倉庫業界のM&A動向!会社売却のメリットや成功のポイント・事例13選を徹底解説【2024年最新】

会計提携第二部 部長
向井 崇

銀行系M&A仲介・アドバイザリー会社にて、上場企業から中小企業まで業種問わず20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、不動産業、建設・設備工事業、運送業を始め、幅広い業種のM&A・事業承継に対応。

近年、関連業種であるEC事業の活況動向の影響で、倉庫業界の市場規模は拡大傾向にあり、それに比例するようにM&Aも活発です。そこで、住友倉庫、三井倉庫の合併事例などの実績も交え、デメリットや費用相場など倉庫業界の最新M&A動向を探ります。

目次

  1. 倉庫業界の市場規模と業界の現状
  2. 倉庫業界の将来性
  3. 倉庫業界のM&A動向
  4. 倉庫業界のM&Aのメリット
  5. 倉庫業界のM&Aのデメリット
  6. 倉庫業界のM&A事例
  7. 倉庫業界のM&Aの譲渡価格
  8. 倉庫業界のM&Aの注意点
  9. 倉庫業界のM&A・売却・事業譲渡まとめ
  10. 倉庫業界の成約事例一覧
  11. 倉庫業界のM&A案件一覧
  • 倉庫会社のM&A・事業承継

1. 倉庫業界の市場規模と業界の現状

倉庫業界の令和4年度における市場規模は全営業収益ベースで102億5,239万6千円でした。

このうち、普通倉庫業22億62万9千円(21.5%)、貨物利用運送事業30億5,569万8千円(29.8%)、港湾運送事業15億4,595万5千円(15.1%)、不動産賃貸業8億3,579万2千円(8.2%)、貨物自動車運送事業5億5,094万1千円(5.4%)となっています。

倉庫業は、初期投資に莫大(ばくだい)な費用はかかりますが、サービスにかかる原価や費用が比較的少ないため、利益を上げやすいビジネスモデルです。

したがって、新規参入する企業が増加しており、利益を獲得するために、さまざまな差別化戦略が取られているでしょう。

参照:国土交通省「令和4年度 倉庫事業経営指標(概況)」

倉庫業界の営業収益の構成割合

国土交通省 「令和3年度倉庫事業経営状況報告について」

出典:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001621152.pdf

国土交通省が発表した「令和4年度 倉庫事業経営指標(概況)」の事業別営業収益の構成(1社平均)をみると、令和4年度の全営業収益102億5,239万6千円のうち、営業収益に占める割合はそれぞれ以下の通りとなっています。
 

事業区分 営業収益に占める割合(%)
普通倉庫業 21.5%
その他倉庫業 2.0%
港湾運送事業 15.1%
貨物自動車運送事業 5.4%
貨物利用運送事業 29.8%
不動産賃貸業 8.2%
その他事業(内航海運業、不動産販売業、通関業など) 18.1%

会社全体における事業別営業収益構成は、倉庫業以外の事業の割合が大きく、兼業であるのが一般的です。倉庫業以外で大きな割合を占めているのが貨物利用運送となっています。

貨物利用運送は拡大傾向にあり、それに対して貨物自動車運送の割合は近年大幅に低下しています。

倉庫の大型化・高機能化、賃貸倉庫の増加

総合的な物流事業のサービス向上と効率化を目指すため、昨今の流れとして好立地の大型倉庫を用いて倉庫業務や物流全体の最適化が行われています。

国土交通省の「物流不動産の隆盛の背景や理由」によると、「産業構造の変化」「物流施設に求められる役割の変化」「コアビジネスへの選択と集中」といった要因から、物流施設を集約し、大型化かつ高機能な物流施設の需要が高まったとしています。

特に大きな影響を及ぼしているのが、ECを中心とした通販市場の拡大であるといえるでしょう。経済産業省の「令和2年度 産業経済研究委託事業」の調査ではBtoCのEC市場規模は、2020年に約12兆円(前年比17.79%増)まで増加しています。

BtoCの物流に対応するため、最新の物流施設は、いわばハイテクセンターと化しています。そうした大型化・高機能化の物流施設を不動産業者が収益物件として開発し、倉庫業者などが賃貸で利用する形が一般化しつつあるのが現状です。

