人材派遣・紹介会社のM&A・買収・売却事例22選!業界動向を専門アドバイザーが解説【2022年最新】

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

人材派遣・紹介会社は大企業のM&Aによる業界再編が多く、特に中小企業にとって厳しい状況です。人材派遣・紹介会社が生き残るためには、積極的にM&Aを検討するのがポイントとなります。買い手のつきやすい昨今、より自社を発展させる売却を行いましょう。

目次

  1. 人材派遣・紹介会社とは
  2. 人材派遣・紹介会社をM&Aで売買するメリット
  3. 人材派遣・紹介会社のM&A・買収・売却相場
  4. 人材派遣・紹介会社をM&Aで売却する際の注意点
  5. 人材派遣・紹介会社のM&A・買収・売却事例22選
  6. 人材派遣・紹介会社をM&Aで売却する際の流れ
  7. 人材派遣・紹介会社のM&A・買収・売却はご相談ください!
  8. 人材派遣・紹介会社のM&A・買収・売却まとめ
  • セミナー情報
  • 人材派遣会社のM&A・事業承継

1. 人材派遣・紹介会社とは

まずは、人材派遣・紹介会社の定義や現状、M&A動向などを見ていきましょう。

人材派遣・紹介会社の定義

人材派遣会社、人材紹介会社はともに人材業界に属しますが、事業内容は異なります。それぞれの定義を確認しましょう。

人材派遣業の定義

人材派遣業とは、派遣元の事業主が、自社で雇用する労働者を他社へ派遣し、その労働者は派遣先の指揮命令を受けて労働に従事する事業のことをいいます。法律上の正式名称は、労働者派遣事業です。労働者派遣事業を行うには、厚生労働大臣の許可が必要になります。

人材紹介業の定義

人材紹介業とは、求職者と企業(求人側)の間に入って、両者が雇用契約を結ぶのを仲介・サポートする事業です。正式には、有料職業紹介事業といいます。有料職業紹介事業も、これを行うには厚生労働大臣の許可が必要です。

事業内容として、求職者を自社のデータベースに登録しておき、求人側のニーズに合わせて紹介する方法と、スカウティングを行って企業にあっせんする方法の2つがあります。

人材派遣、人材紹介、業務請負の相違点

ここでは、人材派遣、人材紹介、業務請負の相違点を解説します。

人材派遣と業務請負は、人材会社のスタッフを企業に提供するタイプの人材サービスです。派遣はスタッフがクライアントから指揮命令を受けて業務を行い、業務請負は人材会社の指揮命令を受けて業務を遂行する違いがあります。

人材紹介は、求職者と企業をマッチングするサービスです。法律では有料職業紹介といい、厚生労働大臣による営業許可が必要になります。

人材会社では、自社独自のデータベースやネットワーク、あるいは他社のプラットフォームを活用して企業が求めている人材を探し、紹介するのが一般的です。昨今は、人材会社が求人・求職データをマッチングプラットフォームで提供するケースも増加しています。

人材紹介と求人メディアの相違点

求人メディアには、求人情報を求職者に提供する求人サイト・求人情報誌などのサービスと、求職者の情報を求人企業に提供するダイレクトリクルーティングサービスなどがあります。

ダイレクトリクルーティングサービスは、求職者の情報をデータベース化したものを企業が閲覧・検索し、求職者へ直接スカウトを送信できるものです。これらのサービスは、募集情報等提供事業といいます。

求人サイトや求人情報誌などを運営している場合でも、以下に該当する場合は、有料職業紹介事業にあたるため、職業紹介事業の許可が必要です。

  • 情報を提供する相手や提供内容を事業者の判断により、選別・加工を行う
  • 企業・求職者に対して積極的に採用・応募の勧奨や面接日時の調整などを行う
  • 求職者と求人者との間の意思疎通を行う場合に、事業者が意思疎通の内容に加工を行う

人材派遣・紹介会社を取り巻く現状

まず、人材派遣事業から見ていきましょう。厚生労働省が2022(令和4)年3月に公表した「令和2年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」によると、2020(令和2)年4月~2021(令和3)年3月までの年間売上高は、8兆6,209億円でした。

これは、前年度から9.6%増加しています。派遣労働者数は約193万人(前年度比4.9%増)、派遣先件数は約75万件(前年度比7.6%増)です。

一方、人材紹介事業は、厚生労働省が同時に公表した「令和2年度 職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」によると、年間売上高(手数料収入)は約5,240億円(前年度比10.8%減)と、前年を下回る結果となりました。

国内求人数7,774,715人(前年度比1.5%増)に対し、国外からの求人数は10,514件(前年度比35.3%減)です。前年度からの減少率を考えると、コロナ禍による影響で、グローバル人材の需要が減少しているのがわかります。

人材派遣・紹介会社のM&A動向・実施件数が多い理由

人材派遣・紹介会社のM&Aがよく行われている理由は、以下の3つです。

  • 業界再編する大手人材派遣・紹介会社に対抗
  • 後継者不在だが廃業はしたくない経営者が多い
  • 専門分野に特化した人材派遣・紹介会社の人気が出てきた

業界再編する大手人材派遣・紹介会社に対抗するため

1つ目の理由は、業界再編としてM&Aを行っている大手人材派遣・紹介会社に対抗するためです。大手人材派遣・紹介会社は、中小規模の人材派遣・紹介会社を中心に積極的に買収し、業界再編を行っています。なお、大手人材派遣・紹介会社とは以下の会社です。

  • リクルートホールディングス
  • パーソルホールディングス
  • パソナグループ
  • アウトソーシング
  • ワールドホールディングス
  • テクノプロ・ホールディングス

