【2023】工作機械業界のM&A動向と最新事例を紹介!現状と今後の課題は?

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

工作機械業界では、大手企業の再編や海外進出を目的としたM&Aが増加しています。中堅・中小企業においては、後継者問題の解決策としてM&Aが活用されるケースが増えています。本記事では、工作機械業界のM&A動向と最新事例を紹介します。

目次

  1. 【2021】工作機械業界のM&A動向
  2. 【2021】工作機械業界M&Aの最新事例
  3. 【2021】工作機械業界のM&Aを行うメリット
  4. 【2021】工作機械業界のM&Aを行う際のポイント
  5. 工作機械業界のM&Aを行う際におすすめ仲介会社
  6. まとめ
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1. 【2021】工作機械業界のM&A動向

工作機械業界には国内外の政治・経済状況に影響を受けやすい特徴があり、リーマンショックや海外向けの需要減少などで受注額が急激に落ち込むことが多々あります。

近年では、新型コロナウイルスの影響が顕著にでています。当初の見込みでは、2020年の工作機械受注総額は1兆2000億円でしたが、最終的に1兆円を割り込む(日工会)と下方修正されています。

工作機械業界は社会環境の影響を受けやすいですが、M&Aとの関係性はどうなっているのでしょうか。この章では、工作機械業界の定義や市場動向、M&Aを行う目的について解説します。

工作機械業界とは

工作機械とは、工業素材を所定の寸法・形状に加工する機械のことです。この工作機械を製造する事業者が属する業界が工作機械業界となります。

加工方法は切削・研削・研磨(除去加工)などの工程とされており、せん断・プレス・曲げ加工(非除去加工)などを行う機械は工作機械に含まれません。

工作機械の役割は複雑な部品を正確かつ効率的に作る事です。あらゆる機械やその部品は工作機械を通じて作られていることから、工作機械のことを「機械を作る機械」や「マザーマシン(母なる機械)」と呼ばれています。

工作機械業界M&Aの現状と市場動向

日本工作機械工業会(日工会)のデータによると、2020年1~8月累計の受注総額は5478億円(前年同期比-37.2%)と大幅に落ち込んでいます。

内訳は、内需2064億円(-40.2%)外需3414億円(-35.2%)となっています。新型コロナウイルスの影響で国内外で大幅に需要が落ち込んだとみられています。

今後の市場動向としては、好材料は半導体製造装置の需要増、悪材料は新型コロナウイルスの感染拡大・米中貿易摩擦・自動車関連の受注減少などが挙げられます。

工作機械業界M&Aの今後の課題

工作機械業界では、課題を解決するためにM&Aを活用するケースが多いです。工作機械業界で今後の課題として挙げられるものは以下の2つです。

【工作機械業界の今後の課題】

  1. 製造業全体の人材不足
  2. IoT・AI対応によるスマート工場化

1.製造業全体の人材不足

日本の製造業はGDP20%、就労人口20%を占める一大産業です。近年は人口減少により人材不足が深刻化しており、工作機械業界も人材確保に追われているのが現状です。

また、工作機械業界の中堅・中小企業では、後継者問題も深刻化しています。労働力と後継者の両面で人材不足に悩まされており、廃業危機に瀕しています。

2.IoT・AI対応によるスマート工場化

近年、工作機械業界全体で取り組まれているのは、IoT・AI・ビッグデータ等のIT技術を活用した工場生産の効率化です。

日本の工作機械業界は、技術力に強みを持つ一方でIT技術に弱い一面を持っており、管理体制の効率化という面で海外の競合他社から一歩引いているのが現状です。

強みと弱みを把握したうえでITノウハウを取り入れ、スマート工場化を目指すことが工作機械業界の課題といわれています。

過去事例から見る工作機械業界M&Aの目的

工作機械業界では、さまざまなメーカーがそれぞれの目的を果たすためにM&Aを実施しています。この章では、過去事例を参照しながら工作機械業界のM&Aの目的を解説します。

