2025年02月18日更新
大分県のM&A・事業承継の案件例!動向や事例・相談先も解説
大分県におけるM&A・事業承継の現状や動向、案件一覧まで紹介します。大分県におけるM&A・事業承継・会社売却の事例や、事業承継・引継ぎ支援センターなど公的機関の情報もまとめました。M&Aを検討中の方は必見です。
目次
1. 大分県の産業に見られる特徴
大分県は九州の北東部に位置し、地形の変化に富んだ地域です。耕地は、標高0mの干拓地から標高1,000m近くの高原まで広がり、その約70%が中山間地域にあります。この地理的特性を活かし、米を中心に園芸や畜産など多様な農業が展開されています。
産業構造をみると、令和元年度の県内総生産は4兆5,251億円でした。その内訳は、第1次産業が899億円(2.0%)、第2次産業が1兆3,301億円(29.4%)、第3次産業が3兆850億円(68.2%)となり、サービス業を中心とした第3次産業が経済の大部分を占めています。
参考:農林水産省「大分県の農林水産業の概要」
2. 大分県のM&A・会社売却・事業承継の動向
大分県は温泉地として観光産業が盛んであるうえ、鉄鋼・自動車・半導体などの大規模な工場が多く、産業は安定している状況です。
大分県では、新エネルギーや医療機器に加えて、中小企業の支援にも積極的に取り組んでおり、事業承継・引継ぎ支援センターなどの公的機関も充実しています。
後継者不在率61.3%は全国で7番目に高い
帝国データバンクが行った調査によると、2024年における大分県内企業の後継者不在率は61.3%でした。前年比で1.5%の減少が見られるものの、全国で7番目に高い状況です。この数字から、多くの企業が後継者の不在に悩んでいることが伺えます。
今後はM&Aによる事業承継の普及とともに、M&A・会社売却・事業承継がさらに活発に行われるものと推測されています。
参考:帝国データバンク「全国「後継者不在率」動向調査(2024 年)」
休廃業・解散件数は2年連続増加し過去最多の535件
2024年、大分県で休業・廃業・解散した企業(個人事業主を含む)は535件となり、前年より58件(12.2%)増加し、2016年の統計開始以来最多を記録しました。休廃業・解散率も前年より0.37ポイント上昇し3.36%となり、2020年以来の高水準となっています。
また、休廃業・解散による影響として、雇用消失数は668人(前年749人)、失われた売上高は約109億円(前年146億円)でした。特に、資産が債務を上回る「資産超過型」の廃業が64.6%、当期純利益が黒字の状態での廃業が69.9%(前年58.6%)と増加しており、余力のあるうちに自主的な廃業を選択する企業が増えていることがわかります。
参考:帝国データバンク「大分県企業「休廃業・解散」動向調査(2024 年)」
大分県企業によるM&A件数
2021年の登録M&A支援機関の報告によると、大分県企業が携わったM&A件数は、譲渡側で20件、譲受側で19件を記録しています。九州地方の他県と比べると、鹿児島県(譲渡側:13件、譲受側:18件)や佐賀県(譲渡側:24件、譲受側:13件)に次いで少ない水準にあることがわかっています。
参考:中小企業庁「M&A支援機関登録制度実績報告等について」
3. 大分県近郊のM&A・事業承継の案件一覧
この章では、大分県近郊のM&A・事業承継の案件をピックアップし紹介します。
【九州 / HACCP認証あり】NB/PB商品製造の水産食品加工業
大手スーパー複数社からのNB/PB商品を受注している会社です。生協向け、九州エリアの学校給食向けの商品も提供しており、安定的な売上確保を実現しています。HACCP認証を取得しており、高度な食品衛生管理を実施しているのも強みです。
売上高 | 5億円〜10億円 |
営業利益 | 1000万円〜5000万円 |
総資産額 | 5億円〜7.5億円 |
譲渡希望額 | 5000万円〜1億円 |
譲渡理由 | 創業者利益の確保のため |
【九州地方】精神科病院の法人譲渡
創業から一定年数が経過しており、地域や行政からのネームバリューや厚い信頼があります。病床数は50床以上で、理事長はM&A後も2年程度の継続勤務は可能です。数年前に建物(病院)の大規模修繕を実施しています。
売上高 | 2.5億円〜5億円 |
営業利益 | 赤字経営 |
総資産額 | 5億円〜7.5億円 |
譲渡希望額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継)、事業存続に対する不安 |
【九州エリア/豊富な顧客基盤】 金属加工機械販売・メンテナンス業
中古機械の買取販売がメインであり、部品・消耗品の卸、修理メンテナンスも手掛けています。機械を分解しないといけないレベルの修理まで自社で対応可能のためメーカー対応不要です。
100社以上の取引先を抱え、メンテナンス技術の高さからリピーター客が多いです。メイン商圏に競合が少なく、新規顧客の流入も多いのが強みです。
