2023年10月22日更新
医薬品卸業界のM&Aの動向は?売却・買収の事例や相場から成功ポイントを解説!
本記事では、医薬品卸業界のこれまでのM&A動向について、事例を踏まえながら売却(譲渡)・買収の実態を分析し、内容を確認します。医薬品卸業界はM&Aが盛んに実施されており、過去に数多くの売却・買収が行われ業界再編が進行してきました。M&Aを検討中の方は必見です。
目次
1. 医薬品卸とは
医薬品卸会社のM&Aを考察するにあたって、まずは医薬品卸業界の定義や動向を確認します。
医薬品卸業界の定義
医薬品卸業界とは、メーカー(製薬会社)から医薬品を仕入れて、ドラッグストア・調剤薬局・病院などに卸す業務を生業とする業界です。
医薬品は、「医療用薬品」と呼ばれる病院や薬局で取り扱う医薬品と、「一般用医薬品」と呼ばれるドラッグストアなどで店舗販売される一般的な医薬品に区分されます。
医薬品卸業界の現状
医薬品卸業界の特徴としては、以下の3点があります。
- 仕入れから販売まで厳しい法規制がある事業
- 上位4社のシェアが90%を占める
- 売上げが横ばい~減少を続ける業界
仕入れから販売まで厳しい法規制がある事業
医薬品は、規則によりさまざまな制約や厳守すべき事柄などが存在します。仕入れから販売まで厳しい法規制にさらされているのが実情です。
上位4社のシェアが90%を占める
メディパルホールディングス・アルフレッサホールディングス・スズケン・東邦ホールディングスの4社が、国内シェアのほとんどに近い、90%を占めている状態です。
売上げが横ばい~減少を続ける業界
医薬品卸企業間の価格競争の激化により、横ばいまたは売上が年々減少している業界です。しかし、将来にわたり社会的使命を失わない業界でもあります。
製薬会社・医薬品製造業界の買収・M&A動向については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
医薬品卸業界の大手4社
医薬品卸業界の大手企業といえば、以下の4社です。
- メディパルHD
- アルフレッサHD
- スズケン
- 東邦HD
以下では、それぞれの企業の概要を説明します。
メディパルHD
メディパルホールディングスは、子会社27社と関連会社18社で構成された企業で、医薬品・化粧品・日用品・動物用医薬品などの販売やサービスを提供しています。全国各地に拠点を置いて、地域密着型の事業展開を行っている企業です。売上高は業界第1位を誇ります。
2005年に、医薬品卸に強いメディセオと日用雑貨卸に強いパルタックが経営統合して誕生しました。
メディパルホールディングスは、5,000社を超えるメーカーから仕入れた医薬品などを、病院・診療所・調剤薬局はもちろん、コンビニエンスストアやスーパーマーケット・動物病院・畜産農場などを含めた24万件もの取引先に展開する企業です。
特に「医療と健康、美」のフィールドで卸売事業を展開しており、主要な事業セグメントのひとつである医療用医薬品等卸売事業で、医薬品・医療機器・再生医療等製品の開発促進に貢献するために、開発の初期段階から発売後の流通までベンチャー企業をサポートする独自の取組みを進めるなど、積極的な投資を行って業界の再編を狙っています。
アルフレッサHD
医薬品卸で国内第2位の売上高を誇っている企業が、アルフレッサホールディングスです。アルフレッサホールディングスでは、医療用医薬品等卸売事業・セルフメディケーション卸売事業・医薬品等製造事業・医療関連事業を展開しています。医薬品購入はもちろん、在庫管理から経営支援におけるまで幅広く薬局経営をサポートしているのがアルフレッサホールディングスの特徴です。
医療と健康に関するさまざまな事業を展開して「ヘルスケアコンソーシアムの実現」を目指し、人々の健康に貢献している企業です。
スズケン
医薬品卸業界で売上高第3位を誇る独立系企業が、スズケンです。1946年に設立された鈴謙洋行を源流に持つ医薬品卸会社です。
スズケンは、これまでM&Aなどを通じて全国47都道府県に営業所を設置して成長してきました。
