2025年01月15日更新
青森県のM&A・事業承継の現状!事例や案件一覧・公的支援も紹介
青森県のM&A・事業承継の現状や案件一覧、成功事例、相談先選びのポイントを紹介しています。現在、青森県ではM&A・事業承継の最盛期と言えるほど黒字の中小企業が増えています。青森県でM&A・事業承継を検討している方は必見の内容です。
目次
1. 青森県の産業動向
青森県の商業において、小売業は事業所数9,797店で全体の77.5%を占め、年間商品販売額は1兆3,337億円に達し、商業全体の44.0%を占めています。
工業分野では、製造品出荷額の構成比が「食料品」22.9%と最も高く、次いで「非鉄金属」「電子部品・デバイス・電子回路」が続き、この3業種で全体の50.6%を占めています。
青森県では、地域資源の活用に力を入れています。豊富な農林水産物、高い技術力、そして粘り強さで知られる優れた人材を活かし、ものづくり産業を中心とした成長分野の集積や地場産業の強化を推進。また、環境・エネルギー関連、農工連携、情報関連など、地域の強みを活かした分野での企業誘致も積極的に進めています。
参考:青森県「青森県の産業(商工業)」
2. 青森県のM&A・事業承継の現状
青森県のM&A・事業承継の現状について、3つのトピックに分けて解説します。
県外の大手企業による買収が多い
直近数年間における青森県企業が関わったM&A事例を見ると、県外の大手企業が事業拡大・エリア拡張などを目的に青森県企業を買収するケースが目立っています。具体的な事例を挙げると、以下のとおりです。
- 2023年12月、王子ホールディングスが森羽紙業を完全子会社化
- 2022年11月、デジタルキューブがクラウド専業インテグレーター「へプタゴン」を子会社化
- 2020年9月、ジャパンエレベーターサービスHDがコスモジャパンを子会社化
- 2018年10月、アジアゲートHDが東日本不動産を子会社化
そのほか、県外の大手企業がグループ体制変更を目的に組織再編を行うケースも多く見られます。
後継者不在率は改善
2024年における青森県企業の後継者不在率は57.7%で、前年比で3.5%改善しました。ただし、全国平均値(52.1%)よりも5.6%高い数値を記録しており、全国的に見て後継者問題が深刻な地域だといえます。
参考:帝国データバンク「全国「後継者不在率」動向調査(2024 年」
休廃業・解散件数は増加
信用調査会社の東京商工リサーチ青森支店が18日に発表した2023年の青森県内企業の休廃業・解散状況によると、休廃業または解散した企業は前年比39件増の386件となり、2000年の調査開始以来で2番目に高い水準となりました。
また、2023年の県内企業の倒産件数は前年比11件増の56件で、新型コロナウイルスの影響が続く中で最多を記録。これらの「退出企業」の総数は442件となり、前年比50件の増加が確認されました。
3. 青森県近郊のM&A・事業承継案件一覧
青森県近郊のM&A・事業承継案件を紹介します。
【優良取引先あり】東北のサッシ・エクステリア工事業
大手アルミ建材業界を中心に地場工務店と長年の取引実績があり、優良取引先、外注先から安定的な売上を得ています。
売上高 | 2.5億円〜5億円 |
営業利益 | 1000万円〜5000万円 |
総資産額 | 非公開 |
譲渡希望額 | 1000万円〜5000万円 |
譲渡理由 | 後継者不在、事業拡大のため |
【東北地方/建設機械の販売・修理・レンタル業】地域密着の業歴50年以上の老舗業者
東北地方にて建機等の販売・修理・レンタルを手掛ける事業会社です。地域密着で業歴50年以上の実績があり、当地では知名度高い老舗業者です。
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
営業利益 | 赤字経営 |
純資産額 | 5000万円〜1億円 |
譲渡希望額 | 5000万円〜1億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【東北】施工管理技士 / 建設系人材派遣業
地元の大手建設会社への取引をメインに行う、建設系人材派遣会社です。施工管理技士や、事務等の派遣業を手掛けています。
売上高 | 5000万円〜1億円 |
営業利益 | 〜1000万円 |
純資産額 | 5000万円〜1億円 |
譲渡希望額 | 5000万円〜1億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【東北エリア/NetCash1億円以上】事務用品・OA機器の卸売及びレンタル業
東北に2拠点を構え、市役所や地元企業など優れた取引基盤を構築しています。大手ゼネコンとの取引もあり、現場事務所へ事務用品や事務機器を手配しています。
売上高 | 2.5億円〜5億円 |
営業利益 | 1000万円〜5000万円 |
純資産額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【好立地】東北の食品スーパーマーケット
県内の地元文化の一部として認識されており、安定した顧客基盤を獲得しています。新鮮で高品質な青果物を安価で提供しており、常連客が多数存在しています。
