2021年08月17日更新
【業種別】人手不足は今後どうなる?理由や対策を解説!
現在、日本ではあらゆる業界で人手不足問題が深刻になっており、廃業・倒産する中小企業が増えています。本記事では、人手不足の現状や理由などを業種ごとに解説していきます。また、企業が人手不足問題を解決するためのポイントについても解説しています。
1. 人手不足による問題
企業の人手不足問題は年々深刻となり、迅速に適切な対処を行わなければ今後さらに深刻さが増していく状況です。
本記事では、人手不足の現状や理由などを業種ごとに解説していきます。また、企業が人手不足問題を解決するためのポイントについても解説します。
人手不足が深刻化している
日本企業の人手不足が深刻化しています。背景には、少子高齢化・団塊世代の一斉退職・非正規雇用の待遇の低さ・転職の増加・労働生産性の低さなど、さまざまなものがあります。
人手不足問題を解決するため、国は働き方改革や少子化対策などの施策を次々と打ち出していますが、効果が得られるにはまだ時間がかかる状況です。
人手不足による企業倒産
東京商工リサーチの調査によると、2019年の人手不足による企業倒産は調査開始以来過去最多となり、内訳では後継者難が最も多くなっています。
人材を確保できないことで仕事を回せず、人材を確保しようとすると人件費が負担となって事業が続けられないという厳しい内情の企業が増えています。
人手不足によるM&A
近年は、さまざまな業種で人材確保や生産性向上を目的としたM&Aが増加しています。
特に、中小企業は後継者問題と人手不足問題が重なり、M&A・事業承継による抜本的な対策を講じなければ廃業せざるを得ないという厳しい状況です。
後継者問題・人手不足問題による廃業を防ぐため、国や地方自治体は金融機関やM&Aの専門家などと連携を深め、問題解決に取り組んでいます。
2. 【業種別】人手不足は今度どうなる?
ここからは、人手不足の現状や背景を業種ごとに解説します。
- 飲食業界
- サービス業界
- 建設・製造業界
- 流通・運送・倉庫業界
- 医療・福祉業界
- 宿泊業界
- その他の業界
①飲食業界
まずは飲食業界における人手不足の現状と理由を解説します。
飲食業界の人手不足の現状
飲食業界で働く人の数は、正社員と非正規雇用を合わせると他業界と比べても非常に多いでしょうが、人手不足は慢性化しています。
人手不足によって飲食店は少人数の従業員でお店を回すことになり、負担の大きさによって従業員の短期離職を引き起こし、飲食業界で働くことへのイメージを悪化させるといった悪循環につながっています。
人手不足になる理由
飲食業界で人手不足が起きる原因のひとつが、短期離職率の高さです。若い従業員や非正規雇用の従業員が多い飲食業界では短期間での離職が多く、飲食店の慢性的な人手不足につながっています。
また、飲食業界は競争が激しく、多くの飲食店が数年以内に廃業します。結果的に短期間で仕事を失う人も多くなり、働き手の流動性が高くならざるを得ません。雇用の不安定さは飲食業界で働くことを敬遠させます。
他にも、飲食店の人手不足の原因として、大卒就活生のホワイトカラー志向が挙げられます。飲食業界に新卒で入社した場合、最初の1年から数年を直営店舗で飲食店運営経験を積むケースは少なくありません。
しかし、ホワイトカラー志向の強い大卒就活生は、現場で働くことを避ける傾向にあります。
今後予測されること
飲食業界の市場規模は大きく飲食店の盛衰も激しいことから、人手不足と離職率の高さを解消するのは簡単ではありません。
少子高齢化が進んでいくなかで、若い従業員を求める飲食業界は今後さらに人手不足が慢性化していくでしょう。
飲食店のなかには、高齢者や外国人を雇用することで人手不足をカバーしているケースもみられ、今後は国による働き方改革や外国人受け入れ枠の拡大によって、高齢者や外国人が飲食店で働くケースの増加が予測されます。
②サービス業界
続いて、サービス業界における人手不足の現状と理由を解説します。
サービス業界の人手不足の現状
サービス業界は非正規雇用の割合が非常に高く、従業員の流動性が高いことから頻繁に従業員の採用活動が必要となり、人手不足が起きやすい構造となっています。
また、現在日本はサービス業の割合が高く、他業界も仕事内容がサービス業化しています。サービス業に従事する人は多いでしょうが、それ以上にサービス業界の求める人手が増加していることで、サービス業界は慢性的な人手不足となっています。
