2020年07月30日更新
解体工事業のM&A・買収・売却!事例や相場、成功ポイントを解説!

大手M&A仲介会社にて、事業承継や戦略的な成長を目指すM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、経営者が抱える業界特有のお悩みに寄り添いながら、設備工事業や建設コンサルタント、製造業、医療法人など幅広い業種を担当。
解体工事業の市場動向を踏まえながら、そのM&Aの動向やM&Aを行うメリット、M&Aでの買収・売却を成功させるポイントなどについて解説しています。合わせて、解体工事業のM&A事例や、解体工事業の買収・売却でおすすめの仲介会社情報も掲示します。
目次
1. 解体工事業とは
解体工事業のM&A動向について述べる前に、まずは解体工事業の定義や現状について解説します。
解体工事業界の定義
解体工事業界とは、住宅・商業施設・公共施設などの建物や、道路・橋・トンネルなどの解体工事を行う事業をさします。
2016(平成28)年6月1日より、建設業法における「とび・土木工事」から「解体工事業として独立」し、2019(令和元)年の6月1日からは、解体工事業の許認可を取得しなければ、解体工事業を行えなくなりました。
解体工事業界の現状
近年、解体工事業界の市場動向は、以下のように推移しています。
- 老朽化した建物の解体で需要増
- 自然災害による解体業の需要増
- 民間・官公庁からの発注がともに増加
老朽化した建物の解体で需要増
高度経済成長期(1950年代から1970年代)に建てられた建物などが、老朽化により現在、建て替えが必要となっています。そのため、建て替えに伴う解体工事需要が高まっているのです。
また、年々増加する空家の取り壊し需要も高く、国や地方自治体も空家対策に動き出していることから、今後さらに空家の解体工事需要が高まっていくと予測されます。
自然災害による解体業の需要増
東日本大震災の復興特需で、解体工事の需要は急増しました。それ以降、近年、頻発している地震や豪雨などの自然災害対策に伴う建て替え需要によって解体工事の需要は増加しています。
民間・官公庁からの発注がともに増加
2020(令和2)年の東京オリンピックに向け、民間・官公庁からの解体工事発注はともに増加しました。
東京オリンピックが終われば一旦は需要が減るともいわれていますが、中長期的には、災害対策や空家対策、老朽化した社会資本の解体工事需要によって、解体工事業界は今後も伸び続けていくと予測されます。
2. 解体工事業のM&A動向
近年、解体工事業のM&A動向は、以下のように推移しています。
- 業界需要の高まりでM&Aの件数も増加傾向
- 関連・周辺事業者からのM&Aが活況
- 元請けから下請け会社へのM&Aも見られる
業界需要の高まりでM&Aの件数も増加傾向
解体工事業界は、中長期的に市場成長が見込まれることや、団塊世代の大量退職・若手人材不足による人材確保目的などから、M&A件数は増加傾向にあります。
近年の解体技術進化や解体工事の低価格化から、今後の動向として技術取得目的や事業効率化目的のM&Aも増加するでしょう。
関連・周辺事業者からのM&Aが活況
この数年来、建設業界内の関連事業者による解体工事業へのM&Aが活発です。解体工事では、廃棄物処理が必須であることから、廃棄物処理業を営む企業が解体工事業を買収するケースも見られます。
元請けから下請け会社へのM&Aも見られる
昨今では発注額の低価格化により、建設事業の元請けとなるゼネコンが、下請けとなる解体工事会社をM&Aにより買収するケースや、元請けの解体工事会社が下請けの解体工事会社をM&Aにより買収することで事業の効率化を図るケースも見られます。
3. 解体工事業のM&A・買収・売却・譲渡の相場
解体工事業を行うには解体工事業の許認可が必要な点や、解体工事業は技術者の経験が重要な点、解体工事業を行うための専用機械が必要な点などから、解体工事業の買収・売却額は高くなる傾向にあります。
特に、経験豊富な技術者や他社にはない解体技術を保有している場合、買収・売却額は高くなるのが常です。
