2025年06月26日更新
岩手県の事業承継・M&A最新動向|成功事例や公的支援、相談先を徹底解説
本記事では、岩手県におけるM&A・事業承継の現状や事例、案件一覧や相談先の選び方などを解説します。また、岩手県の事業承継の公的支援策も紹介しています。岩手県でM&A・事業承継を検討されている方は、必見の内容です。
目次
1. 岩手県の経済・産業の動向
岩手県は東北地方に位置し、自然や資源を活かした多様な産業が発展しています。農業では米や野菜、畜産が中心で、広大な農地と良好な気候条件を活かした高品質な農産物を生産。沿岸部では漁業が盛んで、新鮮な海産物が地域経済を支えています。
製造業は伝統的な鉄鋼業や機械工業に加え、食品加工や医療機器製造が成長分野として注目されています。観光業では、平泉の世界遺産や遠野の民話文化、温泉地などが人気で、震災復興を経て観光需要が再び拡大中です。
県内総生産では第1次産業が2.9%、第2次産業が26.4%、第3次産業が69.4%を占めており、就業者構成比も第3次産業が64.6%と大きな割合を占めています。このような産業構造の中、各業界で後継者不在や市場変化への対応が課題となっており、事業承継の重要性が増しています。
参考:岩手県「岩手県の人口・経済」
2. 岩手県の事業承継・M&Aの現状と動向
岩手県のM&A・事業承継の現状について、3つのトピックに分けて解説します。
事業強化・エリア拡大を目的とした県外企業による買収が多い
岩手県のM&Aの動向としては、業種を問わず県外企業による事業強化・エリア拡大を目的とした買収事例が目立っています。
近年を例に挙げると、以下のような事例が報告されています。
【目的:事業・エリア拡大】
- 2024年11月、エア・ウォーター東日本(産業・医療用ガスの供給等)が深沢ツールの高圧ガス・機械工具卸売事業を譲受
- 2024年10月、No.1(セキュリティ商品の製造・販売等)がS.I.T(電話・複合機・パソコン販売・リース等)を子会社化
- 2023年10月、アジア航測(空間情報コンサルタント)が北光コンサル(建設コンサルタント等)を子会社化
- 2021年02月、JKホールディングス(総合建材卸売事業等)が坂田建材(建材・鋼材・住宅機器の販売等)を子会社化
【目的:事業強化】
- 2024年11月、JAPANDX(DXソリューション提供)がXOS(エンジニアリングソリューション提供)を買収
- 2024年9月、第一貨物(貨物自動車運送事業等)が北上運輸(トラック輸送等)を買収
- 2024年1月、タケエイ(廃棄物処理・再資源化事業)が泉山林業(素材生産業者)を買収
- 2023年8月、電気興業(電気通信事業等)、サイバーコア(画像処理・画像認識・人工知能アルゴリズム開発等)を子会社化
- 2023年6月、シーエーシー(システム構築サービス等)がエムハート(心電図解析サービス提供等)を完全子会社化
- 2022年9月、ヒロセ電機(コネクタ製造・販売)がエー・ディー・ディー(設計支援省力化機器の開発・設計等)を子会社化
岩手県企業の後継者不在率
帝国データバンクが2025年に発表した「全国企業『後継者不在率』動向調査(2024)」によると、岩手県の後継者不在率は54.6%でした。これは前年から3.3ポイント改善したものの、全国平均の52.1%を上回っており、依然として後継者問題が深刻な地域であることがわかります。
岩手県企業の休廃業件数
2023年の岩手県内では、休業・廃業や解散した企業および個人事業主の数が331件にのぼり、3年ぶりに増加に転じました。
東京商工リサーチ盛岡支店の調査によると、前年(287件)から44件増加し、331件を記録しました。このうち、最も多かったのは飲食業や宿泊業などのサービス業で105件、次いで建設業が71件、小売業が54件となっています。
同支店の分析では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う支援策が経営者による事業継続の判断を一時的に先送りさせたものの、2023年のコロナ「5類移行」によって支援策が縮小されたことで、休業や廃業が急速に進んだとしています。
3. 岩手県内企業のM&A・事業承継の成功事例
この章では、岩手県のM&A・事業承継・会社売却事例を見ていきましょう。