卸売業者から商品を購入し、最終消費者に売る小売業に販売するビジネスを展開するナショナルホールセラーとしては、日本で唯一の医薬品卸企業です。医薬品卸売事業としては唯一、医薬品メーカーから卸、卸から医療機関・保険薬局までの物流機能である医療流通プラットフォームを有し、メーカー・医療機関・保険薬局・患者の視点で、多様化・高度化する医療流通ニーズにワンストップで対応できる強みを持っています。
老舗ならではの歴史の中で築いてきた、強固なグループネットワークを生かしたサービスが強みです。国内外の多くの医薬品メーカーや医療機器メーカーなどから医療用医薬品・診断薬・医療機器・医療材料・医療食品を仕入れてきた実績があり、スペシャリティ医薬品に定評がある企業です。
東邦HD
医薬品卸業界で売上規模第4位の企業が、東邦ホールディングスです。製薬会社などから医薬品および医療関連商品を仕入れ、病院・診療所・調剤薬局などに販売しています。
子会社69社および関連会社10社により構成された持株企業です。東邦ホールディングスでは、医薬品の卸販売と、病院などの医療現場の業務を支援する事業の2本柱で成長してきました。国内外1,000社を超えるメーカーから20万種類以上の製品を仕入れ、全国11万件を超えるお取引先に供給しています。
現在は医薬品・検査薬・医療機器・OTCなどの卸売事業を中心に、業務効率化に貢献する顧客支援システム・開業支援や経営コンサルティング・医療機関への薬剤師派遣や管理栄養士の出向などの医療トータルサポート・人材支援事業など、医薬品卸業界で必要となるニーズを先取りした事業に力を注いでいます。
医薬品卸業界の市場規模
製薬企業から薬を仕入れて、病院などの医療機関や薬局・ドラッグストアに販売するのが、医薬品卸業界で事業を展開する企業の基本的なビジネスモデルです。
扱う製品は処方薬だけでなく、包帯・ガーゼから注射器・注射針など医療用材料、さらに湿布薬・風邪薬・頭痛薬など一般用医薬品(大衆薬)を扱うなど、幅広い製品を取扱います。現在、大手4社を中心に、業界の再編が進んでいます。
実際に医薬品卸業界は、直近20年間の業界再編により、本社数・従業員数ともに激減しました。その結果、現在は「メディパルHD」「アルフレッサ」「スズケン」「東邦HD」の4グループで市場の8割強を占有しています。
医薬品卸業界の課題と展望
医薬品卸業界では、事業再編によって市場環境が大きく変化しています。薬価引き下げなど医薬品卸業界を取り巻く環境が激しく変化する中で、大手各社は医療をベースとした事業の多角化を進めている最中です。実際に、ITを活用した物流網の構築が最大の課題となっています。
堅調に成長してきた医薬品卸業界ですが、少子高齢化や医療費の抑制に伴う薬価引き下げの影響により、今後は国内市場の縮小が懸念されています。
そこで、医薬品卸業界に属する企業では、薬局事業・介護事業・医薬品メーカーを対象とした物流受託など、事業の幅を広げて収益拡大を図っている状況です。各地域に流通拠点を各企業が設けるなど、効率化が進んでおり、DXの推進が進んでいる業界であるといえます。
2. 医薬品卸のM&Aの動向3選
業績面では頭打ち状態にある医薬品卸業界ではあるものの、人の健康にかかわる業種であるため、将来的に使命が尽きません。ここでは、医薬品卸業界のM&Aに見られる動向に関して、以下の3点を取り上げます。
- 業務・流通などを一本化するM&Aが行われた
- 異業種へのM&Aが見られる
- 今後、さらなるM&Aが増加していくのが予測される
①業務・流通などを一本化するM&Aが行われた
医薬品卸業界では、各種業務や流通などを一気通貫で行うためのM&Aが積極的に行われてきた動向が見られます。
②異業種へのM&Aが見られる
すでに示したとおり、収益が横ばいまたは減少傾向である現状を踏まえ、医薬品卸だけではなく異業種へ活路を見いだしている企業も少なくありません。
③今後、さらなるM&Aが増加していくのが予測される
超高齢社会が懸念され、医薬品卸へのニーズは高まっている動向があるものの、医薬品の単価が下がっているため、今後も経営の効率化や異業種進出へのM&Aが増加することが予測されます。
国内M&A市場の展望・トレンドについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
3. 医薬品卸のM&A・売却・買収・譲渡の事例11選
医薬品卸業界の売却(譲渡)・買収などの代表的なM&A事例を紹介します。
アルフレッサとプレシジョンの資本提携
