2021年09月17日更新
LINEの買収実績10選!LINEモバイルのソフトバンクへの売却も解説!
若い世代を中心に人気のLINEを提供するLINEには、M&Aによる買収実績が多くあります。この記事では、LINEの買収実績10選と、LINEモバイルのソフトバンクへの売却について解説しています。そのほか業界内の動向についても触れているので参考にしてください。
1. LINEとは
LINEとは、ネイバー(旧韓国NHN)傘下であるLINE(旧NHN Japan)が開発し提供する、若年層に人気のあるソーシャル・ネットワーキング・システム(SNS)です。
携帯電話やパソコン上で、テキストチャットやインターネット電話が可能な機能を提供しています。
ネイバーは1999年に設立した、大韓民国に本社を置く同国最大のインターネットサービス会社です。
インターネット検索事業・オンラインゲーム事業のほか、広告事業・EC(インターネット通販)も行っており、「NAVER」は、韓国最大手のインターネット検索ポータルサイトでもあります。
2. LINEの買収実績10選
近年では、LINEによるスタートアップ企業のM&A・買収・売却が増加しています。この章では、LINEによるM&A・買収・売却の動向について説明します。
①ライブドアへのM&A
「ライブドア」ブランドそのものは、1999年にライブドア(livedoor, Inc.)として設立し、広告収入の形態をとることにより、インターネット接続サービスを無料もしくは有料で提供していたサービスにさかのぼります。
2002年に国内他社にサービスを事業譲渡し、一旦ライブドア(livedoor, Inc.)は解散しましたが、2004年にライブドア(livedoor Co., Ltd.)に登録商号を変更しています。
さらに2006年のライブドア・ショックを経て、持株会社化によりライブドアホールディングスに変更し、第3のライブドアが設立されました。
その後、2010年にライブドアの全株式を、韓国NHNの傘下であるNHN Japanに、63億460万円(約900億ウォン)で売却しました。
このライブドアの売却において、関連子会社などのグループ解体と再編に一定の目処がついたことから、2011年に取締役会で解散を決議し、清算手続きを開始しました。
2012年には、データセンターと有料のインターネット接続サービス事業を残し、ポータルサイト「ライブドア」事業がNHN Japan、現在のLINEに吸収合併され、ライブドアの名前は消滅しました。
②ファイブへのM&A
2017年LINEは、同社の広告配信事業の強化を目的として、スマートフォン向けの動画広告プラットフォームの開発・販売・運用を行うファイブと資本業務提携し、同社の全株式を取得し、完全子会社化しました。売却価格は51億1,000万円でした。
国内スタートアップ企業のイグジットとして増え続けているM&Aですが、国内スタートアップ企業の過去5年間のM&Aディールを売却・譲渡価格の大きいものからまとめると、このLINEのM&Aはトップ10内に入ります。
③ウィンクルへのM&A
2017年にLINEは、IoT製品の企画・開発のウィンクルと資本業務提携し、同社を連結子会社化しました。
このウィンクルのLINEへの譲渡で、LINEはウィンクルの株式の過半数を取得しています。
④ウェブペイ・ホールディングスへのM&A
2015年にLINEは、子会社であるLINE Payをとおし、ウェブペイ・ホールディングスを買収しました。
⑤GrayHashへのM&A
2018年LINEは、100%子会社であるLINE Plusをとおして、韓国の情報セキュリティー会社であるGrayHash Offensive Research Centerと資本業務提携を結び、完全子会社化しました。
実質上、GrayHash Offensive Research CenterはLINEに売却されました。GrayHash Offensive Research Centerは、韓国を拠点に「攻撃型リサーチ」とハッキング対策技術を専門に扱う会社で、国内外の企業を対象に、セキュリティー関連のコンサルティング事業を展開しています。
⑥夢の街創造委員会へのM&A
夢の街創造委員会は、ウェブサイトを介して食事などの宅配サービスを行う企業であり、日本最大手の宅配ポータルサイト「出前館」を運営しています。
