2025年10月20日更新
三重県のM&A・事業承継動向【2025年最新】|成功事例や相談先、支援策を徹底解説
三重県では後継者不足が深刻化しており、M&Aによる事業承継が活発です。本記事では、三重県の最新M&A動向や成功事例、活用できる支援策を解説します。貴社の未来を切り拓くヒントがここにあります。
目次
1. 三重県の産業構造と経済・事業承継の動向
三重県は、古来より製造業が盛んに実施されている地域です。明治時代の製糸・紡績業の発展から始まり、加工組立型工業や半導体製造業に至るまで、日本の経済発展に大きく貢献してきました。
戦後に四日市で石油化学コンビナートが形成されたことで、化学工業も重要な存在として位置付けられています。
三重県の経済動向と後継者不在の現状
三重県の景気は、一部に弱さが見られるものの、緩やかな回復基調にあります(※2024年5月時点の指標)。
生産や個人消費の一部には、能登半島地震による部品不足や一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響が見られますが、個人消費の一部や設備投資、雇用などは回復しており、全体としては回復基調にあります。
当面の見通しとしては、 リスクはあるものの、緩やかな回復が続く見込みです。生産と個人消費は、一部自動車メーカーの生産・出荷停止が一時的な下押し要因となりますが、生産再開に伴い徐々に回復が期待されます。
個人消費は、雇用や所得環境の改善による回復も見込まれます。海外経済の下振れリスクはあるものの、全体としては緩やかな回復が続くと予想されます。
参考:百五総合研究所「三重県経済の動向(2024 年5月)No.560」
三重県の中小企業・小規模企業は、県内企業数の99.8%、従業者総数の88.7%を占めるなど、地域の雇用と経済を支える基盤です。しかし、近年は国際競争の激化や少子高齢化、地域の過疎化といった社会構造の変化に直面しています。これらの課題は、特に事業承継問題と深く結びついており、早急な対策が求められています。
帝国データバンクの「全国企業「後継者不在率」動向調査(2023)」によると、三重県の後継者不在率は53.9%で、過去最低を更新しました(前年比3.3%低下)。これは、地域金融機関の積極的な支援や、事業承継の重要性が浸透しM&Aが選択肢として普及した結果と考えられます。しかし、依然として半数以上の企業で後継者が決まっておらず、2023年の休廃業・解散件数は684件(前年比7.4%増)と増加傾向にあります。不在率の低下に安住せず、継続的な支援が不可欠です。
出典:三重県「三重県中小企業・小規模企業振興条例 Vol. 6.1」
帝国データバンク「全国「後継者不在率」動向調査(2023年)」
帝国データバンク「三重県内企業 「休廃業・解散」 動向調査(2023)」
2. 三重県が直面する事業承継の課題と後継者不足のリスク
三重県の事業承継問題は、統計データからも深刻さがうかがえます。帝国データバンクの2024年の調査では、三重県内企業の経営者の平均年齢は59.6歳を迎え、高齢化が進行しています。経営者の引退時期が迫る一方で後継者が未定の企業は多く、事業の存続が危ぶまれるケースが少なくありません。
後継者不在は、企業の存続を直接脅かす深刻な問題です。三重県でも、後継者が見つからないことを理由に休廃業や解散を選ぶ企業が後を絶ちません。これは単なる企業数の減少に留まらず、長年培われた技術やノウハウ、雇用の喪失、ひいては地域経済の衰退に繋がる大きな損失です。特に、県の基幹産業である製造業や、地域住民の生活を支えるサービス業などでは、一社の廃業がサプライチェーンや地域社会に与える影響は計り知れません。
全国的な事業承継支援策が強化される中でも、三重県が全国平均と比較して事業承継の進捗や休廃業率においてどのような状況にあるかを注視する必要があります。もし、全国平均よりも厳しい状況にあるとすれば、それは三重県特有の経済構造や、事業承継に対する意識、支援策の活用状況などに起因する課題が存在する可能性を示唆しています。これらの具体的なデータを踏まえ、現状の厳しさを正確に認識することが、効果的な対策を講じるための第一歩となります。