人材派遣・紹介会社を売却するなら、上に挙げた大手企業が買い手になれば高額売却が狙えるでしょう。このような大手の人材派遣・紹介会社に自社を売却できれば、事業は今まで以上に発展する可能性も高いです。

人材派遣・紹介業界の市場では、リクルートホールディングスやパーソルホールディングス、パソナグループが多くのシェアを確保しています。したがって、中小規模の人材派遣・紹介会社は、残りのシェアを争うことになり、企業間の競争が激しい状況です。

したがって、人材派遣・紹介会社が今後、生き残るためには、M&Aが非常に有効な手段と考えられます。

後継者不在だが廃業はしたくない経営者が多いため

2つ目の理由は、後継者不在だが廃業はしたくない経営者が多いことです。人材派遣・紹介会社に限らず、中小企業の廃業数は増えています。その理由のほとんどが、後継者不足や将来の経営に対する不安です。

中小規模の人材派遣・紹介会社も、経営者の高齢化や後継者不足が影響して廃業を余儀なくされているケースが珍しくありません。この状況を打破するため、M&Aによる事業承継が増えています。M&Aの買い手が後継者(新たな経営者)になることで会社は存続するのです。

M&Aにより、既存顧客に対するサービスの継続や、従業員の雇用確保も可能です。M&A後に会社が大きく発展するケースもあります。特に人材派遣・紹介業界では、M&A後、買い手が人材育成方針を変えて売上が伸びた例も多く、有望です。

専門分野に特化した人材派遣・紹介会社の人気が出てきたため

3つ目の理由は、専門分野に特化した人材派遣・紹介会社の人気が出てきたことです。近年、人材派遣・紹介会社の業界内における競争は非常に激しくなっています。その中で経営者たちが生き残りのために有効と捉えているのが、事業の専門性を高めることです。

たとえば、IT分野に強い優秀な派遣社員や、それを理解できる登録者を多く抱えていれば、派遣・紹介先となる会社からは非常に重宝されます。しかし、優秀な人材を手に入れるのは簡単ではありません。そこで、効率よく人材を確保するために、M&Aを活用します。

小規模ではあるものの優秀な人材を多く雇用している人材派遣・紹介会社が、大手の人材派遣・紹介会社に求められることが増えてきました。人材派遣・紹介会社における人材の専門性が高ければ、M&A市場で人気となり買い手も見つかりやすいでしょう。

人材派遣・紹介会社の今後の動向・課題

人材派遣会社の場合、かつては企業側が正規雇用をしたがらない事務系の人材派遣が多い傾向にありました。しかし、少子化による人口減少が続いている現在、ほとんどの企業が全体的に人材不足です。そのため、人材派遣会社には専門職が多く求められるようになりました。

今後の人材派遣会社においては、社員教育・研修制度を充実させ、優秀な専門職(特にIT分野など)を抱えることが事業展開上の課題となります。

一方、人材紹介会社の業界では、有料職業紹介事業(人材紹介)と募集情報等提供事業(求人メディア)の枠がクロスオーバーしてきました。人材紹介会社の今後においては、求人メディアとの垣根を意識せず、フレキシブルなサービス提供による事業展開が求められるでしょう。

そして、人材派遣・紹介会社双方にいえることは、終身雇用制の終焉やコロナ禍におけるリモートワークの浸透などによる企業側の雇用形態・制度の変化と、リモートワークや国の働き方改革推進による人材側の働き方の意識の変化に対応し、より多様化したサービス・事業展開が肝要です。

【関連】人材派遣会社は会社譲渡(株式譲渡)すべき!成功事例と仲介会社も紹介| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

2. 人材派遣・紹介会社をM&Aで売買するメリット

本章では、人材派遣・紹介会社を対象とするM&Aにおける売買で期待されるメリットの中から、代表的なものをピックアップし解説します。

売却側のメリット

人材派遣・紹介会社の売却で得られる主なメリットは、以下の7点です。

  • 他社との協力で生き残りを狙える
  • 後継者不足を解消できる
  • 派遣労働者の就業場所の選択肢を増やせる
  • 従業員の雇用を維持できる
  • 個人保証から解放される
  • 売却利益を獲得できる
  • 事業の選択と集中を実現できる

他社との協力で生き残りを狙える

他社との協力によって、業界内で生き残りを狙えるのはM&Aの大きなメリットです。大手の人材派遣・紹介会社が買い手につけば、グループ傘下に入って安定した経営が可能になります。人材派遣・紹介業界は大手企業のシェアが大きいので、その点もメリットです。

大手人材派遣・紹介会社が持つ豊富な経営資源を活用し、自社の売上増加を図れます。自社にないノウハウや優秀な人材といった経営資源を新たに手に入れる場合、多くの時間や資金が必要です。M&Aを行えば、効率よくノウハウや人材を獲得できます。

買い手と売り手のノウハウを組み合わせることで、シナジー効果も期待できるでしょう。

後継者不足を解消できる

M&Aで会社や事業を売ることによって、後継者不足を解消できる点もメリットです。中小規模の人材派遣・紹介会社の経営者が高齢であることも多く、そのうえ後継者不在の企業が少なくありません。

M&Aによって、買い手に事業を引き継げれば、これまで成長させてきた大切な会社を廃業せずに存続させられます。廃業にかかる事務所の原状回復費用や事務用品の廃棄費用などもかかりません。昨今は、人材派遣・紹介業界に新規参入する企業も増加しています。

その際に、M&Aを活用して人材派遣・紹介業界に新規参入を果たす企業も多いので、後継者がいなくて困っている人材派遣・紹介会社の需要は高い状態です。

「自社の需要が高い今のうちに売却して事業承継したほうがよい」との考えから、早めにM&Aを実施してリタイアする経営者もいます。後継者がいない場合でも会社の存続をあきらめず、M&Aを検討しましょう。

