2025年04月07日更新
奈良県の事業承継最新動向を解説|M&A案件・事例・相談先も紹介
奈良県では中小企業の後継者不足が深刻化し、事業承継が大きな課題となっています。本記事では奈良県の事業承継に関する最新動向やM&Aを活用した事例、さらに相談先や支援策についてわかりやすく解説します。
目次
1. 奈良県の産業に見られる特色
奈良県には、靴下やニット製品を中心とした繊維製品製造業が中和地域を中心に発展しており、さらに吉野杉を背景とした伝統的な木材・木製品製造業も古くから盛んです。
また、電機製品、一般機械、金属製造業などが工業の主要産業として大きな役割を果たしています。加えて、プラスチック成形業、製薬業、毛皮革製造業など、多くの地場産業が集積しており、これらの産業が奈良県の繁栄を支える基盤となっています。
奈良県は、これらの中小企業の発展を支援するため、経営相談や制度融資の充実に加え、奈良県工業技術センターや広域地場産業振興センターを拠点として、新商品の開発、人材の育成、先端技術の導入に力を入れています。
関西文化学術研究都市の建設を通じて、高度な研究機関の集積を促進し、県内経済のさらなる発展を目指す基盤づくりにも尽力しています。
参考:奈良県「商工業」
2. 奈良県のM&A・事業承継の動向
奈良県のM&A・事業承継の動向について、後継者不在率や休廃業件数の観点から解説します。
近年の後継者不在率は改善傾向
2023年に奈良県内の全業種約2,200社を対象に行われた後継者の状況調査によると、後継者が「いない」または「未定」とされる企業の割合、すなわち後継者不在率は51.2%で、前年より1.3ポイント増加しました。
しかし、コロナ前の2019年と比較すると9.5ポイント低下しており、全国平均の53.9%を下回る水準で推移しています。
2018年と2023年の後継者策定状況を比較したところ、23.4%の企業が新たに後継者を決定していました。そのうち、事業承継後に後任経営者が新たに後継者を決めた企業が9.6%、事業承継を行っていないが新たに後継者を決定した企業が13.8%に上りました。
この期間中、各自治体や地域金融機関による事業承継の相談窓口が整備され、第三者へのM&Aや事業譲渡、ファンドを通じた経営再建など、支援体制が広く告知されたことが、後継者不在率の改善に寄与したと考えられます。
さらに最新の調査では、2024年の奈良県における後継者不在率は49.4%と調査開始以来最も低い水準まで改善しました。
ただし改善のペースは鈍化しており、年代別では40代・50代・60代・80代の後継者不在率はむしろ悪化するなど、一様に解決しているわけではありません。
依然として県内の中小企業では後継者不足が大きな課題であり、事業承継支援策の重要性が増しています。
参考:帝国データバンク「特別企画:奈良県「後継者不在率」動向調査(2023 年)」
奈良県「後継者不在率」動向調査(2024年)
休廃業件数は増加
2023年における奈良県企業の休廃業件数は367件で、前年比で9.6%増加しました。また、倒産件数は64件です。
コロナ禍の期間中、政府が実施した実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」などの資金繰り支援策によって、多くの企業が倒産を免れていました。
しかし、最近では需要の変動に加えて、物価上昇、円安、人手不足による人件費の増加など、さまざまな厳しい状況に直面した企業が増え、倒産が本格的に増加する局面に入っています。
参考:帝国データバンク「近畿地区「休廃業・解散」動向調査(2023年)」
3. 奈良県近郊のM&A・事業承継の案件一覧
本章では、奈良県近郊のM&A・事業承継の案件一覧をご紹介します。
【関西/高利益率】エクステリア製品製作・販売・施工
1つ目に紹介する奈良県近郊の案件は、エクステリア製品製作・販売・施工業を営む企業の譲渡案件です。戸建てや集合住宅のエクステリア製品の製作、販売、施工を行っており、製作、販売、施工を一貫して対応できることが強みです。
個別の特注や短納期の対応可能です。代表者は株式譲渡後、1~2年程度引継期間を経て退任を希望していますが柔軟に対応することができます。
売上高 | 2.5億円〜5億円 |
営業利益 | 5,000万円〜1億円 |
総資産額 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡希望額 | 3億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【技術力高】Web制作/コンサルティング・プログラミング教室運営業
2つ目に紹介する奈良県近郊の譲渡案件の対象企業は、WEB制作・コンサルティング事業、プログラミングスクール運営を行う企業です。
WEB制作やその後の広告運用などのコンサルティングまで手掛けており、法人向けにIT研修や個人向けにプログラミングスクールも行います。伴走型のWEB制作や、コンサルティングで顧客の課題に応じたWEBソリューションが提供可能です。