4. 解体工事業のM&A・買収・売却・譲渡の事例
解体工事業関連のM&Aによる買収・売却・譲渡事例を紹介します。
- リサイクルクリーンによるサスダイ工業のM&A
- ベステラによるヒロ・エンジニアリングのM&A
- トーヨーカネツによる環境リサーチのM&A
- オカダアイヨンによる3社のM&A
- タケエイとトッププランニングJAPANの資本業務提携
- タケエイによる橋本建材興業のM&A
リサイクルクリーンによるサスダイ工業のM&A
解体工事業関連のM&Aによる買収・売却・譲渡事例1件目は、2019年11月のリサイクルクリーンによるサスダイ工業のM&Aです。
産業廃棄物処理や解体工事業などを行う静岡県のリサイクルクリーンは、住宅用基礎鉄筋製造加工業を行っている同県のサスダイ工業の全株式を取得し完全子会社化しました。株式譲渡者が個人であるため、譲渡価額は非公開です。
リサイクルクリーンとしては、サスダイ工業の業績を評価すると同時にオーナー経営者が高齢で後継者不在である点も鑑み、事業承継の意思も持って子会社化をしました。
サスダイ工業の顧客基盤や、製造加工技術のノウハウは、リサイクルクリーンとの間で十分なシナジー効果が見込めるとしています。
ベステラによるヒロ・エンジニアリングのM&A
解体工事業関連のM&Aによる買収・売却・譲渡事例2件目は、2018(平成30)年のベステラによるヒロ・エンジニアリングのM&Aです。
プラント解体などを行うべステラは、人材派遣業を営むヒロ・エンジニアリングを、約4,500万円の第三者割当増資引き受けにより子会社化しました。
ベステラは、建設業界の人材不足解消に貢献するため、ヒロ・エンジニアリングの買収によって人材派遣業に参入しています。
トーヨーカネツによる環境リサーチのM&A
解体工事業関連のM&Aによる買収・売却・譲渡事例3件目は、2018年のトーヨーカネツによる環境リサーチのM&Aです。
プラント事業などを行うトーヨーカネツは、アスベスト調査事業などを行う環境リサーチを株式譲渡により子会社化しました。譲渡価額は非公開となっています。
アスベスト調査は、解体工事などの際に重要な役割を果たす事業です。トーヨーカネツは、環境リサーチの子会社化によって、環境問題への取り組みを一層強化しています。
オカダアイヨンによる3社のM&A
解体工事業関連のM&Aによる買収・売却・譲渡事例4件目は、2017(平成29)年のオカダアイヨンによる3社のM&Aです。
建設機械の製造・販売を行うオカダアイヨンは、株式会社南星から、南西ウインテック・南星機械、暁機工の3社を、合計約8億円の株式譲渡により子会社化しました。
3社は解体工事用機械の製造販売などを行っており、このM&Aによりオカダアイヨンは、自社の弱みを補完して事業全体を強化でき、シナジー効果が得られるとしています。
タケエイとトッププランニングJAPANの資本業務提携
解体工事業のM&Aによる買収・売却・譲渡事例5例目は、2013(平成25)年のタケエイとトッププランニングJAPANの資本業務提携です。
解体工事業を営むタケエイと、アスベスト除去などを行うトッププランニングJAPANは、タケエイがトッププランニングJAPANの第三者割当増資を引き受ける形で、資本業務提携を結びました。
タケエイは資本業務提携により、廃棄物処理能力の向上を期待しましたが、両社のシナジー効果が十分に得られなかったことから、2019年にはタケエイが保有するトッププランニングJAPANの株式を同社代表取締役に譲渡することで提携解消となっています。
タケエイによる橋本建材興業のM&A
解体工事業のM&Aによる買収・売却・譲渡事例6例目は、2012(平成24)年のタケエイによる橋本建材興業のM&Aです。
タケエイは子会社の諏訪重機運輸を通じて、再生骨材・再生砕石の販売を行う橋本建材興業を株式譲渡により完全子会社化しました。譲渡価額は公開していません。
その後、諏訪重機運輸と橋本建材興業は吸収合併を行い、橋本建材興業は解散しています。これにより、タケエイは長野県での事業展開強化が実現しました。