派遣労働者の就業場所の選択肢を増やせる

M&Aを行えば買い手と協力して今後の事業が行えるので、派遣労働者の就業場所の選択肢を増やせます。人材派遣会社であれば、大手企業の傘下に入ることで派遣先の数が一気に増えます。それに伴い、派遣労働者の登録数も増えるでしょう。

人材紹介会社の場合も、取引先(求人企業)、登録求職者ともに増えます。人材派遣・紹介会社の持つ派遣先の数や利用者数は、そのまま収益につながるものです。人材派遣・紹介会社の経営に不安があるなら、大手企業へのM&Aによる売却も検討してみましょう。

中小規模の同業者に売却しても、派遣社員の就業場所は増やせます。自社の派遣先と重なっていない派遣先を多く持つ人材派遣会社を買い手に選べば、今までよりも派遣労働者の満足度を高められるでしょう。

従業員の雇用を維持できる

仮に、後継者難による廃業や将来の経営不振で倒産などになったら、従業員は解雇となります。しかし、M&Aで人材派遣・紹介会社を売却した場合、会社は廃業や倒産を免れ、買い手の経営により存続していくことになるので、従業員の雇用も維持され安泰です。

個人保証から解放される

中小規模の人材派遣・紹介会社の場合、経営資金を融資で調達する際に経営者が個人保証したり、個人資産を担保に差し入れしたりするのがほとんどです。会社が経営不振に陥れば、経営者個人も財産を失いかねない状態は、重い精神的な負担となります。

ところが、M&Aで人材派遣・紹介会社を売却(株式譲渡)した場合、基本的に債務も買い手に引き継がれるため、個人保証や担保差し入れは解消されるでしょう。

売却利益を獲得できる

中小規模の人材派遣・紹介会社の経営体制の多くは、オーナー経営者によるワンマン体制でしょう。その場合、株式譲渡で会社を売却すれば、その対価をオーナー経営者が受け取ります。人材派遣・紹介会社の規模・売上高に応じた売却利益を獲得できるでしょう。

この売却利益は、新規事業資金でも、老後の生活資金でも、オーナー経営者が自由に使えます

事業の選択と集中を実現できる

経営を安定化させる1つの経営手段として、事業の多角化があります。しかしながら、多角化した事業全てが順調に進むとは限りません。場合によっては、収益が出なかったり赤字だったりする事業が出てきてしまうこともあります。

そのような場合は、事業の選択と集中を行い経営の効率化を図らねばなりません。M&Aでは事業譲渡というスキームがあり、不要となった事業やその関連資産だけを選別して売却するのが可能です。事業の選択と集中が実現すれば、経営状態は好転できるでしょう。

買収側のメリット

ここでは、人材派遣・紹介会社をM&Aで買収するメリットを確認します。

  • 優秀な人材の確保
  • 事業規模の拡大

優秀な人材の確保

人材派遣・紹介会社をM&Aで買収すると、その会社で働いている優秀で経験が豊富な人材をまとめて確保できるメリットがあります。人材派遣・紹介業界では、人手不足が深刻な問題です。したがって、優秀な人材を獲得するのは難しい状況といえるでしょう。

1人の優秀な人材を得ることも簡単ではありません。しかし、M&Aを活用すれば、まとめて多くの優秀な人材を確保できます。

事業規模の拡大

買収側が人材派遣・紹介事業を手掛ける場合は、人材派遣・紹介会社をM&Aで買収すると、事業規模拡大が図れます。人材派遣・紹介の事業規模が広がれば、さまざまなメリットを獲得できるでしょう。

新しい取引先を得たり、優秀な人材を得ることでサービスの質が上がったり、知名度が上がったりするなどのメリットです。これらのメリットを得れば、市場シェアが広がったり、売上高が増えたりすることにもつながります。

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3. 人材派遣・紹介会社のM&A・買収・売却相場

この章では、人材派遣・紹介会社のM&A・買収・売却相場を確認します。

大まかなM&A相場

大まかな人材派遣・紹介会社のM&A相場を前もって知れば、相場よりも低い値段で買収されるのを防げるでしょう。M&Aが最も適した選択肢かどうかを判断する場合も、相場を知っていると役立ちます。

人材派遣・紹介会社のM&Aで用いられることの多いスキーム(手法)は、株式譲渡と事業譲渡です。それぞれにおける、大まかなM&A相場の計算式を紹介します。

  • 株式譲渡の相場=時価純資産額+営業利益×2年~5年分
  • 事業譲渡の相場=時価事業純資産額+事業利益×2年~5年分

業種の特性や対象企業の特徴などの違いにより、営業利益・事業利益に掛け合わせる年数に幅が持たせてあります。一般的には、2年または3年で算出するケースが多いようです。

最終的な売買価格の算出方法

人材派遣・紹介会社の最終的な売買価格は、売却側と買収側の交渉で決まります。交渉では、資産や負債の状況、将来の収益性、業種などを基に企業価値評価を算定し、それを基準値とするのが常です。

企業価値評価には、多数の計算方法が確立されていますが、それらは以下の3種の体系に分類されます。

  • インカムアプローチ
  • コストアプローチ
  • マーケットアプローチ

インカムアプローチ

インカムアプローチは、事業計画書などを基に将来のキャッシュフロー=将来の収益力を割り出し、それを組み込んで企業価値を算定します。M&Aに適した算定方法ですが、事業計画書の作成者の主観や恣意(しい)性が入る可能性がある点がデメリットです。

具体的な算定法としては、DCF(Discounted Cash Flow)法、配当還元法、残余利益法などがあります。特にDCF法は、M&Aの現場でよく用いられる算定法です。

