クリニックの売却価格相場は?計算方法から税金・注意点まで徹底解説!

企業情報本部長 兼 企業情報第一本部長
辻 亮人

大手M&A仲介会社にて、事業承継や戦略的な成長を目指すM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、経営者が抱える業界特有のお悩みに寄り添いながら、設備工事業や建設コンサルタント、製造業、医療法人など幅広い業種を担当。

クリニックでは、後継者不在や人材不足、経営悪化の問題が深刻です。各院では、課題解決を目指すべく事業売却を行うケースが多く見られるようになりました。当記事では、売却価格相場と医院ごとの売却価格の計算方法を交えながら、クリニックの事業売却の背景を詳しく解説します。

目次

  1. クリニックの売却が行われている背景
  2. クリニックの売却方法
  3. クリニックの売却の流れ
  4. クリニックの売却するメリット・デメリット
  5. クリニックの売却価格相場
  6. クリニックの売却の際にかかる税金
  7. クリニックの売却時の注意点
  8. クリニックの売却を成功させるには専門家に相談しよう
  9. 病院・医療法人業界の成約事例一覧
  10. 病院・医療法人業界のM&A案件一覧
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1. クリニックの売却が行われている背景

クリニックを取り巻く業界では、深刻化する課題点を払拭するために、多くの会社・事業売却が実施されています。まずは、多くのクリニックで売却が繰り広げられるようになった背景を4つ確認しましょう。なぜクリニックでは、M&Aによる売却が積極的に行われるようになったのでしょうか。

  • 高齢化と後継者不足
  • 医師・看護師の人材不足
  • 医療環境の変化による経営難
  • 施設・整備費用の負担が大きい

高齢化と後継者不足

国内では多くの企業で経営者の高齢化が顕著です。そのため、クリニックや医院の院長も高齢の方が多く引退を検討しているケースが多くあります。長男や長女など親族に後継者に医院を引き継がせるという方法もありますが、働き方の多様化により後継者の確保はこれまで以上に困難です。

後継者不足のままでは廃院も視野に入れなければなりませんが、決して簡単にできることではありません。スタッフの雇用も配慮しなければならないためです。このような理由から、第三者への売却を行って事業存続を目指すケースがクリニック・医院でも多く見られるようになりました。

医師・看護師の人材不足

クリニック・医院では人材不足も深刻化しています。人材不足が顕著になると、医療提供に支障をきたす可能性が高まるでしょう。そうなると廃院となり、通院患者にも負担を強いることになります。この状況に陥るのを防ぐため、医療法人などに売却する事例が多く見られるというわけです。

大手医療法人グループの傘下になることで、豊富な人材を確保することができます。既存の看護師やスタッフの雇用も守られるため、廃院を選ぶよりも売却の方がメリットが多いと言えるでしょう。

医療環境の変化による経営難

医療環境の変化もクリニック・医院の売却に拍車をかけています。例えば、高齢者の社会保障費の増加で診療報酬の削減(医療制度改革)が行われました。さらに新型コロナウイルス感染症の影響で患者が受診を避ける傾向が高まり、多くのクリニックの経営状況が悪化したことが要因です。

小規模なクリニックや医院においてはこうした国全体の医療環境の変化に対応するだけの体力が無く、厳しい経営状況を強いられているケースが多くあります。経営状況の改善や再建を目指し、売却を検討するクリニックは少なくありません。

施設・整備費用の負担が大きい

設備が老朽化し、設備更新が必要なケースも増えています。設備投資には莫大な金額を投じなければならず、経営の足枷とならざるを得ません。大規模や設備を保有する場合、多額の維持費も必要です。そのため、資金力のあるクリニックに売却を行う事例が見られるようになりました。

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2. クリニックの売却方法

ここでは、クリニックで売却を行う場合に活用されるM&A手法を確認しましょう。個人事業主としてクリニックや医院の経営がなされている場合と、医療法人として運営されている場合でそれぞれ手法が異なります。会社状況や目的に合わせて、適切なM&A手法を選択することがポイントです。