JAPANDXによるクロスオーバーソリューションズのM&A・事業承継
2024年11月21日、エルテスの子会社であるJAPANDXは、クロスオーバーソリューションズ株式会社(XOS、岩手県盛岡市)の全株式を取得し、完全子会社化することを決定しました。
JAPANDXは、自治体や企業向けにDXソリューションを提供する企業で、XOSは放送局向けアプリ開発を主力事業としています。本件M&Aでは、JAPANDXとXOSの技術連携を強化し、DX開発の効率化や生成AI事業を拡張した放送局向け音声生成AIの開発を進めます。
さらに、JAPANDXが地方放送局との連携に注力する中、XOSの技術を活かして全国の自治体や地方局へのサービス提供を拡大し、地域経済全体への価値創出を目指します。
エア・ウォーター東日本による深沢ツールのM&A・事業承継
2024年11月1日、エア・ウォーターグループのエア・ウォーター東日本(東京都港区)は、深沢ツール(岩手県滝沢市)から高圧ガスおよび機械工具の卸売事業を譲り受けました。
エア・ウォーター東日本は、産業ガスのトータルソリューションを提供し、東北エリアで安定した産業・医療用ガス供給を推進。深沢ツールは、岩手県を拠点に地域密着型の販売店として事業を展開してきました。
今回の事業譲受により、エア・ウォーター東日本は深沢ツールの信用力と地域ネットワークを活用して岩手県内の顧客基盤を強化し、産業・医療用ガス供給のさらなる安定化とサービス向上を目指します。
十文字チキンカンパニーによる岩手農協チキンフーズのM&A・事業承継
2024年8月22日、十文字チキンカンパニー(岩手県二戸市)は、子会社である岩手農協チキンフーズ(同市)を、2024年10月1日付で吸収合併することを発表しました。十文字チキンカンパニーが存続会社となり、合併後も岩手農協チキンフーズの八幡平工場は同社の八幡平工場として運営され、鶏肉加工業務を継続します。
本合併は、十文字チキンカンパニーがチキンインテグレーターとして、生産・製造・販売業務を効率化し、経営基盤の強化を図ることを目的としています。
アークスによるみずかみのM&A・事業承継
アークスは、全額出資子会社であるスーパーマーケット運営のベルジョイス(盛岡市)を通じて、同業のみずかみ(岩手県遠野市)を買収しました。
みずかみは1989年に設立され、岩手県内陸および沿岸部で4店舗を展開しているスーパーマーケットチェーンです。年間売上高は34億5400万円で、従業員数は155人です。
このM&Aの目的は、アークスが北海道から北関東地方まで続く東日本エリアでの食品流通企業グループとしての経営基盤を強化することです。
4. 岩手県近郊のM&A・事業承継の案件一覧
ここでは、弊社M&A総合研究所が取り扱っている岩手県およびその近郊におけるM&A・事業承継の案件を掲載します。
【東北地方/建設機械の販売・修理・レンタル業】地域密着の業歴50年以上の老舗業者
東北地方にて建機等の販売・修理・レンタルを手掛ける事業会社です。ベルト、ホース、エンジン、足回り、溶接、法定検査等、自社販売以外の機械・装置でも修理対応が可能です。
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
営業利益 | 赤字経営 |
純資産額 | 5000万円〜1億円 |
譲渡希望額 | 5000万円〜1億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【東北】施工管理技士 / 建設系人材派遣業
地元の大手建設会社への取引をメインに行う、建設系人材派遣会社です。施工管理技士や、事務等の派遣業を手掛けます。
売上高 | 5000万円〜1億円 |
営業利益 | 〜1000万円 |
純資産額 | 5000万円〜1億円 |
譲渡希望額 | 5000万円〜1億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【業績20年以上/高い技術力】リフォーム・新築工事事業(東北エリア)
大手リフォーム紹介サイトの地域別受注額にて受賞実績があります。新築事業にも注力しており、直近で新築モデルハウスの増築を行っています。
売上高 | 2.5億円〜5億円 |
営業利益 | 1000万円〜5000万円 |
