食品卸売業界のM&A動向!会社売却のメリットや注意点・事例11選を徹底解説【2024年最新】

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

本記事では、食品卸売業界のM&Aの現状や動向、売却・買収のメリットや注意点、価格の相場を解説しています。食品卸売業は製造業者と小売業者の間に入り、仕入れた食品を納品する事業です。食品卸売業界のM&A・売却・買収を検討している方は必見の内容です。

目次

  1. 食品卸売業界の定義
  2. 食品卸売業界の現状
  3. 食品卸売業界のM&A動向
  4. 食品卸売業界のM&Aメリット
  5. 食品卸売業界のM&A相場
  6. 食品卸売業界のM&Aでの注意点(売却側)
  7. 食品卸売業界のM&Aでの注意点(買収側)
  8. 食品卸売業界のM&A流れ
  9. 食品卸売業界のM&A事例
  10. 食品卸売業界のM&A・売却・買収についてまとめ
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1. 食品卸売業界の定義

食品卸売業界では、収益性の悪化や卸売を経由しないビジネスモデルの台頭により、経営が非常に苦しくなっていると考えられています。

各企業は、少しでも収益性を上げるために、さまざまな努力をしています。この状況を打開する方法の1つとして、最近ではM&Aによる売却・買収事業承継を選択するケースが増えてきている状況です。

食品卸売業界とは

食品卸売業界とは、国内外のメーカーから各種の飲食料品を仕入れて卸売をしている業界です。飲食料品の中間流通を担っています。

総務省「日本標準産業分類」では、卸売業を以下の業務を行う事業所として定義しています。

  • 小売業または他の卸売業に商品を販売する
  • 建設業や製造業、運輸業、飲食店、宿泊業、学校、病院、官公庁などに大量または多額の商品を販売する
  • 業務用の商品や建設材料を販売する
  • 製造業の企業が別の場所で自社製品の卸売を行う
  • 他の事業所のために売買の代理行為を行う、または仲立人として商品売買のあっせんを行う
具体的には、卸売商や商事会社、仲買人、製造問屋、代理商などが卸売業者に該当します。業界構造としては、メーカーと直接取引をする元卸業者、小売業者と取引する最終卸業者、両者の間に入る中間卸業者の三者に分かれます。

日本標準産業分類によると、飲食料品卸売業は、大きく「農畜産物・水産物卸売業」と「食料・飲料卸売業」に中分類され、それぞれに属する小分類は以下のとおりです。
  • 農畜産物・水産物卸売業:米麦卸売業、雑穀・豆類卸売業、野菜卸売業、果実卸売業、食肉卸売業、生鮮魚介卸売業、その他の農畜産物・水産物卸売業
  • 食料・飲料卸売業:砂糖・みそ・しょう油卸売業、酒類卸売業、乾物卸売業、菓子・パン類卸売業、飲料卸売業(例外あり)、茶類卸売業、牛乳・乳製品卸売業、その他の食料・飲料卸売業

参考:総務省「大分類I-卸売業,小売業」

食品卸売業界の特色

食品卸売業界の特色には大きく次の2点が挙げられます。

参入障壁が低い

食品卸売業界は、一部の取扱品を除けば特別な許認可がいらず、特殊な専門知識なども必要ないことから、参入障壁は高くありません。大手メーカー、あるいは大手小売業者のグループ会社が卸売業を行っているケースも多くみられます。

取引上の慣習として、大手メーカーあるいは大手小売業者(スーパーマーケット、コンビニエンスストアなど)、大手外食チェーンなどと取引するのは、規模の大きい卸売業者です。中小規模の卸売業者が取引するのは、中堅・中小規模の小売業者・飲食店です。

売上原価率が高い

ほかの業種に比べ、売上原価率が非常に高いというのも食品卸業界の特徴です。食品卸業界における売上原価率は約80%以上を占めます。

また、原価率だけでなく物流コストの割合も非常に高いのも特徴です。食品卸業界の事業者は取引先のニーズに合わせ、相手先の希望したタイミングで商品を配送・手配しなければなりません。

そのためには輸送用の車両を複数自社保有あるいは確保しておく必要があり、運送費用・ドライバーの人件費・車両維持費などが売上のなかで占める割合も大きくなっています。特に近年は原油価格高騰によって燃料費が増えており、年々負担が大きくなっているのが現状です。

2. 食品卸売業界の現状

M&Aを検討する際は、その業界の現状や課題を確認しておくことが重要です。ここでは、食品卸売業界の現状と業界が抱える課題、今後の展望などをみていきます。

食品卸売業界の市場規模

経済産業省 「商業動態統計調査」を基に作成

出典:https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syoudou/result-2/index.html

経済産業省「商業動態統計調査(2024年3月18日公表分)」によれば、2023年における食品卸売業界の販売額(農畜産物・水産物卸売業と食料・飲料卸売業の合計)は約104兆億円であり、前年の約95兆円から約9.5%の増加となりました。