コストアプローチ

コストアプローチは、貸借対照表の純資産から企業価値を割り出します。客観性があり、計算方法も簡易な点が特徴です。ただし、将来性が加味されていないため、M&Aではあまり適しません。具体的な算定法としては、簿価純資産法、時価純資産法などがあります。

マーケットアプローチ

マーケットアプローチは、M&Aの対象会社と類似する上場企業の株価や過去のM&A事例などを参照して、対象会社の企業価値を算定します。高い客観性を備え、リアルな企業価値を割り出せるのが特徴です。

ただし、類似する上場企業やM&A事例がなければ、この算定法は使えません。具体的な算定法としては、市場株価法、類似会社比較法、類似取引比較法などがあります。

相場よりも高い価格で売却するコツ

人材派遣・紹介会社を相場よりも高い価格で売却するコツは、以下のとおりです。

  • 経営状況を確認し磨き上げておく
  • 専門分野に強いなら積極的にアピールする
  • 買い手が魅力に感じるリソースをそろえる
  • 派遣労働者の教育体制を整えておく
  • 社会保険の加入状況をチェックしておく
  • 多くの買い手候補と交渉する
  • 人材派遣・紹介業界の現状に詳しい専門家のサポートを受ける

経営状況を確認し磨き上げておく

M&Aを行う前に、経営状況を確認して磨き上げることは重要です。すぐに解決できる経営課題があれば、解決してから買い手を探すほうが良い条件でM&Aが行えます。このときのポイントは、自社の取引先や各売上比率をしっかりと調査することです。

取引先に関する情報や安定した受注があるかどうか、確認しましょう。それにより、買い手に自社の魅力をアピールしやすくなります。人材派遣・紹介会社は、派遣・紹介先となる取引先の数が非常に重視されるので、多いに越したことはありません。

営業費や販売管理費の改善ができれば、より一層、買い手からの需要は高まるでしょう。

専門分野に強いなら積極的にアピールする

人材派遣・紹介会社をM&Aで売却するなら、専門性の高さを積極的にアピールするのがよいです。たとえば、医療系の派遣やIT系の派遣といった専門分野における実績があれば、買い手探しの際にアピールしましょう。

近年、大手の人材派遣・紹介会社は、業界再編のために専門分野に強い会社の買収に積極的です。自社だけで事業の専門分野を高めるのは時間や費用がかかるので、M&Aで効率よく手に入れようと考えています。

レベルの高い派遣・紹介労働者が数多く登録されているだけでも、買い手には魅力的でしょう。自社における専門性の高い分野について、M&A前に確認するのが大切です。

買い手が魅力に感じるリソースをそろえる

人材派遣・紹介会社は、設備や施設がいらない産業です。人材派遣・紹介会社のリソースとは、優秀な従業員や登録者、エンジニア系であれば技術力の高さ、対応業界や特定地域でのブランド力(知名度)、有望な取引先などが該当します。

それらのリソースがそろっていればいるほど、買い手の需要を満たし高額での売却が可能となるでしょう。

派遣労働者の教育体制を整えておく

人材派遣会社の場合は、派遣労働者の教育体制を、より良いものに整えることも成功のためには有効です。教育体制が整っていなければ、取引先の満足度が低下しやすく安定した受注が見込めないでしょう。

M&Aの買い手は、将来の取引状況に不安がある人材派遣会社を買収するのは、できるだけ避けたいと考えます。教育体制をあまり考えていない場合は、派遣労働者の教育マニュアルを作って実施を徹底するなどの対策を行いましょう。

社会保険の加入状況をチェックしておく

人材派遣業界では、社会保険の加入状況も重要なポイントです。2カ月を超える雇用契約を結ぶなら、派遣労働者も通常の労働者と同じく社会保険に加入しなければなりません。M&Aを進める前に、あらためて社会保険の加入状況を確認しましょう。

社会保険に加入しなければならないのに未加入の派遣労働者がいれば、M&A成立後に買い手が労働者とトラブルになるかもしれません。そうなると、買い手から責任を追及されることもあります。

労働者派遣法も改正され、社会保険未加入の派遣労働者を派遣する場合は、派遣先に理由を伝えなければならなくなりました。そのような手間がかかる人材派遣会社を積極的に買収したがる買い手は少ないので、M&Aの前に対応しましょう。

多くの買い手候補と交渉する

買い手が思うM&Aの売買価額には、売り手に対する期待値も加味されています。期待値とは、貸借対照表には計上されない無形資産(ノウハウやブランド力など)の評価額や買い手側とのシナジー効果の度合いなどです。

この期待値の部分は、各社各様であるため、多くの買い手候補と交渉してみないと、どの買い手が一番高く評価してくれるかわかりません。すぐに買い手を決めつけずに、できるだけ多くの買い手候補と交渉してから、絞り込みをしましょう。

人材派遣・紹介業界の現状に詳しい専門家のサポートを受ける

M&A仲介会社選びも、M&Aを成功させるために非常に大切なポイントです。M&A仲介会社は、さまざまな手続きをサポートします。M&A失敗のリスクを減らし、安心してスムーズに手続きを進めていくためにも、人材派遣・紹介業界の現状に詳しいM&A仲介会社を選びましょう。

どのM&A仲介会社に相談すればよいのかお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にお任せください。M&A総合研究所では、人材派遣・紹介業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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  • 人材派遣会社のM&A・事業承継

4. 人材派遣・紹介会社をM&Aで売却する際の注意点

人材派遣・紹介会社をM&Aで売却する際は、注意点があります。これらを知らないために、トラブルが起こっては大変です。スムーズに売却するためにも、注意点を把握しておきましょう。

  1. 事業に必要な許可を引き継げない(事業譲渡)
  2. 競業避止義務を負う(事業譲渡)
  3. 派遣登録者の個人情報が流出するおそれ

①事業に必要な許可を引き継げない(事業譲渡)