【工作機械業界でM&Aを行う目的】

  1. クロスボーダーM&A
  2. 海外事業の強化
  3. 国内での業界再編

1.クロスボーダーM&A

クロスボーダーM&Aとは、国境を越えたM&Aのことです。M&A当事者のうち、売り手もしくは買い手のどちらかが海外企業の場合にクロスボーダーM&Aと扱われます。

クロスボーダーM&Aの主な目的は、海外進出して新たな市場を獲得することです。老人ホーム等の例外を除いて、あらゆる事業で国内市場の成熟化が進んでいるため、積極的な海外進出が必要とされています。

クロスボーダーM&Aの代表的なM&A事例は、2019年の小松製作所によるImmersive Technologies Pty Ltd.(Immersive、オーストラリア)の子会社化です。

Immersiveは、鉱山機械向けシミュレーターの開発・製造・販売を手掛ける工作機械メーカーであり、現場の安全性や生産性の向上を目的とする教育プログラムなどでも高い評価を獲得しています。

コマツは中期経営計画にて成長分野への積極投資を掲げており、今後の成長が期待される鉱山機械分野を獲得するためクロスボーダーM&Aを実施しました。

2.海外事業の強化

工作機械業界は海外進出を目指すメーカーが多い一方で、既に進出を果たしたメーカーはさらなる海外事業の強化を推進しています。

海外事業の強化を目的としたM&A事例としては、2019年の住友商事による浅間技研工業の子会社化が挙げられます。

浅間技研工業は、ホンダや本田系列の部品メーカーに自動車ブレーキ部品を納入している製造メーカーです。既に海外進出を果たしており、アメリカとインドネシアに合計3拠点の工場を所有しています。

住友商事は、自社が手掛ける自動車ブレーキ部品事業を強化するとともに、浅間技研工業の工場を拠点にアメリカ・インドネシアの市場で事業展開するとしています。

3.国内での業界再編

工作機械業界では、国内の業界再編の動きも強まっています。主な目的には、スケールメリットによる既存事業の強化や新規事業の着手などが挙げられます。

国内での業界再編を目的としたM&A事例では、富士紡ホールディングスによる東京金型の子会社化があります。

東京金型は、プラスチック金型を主力とする工作機械メーカーです。早期段階から海外進出に取り組んでおり、韓国拠点での大量生産でコスト削減等を実現させてきました。

富士紡ホールディングスは、経営計画で「研磨材事業」「化学工業品事業」「繊維事業」の3つの中核事業に加えて、4つ目の柱事業として「化成品事業」を挙げています。

東京金型の高い技術力を手に入れることで、新たに取り組むを強化する化成品事業の基盤強化と事業拡大などを実現する見込みです。

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2. 【2021】工作機械業界M&Aの最新事例

工作機械業界ではM&Aが活性化していますが、実際のM&Aはどのような形で実施されているのでしょうか。この章では、工作機械業界のM&A事例10選を紹介します。

【工作機械業界のM&A事例10選】

  1. 凸版印刷によるアイオイ・システムの子会社化
  2. アルフレッサHDとドーナッツロボティクスの資本業務提携
  3. ジャパンエレベーターサービスHDによるトヨタファシリティーサービスの子会社化
  4. 澁谷工業による連結子会社の吸収合併
  5. エムスリーによる東和産業の完全子会社化
  6. ブイ・テクノロジーによるリソテックジャパンの完全子会社化
  7. オリンパスによる米医療機器メーカーの買収
  8. ベルテクス・パートナーズとSpiralの資本業務提携
  9. 佐々木化学薬品によるバイオエックスの完全子会社化
  10. ジャパンエレベーターサービスHDによるコスモジャパンの完全子会社化

1.凸版印刷によるアイオイ・システムの子会社化

凸版印刷によるアイオイ・システムの子会社化

凸版印刷

出典:https://www.toppan.co.jp/

2021年5月、凸版印刷はアイオイ・システム株式を取得して子会社化することを公表しました。凸版印刷の株式の取得割合は75.8%です。

アイオイ・システムは、ハードウェア・ソフトウェアの開発・制作・販売や、ロジスティクスシステムの提案・設計・開発・販売を手掛けるなど、IT分野に強みを持つメーカーです。