個人事業主のクリニック・医院の場合

まずは、個人事業主という形でクリニックや医院を経営されている当事者の場合に活用されることが多い手法から確認しましょう。個人事業主の場合は主に、事業譲渡と居抜きの2タイプの手法で売却が行われるのが一般的です。では以下で2つの手法をそれぞれ詳しく解説します。

  • 事業譲渡
  • 居抜き

事業譲渡

1つ目の手法が事業譲渡です。事業譲渡は、売り手が保有する事業の全部または一部を他の企業(クリニック・医院)に譲渡し、買い手側のクリニックが引き継いだ対価(売却価格)を現金で支払う形で取引が行われます。医療機関に限らず多くの一般企業で活用されているM&A手法の1つです。

引き継ぐ対象の事業は当事者の話し合いで選択できる点がメリットですが、複雑な手続きを踏まなければならない点に注意が必要です。また、従業員との雇用における再契約や、許認可の再取得も行わなければなりません。

居抜き

2つ目の手法が、居抜きです。居抜きとは、クリニックの医療提供サービスで使用している設備をそのまま引き渡す手法を言います。居抜きで引き継ぎ対象となるのは、建物や内装設備といった有形資産とされているため特定事業は含まれません。移転や廃業の際に適した方法と言えるでしょう。

医療法人のクリニック・医院の場合

では次に、医療法人という形でクリニックや医院を経営されている当事者が活用することが多い手法をチェックしましょう。医療法人の場合は、出資持分譲渡、吸収合併、事業譲渡の3タイプの手法が主に用いられます。では上記と同様にそれぞれの手法の特徴を確認しましょう。

  • 出資持分譲渡
  • 吸収合併
  • 事業譲渡

出資持分譲渡

1つ目が出資持分譲渡です。持分ありの社団医療法人の場合「持分」と呼ばれ、株式会社の株式に当たるものが存在します。持分により1人1議決権を有し、持分を譲渡することで議決権も移動するのが特徴です。過半数の議決権を移転させることで、買い手は経営権を得ることができます。

吸収合併

2つ目が吸収合併です。これは、売り手側のクリニック・医院の法人事業を買い手側に統合させる形で取引が行われます。売却で吸収合併を用いる場合は都道府県知事からの承認や登記手続き、全ての従業員からの同意が必要です。

また、状況によっては新しい法人を設立し、そちらに事業を吸収させる新設合併という手法が用いられる場合もあります。ただ、こちらは複雑な手続きが求められるため、多くの場合吸収合併で行われるのが一般的です。

事業譲渡

法人が運営するクリニック・医院の場合も、売却の際に事業譲渡を活用することができます。事業譲渡の手法の特徴に関しては、前述の通りです。

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3. クリニックの売却の流れ

では、実際にクリニックでM&Aによる売却を実施する場合、どのように手続きを進めていけば良いのでしょうか。ここでは、クリニックの会社や事業売却の流れを8つのプロセスに分けて解説します。手続き前に必要な準備から最終合意まで、M&Aにおける基本的な手続きを確認しましょう。

  1. 専門家への相談
  2. 秘密保持契約締結
  3. 必要な書類の提出
  4. クリニック・医院の価値を評価・資料の作成
  5. 匿名で買い手を探す
  6. 譲渡先と面談・基本合意
  7. デューデリジェンスの実施
  8. 最終合意

専門家への相談

経営者としては迅速に売却を進めたいところですが、まずは税理士に相談を行いましょう。適切な売却のスキームの策定のために、プロフェッショナルからの助言を受けることをおすすめします。顧問契約を取り交わしている顧問税理士や会計士がいれば、その方に相談してください。

手続きに関してサポートを受ける場合は、M&A仲介会社とアドバイザリー契約を交わすと良いでしょう。売却価格の計算や後継者を見つける作業には労力がかかるので、専門家の力を借りた方が効率的です。円滑に進めるためにもクリニック業界で実績のある仲介会社に依頼しましょう。

秘密保持契約締結

手続きに入る前に、仲介会社と秘密保持契約書(Non-Disclosure Agreement)を取り交わします。交渉を進める中で情報漏洩が発生すると、不安を感じたスタッフが退職し、売却が失敗する可能性があるためです。取引が確定するまでに情報が流出しないように管理を徹底しましょう。

