること
【サイト売買の売り手側のメリット】
- 売却益の獲得
- サイト運営からの解放
- ネット事業の選択と集中
- 運用コストの削減
【サイト売買の買い手側のメリット】
- 事業を始めやすい
- 既存事業とのシナジー効果の創出
- サイト作成の手間・費用の削減
【サイト売買の売り手側の流れ】
- マッチングサイトへ登録
- サイト査定・審査
- 秘密保持契約の締結
- サイト売買の交渉開始
- サイト売買の取引成立
【サイト売買の買い手側の流れ】
- マッチングサイトへ登録
- サイトの売却案件の検討
- サイト売買の交渉開始
- サイト売買の取引成立
【サイト売買の手続きと注意するポイント】
- ドメインの移管手続き
- サーバーの移管手続き
- 権利問題に注意
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