開発、デザインにおけるスキルを持った従業員が複数名在籍しており、勤続年数も長く安定したパフォーマンスを発揮します。思考力を養う独自のカリキュラムを用いたプログラミングスクールを関東・関西圏で約10拠点運営しているのも強みです。プログラミングスクールの運営において、オンラインとリアルの教室を並行することで売上増加も可能となります。
売上高 | 5,000万円〜1億円 |
営業利益 | 赤字経営 |
総資産額 | 非公開 |
譲渡希望額 | 株価1円+役員借入金3,700万円の返済 |
譲渡理由 | 戦略の見直し、その他 |
【関西エリア・多店舗展開】自社ブランドのベーカリーレストラン運営
続いて紹介するのは、自社ブランドのベーカリーレストラン運営をする法人の譲渡案件です。全てのパンの素材に国産の原材料を使用しており、リピーター顧客が多数います。
また、季節に合わせた野菜や食材、年間を通じたイベントに相応しい商品作りを行い、メディアや雑誌にも多数掲載実績があります。
売上高 | 2.5億円〜5億円 |
営業利益 | 赤字経営 |
総資産額 | 非公開 |
譲渡希望額 | 希望なし |
譲渡理由 | 財務的理由、資金調達 |
【定員60人以上のサ高住施設】近畿エリアの介護施設運営業(事業譲渡)
奈良県近郊の案件一覧5件目は、近畿エリアでサービス付き高齢者向け住宅2施設の運営を行う企業です。土地建物ともに自社保有であり、譲渡対象です。
売上高 | 2.5億円〜5億円 |
営業利益 | 5,000万円〜1億円 |
総資産額 | 5億円〜7.5億円 |
譲渡希望額 | 10億円〜15億円 |
譲渡理由 | 戦略の見直し、その他 |
4. 奈良県のM&A・会社売却・事業承継の事例
奈良県のM&A・会社売却・事業承継の事例を紹介します。
クスリのアオキHDによるスーパーヨシムラとハッスルのM&A
2024年12月、クスリのアオキホールディングスはスーパーヨシムラおよびハッスルのの株式取得と吸収合併を行いました。
クスリのアオキホールディングスは、医薬品や日用雑貨などを扱うドラッグストア「クスリのアオキ」運営や、調剤薬局を展開しています。スーパーヨシムラ及びハッスルはともに、食品スーパーマーケットを展開しています。
今回のM&Aにより、関西地区への拠点拡大と、食品スーパーとドラッグストア・調剤薬局を組み合わせの店舗強化を目指します。
オリエンタルチエン工業による寺田精工のM&A
2024年5月、オリエンタルチエン工業は寺田精工の株式を取得し、子会社化しました。
オリエンタルチエン工業は、産業機械用チェーン、コンベヤチェーン、スプロケット類および金属射出成形関連製品の製造・販売を行っています。寺田精工は、ローラチェーン用スプロケットを主力とした、各種歯車の製造を行うなど、スプロケットの仕入・外注依頼をしているメーカーです。
今回のM&Aにより、顧客ニーズへ対応強化・構築と、製品品質の向上などを目指します。
ミライトリンクによる東鮓事業(あづまケータリングサービス)のM&A
2025年1月、奈良市の企業ミライトリンクは、同じく奈良市に本社を置く株式会社あづまから寿司・仕出し事業「東鮓(あづま寿司)」を譲り受け、その運営を継承することを決定しました。
ミライトリンクは寿司や会席料理の仕出し事業を中心に、仕出し店の再生フランチャイズ展開やカフェ、ケータリングサービス、フードイベント企画など幅広く手掛ける企業です。一方、あづまは奈良県内で寿司・弁当・オードブルなどの仕出し料理の宅配事業を営んできた会社です。今回の事業承継にあたり、ミライトリンクはあづまが培ってきた伝統と味わいを大切にしつつ、サービスの一層の向上を図る方針を示しています。
地域の老舗企業の味を受け継ぎながら事業を発展させる、地域密着型の事業承継事例と言えるでしょう。
5. 奈良県のM&A・会社売却・事業承継案件を探す3つの手段
奈良県のM&A・会社売却・事業承継案件を探す方法は以下のとおりです。
- 公的機関・地元の金融機関などに相談する
- M&Aマッチングサイトなどを活用する
- M&A仲介会社・専門家に相談する
それぞれの概要を順番に紹介します。
①公的機関に相談する
奈良県内で事業承継やM&Aの案件を探す方法の一つに、公的機関や地元の金融機関に相談する方法があります。具体的には、中小企業庁の委託事業である奈良県事業承継・引継ぎ支援センターがあります。この支援センターは経済産業省の主導で設置され、後継者問題の解決を目的に中小企業診断士・公認会計士・税理士・弁護士など外部専門家と連携して相談支援にあたっています。事業承継の将来計画や後継者選定、従業員の雇用維持や譲渡手順など、多岐にわたる相談に無料で応じており、問題解決へと導いてくれる心強い存在です。
また、奈良県内の地方銀行や信用金庫など地域の金融機関でも事業承継やM&Aの相談窓口を設けているケースがあります。