必要な書類の提出

秘密保持契約書の締結が済んだら、M&A仲介会社に必要書類の提出を行います。必要書類とは、例えば以下のような書類です。このほかにも状況に応じてアドバイザーから別途資料の提出を求められる場合もあります。書類は、仲介会社が買収側に提示する資料を作成するために使用されます。

  • クリニック・医院の決算書類
  • 給与に関する情報
  • 社内規定
  • 営業許可証
  • 契約書規定
  • 借入予定表

クリニック・医院の価値を評価・資料の作成

次に売却対象のクリニックの価値(売却価格)を評価します。コストアプローチ、インカムアプローチ、マーケットアプローチの3種類の売却価格算出方法を用いるのが一般的です。売却価格には、事業内容や将来期待できる利益など見えない価値(のれん代)も正しく加味しなければなりません
 

コストアプローチ 資産や負債から売却価格を算出する方法
インカムアプローチ 将来利益予想やキャッシュフローをもとに売却価格を算出する方法
マーケットアプローチ 過去の類似事例から売却価格を算出する方法

匿名で買い手を探す

売却価格の算出が終わったら、匿名で買い手を探す作業に進みます。この際ノンネームシートという概要書を使用するのが一般的です。ノンネームシートには、売り手側のクリニック名が特定されない範囲で情報や希望の売却価格等が記載されており、書い手はこれをもとに相手企業を選出します。

なぜこの時点で匿名なのかというと、売却を検討しているという情報が広まることで取引先との関係悪化や従業員のモチベーション低下につながる恐れがあるためです。また、マッチングが成功するまでかなりの時間を要する場合もあるので、この点理解した上で手続きを進めましょう。

譲渡先と面談・基本合意

無事相手企業が見つかったら、買い手側の経営者とトップ面談を実施します。経営理念や診療方針など相互理解を深めましょう。多くの共感が得られたら当事者間で秘密保持契約書を締結し、具体的な条件交渉に進みます。双方が有益と思える条件や売却価格にまとめることが大切です。

取引条件をまとめられたら、基本合意書を締結します。基本合意書は、当事者の基本情報や実施スケジュール、手法、売却価格、支払い方法などが記載された書類です。当事者双方がM&Aに合意したことを表明する際に作成されます。基本合意書は法的拘束力はありません。

デューデリジェンスの実施

基本合意書を締結したらデューデリジェンスが実施されます。デューデリジェンスとは、売り手側の財務や税務、リスクや負債などあらゆる項目を調査し、開示された内容に虚偽がないかを確認するための実態把握プロセスです。一般的に専門家に依頼して行われます。

売り手側の簿外債務(貸借対照表に記載されていない負債)の発覚リスクを軽減させる効果があるため、買い手側には特に重要です。また売り手側の協力も必要なので、基本合意書にはデューデリジェンスへの協力に関する項目も記載しておくことをおすすめします。

最終合意

いよいよ最終合意の段階です。基本合意書の内容とデューデリジェンスの結果を基準に詳細条件の調整を行います。最終的な取引条件が決まったら最終契約書を締結しましょう。最終契約書は一連のM&A手続きの中でも特に重要な書類で、締結とともに法的拘束力が発生します。

法的拘束力があるので、契約違反が見られた場合は相手側に損害賠償請求権が発生します。当事者間のトラブルを極力防ぐために、売り手側も買い手側も契約前に条件を入念に確認しましょう。

最後に売り手が事業の引き継ぎを行い、買い手側が契約書に記載された売却価格を支払うことで、M&Aにかかる一連の手続きは完了です。最後のプロセスは、クロージングと呼ばれます。

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4. クリニックの売却するメリット・デメリット

クリニックで売却に成功すれば、廃院を選択するよりも多くの恩恵が受けられます。ただし、売却の際は留意すべき点も同様に存在するので注意しなければなりません。ここではクリニックで会社や事業の売却の際に得られるメリットと、考慮すべきデメリットとなる点を併せて解説します。