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
営業利益 | 〜1000万円 |
総資産額 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡希望額 | 5000万円〜1億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
4. 大分県のM&A・会社売却・事業承継の事例
続いて、大分県のM&A・会社売却・事業承継事例をピックアップし紹介します。
ジェイリースによるエイビスのM&A・事業承継
ジェイリースは、2024年4月12日に開催した取締役会で、エイビスの全株式を取得し、完全子会社化することを決定しました。
ジェイリースは家賃債務保証を中心に事業を展開し、住居用賃料保証や事業用賃料保証の市場開拓を進めるほか、医療費保証や養育費保証サービスも手掛けています。一方、エイビスは環境検査システムの国内シェアNo.1を誇り、自治体や大手企業向けのシステム開発、見守りシステムの海外展開などを行っています。
ジェイリースは、不動産業界のデジタル化が進む中、ITを活用したサービス強化が不可欠と判断しました。エイビスの技術力を取り入れることで、家賃債務保証事業の競争力向上とシェア拡大を目指します。
また、両社のリソースを融合し、地方創生やアジア市場への展開を進め、企業価値の向上を図る方針です。
イズミによるサンライフのM&A・事業承継
イズミは、2024年1月9日、サンライフの全株式を取得し、子会社化することを決定しました。
イズミは、中国・四国・九州地方を中心に、ショッピングセンターや総合スーパー(GMS)、スーパーマーケットを展開する企業です。一方、サンライフは、大分県内で地域密着型の食品スーパーを運営しています。
イズミは、大型ショッピングセンターと小商圏対応型食品スーパーの組み合わせによる相互補完を見込み、物流や販促の効率化、地域内商品・情報の共有によるシナジー効果を期待しています。
また、イズミの未出店エリアである大分市および日出町において、サンライフの店舗網を活用することで、新規市場の開拓と食品スーパー事業の強化を図ります。これらの戦略的な目的に基づき、サンライフを連結子会社化しました。
コーナン商事によるホームインプルーブメントひろせのM&A・事業承継
コーナン商事は、2023年3月22日、ホームインプルーブメントひろせの子会社化を決定し、株式譲渡契約を締結しました。
コーナン商事は、ホームセンター「コーナン」の運営や建築職人向け小売業、会員制建築資材卸売業を展開しています。一方、ホームインプルーブメントひろせは、住宅関連用品や日用品の小売、食品販売などを手掛けています。
今回のM&Aにより、コーナン商事は九州地域での事業基盤を強化し、新たに食品スーパー事業へ参入することで業容拡大を図ります。また、コーナン商事が持つ商品企画力や販売力、物流・システムのノウハウを活用し、シナジー効果の最大化を目指します。
5. 大分県のM&A・会社売却・事業承継案件を探す3つの手段
大分県のM&A・会社売却・事業承継案件を探す際は、以下のような手段を利用すると良いでしょう
- M&A仲介会社・専門家に相談する
- 地元の金融機関などに相談する
- M&Aマッチングサイトなどを活用する
①M&A仲介会社・専門家に相談する
M&A仲介会社や、会計士・弁護士など専門家に相談する手段は、最もオーソドックスな選択肢です。
ただし、すべての会計士や弁護士がM&Aに詳しいとは限らないため、M&Aに強みを持つ専門家を探すようにしましょう。
②地元の金融機関などに相談する
M&A仲介会社・専門家以外の選択肢としては、大分の地方銀行や信用金庫に相談する手段もあります。金融機関では、M&A・会社売却・事業承継の相談を受け付けるところもあるのです。
③M&Aマッチングサイトなどを活用する
仲介会社や専門家に頼らず自身で案件を探したい場合は、M&Aマッチングサイトを活用する選択肢もあります。小規模事業の売買であれば、自身でクロージングまで行うことも可能です。
Batonz 【バトンズ】
Batonz 【バトンズ】は、豊富なネットワークを生かしたマッチングサイトです。
ベンチャー企業専門の「Batonz Ventures」など、利用者のニーズを捉えたサービスも提供しています。
トランビ【TRANBI】
トランビ【TRANBI】は、15万人以上のユーザー数と、3,000件以上の案件数を誇るマッチングサイトです。九州の案件も豊富に取り扱っており、大分県のM&A・会社売却・事業承継にもおすすめです。
6. 大分県の M&A仲介会社を選ぶ時のポイント5選
この章では、大分県でM&Aをする際に仲介会社を選ぶポイントを紹介します。
- 同業種の専門的知識・M&A実績がある
