2020年10月18日更新
ビルメンテナンス会社のM&A・買収・売買の完全マニュアル【相場/成功事例あり】

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ビルメンテナンス会社のM&Aが活発化しています。ビルメンテナンス会社の売却や買収には、どういった特徴があるのでしょうか。ここでは、ビルメンテナス業界に触れながら、ビルメンテナンス会社のM&Aにおける売却や買収について解説します。
目次
1. ビルメンテナンス会社業界動向
ビルメンテナンス会社では、M&Aによる事業集約の流れが見られています。これは、ビルメンテナンス会社が置かれている、業界の動向などが大きく影響しています。
まずは、ビルメンテナンス会社の業界動向について詳しく確認していきましょう。
ビルメンテナンス会社とは
そもそもビルメンテナンス会社とは、ビルなどの建物の保守・清掃・警備・機器管理などの維持管理サービスを行う会社です。ビルメンテナンスの会社の中でも、以下のような事業に分けられます。
- 清掃、廃棄物処理などの環境衛生管理業務
- 電気・通信・空調設備、エレベーターなどの設備管理業務
- 警備、防火・防災などの保安警備業務
- 建物の維持管理を行う建物設備保全業務
大企業であれば全ての業務を提供していることもありますが、中小企業であるといずれかに特化しているケースが多いです。
ビルメンテナンス会社における業界の市場規模は、2017年度は約1兆4,460億円、2018年度は約1兆4,840億円で、1年間で売上高は微増傾向でした。
参照:全国ビルメンテナンス協会「ビルメンテナンス情報年間2020」
ビルメンテナンス会社の顧客
ビルメンテナンス会社の顧客は、主にビルのオーナーなどです。
また、ビルを管理している管理会社などから清掃などの業務委託なども請け負っており、ビルのオーナー、ビル管理会社、マンション経営者などが顧客の主軸となるでしょう。
業界動向
ビルメンテナンス業界の動向は、売り上げは堅調に動いているものの、中小のビルメンテナンス会社は経営がひっ迫しています。また、どの業界でもいわれているように、人手不足は深刻な問題です。
さらに、動向として見られるのは、価格競争の激化です。さらには、東京オリンピック後の需要についても大きな課題が見られています。そのため、業界内での生き残りに対して、各種サービスに力を入れている企業が多く見受けられるのです。
2. ビルメンテナンス会社のM&Aについて
ビルメンテナンス会社の集約の動向が見られる業界ですが、M&Aによる事業売買や事業譲渡はどういった動向が見られるのでしょうか。
昨今のビルメンテナンス業界における、M&Aによる会社売買や事業譲渡の動向は、国内の大手企業の集約をはじめ海外への事業展開や清掃や保守などの総合サービスの提供、そして選択と集中といった特徴があります。
また、ここ数年は東京オリンピックの需要などにより、ビルメンテナンス会社のM&Aの相場は上がりつつあるのです。
ビルメンテナンス業界でよく使われるM&Aの手法
ビルメンテナンス会社のM&Aによる、事業譲渡や会社売買には、どういった手法が取り入れられているのか気になります。
ビルメンテナンス業界では、以下のようなM&Aの手法が活用されています。
2つの手法にどのような違いがあるのか、確認していきましょう。
事業譲渡
事業譲渡とは、事業の一部または全部を買い手企業に譲渡するM&Aの手法です。事業譲渡の最大のメリットは、売りたい資産・負債だけを切り出してM&Aを実践できることでしょう。
そのため、ビルメンテナンス会社の中でも「環境衛生管理業務」だけを売却してしまいたいと思うのであれば、事業譲渡を選ぶべきです。ほとんどの資産・負債は売却したいけど、一部残しておきたい資産などがある場合も事業譲渡が選ばれます。
しかし、事業譲渡を行うと手続きが煩雑になりやすいです。譲渡範囲が明確にしなければ、買い手との交渉に難航する場合もあります。
事業譲渡をした後も、権利の取り直しや従業員との労働契約、取引先との取引契約を全て改めて契約し直さなければなりません。
利点の多く感じられる事業譲渡ですが、どうしても残したい事業や資産があるとき以外は株式譲渡を選びましょう。
株式譲渡
株式譲渡とは、会社の資産・負債を全て買い手企業に譲渡するM&Aの手法です。ビルメンテナンス会社の全てを売却したい場合は、株式譲渡を選びましょう。
株式譲渡の最大のメリットは、株主の書き換えだけで経営権が買い手企業に移行する点です。経営者が変わるだけなので、会社名はそのままになります。事業譲渡と違って雇用契約や取引契約の巻き直しの必要もありません。
また、会社の全ての資産・負債が買い手企業の手に渡るため、負債が手元に残らないといったメリットもあります。譲渡する手続きがわかりやすいので、買い手企業にも好まれるM&Aの手法です。
