株式譲渡の必要書類とは?手続きに沿って注意点も徹底解説

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

株式譲渡の手続きでは、後々のトラブルを防いだり株主の権利を守ったりするために、さまざまな必要書類の準備が不可欠です。本記事では、株式譲渡の必要書類について、作成の際に盛り込むべき項目や作成の注意点などを、株式譲渡の手続きに沿って解説します。

目次

  1. 株式譲渡とは
  2. 株式譲渡の手続き・流れ
  3. 株式譲渡に必要な書類まとめ
  4. 株式譲渡の手続き準備に関する注意点
  5. 株式譲渡の手続きと印紙税について
  6. 株式譲渡の手続きにかかる税金
  7. 株式譲渡の必要書類・手続きに関する相談先
  8. 株式譲渡の必要書類・手続きまとめ
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1. 株式譲渡とは

株式譲渡とは、売り手企業の株主から買い手側へ株式を売却して売り手企業の経営権を移行するM&A手法です。株式譲渡は、株式の売買で経営権を譲渡できるので手続きが簡便であり、手続きによる日常業務への影響が少ないメリットがあります。

一方で、株式譲渡では売買する事業や資産の個別選択はできないので、買い手側は思わぬリスクを抱える可能性も少なくありません。現在、日本ではさまざまな業界が変革期を迎えており、大企業や中堅企業は変化に対応するため積極的にM&Aを行っています。

多くの中小企業は後継者問題を抱えており、第三者への事業承継によって後継者問題の解決を図るケースが増えてきました。比較的手続きが簡便でデメリットの少ない株式譲渡は、M&Aによる事業承継を実施する際に用いられることの多い手法です。

【関連】M&A手法の株式譲渡とは?事業譲渡との違い、メリット、手続きを徹底紹介【図解あり】| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

2. 株式譲渡の手続き・流れ

株式譲渡の手続きは会社に株式譲渡制限があるかどうかで変わります。譲渡制限株式の株式譲渡を行うには以下の手続きが必要です。

  1. 株式譲渡承認請求
  2. 取締役会、もしくは株主総会の開催
  3. 株式譲渡契約の締結
  4. 決済手続き
  5. 株主名簿の書き換え

①株式譲渡承認請求

譲渡制限株式の引き渡しを行う場合、株主は会社から株式の引き渡しを認めてもらう必要があります。その際に必要となる書類が、株式譲渡承認請求書です。株主は、引き渡す株式数や譲渡相手を株式譲渡承認請求書に記載して提出します。

ただし、会社側が株式の引き渡しを認めないケースがあるかもしれません。そのような株式の引き渡しが認められなかった場合に備えて、株主は会社や指定買取人に対して株式を買い上げるように要求できることが、会社法で定められています。

株式譲渡承認請求を行う際の注意点

株式の引き渡しが認められなかった場合、株式は会社か指定買取人によって買い上げられますが、その際の売買価額は会社と株主の交渉によって決められます。希望価額が折り合わず交渉が難航すると、最終的に裁判にまで持ち込まれることにもなりかねません。

上場企業であれば、適正な株価の算定はある程度スムーズに行えますが、非公開会社の株価を適正に算定するのは難しいものがあります。株式譲渡を行う際は、M&Aの専門家などに依頼してあらかじめ株価算定をしておいたり、交渉のサポートを受けたりすると円滑な手続きが可能です。

②取締役会、もしくは株主総会の開催

株主から株式の引き渡しに関する承認を求められた会社は、引き渡しを認めるかどうか協議を行います。取締役会を設置している場合は取締役会で協議を行い、取締役会のない会社の場合は株主総会で株式の引き渡しを認めるかどうかの協議を行わなければなりません。

協議は株主から依頼があった後すぐに行い、2週間以内に株主へ結果を報告します。会社は株式の引き渡しを否認する場合、対象株式を会社が買い上げるか指定買取人が買い上げるかを決定しなければなりません。

会社が買い上げる場合は株主総会の特別決議を行い、指定買取人が買い上げる場合は取締役会か株主総会で決議します。会社が買い上げるのかそれとも指定買取人が買い上げるのか、また、何株買い上げるかが決まったら、株主へ報告しなければなりません。

取締役会、もしくは株主総会の開催の注意点

株主から承認を求められた会社は、2週間以内に一連の手続きを行う必要があり、2週間以内に株主へ報告しなかった場合は、要求を受け入れたものとみなされます。もし株式の引き渡しを認めない場合は速やかな手続きが必要です。