売上高 | 10億円〜25億円 |
営業利益 | 赤字経営 |
純資産額 | 非公開 |
譲渡希望額 | 〜1000万円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継)、事業存続に対する不安 |
【売上10億円超 / 仕入・販売先とのネットワーク強固】東北地方の青果卸売業
市場、同業の卸売業者に加え、500軒超の生産者から直接仕入を行っています。取扱い品種は550種以上です。
売上高 | 10億円〜25億円 |
営業利益 | 1000万円〜5000万円 |
純資産額 | 5億円〜7.5億円 |
譲渡希望額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継)、事業存続に対する不安 |
【業績20年以上/高い技術力】リフォーム・新築工事事業(東北エリア)
累計1万世帯以上のリフォーム及び新築工事等の施工実績があります。宅建士等の資格保有者が従業員の半数であるため、安心した施工相談が行えます。
売上高 | 2.5億円〜5億円 |
営業利益 | 1000万円〜5000万円 |
純資産額 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡希望額 | 希望なし |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
4. 青森県のM&A・事業承継の成功事例
この章では、青森県のM&A成功事例を見ていきましょう。
ナックによる秀和住研のM&A・事業承継
2024年5月24日、ナックは、青森県八戸市を拠点とする秀和住研の全株式を取得し、子会社化しました。同時に、秀和住研の完全子会社である株式会社秀和もナックの孫会社となります。
ナックは、水宅配「クリクラ」や住宅フランチャイズ「ACE HOME」など多岐にわたる事業を展開しており、今回の買収を通じて住宅事業をさらに強化する狙いです。一方、秀和住研と秀和は青森県と秋田県で新築住宅やリフォームを提供する地域密着型の企業で、2009年以来、ナックの住宅フランチャイズに加盟して友好な関係を築いてきました。
この買収により、ナックは「ACE HOME」事業の強化や宮城県仙台市を拠点とする子会社ジェイウッドとのシナジー効果を期待しており、企業価値向上を目指しています。
王子HDによる森羽紙業のM&A・事業承継
2023年12月25日、王子ホールディングスは、青森県五所川原市を拠点とする森羽紙業を株式交換により完全子会社化することを発表しました。本株式交換は、王子ホールディングスで簡易手続により承認され、森羽紙業では2024年1月9日開催の臨時株主総会で承認される予定で、効力発生日は2024年2月1日とされています。
王子ホールディングスは段ボール事業の拡大を目指し、生産体制の再構築やM&A、新工場建設に注力しています。森羽紙業の地元密着型の事業活動とグループのシナジー効果を期待し、事業基盤の強化と段ボール事業の拡大を図る狙いです。
北上都心開発によるさくら野百貨店・北上店のM&A・事業承継
2023年5月8日、さくら野百貨店(青森市)は、北上店の事業を新設会社「いわて北上リテールマネジメント」に承継する新設分割を決定しました。その後、新会社の全株式は2023年8月末に北上都心開発(北上市)へ譲渡され、同社の子会社となります。
北上都心開発は北上店が入居するツインモールプラザを運営しており、新会社は「さくら野百貨店北上店」として商標等ライセンス契約を締結し営業を継続します。本決定は、厳しい経営環境下で地域と北上店の成長を目指し、新たなスキームの構築が最適と判断された結果です。
寛一商店による共生商会のM&A・事業承継
薬局を48店舗運営する寛一商店(京都府京都市)は、青森県青森市で調剤薬局を4店舗展開する共生商会の株式を取得し、子会社化しました。
共生商会は、青森県内で地域に根ざした医療サービスを提供している企業です。
このM&Aの目的は、寛一商店が東北地方への展開を強化し、共生商会の既存店舗を活用して地域密着型の医療サービスを広げることです。
M&A成功事例については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
5. 青森県のM&A・事業承継でおすすめの相談先
M&A・事業承継時のおすすめの相談先をご紹介します。
金融機関
青森県で事業承継やM&A、会社売却を検討している企業にとって、金融機関は非常に頼りになる相談先です。金融機関は資金調達や財務アドバイスを提供するだけでなく、豊富なネットワークと専門知識を活かして、企業の経営戦略を支援します。
公的機関
後継者問題を抱えていれば、公的機関の利用にもメリットがあります。ここでは、青森県の公的機関について、以下4つを見ていきましょう。
- 青森県事業承継ネットワーク
- 青森県事業承継・引継ぎ支援センター
- はちのへ創業・事業承継サポートセンター
- 青森県・経済産業部・地域企業支援課
①青森県事業承継ネットワーク
まず、青森県事業承継ネットワークです。国がバックアップして、事業承継を円滑に後押しします。商工会議所や金融機関などのネットワークを最大限に利用し、事業承継の準備や掘り起こしを行うサービスです。
