2025年07月10日更新
関西地方のM&Aの動向を徹底調査!産業構造や成功事例・注意点まで解説!
関西では後継者問題が深刻化する一方、独自の産業構造を活かした成長機会も豊富です。本記事では、関西のM&A最新動向、成功のポイント、信頼できる相談先まで、事例を交えて専門家が解説します。
目次
1. 関西地方のM&Aの動向と傾向
関西地方は、大阪府を中心にM&Aを実施する企業が多くなっており、今後も盛んに行われていくことでしょう。
ここでは、関西地方のM&Aの動向と傾向について解説します。
強みである製造業のM&A動向
関西地方は、大阪府を中心に製造業を営んでいる企業がとても多く、ものづくりの街としても有名です。
大阪府は、主に化学製品・鉄鋼・金属・繊維などの製造が盛んに行われており、全国的に見てもものづくりが盛んな地域なため、大阪府以外の関西地方にも製造業を営む企業が多くあります。
そのため、大阪府は関西の経済を支えている非常に重要な場所でもあります。
深刻化する後継者問題と事業承継M&Aの増加
関西地方にある中小企業の多くは、大阪府を中心に後継者問題が課題となっています。
経営者の高齢化に伴って後継者問題を抱えている企業は、高い技術を持っている場合や業績が良い場合でも廃業を余儀なくされます。
そのため、関西地域にとって非常に深刻な課題の1つです。
M&Aを行う企業も増加傾向
後継者問題の解決策として、M&Aは極めて有効な手段です。かつては自社への思い入れから第三者への売却に抵抗を感じる経営者も少なくありませんでした。
しかし近年では、企業の存続と従業員の雇用維持を最優先に考える経営者が増え、事業承継を目的としたM&Aが活発化しています。これにより、優れた技術や事業が次世代へと引き継がれています。
2. 関西のM&A市場を理解する上で重要な産業構造
産業構造は、地域や県によって大きな違いがあり産業構造を見ることによって、その地域の特徴などがわかります。
ここでは、関西地方の産業構造について解説します。
ブランド力が強みの第1次産業
第1次産業は農業、林業、漁業などを指します。
関西地域では、京都府の「京野菜」や兵庫県の「但馬牛(神戸ビーフ)」など、全国的に有名なブランドを多数有しているのが特徴です。
近年では、これらの強力なブランド力を活かした6次産業化や、スマート農業の導入による生産性向上を目指す動きが活発化しており、異業種からの参入を目的としたM&Aも注目されています。
経済を牽引する第2次産業(製造業)
第2次産業は、鉱業、建設業、製造業などを指します。
関西経済を牽引する製造業は、産業集積が強みです。化学、鉄鋼、金属製品といった素材産業に加え、医薬品や電機、機械器具など幅広い分野で高い技術力を持つ企業が集積しています。
近年では、事業再編やDX(デジタルトランスフォーメーション)、脱炭素への対応を目的としたM&Aが増加傾向にあります。
成長が期待される第3次産業(サービス・情報通信業)
第3次産業には、卸売・小売業、医療・福祉、サービス業、情報通信業などが含まれます。
関西地方では、インバウンド需要の回復を背景とした観光・宿泊・飲食業が活気を取り戻しています。また、大阪・京都・神戸を中心にIT・スタートアップのエコシステムが形成されつつあり、情報通信業や専門サービス業も成長分野です。
これらの成長分野では、事業拡大や新規事業創出を目的としたM&Aが活発に行われています。
3. 関西地方のM&Aの成功事例
関西地方では、これまでに数多くの企業がM&Aを行っており、成功した事例も数多く存在します。
関西地方に拠点を置く企業でM&Aを検討している企業は、これまでの成功事例を参考にM&Aを進めていくことが効果的です。
ここでは、関西地方で行われてきた数多くのM&A事例の中から主な成功事例を8つ紹介します。
三ッ星と河南伸銅所のM&A
三ッ星は、2023年4月に河南伸銅所の株式を取得し、子会社化させました。
三ツ星は、大阪府にある電線や電熱線、合成樹脂製造などを行っている企業で、河南伸銅所は同じく大阪府にある三ツ星の電線事業に関する金属や伸線加工を受託している企業です。
三ツ星は、自社の受託を行っている河南伸銅所を一体化させて生産コストや生産体制の構築を目指すためにM&Aを行いました。
KTCとHI-TOOLのM&A
KTC(京都機械工具)は、2023年1月にHI-TOOLの全株式を取得し、完全子会社化させました。
KTCは、京都府にある自動車整備用工具や医療用工具、精密工作機器部品などの製造・販売を行っている企業で、HI-TOOLは大阪府にある手動工具の製造・販売を行っている企業です。
HI-TOOLは、世界30カ国以上の国と地域に販売ルートを持っているため、KTCはお互いの製造技術向上や市場開拓の推進を目指し、M&Aを実行しました。
ベストワンドットコムとえびす旅館京都のM&A
ベストワンドットコムは、2018年12月にえびす旅館京都の全株式を取得し、完全子会社化させました。
ベストワンドットコムは、クルーズ旅行や船旅を専門としたオンラインサイトを運営する企業で、えびす旅館京都は京都市内で旅館を経営する企業です。