特に株主総会を開催しなければならない場合、株主の人数によっては準備に時間がかかることも考えられるので注意しなければなりません。

株式の引き渡しを否認する場合も、取締役会や株主総会を開き、会社が株式を買い上げるのか指定買取人が買い上げるのか、何株買い上げるのかを決定して株主へ報告します。

報告期限は、会社による買い取りが40日以内、指定買取人による買い取りが10日以内なので、いずれの場合も報告までの期限には注意が必要です。

③株式譲渡契約の締結

売り手と買い手間で取り決めがまとまり、上記の必要な手続きも済めば、株式譲渡契約の締結です。対価の納付まで済ませることで株式譲渡契約の約定とするケースもあれば、納付期限を定めて株式譲渡契約の約定後から期限日までに対価の納付を完了させるケースもあります。

前述したように、株式譲渡契約の必要書類は株式譲渡契約書です。株式譲渡契約書は法的拘束力を持つ書類なので、作成の際は専門家によるサポートが欠かせません

株式譲渡契約を締結する際の注意点

株式譲渡契約書は、必要書類のなかでも強い法的拘束力を持つ書類です。売り手と買い手の関係性や株式譲渡の規模によっては、株式譲渡契約書をシンプル化するケースや、契約書なしで株式譲渡契約の約定に至るケースも少なくありません。

しかし、株式譲渡契約の取り決めがあいまいだったことで、後々トラブルになるケースは少なからず発生しています。株式譲渡契約の取り決めは、どのような相手でどのような規模の株式譲渡であっても、入念に行うことが必須です。

トラブルを防ぎ株式譲渡のメリットを最大化するためにも、M&A専門家にサポートを依頼すると安心して手続きを任せられます。

④決済手続き

M&Aでは、最終契約書に記された内容を売り手・買い手が履行することをクロージングといいます。株式譲渡の場合、このクロージングのなかで最も重要なのが決済手続きです。決済手続きとは、売買取引における売り物の引き渡しと対価の支払いを意味します。

つまり、株式譲渡では、売り手からの株式の引き渡しであり、買い手による対価の払い込みのことです。この決済手続きの実行により、株式譲渡は完遂します。

⑤株主名簿の書き換え

売り手と買い手の間で株式の受け渡しが完了したら、売り手と買い手は会社に対して株主名簿を改めるように依頼します。その際の必要書類が株主名簿書換請求書です。必要書類を受け取った会社は、すぐに株主名簿を改めなければなりません。

会社が株主名簿を改めなければ、株主としての利益を享受できないからです。そして、新たな株主として更新されているか確認するための必要書類が、株主名簿記載事項証明書です。株主は、会社から株主名簿記載事項証明書を取り寄せられます。

株主名簿の書き換え時の注意点

株主から株主名簿を改めるように依頼がなければ、会社が自動的に改めることはありません。株主名簿書換請求書は、株主としての利益を得るための必要書類なので、必ず提出します。

株主名簿は会社設立時の必要書類の1つですが、その後きちんと管理していない中小企業も少なくありません。株主は株主名簿書換請求をしただけで安心せず、株主名簿記載事項証明書を請求して確認する必要があります。

3. 株式譲渡に必要な書類まとめ

株式譲渡の際、買い手側は従業員や取引先などとの契約を交わし直したり、各種許認可などを取り直したりする必要はないため、株式譲渡にかかる手続きは少なく済みます。ただし、株式譲渡は株主に与える影響が大きいので、株主を守るための契約が必要です。

売り手企業や買い手企業は、株式譲渡によって、メリットとともにリスクも負うことになります。株主の保護や売り手・買い手企業のリスクを減らすため、株式譲渡にはさまざまな書類が必要です。ここでは、株式譲渡の必要書類や株式譲渡契約書に記載される項目を解説します。

株式譲渡に必要な書類

株式譲渡の主な必要書類には、以下の7種類があります。

  • 株式譲渡承認請求書
  • 株式譲渡契約書
  • 株主名簿記載事項書換請求書
  • 株主名簿
  • 株主総会招集通知
  • 株主総会議事録
  • 株主名簿記載事項証明書

株式譲渡承認請求書

定款で株式譲渡制限を定めている会社の株式を売却しようとする株主は、株式譲渡承認請求書を会社に提出しなければなりません。株式譲渡承認請求書には、譲渡する株式数や譲渡相手を記載します。