多くの企業は、手間とコストがかかる物流施設の資産を持つリスクを避け、賃貸型物流施設へアウトソーシングしています。

参照:国土交通省「物流不動産の隆盛の背景や理由
   経済産業省「令和2年度 産業経済研究委託事業

DXによる倉庫業務の効率化、倉庫シェアリングの進行

倉庫内の物流テック市場に関する調査を実施(2022年)

出典:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3073

近年、倉庫業界ではロボット・ドローン・AIなどを活用し、業務の自動化やIoT化を図るケースが増えてきました。

また、物流施設の遊休スペースを有効活用できる倉庫シェアリングも浸透しつつあり、倉庫業務の効率化と物流の最適化できる手段であり、今後も大きな役割を果たすと考えられます。

矢野研究所の「倉庫内の物流テック市場に関する調査を実施(2022年)」によると、国内の倉庫内物流における2021年度バース予約/受付システム導入拠点数ベースの市場規模は、前年度比169%の1,100拠点でした。

2020年度はコロナ禍の影響で停滞しましたが、2021年度及び2022年度はトラックの待機時間・待機渋滞の緩和などを目的に複数企業が一拠点にバース予約システムを導入したため増加傾向となり、2024年度にかけて市場規模は今後も伸びていくと予測されています。

また、国土交通省「総合物流施策大綱(2021 年度~2025 年度)」の発表によると、政府はドローン物流の実用化に向けた機体導入などに対する支援をスタートしており、自動配送ロボットも実用化に向けて遠隔監視・操作の公道走行実証が2020年に実施されるなど、さまざまな取り組みが進められています。

国土交通省「総合物流施策大綱(2021 年度~2025 年度)(令和3年)

2. 倉庫業界の将来性

現在、国内ではAmazonや楽天に代表されるEC事業が市場規模を拡大しており、それと密接に関連する倉庫業界も需要が伸びています。この状況は当面継続すると見られているため、上述のとおり新規参入が後を絶たない状況です。

拡大する市場規模動向の中、自社の事業規模や領域を拡大しようと考える倉庫業界各社も多く存在します。そのような倉庫業界内の動向と新規参入者双方が実施する戦略として用いられているのが、合併なども含めたM&Aです。

単に規模拡大だけでなく、物流業界の潮流である3PL(サード・パーティー・ロジスティクス=物流業務の包括的受託)体制の確立や、ITシステムの導入、EC事業者とのせめぎ合いが予想されます。今後は大規模な業界再編の可能性があります。

倉庫業界がとるべき2024年問題の対策

2024年問題はさまざまな業界に影響を与えるといわれており、事業者にとってはどのように対策すべきかが重要となっています。最後に倉庫業界がとるべき2024年問題の対策についてみていきましょう。

待ち時間の削減の対策

出典「国土交通省 トラック輸送状況の実態調査結果」

出典「国土交通省 トラック輸送状況の実態調査結果」

出典:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001409523.pdf

ドライバーが荷物を積み下ろすために待機する時間は「荷待ち時間」と呼ばれ、ドライバーが時間短縮を意識しても荷待ち時間がネックとなっているのが現状です。

国土交通省が公表している「トラック輸送状況の実態調査結果(概要版)」によれば、2021年1~3月を調査対象とする1運行あたりの荷待ち時間は平均1時間34分であり、1回あたりの平均時間は1時間13分となっています。

また、同調査では1回あたりの平均待ち時間が2時間超と回答した割合も17.7%ありますが、荷待ち時間が発生しているという認識は現場と元請け、荷主では大きな差があるのも事実です。

荷待ち時間が発生していることについての認識は実運送が73.4%、元請が54.8%であるのに対し、荷主は約20%と非常に低くなっています。

荷待ち時間の削減には現場だけでなく荷主側の理解・協力も不可欠であり、そのほかにトラック予約システムを導入してバースへの入場予約を可能にしたり、納品スケジュールの見直しを行ったりする必要があります。​ 

