2024年08月26日更新
岩手県のM&A・事業承継・会社売却の現状は?事例や案件一覧も紹介!
本記事では、岩手県における会社売却などのM&Aや事業承継の現状や事例、案件一覧や相談先の選び方などを解説しています。また、岩手県の事業承継の公的支援策も紹介しています。岩手県でM&A・会社売却・事業承継を検討されている方は、必見の内容です。
目次
1. 岩手県の経済・産業の特徴
岩手県は東北地方に位置し、豊かな自然と資源を活かした多様な産業が発展しています。特に盛んなのが、農業・漁業、製造業、そして観光業です。
岩手県の農業は、米や野菜、畜産などが中心となっており、広大な農地と良好な気候条件を活かして質の高い農産物を生産しています。また、沿岸部では漁業も盛んで、新鮮な海産物が地域経済を支えています。
製造業では、伝統的な鉄鋼業や機械工業に加え、近年では食品加工業や医療機器製造などの成長が目立ちます。特に食品加工業は、地元の農産物や海産物を活かした高付加価値商品が注目されています。
また、岩手県は観光地としても魅力的で、四季折々の自然景観や温泉地が多くの観光客を引きつけています。特に平泉の世界遺産や遠野の民話文化など、歴史的・文化的価値が高い観光スポットが豊富です。
さらに、震災復興を経て、地域の産業が再び活力を取り戻しつつあり、持続可能な地域経済の構築を目指した取り組みが進められています。
県内総生産(名目)から見た岩手県の産業構造の構成比は、第1次産業(農林水産業)が2.9%、第2次産業(鉱業、製造業、建設業)が26.4%、第3次産業(その他)が69.4%となっています。
また、産業別就業者数の構成比は、第1次産業が9.7%、第2次産業が25.7%、第3次産業が64.6%となっている状況です。
参考:岩手県「岩手県の人口・経済」
2. 岩手県のM&A・会社売却・事業承継の現状
帝国データバンクの「東北6県企業『休廃業・解散』動向調査(2023年)」によると、2023年時点の東北6県では、休廃業・解散した企業数は3564(前年から9%増加)ありました。そして岩手県の休廃業・解散した企業数は472件です。
一般に、倒産の主な理由は経営難ですが、休廃業・解散の場合は、一部に経営難のケースがあるものの、多くは後継者不在により事業承継が実現できず、休廃業・解散を選ばざるを得ない状況です。また、昨今は物価高に加え、過剰債務、人手不足などの企業経営を取り巻く負の影響が大きくなっています。
休廃業企業経営者の平均年齢は71.5歳でした。つまり、経営者が引退年齢を迎えたものの、事業承継を行う後継者がいないために、高齢代表による休廃業・解散を加速している構図を示しています。
そのような状況は岩手県に限らず、全国の中小企業でも同様で、後継者不在問題・事業承継問題は、大きな課題です。
レコフの調査によると、2022年の岩手県のM&A件数は27件と過去最高となりました(2024年時点で最新)。こうした数値から、中小企業が多い岩手県では、事業承継に対する認識が徐々に浸透してきていると考えられます。
M&Aでの会社売却を活用して事業承継を進めることは、岩手県の中小企業に必要不可欠といえるでしょう。
中小企業の後継者問題については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
3. 岩手県のM&A・事業承継・会社売却の事例4選
この章では、岩手県のM&A・事業承継・会社売却事例を見ていきましょう。
アークスによるみずかみのM&A
アークスは、全額出資子会社であるスーパーマーケット運営のベルジョイス(盛岡市)を通じて、同業のみずかみ(岩手県遠野市)を買収しました。
みずかみは1989年に設立され、岩手県内陸および沿岸部で4店舗を展開しているスーパーマーケットチェーンです。年間売上高は34億5400万円で、従業員数は155人です。
このM&Aの目的は、アークスが北海道から北関東地方まで続く東日本エリアでの食品流通企業グループとしての経営基盤を強化することです。
いわぎん農業法人投資事業有限責任組合によるありす畜産への資本参加
2018年9月、岩手銀行が出資し、事業創造キャピタル運営のいわぎん農業法人投資事業有限責任組合が、「四原種配合豚」の肥育や精肉販売などを手掛けるありす畜産に資本参加しました。
ありす畜産は、調達資金を運転資金や設備資金として活用する予定です。
岩手新事業創造ファンド1号による遠野醸造への資本参加
2018年1月、岩手銀行などが出資していわぎん事業創造キャピタルと事業創造キャピタルが運営する岩手新事業創造ファンド1号が、遠野醸造に資本参加しています。
地域の資源を生かしてクラフトビールを提供する遠野醸造は、地域おこし協力隊として太田睦氏と袴田大輔氏を中心に、2017年11月に設立されました。
北映商事によるみちのくオートバックスへのM&A
