2020年10月29日更新
医薬品卸のM&A動向や売却・買収の事例や相場、成功ポイントを解説

大手M&A仲介会社にて、事業承継や戦略的な成長を目指すM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、経営者が抱える業界特有のお悩みに寄り添いながら、設備工事業や建設コンサルタント、製造業、医療法人など幅広い業種を担当。
医薬品卸業界はM&Aが盛んに実施されてきており、過去に数多くの売却・買収が行われ業界再編が進行してきました。医薬品卸業界のこれまでのM&A動向について、事例を踏まえながら売却(譲渡)・買収の実態を分析し、内容を確認します。
目次
1. 医薬品卸とは
医薬品卸会社のM&Aを考察するにあたって、まずは、医薬品卸業界の定義や動向を確認しましょう。
医薬品卸業界の定義
医薬品卸業界とは、メーカー(製薬会社)から医薬品を仕入れてドラッグストアや調剤薬局または病院などに卸す業務を生業とする業界です。
医薬品は、「医療用薬品」と呼ばれる病院や薬局で取り扱う医薬品と、「一般用医薬品」と呼ばれるドラッグストアなどで店舗販売される一般的な医薬品とに区分されます。
医薬品卸業界の現状
医薬品卸業界の特徴としては、以下の3点があります。
- 仕入れから販売まで厳しい法規制がある事業
- 上位4社のシェアが90%を占める
- 売上げが横ばい~減少を続ける業界
仕入れから販売まで厳しい法規制がある事業
医薬品は規則により、さまざまな制約や厳守すべき事柄などが存在します。そのため、仕入れから販売まで厳しい法規制にさらされているのが実情です。
上位4社のシェアが90%を占める
メディパルホールディングス、アルフレッサホールディングス、スズケン、東邦ホールディングスの4社が、国内シェアのほとんどに近い、90%を占めている状態です。
売上げが横ばい~減少を続ける業界
医薬品卸企業間の価格競争の激化により、横ばいまたは年々、売上が減少している業界です。しかし、将来にわたり社会的使命を失うことのない業界でもあります。
2. 医薬品卸のM&A動向
業績面では頭打ち状態にある医薬品卸業界ではあるものの、人の健康にかかわる業種であることから、将来的に使命が尽きることはありません。
ここでは、医薬品卸業界のM&Aに見られる動向について、以下の3点を取り上げます。
- 業務・流通などを一本化するM&Aが行われた
- 異業種へのM&Aが見られる
- 今後、さらなるM&Aが増加していくことが予測される
業務・流通などを一本化するM&Aが行われた
医薬品卸業界では、各種業務や流通などを一気通貫で行うためのM&Aが積極的に行われてきた動向が見られます。
異業種へのM&Aが見られる
すでに示したとおり、収益が横ばい、または減少傾向である現状を踏まえ、医薬品卸だけではなく異業種へ活路を見出している企業も少なくありません。
今後、さらなるM&Aが増加していくことが予測される
高齢化社会が懸念され、医薬品卸へのニーズは高まっている動向があるものの、医薬品の単価が下がっていることから、今後も経営の効率化や異業種進出へのM&Aが増加することも予測されます。
3. 医薬品卸のM&A・売却・買収・譲渡の相場
医薬品卸業界は、業界内だけではなく異業種にわたりM&Aを展開している業界です。そのため、売却や買収、そして譲渡といった相場は、一般的には把握することが難しいとされています。
基本的には同業種であれば知的財産や設備のほか、人員の価値などがM&Aの価格に反映されるといわれていますが、その価格算出にあたってはケースバイケースであり、指標となるような相場価格は確立されていません。
4. 医薬品卸のM&A・売却・買収・譲渡の事例
医薬品卸業界の売却(譲渡)・買収などのM&A事例6件を紹介します。
スズケンとUbieのM&A
2020(令和2)年4月、医薬品卸業界の4大大手の1社であるスズケンは、医療AIスタートアップであるUbieと資本業務提携契約を締結しました。売却(譲渡)・買収などのM&Aと比較して、資本業務提携は広義のM&Aといわれています。
Ubieが新たに発行する優先株式を引き受けることにより、スズケンが発行済株式総数の10%程度を所有する株主になる予定です。スズケンの狙いは、Ubieが開発した「AI問診Ubie」などの医療ソフトウェア分野において、新たな収益源・ビジネスモデルの構築を図ることにあるとされています。
買収企業 | 売却企業 | 金額(円) | M&A手法 | 目的 |
スズケン | Ubie | 不明 | 資本業務提携 | 新たなビジネスモデル確立 |
スズケンとヤマト科学のM&A
2017(平成29)年9月、スズケンとヤマト科学は資本業務提携を行いました。スズケンは、ヤマト科学の発行済株式の2.7%を取得しています。