参考:国土交通省「2024年問題に関する意識調査結果(令和4年実施)」

荷役作業の見直し

物流の多頻度小口輸送や人手不足への対策として、国土交通省は2016年10月に​​「物流総合効率化法」​​を施行しました。物流総合効率化法は、流通業務の効率化に取り組む事業者に対する支援措置や計画認定などを定めたものです。​ 

そのなかでは、自動車による貨物輸送から環境負荷が小さい船や鉄道へ切り替える「モーダルシフト」を推進しています。モーダルシフトへの切り替えが進めばCO2削減だけでなく労働力の削減も期待できますが、天候や自然災害の影響を受けやすく確実性が低いという理由からなかなか進んでいないのが現状です。

しかし、2024年問題で大きな課題となっている人材不足を大幅改善も見込めるため、徐々に取り組む事業者も増えてきています。

運賃や配送方法の見直し​

運賃が適正であるかを見直したり、再配達などドライバーの負担を減らすために配送方法を再検討したりすることも必要です。2024年問題については理解していても、実際には運賃の値上げを快諾する荷主・元請け事業者ばかりではないでしょう。

国土交通省「2024年問題に関する意識調査結果(令和4年実施)」によれば、​​「適正な運賃を収受できている」と回答した運送事業者は全体の20%​​と非常に低く、荷主・元請け・現場での適正取引に対する意識が大きく剥離している結果となりました。

国土交通省は2020年4月に​​標準的な運賃の告示をするなど、運送事業者が適正な運賃を収受できるよう理解を求めています。厚生労働省も「​トラック輸送の標準的な運賃​」において、車種別・距離別の標準運賃を明記しているので、荷主・元請け・現場いずれの立場であってもよく理解しておくことが重要です。

参考:国土交通省「2024年問題に関する意識調査結果(令和4年実施)」

モーダルシフトの推進

物流の多頻度小口輸送や人手不足への対策として、国土交通省は2016年10月に​​「物流総合効率化法」​​を施行しました。物流総合効率化法は、流通業務の効率化に取り組む事業者に対する支援措置や計画認定などを定めたものです。​ 

そのなかでは、自動車による貨物輸送から環境負荷が小さい船や鉄道へ切り替える「モーダルシフト」を推進しています。モーダルシフトへの切り替えが進めばCO2削減だけでなく労働力の削減も期待できますが、天候や自然災害の影響を受けやすく確実性が低いという理由からなかなか進んでいないのが現状です。

しかし、2024年問題で大きな課題となっている人材不足を大幅改善も見込めるため、徐々に取り組む事業者も増えてきています。

倉庫内作業の自動化

業界では2024年問題によって倉庫業の売上・利益が減少することが懸念されており、対策を講じる事業者が増えてきました。対策のひとつに​​倉庫内作業の自動化による生産性の向上があります。

倉庫内作業では、特に出荷や仕分けの負担が大きくなりやすいです。しかし、これらを自動化すれば生産性向上だけでなく、人的ミスが減ったり​ドライバーの荷待ち時間を短縮できたりなどのメリットもあります。

3. 倉庫業界のM&A動向

以下では、倉庫業界のM&A動向から見られる以下の3つの特徴を確認します。

大手物流会社・大手倉庫会社への事業譲渡

1つ目の特徴は、大手物流会社・大手倉庫会社への事業譲渡が行われていることです。倉庫会社に保管を依頼する物流会社では、物流量の減少から業界再編が進んでおり、コスト削減を目的とした倉庫会社の買収ケースが見受けられます。

倉庫業界でも業界再編は進んでおり、大手倉庫会社が中小規模の倉庫会社を買収や合併を実施し、事業規模を拡大させるケースもあるのが現状です。

中小企業M&A実績数の増加

2つ目の特徴は、中小企業が対象となるM&A実績数の増加です。倉庫業界の競争が激しいことから、中小規模の倉庫会社の売り案件は増加しています。

その一方で、買い手側としても事業規模拡大・コスト削減などを目的としたニーズがあるため、小規模倉庫会社の買収や合併が進んでいます

海外への進出

3つ目の特徴は、海外進出が増えていることです。国内市場の過当競争を見越して、海外に進出して売上を増加させようとする倉庫会社が出てきています

特に、東南アジアやインドは物価が安いため、倉庫の管理費や人件費を安価に抑えられるメリットがあり、M&Aにより海外に進出するケースの格好のターゲットです。

【関連】倉庫会社の事業譲渡のメリットとは?M&A動向や注意点を解説!
  • 倉庫会社のM&A・事業承継

4. 倉庫業界のM&Aのメリット

倉庫業界で合併なども含めたM&Aを行うメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。この項では、M&Aによって得られるメリットを、売り手側・買い手側に分けて見てみましょう