また、2024年の内訳は、農畜産物・水産物卸売業が約41兆円(前年比約8.1%増)、食料・飲料卸売業が約63兆円(前年比約10.5%増)です。

食品卸売業界の販売額は2016年以降ゆるやかに増加しており、2019年は前年を下回ったもののコロナ禍でも底堅い推移し、2020年からは再び増加に転じています。

参考:経済産業省「商業動態統計調査」

食品卸売業界の課題と展望

商品の小売価格には、流通マージンが加算されます。そのマージン分が食品卸売業者の利益です。消費者の手元に届くまでの間に多くの流通業者が入るほど、最終価格は高まります。

昨今、小売業者は、流通マージンによって小売価格が高騰するのを嫌い、中間流通を介さない仕入れで販売価格を抑える「中抜き」を行うケースが増えてきました。元卸業者から仕入れるだけでなく、メーカーや生産者から直接仕入れる小売業者もみられます。

中抜きされてしまった卸売業者にとっては、死活問題であり大きな課題です。日本がこのまま人口減少に歯止めがかからない限り、最終的には食品の需要が下がっていくのは間違いありません。食品卸売業界は、そのなかでパイの奪い合いをしていくことになります。

卸売業者の宿命として、商品の保管と配達、つまり倉庫業と配送業も行う必要があります。倉庫・車両の確保・維持や車両の燃料費が利益率に与える影響など、サプライチェーンとしての課題にも取り組まねばなりません。

【関連】食品製造業界のM&A動向!会社売却のメリットや相場価格・事例30選を徹底解説【2023年最新】

3. 食品卸売業界のM&A動向

次は、食品卸売業界のM&A・売却・買収動向をつかむために、以下の5つを取り上げて解説します。

2011年頃から業界内再編が起こっている

食品卸売業界では、2011年頃から業界内再編が起こっています。きっかけとなったのは2011年に行われた2つのM&Aです。

1つ目は、2011年7月、当時業界2位で三菱商事傘下の菱食・明治屋商事・フードサービスネットワーク・サンエス4社による経営統合です。この経営統合により三菱食品が設立されました。2つ目のM&Aは、伊藤忠商事が子会社の日本アクセスを軸にした傘下の食品事業会社の統合です。

これら2つのM&Aにより、2013年には三菱食品が業界1位、日本アクセスが業界2位となりました。これを皮切りに、資本や市場シェアを統合させるための事業再編が盛んに行われています。

関連業種同士がM&Aを行い事業基盤の強化が行われている

近年の食品卸売業界では、関連業種同士がM&Aを行い、事業基盤の強化が図られています。その代表例として挙げられるのが、神明グループのM&Aです。神明グループは兵庫県に本社を置く国内最大のコメ卸売です。積極的なM&Aを行い、販路拡大・事業基盤強化を行っています。

2015年から2017年にかけて、神明グループは、炊飯加工調理を行うコメックス・居酒屋チェーン店ワタミ・「どさん子ラーメン」などを展開するアスラポートダイニングなどに資本参加し、コメの販売先を拡大させ、事業基盤の強化を図りました。

2017年からは青果卸大手の東果大阪・水産物輸入卸売のコダックなどを相次いで買収し、多角化経営を行っています。

中小規模の会社は競争の激化により倒産・廃業するケースもある

食品卸売業界ではM&Aや業界再編の動きが目立っています。しかし、競争激化により倒産・廃業するケースも増えています。デフレの影響や流通の中抜き化などで食品卸売業の収益は圧迫されており、中小企業は厳しい状況下に置かれているのが現実です。

大手企業であれば、積極的なM&Aにより事業規模を拡大させ、パフォーマンス向上やコスト削減で業績を改善できます。一方で、中小規模の食品卸売会社は資金力に乏しいため、積極的にM&Aを行うことは難しい状態であるといわざるを得ません。

食品卸売業界で生き残るためには、他企業との差別化を図り、市場シェアを維持していかなければなりません。戦略がうまくいかないと赤字が続き、結果として倒産・廃業に至っていると考えられます。

主にアジア企業を買収する件数も目立っている

食品卸売業界では、アジア企業を買収する件数が増加中です。日本国内はすでに人口減少が始まっており、将来にわたって安定的に成長するためには、海外進出を見据えた戦略を取る必要があります。

昨今は、主にアジア企業を買収する事例が目立っています。たとえば、トーホーは積極的に買収を行っている企業の1つです。

トーホーは、2015年にシンガポールに本社を置く食品卸のマルカワトレーディング、2017年にシンガポールの業務用食品卸トモヤ・ジャパニーズ・フード・トレーディングを買収しています。

2018年には、業務用青果卸売のFresh Direct Pte LtdおよびKitchenomics Pte Ltdを買収し、事業基盤の強化と海外進出に躍進中です。

