2025年01月24日更新
美容院・エステサロンの事業承継の動向!最新事例や案件情報・注意点も紹介
美容院・エステサロンはトレンドの移り変わりが激しく、事業承継の難しさを感じている経営者も少なくありません。美容院・エステサロンの事業承継の動向を解説します。実際に行われた美容院・エステサロンの事業承継事例や案件例も紹介します。
目次
1. 美容院・エステサロン業界を取り巻く環境
はじめに、美容院・エステサロン業界を取り巻く環境をお伝えします。
美容院・エステサロン業界の市場規模
2024年における美容院・エステサロン業界の市場規模は以下のとおりです。
- 美容院:1兆3,543億円
- エステサロン:3,948億円
特に、男性の美容室の利用率が増え、「パーマ」「カラー」「トリートメント」といった施術を受ける方が増加しているため、1回あたりの利用料金の高額化も傾向として確認できています。それに伴い、理容の利用率や利用人数が減少しているのも特徴です。
参考:ホットペッパービューティー「数字で見る美容」
美容院・エステサロン業界の市場動向
美容院の市場規模は前年とほぼ同水準を維持しました。利用者の内訳では、女性が1.7%減少した一方で、男性は4.8%増加しました。男性の「カラー」「パーマ」「トリートメント」の利用が増え、1回あたりの支出金額が上昇したことが影響しています。
エステサロンの市場規模は前年から16.7%増加しました。特に「フェイシャル」や「ボディ/痩身」の施術が男女ともに好調で、利用率、1回あたりの支出、年間利用回数が全て増加しています。一方、脱毛の市場規模は前年比2.9%減少しました。特に女性の脱毛市場は10.6%の大幅減少で、利用率が4年連続で減少していることが主な原因です。
2. 美容院・エステサロンを事業承継する理由
美容院・エステサロンを事業承継する理由は事例によってさまざまですが、主な理由としては以下の5つが挙げられます。
【美容院・エステサロンを事業承継する理由】
- 後継者問題を解決
- 廃業・倒産を回避
- 従業員の雇用を確保
- 経営のプレッシャーから解放
- 譲渡・売却益の獲得
①後継者問題を解決
美容院・エステサロンは比較的若い業界なので、経営者の高齢化による後継者問題はまだ表面化していませんが、美容院・エステサロンは景気の影響を受けやすいので、経営の先行きに不安を感じて事業承継を検討するケースが考えられます。
親族や社員などに適切な後継者がいない場合でも、M&Aを利用すれば後継者を見つけられる可能性があります。
②廃業・倒産を回避
美容院・エステサロン業界は、2017年に大手のグロワール・ブリエ東京が倒産するなど、競争の激しい業界の一つであるため、小規模な事業者では経営が立ち行かなくなるケースが多いです。
そこで、M&Aで経営基盤のしっかりした大手に事業承継することで、美容院・エステサロンの廃業や倒産を回避することも可能です。
③従業員の雇用を確保
美容院・エステサロンを廃業してしまうと、そこで働いていた従業員が職を失ってしまうことになります。経営者としては、従業員に迷惑をかけたくないと考えることも多いです。
従業員の雇用を確保するために、M&Aで美容院・エステサロンを事業承継するというのも有効な選択肢です。
④経営のプレッシャーから解放
美容院・エステサロンは60%が1年以内に倒産するといわれており、経営者のプレッシャーは非常に大きいものがあります。
経営のプレッシャーから解放され、精神的に楽になりたいという理由で、美容院・エステサロンを事業承継するという選択肢も有効です。
そのような理由で事業承継を検討してよいのかと考えるかもしれませんが、実際にいろいろな業種のM&A事例をみると、気力の限界などを理由に会社を売却する事例はよくあります。
⑤譲渡・売却益の獲得
美容院・エステサロンの経営者が保有している株式を株式譲渡すれば、その譲渡益は経営者のものとなります。
譲渡益・売却益を獲得する目的で、美容院・エステサロンを事業承継するのも有効な選択肢です。
獲得した売却益は、新しい事業の資金にすることや、個人的な生活費にあてることもできます。
3. 美容院・エステサロンの事業承継の案件例
弊社M&A総合研究所が取り扱っている美容院・エステサロンの事業承継の案件例をご紹介します。
【地域No1知名度】北陸エリア/美容院・エステサロン運営事業
地域TOPクラスの知名度を誇り、10年以上の常連客も多数いることから、毎年安定した営業利益を創出しています。若手人材が多く在籍しており、離職率も低いです。
エリア | 中部・北陸 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【都内23区の好立地/無借金経営】高リピート率ヘアサロン2店舗運営
東京都内にてヘアサロンを2店舗経営しています。コロナ禍のオープンにも関わらず毎期黒字計上、無借金経営の企業です。
エリア | 東京都 |
売上高 | 5000万円〜1億円 |