株式譲渡(会社売却)について、詳しくは以下の記事でもまとめていますので、こちらも参考にしてみてください。
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M&A仲介会社であるM&A総合研究所は、専門的な知識や経験が豊富なM&Aアドバイザーが在籍しており、培ったノウハウを生かしM&Aをサポートいたします。
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3. ビルメンテナンス会社がM&Aするメリット
それではビルメンテナンス会社がM&Aを行うメリットはどこにあるのでしょうか。ここでは、売却・譲渡した側と買収した側それぞれのメリットについて解説します。
売却・譲渡側のメリット
ビルメンテナンス会社を売却するときのメリットは以下のとおりです。
- 大手資本で経営の安定化
- 従業員の雇用を確保
- 後継者問題の解決
- 創業者利益の獲得
順番に確認していきましょう。
大手資本で経営の安定化
ビルメンテナンス会社をM&Aで売却すると、大手の資本力により自社の発展が期待できます。
また、豊富な資金が投入されることで新規事業の開始や、安定した基盤の確保にもつながるでしょう。
従業員の雇用を確保
ビルメンテナンス会社をM&Aの売却によって、従業員の雇用先を確保できます。人材不足や経営者の高齢化により、廃業の道を選んでしまうと、従業員を路頭に迷わせることになるのです。
しかし、M&Aを実施すれば経営者は変わるものの、従業員の雇用を引き継いでもらえます。今まで自社を支えてくれた従業員たちを路頭に迷わせることもありません。
後継者問題の解決
ビルメンテナンス会社の後継者問題を解決できます。
後継者問題は業種を問わずに深刻化している問題です。しかし、M&Aでは後継者となり得る人材を有する企業が買収に動いています。
つまり、会社売却で買収先から後継者を選出してもらい、そのまま会社を続けられるのです。
創業者利益の獲得
ビルメンテナンス会社をM&Aで売却すると、創業者利益の獲得が期待できます。ビルメンテナンス会社を売却すると買い手企業から譲渡価格が支払われるのです。
現金で取引される手法を選ぶことで、まとまった現金を得られます。
例えば、手に入れた資金を老後に使う、他事業への投資に使う、新規事業開始の足掛かりにするなど、幅広く役立つでしょう。
買収のメリット
一方、ビルメンテナンス会社を買収するメリットは以下のとおりです。
- 人材不足の解消
- 新しい技術やノウハウの獲得
- 既存事業の拡大
- 低コストで新規事業・周辺事業へ参入
詳しく確認していきましょう。
人材不足の解消
ビルメンテナンス会社を買収するメリットは、人材不足の解消です。ビルメンテナンス会社の買収によって、技術者や経験者を確保できます。自社で人材を集められない場合には、買収による人材の確保を検討してみましょう。
新しい技術やノウハウの獲得
ビルメンテナンス会社をM&Aで買収し、新しい技術やノウハウの獲得が期待できます。特別な方法でビルメンテナンスサービスを提供する会社や、最新のITを駆使したサービス提供を行っているビルメンテナンス会社もあるでしょう。
このようなビルメンテナンス会社を買収し、技術者の確保も進められ、技術を確保できるのもメリットです。
既存事業の拡大
ビルメンテナンス会社をM&Aで買収し、既存事業の拡大が期待できます。ビルメンテナンス会社の買収により、自社に開発部門を設け、多様な技術やノウハウを確保でき、事業の拡大を図るなどの目的を達成できるのです。
また、カバーしているエリアや顧客層の違うビルメンテナンス会社を買収し、もともと自社の持っていたサービスを提供する可能性が高くなります。
さらに、サービスのラインアップが増えるなど、相乗効果によって売り上げの拡大が期待できます。
低コストで新規事業・周辺事業へ参入
低コストによる参入できることも、ビルメンテナンス会社をM&Aで買収するメリットです。ビルメンテナンス会社を買収すれば、自社で新しいビルメンテナンス事業を立ち上げるよりも低コストに抑えられます。
また、すでにビルメンテナンスの周辺事業を展開していれば、近接する部門との兼ね合いにより、コストの削減も望めるといえるでしょう。
4. ビルメンテナンス会社M&Aの流れ
ビルメンテナンス会社をM&Aにより売買する場合、どういった流れや手続きが必要となるのでしょうか。ここでM&Aの流れについて簡単に解説します。
譲渡の流れ
M&Aにおける売買において、譲渡の流れについて説明します。
譲渡には以下の2種類がありますので、それぞれ見ていきましょう。
- 株式譲渡の場合
- 業務譲渡の場合
株式譲渡の場合
株式譲渡を行う場合、まずは譲渡側と譲渡を受ける側の合意が必要です。その後、株主の同意を得た後に、株式譲渡となるでしょう。株式の譲渡に対して、譲渡された側は対価としては現金または株式などを、売却側に支払います。