2022(令和4)年3月、アルフレッサはプレシジョンとの間で資本提携を締結しました。
アルフレッサは、東京都千代田区に本社を置く、アルフレッサ ホールディングス傘下の企業です。医薬品・医療用検査試薬・医療用機器などの卸業を手掛けています。対するプレシジョンは、医療にAIをかけ合わせたAI問診やデジタルの医療教科書などを制作している企業です。
買収企業 | 売却企業 | 金額(円) | M&A手法 | 目的 |
アルフレッサ | プレシジョン | 非公開 | 資本提携 | 医師の負担軽減 |
アルフレッサHDによるしんようフォレストHD子会社の全株式取得
2022年3月、アルフレッサホールディングスはしんようフォレストホールディングスの子会社「宮崎温仙堂商店」の株式すべてを取得しました。本件M&Aの取得価額は非公開です。
買収側は、東京都千代田区に本社を構える医薬品卸の持株会社です。2003年に福神とアズウェルが株式を移転し、共同で株式会社として設立された後に両社が傘下に入り、2004年にはそれぞれの事業を卸事業会社と製造事業会社に統合されています。
対する売却側は、長崎県・佐賀県・熊本県天草地方で医療用医薬品・検査用試薬・機器などの卸売事業を行っている企業です。
買収企業 | 売却企業 | 金額(円) | M&A手法 | 目的 |
アルフレッサHD | 宮崎温仙堂商店 | 非公開 | 株式譲渡 | 地域特性に合わせた営業戦略の実践 |
東邦HDとセルージョンの資本業務提携
2022年1月、東邦ホールディングスはセルージョンとの間で資本業務提携を締結すると発表しました。東邦ホールディングスは、東邦薬品を核とする医薬品卸売企業グループの持株会社です。医薬品卸売事業・調剤薬局事業・医薬品製造販売事業など、それぞれの事業に関して医療機関・薬局・地域の皆さまとの共創を通じて、患者の満足度向上に努めています。
対するセルージョンは、水疱性角膜症の治療を目的とするiPS細胞を利用した角膜内皮再生医療を手掛けています。
買収企業 | 売却企業 | 金額(円) | M&A手法 | 目的 |
東邦HD | セルージョン | 非公開 | 資本業務提携 | ・角膜内皮再生医療の社会実装へ向けた事業開発のサポート ・遺伝子治療医薬品や再生医療等製品をはじめとするスペシャリティ医薬品への取り組みの強化 |
メディカルネットとオカムラ・ノーエチ薬品のM&A
2021(令和3)年4月、メディカルネットは市販薬を中心にドラッグストア専売品やプライベートブランド(PB)商品を提供するノーエチ薬品を買収して子会社化しました。
なお、今回のメディカルネットのM&Aは、メディカルネットの完全子会社であるオカムラを通じて実行されています。
今回買収対象となったノーエチ薬品は、大阪府松原市に本社を置く創業60年の大衆医薬品のファブレスメーカー・ 医薬品卸を営む企業です。
大手ドラッグストアや調剤薬局に対して、医療用医薬品から一般医薬品に転用したスイッチOTC医薬品を中心として、ドラッグストア専売品やプライベートブランド商品を提供しています。
メディカルネットは今回の買収を通じて歯科医療のプラットフォーマーとしての機能を強化し、さらなる歯科医療の発展を目指します。
買収企業 | 売却企業 | 金額(円) | M&A手法 | 目的 |
メディカルネット | オカムラ・ノーエチ薬品 | 非公開 | 株式取得 | 新たに歯科向け市販薬の開発・製造 |
スズケンとドクターズによる資本業務提携
2020(令和2)年11月、スズケンとドクターズは資本業務提携を結んでいます。
ドクターズは、専門医を中心とした400名超のエキスパート医師と医療・ヘルスケア事業に精通したコンサルタントが、デジタルヘルスケアサービスの企画・開発から医療機関への流通・販売までをワンストップで支援し、出口戦略のある本格的なデジタルヘルスケアサービスの事業化と持続性のあるデジタルヘルスビジネスを実現してきた企業です。同社はITの活用によって、医療に関わるサービスの効率化を進めています。
ドクターズのサービスと、スズケンが持つ医療機関との強固な取引関係や広範な流通網を駆使して、総合的なデジタルヘルスケアサービスの普及推進と全国展開を目指します。
