2024年08月25日更新
九州地方のM&A・事業承継・会社売却の動向は?案件一覧も紹介
九州地方のM&A・会社売却・事業承継の特徴や動向から弊社で取り扱っている案件や成功事例、仲介会社を選ぶときのポイントまで詳しく紹介します。九州地方でM&A・会社売却・事業承継を行うときに知っておくべき内容なので参考にしてください。
目次
1. 九州地方のM&A・会社売却・事業承継の動向
九州地方のM&A件数は、今後増加していくものと考えられています。事業承継のニーズが高まっていることから、M&Aによる事業承継の件数がますます増えていくと推測されています。
九州地方の人口は2000(平成12)年辺りをピークに減少しているうえに、最近では中小企業経営者の高齢化が進行していることから、後継者問題が深刻化している状況です。
帝国データバンクの「九州企業の「後継者不在率」動向調査(2023年)」によると、九州企業の55.1%が後継者不在であるのがわかりました。
また、同企業による九州企業「休廃業・解散」動向調査(2023年)では、2023年における休廃業・解散は5138件で、前年比5.8%増加していることがわかります。あきらめ廃業が広がりの兆しを見せている状況です。
もともと日本では、親族や従業員などを後継者とする事業承継が広く行われてきました。しかし、近年では、親族内承継が難しくなったことで、廃業・倒産を余儀なくされる中小企業が増えている状況です。これを打破するために、国や地方自治体では、中小企業の事業承継支援を強化しています。
具体策としては、事業承継・引継ぎ支援センターの設置および後継者人材バンク事業の運営などが挙げられます。
九州企業の事業承継は、コロナ禍により同族承継が上昇したものの、経済規制の緩和などにより第三者を経営者にするケースが再び増加中です。
2. 九州地方近郊のM&A・事業承継の案件一覧
九州地方近郊のM&A・事業承継の案件をお探しの方のために、現在公開されている案件情報を一部紹介します。
【福岡・仙台地域×建築業】年間200棟以上の施工実績あり
大手ハウスビルダーから受注し、一戸建てや集合住宅を短納期かつ高品質で施工を行っています。人員に関しても外国人労働者が中心のため、需要のあるエリアに集中させることが可能です。
エリア | 九州・沖縄 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 2,500万円(株価1,500万円+役員借入金の返済約1,000万円)※応相談 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【九州 / HACCP認証あり】NB/PB商品製造の水産食品加工業
大手スーパーのNB/PB商品、九州の学校給食及び生協商品の製造を手掛けています。卸売業者から仕入れたものを自社にて加工/冷凍・冷蔵/梱包までを手掛けているのが特徴です。
エリア | 九州・沖縄 |
売上高 | 5億円〜10億円 |
譲渡希望額 | 5000万円〜1億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【世界遺産案件の実績あり】九州の構造設計業
世界遺産、重要文化財の案件に携わっている企業です。九州、四国、沖縄など幅広いエリアで受注実績があります。
エリア | 九州・沖縄 |
売上高 | 5000万円〜1億円 |
譲渡希望額 | なし |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継)、事業拡大のため |
【九州×老舗×財務良好】看板製造・工事業
九州全域を対象に看板製造を受注しており、民間企業~公共施設まで実績多数です。価格競争に極力巻き込まれないよう、提案品質や対応のスピード力で差別化を実施しています。
エリア | 九州・沖縄 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【九州地方】精神科病院の法人譲渡
創業から一定年数が経過しており、地域や行政からのネームバリューや厚い信頼があります。病床数は50床以上です。
エリア | 九州・沖縄 |
売上高 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡希望額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継)、事業存続に対する不安 |
【九州地方/家具製造業】無借金経営・オリジナルブランド保有
