ライザップ赤字の要因は休業?実店舗ビジネスが乗り越えるべき課題とは

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

ライザップはスポーツクラブ事業を事業を展開していますが、2020年度は新型コロナの影響で中間決算で赤字に陥っています。この記事では、ライザップの赤字要因とそこから見える実店舗ビジネスが乗り越えるべき課題について解説します。

目次

  1. ライザップ赤字の要因は休業?
  2. ライザップ赤字から見る実店舗ビジネスが乗り越えるべき課題
  3. M&Aのご相談はM&A総合研究所へ
  4. まとめ
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1. ライザップ赤字の要因は休業?

ライザップグループの連結子会社であるライザップは、スポーツクラブ事業を主軸としています。「結果にコミット」というキャッチコピーで有名になり順調に成長していましたが、2020年度の収益は大きく低下しています。

2020年度の4~6月期の決算は最終損益が27億円の赤字、2020年度の9月の中間決算についても18億円の赤字であると報道されています

2020年は新型コロナウィルスの感染拡大の影響により、ライザップのような実店舗ビジネスを行う企業は大きな打撃を受け、赤字となるところも多くみられました。

ライザップとは

ライザップは、スポーツクラブ事業のほか、健康に関する研究、ボディメイク事業等を営む企業です。ライザップグループの連結子会社であり、2003年に資本金1000万円で設立されました。

パーソナルジム「ライザップ」は、オリジナルのトレーニングメソッドを開発するだけでなく、食事方法の提案を行い、短期間で利用者の目標を到達させるカリキュラムが特徴です。

「結果にコミットする」というCMも話題になり、ライザップは2003年の設立から20年足らずでスポーツクラブ業界の有名な企業へと成長しています。

ライザップグループの買収戦略

ライザップグループの成長戦略といえば、買収戦略が有名です。ライザップグループの買収戦略とは、赤字企業を格安で買収し、買収した赤字企業に対してライザップの成功メソッドを導入することで、短期間で業績の回復・向上を目指すというものです。

しかし、すべての企業で予定通りに業績が回復するわけではありません。業績が回復するまでに時間がかかったり、そもそも買収した企業のビジネスモデルでは収益を上げづらいなどの買収の失敗例もありました。

ライザップグループは今までに合計で85社も買収を行っており、その戦略が成功して業績が向上していますが、2019年にはその業績向上が負ののれんの計上によって示されていたものであり、事実上買収戦略が失敗していたことが公表されました。

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ライザップの赤字は新型コロナによる休業が要因

しかし、2020年度は新型コロナの影響を大きく受けることになり、赤字額が大きく膨らむことになります。2020年4月からの緊急事態宣言を受けてライザップが運営している店舗の約7割が休業することになりました

また、緊急事態宣言下の休業中の人件費や家賃代など15億円をコロナ関連損失として計上しました。これらの要因から2020年度の4~6月期の最終損益が27億円の赤字、9月の中間決算についても18億円の赤字となりました。

クラスターの影響で新規入会者が大幅減少した背景も

さらに大きな影響を受けたのはスポーツクラブでのクラスターの発生です。2020年の3月、新型コロナが流行し始めている段階でスポーツクラブでのクラスターが大きく報道されました。

マスクをつけないことによる飛沫や春先であったことから店舗内の換気が不十分であったことが原因です。現在ではどのスポーツクラブでもコロナ対策は十分ですが、当時ははっきりとした原因が分からなかったため、スポーツクラブに通うことを控える人が増加しました。

合わせてスポーツクラブへの新規入会者も減少しました。ライザップはその影響を大きく受けており、2020年度の新規の入会者数は前年に比べて、2月は12%減、3月は57%減。緊急事態宣言が出た4月は89%減。5月は94%減でした

このような影響もあり、ライザップは赤字額を増やすことになりました。

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2. ライザップ赤字から見る実店舗ビジネスが乗り越えるべき課題

