2022年09月13日更新
株式譲渡時の源泉徴収や税金は?注意点も解説
株式譲渡で譲渡益が出た場合は納税しますが、源泉徴収すべきかどうかなどわかりにくい部分もあります。本記事では、株式譲渡時の源泉徴収や税率・税金の計算式、所得税・住民税の取り扱い、損失の繰越控除などを解説します。
1. 株式譲渡時の源泉徴収や税金は?
株式譲渡を行うと譲渡益に対して税金が課されますが、証券会社で源泉徴収ありの特定口座を使っている場合は自動的に源泉徴収されるため確定申告は不要です。株式譲渡の税金は、自動的に源泉徴収されて確定申告しなくて済む場合と、確定申告した方が節税できる場合があります。
しかし、確定申告すべきかどうかの判断は、株式譲渡が初めての人にとって分かりにくいものです。本章では、まず株式譲渡とは何か、その際にかかる源泉徴収と税金などの基本情報を解説します。
株式譲渡とは
株式譲渡とは、後継者(買い手)となる人物や企業が当該企業の株式を取得し経営権を得ることです。株式譲渡の用語は単に株式を譲り渡す意味ではなく、それによって経営権を譲渡するM&Aスキーム(手法)の意味で使われることが多いです。
株式譲渡はM&A・事業承継の最も一般的な手法で、事業譲渡など他の手法に比べて手続きがわかりやすい点にメリットがあります。
株式譲渡時の源泉徴収や税金について
株式譲渡で得た譲渡益に課される税金は、確定申告で納税するほか、証券会社に源泉徴収してもらうことも可能です。株式譲渡を行う際は、源泉徴収できる場合や、税率や税金の計算式などを理解しておくことが大切です。
株式譲渡時の源泉徴収の有無
証券会社の口座から株式譲渡した場合、売却益が源泉徴収される場合とされない場合があります。
源泉徴収されるのは、源泉徴収ありの特定口座で株式譲渡した場合です。証券会社の口座には、源泉徴収ありの特定口座・源泉徴収なしの特定口座・一般口座の3種類があり、源泉徴収なしの特定口座と一般口座では源泉徴収されません。源泉徴収されない口座で株式譲渡した場合は、自分で確定申告して納税することになります。
特定口座では、源泉徴収制度の「あり」と「なし」のいずれかを選択可能です。「あり」を選ぶと、売却益が出る度に、所得税と住民税を証券会社が算出して源泉徴収を行い、損失が出た場合はすでに徴収されていた税額を限度として金融機関が還付までを行うことから、自身での確定申告は不要です。
つまり、源泉徴収ですべての課税関係が終了しますが、年間を通じて損失の方が多かった場合は自身での確定申告が別途求められます。源泉徴収の「なし」を選択した場合、金融機関が発行した「年間取引報告書」を添付して自身で確定申告を行い、所得税と住民税を納付します。下表に口座の種類による源泉徴収の有無をまとめました。
口座の種類 | 源泉徴収の有無 |
源泉徴収ありの特定口座 | 源泉徴収あり |
源泉徴収なしの特定口座 | 源泉徴収なし |
一般口座 | 源泉徴収なし |
株式譲渡時の課税率
株式譲渡で譲渡益が出た場合に課される税率は、譲渡益の額によらず所得税15%と住民税5%となります。事業所得などと違って累進課税ではない点に注意が必要です。2037年までは復興特別所得税も課されます。復興特別所得税の税率は所得税額の2.1%となっており、所得額ではなく所得税額に対して課せられるので注意しましょう。
税金の種類 | 税率 |
所得税 | 所得額の15% |
住民税 | 所得額の5% |
復興特別所得税 | 所得税額の2.1% |
株式譲渡時の税金の計算式
源泉徴収なしの特定口座で株式譲渡した場合は、税金を計算して確定申告する必要があります。源泉徴収ありの特定口座を使う場合でも、税金の計算式を知っておくことは有益です。
株式譲渡の税金は譲渡価格ではなく所得額に対して課せられるので、まずは譲渡価格から所得額を計算する必要があります。株式譲渡の所得額は、譲渡価格から必要経費と各種控除を差し引いて求めます。