参考:三重県内企業「社長年齢」分析調査(2024年)
3. 三重県でM&A・事業承継を相談できる公的機関や専門家
県内でM&Aや事業承継を検討する際、相談できる機関は多岐にわたります。それぞれの特徴を理解し、自社の状況に合った相談先を選ぶことが成功への鍵となります。
三重県事業承継・引継ぎ支援センター
国が設置する公的な相談窓口で、中小企業の事業承継を幅広く支援しています。専門家による無料相談が可能で、事業承継計画の策定支援や、後継者不在の企業と起業家を結びつける「後継者バンク」の運営などを行っています。中立的な立場からアドバイスがもらえるため、最初の相談先として最適です。
M&A仲介会社・FA(ファイナンシャルアドバイザー)
M&Aの専門知識と豊富な実績を持つ民間の専門家です。秘密保持を徹底した上で、企業価値評価(バリュエーション)から最適な相手企業の探索、交渉、契約締結まで、一貫したサポートを提供します。全国的なネットワークを持つため、県内だけでなく広域でのマッチングが期待できます。
地元の金融機関や士業専門家
百五銀行や三十三銀行などの地域金融機関、あるいは顧問税理士や公認会計士といった士業専門家も相談先となります。長年の取引を通じて自社の経営状況を深く理解しているため、実情に即したアドバイスが期待できます。ただし、M&Aの専門性やネットワークには差があるため、M&A仲介会社などと連携して進めるケースも多いです。
4. 三重県・東海地方における最新のM&A・事業承継案件
ここでは、三重県近郊・東海地方のM&A・事業承継の案件一覧をピックアップし紹介します。
【自社施工9割越え】東海地方×解体工事業
まず紹介する三重近郊のM&A案件は、解体工事業を営む企業の譲渡です。建物等の解体工事を手掛けており、官公庁からの案件を獲得するなど、安定的に大型案件を受注しています。元請比率が50%前後で推移し、着工から完工まで完全に自走可能です。
自社施工比率が90%で推移し、売上のキャパシティは15億円程度あるため、今後も拡大余地があります。来季の売上10億円以上の見込みで、産業廃棄物収集運搬業の許認可を保有しています。
売上高 | 5億円〜10億円 |
営業利益 | 5,000万円〜1億円 |
総資産額 | 5,000万円〜1億円 |
譲渡希望額 | 5,000万円〜1億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【至急案件】東海エリアの焼菓子販売店
続いて紹介するのは、焼菓子販売店の譲渡案件です。来年2月までのクライアントを希望しており、その他条件は柔軟に対応可能です。ロス率が低く粗利率が高いのが強みです。テレビ出演も多数しており、東海エリアでは有名店です。
売上高 | 5,000万円〜1億円 |
営業利益 | 1,000万円〜5,000万円 |
総資産額 | 1,000万円〜5,000万円 |
譲渡希望額 | 5,000万円 |
譲渡理由 | その他 |
【東海地方×高認知度】 輸入中古車販売・整備・カスタム業
三重近郊のM&A案件は、東海地方にて輸入中古車の販売・整備(認証工場)・カスタムを手がける企業の会社譲渡です。
売上高 | 5億円〜10億円 |
営業利益 | 5,000万円〜1億円 |
総資産額 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡希望額 | 2億7,000万円(応相談) |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継)、戦略の見直し |
5. 【2024年】三重県におけるM&A・事業承継の成功事例
三重県のM&A・会社売却・事業承継事例をピックアップし取り上げます。
全国保証による三重総合信用のM&A
2024年12月、全国保証は三十三フィナンシャルグループの子会社である三重総合信用の株式を取得し、子会社化しました。
全国保証は、住宅ローンを中心とした信用保証事業を展開しています。対象会社の三重総合信用は、信用保証事業を展開します。
今回のM&Aにより、保証債務残高を増やすことで基幹事業の拡大を図ります。また、三重総合信用が保有するノウハウを共有し、経営管理の展開につなげます。