M&Aにより食に関わる多くの事業を行う企業も増加している

近年、食品卸売業界では、M&Aにより新規参入する企業が増加しています。食品卸売事業は、一部を除いて許認可を得る必要がありません。専門的な知識も必要ないため、他業種に比べると参入障壁は低いからです。

食品卸売業界の競争は激化しているものの、既存事業のノウハウを生かした差別化を図れる可能性や、事業に成功する確率が高いと考えられるため、食品卸売事業に関わる企業が増加しています。

M&A・売却・買収とは

M&Aとは、Mergers and Acquisitionsの頭文字をとったもので、企業の合併(Mergers)や買収(Acquisitions)のことです。一般的に、企業がM&Aを行う目的には、事業基盤の強化や新規事業への進出などが挙げられます。

食品卸売業界の場合、収益悪化の現状を打破する方法としてもM&Aが選ばれることが少なくありません。ただし、M&Aの買収側は多額の資金が必要なうえ、成功率は50%程度ともいわれているためリスクを伴う方法です。コスト削減などの改善策を行っても効果がない場合の最終手段として考えておくべき方法ともいえます。

事業承継とは

事業承継とは、後継者に事業を引き継ぐことをさします。事業承継は、引き継ぐ相手により3種類に分類され、それは親族内事業承継・社内事業承継・M&Aによる事業承継の3種です。

親族内事業承継では、経営者の子どもや配偶者、親戚などの親族を後継者にします。個人事業や小規模事業者では、親族内事業承継の割合が多いです。近年では、子に事業を継ぐ意思がないなどの理由により、親族内事業承継の比率は低下している状況です。

社内事業承継では、自社の役員や従業員を後継者にします。小規模事業者や中小企業で用いられることが多いです。後継者側が自社株式を取得するための資金を用意しなければならないため、承継できないケースも少なくありません。

上述した2つの事業承継が難しい場合の後継者問題解決策として、M&Aによる事業承継を選択可能です。既存の企業または個人に事業を売却して引き継ぎます。買収側が自動的に後継者=新たな経営者となり、後継者問題が解決できます。

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4. 食品卸売業界のM&Aメリット

ここでは、食品卸売業界のM&A・売却・買収を行うメリットを、売却側・買収側、それぞれの視点から解説します。

売却側のメリット 買収側のメリット
  • 後継者問題の解決ができる
  • 従業員の雇用が継続される
  • 事業基盤を安定させられる
  • 倒産・廃業を回避できる
  • 売却益を獲得できる
  • 隣接業種・新規エリアに進出できる
  • 優良な取引先や人材が得られる
  • 業界内での優位性を強固にできる

売却側のメリット5選

売却側のメリットは、以下の5つを取り上げました。

後継者問題の解決ができる

1つ目のメリットは、後継者問題が解決できることです。この数年来、中小企業を中心に経営者の高齢化が進んでいます。平均年齢は60歳を超えているといわれています。

経営者の平均引退年齢は約70歳なので、多くの企業で事業承継を考える必要があるでしょう。しかし、現代では事業を継ぎたくない子どもも多いため、後継者を見つけることも容易ではありません。

M&Aで事業・会社の売却を行えば、後継者を探さなくても事業承継を行えます

従業員の雇用が継続される

2つ目のメリットは、従業員の雇用が継続される点です。後継者がみつからず事業承継できない場合は、自社を廃業せざるを得なくなります。廃業となれば、現在働いている従業員を解雇しなければなりません。

ところが、M&Aによる会社売却を行うことで、従業員の雇用は継続されるでしょう。売却先の事業規模は自社よりも大きいことがほとんどです。従業員の待遇がよくなる可能性が高く、安心して事業承継を行えます

事業基盤を安定させられる

3つ目のメリットは、事業基盤を安定化できる点です。これは、複数の事業を行っている企業が食品卸売事業を売却するときに得られるメリットです。

食品卸売業は業界全体として利益率が悪くなっています。企業によっては、食品卸売事業の収益性の悪化が、ほかの事業に悪影響をおよぼしている場合があります。

このような場合は、食品卸売事業を売却する方法が有効です。事業基盤を安定化させ、アナジー効果(負の相乗効果)がなくなることで、自社の利益が増大する可能性につながるでしょう。

倒産・廃業を回避できる

4つ目のメリットは、倒産・廃業を回避できる点です。食品卸売業は、業界全体で年々、利益性が悪化しています。改善のための事業戦略を立てなければなりません。

しかし、戦略が見つからない場合は、倒産の可能性が高まってしまいます。そのリスクを回避させるために、売却という考え方もあるでしょう。

経営者の引退で事業承継がうまくいかずに廃業せざるを得なくなった場合、従業員や取引先への影響は大きく、廃業コストと手間も要します。事業を売却することで、これらの手間を省き、ステークホルダーへの影響を最小限にできるでしょう。

仕入コストを削減できる

M&Aを通じて買収側の傘下に入ることで、これまで自社で仕入れていた商品を親会社にまとめて仕入れてもらえるようになる可能性があります。大量仕入の実現によって、1商品当たりの仕入費用の削減が見込まれます。