売り手のメリット

倉庫会社の売却により売却側が得られるメリットは、主に以下の3つが挙げられます。

資金回収が可能

1つ目のメリットは、資金回収が可能であることです。倉庫業を行うには倉庫が必要であり、倉庫を所有するためには多額の費用がかかります。

業務用の倉庫は容量が大きいため、事業用以外の需要が多いとは考えづらいのも事実です。つまり、倉庫自体を売却したとしても十分な資金が回収できない可能性があります。

しかし、M&Aにより倉庫会社を売却すれば、倉庫の価格だけでなく、将来得られる収入を加味した金額を獲得できるので、投資した分の資金回収ができる確率も高くなるでしょう

後継者問題の解消

2つ目のメリットは、後継者問題を解消できることです。近年、中小企業では後継者がいないために事業を引き継げない、いわゆる後継者問題を抱えています。

倉庫業界も例外ではなく、将来が不安定などの理由で後継者がなかなか見つからないケースが増加中です。

後継者が見つからなければ廃業せざるを得なくなりますが、M&Aによる事業承継を行えば自社の存続が可能であるため、後継者問題の解消を目的としたM&Aを行う倉庫会社も増加しています。

従業員の雇用維持・負債の解消

3つ目のメリットは従業員の雇用維持と負債の解消です。まず、M&Aによる会社売却で、従業員の雇用は維持されます。売却先のほとんどは現企業よりも事業規模が大きいため、従業員の待遇がよくなる可能性も大きいです。

会社の現在の負債は、全てを承継するスキームのM&A手法を採用した場合、負債も全て売却先に引き継がれ、経営者の個人保証や担保などは全て解消されます

買い手のメリット

次は、倉庫会社のM&Aを行うことにより、買い手側が得られるメリットを2つ紹介します。

事業規模の拡大

1つ目のメリットは、事業規模の拡大が図れることです。事業規模の拡大ができれば、コスト削減・新規販路の獲得・新規顧客の獲得など、さまざまなシナジー効果が得られます

倉庫の数も増えることになるので、大口の取引先を獲得できる可能性も高まります。

人材の確保

2つ目のメリットは、人材を確保できることです。近年、倉庫業界では慢性的に働き手が不足しています。

しかし、M&Aによる包括承継であれば従業員も引き継ぐため、必要かつ優秀な人材を確保することが可能です。

【関連】M&Aとは?M&Aの意味や流れ・メリット・手法などわかりやすく解説!

5. 倉庫業界のM&Aのデメリット

倉庫業界での合併なども含めたM&Aにおいて、メリットだけでなくデメリットも存在するため、事前に理解しておくことが大切です。ここでは、売り手側・買い手側それぞれのデメリットを見ていきます。

売り手のデメリット

倉庫会社のM&Aの際に、売り手のデメリットとして考えられるのは以下の2点です。

売却先を探す期間が長くなる可能性

1つ目のデメリットは、売却先を探す期間が長くなる可能性があることです。倉庫会社の規模や倉庫を保有している数が多いほど買収する会社の数が減少するため、M&Aにかかる期間は長くなる可能性があります。

M&A仲介会社によっては月額報酬が発生するところもありますが、その場合は期間が長くなると月額報酬もその分、かさんでしまうため注意しましょう。

思ったほど売却益が得られない可能性

2つ目のデメリットは、売却益が思ったほど得られない可能性があることです。売却先に自社を評価してもらえなければ取引金額が小さくなるため、売却益があまり獲得できない可能性があります。