2019年8月末時点での、宅配ポータルサイト「出前館」の運営発表によると、アクティブユーザー数は300万人、加盟店舗数19,911以上となっています。
2016年、LINEは、夢の街創造委員会の普通株式取得に関する株式譲渡契約を、同社既存株主との間で締結しました。LINEは、夢の街創造員会の既存株主より、合計2,220,000株を取得し、取得価格は約40億円になります。
このLINEのM&Aにより、LINEは、夢の街創造員会の発行済株式総数(自己株式を含む)の20.0%を取得し、夢の街創造員会の筆頭株主となるとともに、夢の街創造員会はLINEの持分法適用会社となりました。
⑦M.T.BurnへのM&A
M.T.Burnとは、ターゲティング広告技術の専門家であるフリークアウトとスマートフォンメディア開発、運営の専門家であるイグニスのジョイントベンチャー企業です。
2016年、フリークアウトの子会社であるM.T.BurnとLINEとの間で、資本・業務提携契約が締結されました。このLINEのM&Aにより、LINEはM.T.Burnを連結子会社化しました。
⑧ADWAYS TECHNOLOGY VIETNAM JSCへのM&A
2017年にアドウェイズは、非連結子会社の「ADWAYS TECHNOLOGY VIETNAM JSC」のソフトウェア開発事業を、LINEの現地子会社であるLINE Vietnam Co., Ltd.に譲渡しました。
このLINEのM&Aにおける譲渡価格は、462億4,600万ベトナムドン(2億3,000万円相当、2017年2月時点のレート)でした。
⑨LVCと野村ホールディングスへのM&A
2019年に、LINEとLINEのグループ会社のLVCおよび野村ホールディングスは、金融事業での業務提携の検討開始について、3社間による基本合意書の締結を発表しました。
今回の基本合意書の締結により、LINEと野村グループは、LINEが持つ多くのユーザーベースにプラスして、セキュアでユーザビリティの高いUI/UXと、野村グループの金融ビジネスにおけるノウハウを活かし、ブロックチェーン関連事業領域での協業に向かいます。
⑩マイナビバイトへのM&A
2019年にLINEは、アルバイト求人情報サービスのLINEバイトで、マイナビが運営するアルバイト情報サイトのマイナビバイトと、求人広告情報の提供に関する業務提携の開始を発表しました。
今回の業務提携により、LINEとマイナビは、LINEが入口であるLINEバイトと多数の求人案件を持つマイナビバイトの連携で、自分に適したアルバイト探しがさらに可能となる環境を提供していく見込みです。
3. ソフトバンクがLINEモバイルを買収した理由
格安スマートフォンの競争が激化しているため、LINEモバイルはソフトバンクの支援を受けることで業界での生き残りをかけるようです。
LINE自体が、経営判断の速い企業であり、電子商アプリの「LINE MALL」、フードデリバリーの「LINE WOW」に代表されるように、大きな成果の出ないものは早々と終了し、他社との業務提携など別の道を模索してきました。
サービス開始2年足らずで他社を子会社化した今回のLINEモバイルのM&Aは、LINEらしい判断といえるでしょう。
この買収におけるソフトバンク側のメリットとしては、ソフトバンクが自社とグループ企業を合わせて、Softbank、Y!mobile、LINEモバイルと3つのブランドを抱えることが挙げられます。
ソフトバンクは3つのブランドを次のようにカテゴライズしています。Softbankを大容量ユーザー、ビジネスユーザー向けとし、Y!mobileをライトユーザー向け、LINEモバイルを10代から20代前半世代向けです。
また、LINEモバイルとの提携により、オンライン上の顧客の獲得が期待できます。
ソフトバンクとは
ソフトバンクは、ソフトバンクグループ傘下の会社で、携帯電話などの無線通信サービスおよび長距離・国際通信を提供する、日本の大手電気通信事業者です。
会社組織上の原点は、日本国有鉄道(国鉄)が分割民営化するのに先立ち、1986年に国鉄の鉄道電話事業の継承を目的として設立されたJR通信です。その後、1989年に旧国鉄が新電電子会社として設立した日本テレコムを吸収合併し、JR通信は日本テレコムへと改称しました。
ソフトバンクグループは、日本の携帯電話などの電気通信事業者やインターネット関連企業などを傘下に置く持株会社となっています。