売却益を獲得できる

最後のメリットは、売却益を獲得できる点です。年々収益が悪化している食品卸売業ですが、差別化を図り成功している企業や、新規参入したいと考えている買い手企業に売却すれば、譲渡・売却益を得られます

廃業や倒産にはコストがかかるため、業績改善の見込みが立たない場合、ここに挙げたメリットを得ることを目的とし、事業を売却する方法も考えておく必要があるでしょう。

買収側のメリット3選

次に、買収側のメリットとして、次の3つに注目しました。

隣接業種・新規エリアに進出できる

食品卸売会社が、M&Aによって買収をする際には、自社と類似した業種を探すことが望ましいです。買収がうまくいけば、隣接業種エリアに進出できます。自社とのシナジー効果が創出されることで、さらなる業績向上やコスト削減による効果が期待できます。

食品卸売会社同士のM&Aが実現すれば、新規エリアに進出ができます。離れた地域の企業を買収すれば、商業エリアを拡大できるでしょう。それ以外にも、自社にはない商品を取り扱っている企業を買収できれば、さらなる売上拡大や、新たな顧客層拡大も見込めます。

優良な取引先や人材が得られる

食品卸売会社がM&Aによって買収に成功すると、優良な取引先や人材が得られる点もメリットです。大手企業などを取引先に持つ相手を買収できれば、収益増加や業績の安定化が期待できるでしょう。

優秀な人材が獲得できれば、さらなる収益拡大が見込めます。それだけでなく、新規採用や人材育成にかかるコストも削減できます。

業界内での優位性を強固にできる

食品卸売会社が、同業種の企業を買収できれば、市場シェアを伸ばせる点がメリットです。結果的に、業界内での地位が向上し、優位性を強固なものにできます

5. 食品卸売業界のM&A相場

食品卸売業界のM&A・売却・買収の価格相場を知りたいと思う経営者の方は多いです。他業界と同様、中小規模の食品卸売会社の売却金額は「時価純資産+営業利益の2〜5年分」が目安です。

例えば、時価純資産が1億円、3年分の平均営業利益が6,000万円の場合、売却金額の目安は以下のとおり計算できます。

  • 売却金額 = 1億円+6,000万円×3年 = 2億8,000万円

とはいえ、食品卸売業界に限らず、M&A・売却・買収の価格相場は、一概にこの程度であると断言することは非常に困難といわざるを得ません。その理由は、M&A・売却・買収の価格相場は、事業規模や市場動向などさまざまな要素により大きく変動するためです。自社の企業評価価値を算出すれば、ある程度の相場は把握できます。

企業評価価値の算定方法

一般的に、M&A・売却・買収価格相場は、企業価値をもとに算出します。算出方法には、インカムアプローチ・コストアプローチ・マーケットアプローチの3種類があります。それぞれのメリットやデメリットを考慮したうえで、適切な計算方法を用いることが必要です。

  • インカムアプローチ:将来、対象企業が得られる収益力を考慮して算定する方法。DCF法や収益還元法など。
  • コストアプローチ:貸借対照表の純資産額をもとに算定する方法で。簿価基準法や時価基準法など。
  • マーケットアプローチ:同業種で同規模の上場企業の取引をもとに算定する方法。市場株価平均法や類似取引比較法など。

企業価値の算出はプロにお願いするべきか?

結論からいえば、企業価値の算出はプロに依頼したほうがよいでしょう。その理由は、適切な企業価値の算定方法の選択や、実際の計算には専門的な知識や見解が必要になるからです。

食品卸売業界には、売上債権回収などの信用リスク、固定費が大きいことによる事業リスク、取扱商品数が多いことによる効率性低下のリスクなど、多くのリスクがあるとされています。

正確に企業価値を算出するためには、これらのリスクを考慮しなければなりません。M&A仲介会社や会計士などのプロに算出を依頼したほうがよいでしょう。

6. 食品卸売業界のM&Aでの注意点(売却側)

ここでは、食品卸売業界のM&Aでの注意点を売却側の視点から紹介します。

M&Aの目的を明確にしておく

1つ目の注意点は、M&Aの目的を明確にしておくことです。M&Aを行うためには多額の資金が必要です。したがって、明確な目的なくM&Aを行うと、アナジー効果が出るなど、M&Aに失敗する確率が高くなるでしょう。

M&Aを行う際は、どのようなシナジー効果が得られて、どの程度、利益が得られるのかなど、明確な目標を設定しておくべきです。

M&Aは時間がかかることをあらかじめ認識しておく

2つ目の注意点は、M&Aには時間がかかることをあらかじめ認識しておくことです。M&Aの戦略を練りだしてからクロージングまでに、平均して6カ月〜1年以上かかるといわれています。