少しでも高値で売却するためには、M&A仲介会社など専門家のサポートを受けながら進め、自社の強みをしっかりアピールするのが大切です。

買い手のデメリット

倉庫会社の買収によるデメリットは、主に以下の2つが挙げられます。

従業員の離職、売上の減少

1つ目のデメリットは、従業員の離職、売上減少の可能性があることです。M&Aは会社の将来だけでなく、従業員や取引先などの利害関係者にも大きな影響を及ぼします

M&A後の社風などに不満を持った従業員が離職する可能性や、M&A後に取引が停止されるケースもあるので、リスクを最小限に抑えるためには、M&A後の対策を講じておくことが大切です。

包括承継によるリスク

2つ目のデメリットは、包括承継によるリスクがあることです。M&Aスキームによっては、負債など会社の全てを引き継ぐ包括承継を原則とするものもあります。

包括承継は従業員や資産などが引き継げるメリットがあるものの、簿外債務や対象企業で起こっているトラブルの責任も引き継がなくてはなりません。

デメリットが大き過ぎると買収後に経営難に陥る可能性もあるので、M&Aの際はデューデリジェンス(企業監査)を徹底的に行うことが必須です。

【関連】M&Aのメリット・デメリットとは?企業買収の効果やリスクを買い手・売り手ごとにわかりやすく解説!

6. 倉庫業界のM&A事例

この項では、具体的な倉庫業界関連でのM&A事例を紹介します。

NIPPON EXPRESSホールディングスによるグルーヴノーツの株式取得

NIPPON EXPRESSホールディングスは、NXグローバルイノベーション投資事業の一環として、AIと量子技術を強みとするスタートアップ企業であるグルーヴノーツの株式を取得し、資本業務提携契約を締結しました。グルーヴノーツは、AIや量子コンピュータを活用したクラウドプラットフォーム「MAGELLAN BLOCKS」を提供しており、企業のデータ処理・分析を支援しています。

物流業界では人手不足や燃油費の高騰、顧客ニーズの多様化などの課題があり、NXグループはDXの推進とスタートアップ企業との協力に取り組んできました。今回の提携により、NXグループは蓄積されたデータを活用し、物流現場の改善とDX化を進めるとともに、効率的で効果的なサービスを提供することを目指しています。

NIPPON EXPRESSホールディングス、AIと量子技術の活用に強みをもつグルーヴノーツの株式取得

安田倉庫によるHIROMIカンパニーの完全子会社化

安田倉庫は、オリエント・サービスをグループ化するため、その親会社であるHIROMIカンパニーの全株式を取得し、子会社化することを決定しました。安田倉庫は、倉庫業や運送事業、通関業、不動産業などを展開しており、今回の株式取得により、中京エリアに初めての倉庫拠点を持つことになります。

オリエント・サービスの中京エリアでのネットワークを活用し、関東と関西を繋ぐ中継地点として機能させ、グループ全体の発展を目指します。

株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

スクロールによるサンワネッツの子会社化

2023年10月スクロールによるサンワネッツの子会社化に向けた基本合意書を締結したと発表しました。

スクロールは創業以来、安心と信頼に基づいた商品・サービスを提供する通信販売企業です。ダイレクトマーケティング(通信販売)を基軸とした5つの事業を展開する複合通販企業に成長しました。

サンワネッツは1970年に設立され、運送業や倉庫業など多岐にわたる物流サポートを提供しています。関東・静岡・中京を結ぶ強固な事業基盤を築いており、時代のニーズに対応する「物流提案カンパニー」を目指しています。

今回のM&Aにより、スクロールのソリューション事業における事業領域の拡大を目指していくとしています。

参考:サンワネッツの株式取得(子会社化)

トナミホールディングスによる山一運輸倉庫の株式取得

2023年10月、トナミホールディングスは、山一運輸倉庫の全ての株式を取得し、連結子会社化しました。

トナミホールディングスは、物流事業を行う純粋持株会社です。対象会社の山一運輸倉庫は、静岡県富士市を拠点とし、トラック輸送および倉庫事業を展開しています。また子会社として自動車整備事業も行っています。