譲渡希望額 | 5000万円〜1億円 |
譲渡理由 | 資金調達 |
【首都圏/好立地×直営6店舗展開】美容サロン事業
全店舗の平均口コミ4.8以上と店舗やスタッフを問わず高品質の施術を提供しています。リピート率は約80%と安定的な集客モデル、顧客基盤を保有しています。
エリア | 関東・甲信越 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡理由 | 創業者利益の獲得 |
【首都圏/アクセス〇】ヘアサロン運営事業
ヘアサロン事業、化粧品販売事業(店頭販売)を手掛けています。各店舗とも最寄りの駅から近いです。
エリア | 関東・甲信越 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
4. 美容院・エステサロンの事業承継が行われた事例
この章では、実際に美容院・エステサロンの事業承継が行われた事例をご紹介します。
エム・エイチ・グループによるSCAT株式取得と第三者割当による新株式発行
2024年5月13日、エム・エイチ・グループはSCATとの資本業務提携を強化し、SCATの株式追加取得と新株発行を決議しました。エム・エイチ・グループは「モッズ・ヘア」の運営や商品開発を行い、SCATは美容サロン向けにPOSレジや予約システムなどを提供しています。
この提携強化は、美容室支援事業の一環としてBtoBクレジット決済サービスの推進を目的としています。キャッシュレス化が進む中、SCATのソリューション技術やネットワークを活用し、決済サービスの普及を図るほか、理美容業界のDX推進や課題解決につながる新たなサービスの開発を目指します。
エム・エイチ・グループによる子会社への一部事業の承継
2023年8月、エム・エイチ・グループは、完全子会社のアトリエ・エム・エイチ(AMH)に事業の一部を承継させる会社分割を決定しました。この分割では、BSサロン運営事業とヘアメイク事業が対象です。
エム・エイチ・グループは持株会社としてグループ全体の成長を促進し、AMHは「mod's hair」ブランドを一社に集約して迅速な意思決定と効率化を図ります。
これにより、美容室運営事業の安定基盤を構築し、美容室支援事業やキャリアデザイン事業への投資を継続して成長戦略を進め、安定的な株主還元を目指します。
アルテサロンホールディングスによるスタイルデザイナーの吸収合併
2023年3月、アルテサロンホールディングスは、グループ企業であるスタイルデザイナーを吸収合併することを決定しました。この合併に伴い、スタイルデザイナー事業部と改称し、外部加盟型フランチャイズ事業を引き継ぎます。
アルテサロンホールディングスは、美容室を300店舗以上運営する大手企業です。一方、スタイルデザイナーは、グループ内で唯一外部加盟型フランチャイズを運営しており、2009年1月から完全子会社となっています。
今回の合併により、アルテサロンホールディングスは、業界での存在感と経営資源、サロン運営ノウハウを最大限に活用し、外部加盟オーナーの開発強化と、新規事業の展開を図ります。また、サロン開発・出店機能を活用して、さらなる成長を目指します。
RVHが子会社をG.Pホールディングへ譲渡
2020年2月に、RVHは子会社であるミュゼプラチナムと不二ビューティの全株式を、G.Pホールディングへ譲渡しました。
ミュゼプラチナムは美容脱毛サロンなどを行っている会社で、不二ビューティはエステティックサロン「たかの友梨ビューティクリニック」を展開している会社です。G.Pホールディングは、不二ビューティの元親会社に当たります。
広告にかかる費用、競争の激化や人材不足など経営状態がよくなく業績が低迷していたため、RVHは今回の譲渡へと至っています。
5. 美容院・エステサロンの事業承継を行う際の注意点
美容院・エステサロンの事業承継を成功させるためには、以下の点に注意しましょう。
【美容院・エステサロンの事業承継を行う際の注意点】
- 従業員が離職しないように注意する
- 情報の漏えいが深刻なダメージを与える可能性
- タイミングを逃さない
- 希望条件を限定しすぎない
- 専門家に相談する
①従業員が離職しないように注意する
美容院・エステサロン業界は、従業員の離職率が高い業界の一つです。勤務時間が長く低賃金のことが多いため、能力のある従業員は退職して独立してしまうのが一因です。
美容院・エステサロンの事業承継では、買い手側が優秀な従業員を獲得したいと考えていることもよくあります。
従業員が離職してしまうと買い手にとって利益がなくなってしまう可能性もあるので、離職しないように対処しておくことが重要です。
②情報の漏えいが深刻なダメージを与える可能性
事業承継では、成約するまで情報の公開は最小限に抑えておくべきです。
会社が売却されると知った従業員が不安になって離職してしまう恐れがあり、情報が出回ってしまっている案件は買い手から敬遠される傾向があります。