人材派遣・紹介事業を売却する際に事業譲渡を用いる場合、買い手は労働者派遣事業や有料職業紹介事業の許可を引き継げません。買い手が許可を持っていなければ、新たに許可を得る必要があります。許可の取得には、時間と労力がかかるものです。

許可を取得している同業他社と事業譲渡を実施すれば、人材派遣・紹介会社の売却がスムーズに進むでしょう。なお、買い手が許可を持っていれば新しく許可を申請する必要はないのですが、法人の名称など変更にかかわる届出は必要です。

②競業避止義務を負う(事業譲渡)

会社法の規定により、事業譲渡を実施した会社は、競業避止義務を負わなければなりません。これは、買い手と同一区市町村および隣接区市町村で、事業譲渡した日から20年間、譲渡した事業と同一の事業を行えない義務です。

ただし、買収側との交渉で競業避止義務期間を短くしたり、エリアを狭めたりできます。将来、人材派遣・紹介事業を再度、手掛ける可能性があれば、買収側と交渉しましょう。

③派遣登録者の個人情報が流出するおそれ

人材派遣・紹介会社をM&Aで売却する際は、登録者の住所やマイナンバーなどの個人情報を開示するケースも少なくありません。その際、派遣・求職登録者の個人情報が外部に流出するおそれがあるため、十分な注意と対策を行いましょう。

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5. 人材派遣・紹介会社のM&A・買収・売却事例22選

人材派遣・紹介会社がM&Aを成功させるために役立つ事例を紹介します。これらの事例を確認して、自社がM&Aを行う際に役立ててください。

  1. リンクアンドモチベーションがiDAへリンクスタッフィングの人材派遣事業を譲渡した事例
  2. UTグループが富士通エフサス・クリエを子会社化した事例
  3. クラウドワークスがコデアルを子会社化した事例
  4. コプロ・ホールディングスがバリューアークコンサルティングを完全子会社化した事例
  5. アウトソーシングがISC就職支援センターを完全子会社化した事例
  6. 日総工産がベクトル伸和を完全子会社化した事例
  7. トライトがHAB&Co.を完全子会社化した事例
  8. プログレスグループがUTグループに株式を譲渡した事例
  9. More-Selectionsがパソナグループへ株式を譲渡した事例
  10. エヌティとNeoが廣済堂へ株式を譲渡した事例
  11. ビーズワンが日輪へ株式を譲渡した事例
  12. エス・エス産業がアウトソーシングへ株式を譲渡した事例
  13. DLXホールディングスがディア・ライフへ株式を譲渡した事例
  14. パートナーがウイルテックへ株式を譲渡した事例
  15. グロップがアミーゴへ事業を譲渡した事例
  16. サポート・システムがUTグループに株式を譲渡した事例
  17. クロノスがクイックに株式を譲渡した事例
  18. ライフ・コーポレーションが日輪に株式を譲渡した事例
  19. JapanWorkがエンジャパンに株式を譲渡した事例
  20. u&u Holdings Pty Ltdがウィルグループに株式を譲渡した事例
  21. ブレイブがマイナビに株式を譲渡した事例
  22. クリエアナブキがライクに事業を譲渡した事例

①リンクアンドモチベーションがiDAへリンクスタッフィングの人材派遣事業を譲渡した事例

リンクアンドモチベーションは2021年11月、リンクスタッフィングの人材派遣事業をiDAへ事業譲渡するのを決定し、吸収分割契約を締結しました。リンクアンドモチベーションは、モチベーションエンジニアリングの事業をメインとし、クラウドサービス提供や採用支援などを行っています。

リンクスタッフィングはリンクアンドモチベーションの子会社であり、営業・販売職に特化した国内人材紹介・派遣事業などを展開する企業です。iDAは、ファッション業界に特化したビジネスコンサルタント事業、人材紹介・派遣事業などを展開しています。

リンクアンドモチベーションは、子会社のリンクスタッフィングにおける国内人材紹介事業部門に集中するため、人材派遣事業のM&Aを行いました。今回のM&Aにより、グループ内の採用・育成してきた人材を、人材紹介事業へ再配置する方法で、収益体制の確立を目指します。

②UTグループが富士通エフサス・クリエを子会社化した事例

2021年10月、UTグループが富士通エフサス・クリエの株式51%を取得し子会社化しました。取得価額は1億9,000万円です。UTグループは持株会社ですが、グループとして製造業向けの技術者派遣やアウトソーシング(業務請負サービス)事業などを行っています。

富士通エフサス・クリエは、富士通グループである富士通エフサスの完全子会社で、ICT(情報通信技術)関連の人材派遣・紹介、システムの運用サービス、ヘルプデスク請負などの事業を行っている企業です。UTグループと富士通グループは、これまでも協業を行ってきました。

UTグループとしては、富士通エフサス・クリエの子会社化で富士通グループとの関係をより強固なものとし、業績拡大につなげたい考えです。なお、富士通エフサス・クリエは、社名をUTエフサス・クリエに変更しました。

③クラウドワークスがコデアルを子会社化した事例

2021年9月、クラウドワークスは、コデアルの全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。クラウドワークスは、同名の総合型クラウドソーシングサイトを運営している企業です。

オンライン上で、在宅ワーカーと仕事発注者のマッチング・業務の遂行・報酬の支払いまでを一括で行うサービスを提供しています。コデアルは、エンジニアを中心とした、業務委託の即戦力IT人材とつながれるダイレクトマッチングサービスを提供している企業です。

本件M&Aにより、クラウドワークスでは、コデアルの有するエンジニア人材・顧客基盤を獲得し、新たに月額課金型サービスモデルを拡大することで、マッチング事業の中長期的な収益性の確保・成長力の強化を図っています。

