ホームセンター業界のM&A動向!売却・買収事例5選とメリットを解説!【2025年最新】

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

ホームセンターは店舗数の増加とECの台頭による競争激化により、品揃えやサービスの充実を図り生き残りをかけるためのM&Aが活発化しています。この記事では、ホームセンターのM&Aについて、メリットや事例などについて詳しく見ていきましょう。

目次

  1. ホームセンター業界の概要と動向
  2. ホームセンター業界のM&A動向
  3. ホームセンター事業のM&Aにおけるメリット
  4. ホームセンター業界のM&Aにおける買収・売却事例5選
  5. ホームセンター事業のM&Aにおける成功のポイント
  6. ホームセンター業界のM&A・事業売却まとめ
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1. ホームセンター業界の概要と動向

ホームセンターの店舗数は年々増加していますが、今後、少子化による人口減少や消費者の節約志向の強まりにより、厳しい状況が予想されています。

そのような中で、ホームセンター業界では、生き残りをかけたM&Aの動きが活発化しているようです。この記事では、ホームセンター業界の近年の動向と、M&Aの状況について詳しくみていきましょう。

ホームセンター業界とは

ホームセンターとは、主に日用雑貨や住宅設備に関する商品を販売している小売店のことです。

経済産業省の産業分類表では、売り場面積が250平方メートル以上あることといった定義もされていて、日用雑貨や住まいに関する商品を扱っている、比較的規模の大きな店舗をホームセンターと呼びます。

扱っている商品は、日用品や住宅用品以外にも、ペット用品や農業用品、自動車用品などを扱う店舗も多く、大規模な店舗では一般消費者だけでなく、大工や配管工などのプロ向けの商品を扱っているところもあります。

ホームセンターは和製英語です。現在のホームセンターの元になる店舗は、1960年代から1970年代ころに登場したといわれています。

1980年代から1990年代にかけて店舗数が増えていきましたが、2000年の大規模店舗立地法の施行により、ホームセンター業界だけでなく他の業態との競争が激化した結果、各社とも生き残りをかけて個性的な戦略を取るようになっていきました。

例えば、農家や工務店向けのプロ需要を取り込む、地価の下がった都心への出店、農村部をターゲットとする、100円ショップに日用品は任せてDIY・BIY・SIYに特化した商品開発に専念するなど、ホームセンターの個性化が進みました。

2010年代に入ると、ホームセンター業界では創業者からの代替わりの時期に入り、近接業態からのM&Aなどでの業界再編の大きな波がここ数年みられるようになっています。

ホームセンター業界の市場規模と動向

業界動向サーチの分析によると、2022年から2023年にかけてのホームセンター業界の市場規模は約3.6兆円でした。

ホームセンターでの販売額の推移をみてみると、2014年から2019年にかけては3.3兆円から3.2兆円の間を横ばいで推移しています。2020年には、コロナ禍での巣ごもり需要の増加から、3.4兆円と増加しました。

2021年と2022年は3.3兆円で推移しています。コロナ禍からのアウトドアや園芸、ペット、自動車用品の人気の高まりが、ホームセンター業界での好調な売上を支えています。

しかし、2022年のウクライナ危機からのエネルギーや原材料の高騰、急激な円安などの影響で、消費者の節約意識が高まっており、買い控えの兆候がみられ始めました

また、ホームセンター業界では新規出店による事業拡大が今までのビジネスモデルでしたが、店舗数が飽和状態に達し、1店舗あたりの収益は減少傾向にあります。

ホームセンター業界では、さらなる生き残りをかけて、プロ向け商品の充実や、業務のDX化による効率化を加速させています。

参考:業界動向サーチ「ホームセンター業界の動向や現状、ランキングを解説

【関連】リフォーム業界のM&A・事業承継動向!事例や案件・成功のポイントを解説

2. ホームセンター業界のM&A動向

ホームセンター業界では、業界全体での売上は好調にみえますが、1店舗あたりの売上の減少や、業界内だけでなくECやドラッグストア等との競争激化が進む中、さらに今後、少子化による人口減少での市場規模の縮小も予想されます。

また、1970年代から90年代にかけてホームセンターを創業した創業者の代替わりの時期を迎えており、M&Aによる業界再編の動きがみられます。

ホームセンター業界でのM&Aでは、同業者同士のM&Aや、隣接業界であるリフォーム業界などとのM&Aの動きが多く、M&Aによって新規エリア開拓や、仕入れルートや物流の最適化を図る目的がみられます。

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3. ホームセンター事業のM&Aにおけるメリット

ホームセンター事業をM&Aするメリットは次のとおりです。

売却側が得られるメリット

ホームセンター事業を売却、譲渡する側のメリットです。

  • 後継者問題の解決
  • 従業員の雇用維持
  • 売却益の獲得
  • 事業拡大のチャンスが広がる

現在、多くの会社で会社の経営を引き継ぐ人がいない後継者問題が深刻化しています。代替わりの時期を迎える会社が多いホームセンター業界でも、後継者問題を抱える会社があり、他社にM&Aで承継してもらうことで解決を図る動きがあります。