株式譲渡承認請求書が承認されれば、株主は株式の譲渡を行えるようになります。株式譲渡制限を定めていることの多い中小企業の場合、株式譲渡の際には株式譲渡承認請求書が必須の書類です。以下では、譲渡承認請求の必要書類である株式譲渡承認請求書の記載例を紹介します。
 

 
                株式譲渡承認請求書

                           令和〇〇年〇〇月〇〇日

株式会社〇〇
代表取締役社長 〇〇 〇〇 殿

私は、下記の貴社株式を譲渡するため、貴社のご承認をお願いいたします。株式の譲渡を承認しない場合には、他に譲渡の相手方をご指定ください。

                     記

1. 譲渡する相手方の住所及び氏名
 東京都〇〇区〇〇
 〇〇 〇〇

2.譲渡する株式の種類及び数
 普通株式 〇〇株

                        株主住所 〇〇
                        株主名  〇〇 印
 

株式譲渡契約書

M&Aを行う際の必要書類として最終契約書があり、株式譲渡の際は株式譲渡契約書が手続きに必要な書類となります。株式譲渡契約書に記載される契約内容は、売り手と買い手の交渉を基に決定されますが、主な項目は以下のとおりです。

  • 譲渡の合意の表明
  • 譲渡金の支払い方法
  • 譲渡承認手続きについて
  • 名義書き換え
  • 株式譲渡の表明保証
  • 契約解除条項
  • 損害賠償について

株式譲渡契約書は、売り手と買い手双方の合意によって作成された法的拘束力のある書類であるため、契約内容に違反した場合は損害賠償を請求されます。

株主名簿記載事項書換請求書

株式譲渡によって株主が変わった場合、売り手株主と買い手株主は、会社に対して株主名簿記載事項書換請求書を提出し、株主名簿の書き換えを依頼します。この書類によって、買い手側株主は株主としての権利を主張できるでしょう。

株主名簿記載事項書換請求書には法令で定められた様式はありません。一般的に、売り手株主と買い手株主の住所氏名や売買株式数を記載する形式が用いられています。以下は、株主名簿書換の必要書類である株主名簿記載事項書換請求書の記載例です。
 


               株主名簿記載事項書換請求書

                        令和〇〇年〇〇月〇〇日

株式会社〇〇 御中

貴社株式について、下記のとおり株主名簿書換を請求いたします。

                   記

1. 株式の種類及び株式数
    普通株式 〇〇株

2. 請求者
 譲渡人
    〒000-0000 
       東京都〇〇区〇〇
     〇〇 〇〇     印

 譲受人
 〒000-0000 
       東京都〇〇区〇〇
     〇〇 〇〇     印
 

株主名簿

株式譲渡によって株主が変わった場合、企業は株主名簿を更新しなければなりません。株主名簿を適切に書類管理していない場合、罰金が課されることがあります。

株主名簿には、株主の氏名(法人の場合は商号)、住所、株式数、種類株式の場合はその種類、株式の取得日を記載することが、会社法での定めです。

株主総会招集通知

株主から株式譲渡承認請求書が提出された場合、取締役会を設置していない会社の場合、株主総会を開いて承認の可否を決めなければなりません。株主総会を開催する場合には、株主に対し、株主総会招集通知書類の発送が必要です。

株主総会議事録

株主総会の開催では、その内容を記録する書類として、必ず株主総会議事録を作成し残します。これは、会社法で定められているものです。

株主名簿記載事項証明書

株主にとって、株主名簿記載事項証明書は、当該企業の株主であることを立証できる書類です。株式譲渡を受けて新たに当該企業の株主となった場合には、まず、会社に対して株主名簿記載事項書換請求書を提出します。

その後、確実に株主名簿記載事項が書き換えされたか確認する意味も含め、株式名簿記載事項証明書交付請求書を書類として提出し、株主名簿記載事項証明書を受け取るのが順当な方法です。

株式譲渡の契約書作成の際に記載される項目

株式譲渡契約書に必ず記載する条項は、以下の7つです。ここでは、株式譲渡契約書の記載例とともに、それぞれの項目を解説します。

  • 譲渡合意 
  • 譲渡金の支払い方法
  • 譲渡承認手続きについて
  • 株主名簿書換
  • 株式譲渡の表明保証
  • 契約解除条項
  • 損害賠償について
 