買収企業 | 売却企業 | 金額(円) | M&A手法 | 目的 |
スズケン | ヤマト科学 | 不明 | 資本業務提携 | 革新的な製品とサービスの開発推進 |
メディパルホールディングスとJCRファーマのM&A
2017年9月、メディパルホールディングスとJCRファーマは資本業務提携契約を締結しました。この契約により、メディパルホールディングスは、JCRファーマの株式約22.5%を取得し筆頭株主となっています。
買収企業 | 売却企業 | 金額(円) | M&A手法 | 目的 |
メディパルホールディングス | JCRファーマ | 212億8,400万 | 資本業務提携 | 企業価値の向上と持続的な発展 |
スズケンとEPSホールディングスのM&A
2016(平成28)年9月、スズケンとEPSホールディングスは資本業務提携を行いました。スズケンの株式0.61%分と、EPSホールディングスの株式3.25%がそれぞれに第三者割当されています。
また、それと同時にEPSホールディングスの子会社EPS益新の株式35%分について、スズケンが第三者割当を引き受ける契約も同時に実施されました。
買収企業 | 売却企業 | 金額(円) | M&A手法 | 目的 |
スズケン | EPSホールディングス | 不明 | 資本業務提携 | 中国での事業推進 |
ニュートリーと三和化学研究所のM&A
2016年9月、三和化学研究所のニュートリション事業の一部をニュートリーに譲渡する契約を行いました。
買収企業 | 売却企業 | 金額(円) | M&A手法 | 目的 |
ニュートリー | 三和化学研究所 | 不明 | 事業譲渡 | 国内外の市場開拓および企業価値向上 |
アルフレッサホールディングによるサンノーバの買収
2016年4月、アルフレッサホールディングスは、エーザイの子会社であるサンノーバの吸収分割承継会社の株式を取得し子会社化しました。
買収企業 | 売却企業 | 金額(円) | M&A手法 | 目的 |
アルフレッサホールディングス | サンノーバ | 不明 | 吸収分割 | 医薬品等製造事業基盤強化 |
5. 医薬品卸のM&A・売却・買収・譲渡のメリット
医薬品卸業界のM&Aにおいて、どういったメリットがあるか解説します。
売却側
M&Aによるメリットのうち、売却側で得られる主なメリットは、以下の5項目です。
- 従業員の雇用確保
- 後継者問題の解決
- 売却・譲渡益の獲得
- 大手グループ入りで安定した経営
- 個人保証・債務・担保などの解消
従業員の雇用確保
経営不振などにより会社を廃業せざるを得ないこともあります。そして、そうなると従業員は職を失い路頭に迷う結果にならざるを得ません。
しかし、M&Aによって会社を売却し、大手企業のもとで財務等が安定すれば、従業員の雇用が守られることになります。
後継者問題の解決
事業を続けていくには後継者問題は不可欠です。身近に後継者にふさわしい人物が存在しない場合は、M&Aにより会社の外部に後継者を求めることができます。
売却・譲渡益の獲得
M&Aの取引では、売却・譲渡益を得られます。老後資金や新たな事業資金など、まとまった金銭を取得することができるのです。
大手グループ入りで安定した経営
M&Aの売却先が大手企業の場合、経営の先行きが見えなかった状態から抜け出せる可能性が高いと見てよいでしょう。
個人保証・債務・担保などの解消
経営者にとって個人保証などの問題は悩みの種です。こういった問題から開放されるのも、M&Aのメリットといえます。
買収側
一方で、買収側にとってのメリットはいかなる要素があるのでしょうか。以下の5項目について考えてみます。
- 従業員の確保
- 低コストで新事業・関連事業を獲得
- 新規事業へ低コストで参入
- 顧客・取引先・ノウハウなどの獲得
- 事業規模やエリアの拡大
従業員の確保
医薬品卸業界各社にとって、従業員などの人材は非常に大切な要素です。こうした人材を確保できるのは、M&Aによる買収の大きなメリットとなるでしょう。
低コストで新事業・関連事業を獲得
医薬品卸会社の中には、自社で医薬品を開発し販売を考える場合があります。そのような新規事業を考えるとき、医薬品の特許権や設備などのコストは大きなものです。
それは費用だけでなく膨大な時間も要することですが、M&Aでの買収であれば、即座に獲得できるというメリットがあります。
新規事業へ低コストで参入
医薬品卸業界へ新規事業として参入する場合もM&Aは有益です。それは、前述したように設備や特許権のコストを抑えられるだけではなく、事業を安定的に継続するまでの投資や人材育成のコストも節約できるからにほかなりません。
顧客・取引先・ノウハウなどの獲得