ライザップの赤字事例からは、実店舗ビジネスが乗り越えるべき課題もみえてきます。この章では、乗り越えるべき3つの課題について解説します。

【ライザップ赤字から見る実店舗ビジネスが乗り越えるべき課題】

  1. 人件費への対策
  2. 家賃への対策
  3. 事業の経営統合による対策

1.人件費への対策

乗り越えるべき課題1つ目は人件費への対策です。実店舗ビジネスが実店舗ビジネスを行ううえで重要になるのは、従業員による接客やサービスの提供です。

実店舗ビジネスを行うサービス業にとって、従業員が企業そのものを表すため、ライザップの赤字からもわかるように簡単に解雇することはできず、人件費を変動費化しにくいのが現状です。

人件費への対策としては、人員配置の効率化や副業の解禁などが挙げられます。人員配置の効率化では、コロナ禍前の来客数に回復しても対応従業員数を減らすことで人件費を削減し、利益増大を狙います。

実際にライザップでも、従業員やトレーナーなどの人員の配置や拠点を効率化するなど、固定費を削減する対策を取っています。

また、副業の解禁については、各従業員の給与に対する収入依存度を低減させることで、人件費を少しでも変動費化の方向へ持っていくことができます。

ただし、副業の解禁や人件費の変動費化には優秀な人材を流出させてしまうリスクもあるため、十分な対策を講じる必要があります。

2.家賃への対策

課題2つ目は家賃への対策です。実店舗ビジネスの場合は賃貸物件を使用していれば当然家賃の支払いが毎月かかりるため、経営状態によっては赤字要因ともなります。

ライザップの場合は家主と家賃交渉することで賃料を一時的に減額してもらううことができ、そのほかコロナの家賃給付金などを活用することで賃料を減らすことができました。

ライザップは、賃料の一時引き下げによって固定費を大きく削減することに成功しており、人件費の削減などと合わせて約61億円の固定費削減に成功しています。

しかし、この対策はコロナによる支援が大きいため、2021年度以降は同様の方法を期待することはできません。

よって、事業規模の縮小や賃貸スペース削減など、新たな対策を講じて赤字幅を減らす必要があります。

また場合によっては、業種変更やアイデアと工夫で現在の事業を脱実店舗ビジネス化させるなど、赤字が深刻にならないよう考える必要もでてくるでしょう。

3.事業の経営統合による対策

課題3つ目は事業の経営統合による対策です。事業の経営統合により経営資源の選択と集中を行うことで、経営の効率化ができ収益性の向上に期待することができます

例えば、M&Aによってコア事業以外の事業を他社へ売却すれば、経営資源や売却対価をコア事業に集中させることが可能になります。

また、自社が買い手となり他社の事業を買収すれば、事業規模拡大やシナジー効果獲得などにも期待できます。

【関連】新型コロナウイルスで廃業?廃業支援を受ける際の注意点などポイントを解説

3. M&Aのご相談はM&A総合研究所へ

実店舗ビジネスを営んでおりM&Aをご検討の経営者様は、ぜひ一度M&A総合研究所にご相談ください。

M&A総合研究所は、中小・中堅規模のM&A支援を中心に手掛けるM&A仲介会社です。M&Aに関する豊富な知識と経験を有するアドバイザーが、親身になってご相談からクロージングまでサポートいたします。

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【関連】M&A・事業承継ならM&A総合研究所
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4. まとめ

今回は、ライザップの赤字から考える、実店舗ビジネスが乗り越えるべき課題について解説しました。

ライザップは新型コロナウイルスの影響により赤字額をさらに増やすことになりましたが、実店舗ビジネスを営んでいる企業はその多くが同様に大きく影響を受けています。

新型コロナウイルスの拡大がいつ収束するのか、最終的な影響はどの程度になるかは不透明な部分も多いですが、実店舗ビジネスが乗り越えるべき課題を解決できるよう各々対策を検討することが重要といえるでしょう

【ライザップが赤字額を膨らませた理由】

  1. 緊急事態宣言による休業に伴うコロナ関連損失
  2. 同業種のクラスター発生によるライザップへの新規入会者の激減

【ライザップ赤字からみる実店舗ビジネスが乗り越えるべき課題】

  1. 人件費への対策
  2. 家賃への対策
  3. 事業の経営統合による対策

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