オリジナルブランドを有し、自社内にて図面作成から仕上げまでを行っています。純資産が積み上がっており、無借金経営で財務状態が健全です。
エリア | 九州・沖縄 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【九州地方】業歴数十年の補償コンサルティング事業
官公庁の入札案件を中心とした業歴数十年の中小企業です。測量士、補償業務管理士、一級建築士などの有資格者が多数在籍しています。
エリア | 九州・沖縄 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 1億3,000万円(応相談) |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
3. 九州地方近郊のM&A・事業承継の成功事例
本章では、弊社M&A総合研究所がサポートさせていただいた九州地方近郊のM&A・事業承継の成功事例をご紹介します。
大幸商事によるエトウへのM&Aを用いた事業承継
譲渡企業の株式会社大幸商事は創業約60年で、福岡県大牟田市に本社を構えています。福岡県を中心に、不動産売買・賃貸の仲介や管理、コンサルティングを手掛ける企業です。
譲受企業の株式会社エトウは創業約50年で、福岡県大川市に本社を置いています。住宅設計や家具製造を中心に、檜などの建築用木材や輸入木材の卸売も行っている企業です。
譲渡企業の経営者は、以前から55歳を迎えたら引退するつもりでいました。しかし、息子たちには事業を引き継ぐ意向がなく、当初から親族内での事業承継は考えていませんでした。そんなとき、弊社のM&Aアドバイザーから提案を受けて、縁を感じて譲渡を真剣に考えるようになったそうです。
当初は、不動産業界の大手企業に譲渡することを漠然と考えられていましたが、検討を進める中で、社員の雇用継続を最優先に考えられるようになりました。できるだけ現状を維持し、社員にとって安心できる環境を提供できる経営者がいる企業を選ぶことに重点を置きました。
また、これまで自社を支えてくれた顧客をしっかりと引き継いでもらうことも重視されました。
譲受企業には、不動産業界における新たなビジネスモデルを築いてくれることを期待しています。柔軟な発想と広い視野を持つ経営者のもとで、良い変化をもたらしてくれることを願われています。
リフォーム業による福祉関連事業へのM&Aを用いた事業承継
譲渡企業のリフォーム業Y社は、九州・中国地方を拠点に、屋根の修理やメンテナンスをはじめ、建築資材の卸売業を展開。豊富な専門知識を活かし、顧客ごとに最適な提案を提供しています。
譲受企業の福祉施設運営業S社は、関西エリアにて福祉事業を中心に、不動産やITなど多岐にわたる事業を展開し、利用者の幸福を最優先に考えた活動を行っています。
M&Aによる譲渡を検討した理由は、企業の成長と人材育成、さらには自社の成長を実現できると考えられたからです。譲渡企業は先代から引き継いでリフォーム事業を営んできましたが、業界の変化や課題、経営の難しさを日々感じていました。そんな中、新たな挑戦をしたいという思いが芽生え、私自身が限界を迎える前にM&Aを活用し、新しい道を切り開こうと決意されました。
譲受企業S社は異業種でありながら、多岐にわたる事業を展開している点に強い魅力を感じられました。コロナ禍で多くの企業が事業の見直しを迫られている今、1つの事業に依存するリスクは高まっています。
S社のように収益源を多角化している企業と一緒になることで、経営の安定性が向上し、さらに新たな挑戦の機会が増えると考えて譲渡を決められています。
医薬品卸業による医療・福祉業へのM&Aを用いた事業承継
譲渡企業の医薬品卸業A社は、熊本県熊本市を拠点とする企業です。売上は約10億円、社長の年齢は50代、譲渡理由は事業拡大でした。
譲受企業の医療・福祉業B社は、売上約300億円で、事業拡大を目的に譲受を決めている未上場企業です。
譲渡企業の経営者としては、会社の業績を考えると、まだ自力でやっていけるという思いもありましたが、外部環境の変化や従業員の将来を考慮し、最終的に会社の譲渡を決断されました。
決断に至るまでには悩まれることもありましたが、自身や従業員のキャリアを総合的に見つめ直し、譲受企業と共に歩む方が、より多くのメリットをもたらすと判断されています。
4. 九州地方のM&A・事業承継に役立つ公的支援
他の地域と同様に、九州地方でも公的な事業承継支援が積極的に実施されています。
- 後継者人材バンク
- 九州経済産業局
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構九州本部
