2023年09月26日公開
関西地方のM&Aの動向を徹底調査!産業構造や成功事例・注意点まで解説!
関西地方は、東京都に次ぐ都市の大阪府や世界的観光地として有名な京都府など日本にとって重要な県があり、さまざまな産業が盛んです。
そんな関西地方でM&Aを検討している場合は、産業の特徴やM&Aの動向などを理解しておきましょう。
目次
1. 関西地方のM&Aの動向と傾向
関西地方は、大阪府を中心にM&Aを実施する企業が多くなっており、今後も盛んに行われていくことでしょう。
ここでは、関西地方のM&Aの動向と傾向について解説します。
ものづくりの街大阪を中心に製造業が多い
関西地方は、大阪府を中心に製造業を営んでいる企業がとても多く、ものづくりの街としても有名です。
大阪府は、主に化学製品・鉄鋼・金属・繊維などの製造が盛んに行われており、全国的に見てもものづくりが盛んな地域なため、大阪府以外の関西地方にも製造業を営む企業が多くあります。
そのため、大阪府は関西の経済を支えている非常に重要な場所でもあります。
経営者の高齢化に伴う後継者問題が課題
関西地方にある中小企業の多くは、大阪府を中心に後継者問題が課題となっています。
経営者の高齢化に伴って後継者問題を抱えている企業は、高い技術を持っている場合や業績が良い場合でも廃業を余儀なくされます。
そのため、関西地域にとって非常に深刻な課題の1つです。
M&Aを行う企業も増加傾向
後継者問題を解決するためには、M&Aが効果的な手段です。
これまで家族経営や経営者が創業者の中小企業の多くは自社に対する思い入れが強く、なかなかM&Aがスムーズに進まないことがありました。
しかし、最近の動向として企業を存続させることを優先して、M&Aを行う企業が増加傾向にあります。
2. 関西地方の産業構造
産業構造は、地域や県によって大きな違いがあり産業構造を見ることによって、その地域の特徴などがわかります。
ここでは、関西地方の産業構造について解説します。
第1次産業
第1次産業とは、主に農業や林業、漁業などの産業のことです。
関西地域では、第1次産業が全体の約2%ほどで、京都府で生産された「京野菜」や兵庫県で生産された黒毛和牛「但馬牛(神戸牛)」など、全国的に有名なブランドが多くあります。
そのため、関西地域は第1次産業に関わるブランド力の強化やブランド化に向けた取り組みなどを行い活性化を目指しています。
第2次産業
第2次産業とは、主に鋼業や建築業、製造業などの産業のとです。
関西地域は大阪府を中心に第2次産業である製造業が多く、産業全体の約30%以上を占めているため、関西経済を支えている重要な産業でもあります。
さらに、化学製品・鉄鋼・金属・繊維などの製造に加えて、医薬品や家電などの分野でも大手企業が多く存在しているため、今後も発展してくことが予想されています。
第3次産業
第3次産業とは、商業・医療・福祉・教育・サービス業・飲食・情報通信業など身近に存在している産業のことです。
第3次産業は、参入障壁が低く新たな分野が多く誕生していることもあり。参入する企業や個人が多くなっています。
関西地方では、全体の約70%ほどを占めており全国的に見ても高い比率であり、情報通信やバイオ関連の分野を中心に成長が期待されています。
そのため、今後も比率が高くなっていくことでしょう。
3. 関西地方のM&Aの成功事例
関西地方では、これまでに数多くの企業がM&Aを行っており、成功した事例も数多く存在します。
関西地方に拠点を置く企業でM&Aを検討している企業は、これまでの成功事例を参考にM&Aを進めていくことが効果的です。
ここでは、関西地方で行われてきた数多くのM&A事例の中から主な成功事例を8つ紹介します。
三ッ星と河南伸銅所のM&A
三ッ星は、2023年4月に河南伸銅所の株式を取得し、子会社化させました。
三ツ星は、大阪府にある電線や電熱線、合成樹脂製造などを行っている企業で、河南伸銅所は同じく大阪府にある三ツ星の電線事業に関する金属や伸線加工を受託している企業です。
三ツ星は、自社の受託を行っている河南伸銅所を一体化させて生産コストや生産体制の構築を目指すためにM&Aを行いました。
KTCとHI-TOOLのM&A
KTC(京都機械工具)は、2023年1月にHI-TOOLの全株式を取得し、完全子会社化させました。
KTCは、京都府にある自動車整備用工具や医療用工具、精密工作機器部品などの製造・販売を行っている企業で、HI-TOOLは大阪府にある手動工具の製造・販売を行っている企業です。
HI-TOOLは、世界30カ国以上の国と地域に販売ルートを持っているため、KTCはお互いの製造技術向上や市場開拓の推進を目指し、M&Aを実行しました。