人手不足になる理由
サービス業は非正規雇用の割合が高く、正社員との賃金格差が人手不足の原因のひとつとなっています。欧米では、正社員と非正規従業員の賃金格差は日本に比べてほとんどありません。
しかし、日本ではサービス業に従事する非正規従業員に求められる業務レベルが高く、業務量も多いのにもかかわらず、それに見合った賃金をもらえないのが現状です。
また、正社員だけで見ても、大企業の正社員と中小企業の正社員では賃金に大きな差があります。そのため、若者の就職活動は大企業に偏り、多くの中小企業は新卒の社員を確保することが簡単ではありません。
そもそもサービス業界全体の賃金は製造業と比べても非常に低いことから、若者はサービス業への就職を避ける傾向にあります。
近年はモンスターカスタマーの問題も広く認知されるようになり、サービス業で働く精神的な厳しさも人手不足を助長しています。
今後予測されること
現在サービス業界は、国による働き方改革や、非正規労働者の賃金上昇・地位向上を進める変化が始まっています。
サービス業界は、カスタマーハラスメント問題やコンビニエンスストアの24時間営業問題などが大きな話題となり、サービス業従事者の労働環境をいかに改善していくかが課題です。
今後は、業界の人手不足対策だけでなく、国による政策の方向性もサービス業界の課題解決に重要となります。
③建設・製造業界
続いては、建設・製造業界における人手不足の現状と理由を解説します。
建設・製造業界の人手不足の現状
建設業界は技能労働者の高齢化が進み、若手を中心に人手不足となっています。今後は、技能労働者数の3割から4割を占める55歳以上の労働者が大量退職を迎えるため、将来的に建設業界は深刻な人手不足となることが予測されます。
ある調査では、今後10年で100万人前後の労働者が退職を迎えるとされ、迅速な人手不足対策が喫緊の課題です。
また、製造業大手は派遣や請負、機械やAIによるオートメーション化によって労働者の人手不足をカバーしています。しかし、町工場などの中小零細企業は人手不足と後継者問題が深刻で、人手不足が原因の廃業も少なくありません。
大手企業も高い専門性を備えた研究者や技術者の確保競争は激しく、優秀な人材の確保が業績に大きく影響しています。
人手不足になる理由
建設業界の技能労働者は高齢化が進んでいることから中堅の技能労働者が少なく、若手労働者を育てる環境の整っていない職場が多くあります。
ベテランの技能労働者は昔気質の職人も多いので、若手の職人は指導方法に耐えられずに技能労働者として育つ前に辞めてしまうことも少なくありません。
また、若手労働者の親世代は建設業界によいイメージを持っていないケースも多く、親世代が子どもに建設業界に入れさせない傾向もあります。
製造業の場合は、新興国の安くて品質の良い製品と競争するために、人件費を削らなければならないという現状があり、景気によって雇用を調節しやすい非正規労働者やアウトソーシングを活用せざるを得ません。
また、すでに高い技能を持っている定年退職者を再雇用したり、外国人労働者を受け入れたりすることで、日本の若い労働者層を育てる土壌が作られにくくなり、今後の人手不足を加速させる要因のひとつになっています。
今後予測されること
現在の建設業界では主に小規模事業者の人手不足が取り上げられていますが、このまま対策を打たずにいると、今後は中規模企業、大企業へと人手不足は広がっていくと予測されています。
そのため、建設業は生産性の向上が急務となっており、国土交通省は建設現場で積極的にICTを活用する「i-Construction」を推進し、人手不足問題の解決を図っています。
また、製造業でも今後さらにAIロボットなどの活用を進めていくことで、人手不足を解消する動きが加速していくと予測されます。
さらに、政府は外国人労働者の受け入れを拡大することで、製造業界も外国人の雇用割合が増加するものとみられます。
④流通・運送・倉庫業界
続いて、流通・運送・倉庫業界における人手不足の現状と理由を解説します。
流通・運送・倉庫業界の人手不足の現状
現在トラックドライバーの約7割が40代以上となっており、運送業は若者を中心に人手不足となっています。
また、ネット通販やフリマアプリの利用が急増したことから、配送業者は人手不足とトラック不足が慢性化しています。