しかし、M&Aの取引先の選定に時間がかかったり、条件交渉に時間がかかったりして、平均以上に時間がかかるかもしれません。クロージング後にM&Aの効果が現れ始めるのも経営者の手腕次第ですが、非常に多くの時間を要します。

これらのことを考慮したうえで、売上予測などを作成しましょう。

自社の強みやアピールポイントをまとめておく

3つ目の注意点は、自社の強みやアピールポイントをまとめておくことです。売り手側企業の場合、自社の強みやアピールポイントをうまく説明できないと、期待するような売却益が得られない可能性があります。

買い手側企業の場合、自社の強みなどが伝わらないと、希望する買収先を簡単にみつけられず、M&Aが長期化してしまうかもしれません。M&Aの買い手企業であれ、売り手企業であれ、自社の強みやアピールポイントをまとめておくことは非常に重要です。

M&Aの取引先選びは慎重に行う

4つ目の注意点は、M&Aの取引先選びを慎重に行うことです。買い手企業は、シナジー効果や売上増大を目的に買収を行うため、慎重に買収先を選ぶ必要があります。一方、売り手企業も、自社の事業を高く評価してくれる売却先を選ぶことが重要です。

自社の目的と合わない売却先とM&A交渉を行っても、高く評価されずに売却益が低くなる可能性があります。売り手・買い手のいずれの立場であっても、M&Aの取引先選びは慎重に行うことが成功の第一歩ともいえます。

M&Aの専門家に相談する

最後の注意点は、M&Aの専門家に相談することです。M&Aには専門的な知識や豊富な経験が必要であるため、経営者だけでM&Aを成功させるのは非常に難しいといわざるを得ません。

M&Aの知識に加えて、業界特有の条件なども考慮しながら進めなければならないため、M&Aの専門家に相談することは不可欠といえるでしょう。

食品卸売業界のM&A・売却・買収をする際は、M&Aに関する知識や経験があり、かつ業界に精通しているM&A仲介会社などの専門家に、できるだけ早い段階で依頼することをおすすめします。

食品卸売業界のM&Aのご相談はM&A総合研究所へ

食品卸売業界でのM&A・売却・買収を成功させるためには、M&Aに関する知識や見解に加え、その業界に精通していることも必要です。M&A仲介会社など専門家のサポートを受けるとよいでしょう。

中小企業のM&Aに数多く携わっているM&A総合研究所では、食品卸売業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任でフルサポートします。通常は半年~1年以上かかるとされるM&Aを、最短3カ月で成約した実績を持つ機動力もM&A総合研究所の大きな特徴です。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。随時、無料相談を受け付けていますので、食品卸売業界でのM&Aをご検討の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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7. 食品卸売業界のM&Aでの注意点(買収側)

食品卸売業界のM&Aにおいて、買収側は売却側とは別の点に注意が必要です。次は、食品卸売業界のM&Aでの注意点を買収側の視点から紹介します。

業界特有の暗黙のルール・慣習を把握しておく

異業種からの参入目的のM&Aの場合、食品卸売業界特有の慣習や文化を把握してからM&Aに臨むことが重要です。食品卸売業界には歴史が古い企業が多く、地方を拠点としていることもあり、業界特有の暗黙のルールのようなものが存在します。

経営者よりも組合長の方が発言力を持っていたり、社長ではない重鎮の現場責任者が経営を左右していたりなど、一般の企業の感覚で対応すると交渉が成立しないケースがあり得ます。

仮にM&Aが成立しても、その後の取引停止・中止などになってしまわないためにも、十分に周辺調査まで行ったうえで、食品卸売業界とのM&Aに臨みましょう。

デューデリジェンスによるリスクの洗い出し

M&Aには少なからずリスクが存在するため、買収側は最終的な決断を下す前にデューデリジェンスをしっかりと行い、売却側の問題点やリスクの有無(程度)を調査することが重要です。

デューデリジェンスでは法務・財務・人事などさまざまな分野の問題点やリスク、事前開示された情報の正確性などを調査します。その結果は適正な買収価額の決定や買収可否の判断材料となる要素です。

買収リスクや問題点の洗い出しを徹底しておかなければ、シナジーが発揮されなかったり買収資金の回収が困難になったりする可能性もあります。買収側がM&Aを成功させるためには、デューデリジェンスを徹底して行うことが重要です。

取引の継続や特約の有無のチェック

売却側がもつ取引先(契約)の引継ぎを希望している場合、事前に取引の継続可能性や特約の有無をよく確認しておく必要があります。

というのは、取引先にとってはM&A後に運営企業が変わることで契約を打ち切るケースもあり得るためです。そうなれば、将来見込める利益も下がることになるため、取引の継続可能性はしっかり確認しておかなければなりません。

また、取引先と最低仕入れ量の取り決めがある場合、金額・量によってはM&A後の固定費が増え、利益を圧迫するケースもあり得ます。買収側にとって、売却側がもつ取引先の継続や特約の有無はM&A後の利益にもかかわるため、しっかり内容を確認することが重要です。