事業承継ネットワークを利用する前に、県や商工会議所に問い合わせましょう。事業承継ネットワークは青森県だけではないので、事業承継ネットワークの情報網を上手に活用してください。
参考:青森県事業承継・引継ぎ支援センター「事業承継ネットワークとは」
②青森県事業承継・引継ぎ支援センター
今までの「事業引継ぎ支援センター」と「事業承継ネットワーク」の機能を合わせ、活動をより広げた機関が事業承継・引継ぎ支援センターです。
青森県事業承継・引継ぎ支援センターは、青森県で事業承継の問題に悩む中小企業をサポートする公的機関になります。ニーズの掘り起こしや事業承継⽀援を行っており、安心して相談することが可能です。
参考:青森県事業承継・引継ぎ支援センター
③はちのへ創業・事業承継サポートセンター
最後に紹介するのが、はちのへ創業・事業承継サポートセンターです。通称「8サポ」と呼ばれ、八戸市と八戸商工会議所が共同で創業および事業承継支援を促すために開設しました。
起業・創業者を増やし、経営者の高齢化などによる廃業を未然に防止し、事業承継を促すサポートを行っています。
参考:はちのへ創業・事業承継サポートセンター
④青森県・経済産業部・地域企業支援課
青森県では、事業承継・引継ぎ補助金を運営しています。
事業承継・引継ぎ補助金は、中小企業や事業者が事業承継や事業再編、事業統合を契機に新たな取り組みや広報活動を行う際、その経費の一部を補助する制度です。この補助金は、事業承継や再編を促進し、経済活性化を目指すことを目的としています。
詳しくは、あおもり事業者支援情報ポータルなどを確認しましょう。
M&A仲介会社
青森県で事業承継やM&A、会社売却を考えている企業にとって、M&A仲介会社は非常に重要なパートナーとなります。
M&A仲介会社は、売却側と買収側の企業の間に立ち、中立的な立場で交渉や手続きを支援する専門機関です。初期相談から企業価値評価、交渉、必要資料の作成、契約締結まで、一貫したサポートを提供します。
仲介会社の利用により、多くの候補企業から適切な相手を探し出し、希望に沿ったM&Aの成立が期待できます。また、情報の伝達や調整が円滑に進むことで、初めてM&Aを行う企業でも安心して取り組むことが可能です。
一方で、着手金や中間金などの費用がかかることや、交渉の結果、希望価格より低い条件で成立する場合がある点には注意が必要です。
M&Aの相談先については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
6. 青森県のM&A・事業承継で仲介会社を選ぶ際のポイント
青森でM&A仲介会社を選ぶときに、注意したいポイントを5つ紹介します。
①同業種の専門的知識・M&A実績を持っている
M&Aの専門家でも、不得意な分野では力を発揮できません。しっかりした事業承継を行い、安心して会社売却につなげたい場合は、専門知識があり実績を持つM&A仲介会社を選びましょう。
②同程度の案件規模・地元のM&A案件の実績などがある
案件規模と希望するM&A規模がマッチしなければ円滑なM&Aは見込めません。地元青森の経済動向や地場基盤などその土地に合わせたM&Aの手法が必要なため、青森で実績があるかどうかも非常に重要なポイントです。
③M&Aに関する幅広い知識・経験を持っている
M&Aには、学習で得た知識や経営知識だけでなく、社会状況やトレンドなど、世の中の幅広い分野における知識と経験を必要とします。
④手数料・相談料・報酬体系がわかりやすい
M&Aには多くのコストがかかります。手数料や相談料などが明確でなければ、事業承継後や会社売却後までトラブルとなる可能性があるのです。
⑤担当スタッフの対応・相性が良い
M&Aを行う場合、結局は人が物をいいます。話しやすい、悩みを打ち明けやすい状況でなければ、企業同士のお見合いでもあるM&Aは、良い結果を生み出しません。人の相性はどのような場面でも大切です。
7. 青森県のM&A・事業承継まとめ
本記事では、青森県のM&A・会社売却・事業承継の現状について詳しく解説しました。
青森県の経済は商業やサービス業などの第3次産業が大きな割合を占め、製造業も徐々に回復傾向にあります。特に八戸市、弘前市、六ヶ所村、青森市の製造品出荷額は1兆円を超え、地域経済に大きな影響を与えています。しかしながら、零細企業の経営者の高齢化や若者の県外流出といった課題も依然として存在しています。
こうした状況を受けて、青森県では県内企業の存続を支援するための施策が展開されており、地方の金融機関が積極的にM&Aのセミナーを行うなど、M&Aの推進に努めています。
特に、事業承継の手段としてのM&Aが注目されており、県外企業の青森県内企業の買収や県内企業の業界再編が進行しています。これにより、地域経済の活性化や企業の存続が図られています。
青森県近郊のM&Aや事業承継案件についても紹介し、具体的な事例を通じて現状を把握する手助けとなる情報を提供しました。今後もM&Aを活用した経営戦略が、青森県の経済発展と企業の持続可能な成長に寄与することが期待されます。
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