大敬ホールディングスによるシンエイテックのM&A
2024年11月、大敬ホールディングスはシンエイテックの全ての株式を取得し、子会社化しました。
大敬ホールディングスは、損害保険代理業、不動産賃貸管理・運用を展開しています。対象会社のシンエイテックは、基礎建機のアタッチメント製品などの開発・製造、メンテナンスを行っている企業です。
今回のM&Aにより、両社の強みを活かした事業展開を進め、業容拡大および利益創出を目指します。
岡谷鋼機による桑名金属工業のM&A
2024年8月、岡谷鋼機は、プロテリアルから配管機器事業を譲り受け、さらにその事業を承継する新会社として設立した桑名金属工業の全株式を取得しました。なお、この譲渡は2024年3月21日と6月28日に公表されていました。
新たにスタートを切った桑名金属工業は、伝統を大切にしながら、顧客のニーズや市場の変化に応じた技術と製品開発を通じて、社会に貢献することを目指しています。
岡谷鋼機は、鉄鋼や特殊鋼、非鉄金属、電機・電子部品、化成品、機械・工具、食品などの国内外での販売と輸出入を、グループのグローバルネットワークを駆使して幅広く展開しています。
柿安本店による赤塚興産のM&A
2024年6月柿安本店は、三重県桑名市にある赤塚興産の株式を取得し、完全子会社化することを決定しました。
柿安本店は、外食、中食、内食のすべてのカテゴリーで、レストラン、惣菜、和菓子、食品、精肉事業を展開しています。一方、赤塚興産は、柿安本店創業家の資産管理を行い、有価証券の売買を主な事業としています。
株式取得の理由はまず、このM&A取引による資本政策が、今後の株主価値の向上に寄与すると見込まれる点です。
さらに、この株式取得が実質的な自己株式取得に相当し、一株当たりの当期純利益(EPS)の増加とともに、株主資本利益率(ROE)などの資本効率の向上に繋がり、株主への利益還元をさらに強化できる点です。
KRIによるエス・イー・アイのM&A
2024年2月、大阪ガスの100%子会社であるKRIは、蓄電池試作に強みを持つエス・イー・アイ(以下SEI)の株式を取得し、子会社化します。
KRIは1987年に大阪ガスにより設立され、材料、エネルギー、環境分野の研究開発を手掛ける民間受託研究会社です。一方、SEIは1999年に設立され、電池のセル試作技術に強みを持ち、蓄電池の試作実証サービスを提供しています。
今回の株式取得により、KRIの研究開発技術とSEIの試作技術が融合し、蓄電池に関する事業が試作実証領域まで拡大し、受託研究開発事業のバリューチェーン強化が期待されています。
日東電工による三重日東電工のM&A
2022年12月、日東電工は子会社の三重日東電工を吸収合併しました。これにより、日東電工を存続会社とし、三重日東電工は解散します。
日東電工、三重日東電工は表面保護フィルムの製造販売、マスキングテープの製造販売、メンブレン製品の製造販売、電気・電子部品用の製造販売、機能材料の製造販売を行う企業です。
今回のM&Aにより日東電工は、経営資源の経営効率化を目指します。
6. 三重県のM&A・事業承継案件を探す3つの手段
三重でM&A・会社売却・事業承継案件を探す手段としては、以下の方法があります。
- 公的機関・地元の金融機関などに相談する
- M&Aマッチングサイトなどを活用する
- M&A仲介会社・専門家に相談する
①公的機関・地元の金融機関などに相談する
三重県でM&A・会社売却・事業承継案件を探す手段としては、公的機関・地元の金融機関などに相談する方法もあります。
三重県事業承継・引継ぎ支援センター
三重県には、三重県事業承継・引継ぎ支援センターが設置されています。事業承継・引継ぎ支援センターとは、中小企業庁からの委託事業として、全国各都道府県に設置されている公的機関です。
中小企業の事業引継ぎに関するさまざまな課題解決を支援しており、専門のコーディネーター・アドバイザーが無料で相談を受け付けています。
②M&Aマッチングサイトなどを活用する
三重県でM&A・会社売却・事業承継案件を探す手段には、M&Aマッチングサイトなどを活用する方法もあります。