本件は、凸版印刷が注力するシステム物流事業の強化を目的としており、アイオイ・システムの技術・ノウハウを駆使することで物流業界のDX市場に参入するとしています。

2.アルフレッサHDとドーナッツロボティクスの資本業務提携

アルフレッサHDとドーナッツロボティクスの資本業務提携

アルフレッサHD

出典:https://www.alfresa.com/

2021年5月、アルフレッサホールディングスの子会社アルフレッサはドーナッツロボティクスと資本業務提携を締結しました。

ドーナッツロボティクスは、革新的なプロダクトとしてロボット開発を手掛けているメーカーです。

受付・見守り・防犯等の用途で活用できるスマートロボット「cinnamon」や、八か国語対応の翻訳機能を持つ世界初のスマート マスク「C-FACE」などを開発しています。

アルフレッサグループは、中期経営計画として事業モデルの変革を掲げています。今後の成長分野として期待されるロボット技術・デジタル技術に注力することで、社会課題の解決を目指すとしています。

3.ジャパンエレベーターサービスHDによるトヨタファシリティーサービスの子会社化

ジャパンエレベーターサービスHDによるトヨタファシリティーサービスの子会社化

ジャパンエレベーターサービスHD

出典:https://www.jes24.co.jp/

2021年5月、ジャパンエレベーターサービスホールディングスはトヨタファシリティーサービスの株式を取得して子会社化することを公表しました。取得割合は60%で取得価額は非公表となっています。

トヨタファシリティーサービスは、東京都豊島区を拠点にエレベーター等メンテナンス事業を営むメーカーです。

東京を中心とした首都圏や大阪・兵庫等の関西圏において、1,000台以上のエレベーター保守管理を手掛けています。

ジャパンエレベーターサービスホールディングスは、首都圏・関西圏の事業基盤の強化を図ることでサービス品質の向上や優位性を活かした事業連携を目指すとしています。

4.澁谷工業による連結子会社の吸収合併

澁谷工業による連結子会社の吸収合併

澁谷工業

出典:https://www.shibuya.co.jp/

2021年2月、澁谷工業は連結子会社のシブヤマシナリーを吸収合併することを公表しました。効力発生日は2021年7月1日を予定しています。

シブヤマシナリーは、パッケージングプラント製品及びFAエンジニアリングの製造・販売を手掛けるメーカーです。石川県金沢市に本社を構え、ボトリングシステムでは世界一のシェアを誇っています。

今回の吸収合併の目的は、グループ間取引の調整や管理面の重複を解消することです。澁谷工業への販売依存度が7割を超えている状況であり、業務効率を高めるためには吸収合併が最適という判断が下されました。

5.エムスリーによる東和産業の完全子会社化

エムスリーによる東和産業の完全子会社化

エムスリー

出典:https://corporate.m3.com/

2021年1月、エムスリーは東和産業の全株式を取得して完全子会社化することを公表しました。取得価額は非公表とされています。

東和産業は、関西圏で最大級の眼科特化の専門商社です。高度な眼科医療知識や眼科開業支援等のサービスで、関西圏で盤石な営業基盤を構築しています。

エムスリーは本件のシナジー効果として、サービス提供地域の拡大とデジタルトランスフォーメーションの2つを挙げており、東和産業と経営資源を共有することで、医療機器業界での事業規模拡大を目指すとしています。