スズケンは、このほかにも5社のITヘルスケア企業と資本業務提携を締結しました。地域医療や製薬企業の課題解決を図る新たなソリューション「医療情報プラットフォーム」の構築を目指しています。
買収企業 | 売却企業 | 金額(円) | M&A手法 | 目的 |
スズケン | ドクターズ | 非公開 | 資本業務提携 | 総合的なデジタルヘルスケアサービスの普及推進を全国展開 |
スズケンとUbieのM&A
2020年4月、医薬品卸業界の4大大手の1社であるスズケンは、医療AIスタートアップであるUbieと資本業務提携契約を締結しました。売却(譲渡)・買収などのM&Aと比較して、資本業務提携は広義のM&Aといわれています。
Ubieが新たに発行する優先株式を引き受けて、スズケンが発行済株式総数の10%程度を所有する株主になる予定です。スズケンの狙いは、Ubieが開発した「AI問診Ubie」などの医療ソフトウェア分野において、新たな収益源・ビジネスモデルの構築を図るとされています。
買収企業 | 売却企業 | 金額(円) | M&A手法 | 目的 |
スズケン | Ubie | 不明 | 資本業務提携 | 新たなビジネスモデル確立 |
スズケンとヤマト科学のM&A
2017(平成29)年9月、スズケンとヤマト科学は資本業務提携を行いました。スズケンは、ヤマト科学の発行済株式の2.7%を取得しています。
買収企業 | 売却企業 | 金額(円) | M&A手法 | 目的 |
スズケン | ヤマト科学 | 不明 | 資本業務提携 | 革新的な製品とサービスの開発推進 |
メディパルホールディングスとJCRファーマのM&A
2017年9月、メディパルホールディングスとJCRファーマは資本業務提携契約を締結しました。この契約により、メディパルホールディングスは、JCRファーマの株式約22.5%を取得し筆頭株主です。
買収企業 | 売却企業 | 金額(円) | M&A手法 | 目的 |
メディパルホールディングス | JCRファーマ | 212億8,400万 | 資本業務提携 | 企業価値の向上と持続的な発展 |
スズケンとEPSホールディングスのM&A
2016(平成28)年9月、スズケンとEPSホールディングスは資本業務提携を行いました。スズケンの株式0.61%分と、EPSホールディングスの株式3.25%がそれぞれに第三者割当されています。
それと同時に、EPSホールディングスの子会社EPS益新の株式35%分について、スズケンが第三者割当を引き受ける契約も同時に実施されました。
買収企業 | 売却企業 | 金額(円) | M&A手法 | 目的 |
スズケン | EPSホールディングス | 不明 | 資本業務提携 | 中国での事業推進 |
ニュートリーと三和化学研究所のM&A
2016年9月、三和化学研究所はニュートリション事業の一部をニュートリーに譲渡する契約を行いました。
買収企業 | 売却企業 | 金額(円) | M&A手法 | 目的 |
ニュートリー | 三和化学研究所 | 不明 | 事業譲渡 | 国内外の市場開拓および企業価値向上 |
アルフレッサホールディングによるサンノーバの買収
2016年4月、アルフレッサホールディングスはエーザイの子会社であるサンノーバの吸収分割承継会社の株式を取得し子会社化しました。
買収企業 | 売却企業 | 金額(円) | M&A手法 | 目的 |
アルフレッサホールディングス | サンノーバ | 不明 | 吸収分割 | 医薬品等製造事業基盤強化 |
4. 医薬品卸のM&A・売却・買収・譲渡の相場
医薬品卸業界は、業界内だけではなく異業種にわたりM&Aを展開している業界です。売却・買収・譲渡の相場は、一般的には把握するのが難しいといえます。
基本的には同業種であれば、知的財産・設備・人員の価値などがM&Aの価格に反映されるといわれていますが、価格を算出するために採用される方法はケースバイケースであり、指標となるような相場価格は確立されていません。
事業売却・会社売却の相場については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
5. 医薬品卸のM&A・売却・買収・譲渡のメリット
医薬品卸業界のM&Aで期待されるメリットを解説します。
売却側
M&Aによるメリットのうち、売却側で得られる主なメリットは、以下の5項目です。