Batonz(バトンズ)
Batonzは、全国の士業事務所や金融機関と協業し、承継アドバイザーとして養成することで、全国どの地域でも質の高い事業承継支援を受けられるよう体制を整えています。
TRANBI(トランビ)
TRANBIは、国内最大級のマッチングプラットフォームです。売り手は基本無料、買い手はプレミアムプランに加入することで、相手先と交渉できます。なお、仲介が必要な場合は、提携先の専門家を無料で紹介してもらうことも可能です。
Relay(リレイ)
後継者不足に悩む小規模事業者向けのマッチングプラットフォームとしては、「Relay(リレイ)」も注目されています。
Relayは事業承継マッチングサイトで、地域の小規模企業や個人事業主が後継者を募集する場を提供しています。実際に三重県内でも、東紀州地域で唯一の銭湯「みはま湯」が後継者募集案件として掲載されるなど、M&A以外の形で第三者に事業を引き継ぐケースが公開されています。
こうしたプラットフォームを活用すれば、地元で事業を引き継ぎたい個人とマッチングできる可能性もあり、地域密着型の承継手段として有効です。
③M&A仲介会社・専門家に相談する
三重県でM&A・会社売却・事業承継案件を探す手段として、三重県のM&A・会社売却・事業承継に詳しいM&A仲介会社・専門家に相談する方法があります。
7. 成功の鍵!三重県でM&A・事業承継を進める上での重要ポイント
三重県内でM&A・事業承継を成功させるためには、一般的なM&Aの知識に加え、地域特有の事情も考慮した戦略的なアプローチが求められます。以下の点が重要なポイントとなります。
早期相談
事業承継やM&Aは、検討を開始してから完了するまでに長い時間を要します。経営状態が良好なうちに、余裕をもって準備を始めることが、より良い条件での承継や、納得のいく相手探しに繋がります。「まだ先のこと」と考えず、早めに専門家や支援機関に相談することが肝心です。
自社の強み・魅力を正しく評価する
M&Aにおいては、自社の価値を客観的に把握し、買い手に対して魅力を的確に伝えることが重要です。財務状況だけでなく、技術力、人材、顧客基盤、地域でのブランド力など、三重県という市場における自社の強みを整理し、正しく評価しましょう。専門家による企業価値評価も有効です。
適切な専門家選びのポイント
M&Aの成否は、パートナーとなる専門家(M&Aアドバイザー、弁護士、会計士等)の質に大きく左右されます。全国規模の M&A 会社だけでなく、三重県内の経済事情や産業構造に精通しているか、自社の業種に関する実績があるか、といった視点も重要です。複数の専門家と面談し、信頼関係を築ける相手を選びましょう。
三重県特有の市場環境を理解する
前述の通り、三重県のM&A市場には、製造業の集積、比較的小規模な案件の多さ、地域密着型企業の存在などの特徴があります。どのような業種でM&Aが活発か、どのような買い手(県内企業、県外企業、ファンド等)が関心を持っているか、といった地域の市場動向を理解しておくことが、現実的な戦略立案に役立ちます。
従業員や地域社会への配慮
特に地方都市においては、企業は単なる経済主体ではなく、地域社会や従業員の生活と密接に結びついています。M&Aを進める際には、従業員の雇用維持や処遇、取引先との関係継続、地域への貢献といった点に配慮する姿勢が、円滑な交渉やM&A後の統合(PMI)の成功に繋がります。買い手候補に対しても、こうした点を重視する姿勢を示すことが、共感を呼び、より良いマッチングに繋がる可能性があります。売り手経営者の「想い」を理解し、尊重してくれる相手を選ぶことも重要です。
8. 三重県のM&A・会社売却・事業承継まとめ
本記事では、三重県の公的機関である事業承継・引継ぎ支援センターの概要を中心に紹介しました。
三重県のM&A・事業承継・会社売却を相談する際は、サポートを希望する内容によって相談先を決めると良いでしょう。一括したサポートを求めるならば、M&A仲介会社への依頼が望ましいです。
9. 三重県のM&A案件一覧
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