従来では得られない顧客や取引先、そして自社では開発できないノウハウなどは、買収によって取得できる大きなメリットとなります。
事業規模・エリアの拡大
事業やエリアの拡大にはコストと時間が必要です。こうしたコストと時間を大幅にカットできるメリットも、M&Aだからこそといえるでしょう。
6. 医薬品卸のM&A・売却・買収・譲渡の成功ポイント
医薬品卸業界でM&Aを成功させるには、重要となるポイントが数点あります。ここでは、売却側および買収側のそれぞれの成功ポイントについて見てみましょう。
売却側
売却側からの立場から見たM&Aの成功ポイントは、以下の3要素が重要です。
- アピールポイントや強みのある企業であること
- 権利や特許、ノウハウや技術などを持っていること
- M&Aの専門家に相談すること
アピールポイントや強みのある企業であること
大きな卸市場を構えていたり、切れることのないコネクションを持っていたりするなど、アピールポイントがあるのは成功への強みとなるでしょう。
権利や特許、ノウハウや技術などを持っていること
医薬品卸会社にとっても、権利や特許そしてノウハウや技術といったものは非常に大きな財産です。
そして、この財産こそが大きなアピールポイントとなるのです。
M&Aの専門家に相談すること
M&Aを行うにあたり、リスクやトラブルといった課題が必ずあります。M&Aによる売却はそうそう経験する事項ではないからです。
だからこそ、いろいろなM&Aに直面している専門家の意見は大切になります。リスクやトラブルを回避するためにも、専門家を上手に活用しましょう。
買収側
M&Aを成功させるポイントは買収側にも存在します。ここでは3点にしぼりました。
- 自社に足りない部分をピンポイントで補強すること
- デューデリジェンスを徹底すること
- M&Aの専門家に相談すること
自社に足りない部分をピンポイントで補強すること
弱い分野であったり、社員教育が行き渡らない部分であったりした箇所について、M&Aで補強するという方法があります。
そのためにも、自社に足りない部分を見極めて検討する力が必要だといえるでしょう。
デューデリジェンスを徹底すること
買収目的である企業について、デューデリジェンス(企業調査・監査)を行うことは非常に重要です。
M&Aにおいては、現在進行中のトラブルはもちろんのこと、買収後のトラブル回避も考え、必ず徹底したデューデリジェンスを行いましょう。
M&Aの専門家に相談すること
M&Aにおける買収には、大きなリスクが存在します。自社で考えている以上のリスクは必ずといってよいほど伴うものです。
しかし、M&Aの専門家を利用することにより、見えないリスクまでもマネジメントすることができます。
リスクを減らし円滑なM&Aを目指すのであれば、M&A専門家への相談は不可欠だといえるでしょう。
7. 医薬品卸のM&A・売却・買収・譲渡におすすめの仲介会社
医薬品卸業界でM&Aを検討するのであれば、その相談先としてM&A総合研究所がおすすめです。
M&A総合研究所は全国の中小企業のM&Aに数多く携わっており、そこで培われた有益なネットワークがあります。豊富な知識と経験を持つM&Aアドバイザーが専任となる、徹底したサポート体制も特徴です。
また、通常は半年~1年以上かかるとされるM&Aを、最短3ヶ月のスピード成約を実現している機動力も併せ持っています。
そして、国内最安値水準の完全成功報酬制により、M&Aが成約するまで一切、費用は発生しません。仮にM&Aが成約しなければ手数料は請求されないシステムであり、安心してリーズナブルにM&Aの実現が目指せます。
随時、無料相談を受けつけておりますので、お気軽にお問い合わせください。
8. まとめ
医薬品卸業界では、厳しい状況が続いています。
- 仕入れから販売まで法規制を守る難しい事業
- 上位4社のシェアが90%を占める
- 売上げが横ばい、減少を続ける業界
そうした状況から、M&Aによるメリットを求める企業は少なくない状況です。
【売却側のメリット】
- 従業員の雇用確保
- 後継者問題の解決
- 売却・譲渡益の獲得
- 大手グループ入りで安定した経営
- 個人保証・債務・担保などの解消
【買収側のメリット】
- 従業員の確保
- 低コストで新事業・関連事業を獲得
- 新規事業へ低コストで参入
- 顧客・取引先・ノウハウなどの獲得
- 事業規模やエリアの拡大
ただし、どのような場合においても、M&Aを実施するのであればM&A専門家への相談は重要です。
M&A総合研究所であれば、豊富な知識と経験を持つM&Aアドバイザーがフルサポートでスピーディーに対応します。
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