さらに、ネット通販・フリマアプリの利用急増によって再配達問題が深刻となり、配達業者の負担は増加し続けています。
再配達問題の深刻化を受けて各関連業界は連携して対策を講じていますが、まだ完全な問題解決には至っていません。
人手不足になる理由
運送業界は、規制緩和による新規参入が増えたことが労働環境の悪化につながりました。
国が運送業者を増やすために規制緩和によって新規参入を促した結果、零細企業が急増しました。零細企業の増加は多重下請構造を生み出し、下請けの運送業者は低価格で仕事を受けざるを得なくなります。
収益の低さは運送ドライバーの低賃金につながり、収益の低さと低賃金をカバーするために長時間勤務を行う運送業者・運送ドライバーが多数を占めるようになりました。
しかし、運送業界の長時間労働が社会問題となったことで、国によって運送業者の長時間労働を禁止する規制強化がされて得られる収入が制限されたことも、運送業界の人手不足につながっています。
今後予測されること
近年利用数が急増しているネット通販とフリマアプリですが、欧米の利用率に比べるとまだ利用率は低く、今後の利用率増加余地は大幅に残されています。
そのため、今後さらに流通・運送・倉庫業界の需要は高まり、それに伴って人手不足も進んでいくと予測されます。
流通・運送・倉庫業界の人手不足を解消するには、ネット通販・フリマアプリの利用増加から来る負担をいかに解消していくかが重要です。
⑤医療・福祉業界
続いては、医療・福祉業界における人手不足の現状と理由を解説します。
医療・福祉業界の人手不足の現状
医療業界では医師の偏りが問題になっており、西日本に対して東日本の医師不足が顕著にみられ、特に東京の医師不足は深刻です。
東京などの都市部は医師が多く、地方の医師不足が深刻というイメージが強いでしょうが、実際には東京で必要な医師数に対して実際の医師数は大きく不足しているのが現状です。
看護師に関しては、離職率が高いことから、病院やクリニックは頻繁に看護師を募集することになり、働いている看護師の負担が大きくなるという問題があります。
また、福祉業界でも介護職員が減っているというイメージが持たれがちですが、実際には介護職員は増え続けています。
しかし、高齢化が進み、介護職員の需要数が大幅に増加しているのに対して、実際の介護職員の増員数では追いついていません。
人手不足になる理由
医師数の偏りが生じている原因のひとつに、医学部のある大学の偏りがあります。
医学部のある大学は西日本に多く、医師の排出数も西日本が多いため、東日本の医師は不足しています。
また、もうひとつの原因に、地方へ行きたがらない若手医師の多さもあります。設備の整った大病院は都市部に集中しており、医師としての高い技術を身につけるには都市部の大きな病院で働かざるを得ません。
そのまま都市部に定着する医師も多く、地域による医師の偏りを生み出しており、国や地方自治体でも医師の偏りを解消するためのさまざまな施策を行っていますが、まだ十分な結果は出せていない状況です。
看護師に関しては、女性が多い業種であることから、出産・子育て、親の介護などで離職し、そのまま看護師として復帰しないケースも少なくありません。
介護業界の人手不足の原因には、賃金の安さと介護業界へのイメージの悪さが挙げられます。日本の介護職員の賃金は欧米に比べて非常に低く、介護や保育に対してボランティア精神を求める傾向にあることも賃金の上昇を抑えています。
また、介護業界はきつい・汚いというイメージがいまだに残っており、人手不足の一因となっています。
今後予測されること
今後、少子高齢化はさらに進み、医療・福祉業界の人手不足もさらに進行すると予測されています。
外国人看護師・介護福祉士を育成する取り組みも行われていますが、専門性の高い内容を日本語で学ばなければならないという難しさから、試験に合格できる人数は少数にとどまっています。
社会保障費の負担が増加していくなか、今後は人員の増加によって人手不足を解消するのではなく、予防医療によって病気になる高齢者自体を減らしたり、介護用機器の進化によって人手不足をカバーしたりするなどの対策が増えていくでしょう。
⑥宿泊業界
続いて、宿泊業界における人手不足の現状と理由を解説します。
宿泊業界の人手不足の現状
宿泊業界は大きくホテル業と旅館業に分けられますが、どちらも非正規雇用の割合が高く、正社員との賃金格差が課題になっています。
