住宅設備機器業界のM&A動向!売却・買収事例5選とメリットを解説!【2024年最新】

執⾏役員 兼 企業情報部 本部⻑ 兼 企業情報第一本部 本部長
辻 亮人

大手M&A仲介会社にて、事業承継や戦略的な成長を目指すM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、経営者が抱える業界特有のお悩みに寄り添いながら、設備工事業や建設コンサルタント、製造業、医療法人など幅広い業種を担当。

住宅設備機器業界では、経営者の高齢化と後継者不足が深刻化で、M&Aによる会社売却を考える経営者が増加しています。この記事では、住宅設備機器会社をM&Aするメリットや、実際にM&Aが実施された事例などを解説します。

目次

  1. 住宅設備機器業界の概要と動向
  2. 住宅設備機器業界のM&A動向
  3. 住宅設備機器事業のM&Aにおけるメリット
  4. 住宅設備機器業界のM&Aにおける売却・買収事例5選
  5. 住宅設備機器事業のM&Aにおける成功のポイント
  6. 住宅設備機器業界のM&A・事業売却まとめ
  7. 空調設備工事業界の成約事例一覧
  8. 空調設備工事業界のM&A案件一覧
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1. 住宅設備機器業界の概要と動向

住宅業界や建設業界の近年の売り上げは増加傾向にあります。しかし、住宅業界や建設業界と密接な関わりがある住宅設備機器業界では、住宅業界と同じような増加傾向はみられません。

住宅設備機器業界では、厳しい価格競争が行われている上に、ここ数年の原材料費の高騰を販売価格に転嫁しにくいという背景があるようです。さらに、人材不足や経営者の高齢化、後継者不足などを理由に会社を売却するM&Aを検討する企業が増えています。

この記事では、住宅設備機器業界の近年の動向と、M&Aについて詳しくみていきましょう。

住宅設備機器業界とは

住宅設備機器とは、住宅で使用される設備のことです。どのようなものが住宅設備機器に当たるのかというと、キッチン、バス、トイレ、給湯器、エアコン、照明器具、窓、ドアなど、住宅で必要になる設備の多くが、住宅設備機器として分類できます。

住宅設備機器会社とは、これらの住宅設備機器を製造、販売、施工する会社のことです。キッチンやトレイなどを製造するメーカー、メーカーから仕入れて一般販売する会社へ販売する卸、卸から仕入れて一般消費者へ販売する業者の3種類あります。

住宅設備機器を一般消費者へ販売する会社では、住宅設備の展示、顧客への提案、販売と施工、アフターフォローを担当することが一般的です。

住宅設備機器業界の市場規模と動向

業界動向サーチの分析によると、2022年から2023年の住宅設備機器業界の市場規模は9.4兆円でした。住宅設備機器業界では、2017年から2019年までほぼ横ばいの市場規模で推移していましたが、2020年の新型コロナ禍により減少しています。

しかし、2021年以降の経済の回復による建設需要の増加により、2021年から2022年にかけて売上が若干増加傾向にあり、2022年には新型コロナ禍前の2019年の水準に戻っています。

しかし、住宅設備機器業界では、1990年代前半には30兆円を超える市場規模があり、現在はピーク時の3分の1以下の規模まで縮小しているのが現実です。

今後は、少子化での人口減少による市場縮小が確実であることから、経営が厳しくなる住宅設備機器会社が増加するものと考えられます。

参考:業界動向サーチ「住宅設備業界の動向や現状、今後の展望など

【関連】住宅建設業界のM&Aの動向は?今後の展望やメリットから目的まで解説!