                 株式譲渡契約書

〇〇(以下「甲」という)と〇〇(以下「乙」という)は、甲が所有する株式の譲渡について以下のとおり契約する。

第1条(譲渡合意)
甲は乙に対し、甲の所有する以下の株式(以下「本件株式」という)を譲渡し、乙はこれを譲り受ける。

発行会社  〇〇
株式の種類 〇〇
株式の数  〇〇
譲渡価額  〇〇

第2条(譲渡代金の支払等)
乙は甲に対し、本件株式の譲渡代金全額を〇〇年〇〇月〇〇日までに、下記指定口座に振込支払いするものとする。

〇〇銀行〇〇支店 普通 口座番号〇〇〇〇
名義人〇〇 〇〇

第3条(株主名簿書換)
1 甲は〇〇年〇〇月〇〇日までに、本件株式の譲渡について発行会社の承認を得るものとする。
2 甲及び乙は発行会社の承認後、発行会社に対し甲から乙へ株主名簿の書換えを行うように共同して請求する。

第4条(表明保証)
甲は乙に対し、以下の事項を表明し保証する。
⑴ 発行会社の発行済み株式総数が〇〇株であること。
⑵ 発行会社の財務内容は直近会計年度末の決算書類及び〇〇年〇〇月〇〇日現在の計算書類のとおりであり、発行会社に簿外債務がないこと。
⑶ 本件株式に株主権の行使を妨げる瑕疵がないこと。
⑷ 〇〇
⑸ 〇〇

第5条(契約解除)
1 甲または乙が本契約に違反した場合、相手方は相当期間を定めて催告のうえ本契約を解除し、違反者に対し、被った損害の賠償を請求できる。
2 前条の保証に相違する事実が判明した場合、乙は本契約を解除し、甲に対し、その被った損害の賠償を請求できる。

第6条(専属的合意管轄裁判所)
本契約に関する紛争については、〇〇地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

譲渡合意

株式譲渡契約書には、株式譲渡を行う売り手と買い手の氏名と住所(法人の場合は商号と所在地)、株式の種類、株式数、譲渡価額といった、株式譲渡における合意内容を記載しなければなりません。

なお、株式の贈与によって株式譲渡を行う場合、譲渡価額は無償となります。株式譲渡は無償で行うことも可能ですが、その場合は課税に注意が必要です。

譲渡金の支払い方法

譲渡金の支払い方法の項目に記載するのは、1株当たりの対価や譲渡総額、支払期日、支払いを行うための口座などです。

株式譲渡契約書を取り交わした日と同日に譲渡対価を支払う契約の場合は、譲渡対価の支払いを確認したうえで、譲渡対価の支払いと受領が完了した旨を記載することもあります。

譲渡承認手続きについて

株式譲渡制限のある会社の場合、株式譲渡契約を完了するには株主が会社に対して株式譲渡承認請求を行い、承認を得なければなりません。株式譲渡の大前提となることなので、株主が株式譲渡承認請求を行うように必ず書類に記載します。

株主名簿書換

株主名簿の書換は、株式譲渡契約の効力発生日以降に行われます。万が一、株主名簿書換が行われないままになってしまうと、株主は自身の権利を行使できません。株主名簿の書換を行ってもらうために、株主名簿書換の項目を書類に盛り込みます。

株式譲渡の表明保証

株式譲渡における表明保証とは、売り手企業が買い手側に提供した情報に間違いがなく、隠している情報もないことを表明し保証することをさします。

何をどのような文言で表明保証に加えるかによって、後々トラブルになった場合の効力も変わってくるため、表明保証の内容は専門家に相談しながら慎重に決めることが重要です。表明保証に加える内容例としては、以下のようなものがあります。

  • 発行会社の株式発行総数に間違いがないこと
  • 簿外債務はないこと
  • 決算書類と実際の財務内容に違いはないこと
  • 事業内容に法令違反はないこと
  • 対象株式に契約履行を妨げる瑕疵はないこと

契約解除条項

契約解除条項に記載するのは、売り手側か買い手側に契約違反があった場合に、期間を定めて催告と損害賠償請求を行う旨です。表明保証の項で定めた内容に違反があった場合にも、契約解除や損害賠償請求ができる旨を合わせて記載することもあります。

表明保証違反を契約解除事由に含めるかどうかは、売り手と買い手の交渉次第となるため、後々のことを考慮して判断することが肝要です。

損害賠償について

本項目では、損害賠償請求を行える期間や損害賠償請求の上限額などを定めます。万が一、損害賠償請求を行う事態になった場合に備え、あらかじめ第1審を行う地方裁判所を株式譲渡契約書で定めておくのが常です。