6.ブイ・テクノロジーによるリソテックジャパンの完全子会社化

ブイ・テクノロジーによるリソテックジャパンの完全子会社化

ブイ・テクノロジー

出典:https://www.vtec.co.jp/ja/index.html

2020年12月、ブイ・テクノロジーはリソテックジャパンの全株式を取得して完全子会社化することを公表しました。取得価額は非公表です。

リソテックジャパンは、微細加工プロセス用評価・製造装置の開発、製造、販売等を手掛ける研究開発型の企業です。

今後は、ブイ・テクノロジーの経営資源を投下することで、リソテックジャパンの知見を活かした露光装置等の開発を進め、グループの半導体事業の成長を目指すとしています。

7.オリンパスによる米医療機器メーカーの買収

オリンパスによる米医療機器メーカーの買収

オリンパス

出典:https://www.olympus-imaging.jp/

2020年12月、オリンパスはVeran Medical Technologies(VMT、アメリカ)の全株式を取得して完全子会社化することを公表しました。取得価額は約3億ドル(約312億円)です。

VMTは気管支内視鏡を活用した治療・診断を専門とする医療機器メーカーです。独自に開発した電磁ナビゲーションシステムは、気管支の末梢部分へスムーズな到達を可能にするとして高い評価を獲得しています。

オリンパスは医療機器事業でのトップクラスのポジション確保を目指しています。今回のVMT買収を通して同事業の付加価値を高め、グループ全体の企業価値の向上を目指します。

8.ベルテクス・パートナーズとSpiralの資本業務提携

ベルテクス・パートナーズとSpiralの資本業務提携

ベルテクス・パートナーズ

出典:https://www.vertex-p.com/

2020年11月、ベルテクス・パートナーズは、Spiralと資本業務提携を締結したことを公表しました。

Spiralは、非GPS環境下でのドローンの飛行制御技術を持つスタートアップです。飛行ロボット開発や生産技術の知見を持つ有識者により、2016年に共同創業されました。

今後はSpiralのドローン技術を活用して、建築・土木業界をはじめとするさまざまな業界にソリューションの提供を行うとしています。また、人材不足や高齢化等の社会問題に対しても、両社協業で取り組むとしています。

9.佐々木化学薬品によるバイオエックスの完全子会社化

佐々木化学薬品によるバイオエックスの完全子会社化

佐々木化学薬品

出典:https://www.sasaki-c.co.jp/

2020年10月、佐々木化学薬品はバイオエックスの全株式を取得して完全子会社化することを公表しました。

バイオエックスは、信号累積型バイオセンサー及び測定装置・関連試薬の開発・製造・販売を手掛けるメーカーであり、ISFETセンサーなどを用いた特殊なセンターと装置を保持しています。

今後はライフサイエンス分野のものづくりの活性化に向けて、抗体試薬・迅速酵素反応測定装置・pH計測機器などを提供していくとしています。

10.ジャパンエレベーターサービスHDによるコスモジャパンの完全子会社化

ジャパンエレベーターサービスHDによるコスモジャパンの完全子会社化

ジャパンエレベーターサービスHD

出典:https://www.jes24.co.jp/

2020年9月、ジャパンエレベーターサービスホールディングスはコスモジャパンの全株式を取得して完全子会社化することを公表しました。取得価額は非公表です。

コスモジャパンは、青森県八戸市を拠点としてエレベーター等メンテナンス事業を営むメーカーです。青森・盛岡・仙台・鶴岡エリアで、約400台のエレベーター保守管理を手掛けています。

同じくエレベーター等メンテナンス事業を営むジャパンエレベーターサービスHDは、未進出エリアであった東北地区に進出することで事業基盤の強化を図り、顧客基盤の共有などを通して事業連携を取っていくとしています。

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3. 【2021】工作機械業界のM&Aを行うメリット

工作機械業界のM&Aは売り手と買い手の双方にメリットがあります。なかには工作機械業界が抱える課題解決に有効なメリットも含まれており、多くの工作機械メーカーがM&Aを検討しています。

この章では、工作機械業界のM&Aを行うメリットを、売り手と買い手のそれぞれの視点に立って解説します。

売り手企業のメリット

まずは工作機械業界のM&Aの売り手側のメリットです。特に影響の大きいメリットは以下の4つが挙げられます。

【工作機械業界のM&Aの売り手のメリット】

  1. 後継者問題の解決
  2. 単独では難しい海外進出を可能にする
  3. 従業員の雇用先を確保することができる
  4. 培ってきた技術の継承ができる

1.後継者問題の解決

工作機械業界の経営者は、70年代のバブル期に創業した団塊世代が多くなっています。2020年頃からは引退適齢期に差し掛かっており、M&Aや事業承継による引継ぎが必要な時期になっています。