1979年、孫正義が自動翻訳機を売り込んで得た資金1億円を元手に、米国で「Unison World」を設立しました。1980年に孫がUnison Worldの経営をホン(後のUTスターコム創業者)に譲り日本へ帰国し、孫が企画会社「ユニソン・ワールド」を日本で設立しました。
1981年、孫の「ユニソン・ワールド」と経営総合研究所の折半出資により、日本ソフトバンクが資本金1,000万円で創設されましたが、3ヵ月後に経営総合研究所との資本関係を解消しました。
1987年、データネット、フォーバルと共同で、世界初のLCRを開発しました。フォーバルが全国の中小法人に無償配布して新電電からのロイヤルティーで莫大な利益を出し、その資金をもとにソフトバンクは急速に成長していきます。
1996年、米国Yahoo! Inc.との共同出資により、ヤフーを設立しました。2000年、ソフトバンク株が1株19万8,000円の高値をつけ、インターネットバブルと称されました。
2004年、ソフトバンク(現ソフトバンクグループ)が日本テレコムを買収し、完全子会社化しました。買収価格は約3,400億円です。
LINEモバイルとは
LINEモバイルは、日本のMVNO(仮想移動体通信事業者)であり、100%LINEの子会社で2016年に設立されました。
MVNOとは、無線通信回線設備を開設・運用をせずに、自社ブランドで携帯電話などの移動体通信サービスを行う事業者をさします。
無線局を自ら開設しておらず、かつ、運用していない事業者で、主にSIMカードを使用したサービスを提供しています。代表的なMVNOは楽天モバイル、UQ mobile、mineoなどです。
LINEモバイルは、現在、NTTドコモ回線とソフトバンク回線を利用した通信サービスを提供しており、au回線を使ったサービスも2019年上半期には開始する予定であると発表しています。
携帯キャリアのシェア状況
電気通信事業者協(TCA)の調査によると、2020年3月における携帯キャリア別シェア(契約数)は、以下で、総契約数は合計182,154,400にまで増加しています。
- 1位=NTTドコモ、契約数累計数80,325,800
- 2位=KDDI(au)、契約累計数58,642,700
- 3位=ソフトバンクモバイル、契約累計数43,185,900
携帯電話サービスが開始してから、常にシェアの首位を独走してきたNTTドコモですが、2020年の時点では過半数を割っています。それに反比例して、ソフトバンクモバイルはシェアを拡大し続けています。
LINEモバイルを買収したメリット
ソフトバンクがLINEモバイルを買収したメリットは、主に以下の5点です。
- 圧倒的な知名度に価値
- 家電量販店で即日受け渡しが可能
- 店舗数の増加
- 楽天モバイル対策
- 新規ユーザーの囲い込み
①圧倒的な知名度に価値
若年層に知名度の高い「LINE」ブランドを持つLINEモバイルを買収したことにより、ソフトバンクにとって、特に若い世代の需要増加が見込まれます。
②家電量販店で即日受け渡しが可能
LINEモバイルは店舗販売を開始し、即日受け渡しをするサービスを行っています。取り扱い家電量販店は、コジマ・エディオン・ノジマ・ソフマップ・カメラのキタムラなどです。
また、LINEモバイルがソフトバンクの傘下になったことにより、ソフトバンクでも家電量販店で即日受け渡しが可能になりました。
③店舗数の増加
LINEモバイルは現在、即日開通店舗がほぼ全ての都道府県を制覇しており、ソフトバンクとともに拠点開拓を進めています。
ソフトバンク側のメリットとしては、LINEモバイルとの提携により、オンライン上の新規顧客の獲得が期待でき、既存の店舗数にLINEモバイルの店舗数が加わることにより、店舗数を増加できます。
④楽天モバイル対策
MMD研究所が2019年に実施した格安SIMサービスの利用動向調査によると、2019年2月時点では楽天モバイルが25.1%でトップとなり、mineoが12.7%、UQ mobileが10.7%と続いています。
SoftbankとY!mobileというブランドを持つソフトバンクは、このLINEモバイルの買収により3つのブランドを抱えることで、格安SIMトップの楽天モバイルに対抗することが可能になりました。
⑤新規ユーザーの囲い込み