ベストワンドットコムは、ホテル事業への参入のため、えびす旅館京都のノウハウや顧客基盤を獲得、クルーズ旅行客への宿泊提供などを実現するためにM&Aを実行しました。
キャス・キャピタルとベトリードのM&A
キャス・キャピタルは、投資ファンドである「キャス・キャピタル・ファンド」を運営しており、2022年1月に出資先の持ち株会社であるCCH7b株式会社を通じてベトリードの株式を取得し、子会社化させました。
ベトリードは、奈良県と京都府を中心に動物病院グループを運営している企業であり、高度な医療技術のある動物病院を3病院を展開しています。
24時間体制や精密検査などを提供しており、関西地域の中核病院として長い実績がある企業なため、経営支援や医療環境の構築を目指しM&Aが実施されました。
明光ネットワークジャパンとケイ・エム・ジーコーポレーションのM&A
明光ネットワークジャパンは、2018年12月にケイ・エム・ジーコーポレーションの全株式を取得し、完全子会社化させました。
明光ネットワークジャパンは、教育事業を行う企業で、日本初の個別指導塾「明光義塾」を日本全国に展開しており、ケイ・エム・ジーコーポレーションはフランチャイジーとして「明光義塾」を関西地域(京都府・滋賀県・奈良県)にて40以上の教室を運営している企業です。
そのため、明光ネットワークジャパンは、一体化による競争力の強化やお互いの企業価値の向上を目指して、ケイ・エム・ジーコーポレーションとのM&Aを実施しました。
東洋テックと明成のM&A
東洋テックは、2020年10月に明成の全株式を取得し、完全子会社化させました。
東洋テックは、大阪府に拠点を置く警備事業ビル管理事業を行っている企業で、明成は電気工事事業を行っている企業です。
このM&Aによって、お互いの事業の一体運営や経営資源、ノウハウやリソースの確保を実現させることができるとして、両者同意のもと東洋テックが明成の株式を取得しました。
ミズノとシャープ産業のM&A
ミズノ(美津野)は、2020年4月にシャープ産業の全株式を取得し、完全子会社化させました。
ミズノは、大手スポーツ用品メーカーブランド「ミズノ」として商品を販売している企業なため、スポーツ大会などの記念品や観戦グッズの製造・販売を行うシャープ産業とのM&Aを実行しました。
お互いの経営資源や販売経路、研究・開発力やノウハウなどを獲得・強化し、事業拡大やブランド価値の向上を目指し、M&Aが実施されました。
カネミツと松本精工のM&A
カネミツは、2018年5月に松本精工の全株式を取得し、完全子会社化させました。
カネミツは、兵庫県にある自動車や農業機器関連製品の開発・製造および販売を行う企業で、松本精工は自動車電装部品の製造・販売やカネミツ製品の機械加工を行っている企業です。
そのため、カネミツは自社製品の機械加工を行う松本精工を子会社化することによって、製品開発や商品化体制を強化できるとしてこのM&Aが実行されました。
4. 関西地方のM&Aを行うメリットとデメリット
M&Aは、買い手側と売り手側それぞれにさまざまなメリットとデメリットがあるため、できるだけデメリットを発生させないように注意してM&Aは実施されます。
ただ、M&Aは地域ごとにメリットとデメリットが少し異なったり、メリットだけを得てデメリットを避けることが難しくなっています。
ここでは、関西地方のM&Aを行うメリットとデメリットについてそれぞれ解説します。
買い手側のメリット
M&Aによって買い手側が得られる主なメリットは以下の通りです。
- スピーディーな事業拡大
- 優秀な人材や経営資源の確保
- 新規事業への参入時間の短縮
- シナジーによる企業価値の向上
特に、関西地方のM&Aでは、独自の産業集積地へのアクセスや、アジア市場へのゲートウェイとしての地理的優位性を獲得できる点が大きなメリットとなり得ます。
売り手側のメリット
M&Aによって売り手側には、主に以下のようなメリットがあります。
- 売却益が獲得できる
- 企業が存続される
- 従業員の補償や待遇が保障される
- 債務責任から解放される
- 引退後の資金を確保できる
売り手側は、自社を売却することで得られる売却益や債務責任からの解放など、さまざまなメリットが得られ、自社の佩用も防ぐことができます。
そのため、後継者問題を抱えている企業にとっては、非常に効果的な手段の1つです。
買い手側のデメリット
M&Aで買い手側には、主に以下のようなデメリットが起きる場合があります。
- 想定していた効果を得られない
- 買収資金が必要
- 潜在的な債務責任を負う場合がある
- 従業員が大量離職する可能性がある
企業をM&Aによって買収することでさまざまなメリットが期待されますが、その反対に以上ようなデメリットがある場合があります。
さらに、大阪などの企業は買収価格が高額で、買収のために資金調達を行わなければいけない場合があるため、注意しましょう。
売り手側のデメリット
M&Aで売り手側には、主に以下のようなデメリットが起きる場合があります。
- 希望の売却価格にならない
- 従業員からの理解を得られない
- 買収企業が廃業・倒産してしまう
- 買収企業の企業価値が低下してしまう