④コプロ・ホールディングスがバリューアークコンサルティングを完全子会社化した事例

2021年9月、コプロ・ホールディングスがバリューアークコンサルティングの全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。コプロ・ホールディングスは、建設関連エンジニアの人材派遣・紹介事業を行っているグループの持株会社です。

バリューアークコンサルティングは、システムエンジニア派遣事業とITエンジニア紹介事業を行っています。コプロ・ホールディングスとしては、バリューアークコンサルティングの高品質な人材派遣・紹介サービスに着目しました。

バリューアークコンサルティングのグループ入りで、グループ全体の事業成長と収益安定化が実現すると判断した模様です。

⑤アウトソーシングがISC就職支援センターを完全子会社化した事例

2021年9月、アウトソーシングがISC就職支援センターの全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。アウトソーシングは、国内技術系・製造系・サービス系アウトソーシング事業、海外技術系・製造系・サービス系事業を行っています。

ISC就職支援センターは、茨城県で人材派遣事業、コールセンター事業、アウトソーシング事業を行っている企業です。アウトソーシングとしては、茨城県における事業強化と、グループ内での人材流動化によるシナジー効果を見込んでいます。

⑥日総工産がベクトル伸和を完全子会社化した事例

2021年8月、日総工産がベクトル伸和の全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。日総工産は、製造系の人材派遣・請負事業を中心に、事務系人材派遣・請負事業、請負コンサルティング、労務管理支援、教育研修などを行っています。

ベクトル伸和は、製造系の請負・人材派遣を行っていますが、海外人材の紹介・派遣も行っていることと自社工場を所有していることが特徴の企業です。日総工産としては、ベクトル伸和の子会社化で、事業基盤強化と事業拡大が実現できるともくろんでいます。

⑦トライトがHAB&Co.を完全子会社化した事例

2021年7月、トライトがHAB&Co.の全株式を取得し完全子会社化したことを発表しました。取得価額は公表されていません。トライトは、介護・福祉・医療業界などを中心に人材派遣・紹介事業を行っているグループ企業です。

大分県のHAB&Co.は、HRテックサービスの提供、人材紹介、コワーキングスペース運営などを行っています。トライトとしては、HAB&Co.の子会社化で、新たなデジタルソリューションを提供し、社会課題解決に向けた体制が構築できる考えです。

⑧プログレスグループがUTグループに株式を譲渡した事例

2021年5月、製造業向けの人材派遣事業を手掛けるプログレスを子会社に持つプログレスグループが、製造や建設分野などの企業に人材派遣や製造業の業務請負などを行うUTグループに、全株式を譲渡しました。

これにより、買収側のUTグループは、製造業の人材派遣事業市場でシェアを広げることを狙っています。取得価額は、30億9,500万円でした。

⑨More-Selectionsがパソナグループへ株式を譲渡した事例

2021年4月、企業法務に重点を置いた人材派遣や就職支援などの運営・研修などを実施するMore-Selectionsが、人材関連サービス事業を手掛けるパソナグループに株式を譲渡して子会社となりました。

パソナグループは、企業のコンプライアンス順守が求められる時世であることから、法務部門への人材派遣需要が高まると判断し、本件M&Aを行っています。

⑩エヌティとNeoが廣済堂へ株式を譲渡した事例

2021年4月、人材派遣事業を手掛けるエヌティとNeoが、情報ソリューション事業や人材サービス事業などを行う廣済堂へ全株式を譲渡して完全子会社となりました。エヌティの取得価額は3億6,900万円、Neoの取得価額は5,000万円です。

廣済堂はこれにより、同分野でのシェアやサービス内容を広げることを狙っています。

⑪ビーズワンが日輪へ株式を譲渡した事例

2021年3月、システム構築やCADなどを用いた図面作成などの事業を手掛けるビーズワンが、人材派遣や紹介予定派遣などの人材サービス事業を行う日輪に、株式譲渡を行いました。

これにより、日輪は、DXの進展で需要の高いIT分野での対応力を強めます。ビーズワンは、後継者不在を解消し、営業力を強めるために売却を実施しました。

⑫エス・エス産業がアウトソーシングへ株式を譲渡した事例

2021年2月、労働者派遣事業や有料職業紹介事業などを手掛けるエス・エス産業が、国内ではサービス系アウトソーシング事業などを行い、海外では技術系やサービス系事業などを手掛けるアウトソーシングへ全株式を譲渡しました。

エス・エス産業は愛知県や鹿児島に事業所があります。アウトソーシングは、業界内でのシェアを拡大し、愛知県や鹿児島県で新規顧客を獲得し業容を広げることが狙いです。

⑬DLXホールディングスがディア・ライフへ株式を譲渡した事例

2021年1月、DLXホールディングスは、不動産事業や人材サービス事業などを手掛けるディア・ライフへ株式51.22%を譲渡しました。DLXホールディングスの子会社N-STAFFは、コールセンターによる保険契約の取次業務人員派遣事業などを手掛けています。

ディア・ライフは、コールセンターの保険取次人員派遣事業へ進出するのを狙っていました。DLXホールディングスは不動産部門の派遣事業進出を見込んでいたので、両社ともにリソースを生かして業績を広げる目的が一致したのです。

⑭パートナーがウイルテックへ株式を譲渡した事例

2020年12月、IT技術者の人材派遣を手掛けるパートナーが、主にメーカーなどに技術者の人材派遣サービスを提供しているウイルテックへ株式譲渡を行いました。パートナーは、IT技術者派遣事業を、新設分割のスキーム(手法)で分社化します。

その分社化した会社の全株式を、ウイルテックが買収しました。ウイルテックは、システム開発へのニーズに対応するために、高度な技能・経験のあるシステムエンジニアを持つパートナーを子会社化しています。