無償取引の株式譲渡契約書の作成について

親族内で無償株式譲渡を行う場合や、多額の負債を抱えた会社を無償で譲渡する場合、必要書類として無償株式譲渡契約書を作成することがあります。無償株式譲渡は、譲渡対価の支払いに関する取り決めの必要がないので、有償の株式譲渡契約書よりもシンプルな内容です。

売り手と買い手の関係性によっては、株式譲渡契約書を作成しないケースも少なくありません。しかし、契約書を作成しなかったことで、後日、トラブルに発展した際に問題が泥沼化しがちです。

したがって、無償の譲渡契約であっても、株式譲渡契約書は専門家に依頼するなどして入念に作成するべきでしょう。

【関連】株式譲渡承認請求書とは?書き方・記入例、手続き方法を徹底解説【テンプレート/雛形あり】| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

4. 株式譲渡の手続き準備に関する注意点

株式譲渡を行う際は、以下の4点に注意が必要です。

  1. 自社が株券発行会社なのか
  2. 譲渡制限のある株式ではないか
  3. 株式譲渡には税金が発生する
  4. 取引価額の決定が難航する場合がある

①自社が株券発行会社なのか

株券発行会社が株式譲渡を行う場合、売り手側株主は買い手側に株券を渡すことで株式譲渡の効力が発生します。しかし、売り手側の株主が株券を持っていないケースもあり、その場合、株主は会社に株券の発行を請求し、会社は株主へ株券を交付しなければなりません。

株券発行会社は、株券を発行していない会社と比べると、株券の交付というひと手間が必要になります。会社が株券発行会社か、株券不発行会社かが不明確な場合は、登記簿謄本での確認が必要です。

②譲渡制限のある株式ではないか

上場企業のように、ある程度、自由に株式を売買できる場合と違い、株式譲渡制限を定めている会社の株式を譲渡するには会社の承認が必要です。

大半の中小企業は株式譲渡制限を定めており、制限を定めていないケースは少数なので、株式譲渡を行う際に株式譲渡承認請求が必要かどうか、確認しておく必要があります。

③株式譲渡には税金が発生する

株式を時価で譲渡する場合、売り手には譲渡益に対して税金が発生し、買い手に税金は発生しません。売り手が個人の場合は所得税と住民税、復興特別所得税(2037(令和19)年までの時限税)、法人の場合は法人税が課されます。

ただし、非上場株式を売買する際、譲渡価額が時価よりも著しく低い場合や無償譲渡の場合、あるいは時価よりも高い場合は、時価で譲渡する場合と比べて税金の種類や税率が変わるので注意が必要です。

中小企業が親族や知り合いの企業へ株式譲渡を行う場合、税金に関するトラブルが発生することも多いため、非上場株式の株式譲渡を行う際は、専門家に相談するなどして備えておくべきでしょう。

④取引価額の決定が難航する場合がある

株式譲渡制限のある中小企業で、オーナー経営者以外の株主が株式譲渡承認請求を行った場合、譲渡先次第では株式譲渡承認請求が拒否される可能性もあります。その場合、会社または会社指定の買取人が、株主の所有する株式を買取るのが会社法の定めです。

会社または指定買取人は、株主との間で株式の買取価額の交渉を行います。非上場の中小企業の株式には市場株価がないため、交渉の目安額がありません。専門家に株式価値算定を依頼し、そのうえで交渉するのが順当ですが、取引価額の決定まで難航も予想されます。

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5. 株式譲渡の手続きと印紙税について

株式譲渡手続きの際は、印紙税にも注意が必要です。株式譲渡契約書には、印紙税が必要ない場合と必要となる場合があります。印紙税が必要となる場合、譲渡金額によっては高額となるので、事前に確認しておかなければなりません。

収入印紙は基本的に貼る必要がない

株式譲渡の場合、基本的に契約書に収入印紙を貼る必要はないとされています。これは、法律で明確に「株式譲渡契約書には収入印紙を貼る必要がない」と記載されているわけではなく、株式譲渡契約書の内容から判断して印紙税は必要ないということです。

したがって、株式譲渡契約書であれば全て印紙税が必要ないということではありません。事前に専門家に確認依頼することをおすすめします。

収入印紙を貼る必要がある場合

株式譲渡契約書の内容が、「株式の対価を支払うことで株式譲渡契約の締結が完了する」という場合、株式譲渡契約書は有価証券の受取書とみなされ、印紙税が発生します。

印紙税が発生しないように株式譲渡手続きを進めるのであれば、株式譲渡契約を締結した後に株式の対価を支払うスケジュールにしなければなりません。なお、2022(令和4)年8月現在、国税庁が公開している印紙税額は以下のとおりです。

