2024年08月27日更新
京都府のM&A・事業承継・会社売却の動向は?事例や案件一覧も紹介!
本記事では、京都府におけるM&A・会社売却・事業承継の動向や事例、案件一覧から案件を探す最適な方法まで詳しく解説します。また、M&A・会社売却・事業承継を行うときに仲介会社を選ぶ5つのポイントも紹介します。M&Aを検討中の方は必見です。
目次
1. 京都府のM&A・会社売却・事業承継の動向
帝国データバンクによると、2023年における京都府企業の休廃業・解散件数は1,068件、前年比で2割増加しました。なお、2023年の京都府企業の倒産件数は、前年比30.7%増の302件です。
また、2023年における京都府企業の後継者不在率は44.2%を記録しています。事業承継がうまくいっていなかったり、将来的な事業の成長が見込めなかったりして、自ら事業をたたむアクティブ型の休廃業が目立っています。
休廃業・解散は、京都府も含めて地方部ほど地域経済へのダメージが大きいため、国や地方自治体が休廃業・解散に歯止めをかけるための積極的な働きかけが必要だといえます。
参考:帝国データバンク「京都府企業の「休廃業・解散」動向調査(2023年)」
帝国データバンク「近畿企業の「後継者不在率」調査(2023年)」
京都府のM&A件数の推移
京都府におけるM&A件数は、2015年以降、安定した増加傾向にあります。特に、後継者不在や事業継続の難しさを背景に、多くの中小企業がM&Aを経営戦略の一環として積極的に取り入れるようになっています。
現状最新のデータである2022年には、京都府でのM&A件数が135件に達しました。
その内訳は、地域内同士でのM&Aが18件、地域内から地域外へのM&Aが63件、そして地域外から地域内へのM&Aが54件となっています。
これにより、京都府内でのM&Aは地域内外の企業間での取引が活発化していることが伺えます。
さらに、近年では京都府内の企業が全国的にも注目を集め、外部企業からの買収案件も増加しています。
こうした傾向は、京都府の伝統産業や高度な技術力を持つ企業が多く、地域経済の再編や事業の持続可能性を確保するための重要な手段として、M&Aが広く利用されていることを示しています。
このような背景から、京都府におけるM&Aの件数は今後も増加することが予測されており、地域全体の経済においてもその重要性がさらに高まっていくと考えられます。
京都府の産業の特徴
京都府は観光業が強いイメージがありますが、実は製造業が主な産業になっています。
京都のブランド力を活かし、老舗の会社が多くなっています。
観光で訪れる観光客に満足してもらえるサービスを提供するため、グローバルかつ高品質のサービスを提供する会社も多くあるのが特徴です。
京都府において、M&A・会社売却・事業承継は、一般的な経営戦略となっている状況です。大企業や中小企業など事業規模を問わず、M&A・会社売却・事業承継の案件数も年々上昇傾向にあります。
一方、M&Aは地域ごとに特色があり、地域の事情に左右されます。そこで、特定の地域でM&A・会社売却・事業承継を実施するのであれば、地域の事情も考慮しておくと良いです。
2. 京都府のM&A・会社売却・事業承継の事例
京都府のM&A・会社売却・事業承継の代表的な事例をご紹介します。
ケイアイスター不動産によるエルハウジングのM&A
ケイアイスター不動産は、分譲戸建て住宅の販売を手がけるエルハウジングを子会社化しました。2023年4月7日にエルハウジングの株式の51.6%にあたる320株を取得しましたが、取得金額は公表されていません。この子会社化により、近畿地方での広範な顧客ネットワークを活用し、関西エリアでの販売シェア拡大を目指します。
エルハウジングは京都府を中心に、大阪府や滋賀県で新築分譲戸建ての販売を行う不動産会社です。また、中古住宅の販売や仲介、リフォーム事業も展開しており、2022年12月期の売上高は127億円、営業利益は17億円でした。
ケイアイスター不動産は、2021年6月に兵庫県、2022年3月に大阪府に出店するなど、関西エリアでの販売網を強化してきました。現在、売上の大部分は首都圏に集中していますが、今後はM&A(合併・買収)戦略を通じて、中部や九州など地方都市での市場開拓にも注力していく方針です。
壱番屋による竹井のM&A
壱番屋は、2023年3月29日に京都府城陽市のつけ麺店「麺屋たけ井」を運営する竹井の全株式を28日付で取得し、子会社化したと発表しました。今後、海外展開も視野に入れているとのことです。壱番屋は、主力の「カレーハウスCoCo壱番屋」に加え、新たな飲食店をM&A(合併・買収)を通じて増やしていく方針を示しています。
麺屋たけ井は関西に8店舗を展開しており、豚骨魚介だしのつけ麺が主力メニューです。壱番屋は、まず自社工場で麺屋たけ井の食材生産を始め、2024年度以降に出店ペースを加速させる予定です。また、海外では日本のラーメンや麺文化の人気が高まっており、これを背景に海外展開も計画しています。
ベネッセHDによる京都洛西予備校のM&A
ベネッセホールディングスは、京都洛西予備校の全株式を取得する契約を締結しました。この株式は、京都洛西予備校の代表取締役である土肥賢司氏から取得され、京都洛西予備校はベネッセホールディングスの連結子会社となる予定です。