⑮グロップがアミーゴへ事業を譲渡した事例

2020年11月、人材派遣やラインソーシングなどの事業を手掛けるグロップが、アレンザホールディングスの連結子会社でペット事業を行うアミーゴへ、岡山市内のペットショップ1店舗を譲渡しました。

アミーゴは、日本一のペットショップを目指すために犬猫愛護の取り組みを強めており、グロップのペットショップが持つ里親探しのノウハウを獲得するために事業を買収しています。

グロップは、これにより、ペットショップ事業に向けていた経営資源を、本業の人材派遣事業や他の事業に投入する方針です。

⑯サポート・システムがUTグループに株式を譲渡した事例

2020年1月、UTグループは、サポート・システムの自己株式を除いた全株式を取得し子会社化しました。UTグループは、技術者派遣事業などの人材サービスをとおして、スキルアップやキャリア形成の機会を提供しています。

国内大手製造業をはじめとした多くの顧客基盤を有し、高条件で就業可能な企業を確保している企業グループです。サポート・システムは、主に関西地区を基盤として製造業などの人材派遣事業を行っています。

ISO9001(品質保証)やISO22000(食品安全)も取得し、食品加工業界からの厚い信頼を得ている企業です。UTグループとしては、自社グループの採用と人材育成の基盤を生かし、顧客に質の高いサービスの提供を図るとともに企業価値の向上を目指します。

⑰クロノスがクイックに株式を譲渡した事例

2019(令和元)年10月、システム開発事業と教育事業を主に手掛けるクロノスが、人材紹介が中心の人材サービス事業やリクルーティング事業などを行うクイックに全株式を譲渡して完全子会社となりました。

クロノスは、AI関連のシステム開発や導入支援を前向きに行っており、AI分野におけるエンジニアの育成研修にも力を注いでいる企業です。クイックとしては、自社の人材サービスのノウハウとクロノスのIT・AI分野のテクノロジーを生かし、顧客企業の人手不足を解消し、IT化の推進を狙います。

⑱ライフ・コーポレーションが日輪に株式を譲渡した事例

2019年7月、施設常駐警備事業を手掛けるライフ・コーポレーションが、人材派遣や紹介予定派遣などの人材サービス事業を行う日輪に、株式譲渡を行いました。

ライフ・コーポレーションの経営者は高齢で、後継者不在などの理由で事業の運営を不安に感じていましたが、この売却により事業承継を実現したものです。人材がなかなか集まらない警備業界ですが、安定した人材も確保できます。日輪としては、高齢な人材の新しい働き先として警備事業を得ました

⑲JapanWorkがエンジャパンに株式を譲渡した事例

2019年7月、エンジャパンは、JapanWorkの発行済株式51%を取得し子会社化しました。2022年までに株式交換の手法によって、残りの株式を取得する見込みです。

JapanWorkは、外国人向け求人一括サイトの「JapanWork」を運営し、外国人向けにAIによる仕事の情報提供や、チャットを利用して相談できる「チャットコンシェルジュサービス」を提供しています。

エンジャパンは、求職サービスサイトの運営や人材紹介事業を行っている企業です。エンジャパンとしては、外国人労働者事業を通じたさらなる企業価値の向上を目指します。

⑳u&u Holdings Pty Ltdがウィルグループに株式を譲渡した事例

2019(平成31)年4月、人材派遣会社大手のウィルグループは、シンガポールの連結子会社であるWILL GROUP Asia Pacific Pte.Ltd.により、オーストラリアのu&u Holdings Pty Ltdの株式60%を取得しました。

同時に、u&u Holdings Pty Ltdの連結子会社u&u NSW Pty Ltdの株式も19%取得しています。株式を取得した価格はu&u Holdings Pty Ltdの株式が約16億円、u&u NSW Pty Ltdの株式は約9,000万円です。

ウィルグループがu&u Holdings Pty Ltdを子会社化した目的は、海外事業の強化にあります。特に、オセアニア地域の人材派遣事業を強めるためでした。u&u Holdings Pty Ltdは大手企業や政府機関にも人材派遣をしており、その目的に合致したのです。

㉑ブレイブがマイナビに株式を譲渡した事例

2019年2月、ブレイブがマイナビに株式を譲渡しました。ブレイブは、介護士や看護師、保育士の人材派遣業を全国に展開している企業で、介護・医療・保育業界における人手不足解決に向けて2011(平成23)年に設立されています。

マイナビとしては、ブレイブをグループに加えることで、成長を続ける介護派遣市場において、採用力の強化および拠点拡大などによる業績向上を目指す方針です。

㉒クリエアナブキがライクに事業を譲渡した事例

2018(平成30)年1月、ライクはクリエアナブキにおける一部の人材派遣事業を譲り受けました。事業譲渡価額は1,500万円です。ライクは、人材派遣会社として、主に携帯電話やスマートフォン販売への派遣事業を行ってきました。

クリエアナブキは、人材派遣会社として四国エリアを中心に事業を行っています。今回、事業譲渡されたのは、クリエアナブキ大阪支店に関する人材派遣事業です。ライクとしては、近畿エリアでさらに事業を拡大し、派遣労働者と派遣先会社のマッチング能力のさらなる強化を目指します。

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6. 人材派遣・紹介会社をM&Aで売却する際の流れ

人材派遣・紹介会社がM&Aで株式譲渡を行う際の流れは、以下のとおりです。

  1. 人材派遣・紹介業界に強いM&A仲介会社を選定する
  2. 買い手を探す
  3. 買い手と条件について話し合う
  4. 基本合意書を結ぶ
  5. 買い手からデューデリジェンスを受ける
  6. 取締役会で株式譲渡の承認を受ける
  7. 株式譲渡契約を結んで株主名義を書き換える