業務譲渡の場合
業務譲渡の場合は、譲渡を行う事業の一部または全てについて、双方での同意を必要とします。業務だけであれば、譲渡に対する登記などの変更は基本的に必要ありません。ただし、従業員や資産など、どの部分まで譲渡するかを細かく決める必要があります。
業務譲渡を行った場合、譲渡された側の企業は、譲渡した側の企業に現金などで対価を支払います。
買収の流れ
買収の場合はどういった流れになるのでしょうか。ここでは、売却側と買収側に分けて解説します。
売却側
買収によるM&Aの場合、売却側はまず買収先となる企業を選定します。買収先となる企業が決まった後に、条件の交渉を行い、売買契約の締結をしていくのです。そして、売買が行われた後は引継ぎなどを行う必要があります。
買取側
買収によるM&Aの場合、買取側は買収を行う目的を明確化し企業を選定します。対象の企業が決定した後に、条件交渉を行い契約の締結をするのです。その後、企業買収が終了すると売却側に対価を支払います。
5. ビルメンテナンス会社のM&A成功のポイント
ビルメンテナンス会社のM&Aにおいて、成功となるポイントはどういった事柄があるのでしょうか。ポイントは以下のとおりです。
- 相場を調べる
- タイミングを考慮する
- スキームを選択する
3つのポイントについて、詳しく確認しましょう。
①相場を調べる
M&Aを行う場合は、企業価値の相場を知る必要があります。企業価格は、売却側企業のノウハウや商品、資産によって大きく変わりますので、まずは、相場を知ることが重要です。
②タイミングを考慮する
M&Aには時代背景などタイミングが重要です。これから伸びる動向が見られる産業であれば、M&Aのチャンスといえるでしょう。
③スキームを選択する
M&Aを行う手法を選択します。手法によっては現金を調達しなくても良いものなど、M&Aのスキームはさまざまです。相場、タイミング、スキームなどは、自分で判断することは難しいものです。専門家の力を借りることをおすすめします。
6. ビルメンテナンス会社のM&Aの成功事例
ビルメンテナンス会社のM&Aの成功事例を紹介します。成功事例を参考に、取り入れられる部分を探してみてください。
メイセイが日本ハウズイングへ株式譲渡した事例
日本ハウズイングは、2020年8月にメイセイの株式を全て取得し、子会社化しました。
日本ハウズイングは、マンションやビルの管理事業、不動産管理事業、営繕工事業を展開しています。
メイセイは、給排水関連の設備や制御機器の保守・点検、調査・診断、清掃・洗浄、修理・工事業務を行っています。
近年は、マンション・ビルの大規模修繕による給排水設備に関する工事および保守点検の要望が高まっています。今回のM&Aにより、日本ハウズイングは、給排水設備関連工事のニーズに応えるため、技術者の確保や技術力の向上を目指します。
C+H Associates Pte Ltd.が大成へ株式譲渡した事例
大成は、2019年10月にシンガポールのC+H Associates Pte Ltd.の株式の75%を取得するなどを決め、株式譲渡契約を締結しました。
大成は、不動産の管理・ビルメンテナンス事業において、今後の発展が見込める東南アジアを戦略的な市場とて、積極的な事業進出を行っています。
C+H Associates Pte Ltd.は、設備管理および建築業務をメインとした事業展開をしています。
今回のM&Aにより、大成は、出資しているベトナムFM会社と連携しながら東南アジアのさらなる事業拡大を目指し、大成グループの企業価値の向上を図ります。
7. まとめ
ビルメンテナンス業界は、M&Aによって集約化されています。また、人材不足・後継者問題によって、中小企業のM&Aも増加傾向です。
特にここ数年は東京オリンピックまでの需要により、ビルメンテナンス会社のM&Aの相場は上がりつつあります。一方で、中小のビルメンテナンス会社は、事業譲渡などの動きが見られ、集約の時期が来ているといえるのです。
M&Aを実施する際は、取引相手との相性やシナジー効果を事前に把握しておきましょう。売り手の場合は、経営理念や技術者のスキルを考慮して、承継先を選んでください。
ビルメンテナンス会社をM&Aで売買するのであれば、自社だけを行わず、専門家のアドバイス・サポートを受けられる仲介会社を利用しましょう。そうすると、できるだけ良い条件でM&Aを成立させられます。
M&A総合研究所であれば、ビルメンテナンス会社はもちろんのこと、多様な業界の動向を常にキャッチしています。また、M&Aにおける知識や経験も豊富です。専門のアドバイザーが親身になって相談にのってくれるところもポイントです。
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