- 同程度の規模・地元のM&A案件の実績がある
- M&Aに関する幅広い知識・経験を持っている
- 手数料・相談料・報酬体系がわかりやすい
- 担当スタッフの対応・相性
①同業種の専門的知識・M&A実績がある
M&Aは、売却する会社の業種によって、必要とされる専門知識や経験が異なります。
仲介会社を選ぶ際は、「自社の業種に関する専門的知識がある」「実際にその業種のM&A実績がある」会社を選ぶと良いでしょう。
②同程度の規模・地元のM&A案件の実績がある
ひとことにM&Aといっても、大企業と中小企業では流れや手続きが異なります。M&A仲介会社を選ぶときは、自社と同じ規模の案件を取り扱っているか確認しましょう。
全国の案件を取り扱っている地域密着型ではない仲介会社の場合は、地元でのM&A実績が十分あるかも確認しておきましょう。
③M&Aに関する幅広い知識・経験を持っている
M&Aは会計や税務の知識に加えて、売却する会社の業界動向など幅広い知識と経験が必要です。M&A仲介会社に依頼する際は、会計士・弁護士・M&Aアドバイザーなど幅広い専門家が在籍している機関や、自社の業界に特化している機関を選びましょう。
④手数料・相談料・報酬体系がわかりやすい
M&A仲介会社の手数料・相談料・報酬体系の手数料は統一されておらず、各社が独自に着手金・中間金・成功報酬などを設定しています。
M&A仲介会社を選ぶときは、料金体系がわかりやすいかどうか確認しておけば、将来的に思わぬ請求をされてトラブルになるおそれがありません。
⑤担当スタッフの対応や相性がいい
M&A仲介会社を選ぶ際は、担当スタッフの対応や相性なども重要です。「親身になって丁寧にこちらの話を聞いてくれるか」「メールや電話の対応が速いか」「人間的に信頼できるか」などを確認しておきましょう。
7. 大分県内のM&A・事業承継に役立つ公的支援
大分県では、事業承継ネットワークや事業承継・引継ぎ支援センターなど、事業承継の公的機関も存在します。
①大分県事業承継ネットワーク
大分県事業承継ネットワークは、県内の金融機関や経済団体が手を組んで、熊本県の中小企業の事業承継を支援する公的機関です。
事業承継に関するセミナーや個別相談会を定期的に開催し、M&Aによる事業承継の普及に努めています。
②大分県の事業承継機関
大分県事業承継ネットワークに参加している自治体や組織はさまざまありますが、その中から2団体をピックアップし紹介します。
大分県信用保証協会
大分県信用保証協会は、信用保証協会が保証人となって、中小企業が融資を受けやすくするための公的機関です。大分県事業承継ネットワークの支援機関の1つとして、サポート業務も行っています。
大分県よろず支援拠点
大分県よろず支援拠点は、「よろず」の名のとおり、中小企業に関するあらゆる相談を受け付けている公的機関です。国の機関であるため、無料で何度でも相談できます。
③大分県事業承継・引継ぎ支援センター
大分県事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業の後継者問題の相談窓口として、平成27年に設置された公的機関です。後継者がおらず廃業して貴重な技術やノウハウが失われないよう、事業引継ぎのアドバイス・サポートを行っています。
こうした公的機関は非常に便利ですが、民間のM&A仲介会社に比べると、管理案件が少なく満足な結果が得られない可能性がある点がデメリットです。仲介業務は外部の機関に委託するため、相談する側としてはやや面倒な点もあります。
事業承継・引継ぎ支援センターの活用を政府も後押し
政府は中小企業の後継者問題の対策として、事業承継・引継ぎ支援センターなどを設置し、中小企業の事業承継を後押ししています。
日本政策金融公庫による資料
日本政策金融公庫は、事業承継・引継ぎ支援センターの認知度を高めるため、「事業引継ぎ支援センターをご活用ください」と題した資料を公開するなどして対応しています。
事業承継ネットワーク事業について
中小企業庁は、ホームページにて『平成29年度予算「事業承継ネットワーク事業」の取組について公表します』と題した記事を公開し、平成29年度事業承継ネットワークの取り組みと今後の支援に関する指針を公開しています。
後継者人材バンクについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
8. 大分県のM&A・会社売却・事業承継のまとめ
大分県には仲介会社や公的機関など、M&A・会社売却・事業承継の支援体制が整っています。これらの機関を最大限に活用して、事業を後世に引き継いでいくことが重要です。
大分県でM&A・会社売却・事業承継の成功を図る際は、自社に合ったM&A仲介会社を選び、しっかりとした戦略を練ったうえで進めていくことをおすすめします。
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