- 経営者は引き継ぎとして拘束される場合がある
M&Aで売却側にも以上のようなデメリットが起きる場合が考えられます。
自社の希望通りにM&Aが進まないことも多く、経営者は買収企業で業務引き継ぎのために拘束されることもあります。
さらに、買収先が今後廃業や企業価値の低下に陥ってしまう可能性もあるため、しっかりとそれらのリスクを理解しておくことが大切です。
5. 関西でのM&Aを成功させるための重要注意点
M&Aを成功させるためには、さまざまな注意点を理解して慎重に進めていくことが非常に大切になります。
これから関西地方のM&Aを行う企業は、M&Aを失敗しないための注意点をしっかりと理解しておきましょう。
ここでは、関西地方のM&Aを行う上での注意点を解説します。
売り手側の注意点
M&Aの売り手側が注意すべき主なポイントは以下の通りです。
- 信頼できるM&A専門家の選定
- 簿外債務や未払い賃金などの問題の事前開示
- M&Aの目的(従業員の雇用維持、事業の発展など)の明確化
- 譲渡先の企業の慎重な選定
- 株主からの事前同意
- 従業員への適切な情報開示と理解の醸成
- M&Aのプロセスに関する基本的な知識習得
- 現実的なスケジュールの設定
これらの注意点を疎かにすると、希望条件での売却が困難になったり、交渉が破談になったりするリスクが高まります。特に、自社の強みを正しく評価し、最適な相手を見つけてくれる専門家選びは、M&Aの成否を分ける重要な要素です。
買い手側の注意点
M&Aの買い手側の注意点は、主に以下の通りです。
- 依頼するM&A仲介会社などの専門家を選定する
- デューデリジェンスを徹底して行う
- M&Aの目的を明確にしておく
- 相手先企業を慎重に選ぶ
- PMI(Post Merger Integration)を大切にする
- 業績や企業価値を落とさない
M&Aによって企業を買収する場合も、注意しなければいけないポイントが多く存在しています。
特に、企業を買収することによって売却企業の債務責任や従業員・役員の補償も引き継ぐくことなるため、非常に責任重大です。
さらに、買収後に自社の業績や企業価値が低下してしまうと、買収した企業にも影響が及んでしまうため、十分に注意しましょう。
M&Aの専門家への相談が成功の鍵
M&Aでは、さまざまな専門知識や経験が求められるため、M&Aを検討している企業は自社のみで実行せず、M&Aの専門家に相談することが大切です。
実際に、M&Aの無料相談やアドバイスを引き受けている金融機関や公的機関、M&A業務をサポートするM&A仲介会社も数多く存在しています。
さらに、M&A仲介会社では弁護士や税理士、公認会計士などの専門家を紹介してもらえたり、長期的に業務をサポート・アドバイスしてくれるため、非常に大切な存在です。
そのため、これからM&Aを検討している企業は、M&Aの知識と経験が豊富な専門家に相談することをおすすめします。
6. 関西のM&Aを成功に導く相談先の選び方
関西でM&Aを進めるにあたり、どこに相談すれば良いか悩む経営者は少なくありません。ここでは、主な相談先の特徴と選び方のポイントを解説します。
M&A仲介会社の種類と特徴
M&A仲介会社は、売り手と買い手の間に立ち、中立的な立場で交渉をサポートする専門家です。全国展開する大手から、関西エリアに特化した地域密着型の会社まで様々です。特定の業種に強みを持つブティック型ファームもあります。自社の規模や業種、希望するサポート内容に合わせて、実績豊富な仲介会社を選ぶことが重要です。
金融機関(銀行・証券会社)に相談するメリット・デメリット
メインバンクなどの金融機関もM&Aの相談先となります。長年の取引関係から自社の状況をよく理解しており、安心感がある点がメリットです。また、買収資金の融資(ローン)とM&Aの相談を一本化できる利便性もあります。一方で、必ずしもM&A専門の担当者がいるとは限らず、提案される相手先が自行の取引先に限定される可能性がある点はデメリットと言えるでしょう。
公的機関や士業専門家の活用
事業承継・引継ぎ支援センターなどの公的機関は、無料で相談に応じてくれる心強い存在です。中小企業のM&Aを後押ししており、初期段階の情報収集に適しています。また、顧問税理士や公認会計士、弁護士といった士業専門家も相談先の一つです。ただし、M&Aの実務経験が豊富な専門家は限られるため、依頼する際はM&Aに関する実績を必ず確認しましょう。
7. 関西地方のM&Aは専門家に相談しながらすすめよう
関西地方では、大阪府の中小企業を中心に後継者問題や業績の低迷などの課題を抱えている企業が多いため、M&Aによる課題解決を進めていることが多くあります。
M&Aを成功させるためには、自社の拠点としている地域に詳しい専門家に依頼・相談することが効果的なため、関西地方でM&Aを検討している場合なら、関西地方の情勢やトレンドに詳しい専門家が望ましいです。
これから関西地方のM&Aを行う企業は、しっかりと信頼できる専門家に相談しならが進めていくことをおすすめします。
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