2. 住宅設備機器業界のM&A動向

住宅設備機器業界のM&Aでは、地方に点在する卸や一般販売会社でのM&Aが増加傾向にあります。

住宅設備機器の販売と施工は、地域の顧客基盤が重要なことから、地域密着型の工務店や建設会社が担っていることが多く、全国規模での大手企業による独占が進んでいません。

しかし、各地域に中小零細企業の住宅設備機器を扱う会社が点在していることから、縮小する市場の中で需要を奪い合う、厳しい競争が生まれています。

過当競争に打ち勝つためには、規模の追求が必要となることから、住宅設備機器業界では地域や取り扱い商材が同じ同業他社によるM&Aの実施が増加しています。

また、住宅設備機器業界でのM&Aの増加の背景には次の2点も重要なポイントとしてあります。

新設住宅は減少傾向

新築住宅着工件数は、2006年には128万5,000戸でしたが、翌2007年には103万6,000戸と、約25万戸以上も減少し、2009年以降から現在まで100万個に届く年はありません。

近年では2016年の97万4,000戸がピークで、その後は減少傾向が続いており、今後も人口の減少により新築住宅の需要も減少傾向が続くでしょう。

新築住宅の着工件数が減少すれば、住宅設備機器の需要も減少するので、今まで住宅建設に頼ってきた中小零細の住宅設備機器会社は厳しい経営状態から、M&Aによる売却を検討せざるを得ない状況に追い込まれているところが多いようです。

参考:一般社団法人日本建設業連合会「建設業デジタルハンドブック 建設市場の現場 建築需要の動向

リフォーム市場は需要拡大傾向

一方、新築住宅の市場縮小の影響を受けずに、他社を買収して成長している住宅設備機器会社もあります。そのような会社は、リフォーム市場にうまく対応していることが要因です。

人口減少が進む中で、住宅の新築需要は減少傾向にありますが、リフォーム需要は増加しています。

矢野経済研究所の分析によると、住宅リフォームの市場規模は2016年には6.2兆円だったのが、2022年には7.3兆円と増加傾向にあり、2030年頃まで緩やかな成長が期待できます。

住宅設備機器はリフォームのときに入れ替える事が多いので、住宅設備機器業界でもリフォーム需要にうまく乗れた企業の成長が今後も期待できるでしょう。

参考:矢野経済研究所「住宅リフォーム市場に関する調査を実施(2023年)

【関連】大工工事業界のM&A動向!売却のメリットと成功のポイントを解説!【2024年最新】

3. 住宅設備機器事業のM&Aにおけるメリット

住宅設備機器会社でM&Aを実施することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。売却側と買収側のそれぞれのメリットを解説します。

売却側が得られるメリット

住宅設備機器会社を売却する側のメリットは次のような点が挙げられます。
 

  • 後継者問題の解決
  • 従業員の雇用確保
  • 大手企業傘下に入ることによる経営の安定化
  • 売却益の確保
  • 経営者の個人保証の解消

現在、住宅設備機器業界に限らず、日本の多くの会社で会社の経営を引き継ぐ人がいない後継者問題が深刻化しています。M&Aによる他社への会社売却は、後継者問題を解決するための手段として注目されています。

後継者問題などで会社を廃業することになると、従業員は全員解雇しなければいけません。M&Aでの会社売却なら、従業員の雇用を維持することが可能です。

M&Aには、大手企業の傘下に入る形のものもあります。大手建設会社などの傘下に入ることにより、大手企業のITなどのリソースや顧客や調達先のネットワークを活用できるようになり、経営の安定化につなげることが可能です。

M&Aで会社を売却すれば、経営者にはまとまった売却益が入ってきて、しかも負債も売却先に引き継いでもらえるので、個人保証の負担から解放されるというメリットもあります。

買収側が得られるメリット

住宅設備機器会社を買収する側のメリットとしては次のような点が挙げられます。
 

  • 低コストでの営業拠点と顧客の開拓が可能
  • 取り扱う商材の幅を広げることができる
  • スケールメリットを得られる


住宅設備機器会社のM&Aでは、同業他社によるM&Aが多くみられます。営業拠点や顧客を新規開拓するのは時間がかかりますが、すでに顧客のいる他社を買収することで、低コストでの新規エリア開拓が可能です。

また、自社では扱ってない商材を扱っている会社を買収すれば、自社で扱える商材の幅が広がり、顧客の数が増えれば、仕入れなどでのスケールメリットを得ることもできるでしょう。