純資産額 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡希望額 | 希望なし |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【NetCash1億円】東北地方のOA機器卸売業
業界最安値水準の料金体系により安定した取引先を保有しています。自社でメンテナンス対応が可能です。
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
営業利益 | 〜1000万円 |
純資産額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
その他の東北地方のM&Aについては、下記記事でも紹介しております。合わせてご確認ください。
5. 岩手県の事業承継で活用される主なM&A手法
岩手県における事業承継では、企業の状況や目的に応じて様々なM&Aの手法が活用されます。ここでは代表的な3つの手法について解説します。
株式譲渡:会社の経営権を包括的に承継
株式譲渡は、売り手企業の株主が保有する株式を買い手企業に譲渡することで、経営権を承継させる最も一般的なM&A手法です。手続きが比較的簡便で、会社を丸ごと引き継ぐため、従業員の雇用や取引先との契約もそのまま維持しやすい点がメリットです。
中小企業の事業承継で広く用いられています。
事業譲渡:特定の事業のみを承継
事業譲渡は、会社の事業の一部または全部を選択して売買する手法です。売り手は不採算事業のみを切り離したり、買い手は必要な事業だけを取得したりできるため、双方にとって柔軟な取引が可能です。ただし、資産や契約を個別に移転する必要があるため、手続きが煩雑になる場合があります。
第三者割当増資:資本提携による事業強化
第三者割当増資は、会社が新たに株式を発行し、特定の第三者(買い手)に引き受けてもらうことで資金を調達する手法です。売り手企業は経営権を維持したまま、買い手企業と資本業務提携を結び、事業の成長や立て直しを図れます。経営の独立性を保ちつつ、シナジー効果を期待する場合に有効です。
6. 岩手県の事業承継はどこに相談すべき?主な相談先を比較
岩手県のM&A・事業承継でおすすめの相談先をご紹介します。
公的支援
この章では、岩手県で公的に実施されている事業承継支援の具体的内容について、その概要を掲載します。岩手県における公的な事業承継支援で主なものは、以下です。
- 岩手県事業承継・引継ぎ支援センター
- 後継者人材バンク
①岩手県事業承継・引継ぎ支援センター
2021年4月、「岩手県事業引継ぎ支援センター」と「岩手県事業承継ネットワーク」の機能が合体し、「岩手県事業承継・引継ぎ支援センター」ができました。
事業承継に悩む中小企業を支援するこのセンターは、岩手県盛岡市に所在する公的支援の機関です。「事業承継に対する相談」「M&Aマッチングサポート」「事業承継計画策定支援」などを実施し、事業承継診断・セミナーも行っています。
事業引継ぎ支援センターについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
②後継者人材バンク
岩手県で企業を目指す人をサポートするのが後継者人材バンクです。創業を希望する人と後継者がいない企業や事業主を引き合わせて、創業と事業引継ぎを実現するためのサポートを実施します。
後継者人材バンクは、盛岡商工会議所に設置の岩手県事業承継・引継ぎ支援センターによって運営される公的支援の事業です。
後継者人材バンクについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
地元の金融機関
岩手県内の金融機関も、事業承継における心強い相談先です。特に普段から取引のある金融機関であれば、自社の経営状況を深く理解しているため、スムーズに相談を進められます。
【メリット】
・地域経済や産業構造に精通しており、的確なアドバイスが期待できる
・地域内の企業ネットワークを活かし、地元の買い手候補を紹介してもらえる可能性がある
【デメリット】
・M&Aの専門部署がない場合、高度な専門知識を要するサポートは限定的
・紹介先が地域内に限られ、全国的な候補先を探すのには不向き
M&Aマッチングサイト
手軽さの点では、マッチングサイトを利用するのもおすすめです。