2018年1月、北映商事は、オートバックスセブンの全額出資子会社であるみちのくオートバックスから、オートバックス宮古とオートバックス盛岡西バイパス店を譲受しています。
これにより、オートバックスセブンは、岩手県内での競争力を強めて経営を効率化させる狙いです。
4. 岩手県近郊のM&A案件一覧
ここでは、岩手県およびその近郊におけるM&A案件を掲載します。
【東北地方】複数の漁法を活用している漁業
漁獲から製造、販売までの6次産業化を目指す東北の漁業会社です。複数の漁法により、一年中かつ豊富な種類の漁獲が可能です。
エリア | 東北 |
売上高 | 1,000万円〜5,000万円 |
譲渡希望額 | 2,500万円+役員借入金一部返済 |
譲渡理由 | 財務的理由、事業存続に対する不安 |
【東北エリア/EBITDA1億円越えの高収益】金属加工業
製缶加工、精密板金加工、溶接加工、レーザー加工など多岐に渡る加工を多品種生産に対応可能です。顧客は、商社、農機具製造業、建材卸業、産業用機械製造等多岐に渡ります。
エリア | 東北 |
売上高 | 5億円〜10億円 |
譲渡希望額 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継)、戦略の見直し |
【NetCash約1億円/EBITDA平均23百万円】東北地方の熱絶縁工事業
現場従業員は、全員1級熱絶縁施工技能士の資格を保有しています。月毎に原価(人件費、材料費)管理を行っており、価格転嫁できていることで高い利益率を確保しています。
エリア | 東北 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【東北地方/建設機械の販売・修理・レンタル業】地域密着の業歴50年以上の老舗業者
東北地方にて建機等の販売・修理・レンタルを手掛ける事業会社です。ベルト、ホース、エンジン、足回り、溶接、法定検査等、自社販売以外の機械・装置でも修理対応が可能です。
エリア | 東北 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 5000万円〜1億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【東北】施工管理技士 / 建設系人材派遣業
地元の大手建設会社への取引をメインに行う、建設系人材派遣会社です。施工管理技士や、事務等の派遣業を手掛けます。
エリア | 東北 |
売上高 | 5000万円〜1億円 |
譲渡希望額 | 5000万円〜1億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
その他の東北地方のM&Aについては、下記記事でも紹介しております。合わせてご確認ください。
5. 岩手県のM&A・事業承継に関する公的支援
この章では、岩手県で公的に実施されている事業承継支援の具体的内容について、その概要を掲載します。岩手県における公的な事業承継支援で主なものは、以下です。
- 岩手県事業承継・引継ぎ支援センター
- 後継者人材バンク
①岩手県事業承継・引継ぎ支援センター
2021年4月、「岩手県事業引継ぎ支援センター」と「岩手県事業承継ネットワーク」の機能が合体し、「岩手県事業承継・引継ぎ支援センター」ができました。
事業承継に悩む中小企業を支援するこのセンターは、岩手県盛岡市に所在する公的支援の機関です。「事業承継に対する相談」「M&Aマッチングサポート」「事業承継計画策定支援」などを実施し、事業承継診断・セミナーも行っています。
事業引継ぎ支援センターについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
②後継者人材バンク
岩手県で企業を目指す人をサポートするのが後継者人材バンクです。創業を希望する人と後継者がいない企業や事業主を引き合わせて、創業と事業引継ぎを実現するためのサポートを実施します。
後継者人材バンクは、盛岡商工会議所に設置の岩手県事業承継・引継ぎ支援センターによって運営される公的支援の事業です。
後継者人材バンクについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
6. 岩手県のM&A・会社売却・事業承継案件を探す3つの手段
岩手県でM&A・会社売却・事業承継案件を探す方法として、以下の3つを掲載します。
- 地元の金融機関などに相談する
- M&Aマッチングサイトを活用する
- M&A仲介会社・専門家に相談する
①地元の金融機関などに相談する
岩手県の中小企業案件を探す場合は、金融機関も強い味方です。岩手県事業承継・引継ぎ支援センターの構成機関の銀行もあるので、普段取引をしている金融機関にまず相談してみるのもよい方法です。