ベストワンドットコムとえびす旅館京都のM&A
ベストワンドットコムは、2018年12月にえびす旅館京都の全株式を取得し、完全子会社化させました。
ベストワンドットコムは、クルーズ旅行や船旅を専門としたオンラインサイトを運営する企業で、えびす旅館京都は京都市内で旅館を経営する企業です。
ベストワンドットコムは、ホテル事業への参入のため、えびす旅館京都のノウハウや顧客基盤を獲得、クルーズ旅行客への宿泊提供などを実現するためにM&Aを実行しました。
キャス・キャピタルとベトリードのM&A
キャス・キャピタルは、投資ファンドである「キャス・キャピタル・ファンド」を運営しており、2022年1月に出資先の持ち株会社であるCCH7b株式会社を通じてベトリードの株式を取得し、子会社化させました。
ベトリードは、奈良県と京都府を中心に動物病院グループを運営している企業であり、高度な医療技術のある動物病院を3病院を展開しています。
24時間体制や精密検査などを提供しており、関西地域の中核病院として長い実績がある企業なため、経営支援や医療環境の構築を目指しM&Aが実施されました。
明光ネットワークジャパンとケイ・エム・ジーコーポレーションのM&A
明光ネットワークジャパンは、2018年12月にケイ・エム・ジーコーポレーションの全株式を取得し、完全子会社化させました。
明光ネットワークジャパンは、教育事業を行う企業で、日本初の個別指導塾「明光義塾」を日本全国に展開しており、ケイ・エム・ジーコーポレーションはフランチャイジーとして「明光義塾」を関西地域(京都府・滋賀県・奈良県)にて40以上の教室を運営している企業です。
そのため、明光ネットワークジャパンは、一体化による競争力の強化やお互いの企業価値の向上を目指して、ケイ・エム・ジーコーポレーションとのM&Aを実施しました。
東洋テックと明成のM&A
東洋テックは、2020年10月に明成の全株式を取得し、完全子会社化させました。
東洋テックは、大阪府に拠点を置く警備事業ビル管理事業を行っている企業で、明成は電気工事事業を行っている企業です。
このM&Aによって、お互いの事業の一体運営や経営資源、ノウハウやリソースの確保を実現させることができるとして、両者同意のもと東洋テックが明成の株式を取得しました。
ミズノとシャープ産業のM&A
ミズノ(美津野)は、2020年4月にシャープ産業の全株式を取得し、完全子会社化させました。
ミズノは、大手スポーツ用品メーカーブランド「ミズノ」として商品を販売している企業なため、スポーツ大会などの記念品や観戦グッズの製造・販売を行うシャープ産業とのM&Aを実行しました。
お互いの経営資源や販売経路、研究・開発力やノウハウなどを獲得・強化し、事業拡大やブランド価値の向上を目指し、M&Aが実施されました。
カネミツと松本精工のM&A
カネミツは、2018年5月に松本精工の全株式を取得し、完全子会社化させました。
カネミツは、兵庫県にある自動車や農業機器関連製品の開発・製造および販売を行う企業で、松本精工は自動車電装部品の製造・販売やカネミツ製品の機械加工を行っている企業です。
そのため、カネミツは自社製品の機械加工を行う松本精工を子会社化することによって、製品開発や商品化体制を強化できるとしてこのM&Aが実行されました。
4. 関西地方のM&Aを行うメリットとデメリット
M&Aは、買い手側と売り手側それぞれにさまざまなメリットとデメリットがあるため、できるだけデメリットを発生させないように注意してM&Aは実施されます。
ただ、M&Aは地域ごとにメリットとデメリットが少し異なったり、メリットだけを得てデメリットを避けることが難しくなっています。
ここでは、関西地方のM&Aを行うメリットとデメリットについてそれぞれ解説します。
買い手側のメリット
M&Aによって買い手側には、主に以下のようなメリットがあります。
- 事業拡大が期待できる
- 従業員や経営資源の確保ができる
- 既存事業の獲得ができる
- 企業価値の向上になる可能性がある
M&Aで買い手側には、以上のようなメリットがあります。
さらに、関西地方のM&Aでは、以上のメリットに加えて大阪府などにある企業とマッチングや取引、提携ができるなどもメリットも考えられます。
売り手側のメリット
M&Aによって売り手側には、主に以下のようなメリットがあります。
- 売却益が獲得できる
- 企業が存続される
- 従業員の補償や待遇が保障される
- 債務責任から解放される
- 引退後の資金を確保できる
売り手側は、自社を売却することで得られる売却益や債務責任からの解放など、さまざまなメリットが得られ、自社の佩用も防ぐことができます。