8. 食品卸売業界のM&A流れ

M&Aには非常に多くの行程があるため、大まかな流れを頭に入れておくと効率的に進めていくことができます。ここでは一般的な流れを説明しますが、使用するM&A手法によって必要な手続きは多少異なるため、アドバイザーと相談しながら進めていくようにしましょう。

M&A仲介会社などの専門家へ相談

まずはM&Aのアドバイザリー業務を依頼する専門家を決めます。中堅・中小企業のM&AではM&A仲介会社へ依頼するケースが一般的ですが、その際は実績・サポート範囲・手数料体系・担当アドバイザーとの相性などから総合的に判断するとよいでしょう。

M&A仲介会社へ相談するタイミングは、M&Aの検討を始めたらできるだけ早期に行うことがポイントです。M&Aは成立までに半年程度はかかるといわれる取引なので、早めに相談しておくことで適切なタイミングを逃しづらくなります。

また、相談を行う前に、M&Aの目的・大まかな希望条件とその優先順位を自社で決めておきましょう。これらが決まっているとスムーズに相談を行うことができます。

M&A相手の選定

自社の希望希望条件をアドバイザーへ伝えておくと、M&A交渉を行う候補先企業を複数社リストアップしてくれます。このリストを「ロングリスト」といい、そのから事業内容や想定されるシナジーなどを基に数社まで絞り込む流れです。

ロングシートから数社に絞り込んだものを「ショートリスト」といい、そこから交渉を行いたい相手先を選定します。交渉したい相手先企業が決まったら交渉打診をアドバイザーを通じて行い、相手企業もM&Aに前向きであれば秘密保持契約を締結してから自社の詳細情報(企業概要書)を開示します。

トップ面談

次は売却輪の経営者と買収側の経営者による面談を行います。M&Aではほとんどのケースで面識のなかった企業同士が行うものです。

互いの情報は企業概要書によってある程度把握できていますが、トップ面談では経営理念や企業風土・M&A後のビジョン、相手先経営者の人柄などを確認します。

通常、トップ面談では価額や条件についての交渉は行わず、この会社に自社を任せられるか(買収してよいか)を判断し、信頼関係を構築することが大きな目的です。

基本合意書の締結

トップ面談を行い、売却側・買収側の双方がM&A成立に向けた交渉を続ける意向であれば、より具体的な条件・価額などを話し合います。そして、取り決めた条件・価額・使用するスキームなどM&A内容に双方が大筋で合意したら、基本合意書を締結します。

基本合意書にはM&A価額や諸条件を記載しますが、合意書そのものに法的拘束力はありません。つまり、この時点ではM&A成立が確定しているわけではなく、買収側のデューデリジェンスで大きなリスクや問題点があると判断されれば、M&A交渉が中止となる場合もあります。

買収側によるデューデリジェンス

M&Aでは基本合意の締結後に買収側が売却側の実態を調査し、リスクや問題点を洗い出します。この調査をデューデリジェンスといい、買収側にとってはM&A実行の可否や価額を決定する重要な工程です。

デューデリジェンスは人事・財務・法務などさまざまな面で行われ、各調査はその分野の専門家が行います。どの範囲(分野)を調査するかはケースによって異なりますが、売却側は調査に協力を求められた場合、誠実に対応することが重要です。

最終契約書の締結

デューデリジェンスが終わり、買収側がM&Aを実行すると判断したら、いよいよM&A成立に向けた最終交渉へと移ります。最終交渉はデューデリジェンスの結果を考慮して進めていくため、売却側は基本合意書の締結時から価額・条件などが変更される場合もあることを理解しておきましょう。

そして、最終交渉の内容すべてに売却側・買収側が合意したら、最終契約書を作成して締結しM&Aが成立します。注意すべきは、最終合意書にはそのすべての事項に法的拘束力があることです。

そのため、最終契約書の締結後にどちらかが一方的に契約を破棄したり、条件や価額を変更したりすることは原則認められません。最終契約の締結前は専門家立ち合いのもと、内容をしっかり確認しておくことが重要です。

クロージング実行

M&Aが成立したら「クロージング」と呼ばれる手続きへと移ります。クロージングとは代金の決済と経営権(売却対象の経営権)の移転を行う手続きのことです。

通常、クロージングはM&A成立から一定期間を空けてから行われます。というのは、クロージングを行うためには売却側が最終契約書で定めた前提条件を満たしていなけれなならないからです。

そのため、クロージング実行日までに前提条件を満たせないときは実行日が延期されたり、理由如何によってはこの段階でM&A契約が白紙撤回されたりする場合もあります。そして、クロージングが終わればM&A手続きは完了です。

PMI

M&A手続きはクロージングをもって完了となりますが、以降は事業運営を円滑に行うための統合作業が必要です。この統合作業はPMIと呼ばれ、経営・業務・意識のすべてにおいて統合を行います。