ソフトバンクにとって、LINEモバイルのユーザーである若い世代の新規顧客の獲得が期待できます。SNSなどの口コミをとおして、新規顧客を増やすことが可能です。この場合、既存顧客の満足度を高めることが、新規顧客を会得する戦略へとつながります。
LINEモバイル買収の手法
開始2年足らずで、LINEモバイルはソフトバンクと資本提携し、ネイバーグループのLINEとソフトバンクグループのソフトバンクの合併子企業となりました。
今回の買収手法は、第3者割当増資といい、株式会社による資金の調達方法のことであり、特定の第3者に対して、新たに発行する株式や処分する自己株式を割り当てて、対価を得る方法です。
一般的に、他企業との関係強化を望んだり、資金繰りがうまくいかなかったりするときに、この方法が選択されます。自社と友好関係にある企業に株式を売却することによって、敵対的買収をさけることができます。
具体的には、両社が資本・業務提携し、ソフトバンクがLINEモバイルの株式51%を取得、2019年3月に契約が締結され、増資実行は2019年4月となります。
表面的には、資本・業務提携といいますが、実質上は、ソフトバンクにおけるLINEモバイルの買収です。この買収によって、LINEモバイルはソフトバンクの傘下に入ります。
株式の過半数以上を取得すると、役員の選任、役員の報酬額の決定などを行うことが可能です。
第3者割当増資は、発行する新株式の数・設定する株価・引受先によっては、株価を下げてしまう恐れがあります。
第3者割当増資のリスクを回避し、効率よくM&Aを進めていくためには、M&A仲介会社など専門家のサポートを受けながら進めることをおすすめします。
M&A総合研究所ではM&A専門のアドバイザーが専任で一括サポートをいたします。当社は完全成功報酬制(※譲渡企業のみ)となっております。
無料相談はお電話・Webより随時お受けしておりますので、M&Aをご検討の際はお気軽にご連絡ください。
4. LINEモバイル事業の今後の展開
今後、LINEモバイルで取り扱う端末が増える可能性は高くなります。また、ユーザーが店舗でのサポートを受けやすくなります。
格安スマートフォンは競争が激化しており、LINEモバイルはソフトバンクの支援を仰ぐことで生き残りをかけると考えられます。
LINEモバイルは、2016年に仮想移動体通信事業者(MVNO)として、サービスを開始しましたが、加入者数などのデータを明らかにしておらず、実態はまだあまりわかっていません。
5. まとめ
近年、外国企業を買収する日本企業が増えていますが、その規模の大きさ、対象の事業選定から見て、ソフトバンクグループのM&Aと日本企業のM&Aは、行動パターンを異にしています。
ソフトバンクグループのような、数年間に兆単位の巨額買収、投資を何度も繰り返す日本企業は他にはないといえます。
総じて、多くのLINEのM&AはクロスボーダーM&Aといえるでしょう。クロスボーダーM&Aは最近増加傾向にあり、件数だけでなく、買収金額も増加傾向にあります。
LINEの買収実績10選
- ライブドアへのM&A
- ファイブへのM&A
- ウィンクルへのM&A
- ウェブペイ・ホールディングスへのM&A
- GrayHashへのM&A
- 夢の街創造委員会へのM&A
- M.T.BurnへのM&A
- ADWAYS TECHNOLOGY VIETNAM JSCへのM&A
- LVCと野村ホールディングスへのM&A
- マイナビバイトへのM&A
ソフトバンクのLINEモバイル買収におけるメリット
- 圧倒的な知名度に価値
- 家電量販店の即日受け渡しが可能
- 店舗数の増加
- 楽天モバイル対策
- 新規ユーザーの囲い込み
LINEモバイル買収手法「第3者割当増資」とは
- 特定の第3者に対して、新たに発行する株式や処分する自己株式を割り当てて、対価を得る方法である
- 一般的に、他企業との関係強化を望んだり、資金繰りがうまくいかなかったりするときに、この方法が選択されることが多い
- 時として敵対的買収をさけるために使われる
クロスボーダーM&Aは、50%以上が失敗しているといわれており、成功させるにはしっかりと対象企業を調査・検討し、戦略を練ることが重要です。
また、第3者割当増資では、発行する新株式の数・設定する株価・引受先によっては株価を下げてしまう恐れもあるため注意が必要です。
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