取引金額 印紙税額
5万円未満 非課税
5万円以上100万円以下 200円
100万円を超え200万円以下 400円
200万円を超え300万円以下 600円
300万円を超え500万円以下 1千円
500万円を超え1千万円以下 2千円
1千万円を超え2千万円以下 4千円
2千万円を超え3千万円以下 6千円
3千万円を超え5千万円以下 1万円
5千万円を超え1億円以下 2万円
1億円を超え2億円以下 4万円
2億円を超え3億円以下 6万円
3億円を超え5億円以下 10万円
5億円を超え10億円以下 15万円
10億円を超えるもの 20万円
出典:国税庁「第5号文書から第20号文書までの印紙税額の一覧表」

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6. 株式譲渡の手続きにかかる税金

株式譲渡実際の際、発生する税金について説明します。まず、株式譲渡の買い手の場合は、事業譲渡のように消費税が発生することはありません。それは株式譲渡が包括承継であるからです。

ただし、親族間の株式譲渡などで、適正額(時価)よりも安い金額で株式を譲受した場合には、適正額と実際の取得価額の差額が大きいほど、贈与税や相続税が課される可能性があります。注意しましょう。

株式譲渡の売り手の場合は、個人か法人かで課される税金が異なります。

株主が個人の場合の税金

株式譲渡する株主が個人の場合、株式譲渡所得に対して分離課税を受けます。課される税金は以下のとおりです。

  • 所得税:15%
  • 住民税:5%
  • 復興特別所得税:0.315%(2037年までの時限税)

株式譲渡所得額は以下のように計算しますが、仮に上場株式の取引で損が出ていたとしても、上場株式と非上場株式は損益通算できなくなりましたので注意してください。
  • 株式譲渡所得額=譲渡価額-(株式取得費用+譲渡手続きに関わる委託手数料など)

株主が法人の場合の税金

法人が株式譲渡で得た利益に対し課されるのは法人税です。法人の場合、株式譲渡所得とはいわず、株式譲渡益といいます。計算方法は、個人の場合と同様です、ただし、法人には分離課税という制度はありません。

株式譲渡を実施した年度の他の損益と通算した最終的な決算額(利益額)に対して、法人税が課されます。仮に株式譲渡益を上回る金額の損金があって決算が赤字の場合は、課税を受けません。法人税の実効税率は約31%(2022年8月現在)ですが、法人税には以下の種類があります。

  • 法人税
  • 法人住民税
  • 法人事業税
  • 特別法人事業税

【関連】株式譲渡の税金はいくら?種類、計算方法、特例制度を徹底解説!| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

7. 株式譲渡の必要書類・手続きに関する相談先

株式譲渡を円滑に進めるには、株式譲渡の必要書類を正確に作成したり、的確なスケジュールを組んだりする必要があります。そのためには、株式譲渡に精通した専門家のサポートが欠かせません。

M&A総合研究所では、株式譲渡の交渉や必要書類作成などの手続き、税務面のアドバイスなど、経験豊富なアドバイザーが株式譲渡をフルサポートします。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談を随時、受け付けていますので、株式譲渡をご検討の際は、M&A総合研究所までお気軽にお問い合わせください。

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8. 株式譲渡の必要書類・手続きまとめ

株式譲渡は、M&Aスキームのなかでは比較的、簡易な手続きとされていますが、内容を理解し慎重に行わなければトラブルに発展しかねません。株式譲渡手続きを円滑に行うには、M&A仲介会社など専門家の起用が得策です。本記事の概要は以下のようになります。

・株式譲渡の主な必要書類
→株式譲渡承認請求書、株式譲渡契約書、株主名簿記載事項書換請求書、株主名簿、株主総会招集通知、株主総会議事録、株主名簿記載事項証明書

・譲渡制限株式の株式譲渡を行う場合の手続き
→株式譲渡承認請求
→取締役会、もしくは株主総会の開催 
→株式譲渡契約の締結 
→決済手続き
→株主名簿の書き換え

・株式譲渡を行う際の注意点
→自社が株券発行会社なのか
→譲渡制限のある株式ではないか
→株式譲渡には税金が発生する
→取引価額の決定が難航する場合がある

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