後継者問題などで廃業することになると、従業員は解雇となりますが、M&Aでは従業員も買収側が引き取って雇用を維持できるというメリットがあるのです。

廃業なら従業員への退職金の支払いなどのコストがかかりますが、M&Aでの売却なら売却益が手に入り、経営者は引退後の生活費などに使えます。

大手企業の傘下に入ることで、仕入れルートを増やして商品ラインナップを充実させるなど、事業拡大のチャンスも広がります。

買収側が得られるメリット

ホームセンター事業を買収、譲受する側のメリットです。

  • 規模とシェアの拡大
  • 関連領域の拡大
  • 人材の獲得
  • シナジー効果を得る

ホームセンター事業や運営会社を買収することで、買収した会社が運営していた店舗を自社の店舗として取り込むことができます。店舗網の規模拡大と、利用客増加によるシェア拡大を図ることが可能です。

ホームセンター業界では、シナジー効果を得やすいリフォーム事業などの買収も盛んです。関連領域を拡大させていくことでの、シナジー効果創出も図ることができます。

現在、多くの業界で人手不足が加速化しており、M&Aによる他社の買収により、ホームセンターの業務に精通した人材を多く獲得できるというメリットも期待できます。

【関連】日本国内でのM&Aの現状 課題と対策や今後の展開は?業界の推移も解説

4. ホームセンター業界のM&Aにおける買収・売却事例5選

ホームセンター業界で実施されたM&Aの事例を紹介します。

DCMホールディングスがホームセンター事業のケーヨーをM&Aした事例

2023年11月15日に、DCMホールディングス株式会社から、株式会社ケーヨーの普通株式の公開買付が終了し、発行済株式の90.70%を取得したことが発表されました。このM&Aにより、ケーヨーはDCMホールディングスの連結子会社になる予定だとのことです。

DCMホールディングスは、ホームセンター事業を行う会社を傘下に持つ持株会社です。ケーヨーは「ケーヨーD2」というホームセンターチェーンの運営会社で、関東地方を中心に約160店舗展開しています。

両社は2017年に資本業務提携を行い、ケーヨーの利益体質の改善に努めてきました。

今後、さらに両社の企業価値を高めていくためには、よりスピード感のある意思決定が必要であり、少数株主へ配慮した運営から、ケーヨーをDCMホールディングスの完全子会社化を目指して株式公開買い付けを実施したとのことです。

参考:株式会社ケーヨー普通株式に対する公開買付けの結果及び子会社の異動(特定子会社の異動)に関するお知らせ

アレンザホールディングスがホームセンター事業を手がけるNSAKをM&Aした事例

2023年11月2日に、アレンザホールディングス株式会社から、同社の子会社の株式会社ホームセンターバローが、株式会社NSAKと株式会社ホームセンター・アントの全株式を取得して子会社化するM&Aを実施したことが発表されました。

アレンザホールディングスは、福島県福島市に本社のあるホームセンターとペットショップを運営するグループの持株会社です。東北地方、東海地方、中国・四国地方にグループ会社や店舗を展開しています。

ホームセンターバローは、東海地方を中心にホームセンターとペットショップを運営している会社で、約40店舗展開しています。

ホームセンター・アントは愛知県と三重県に5店舗のホームセンターを展開している会社で、持株会社であるNSAKの傘下にある会社です。

ホームセンター・バローとホームセンター・アントは同じ東海地方で展開しており、このM&Aによりドミナントの深耕を図ることができ、シナジー効果の最大化が可能であることから、アレンザホールディングスグループの企業価値向上に資する見込みであるとのことです。

参考:当社子会社による株式取得(孫会社化)に関するお知らせ

コーナン商事が九州でホームセンター事業を展開する企業をM&Aした事例

2023年3月22日に、コーナン商事株式会社から、株式会社ホームインプルーブメントひろせの全株式を取得して子会社化する株式譲渡契約を締結したことが発表されました。

コーナン商事は、ホームセンターチェーンの「コーナン」を運営している会社です。ホームインプルーブメントひろせは、大分県大分市に本社のあるホームセンターの運営会社で、鹿児島県を除く九州全域に約40店舗を展開しています。

コーナン商事とホームインプルーブメントひろせは、2018年に業務提携契約を結び、コーナンのPB商品の提供などの連携を深めてきました。

このM&Aにより、コーナン商事としては、九州地方での事業基盤のより一層の強化を図ることができるとともに、食品スーパー事業への進出も可能になり、今後の業容拡大が見込まれるとのことです。

参考:株式会社ホームインプルーブメントひろせの株式の取得(子会社化) に関するお知らせ

アークランドサカモトがホームセンター事業を行うLIXILビバをM&Aした事例

2020年7月22日に、アークランドサカモト株式会社から、株式会社LIXILビバの株式公開買付けの実施が終了し、発行済株式の53.22%を取得したことが発表されました。

アークランドサカモトは、1952年に新潟県三条市で金物類の卸業として創業した会社です。1978年にホームセンターを開店して、現在までに「ホームセンタームサシ」などを展開しています。