PMIを行う大きな目的はM&Aの効果を最大化です。そのため、真の意味でのM&A成功はPMIにかかっているといわれるほど、非常に重要な工程でもあります。

統合を急ぎすぎてしまうと失敗する可能性が高くなり、特に従業員の意識面の統合はデリケートな部分が多いため、慎重かつ丁寧に進めていかなければなりません。

9. 食品卸売業界のM&A事例

最後に、食品卸売業界で行われたM&A・売却・買収事例を紹介します。

ヤマエグループホールディングスによるトップ卵の子会社化

2023年12月、ヤマエグループホールディングスは福岡県のトップ卵を完全子会社化すると発表しました。子会社となるトップ卵は、グループで畜産飼料卸売・採卵鶏の養鶏および卵加工品の販売を手掛ける持株会社です。

そのうち鶏卵生産は福岡に近接する八女エリア・美里エリア・菊池合志エリアで行っており、信頼力と多くの実績を有しています。

ヤマエは食品事業・製造業・住宅や不動産関連の卸売業などをグループ企業です。現在、事業ポートフォリオの見直しによる事業の多角化を進めており、中期経営計画では「M&A戦略」を戦略のひとつに掲げています。本M&Aもその一環で行われたものであり、トップ卵の子会社化により商品仕入れの強化を図ることが目的です。

参考:ヤマエグループホールディングス株式会社「トップ卵株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

和心とNATTY SWANKYとの資本業務提携

2021年12月、和心はNATTY SWANKYと資本業務提携を締結しました。和心の新事業である食肉事業での業務提携に伴い、約2,000万円の資本提携も実施する予定です。

和心は、これまで商品企画・デザイン・製造事業、店舗設計・運営事業、Webデザイン・ECサイト運営・着物レンタル事業などを行ってきました。新たに食肉卸売事業に参入することになります。NATTY SWANKYは、飲食店経営事業を行っている企業です。

和心としては、NATTY SWANKYが経営する「ダンダダン酒場」の仕入れ先として業務提携することで、和心が掲げる食肉卸売のプラットフォーマーとして、食品卸売業界の新たなエコシステム構築を目指しています。

参考:株式会社和心「新規事業の開始および株式会社 NATTY SWANKY との資本業務提携に関するお知らせ」

三井物産による五洋食品産業へのTOB

2021年10~12月、三井物産が五洋食品産業へTOB(株式公開買付け)を実施し、83.37%分の株式を取得しました。取得に要した額は13億2,384万6,957円です。総合商社である三井物産は、食品卸売事業も行っています。

五洋食品産業は、冷凍洋菓子の製造事業を行っている企業です。三井物産としては、食品事業における高付加価値製品事業の拡大とモノづくり機能強化が可能になると判断し、五洋食品産業を子会社化しました。

参考:三井物産株式会社「五洋食品産業株式会社株券(証券コード2230)に対する 公開買付けの開始に関するお知らせ」

栗林商船による北千生氣の子会社化

2021年7月、栗林商船は北千生氣の全株式を取得し、完全子会社化しました。取得価額は7億5,000万円です。栗林商船は、国内航定期船事業、国内航不定期船事業のほか、海陸一貫輸送サービス事業を行っています。

北千生氣は、北海道で青果物の仕入・加工・保管・販売(=青果物卸売業)を行っている企業です。栗林商船としては、自社の顧客基盤、物流網が北千生氣との間でシナジー効果が見込めると判断しました。

参考:栗林商船株式会社「北千生氣株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」

新日本製薬によるフラット・クラフトの子会社化

2021年6月、新日本製薬は特別目的会社(SPC)を通じて、フラット・クラフトの全株式を取得し、完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。新日本製薬は、化粧品・医薬品・健康食品の製造・販売を行っています。

フラット・クラフトは、食品の輸入・卸売・販売を行っている企業です。新日本製薬としては、フラット・クラフトの商品力・収益力が高いシナジー効果を生むと判断しました。

参考:新日本製薬株式会社「株式会社フラット・クラフトの子会社化に関するお知らせ 」

日本みらいキャピタルによる老舗ベーカリーの買収

2020年6月、日本みらいキャピタルは全額を出資している特別目的会社(SPC)が、老舗ベーカリーである浅野屋の株式80%を取得したことを発表しました。

浅野屋は、「ブランジェ浅野屋」を1933年に創業しました。老舗ベーカリーとして、東京都や長野県軽井沢などでベーカリーの小売店舗12軒の運営と、業務用卸売の製造販売事業を行っています。

日本みらいキャピタルとしては、資金、人材、経営戦略策定において全面的に支援し、浅野屋の業績向上をバックアップしていく方針です。

参考:日本みらいキャピタル株式会社「株式会社浅野屋への投資に関するお知らせ」

トーホーによる業務用水産品卸売会社の子会社化

2019年8月、トーホーはシンガポールでホテル・レストラン向けなど業務用水産品卸売業を行っているGolden Ocean Seafood(S)Pte Ltdの全株式を取得し、完全子会社化しました。