- 従業員の雇用確保
- 後継者問題の解決
- 売却・譲渡益の獲得
- 大手グループ入りで安定した経営
- 個人保証・債務・担保などの解消
従業員の雇用確保
経営不振などにより、会社を廃業せざるを得ない場合もあります。その場合、従業員は職を失い路頭に迷う結果を招かざるを得ません。しかし、M&Aによって会社を売却し、大手企業のもとで財務などが安定すれば、従業員の雇用が守られます。
後継者問題の解決
事業を続けていくうえで、後継者問題は必要不可欠です。身近に後継者にふさわしい人物が存在しない場合は、M&Aにより会社の外部に後継者を求められます。
売却・譲渡益の獲得
M&Aの取引では、売却・譲渡益を得られます。老後資金や新たな事業資金など、まとまった金銭を取得できるでしょう。
大手グループ入りで安定した経営
M&Aの売却先が大手企業の場合、経営の先行きが見えなかった状態から抜け出せる可能性が高いです。
個人保証・債務・担保などの解消
経営者にとって、個人保証などの問題は大きな悩みの種です。こういった問題から開放されるのも、M&Aのメリットといえます。
買収側
一方で、買収側のメリットはいかなる要素があるのか、以下の5項目を解説します。
- 従業員の確保
- 低コストで新事業・関連事業を獲得
- 新規事業へ低コストで参入
- 顧客・取引先・ノウハウなどの獲得
- 事業規模やエリアの拡大
従業員の確保
医薬品卸業界各社にとって、従業員などの人材は非常に大切な要素です。こうした人材を確保できるのは、M&Aによる買収の大きなメリットといえます。
低コストで新事業・関連事業を獲得
医薬品卸会社の中には、自社で医薬品を開発し販売を考える場合があります。そのような新規事業を考えるとき、医薬品の特許権や設備などのコストは大きいです。
費用だけでなく膨大な時間も要しますが、M&Aでの買収であれば、即座に獲得できるメリットがあります。
新規事業へ低コストで参入
医薬品卸業界へ新規事業として参入する場合も、M&Aは有益です。設備や特許権のコストを抑えられるだけではなく、事業を安定的に継続するまでの投資や人材育成のコストも節約できるためです。
顧客・取引先・ノウハウなどの獲得
従来では得られない顧客・取引先・自社では開発できないノウハウなどは、買収によって取得できる大きなメリットだといえます。
事業規模・エリアの拡大
事業やエリアの拡大には、コストと時間が求められます。こうしたコストと時間を大幅にカットできる点も、M&A特有のメリットです。
M&Aのメリット・デメリットについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
6. 医薬品卸のM&A・売却・買収・譲渡の成功ポイント
医薬品卸業界でM&Aを成功させるうえで、把握しておくべき重要なポイントが数点あります。ここでは、売却側および買収側のそれぞれの成功ポイントを確認します。
売却側
売却側からの立場から見たM&Aの成功ポイントは、以下の3要素が重要です。
- アピールポイントや強みのある企業である点
- 権利や特許、ノウハウや技術などを持っている点
- M&Aの専門家に相談できる点
アピールポイントや強みのある企業である点
大きな卸市場を構えていたり、強固なコネクションを持っていたりするなど、アピールポイントがあれば、成功への強みとなります。
権利や特許、ノウハウや技術などを持っている点
医薬品卸会社にとっても、権利・特許・ノウハウ・技術といったものは非常に大きな財産です。これらの財産は、M&Aにおける相手側に対する大きなアピールポイントとなります。
M&Aの専門家に相談できる点
M&Aを行うにあたっては、リスクやトラブルといった課題があります。さまざまなM&A案件を手掛けてきた専門家のサポートは大切です。リスクやトラブルを回避するためにも、専門家を最大限に活用しましょう。
買収側
M&Aを成功させるポイントは買収側にも存在します。ここでは、3点にしぼりました。
- 自社に足りない部分をピンポイントで補強する
- デューデリジェンスを徹底する
- M&Aの専門家に相談する
自社に足りない部分をピンポイントで補強する