地元だけでなく全国から買い手や売り手を募集できるため、最適な相手を見つけやすいです。また、一般的な仲介業者と比べ、利用料や手数料が安価である場合が多いです。
しかし、サイトによっては、交渉や契約の手続きに関する専門的な支援が不十分な場合があります。また、サイト上のやり取りが増えることで、交渉や契約までの期間が延びることもあります。
岩手県外を含む広いエリアから最適な買い手や売り手を見つけたい場合には有効でしょう。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、事業承継の専門家として、売り手と買い手の間に立ち、中立的な立場でM&Aの成立を支援する機関です。
【メリット】
・豊富な専門知識と経験に基づき、初期相談から成約まで一貫してサポート
・独自のネットワークを駆使し、国内外の幅広い候補先から最適な相手を探せる
・複雑な交渉や契約手続きを代行するため、経営者は本業に集中できる
【デメリット】
・仲介会社によっては着手金や月額報酬が発生し、コストが高くなる場合がある
・担当者の専門性や相性によって、サポートの質が左右される可能性がある
費用を抑えたい場合は、成約まで費用が発生しない「完全成功報酬制」を採用している仲介会社を選ぶとよいでしょう。
7. 失敗しない!岩手県で信頼できるM&A仲介会社の選び方5選
M&Aを成功させるためには、信頼できる仲介会社の選定が不可欠です。しかし、数多くの仲介会社の中から自社に最適なパートナーを見つけるのは容易ではありません。
ここでは、M&A仲介会社を選ぶ際に重視すべき5つのポイントについて解説します。専門的な知識や実績、報酬体系、スタッフの対応など、選定に役立つ情報を具体的に紹介します。
①該当する分野の専門的知識・M&A実績がある
M&Aの仲介は、対象分野・企業に合わせた的確で柔軟なサポートが求められます。したがって、該当する分野の専門的知識・M&A実績が乏しい仲介会社では、M&Aを成功させるのは難しいです。
M&A仲介会社を選ぶときは、該当する分野の専門的知識・M&A実績を持っているかどうかを確認しましょう。
②同様の案件規模・地元M&A案件の実績がある
自社のM&Aと同規模の案件を扱った経験がない仲介会社は、適した取引相手がなかなか見つからない可能性もあります。
M&Aは地域性も影響するため、地元でのM&A実績やネットワークを持っているか否かも重要なポイントです。
③M&Aに関する幅広い知識・経験を持っている
M&A・会社売却・事業承継にはさまざまな手法があり、成功させるためにはまず自社に合った手法を選び戦略を策定しなければなりません。
M&Aを進めるうえで交渉力も必要となるため、仲介会社を選ぶ際は、M&Aに関する幅広い知識・経験を持っているかどうかを確認しましょう。
④手数料・相談料・報酬体系がわかりやすい
手数料・相談料・報酬体系がわかりにくい仲介会社の場合、予定外の出費がかさむことも考えられ、後のトラブルにもなりかねません。
トラブルを避けるため、手数料や報酬の体系が明確でわかりやすい仲介会社を選びましょう。特に、M&Aが成約するまで費用が一切かからない「完全成功報酬制」を採用している会社がおすすめです。
着手金や月額報酬が不要なため、M&Aが成立しなかった場合のリスクを抑えつつ、安心して相談・依頼ができます。契約前には、必ず報酬体系について詳細な説明を求め、納得した上で進めることが重要です。
⑤担当スタッフの対応・相性
担当スタッフの対応・相性がよければ、相談しやすかったり悩みを打ち明けられたり、はっきりと意見がいえたりします。担当スタッフの対応や相性も選ぶポイントです。
8. 岩手県のM&A・事業承継まとめ
本記事では、岩手県におけるM&A(合併・買収)、事業承継、会社売却の現状や動向について詳しく解説しました。具体的な案件情報をもとに、適切な相談先の選び方や手続きの進め方についても解説しました。
岩手県で事業承継を考える際の重要なポイントとして、後継者不在問題に対する早期の対策と、M&Aを活用した事業継続の可能性を探ることが挙げられます。公的支援策や専門家のサポートを活用し、スムーズな事業承継を実現しましょう。
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