メリット

まず、クリニック・医院で売却を実施する際、経営者が得られる主なメリットを確認しましょう。

  • 廃院を阻止し引き続き医療サービスを提供できる
  • スタッフの雇用を継続できる
  • 経営者(院長)が売却による利益を受け取れる
  • 後継者不在の問題を解決できる
  • 連帯保証など経営者の個人債務が解消される
  • クリニック・医院の経営状況を安定させられる

経営難や人材不足、そして後継者不在の課題を抱える場合、売却なら効率的に解決できます。スタッフの生活を守れるだけでなく、その地域における医療サービスを引き続き提供させられる点が魅力です。

また、経営者は契約書に記載された売却価格を対価として得られるので、引退後の生活資金に充当させることができます。気兼ねなく後継者にクリニックの事業を任せられるでしょう。

デメリット

では次に、クリニック・医院で売却を行う際、当事者に想定されるデメリットとなる点をチェックしましょう。

  • アドバイザリー費用がかかる
  • 診療方針がそのまま維持されるとは限らない
  • 売却を知ったスタッフが離職する可能性がある
  • 希望通りの売却価格にならない場合もある
  • なかなか承継先が見つからないケースもある
  • 事業の引き継ぎに多大な労力が必要となる

売却を検討している場合でも、すぐに見つかるとは限りません。マッチングが長期戦になる可能性もある点に留意が必要です。できるだけ早いタイミングから計画的に事業承継の手続きを進めておく必要があります。

また、売却の話を耳にしたスタッフが不安を感じ、退職するリスクがあるので情報漏洩対策を十分に講じなければなりません。専門家に依頼する場合は、アドバイザリー費用がかかる点にも注意が必要です。

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5. クリニックの売却価格相場

クリニックでM&Aによる売却を考える場合、どの程度の売却価格相場を見込むべきなのでしょうか。経営者としては、売却価格は非常に気になる項目の1つに挙げられます。ここでは、クリニックで会社や事業売却を行う際の売却価格相場と売却価格計算方法を併せて確認しましょう。

売却価格相場

クリニック・医院の売却価格相場ですが、大まかな相場は1,000万円から4,000万円程と言われています。ただ、売却対象となるクリニックの規模や保有する設備の大きさ、事業の将来性などあらゆる要素が売却価格に影響を与えるため、これよりも具体的な売却価格の記載は困難です。

クリニック・医院の売却価格を決める要素となる具体的な項目には、以下のような項目があります。

  • 売却価格に影響する要素①:通院患者の数
  • 売却価格に影響する要素②:クリニックの立地
  • 売却価格に影響する要素③:診療科目
  • 売却価格に影響する要素④:在籍する従業員やスタッフの数
  • 売却価格に影響する要素⑤:将来性
  • 売却価格に影響する要素⑥:口コミや評判

売却価格の計算方法

具体的な売却価格を把握するためには、状況に合わせて企業評価を行う必要があります。売却価格の計算にはさまざまなアプローチが用いられますが、最も一般的な計算式は以下の通りです。こちらは、時価純資産価格法と呼ばれています。

  • 企業価値(売却価格) = 総資産(資産-負債) + 営業利益

この他、将来見込まれる収益を加味して売却価格算出を行うDCF法や、過去の類似事例から売却価格を判断する取引事例法が存在します。いずれのアプローチを用いる場合も専門知識が必要なので、専門家に依頼しながら算出を行ってください。

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6. クリニックの売却の際にかかる税金

クリニックで売却を行う際に注意しなければならないのが、税金です。クリニックや医院に限られた話ではありませんが、一般的にM&Aでは売却益を受け取る側に税金が発生します。ここでは、個人事業主と医療法人の場合に分けて、売却によって発生する税金の種類をチェックしましょう。

個人事業主のクリニック・医院の場合

まずは個人事業主としてクリニック・医院を経営している場合の事業譲渡で発生する税金を確認しましょう。この場合、売り手が受け取った譲渡益に対して所得税、住民税そして復興特別所得税が発生します。譲渡益は、譲渡金額から資産や負債を差し引くことで求められます。