事業の一部のみを売却する事業譲渡はやや手続きが異なりますが、業界内でもよく使われる株式譲渡の流れを見ておきましょう。事業譲渡の場合も、最初の手続きであるM&A仲介会社に相談するところから始まるので、専門家のサポートを受けながら実施すれば問題ありません。

①人材派遣・紹介業界に強いM&A仲介会社を選定する

まずは、人材派遣・紹介業界に強いM&A仲介会社を選定します。M&Aを自力で全て行うのは非常に困難です。M&A仲介会社に依頼すれば、買い手探しや条件交渉、契約書の作成といった多くのことを委託できるでしょう。

中小規模の人材派遣・紹介会社は、社内にM&A経験者がいないことも珍しくありません。そのような場合も、M&A仲介会社のサポートがあれば、問題なくM&Aを成約まで進められます。

M&A仲介会社を選ぶポイントは、人材派遣・紹介業界に関する知識や経験が豊富かどうかと、報酬体系が明確かどうかです。M&A仲介会社によっては、人材派遣・紹介業界におけるM&Aの経験がない場合もあるので、事前に過去の実績を確認しましょう。

人材派遣・紹介業界のM&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。人材派遣・紹介業界におけるM&Aの経験が豊富なM&Aアドバイザーが、相談時からクロージングまで案件をフルサポートします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。随時、無料相談をお受けしていますので、お気軽にお問い合わせください。

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②買い手を探す

M&A仲介会社を選定したら、買い手探しの手続きに移ります。買い手候補が複数出てくることも多いので、どの買い手を選ぶのか慎重に検討しなければなりません。買い手をうまく選ぶためには、自社にとってどのような条件の買い手ならM&A後も事業が発展するか考えましょう。

人材派遣・紹介業界のM&Aは、同業他社が買い手候補となる事例がよくあります。同業他社が買い手候補の場合は、事業内容や事業規模、事業エリア、強み・弱みを冷静に分析し、自社の成長に役立つかを考えてください。

異業種の買い手候補なら、人材派遣・紹介業界と組み合わせて収益性が高まるか考えましょう。M&Aが成約したからといって、必ずしも自社の関係者が喜ぶ結末を迎えられるとは限りません。M&A仲介会社の意見も聞きながら、自社に最も良い買い手を選びましょう。

③買い手と条件について話し合う

自社と合いそうな買い手が見つかったら秘密保持契約を締結し、M&Aの具体的な条件を決める交渉に入ります。売却価額や成約日のめど、従業員の今後の処遇など、さまざまな観点から条件を決めなければなりません。

買い手も売り手も自社のことを考えて条件を決めようとするあまり、折り合いがつかず破談になることもあります。できるだけ冷静に話し合いを進めていくために、M&A仲介会社に交渉を任せることがおすすめです。

単に高く売ろうと考えるのではなく、M&A仲介会社の客観的なアドバイスを参考にしながら、従業員や取引先などの関係者も笑顔になれる条件を決めるよう心がけましょう。

④基本合意書を結ぶ

条件を決定後、基本合意書を締結します。基本合意書は、M&Aを行う際の条件について、現段階で合意した内容を明確にした確認書です。つまり、基本合意書に法的拘束力はないため、その後の交渉でM&Aが不成立となるケースも少なくありません。

ただし、基本合意書により、話し合った条件を書面に残して明確にすると、買い手も売り手もM&Aに対して積極的な気持ちになります。条件の勘違いやお互いのすれ違いを防ぐために、基本合意書は結ばれるものです。なお、例外的に以下の事項には法的拘束力を持たせます。

  • 独占交渉権
  • 売り手のデューデリジェンスへの協力義務
  • 秘密保持

⑤買い手からデューデリジェンスを受ける

基本合意書の締結後は、買い手がデューデリジェンスを行います。デューデリジェンスとは、売り手企業を精密に調査することです。M&A成立後に買い手側が予想外のリスクを抱えないよう、事前にリスクを洗い出します。

最終交渉で売買価額を決めるための企業価値評価に必要な情報も精査されるので、売り手側は建設的にデューデリジェンスに協力するのが肝要です。

⑥取締役会で株式譲渡の承認を受ける

株式譲渡契約を締結する前に、当事者(株主=オーナー経営者)は、取締役会で株式を譲渡する承認を得る必要があります。承認を受けたら、株式譲渡の最終契約に向けて最後の話し合いを買い手と行いましょう。最終交渉で全ての条件が正式に決まります。

⑦株式譲渡契約を結んで株主名義を書き換える

最後に、株式譲渡契約の締結です。契約書には交渉で決まった条件以外にも、多数の条項があります。疑問点はM&A仲介会社に相談し、明確にしましょう。締結後、クロージング(契約内容の履行)に移ります。

それぞれが行うのは、売り手が株式の引き渡し、買い手が対価の支払い、売り手の会社側は株主名簿の書き換え、登記変更手続きなどです。

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7. 人材派遣・紹介会社のM&A・買収・売却はご相談ください!

人材派遣・紹介会社のM&Aを成功させるには、法的な知識や業界事情を知っておく必要があります。人材派遣・紹介会社のM&Aを検討している経営者の方は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所は、中堅・中小企業向けの案件を取り扱う仲介会社です。

案件ごとにM&Aアドバイザーがつき、ご相談からクロージングまで案件をフルサポートいたします。料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

随時、無料相談をお受けしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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8. 人材派遣・紹介会社のM&A・買収・売却まとめ

人材派遣・紹介会社は業界再編が多く、M&Aも盛んです。経営を安定させるためのM&Aや、事業承継目的のM&Aが頻繁に行われています。後継者がいないために廃業を考えている場合は、M&Aによる事業承継によって解決可能です。専門家に相談し、よい解決方法を見つけましょう。

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