そのため、後継者問題を抱えている企業にとっては、非常に効果的な手段の1つです。
買い手側のデメリット
M&Aで買い手側には、主に以下のようなデメリットが起きる場合があります。
- 想定していた効果を得られない
- 買収資金が必要
- 潜在的な債務責任を負う場合がある
- 従業員が大量離職する可能性がある
企業をM&Aによって買収することでさまざまなメリットが期待されますが、その反対に以上ようなデメリットがある場合があります。
さらに、大阪などの企業は買収価格が高額で、買収のために資金調達を行わなければいけない場合があるため、注意しましょう。
売り手側のデメリット
M&Aで売り手側には、主に以下のようなデメリットが起きる場合があります。
- 希望の売却価格にならない
- 従業員からの理解を得られない
- 買収企業が廃業・倒産してしまう
- 買収企業の企業価値が低下してしまう
- 経営者は引き継ぎとして拘束される場合がある
M&Aで売却側にも以上のようなデメリットが起きる場合が考えられます。
自社の希望通りにM&Aが進まないことも多く、経営者は買収企業で業務引き継ぎのために拘束されることもあります。
さらに、買収先が今後廃業や企業価値の低下に陥ってしまう可能性もあるため、しっかりとそれらのリスクを理解しておくことが大切です。
5. 関西地方のM&Aを行う上での注意点
M&Aを成功させるためには、さまざまな注意点を理解して慎重に進めていくことが非常に大切になります。
これから関西地方のM&Aを行う企業は、M&Aを失敗しないための注意点をしっかりと理解しておきましょう。
ここでは、関西地方のM&Aを行う上での注意点を解説します。
売り手側の注意点
M&Aの売り手側の注意点は、主に以下の通りです。
- 依頼するM&A仲介会社などの専門家を選定する
- 簿外債務や給料未払い、粉飾などは行わない
- M&Aの目的を明確にしておく
- 相手先企業を慎重に選ぶ
- 株主への同意を得ておく
- 従業員への理解を得ておく
- M&Aに関する知識を身に付ける
- しっかりとスケジュールを立てる
M&Aを成功させることができれば、企業価値や事業規模の向上、従業員の補償や待遇の確保などさまざまなメリットがあります。
しかし、以上のような注意点を意識してM&Aを行わなければ、M&Aがうまく進められずに自社に不利な状況になる確率が高くなります。
そのため、自社をM&Aによって売却・譲渡しようと考えている場合は、しっかりと以上の注意点を意識して徹底した準備を行いましょう。
買い手側の注意点
M&Aの買い手側の注意点は、主に以下の通りです。
- 依頼するM&A仲介会社などの専門家を選定する
- デューデリジェンスを徹底して行う
- M&Aの目的を明確にしておく
- 相手先企業を慎重に選ぶ
- PMI(Post Merger Integration)を大切にする
- 業績や企業価値を落とさない
M&Aによって企業を買収する場合も、注意しなければいけないポイントが多く存在しています。
特に、企業を買収することによって売却企業の債務責任や従業員・役員の補償も引き継ぐくことなるため、非常に責任重大です。
さらに、買収後に自社の業績や企業価値が低下してしまうと、買収した企業にも影響が及んでしまうため、十分に注意しましょう。
M&Aの知識と経験が豊富な専門家に相談する
M&Aでは、さまざまな専門知識や経験が求められるため、M&Aを検討している企業は自社のみで実行せず、M&Aの専門家に相談することが大切です。
実際に、M&Aの無料相談やアドバイスを引き受けている金融機関や公的機関、M&A業務をサポートするM&A仲介会社も数多く存在しています。
さらに、M&A仲介会社では弁護士や税理士、公認会計士などの専門家を紹介してもらえたり、長期的に業務をサポート・アドバイスしてくれるため、非常に大切な存在です。
そのため、これからM&Aを検討している企業は、M&Aの知識と経験が豊富な専門家に相談することをおすすめします。
6. 関西地方のM&Aは専門家に相談しながらすすめよう
関西地方では、大阪府の中小企業を中心に後継者問題や業績の低迷などの課題を抱えている企業が多いため、M&Aによる課題解決を進めていることが多くあります。
M&Aを成功させるためには、自社の拠点としている地域に詳しい専門家に依頼・相談することが効果的なため、関西地方でM&Aを検討している場合なら、関西地方の情勢やトレンドに詳しい専門家が望ましいです。
これから関西地方のM&Aを行う企業は、しっかりと信頼できる専門家に相談しならが進めていくことをおすすめします。
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