所得税は他の所得と合算される「総合課税」で計算し、税率は所得額に応じて5%から45%で、住民税は10%です。なお、復興特別所得税は2037年12月31日まで限定的に徴収される税金です。

医療法人のクリニック・医院の場合

では次に、医療法人としてクリニックや医院を経営している場合の持分譲渡で発生する税金をチェックしましょう。法人の場合は、譲渡額から仲介手数料などの必要経費と設立時出資金を差し引いた金額に対して、所得税と住民税が発生します。なお、税率は合計で20.315%です。

この場合は、申告分離税として扱われるため、別の所得と区別して計算する必要があります。この他、手法によって別の税計算が求められるため、より詳しい税務に関しては税理士などの専門家にも相談すると良いでしょう。

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7. クリニックの売却時の注意点

クリニックで売却に成功すれば多くの恩恵がもたらされますが、多くの労力とリスクをかけて行わなければならないという側面もあります。ここでは、クリニックで売却を実施する際に当事者が注意したいポイントを5つチェックしましょう。M&Aはできるだけ専門家に依頼するのが有益です。

  • 許認可の引き継ぎ
  • 医師・看護師の人材流出
  • M&Aスキームの選択を間違えない
  • 社団法人・財団法人の違いに注意
  • M&Aの専門家に相談する

許認可の引き継ぎ

1つ目の注意点は、許認可の引き継ぎです。クリニックや医院で後継者に経営権を移す場合、許認可を取得し直さなければなりません。ただ、再取得の手続きは自治体で異なるので、事前に窓口などで確認しておく必要があります。許認可を得までは業務を行えないので注意してください。

医師・看護師の人材流出

2つ目の注意点は、クリニックに在籍する医師や看護師の人材流出が発生しないように配慮することです。売却の噂を耳にした医師や看護師が退職する可能性があります。こうなると売却を行う前に価値が下がり、M&Aが失敗に繋がるので、当事者間で必ず秘密保持契約書を取り交わしましょう。

M&Aスキームの選択を間違えない

3つ目の注意点は、M&Aのスキーム(手法)を間違えないことです。一般企業では多くのケースで株式譲渡が活用されますが、クリニックや医院は株式会社ではないため使えません。個人の場合は事業譲渡や居抜き、法人の場合は持分譲渡、吸収合併、事業譲渡から適切な手法を策定しましょう。

社団法人・財団法人の違いに注意

4つ目の注意点は、法人の形態に気を付けることです。医療法人の場合、社団法人と財団法人の2種類が存在します。国内で現存している医療法人のほとんどが社団法人であるため、それほど気にする必要はありませんが、社団法人と財団法人は合併はできない点に留意しましょう。

M&Aの専門家に相談する

5つ目は、M&Aの専門家への相談です。先ほど記載しましたとおりM&Aは税金が発生します。税金対策など税務処理ができる専門知識が必要なだけでなく、法務面の専門知識にも幅広く対応しなければなりません

また、後継者を見つける作業も同時に行う必要があるため、経営者個人の力のみで手続きを進めるのは困難です。クリニックや医院でM&A経験のある知識豊富なM&A仲介会社など、専門家に相談することを強くおすすめします。信頼できるM&A仲介会社とアドバイザリー契約を締結しましょう。

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8. クリニックの売却を成功させるには専門家に相談しよう

クリニック・医院では後継者不在の解決や経営状況の改善、人材確保などあらゆる課題点に対処するため、M&Aを活用し事業売却を実施するケースが増加しています。医療を提供し続けられるだけでなく医師や看護師の生活も守ることができるため、廃院を選ぶよりも有益です。

ただ、M&Aによる売却は一定のリスクを払って行わなければなりません。手続きでトラブルを最小限に抑えるためには、専門家の力が必要です。クリニック・医院におけるM&A実績を豊富に持つM&A仲介会社に相談・依頼しながら、売却成功を目指しましょう。

9. 病院・医療法人業界の成約事例一覧

10. 病院・医療法人業界のM&A案件一覧

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