【関連】建材・住宅設備機器の卸・問屋のM&A・売却・買収の動向は?相場や手法も解説!
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4. 住宅設備機器業界のM&Aにおける売却・買収事例5選

住宅設備機器業界で実際に実施されたM&Aによる企業の売却や買収の事例を紹介します。

レカムが太陽光発電システムなどの販売事業をM&Aした事例

2021年9月29日に、レカム株式会社から、同社の連結子会社である株式会社産電が持つ太陽光発電システム等の住宅設備機器販売事業の、株式会社NEXTAGE GROUPへの事業譲渡と、この事業の施工工事を実施する株式会社産電テクノの全株式の、NEXTAGE GROUPの子会社であるMED Communications株式会社への譲渡を発表しました。

レカムは東京都渋谷区に本社のある情報通信機器やエコ商材などを扱う専門商社です。このM&Aで譲渡する太陽光発電システム事業は2018年に取得したもので、主にASEAN地域などで販売していました。

しかし、新型コロナ禍により提案営業が思うようにできなくなり、不採算事業となってしまったことから、住宅全般を事業領域としているNEXTAGE GROUPへの譲渡が適切だと判断したとのことです。

参考:連結子会社の異動(株式譲渡及び事業譲渡)に関する譲渡契約書締結のお知らせ

橋本総業ホールディングスが住宅設備機器販売を手がけるムラバヤシをM&Aした事例

平成30(2018)年7月30日に、橋本総業ホールディングス株式会社が、株式会社ムラバヤシの全株式を取得する事を発表しました。

橋本総業ホールディングスは、東京都中央区に本社のある、住宅設備機器や管工機材の提供などを行っている会社です。ムラバヤシは、青森県を中心とした北東北地区で住宅設備機器や管工機材の提供などをしています。

橋本総業ホールディングスとしては、このM&Aにより北東北地区での営業拠点を手に入れて、同地区における事業展開を一層進めることが可能になるとしています。

参考:株式取得に関する株式譲渡契約締結のお知らせ

OCHIホールディングスが住宅設備機器販売を手がける丸滝をM&Aした事例

平成29(2017)年12月20日に、OCHIホールディングス株式会社が、株式会社丸滝の全株式を取得して同社をグループ会社にすると発表しました。

OCHIホールディングスは、福岡県福岡市に本社のある住宅建材商社です。丸滝は、長野県駒ヶ根市の住宅設備機器や建材の販売、建築工事の請負を行う会社で、特に内装工事として建築分野で地元から高い信頼を得ています。

OCHIホールディングスとしては、丸滝のグループ会社化により、甲信越地域での事業展開が可能になるとともに、丸滝との人材交流による技術やノウハウの蓄積により、持続的な成長を目指すとしています。

参考:株式会社丸滝の株式取得に関するお知らせ

橋本総業ホールディングスが住宅設備機器卸売の永昌洋行をM&Aした事例

平成29(2017)年12月26日に、橋本総業ホールディングス株式会社が、株式会社永昌洋行の全株式を取得して子会社化することを発表しました。

永昌洋行は、福岡県福岡市に本社があり、衛生陶器や住宅設備機器等の販売を行っています。このM&Aにより、橋本総業ホールディングスとしては、九州地区における事業展開をさらに推し進めることができるとしています。

参考:株式取得に関する株式譲渡契約締結のお知らせ

フォーバルが住宅設備機器卸売業のアップルツリーをM&Aした事例

平成25(2013)年12月10日に、株式会社フォーバルが、株式会社アップルツリーの全株式を取得して子会社化することを発表しました。

フォーバルは、東京都渋谷区に本社のある、主に中小企業向けの各種電気工事、施行、保守、工事等に関するコンサルティング業務などで企業を支援する事業を行っている会社です。