親族に後継者がいる場合は事業承継による引継ぎで問題ないですが、近年は少子高齢化などの影響で後継者不在の工作機械メーカーが増えています。

現経営者が高齢になるほど経営力の低下が懸念されるため、取返しのつかない事態になる前にM&Aで後継者を探そうとする動きが強まってきています。

2.単独では難しい海外進出を可能にする

工作機械業界の海外進出は、海外市場や海外の生産拠点の確保を目的に行われます。海外進出で得られる見返りは大きい反面、初期コストが肥大化しやすい傾向が強く、単独では難しいのが現状です。

M&A売却で大手グループの傘下に加わると、豊富な経営資源を活用することができます。工作機械業界の大手であれば既に海外拠点を構えていることが多いので、一定の市場やノウハウを獲得できます。

3.従業員の雇用先を確保することができる

後継者問題や業績悪化等の理由で廃業する場合は、従業員を解雇しなくてはなりませんが、M&Aであれば従業員の雇用先を確保できます。

従業員の雇用条件は、基本的に売り手と買い手の交渉で決定します。近年の工作機械業界では労働力不足の深刻化により人材を欲しがる買い手が増えているため、雇用条件も維持されるケースが多いです。

人材を欲しがる傾向は、大手の工作機械メーカーになるほど強くなります。海外進出を果たしてグローバルな環境で競争している大手は受注量も多く、その分の労働力を欲しています。

4.培ってきた技術の継承ができる

少子高齢化の影響により、製造業全体の熟練技能者の減少が深刻化しています。熟練者の雇用が失われると、その企業だけでなく工作機械業界全体の損失ともなります。

また、近年はAIなどの先進技術を活用した自動化加工によって、工作機械に高付加価値を付けようとする動きも加速しています。

会社全体で培ってきた技術やノウハウを途切れさせないことで、工作機械業界の発展に貢献することができます。

買い手企業のメリット

続いて、工作機械業界のM&Aの買い手のメリットをみていきます。以下の3つは買い手の目的にもなることが多いメリットです。

【工作機械業界のM&Aの買い手のメリット】

  1. 新規で製造業への事業参入
  2. 新しい顧客・技術・人材の獲得
  3. コスト減につながる

1.新規で製造業への事業参入

日本の工作機械業界は技術力が高いことで知られているので、ビジネスチャンスを狙って異業種から参入を検討している事業者も少なくありません。

異業種からの製造業への参入は、市場調査や競合他社との差別化、流通チャネルの確保など、あらゆる障壁があります。

これらをゼロから構築しようとすると大変な費用と手間がかかりますが、M&Aで既存の工作機械メーカーを買収すれば必要な知識とノウハウを一度に獲得することができます。

2.新しい顧客・技術・人材の獲得

工作機械メーカーの業績は、顧客・技術・人材から受ける影響が大きくなりやすい傾向にあり、案件受注のためのチャネルや、加工する技術・労働力が備わって事業として成立します。

顧客に関しては、特に地方の工作機械メーカーは地域密着型で独自の基盤を有していることが多いです。未進出エリアの開拓と顧客確保を両立できるので大きなメリットといえます。

技術や人材は時間をかけることで補うこともできますが、技術の研鑽や人材の育成に時間をかけるよりも、M&Aで獲得したほうがスピーディーな成長戦略を描きやすくなります。

3.コスト減につながる

工作機械業界のM&Aは、スケールメリットによるコスト削減の恩恵が大きく受けられます。国内の業界再編などは、国内市場のシェア獲得やスケールメリットを目的に行われることが多いです。

固定費(工場の土地代・機械代等)は生産量に関わらず支出するものなので、グループの規模が拡大して受注量が増えると固定費の割合が少なくなってコスト削減効果が高くなります