トーホーグループは、中期経営計画で「コア事業のシェア拡大」「商品力・トータルサポート力の強化」「M&A戦略のさらなる加速」を重点施策として、国内外の業務用食品卸売事業のシェア拡大を行っています。

このM&Aは、その経営計画の一環として実施されました。トーホーグループとして、現在5社体制で行っているシンガポールでの業務用食品卸売事業に、新たな取扱品目を増やしたものです。

参考:株式会社トーホー「シンガポール業務用水産品卸売会社 Golden Ocean Seafood (S) Pte Ltd の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

伊藤忠食品のエブリーとの資本業務提携

2019年7月、酒類・食品卸売業を行う伊藤忠食品は、レシピ動画メディア「DELISH KITCHEN」運営などを行うエブリーの第三者割当増資を引き受ける資本業務提携契約を締結しました。第三者割当増資として出資する価額は25億円です。

伊藤忠食品としては、この資本業務提携により、デジタルサイネージ事業を推進し、小売業およびメーカーへの販促支援サービス分野などでエブリーと協業を図ることを目的としています。

参考:伊藤忠食品株式会社・株式会社エブリー「伊藤忠食品、『DELISH KITCHEN』を運営するエブリーと資本・業務提携 店頭デジタルサイネージを中心としたソリューションによる集客・販促支援で協業 」

トーホーによる業務用青果卸売会社および青果加工会社の子会社化

2018年10月、トーホーはシンガポールで業務用青果卸売事業および青果加工事業を行っているFresh Direct Pte LtdとKitchenomics Pte Ltdの2社の全株式を取得し、完全子会社化しました。

Fresh Direct Pte Ltdには、Onla Pte LtdとBread N Better Pte Ltdという子会社2社がありました。その2社も今回のM&Aにより、トーホーの孫会社となったことになります。

トーホーは、先述したように、重点施策として「M&A戦略のさらなる加速」を掲げており、上の事例に先んじて行われたのが、この青果卸売会社へのM&Aです。

参考:株式会社トーホー「シンガポール業務用青果卸売会社 Fresh Direct Pte Ltd 及び Kitchenomics Pte Ltd の株式取得(子会社化)、孫会社の異動に関するお知らせ 」

ヤマエ久野による建設工事会社の子会社化

この事例は、食品卸売事業者が他分野での事業強化を図るために行われたM&Aです。2018年2月、ヤマエ久野は、熊本市に本社を置く建設工事会社・日装建の株式を51.0%取得し、子会社化することを発表しました。

ヤマエ久野グループは、食品卸売事業だけでなく、九州エリアを中心とした住宅・不動産関連事業など多角経営を行っています。一方の日装建は、熊本県や福岡県南部を中心にアパート・マンション・戸建住宅建設などの建設事業を行う会社です。

今回のM&Aで、ヤマエ久野グループは、既存の住宅・不動産関連事業のネットワークを通じて販売エリアを拡大し、事業の成長を目指す方針です。

参考:ヤマエ久野株式会社「株式会社日装建の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

アスモフードサービスによるぱすとの子会社化

この事例は2015年12月に発表された、アスモフードサービスによるぱすとの子会社化です。売り手側であるぱすとは、イタリアンレストランのチェーン展開を行っています。

アスモフードサービスは、給食事業や海外飲食事業を展開しています。アスモフードサービスのグループ会社アスモトレーディングは、食肉の卸売事業を行っている企業です。

アスモフードサービスは、今回のM&Aで、初めて国内のレストラン事業を展開することになります。ぱすとのノウハウを生かして新メニューの開発や人材の定着を図り、さらにはイタリアンレストランの海外進出を見据えて国内で事業を展開すると発表しました。

参考:株式会社アスモ「子会社等における新たな事業の開始及び孫会社の異動(取得)に関するお知らせ」

食品卸売業界のM&A事例から浮き彫りになる課題点

食品卸売業界の会社は、食品の主要仕入れ先付近に拠点を構えることが多いため、一般企業に比べ地方を拠点とすることが多くなっています。都市部の企業よりも情報不足である点が否めません。情報不足はM&Aも同様です。

都市部では、M&Aは事業承継の手段であったり、経営戦略の一環であったりという意義が広く浸透してきています。しかし、残念ながら食品卸売業界では、上述した事情によりM&Aの情報が不足しているため、M&Aに消極的です。

今後は、食品卸売の業界団体によるM&Aの有効性の啓蒙活動が望まれます。

10. 食品卸売業界のM&A・売却・買収についてまとめ

食品卸売業界は収益が圧迫されやすい事業ですが、差別化を図れるような強みがあれば、成功しやすい事業でもあると考えられます。

食品卸売業界のM&A・売却・買収を行う際は、M&Aに関する知識や経験だけでなく、食品卸売業界に精通している必要があるため、M&Aの専門家に相談しながら進めていくのがよいでしょう。

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