地元企業の実情に詳しい金融機関に相談することで、地域に根ざしたマッチングや助言が得られるでしょう。
奈良県内にはこの他にも、経営全般の悩みに対応する「奈良県よろず支援拠点」や各地域の商工会議所など、中小企業を支援する公的機関があります。こうした機関では事業承継に関するセミナーや個別相談会が開催されることもあり、事業承継の進め方について幅広いサポートが受けられます。
公的機関のメリットは地域に特化したネットワークを持つ点ですが、紹介可能な案件数は民間仲介会社に比べ少ない傾向にあります。そのため、必要に応じて後述のような民間の仲介会社の力も借りながら、利用できる支援は積極的に活用すると良いでしょう。
②金融機関に相談する
奈良県のM&A・会社売却・事業承継案件を探す方法としては、金融機関に相談する方法もあります。地方銀行や信用金庫など、地元の金融機関でも、奈良県のM&A・会社売却・事業承継相談を受けつけています。
③M&Aマッチングサイトなどを活用する
M&Aマッチングサイトなどを活用すると、奈良の案件に限らず全国の豊富な案件一覧を閲覧できるため、必要に応じて活用すると良いでしょう。
M&A総合研究所
M&A総合研究所では、独自のAIシステムを採用したM&Aマッチングプラットフォームを運用し、高いマッチング精度を誇っています。
Batonz(バトンズ)
Batonz(バトンズ)は、国内最大級マッチングプラットフォームの一つで、案件の豊富さと成約率の高さで定評があります。
自分で交渉から成約まで全て行うだけでなく、必要があればアドバイザーに交渉をサポートしてもらうことも可能です。
Tranbi(トランビ)
Tranbi(トランビ)では、M&A専門家へ定額で依頼できる小規模事業者向けプランの導入や、全国各地の金融機関との提携などを通じて、サービスの向上に取り組んでいます。
④M&A仲介会社・専門家に相談する
奈良のM&A・会社売却・事業承継案件を探す場合は、奈良の企業に詳しく専門家とのつながりのあるM&A仲介会社・専門家に相談する方法が適しています。
6. 奈良県でM&Aをする際に仲介会社を選ぶ5つのポイント
奈良県でM&Aを行う際に仲介会社を選ぶポイントは以下5つです。
- 該当する分野の専門的知識・M&A実績を持っている
- 案件規模・地元M&A実績などがある
- M&Aに関する幅広い知識・経験を持っている
- 手数料・相談料・報酬体系がわかりやすい
- 担当スタッフの対応や相性がいい
それぞれの概要を順番に紹介します。
①該当する分野の専門的知識・M&A実績を持っている
M&Aを成立させるには、自社の業界に該当する専門知識だけでなく、M&Aの実績につながる会計・財務・法律の知識も持っている必要があります。
②案件規模・地元M&A実績などがある
M&A仲介会社によって、取り扱う案件の規模は異なります。一般的に、店舗売買の仲介などであれば数百万円~数千万円、銀行や証券会社などでは数億円~数十億円程度の案件を取り扱うケースが多いです。
M&A仲介会社を選ぶ際は、自社と同程度の案件規模を取り扱っている機関に依頼すると良いでしょう。取り扱う案件規模が大きく異なっていると、相手先企業がみつからない可能性があります。M&Aには地域独自の特徴が表れやすいため、地元でのM&A実績に関しても確認しておきましょう。
③M&Aに関する幅広い知識・経験を持っている
M&Aを円滑に進めるには、資格保有はもちろんのこと、豊富な実務経験から習得した知識も必要です。
仲介会社の実務経験についても相談段階で確認しておきましょう。
④手数料・相談料・報酬体系がわかりやすい
手数料・相談料・報酬体系の内容が不明確な場合、M&Aを進めていくうえでどの程度の費用になるのか予測ができません。
安心してサポートを任せるためにも、報酬体系がわかりやすい仲介会社を選ぶことが重要です。
⑤担当スタッフの対応や相性がいい
M&A仲介会社を選ぶ際は、担当スタッフの対応・相性も注意深く確認しておく必要があります。M&Aを進める際、担当者とは幾度も交渉を重ねなければなりません。
気持ち良くM&Aを進めるためにも、担当スタッフとの相性は重要であると言えます。
M&A仲介会社の特徴と選び方については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
7. 奈良県のM&A・会社売却・事業承継のまとめ
今回は、奈良県におけるM&A・会社売却・事業承継の案件一覧などを紹介しました。公的機関である奈良県事業承継・引継ぎ支援センターの概要も解説しています。
M&Aを成功させるには、手法の選択・戦略策定などに加え、専門的な知識・見解や交渉力も必要になります。したがって、自社のみでM&Aを進めるのではなく、M&A仲介会社など専門家のサポートのもとで行うのがおすすめです。
仲介会社の特徴を把握し、自社の状況にふさわしいM&A仲介会社を選択しましょう。
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