また、宿泊業はイメージ以上に体力が必要となる仕事で、勤務シフトも不規則なことが人手不足につながっています。
特に、小規模のホテル・旅館は従業員を確保できず、人手不足から現在働いている従業員への負担が大きくなるのが現状です。
そのため、現在いる従業員の離職につながったり、宿泊業界の仕事はきついというイメージが強くなったりしています。
人手不足になる理由
宿泊業界は正社員と非正規従業員の賃金格差が大きく、その正社員の賃金も他業界と比較して高いわけではありません。
そのため、仕事がきつい割に賃金は低いというイメージが広がり、人手不足にもつながっています。
また、近年は東京オリンピック需要やインバウンド需要の急増により人材確保が追いつかず、特に都市部や観光地では人手不足が進んでいます。
今後予測されること
東京オリンピックによる需要はオリンピック後に落ち着きますが、現在国ではインバウンドに力を入れており、インバウンドの増加は今後も続くとみられます。
東京オリンピック終了までは主に開催地での人手不足が続きますが、今後外国人観光客の行き先は、これまでのような都市部や観光地への集中状態から、地方のさまざまな場所に広がっていくことが予測されるため、宿泊業界の人手不足も拡大していくでしょう。
⑦その他の業界
前述の業界に限らず、日本では多くの業界で人手不足が深刻となっています。例えばIT業界では、今後10年で50万人前後のIT技術者が不足するという試算があります。
しかし、IT技術者が大幅に不足する一方で、約10万人の余剰人員が発生するともいわれており、構造的な問題が注目されるようになりました。
これは、IT業界の市場規模拡大と同時にIT技術も進化していくことで、技術についていけない人材が増えていくことに起因しています。
このような構造は他業界でも同様にみられ、人材の需要増加に対して人材採用が追いつかず、結果的に人手不足が慢性化しています。
一方で、人手不足にもかかわらず仕事に就けない・就かない人も多いという偏りが生じています。
3. 人手不足が起こる理由
人手不足問題の深刻化には、主に以下の理由があります。
- 少子高齢社会による労働人口の減少
- 技術革新によるコスト削減
- 人材不足と人材余剰がアンバランス
- 人間関係・職場環境・待遇
- 従業員のモチベーション
①少子高齢社会による労働人口の減少
少子高齢社会となった日本では、労働人口の減少による人手不足が深刻化してきました。少子化には、生涯未婚率上昇や出生率低下などさまざまな原因があり、国は対策を進めています。しかし、効果は限定的と見る専門家も多く、今後も少子化は続いていくと予測されます。
また、国では高齢になっても働き続けられる社会を作って人手不足を補おうとする動きや、外国人労働者の受け入れ枠を増やすことで人手不足に対処しようとする動きもみられますが、いずれも少子高齢社会の根本的な解決には至らないと考えられています。
②技術革新によるコスト削減
現在さまざまな業界で競争はグローバル化し、いかに安く質の高い商品・サービスを提供するかが争われるようになりました。
企業は品質・サービスの向上やコスト削減のためにさまざまな技術革新を進めようとしていますが、技術革新を進めるための高い専門性を持った人材が圧倒的に不足しているのが現状です。
中小企業が求める高い専門性を持った人材は大企業へ流れ、大企業が求める専門人材は海外企業へ流れるなど、専門人材の確保は簡単ではありません。
一方で、技術革新により人間が行う仕事の種類や量は減り続け、専門性を持たない人材は仕事を失ったり就ける仕事がなくなったりと、雇用の偏りが生じる懸念もあります。
③人材不足と人材余剰がアンバランス
多くの業界で人手不足が問題になっているにもかかわらず、仕事に就けない・就かない人は多く存在します。
これは、雇用する側が求める人材と仕事を探している側が求める仕事のミスマッチが原因です。
人材育成に資金と時間を割く余裕のない多くの中小企業は、即戦力を求めるようになったため、スキルを身につけられなかった人たちは、スキルがなくても働ける仕事を探さざるを得ません。
そのため、求人数は求職者数よりも圧倒的に多いものの企業側は応募が来ないと悩み、求職者は応募できる仕事がないと悩むことになります。