今回のM&Aにより、静岡県における新たなグループの拠点として総合的なロジスティクス提案力を強化し、業容拡大を目指します。

参考:「山一運輸倉庫株式会社」の株式取得

南日本運輸倉庫による東成流通サービスの子会社化

2023年8月、南日本運輸倉庫は東成流通サービスの全ての株式を取得し、子会社化しました。

南日本運輸倉庫は、チルド食品やフローズン食品の輸送を展開しています。対象会社である東成流通サービスは、静岡県に本社を置く食品専門配送業者です。

今回のM&Aにより輸送エリアを拡充させ、業務効率化やサービス向上を目指します。

参考:株式会社東成流通サービスの株式取得(子会社化)

安田倉庫によるOSOの子会社化

2023年2月、安田倉庫によるOSOの全株式を取得し子会社化すると発表しました。

安田倉庫グループは1919年に創立され、首都圏・関西圏を中心に拠点を展開し、お客様の物流を効率的にサポートしています。倉庫・物流サービスに留まらず、精密機器のカスタマイズや事務プロセスの効率化支援など、お客様の課題解決に向けた幅広いサービスを提供しています。また、不動産事業では東京・横浜地区を中心にオフィスビルやマンションを展開し、都市環境との調和を考慮しながら再開発も行っています。

OSOは、京都府八幡市を中心に運送業と倉庫業を展開しています。約60台の車両や八幡市に保有する本社倉庫を活用し、幅広い物流サービスを提供しています。

今回のM&Aにより物流ネットワークを共有することで輸配送・倉庫ネットワークとサービスメニューの拡充が見込めるとしています。

参考:株式の取得(子会社化)
 

澁澤倉庫による平和みらいの連結子会社化

2022年5月、澁澤倉庫による平和みらいの株式を追加取得し、 連結子会社化することを発表しました。

澁澤倉庫は1897年、東京深川で澁澤倉庫部として創業し、倉庫業の他に流通加工や国際一貫輸送などの総合物流企業です。

平和みらいは、静岡県全域に拠点を展開し、食品や日用雑貨の共同配送や冷蔵・冷凍など様々な温度帯に対応した物流サービスを提供しています。さらに、自動車ガラス向けの流通生産事業など、多岐にわたる事業を展開し、安定した業績を維持しています。

今回のM&Aにより、相互の連携を強化していき静岡県内で様な物流サービスの業務基盤を作るとともに東西間の陸上運送におけるスイッチング拠点として活用していくとしています。

参考:株式の取得(連結子会社化)

国分ロジスティクスによる中島運送の買収

国分グループの子会社である国分ロジスティクスは2021年9月、中島運送の株式を全て取得し、子会社化しました。

国分ロジスティクスは、老舗食品・酒類の総合卸売業の物流会社です。一方、対象会社の中島運送は、1977 年創業で、世田谷区に拠点を置く運送会社です。

今回のM&Aにより、首都圏エリアにおける配送機能の強化と業容拡大を推進し、物流事業の拡大を目指します。

参考:国分ロジスティクス、中島運送を子会社化

セイノーホールディングスによる丸久運輸の完全子会社化

セイノーホールディングスは2021年8月、丸久運輸の株式を全て取得し、完全子会社化しました。

セイノーホールディングスは、岐阜県大垣市に本社を置くセイノーグループの持株会社で、国内外の輸送、冷凍倉庫、食品宅配、引越など幅広い事業を展開しています。

対象会社の丸久運輸は、阪和地域を基盤とし、常温・冷蔵・冷凍倉庫業や物流加工業、輸送業を行っており、昨今は3LP事業や物流コンサルティング事業など事業を拡大していました。

今回のM&Aにより、大阪・和歌山間における低温流通網の拡充、3温度帯(常温・冷蔵・冷凍)物流拠点の確保といった両社のシナジー効果が得られるとしました。

参考:丸久運輸株式会社のグループ化

廣済堂によるエヌティとNeoの子会社化

2021年4月、情報ソリューション事業、人材ソリューション事業、エンディング関連事業を営む廣済堂は、倉庫業界への人材派遣業を営むエヌティおよびNeoの全株式を取得し、完全子会社化を決定しました。