ただし、買収先のメーカーが保有する工場・機械等の管理費は必要になるので、常に固定費と変動費の計算は行っておく必要があります。

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4. 【2021】工作機械業界のM&Aを行う際のポイント

工作機械業界のM&Aを検討する際は、いくつか押さえておきたいポイントがあります。特に重視されるポイントは以下の3つです。

【工作機械業界のM&Aを成功させるポイント】

  1. 取引先メーカーが数多くあること
  2. 主要技術は自社が持っている
  3. 優秀な技術者がいる

1.取引先メーカーが数多くあること

工作機械業界は、案件を受注しなくては業績を向上させることができません。作った製品を納入する先が必要になるので、取引先メーカーが多いほど企業価値が高くなり、M&A相手がみつかる可能性も高くなります。

買い手側の視点においても、売り手が持つ取引先メーカーの多い少ないが1つの判断材料となります。売り手が数多くの取引先を持っていれば、優良な売却案件として捉えることができます。

2.主要技術は自社が持っている

工作機械業界は異業種からの参入事例も多々見受けられます。特に長年かけて培われた技術は高く評価されることが多く、M&A買収での獲得を狙うケースも少なくありません。

そのため、工作機械の加工工程で必要な技術を一通り備えていると、買い手に対してのアピールポイントになるので、対応できる加工方法や年間の加工量をまとめておくとよいでしょう。

また、工作機械業界では、IoT・AI等のIT技術も重要視されています。業界全体で管理体制の効率化が推進されており、M&AでITノウハウを取り込もうとする動きもみられます。

3.優秀な技術者がいる

大手工作機械メーカーは、多方面の取引先から大量の案件を受注できるので、とにかく生産力を高めたいと考えています。

工作機械業界の現状は圧倒的な人材不足に悩まされているので、M&A買収の目的が技術者の獲得であることも多いです。

M&A売却を検討する際は、自社の人材が持つ技術・スキルを確認してリスト化しておくと、相手探しをスムーズに進めやすくなります。

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5. 工作機械業界のM&Aを行う際におすすめ仲介会社

工作機械業界のM&Aは買い手・売り手の双方がメリットを得ることができますが、成約するまでに必要になる知識や工程は多岐にわたります。

M&Aに関することであれば、M&A仲介会社に相談することをおすすめします。M&A仲介サポートを生業としていて、交渉や手続きの代行等のサポートの対価として仲介手数料を受け取っているM&Aの専門家です。

M&A総合研究所は、幅広い業種で豊富な実績を持つM&A仲介会社です。特に中堅・中小規模の案件を得意としておりますので、工作機械業界における中小企業のM&Aもぜひお任せください。

M&Aの料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

無料相談をお受けしておりますので、工作機械業界のM&Aをご検討の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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6. まとめ

工作機械業界ではさまざまな目的でM&Aが実施されています。今後も国内外の競争環境は激化していくことが予想されるため、自社の基盤を固めておかなくてはなりません。

工作機械業界のM&Aを検討の際は、M&Aの専門家にするとスムーズに事を運びやすくなります。業界の動向チェックなども必要になるので、早めに相談しておくことをおすすめします。

【工作機械業界の今後の課題】

  1. 製造業全体の人材不足
  2. IoT・AI対応によるスマート工場化

【工作機械業界でM&Aを行う目的】
  1. クロスボーダーM&A
  2. 海外事業の強化
  3. 国内での業界再編

【工作機械業界のM&Aの売り手のメリット】
  1. 後継者問題の解決
  2. 単独では難しい海外進出を可能にする
  3. 従業員の雇用先を確保することができる
  4. 培ってきた技術の継承ができる

【工作機械業界のM&Aの買い手のメリット】
  1. 新規で製造業への事業参入
  2. 新しい顧客・技術・人材の獲得
  3. コスト減につながる

【工作機械業界のM&Aを成功させるポイント】
  1. 取引先メーカーが数多くあること
  2. 主要技術は自社が持っている
  3. 優秀な技術者がいる

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