ベネッセホールディングスは、教育、介護、保育などの事業を展開している企業グループです。その連結子会社である株式会社アップ(兵庫県西宮市)は、「研伸館」「開進館」「個別館」「進学館」「サイエンスラボ」などのブランド名で、小学生から高校生までを対象とした予備校や学習塾を関西で運営しています。
京都洛西予備校は、京都市内を中心に小中高校生向けの学習塾「洛西進学教室」を運営しており、京都の公立高校や公立中高一貫校の受験で実績を持っています。
今回のM&Aにより、ベネッセホールディングスは、アップと京都洛西予備校の事業連携と経営資源の共有を推進し、京都府内のグループ塾の拠点を増やし、京阪神エリアでの塾・教室事業を強化することを目指します。
ベストワンドットコムによるえびす旅館のM&A
2018年12月、ベストワンドットコム(東京都新宿区)は、えびす旅館(京都市)の株式すべてを取得し完全子会社化すると発表しました。
本件M&Aにより、買収側では、ホテル事業への参入を通じて、クルーズ旅行者への宿泊提供事業シナジーの獲得や、マーケット規模の大きいインバウンド旅行者向けのホテル・旅館・ホステル事業への進出を図っています。
明光ネットワークジャパンによるケイ・エム・ジーコーポレーションのM&A
2018年12月、明光ネットワークジャパン(東京都新宿区)は、ケイ・エム・ジーコーポレーション(京都市)の株式すべてを取得し完全子会社化すると発表しました。本件M&Aにより、買収側では、明光義塾チェーン全体の競争力強化を図っています。
武蔵精密工業による浅田可鍛鋳鉄所のM&A
2018年10月、武蔵精密工業(愛知県豊橋市)は、浅田可鍛鋳鉄所(京都府福知山市)の株式すべてを取得し完全子会社化すると発表しました。本件M&Aにより、買収側では、生産体制の強化・商品開発力のさらなる向上、グローバルでの供給体制の拡充など事業基盤の強化を図っています。
3. 京都府近郊のM&A案件一覧
ここでは、実際に公開されている京都府の案件一覧からピックアップし紹介します。
【近畿エリア】文化財の修復や表装工事などを手掛ける企業
創業200年以上続く事業であり、老舗企業として高い信頼を得ています。歴史とともに培った高い技術と専門知識を持つ従業員が在籍している企業です。
エリア | 近畿 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 1億2,000万円(時価純資産程度) |
譲渡理由 | 経営基盤の安定化/事業継続のため |
【業歴30年以上/関西地方】内装工事業
飲食店(居酒屋、レストラン等)、ブティック、オフィス・住居等での内装施工をメインに手掛け、過去には某飲料メーカーからの家具工事依頼の対応や某百貨店への新規オープンの為の施工実績を持っています。
エリア | 近畿 |
売上高 | 5000万円〜1億円 |
譲渡希望額 | 1000万円〜5000万円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【関西地方/業歴50年以上】保守点検を主体とする給排水等の設備工事業
関西一円にて民間向けに空調や給排水設備を主体とした施工・メンテナンス事業を展開する企業です。各マンション・施設運営会社や官公庁を顧客としています。
エリア | 近畿 |
売上高 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡希望額 | 3,000万円(応相談) |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【関西エリア/優秀なデザイナー在籍】自社ブランドを保有する総合アパレル企業
関西に本社を構える総合アパレル企業です。自社での企画から提携工場での製造、そして自社の実店舗を構えております。自社ブランドを保有しており、幅広い層から高い人気を誇っています。
エリア | 近畿 |
売上高 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡希望額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡理由 | 更なる事業拡大 |
【高評価・好立地】関西フレンチ店舗運営
関西主要駅徒歩5分圏内においてフレンチ店を運営しています。関西主要駅より徒歩圏内の好立地で、完全予約制です。食べログ評価も高評価を維持しています。
エリア | 近畿 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡理由 | 戦略の見直し |
4. 京都府のM&A・会社売却・事業承継案件を探す3つの手段
京都府のM&A・会社売却・事業承継案件を探す手段には、以下3つの方法があります。
- 公的機関・地元の金融機関などに相談する
- M&Aマッチングサイトなどを活用する
- M&A仲介会社・専門家に相談する
①公的機関・地元の金融機関などに相談する
京都銀行などの金融機関や、京都府事業承継・引継ぎ支援センターや京都商工会議所などの公的機関を活用した相談方法もあります。いずれも、地方企業を知り尽くした強みを生かしてサービスを提供しています。
京都商工会議所