弱い分野であったり、社員教育が行き渡らない部分であったりした箇所について、M&Aで補強する方法があります。自社に足りない部分を見極めて、検討する力が必要です。
デューデリジェンスを徹底する
買収目的である企業について、デューデリジェンス(企業調査・監査)の実施は非常に重要です。M&Aでは、現在進行中のトラブルはもちろん、買収後のトラブル回避も考えて、徹底したデューデリジェンスを行いましょう。
M&Aの専門家に相談する
M&Aにおける買収には、大きなリスクが存在します。自社で考えている以上のリスクは、必ずといってよいほど伴うものです。
しかし、M&Aの専門家を活用すれば、見えないリスクも含めてマネジメントできます。リスクを減らし円滑なM&Aを目指すのであれば、M&Aの専門家に相談することをおすすめします。
M&Aのデューデリジェンス(DD)については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
7. 医薬品卸のM&A・売却・買収・譲渡におすすめの仲介会社
医薬品卸業界でのM&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。中小企業のM&Aにおいて数多くの支援実績を有しており、豊富な知識と経験を持つM&Aアドバイザーによる専任フルサポートを行っています。通常は半年~1年以上かかるとされるM&Aを、成約まで最短3カ月という実績も併せ持っています。
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8. 医薬品卸のM&A・売却・買収・譲渡のまとめ
この記事では、医薬品卸のM&A・売却・買収・譲渡に関する情報を提供しました。医薬品卸業界では、厳しい状況が続いています。そうした状況から、M&Aによるメリットを求める企業は少なくない状況です。
ただし、M&Aを成功させるには、専門的に高度な知識・豊富な経験が求められるため、実施を検討する際は専門家のサポートを受けることをおすすめします。
9. 医薬品卸業界の成約事例一覧
10. 医薬品卸業界のM&A案件一覧
【ベトナム】50年以上の歴史を持つ医薬品、サプリメント製造業
医薬品製造/海外案件ID:2238公開日:2024年09月11日売上高
25億円〜50億円
営業利益
5000万円〜1億円
譲渡希望価格
希望なし
医薬品、サプリメント製造
【北日本・九州/2社同時譲渡】口コミ高評価の化粧品卸売業
医薬品卸・小売/その他の卸・小売/美容・健康食品/非公開案件ID:2147公開日:2024年08月14日売上高
1億円〜2.5億円
営業利益
〜1000万円
譲渡希望価格
2社合計:1億5000万円以上(応相談)
スキンケアを軸とした自社ブランドの地域販売代理店
【関東地方/豊富な販売先】ジェネリック医薬品卸売業
医薬品卸・小売/関東・甲信越案件ID:2034公開日:2024年07月10日売上高
5000万円〜1億円
営業利益
赤字経営
譲渡希望価格
1000万円〜5000万円
関東にてジェネリック医薬品をメインとした医薬品卸売業
【高い商品力】化粧品・医薬部外品の開発、販売
医薬品製造/医薬品卸・小売/その他の製造業/関東・甲信越案件ID:1918公開日:2024年06月04日売上高
5000万円〜1億円
営業利益
〜1000万円
譲渡希望価格
1000万円〜5000万円
皮膚保護クリームの開発・販売を行う企業です。※製造はOEM
【関西地方/企画から製造まで一気通貫で対応】化粧品の製造、卸売業
美容・健康食品/近畿案件ID:1666公開日:2024年03月07日売上高
10億円〜25億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
1億円〜2.5億円
自社ブランドの化粧品を企画から製造まで一気通貫で行う会社
【医薬品開発_バイオベンチャー】日本とアメリカで特許取得済み/関東地方
医薬品製造/医薬品卸・小売/介護・福祉・医療/関東・甲信越案件ID:1377公開日:2023年11月10日売上高
〜1000万円
営業利益
非公開
譲渡希望価格
希望なし
関東地方で医療用医薬品の研究・開発を行うバイオベンチャー企業でございます。
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