また、近年は中小企業への就職を志向する大卒の就活生も増えていますが、依然として大卒就活生の多くは大企業を目指します。
現在は売り手市場とはいえ、1人で何社も内定をもらう就活生がいる一方で、1社からも内定をもらえない就活生も少なくありません。
有名な大企業には就活生が殺到する一方で、中小企業を受ける大卒就活生は少なく、人手不足の中小企業と就職できない就活生が存在するアンバランスも生じています。
④人間関係・職場環境・待遇
短期間で仕事を辞める若者の増加が問題視されるようになって久しいでしょうが、近年はむしろひとつの会社で長く働くことの弊害にも注目されるようになりました。
若者にアンケートをとると、ひとつの会社で安定して長く働きたいと考えている人も少なくありませんが、職場の人間関係や職場環境、待遇などに不満を持ち短期間で辞めていく若者も多く存在します。
これは、若者の価値観の変化だけが要因ではなく、業務のIT化による人間関係の希薄化や仕事のやりがいの低下、業務システムが効率化されたことによってトラブルが減り、トラブルへの対応を学ぶ機会が減ったことなどを指摘する専門家もいます。
⑤従業員のモチベーション
日本人の仕事に対するモチベーションは、先進国の中でも下の方に位置するという調査結果があります。
高度成長期の頃であれば、ガムシャラに頑張れば頑張っただけ成果が得られ、当時のサラリーマンは「モーレツ社員」などと呼ばれ、高いモチベーションで働けていました。
しかし、高度成長が終わり低成長時代に入った現在の日本では、頑張ったからといって見合った成果が得られるとは限らず、モチベーションを失っていく人も少なくありません。
新卒社員へのアンケートでも、入社当初は非常に高いモチベーションを持っている人が多いものの、数カ月から1年も経つと急激にモチベーションが失われるケースが日本では顕著にみられます。
仕事に対するモチベーションの低下が離職につながり、結果として人手不足問題にもつながっています。
4. 人手不足の対策
企業が人手不足問題を解消するには、以下のポイントを意識して行う必要があります。
- 働き方改革
- 生産性の向上
- 業務の効率化・自動化
- 事業の将来性
- 魅力ある企業性
- 採用条件の緩和
- 業務環境の改善
- 待遇の改善
①働き方改革
現在国は働き方改革の推進に力を入れています。働き方改革とは、日本の労働環境の問題を改善することで、労働者を増やしたり労働生産性を向上させたりする政策のことです。
慢性的な人手不足を解消するため、国は労働年齢の引き上げや女性の社会参加率向上を図っています。また、長時間労働問題を解決することで、労働生産性の向上を狙っています。
働き方改革はまだ道半ばであり、問題点も少なくありません。しかし、国は働き方改革を主要な政策として重視していることから、将来は大半の成人が多様な働き方で生涯働き続けることになるでしょう。
企業の場合は働き方改革に積極的に取り組んでいること自体がアピールとなり、人材の確保につながるので、どのような働き方改革を行っているかを明確にアピールすることが重要です。
②生産性の向上
日本の労働生産性は先進国の中でも下位に位置しています。労働生産性の改善は人手不足問題の解消にもつながることから、国でも働き方改革などを通じて労働生産性の向上に注力しています。
しかし、日本の生産性の低さには日本人特有の慣習や価値観も影響しているため、根本的な問題解決は簡単ではありません。
逆にいえば、生産性の向上に成功している企業は、それだけで他社との大きな差別化を図ることが可能になります。
生産性の向上によって人手不足をカバーできるだけでなく、生産性の高さが会社の魅力となって人材確保にもつながるでしょう。
③業務の効率化・自動化
業務の効率化・自動化による人手不足の解消は、製造業界で積極的に進められています。また、建設業界でも国土交通省主導で積極的にICTを活用する「i-Construction」を推進し、大企業を中心にICT活用が進んできました。
しかし、日本の労働者の多くが従事する第三次産業においては、業務の効率化・自動化が目に見えて進んでいるとはいえません。
また、公務員の業務効率性は非常に低く、日本の労働生産性が低い原因の一端は、企業の労働生産性向上を支援していく立場の公務員自体が非効率な業務を行っている点にもあります。
しかし、業務の効率化・自動化が進んでいない業界の企業ほど、効率化・自動化に積極的に取り組んでいると注目されやすいメリットもあります。