京都商工会議所では、最適な士業専門家を見つけるための検索サイト「がんばる経営応援専門家ネットワーク」を提供しています。行政書士・公認会計士・税理士などを通じて、自社で不足している知識・経験を迅速かつ効率的に補ってもらえます。
京都府事業承継・引継ぎ支援センター
京都府事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業の後継者対策などの事業承継に関する相談窓口です。京都府の場合は京都商工会議所および京都産業21が引継ぎ事業を受託しています。事業承継に関する豊富な経験を持つ専門家が常駐し運営しているサービスです。
京都府よろず支援拠点
京都府よろず支援拠点は、小規模事業者・中小企業向けに、国が設置している無料の経営相談窓口です。専門分野を持つコーディネーターに対して、経営上のあらゆる相談を行えます。
京都府産業支援センターおよび京都経済センターに設置されています。
京都信用保証協会
京都信用保証協会は、京都の中小企業者が金融機関からスムーズに融資を受けられるよう、公的な保証人となって資金の借入れを容易にする目的のもと、「信用保証協会法」にもとづいて設立された公的機関です。用途に応じて、さまざまな保証制度を提供しています。
②M&Aマッチングサイトなどを活用する
M&Aマッチングサイトなどを活用した方法も有益です。昨今、さまざまなマッチングサイトがありますが、その中でもおすすめのマッチングサイトは以下のとおりです。
- M&A総合研究所
- Batonz(バトンズ)
- トランビ (Tranbi)
M&A総合研究所
M&A総合研究所が運営するM&Aプラットフォームでは、AIシステムを採用しており、精度の高いマッチングを実現しております。
売り手の利用料は完全無料です。仲介サポートをご希望の場合は、別途M&Aアドバイザーによる支援サービスをご利用いただくことも可能です。
Batonz(バトンズ)
Batonzは、買収側と売却側の情報検索に特化しており、おすすめの売り情報などメール通知を通じて、高い成約率を生んでいるサイトです。成約過程では、交渉サポートとして「承継アドバイザー」による専任サポートも活用できるため、安心して取引を行えます。
トランビ(Tranbi)
トランビは、買い手と売り手の双方に魅力的なサービスを提供しています。売却側は、無料で利用できます。買収側は、プレミアムプランに加入することで、相手先とのM&A交渉が可能です。
③M&A仲介会社・専門家に相談する
事業承継やM&A、会社売却を検討している企業にとって、M&A仲介会社は非常に重要な相談機関です。
M&A仲介会社は、M&Aに関する豊富な知識と経験を持っており、複雑な取引を円滑に進めるためのサポートを行います。市場動向や企業価値の評価、契約交渉など、専門的なアドバイスが受けられます。
5. M&A仲介会社を選ぶ5つのポイント
京都府でM&Aをする際に仲介業者を選ぶポイントを5つご紹介します。
①自社の業界の専門的知識・M&A実績がある
京都府のM&A仲介事業者は、さまざまな得意分野を生かした活動を行っています。担当する業界に応じて求められている専門的知識・M&A実績は変動するため、京都府でのM&Aを依頼するのであれば、依頼する分野に関する実績を重視しましょう。
②同様の案件規模・地元のM&A案件の実績がある
M&A仲介会社によって、取り扱う案件規模は異なる場合があります。取り扱う案件規模によって、各社が有する情報やアドバイザーに必要とされる営業スタイル・能力は異なるため、どれほどの案件規模を扱っているのか各社のWebサイトで確認しましょう。
③M&Aに関する幅広い知識・経験を持っている
M&Aを成約させるためには、会計・財務・税務・法律など幅広い知識・経験が要求されます。専門分野に関する知識や経験のない仲介会社に依頼してしまうと、たとえM&Aが成立したとしても、思わぬリスクを抱えてしまいかねません。
自社の業界に関する知識や京都での実績に限らず、M&A仲介会社は幅広い知識・経験を重視して選びましょう。
④報酬体系がわかりやすい
京都府でM&A・会社売却・事業承継の課題を抱えている企業は、中小企業が中心です。大きな費用を必要とする中小企業が安心してM&A仲介会社に依頼したい場合、報酬体系がシンプルな仲介会社を選択しましょう。
⑤担当スタッフの対応・相性が良い
M&A仲介会社のスタッフ対応・相性も大切です。M&A・会社売却・事業承継は、悠長な時間を確保するのが困難であり、迅速な段階を踏む必要があります。M&A仲介会社が自分の意志をどれほど「尊重」してくれるのか、その余裕が大きなポイントだといえます。
M&A仲介会社については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
6. 京都府のM&A・会社売却・事業承継のまとめ
本記事では、京都府でM&A・会社売却・事業承継を行う際の案件一覧、M&A・会社売却・事業承継を成功させるためのポイントを紹介しました。
京都府のM&A・事業承継・会社売却を相談する際は、サポートを希望する内容によって依頼先を選ぶことが大切です。フルサポートを求めるならば、M&A仲介会社に依頼すると良いでしょう。
7. 京都府の成約事例一覧
8. 京都府のM&A案件一覧
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