所得税と住民税の税率はそれぞれ所得額の15%と5%なので、先ほど求めた所得額に0.15または0.05を掛けると所得税額と住民税額が求まります。そして、復興特別所得税の税率は所得税額の2.1%なので、先ほど求めた所得税額に0.021を掛けると算出可能です。株式譲渡時の税金の計算式は以下のとおりです。
- 所得額=(株式の譲渡価格)-(譲渡にかかった経費)-(各種控除)
- 所得税額=(所得額)×0.15
- 住民税額=(所得額)×0.05
- 復興特別所得税額=(所得税額)×0.021
2. 株式譲渡時の源泉徴収や税金に関する注意点
事業承継やM&Aで経営権を譲るために株式譲渡すると、会社の全株式または大部分の株式を譲渡するので、税金が非常に高額に及ぶケースもあります。株式譲渡を行う際は、源泉徴収や税金の気を付けるべきポイントや、節税できる方法を理解しておくことが大切です。
源泉徴収で気を付けるポイント
株式譲渡にかかる税金を源泉徴収で済ますのは便利ですが、場合によって確定申告した方が得になる場合があります。株式譲渡の源泉徴収では、確定申告すべきか正しく判断することが大切です。
基本的には、譲渡損が出た場合に確定申告すれば得になりますが、そのほかにも譲渡益の額や株式の種類(上場株式か一般株式か)などさまざまな要素が影響します。
これらの要素もすべて考慮したうえで判断すべきですが、この判断は専門家でないと難しいです。株式譲渡を行う際は、税理士などの専門家から源泉徴収のサポートを受けると良いでしょう。
所得税と住民税の申告について
所得税と住民税は別々の課税方式で納税できることもあり、活用すれば節税できる可能性もあります。選択できる課税方式は、上場株式か一般株式か、譲渡所得か配当所得かなどの条件によって変動します。課税方式の判断はやや複雑なので、必要ならば税理士などの専門家に相談すると良いでしょう。
例えば、上場株式の配当所得の場合、所得税の課税方式は総合課税・申告分離課税・申告不要制度の中から選択できます。所得額などの条件によっては、所得税は総合課税にして住民税のみ申告不要制度にすると、納税額が少なくなったり国民健康保険料が安くなったりする場合があります。
税金で気を付けるポイント
株式譲渡は譲渡益が出ている場合は源泉徴収で納税することも可能ですが、損失が出ている場合は別途確定申告を行わないと税金面で不利になる可能性があります。株式譲渡では、損失が出た場合の税金の取り扱いに気を付けることがポイントです。
株式譲渡で損失が出た場合に行うのは、損益通算と繰越控除です。複数の株式を売却して利益が出た株式がある場合は、確定申告で損益通算しておくと節税できます。
損益通算してもまだ損失がある場合は、確定申告で繰越控除しておけば来年以降の利益と相殺できます。
譲渡損失に対する繰越控除について
株式譲渡で譲渡損失が出た場合は、その旨を確定申告することで損失を来年以降に繰り越せて、来年利益が出た場合は、繰り越した損失と相殺することが可能です。
相殺してもまだ損失が残る場合は、再来年に繰り越して同様に利益と相殺できます。譲渡損失の繰越控除は3年先まで行うことが可能です。
3. 株式譲渡時の源泉徴収や税金に関する相談先
株式譲渡は税金を源泉徴収で済ませる、もしくは確定申告するべきかなど、わかりにくい点が多くあります。M&A仲介会社に相談し、専門家のサポートを受けながら手続きを進めていくことがおすすめです。
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4. 株式譲渡時の源泉徴収や税金まとめ
株式譲渡は譲渡益を源泉徴収すべきか、それとも確定申告すべきかなど、ポイントを押さえることが節税につながります。所得税と住民税の申告方法や、損失が出た場合の損益通算・繰越控除などをしっかりと理解しておくことが大切です。
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