情報漏えいの対策としては、例えばマッチングサイトを利用するときは会社が特定できないように情報の公開を限定的にしたりするなどの方法があります。
③タイミングを逃さない
美容院・エステサロンの事業承継では、タイミングを逃さないことも重要なポイントになります。
美容院・エステサロンは流行の移り変わりが早く、最新の設備や施術に強みを持っていても、時間がたつとその価値が下がってしまうこともあります。
譲渡先の選定にあまり慎重になりすぎると、譲渡に最適なタイミングを逃してしまうこともあるので注意が必要です。
④希望条件を限定しすぎない
美容院・エステサロンの事業承継で最適な売買先を見つけるには、幅広い候補から最も条件に合う相手を絞り込んでいく必要があります。
しかし、希望条件をあまり限定しすぎると、その条件に合う候補が少なくなり、成約しづらくなる可能性もあります。
希望条件に関しては、これだけは譲れないという条件をいくつかピックアップしておき、それ以外の点では相手の意見を受け入れて柔軟に対処するようにしましょう。
⑤専門家に相談する
美容院・エステサロンの事業承継は幅広い知識と経験が必要なので、専門家のサポートを得ながら進めていく必要があります。
相談先として最もオーソドックスなのはM&A仲介会社ですが、銀行や信用金庫といった金融機関や、事業引継ぎ支援センターなどの公的機関も利用できます。
ただし、金融機関や公的機関では、最終的に提携のM&A仲介会社を紹介されることが多いので、基本的にはM&A仲介会社を利用するのが無難な選択肢といえるでしょう。
6. 美容院・エステサロンの事業承継でおすすめの相談先
美容院・エステサロンの事業承継でおすすめの相談先をご紹介します。
金融機関
メガバンクや地方銀行など、取引先の金融機関でもM&A・事業承継の相談窓口を設けている場合があります。
金融機関を利用する最大の利点は、豊富な専門知識を活かした的確なアドバイスを受けられる点です。さらに、資金調達に関する相談もスムーズで、M&Aの計画から実行に至るまでのプロセスを支援する頼れるパートナーとなります。
一方で、中小企業が関わる案件では、金融機関の専門性が十分に発揮されない場合があります。また、成功報酬が高額になるため、小規模企業にとっては経済的負担が大きくなるリスクがあることも留意する必要があります。
公的機関
商工会議所などの公的機関では、中小企業向けにM&A支援サービスを提供しています。政府が策定した「事業承継ガイドライン」でも、M&Aは事業承継を進める上で重要な手段として位置づけられています。
公的機関の大きな特徴は、中小企業特有の業務や文化への深い理解です。特に、売り手と買い手の両者が中小企業の場合、こうした機関の支援は非常に有効で、スムーズな事業承継を実現する助けとなります。さらに、商工会議所の会員になれば、初期費用をかけずにM&Aに関する相談やサポートを受けられる点も大きなメリットです。
一方で、商工会議所を利用するには会員登録が必要となり、その際に発生する会費がサービス利用を検討する際のハードルとなることがあります。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、M&Aに特化した専門的なサービスを提供しており、各社が異なる強みや実績を持っています。そのため、企業の課題やニーズに合った仲介会社を選ぶことが、成功への鍵となります。
仲介会社を利用するメリットは、幅広いネットワークを駆使して理想的な売り手や買い手を効率的に見つけられる点です。また、金融機関よりも成功報酬が比較的低めに設定されている場合が多いため、専門的なサポートを受けながらコストを抑えられる点も大きな魅力です。
一方で、一部の仲介会社では、報酬を優先するあまり契約成立を急がせるケースがあるため注意が必要です。M&Aを成功させるためには、信頼性が高く、自社の目標や状況を深く理解し、丁寧にサポートしてくれる仲介会社を選ぶことが非常に重要です。
7. 美容院・エステサロンの事業承継まとめ
本記事では、美容院・エステサロンの事業承継について解説しました。
美容院・エステサロン業界はトレンドの移り変わりが激しいので、事業承継を行うにあたっては、タイミングの重要性が他の業種より高いといえるでしょう。
【美容院・エステサロンを事業承継する理由】
- 後継者問題を解決
- 廃業・倒産を回避
- 従業員の雇用を確保
- 経営のプレッシャーから解放
- 譲渡・売却益の獲得
【美容院・エステサロンの事業承継を行う際の注意点】
- 従業員が離職しないように注意する
- 情報の漏えいが深刻なダメージを与える可能性
- タイミングを逃さない
- 希望条件を限定しすぎない
- 専門家に相談する
8. エステサロン業界の成約事例一覧
9. エステサロン業界のM&A案件一覧
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