- 事業承継・引継ぎ支援センター(九州地方各県)
①後継者人材バンク
後継者人材バンクは、事業承継・引継ぎ支援センターが行っている中小企業支援事業の1つです。既存企業を事業承継する形式での起業・創業希望者と、後継者不足に悩まされている中小企業経営者とのマッチングを行っています。
後継者人材バンクの目的
後継者人材バンクは、九州地方の中小企業が悩まされている後継者問題の解決を目的に実施されている施策です。
起業意欲がある若い人材の支援も行えるため、一石二鳥の施策だといえます。
後継者人材バンクのメリット
主なメリットは、以下のとおりです。
- 企業側:自社に適した後継者探しができる
- 後継者希望側:創業資金を節約でき、企業の既存経営資産を即座に活用できる
後継者不足で事業承継を行えない中小企業からすると、後継者人材バンクを利用すると自社に適した後継者を見つけられる可能性があり、事業承継問題を解決するうえで有効な施策だといえます。
いい換えると、後継者人材バンクを利用すれば、経営者の考え方・経営方針を理解し踏襲してくれる後継者と、マッチングできる可能性があります。
一方、後継者人材バンクを利用して後継者となる側からすると、ゼロの状態から起業するよりも創業資金を節約できたり、引き継いだ中小企業がもともと保有している経営資産を最初からすぐに活用できたりなど、新設企業では得られないメリットが期待できます。
②九州経済産業局
日本の中小企業を対象に施策を検討・決定し実行する公的機関として、経済産業省およびその外局である中小企業庁が挙げられます。経済産業省には、日本をブロック分けした地域ごとに、それぞれを統括する組織=支局があります。
そして、九州方面を管轄する経済産業省の支局が九州経済産業局です。九州経済産業局では、九州地方の中小企業に対する経営支援の一環として、円滑な事業承継支援も提供しています。
③独立行政法人中小企業基盤整備機構九州本部
中小企業を支援する公的機関には、独立行政法人中小企業基盤整備機構も挙げられます。中小企業基盤整備機構にも、全国をブロック分けした地域本部があり、九州地方を管轄する機関が中小企業基盤整備機構九州本部です。
九州本部では福岡県と鹿児島県に拠点を置き、中小企業に対して、事業承継円滑化支援をはじめさまざまな経営支援を行っています。
④事業承継・引継ぎ支援センター(九州地方各県)
事業承継・引継ぎ支援センター(元:事業引継ぎ支援センター)は、2013(平成25)年より設立が開始されました。中小企業経営者の事業承継を具体的に支援する機関として、中小企業庁から各都道府県に事業委託され設置されています。
同年に各地で一斉設置されたわけではなく、準備が整った自治体から順次、設置されてきました。事業承継・引継ぎ支援センターの設置パターンを見ると、県庁所在地の商工会議所または各都道府県の中小企業向け公益財団法人のいずれかに設置されるケースが多いです。
事業承継・引継ぎ支援センターでは、後継者人材バンク事業とともに、M&Aによる会社売却で事業承継を目指す方策に関するアドバイス・サポートや、M&A仲介会社の紹介なども行っています。
九州地方の事事業承継・引継ぎ支援センターの概要は、以下のとおりです。
福岡県事業承継・引継ぎ支援センター | |
設置場所 | 福岡商工会議所 |
連絡先 | 092-441-6922 |
URL | https://fukuoka-hikitsugi.go.jp/ |
佐賀県事業承継・引継ぎ支援センター | |
設置場所 | 佐賀商工会議所 |
連絡先 | 0952-27-7071 |
URL | https://www.saga-hikitsugi.go.jp/ |
長崎県事業承継・引継ぎ支援センター | |
設置場所 | 長崎商工会議所 |
連絡先 | 095-895-7080 |
URL | https://www.pref.nagasaki.jp/bunrui/shigoto-sangyo/chushokigyoshien-kinyu/jigyousyoukei/syoukei_center/ |
熊本県事業承継・引継ぎ支援センター | |
設置場所 | 熊本商工会議所 |
連絡先 | 096-311-5030 |
URL | https://kumamoto-hikitsugi.go.jp/ |
大分県事業承継・引継ぎ支援センター | |
設置場所 | 大分県中小企業会館(大分県商工会連合会) |
連絡先 | 097-585-5010 |
URL | https://www.oita-hikitsugi.go.jp/ |