5. 解体工事業のM&A・買収・売却・譲渡のメリット
解体工事業のM&Aによる買収・売却・譲渡のメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、解体工事業のM&Aによる買収・売却・譲渡のメリットについて、売却側・買収側それぞれに分けて解説します。
売却側
売却側は、M&Aによって以下のメリットが得られます。
- 従業員の雇用確保
- 後継者問題の解決
- 売却・譲渡益の獲得
- 事業の将来的な不安から解放される
- 個人保証・債務・担保などの解消
従業員の雇用確保
解体工事業は経験による技術が重要な業界ですが、現在、団塊の世代の大量退職により、技術者の確保が難しくなっています。
M&Aによる売却・譲渡であれば、従業員の雇用を確保できるだけでなく、技術者の経験を引き継ぐことが可能です。
後継者問題の解決
解体工事会社の中には、オーナー経営者が高齢になるまで働き続け、後継者不在のまま廃業となるケースも少なくありません。
親族に会社を継ぐ意思がなかったとしても、M&Aによって第三者に事業を売却・譲渡することで、後継者問題を解決できるのです。
売却・譲渡益の獲得
仮に解体工事業を廃業する場合、オーナー経営者は収入が途絶えるだけでなく、廃業費用も負担しなければなりません。
しかし、M&Aによって売却・譲渡益を得れば、出費などもなく、その後の十分な生活資金が確保できます。
事業の将来的な不安から解放される
事業を続けている限り不安は消えないものですが、大手企業などの傘下に入ったり、売却・譲渡によって解体工事業を他社に経営してもらったりすることで、将来の不安から解放されるでしょう。
個人保証・債務・担保などの解消
オーナー経営者は、債務とそれに関わる個人保証や担保など常にお金の負担がついてきます。しかし、M&Aによる会社売却を実施すれば、それらは新たな経営者に引き継がれることになり、そこから解消されるのです。
買収側
買収側は、M&Aによって以下のメリットが得られます。
- 人材・作業員の確保
- 規模を大きくすることで発注コストを抑える施策が可能
- トータルでの受注が可能になる
- 顧客・取引先・ノウハウなどの獲得
- 事業規模・エリアの拡大
人材・作業員の確保
解体工事業は慢性的な人材不足となっており、特に、高い技術を持ったベテラン技術者は年々減っています。
M&Aによる買収であれば、解体工事業に欠かせない技術者の確保も可能です。
規模を大きくすることで発注コストを抑える施策が可能
中小建設会社・解体工事会社の中には、協業することで大手企業との競争に耐えている企業も数多く存在します。
M&Aによる買収で規模を拡大することにより、発注コストを抑えるなど事業の効率化が可能になります。
トータルでの受注が可能になる
近年、関連事業を行っている企業とのM&A・提携によって、解体工事や廃棄物処理、建設工事などを一貫して請け負う企業が増えています。
M&Aによって関連企業と協業しトータルで受注することにより、収益を増やすことが可能になるのです。
顧客・取引先・ノウハウなどの獲得
M&Aによる買収によって、買収先の解体工事会社の顧客・取引先・解体工事のノウハウなどを獲得できます。
ただし、解体工事会社ごとに解体工事のやり方や考え方が違うため、買収後の統合プロセスには注意が必要です。
事業規模・エリアの拡大
M&Aによって、事業エリアの拡大も可能です。買収先の解体工事会社が、その地域の企業や公的機関、金融機関などとつながりを持っている場合は、買収のメリットはさらに大きくなります。
6. 解体工事業のM&A・買収・売却・譲渡の成功ポイント
解体工事業のM&Aを成功させるには、以下5つのポイントを押さえて行うことが重要です。
- 他社にはない強みやアピールポイントを持っている
- 特許・権利・免許・設備などを持っている
- 豊富な実績・経験を持っている
- 大きな債務がなく経営が健全
- M&Aの専門家に相談すること
他社にはない強みやアピールポイントを持っている