②M&Aマッチングサイトを活用する
手軽さの点では、マッチングサイトを利用するのもおすすめです。
M&A総合研究所
M&A総合研究所では、独自AIシステムを採用し高精度のマッチングを実現しております。
簡単な無料登録をしていただければ、気軽にサービスをご利用いただけます。交渉や手続きをするうえで必要であれば、M&Aアドバイザーのサポートをご依頼いただくことも可能です。
TRANBI(トランビ)
先に紹介した盛岡信用金庫との提携でもわかるように、地方の都市銀行や第ニ都市銀行など金融機関との太いパイプを生かした幅広いネットワークが魅力です。
M&Aプラス
デロイトトーマツグループが、全国の金融機関、公認会計士、M&A専門会社などと連携して立ち上げたのがM&Aプラスです。豊富な情報量により、公正、迅速、リーズナブルなM&Aの実現をサポートします。
ブティックス
ブティックスは、介護分野で圧倒的な実績があり、成約実績から積み上げられた知識やノウハウにより、力強く介護事業者をサポートします。
③M&A仲介会社・専門家に相談する
M&A仲介会社や専門家は、M&Aの案件を幅広く取り扱っています。岩手県でM&A・会社売却・事業承継を考えた際の相談先としては最もポピュラーだといえるでしょう。
7. M&A仲介会社を選ぶ5つのポイント
M&Aを成功させるためには、信頼できる仲介会社の選定が不可欠です。
しかし、数多くの仲介会社の中から自社に最適なパートナーを見つけるのは容易ではありません。
ここでは、M&A仲介会社を選ぶ際に重視すべき5つのポイントについて解説します。専門的な知識や実績、報酬体系、スタッフの対応など、選定に役立つ情報を具体的に紹介します。
①該当する分野の専門的知識・M&A実績がある
M&Aの仲介は、対象分野・企業に合わせた的確で柔軟なサポートが求められます。したがって、該当する分野の専門的知識・M&A実績が乏しい仲介会社では、M&Aを成功させるのは難しいです。
M&A仲介会社を選ぶときは、該当する分野の専門的知識・M&A実績を持っているかどうかを確認しましょう。
②同様の案件規模・地元M&A案件の実績がある
自社のM&Aと同規模の案件を扱った経験がない仲介会社は、適した取引相手がなかなか見つからない可能性もあります。
M&Aは地域性も影響するため、地元でのM&A実績やネットワークを持っているか否かも重要なポイントです。
③M&Aに関する幅広い知識・経験を持っている
M&A・会社売却・事業承継にはさまざまな手法があり、成功させるためにはまず自社に合った手法を選び戦略を策定しなければなりません。
M&Aを進めるうえで交渉力も必要となるため、仲介会社を選ぶ際は、M&Aに関する幅広い知識・経験を持っているかどうかを確認しましょう。
④手数料・相談料・報酬体系がわかりやすい
手数料・相談料・報酬体系がわかりにくい仲介会社の場合、予定外の出費がかさむことも考えられ、後のトラブルにもなりかねません。
トラブルを避けるため、手数料・相談料・報酬体系がわかりやすい仲介会社を選ぶとよいでしょう。M&Aを実施するには多くの費用がかかるため、完全成功報酬型の料金体系を採用する仲介会社であれば、成約するまで費用が発生しないのでコストを抑えられます。
⑤担当スタッフの対応・相性
担当スタッフの対応・相性がよければ、相談しやすかったり悩みを打ち明けられたり、はっきりと意見がいえたりします。担当スタッフの対応や相性も選ぶポイントです。
8. 岩手県のM&A・事業承継・会社売却まとめ
本記事では、岩手県におけるM&A(合併・買収)、事業承継、会社売却の現状や動向について詳しく解説しました。以下に主要なポイントをまとめます。
- 岩手県のM&A・会社売却・事業承継の現状
- 企業の休廃業・解散の増加: 2023年の東北6県の企業「休廃業・解散」数は前年から9%増加し、岩手県では472件が休廃業・解散しました。後継者不在が主な原因であり、経営者の高齢化が問題を一層深刻にしています。
- 経営者の高齢化: 休廃業企業経営者の平均年齢は71.5歳であり、引退年齢を迎えたものの後継者がいないために休廃業や解散を選択する企業が多いです。
- M&Aの増加: 2022年の岩手県のM&A件数は27件と過去最高を記録し、事業承継の手段としてM&Aが認識され始めています。
- 事業承継の公的支援策
- M&A・事業承継案件一覧や探し方
岩手県で事業承継を考える際の重要なポイントとして、後継者不在問題に対する早期の対策と、M&Aを活用した事業継続の可能性を探ることが挙げられます。公的支援策や専門家のサポートを活用し、スムーズな事業承継を実現するための情報を提供しています。
9. 岩手県のM&A案件一覧
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