アップルツリーは、東京都品川区に本社があり、太陽光発電システムやオール電化システムなどの住宅設備工事の請負などを行っています。

このM&Aにより、フォーバルの営業力や施行保守を活用しての、アップルツリーの売上増加やコンサルティングサービスの展開が期待できるとのことです。

参考:株式会社アップルツリーの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

【関連】M&A成約インタビュー | M&A総合研究所

5. 住宅設備機器事業のM&Aにおける成功のポイント

M&Aでの会社売却を希望しても、成功率は4割程度しかないともいわれています。会社売却を希望しても、6割程度は廃業するしかない状況に追い込まれてしまうのです。

住宅設備機器事業のM&Aを成功させるためにはどのようなポイントに注意したらいいのでしょうか。M&Aを成功させるためのポイントについて解説します。

M&Aの専門家に相談する

住宅設備機器会社や事業のM&Aを検討し始めたら、まずはM&Aの専門家に相談しましょう。M&Aを行うためには、会社の状況や条件に合った最適な相手とのマッチングや、法律や財務についての高度に専門的な知識が必要な手続きを行う必要があります。

M&A情報サイトなどで自分で相手探しや手続きを進めようとしても、必ずどこかでつまづいてしまうので、M&Aの専門家にサポートしてもらいながら進めたほうがいいでしょう

M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください

M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

【関連】M&A・事業承継ならM&A総合研究所

M&Aの目的を明確にする

住宅設備機器会社のM&Aを行う場合には、最初にM&Aの目的を明確にしましょう。

売却側は、会社売却の目的によって選択するべきM&Aの手法が異なります。引退など、経営者が完全に経営から身を引きたい場合には、会社のすべてを丸ごと譲渡できる株式譲渡が、不採算事業の整理など、複数ある事業の一部を譲渡したい場合には事業譲渡が一般的です。

M&Aの手法が異なると、売却後の会社のあり方や税額が大きく異なるので、目的に合った手法を選ぶことが重要です。

買収側は、自社をより発展させるため、シナジー効果を発揮できる会社や事業を選ぶことが重要です。どのような会社や事業を買収することが、自社の利益になるのか、M&Aの目的を明確化してから、買収先を選びましょう。

取引先や顧客量をアピールする

住宅設備機器会社をM&Aで買収する側の大きな目的が、スケールメリットの拡大です。買収する会社の顧客や取引先を自社グループ内に取り込み、事業規模を拡大させていくことが、買収側の大きな目的となります。

売却側としては、買収側のスケールメリットの追求という目的をよく理解した上で、顧客の数や取引量をアピールポイントにできるように、事前によく整理しておきましょう。

資材の在庫量をアピールする

買収側にとってのM&Aでの同業他社の買収のメリットは、営業拠点を新設した場合に比べると、早期にそのエリアやその商材で事業を開始できるという点です。

住宅設備機器会社も、買収後にすぐに自社グループでの事業として販売や施工ができる態勢が整っている会社を買収したいと考えるでしょう。

住宅設備機器会社にとっては、システムキッチンやトイレ、給湯器などの資材の在庫が命綱となります。常に需要を先読みして、十分な在庫を確保しておき、在庫の量をアピールポイントにできるようにしておきましょう。

営業エリアでの信頼やネットワークをアピールする

住宅設備機器会社は直接消費者へ販売するのではなく、住宅の新築やリフォームを請け負う工務店や建築会社からの依頼がほとんどです。

営業エリアが特定の地域に限ることが多い住宅設備機器会社にとって、営業エリアでの地域からの信頼や、工務店などとの強力なネットワークは、M&Aでの売却後の営業力を大きく左右します。

売却側は買収側に対して、その地域での信頼性の高さをしっかりとアピールできるようにしておきましょう。

【関連】M&A成約インタビュー | M&A総合研究所

6. 住宅設備機器業界のM&A・事業売却まとめ

競争激化や後継者問題などで住宅設備業界では会社の将来に不安を感じている経営者が増えているようです。しかし、廃業してしまったら、従業員の生活を守ることができず、高い信頼を寄せてくれる顧客や取引先を失望させることにもなるでしょう。

M&Aなら、後継者問題などの問題が深刻でも会社を存続させられる可能性があります。まずは、M&Aの専門家に会社売却の可能性について相談してみることがおすすめです。

7. 空調設備工事業界の成約事例一覧

8. 空調設備工事業界のM&A案件一覧

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