近年、解体工事業は技術や機材が進歩し、独自の解体技術を用いる企業が増えています。
事業を売却・譲渡する際は、他社にはない技術などのアピールポイントを持っていると、有利な条件で交渉しやすいのは確実です。
特許・権利・免許・設備などを持っている
これまでは、とび・土木工事の許認可があれば解体工事業を始められましたが、現在は解体工事業の許認可が必要となりました。
また、解体工事業に用いる車両の免許や危険物取扱免許など、解体工事業を行うには、さまざまな許認可や設備も必要です。
買収側は、すぐに解体工事事業を始めるためにも、相手先企業に許認可や設備が揃っていることを求めます。
豊富な実績・経験を持っている
解体工事業は、豊富な経験が求められる職人の世界でもあります。そのため、売り手側の会社や従業員に豊富な解体工事実績があると、買い手が付きやすくなるのは必定です。
また、買い手側に実績がある場合、売り手側は安心して会社を任せられます。
大きな債務がなく経営が健全
中小の解体工事会社は、大半が債務を持っています。しかし、その中でも大きな債務がなく安定した経営を維持している場合は、好条件での売買が成立しやすいはずです。
M&Aを検討しているのであれば、事前にM&Aの専門家などに相談し、できる限り経営状態を改善しておくのも方法の1つになります。
M&Aの専門家に相談すること
解体工事業のM&Aを行うには、業界知識や法令知識、会計知識などの幅広い知識が必要となります。また、売却先探しや売却先との交渉など、手続きには大きな負担もあるものです。
M&A仲介会社は、これらの手続きを一括してサポートします。最近では、手数料が安くシンプルな報酬体系の仲介会社も増えているので、資金面の負担も少なくM&Aが目指せる環境となっているのが現実です。
7. 解体工事業のM&A・買収・売却・譲渡におすすめの仲介会社
解体工事業のM&Aを行うには、幅広い知識と豊富な実績、広いネットワークを持っていることなどが重要です。
全国の中小企業のM&Aに数多く携わっているM&A総合研究所であれば適任でしょう。M&A総合研究所では、解体工事業のM&Aに豊富な実績を持つM&Aアドバイザーが専任で担当します。
また、M&A総合研究所は国内最安値水準の完全成功報酬制であり、M&Aが成約するまで一切、費用は発生しませんし、仮にM&Aが成約しなければ手数料の請求はありません。
安心してリーズナブルにM&Aの実現が目指せます。随時、無料相談を行っていますので、解体工事業のM&Aをご検討の際には、お気軽にお問い合わせください。
8. まとめ
本記事のまとめは、以下のとおりです。
解体工事業界の市場動向は以下のように推移しています。
- 老朽化した建物の解体で需要増
- 自然災害による解体業の需要増
- 民間・官公庁からの発注がともに増加
解体工事業のM&A動向は、以下のように推移しています。
- 業界需要の高まりでM&Aの件数も増加傾向
- 関連・周辺事業者からのM&Aが活況
- 元請けから下請け会社へのM&Aも見られる
売却側はM&Aによって以下のメリットが得られます。
- 従業員の雇用確保
- 後継者問題の解決
- 売却・譲渡益の獲得
- 事業の将来的な不安から解放される
- 個人保証・債務・担保などの解消
買収側はM&Aによって以下のメリットが得られます。
- 人材・作業員の確保
- 規模を大きくすることで発注コストを抑える施策が可能
- トータルでの受注が可能になる
- 顧客・取引先・ノウハウなどの獲得
- 事業規模・エリアの拡大
解体工事業のM&Aを成功させるには、以下のポイントを押さえる必要があります。
- 他社にはない強みやアピールポイントを持っている
- 特許・権利・免許・設備などを持っている
- 豊富な実績・経験を持っている
- 大きな債務がなく経営が健全
- M&Aの専門家に相談すること
解体工事業の買収・売却を行うには、関連法令や会計・税務に精通している必要があります。
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