LIXILビバは、1977年に福島県で第1号店が開業したホームセンター「ビバホーム」を運営している会社です。関東や東北、北海道、中部、関西に約50店舗を展開しています。

このM&Aにより、近年自然災害の発生も頻発しているこの国におけるホームセンターの社会的使命を果たし、安心安全な住まいの提案とより豊かな暮らしの実現を目的とするとしています。

参考:株式会社LIXILビバ株式(証券コード3564)に対する公開買付けの結果に関するお知らせ

コーナン商事がホームセンター事業及びリフォーム事業のドイトをM&Aした事例

令和元(2019)年11月29日に、コーナン商事株式会社から、株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの連結子会社のドイト株式会社が運営するホームセンター事業とリフォーム事業を、会社分割によって承継することが発表されました。

コーナンが承継会社となり、ドイトが分割会社になります。

ドイトは1972年に日本で最初の本格的なホームセンターとして埼玉県で創業したホームセンター店舗のチェーンです。主に埼玉県と東京都に現在16店舗展開しています。

コーナンとしては、首都圏への出店戦略を重要課題としており、首都圏に展開しているドイトは有力な営業基盤の一つです。このM&Aにより、コーナングループの今後の成長戦略を加速できるとしています。

参考:会社分割(簡易吸収分割)による事業の承継に関するお知らせ

【関連】日用雑貨業界のM&A動向!売却・買収事例3選やメリットを解説!【2025年最新】

5. ホームセンター事業のM&Aにおける成功のポイント

ホームセンター事業のM&Aを成功させるためのポイントをみておきましょう。

M&Aの専門家にアドバイスをもらう

ホームセンター事業や運営会社をM&Aした方がいいのか考え始めたら、まずはM&Aの専門家に相談しましょう。M&Aの専門家は、主に中小企業のM&Aのサポートを専門的に行っています。

M&Aは経営者が自分だけで相手探しや手続きをしようと思っても、相性のいい相手が見つからなかったり、法律や財務の高度な知識が必要な手続きでつまずいたりしてうまくいかないことがほとんどです。

M&Aの知識と経験が豊かな専門家のサポートを受けることで、スムーズな会社売却や他社の買収が可能になるでしょう。

M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください

M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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相乗効果が見込まれる相手先を選定

M&Aで会社や事業の売買を行うときには、必ず相乗効果を見込める相手かどうかを見極めることが大切です。

相乗効果とは、自社の事業と相手の事業が、単なる足し算で2倍に成長するのではなく、掛け算で3倍、4倍と何倍にも伸びていくことを指します。

売却側の会社や事業が、買収側の会社の既存の事業の足りないところを埋めて、お互いに業績を何倍にもアップさせていくことができるようなM&Aが理想的なM&Aといえるでしょう。

M&Aは進めていくうちに、当初の目的や相乗効果の創出を忘れてしまい、会社の売買だけが目的化してしまうことがよくあります。

買収側の業務と相乗効果を全く発揮できない会社を買ってしまい、会社のお荷物になってしまうこともあるようです。そうすると、売却側の会社だけでなく、買収側の会社の業績も悪化してしまうこともあります。

そのようなM&Aはとても不幸なM&Aとなります。特に買収側は、どのような目的で他社を買収したいのか、当初の目的を明確化して、その目的に合った会社を選ぶことが大切です。

条件交渉時や手続きにおける要点を押さえる

特に、売却側はM&Aの交渉で譲れないポイントや、手続きの流れや要点を、M&Aを始める前にしっかりと確認して抑えておいたほうがいいでしょう。

多くの会社をM&Aで買収してきている会社であれば、M&Aの流れや交渉のポイントなどに精通しています。

一方、売却側としては、経営者にとっては一生に一度のM&Aでの会社売却であることも多く、M&Aの流れをよく理解しないままに交渉に入ってしまうこともあります。

そうすると、買収側から提示される金額をそのまま受け入れてしまったり、不利な条件を承諾してしまったりしてしまうこともあるようです。そして、後から本来の金額よりも買い叩かれていたことに気がつく、ということもあります。

そのようなことにならないようにするためには、M&Aが初めての方は、M&Aに入る前にM&Aの専門家から流れについて説明してもらい、手続きの要点を抑えておきましょう。

また、相手との本格的な交渉に入る前に、M&Aの専門家に企業価値評価をしてもらい、会社の本来の価値を事前に調べておくことも大切です。

【関連】建材業界のM&A動向と成功のポイント|売却・譲渡の手法や事例を専門家が解説

6. ホームセンター業界のM&A・事業売却まとめ

ホームセンター業界では、後継者問題などで会社の将来に不安を感じている経営者も増加しているようです。後継者問題や事業の悪化などで廃業することになると、従業員の雇用は失われ、その店舗を利用していた地域の利用客も困ることになります。

M&Aで会社を売却できれば、店舗を継続できる可能性が高まるでしょう。会社の将来が不安なら、まずはM&Aでの会社売却の可能性について、M&Aの専門家に相談してみることがおすすめです。

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