宮崎県事業承継・引継ぎ支援センター | |
設置場所 | 宮崎商工会議所 |
連絡先 | 0985-72-5151 |
URL | https://miyazaki-hikitsugi.go.jp/ |
鹿児島県事業承継・引継ぎ支援センター | |
設置場所 | 鹿児島商工会議所 |
連絡先 | 099-225-9534 |
URL | https://kagoshima-hikitsugi.go.jp/ |
沖縄県事業承継・引継ぎ支援センター | |
設置場所 | 那覇商工会議所 |
連絡先 | 098-941-1690 |
URL | https://www.oki-hikitsugi.go.jp/ |
5. 九州地方のM&A・会社売却・事業承継案件を探す3つの手段
ここでは、九州地方のM&A・事業承継案件を探している方に向けて、九州地方のM&A・事業承継案件を探す手段を解説します。九州地方のM&A・事業承継案件を探す手段は、主に以下の3種類です。
- 地元の金融機関などに相談する
- M&Aマッチングサイトを活用する
- M&A仲介会社・専門家に相談する
①地元の金融機関などに相談する
九州地方のM&A・事業承継に関する案件を探している方は、地元の金融機関などに相談する方法もあります。
金融機関では、地域密着型の事業承継をサポートする体制を整備しています。
②M&Aマッチングサイトを活用する
M&Aマッチングサイトを活用すると、九州地方のM&A・事業承継案件を手軽に探し出すことが可能です。
TRANBI(トランビ)
M&AマッチングサイトTRANBIでは、国内最大級のM&A案件数を誇っています。数多くの地方金融機関と提携を結んでいるため、九州地方でも最適な案件を探し出すことが可能です。
③M&A仲介会社・専門家に相談する
九州地方のM&A・事業承継を探している場合、M&A仲介会社・専門家への相談がおすすめです。M&Aを専門に扱っているので案件も豊富に持っており、ノウハウや経験を生かしたサポートにも期待できます。
6. 九州地方でM&Aをする際に仲介会社を選ぶ5つのポイント
九州地方でのM&A・会社売却・事業承継のために仲介会社を選ぶ場合は、以下のポイントを意識することが大切です。
- 該当する分野の専門的知識・M&A実績を持っている
- 案件規模・地元M&A実績などがある
- M&Aに関する幅広い知識・経験を持っている
- 手数料・相談料・報酬体系がわかりやすい
- 担当スタッフの対応・相性が良い
①該当する分野の専門的知識・M&A実績を持っている
M&A仲介会社を選ぶ際は、その仲介会社が該当する分野の「専門的知識・M&A実績」を持っているかを調べることが大切です。
利用を検討しているM&A仲介会社が得意とする分野を事前に確認しておくことで、仲介会社選びの失敗を防ぐことが可能です。
②案件規模・地元M&A実績などがある
自社に適したM&A仲介会社を選ぶためにも、事前に案件規模や地元企業のM&Aなどの実績を確認することも大切です。
なぜなら、仲介会社ごとに得意とする案件規模に違いがあったり、対応エリアが異なっていたりするためです。
③M&Aに関する幅広い知識・経験を持っている
利用するM&A仲介会社を選ぶ際は、M&Aに関する幅広い知識・経験を持っているか確認することも大切です。
M&A手続きを安心・スムーズに進めていくには、会計・税務・法務などの専門的知識が必要とされます。
④手数料・相談料・報酬体系がわかりやすい
利用するM&A仲介会社は、手数料・相談料・報酬体系がわかりやすい機関を選ぶようにしましょう。
報酬体系がわかりにくい会社を選んでしまうと、M&A・事業承継の手続きが終わった後、想定以上の手数料を請求されてしまうおそれがあるためです。
⑤担当スタッフの対応・相性が良い
M&A仲介会社を選ぶ際は、担当スタッフの対応・相性も重視すべきポイントの1つです。
大切なM&A手続きを安心して進めるためにも、担当スタッフの対応・スタッフとの相性も確認しましょう。
7. 九州地方のM&A・会社売却・事業承継まとめ
本記事では、九州地方のM&A・会社売却・事業承継の案件一覧やおすすめの仲介会社などを紹介しました。事業承継・引継ぎ支援センターに相談する方法もあるものの、管理されている案件数に注意しましょう。
近年、九州地方をサポート対象地域とするM&A仲介会社が増加しているため、自社に合った相談先を選ぶことが重要です。仲介会社の知識や経験、スタッフとの相性などを踏まえながら、相談先を選びましょう。
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