実際に、労働問題でよく取り上げられ人手不足が深刻な飲食業界では、業務の効率化や働き方改革に成功している企業がメディアでも多く取り上げられる傾向にあります。
④事業の将来性
人手不足問題が起きる原因には、先行きの見えにくさもあります。変化スピードが速い現在の社会では、数年後に現在の仕事がどうなっているかわからないという不安が常につきまといます。
先行きの見えにくい現代では、ひとつの会社に依存することはリスクが高いという考え方も広まり、副業を行うサラリーマンやフリーランスとして働く人の数は増え続けてきました。
働き方が多様化している現代で人材を確保するには、事業の将来性や従業員のキャリアアップの道筋が明確にみえるかどうかも重要です。
⑤魅力ある企業性
近年は、SNS・ブログ・口コミサイトなど、企業の内情を知る機会が増えたことから、社長や社員の人柄、企業文化などを重視して企業を選ぶ人も少なくありません。
自社のユニークな取り組みや、社長・社員の人柄などをうまくアピールしている企業には人材が集まりやすい時代となったともいえるでしょうた。
しかし、実際には大半の中小企業がSNSやブログなどの発信ツールを使いこなせておらず、今後は自社の魅力をいかに発信するかが重要になります。
⑥採用条件の緩和
中小企業の人材採用で失敗しやすいのが、欠員補充のために中途採用を行う場合です。
中小企業が欠員補充目的で中途採用を行う場合、中途採用者には欠員の穴埋めができるレベルの即戦力を求めがちです。
しかし、前任者レベルの人材が来る可能性は低く、そのような人材は他社との争奪戦になります。即戦力を意識しすぎると採用条件が偏り、能力はあっても自社に合わない人物が来る可能性の方が高くなります。
自社に合わない人物を採用してすぐに辞められてしまっては意味がないので、即戦力としての能力や実績だけにとらわれず、自社を好きになってくれそうな人物かといった内面も確認する必要があります。
⑦業務環境の改善
採用したいと思う人材がいても、面接に来た相手から採用を辞退されることも少なくありません。
辞退した本当の理由を本人が教えてくれることはあまりありませんが、実際は業務環境をみて入社を辞めるということはよくあります。
具体的には、社員の雰囲気や社員同士のコミュニケーションの有無・社員の服装・照明の明るさ・トイレのきれいさなどがあり、経営者側からすると意外に感じるものもあるでしょう。
業務環境の改善が必要な箇所には直接仕事に関係ない部分が含まれることもありますが、客観的な視点を持って改善していくことも重要です。
⑧待遇の改善
待遇というと給料やボーナスだけに意識が行きがちですが、面接を受ける側にとっては福利厚生や始業時間など、給料以外の条件も重視していることも多いでしょう。
従業員の場合、給料よりもスキルアップを実感できる仕事を任せることにより離職率が下がったという事例も少なくありません。
また、入社して1年目の従業員が仕事を辞める理由に、仕事が少なかったというものがあります。会社側はよかれと思って仕事量を少なくしても、社員はやることがなくて苦痛を感じることがあります。
また、若者の場合出世をきっかけに離職するケースもみられます。従業員の離職を防ぐには、何に苦痛を感じるか、やりがいを感じるかを把握しておく必要があります。
5. 人手不足による倒産・廃業対策にM&A
人手不足による倒産・廃業を回避するには抜本的な改革が必要であり、そのためにはM&Aを活用する方法があります。
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6. まとめ
本記事では、人手不足の現状や背景、企業が人手不足問題を解決するためのポイントなどについて解説してきました。
【人手不足問題が深刻化した主な理由】
- 少子高齢社会による労働人口の減少
- 技術革新によるコスト削減
- 人材不足と人材余剰がアンバランス
- 人間関係・職場環境・待遇
- 従業員のモチベーション
【企業が人手不足問題を解消するためのポイント】
- 働き方改革
- 生産性の向上
- 業務の効率化・自動化
- 事業の将来性
- 魅力ある企業性
- 採用条件の緩和
- 業務環境の改善
- 待遇の改善
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