廣済堂、エヌティ、Neoは、人材派遣業だけでなく、情報ソリューション事業やBPO関連事業でもシナジーがあると見込まれています

取得価額は
エヌティ:3億6,900万円
Neo:5,000万円
です。

参考:エヌティ及び社Neoの株式取得 (子会社化)

shoichiによるミカヅキモモコの事業譲受

2021年2月、在庫商品の処分業を営み自社倉庫も有するshoichiが、バラエティ雑貨ショップ「ミカヅキモモコ」の一部店舗を事業譲受しました。

ミカヅキモモコ事業を行っていた三日月百子社は、2018年には年商30億円(2018年)を計上していましたが、コロナウイルス感染拡大の影響などで業績が悪化する中、事業譲渡を行うことが決まっています。

shoichiの狙いは、仕入れた商品の販路として活用する方法です。

センコーによるUACJ物流の株式取得

2020年8月、総合物流企業であるセンコーが、非鉄金属を主とした輸送事業を営むUACJ物流の、株式の3分の2を取得しました。UACJ物流は、国内に8カ所の営業拠点を有し、輸送用車両を100台保有する物流会社です。

この取引により、センコーとUACJ物流は、重量物輸送分野での事業拡大や生産性向上のシナジーを見込んでいます。

参考:UACJ物流を子会社化

日本通運によるアメリカの倉庫事業会社の子会社化

2020年5月には、日本通運より、日本通運のアメリカ子会社が現地で倉庫・流通加工・輸送事業を行うMD Logistics, Inc.とMD Express, Inc.の子会社化が発表されました。株式の取得予定日は2020年9月です。

日本通運の狙いは、特にアメリカ国内で医療品物流のシェアを持つ両社の事業獲得です。

参考:米国物流会社の出資持分取得(子会社化)

7. 倉庫業界のM&Aの譲渡価格

経営者には、倉庫事業がどの程度の価格で譲渡できるのかが気になるところでしょう。ここでは、倉庫業界のM&Aの譲渡価格相場や、仲介会社に支払う手数料を解説します

相場

倉庫会社のM&Aの相場は、各社の事業規模や倉庫数などによって変わるため、一概には述べられません。しかし、企業価値の算出によって、おおよその取引金額を知ることは可能です。

大まかな売却相場の計算方法


自社・事業を売却する場合、あらかじめ売却相場を知っておけば安く買いたたかれずに済み、また高値で打診してM&Aが成約できなくなる事態を避けることもできます。

倉庫業界のM&A相場の考え方は、一般的な中小倉庫会社であれば

  • 倉庫会社の売却相場=時価純資産 + 営業利益 × 2〜5年

もう少し細かく知りたい場合は、株式譲渡であれば「時価純資産+ (営業利益 + 役員報酬) ×2〜5年」事業譲渡であれば「事業資産+ 事業利益×2〜5年」で求めるとより近い金額がわかります。

企業価値評価の方法

企業価値の算出方法には、コストアプローチ・インカムアプローチ・マーケットアプローチの3種類があり、これらの計算方法を組み合わせて企業価値を求めます。

いずれの方法を用いるとしても、企業価値の算出には専門的な知識が必要になるため、より正確な価値を知るためにはM&A仲介会社などの専門家に依頼するほうがよいでしょう。

【関連】M&Aの企業価値評価とは?算出方法を詳しく解説!

仲介会社にかかる手数料

M&A仲介会社は、サービスに対する利益を確保するため、さまざまな手数料を設定しています。しかし、オンラインの発達が作用し情報収集に費用がかからなくなったことなどにより、近年は完全成功報酬制を採用する仲介会社が増加中です。

以前に比べてM&Aの手数料負担は減ってきていますが、M&Aが成功した際は成約金額の3~5%程度は成功報酬として支払うことになります。

【関連】M&Aの企業価値評価とは?算出方法を詳しく解説!

8. 倉庫業界のM&Aの注意点

倉庫業界の合併なども含めたM&Aで注意すべきことは、実施するタイミングです。現在は、業界再編や後継者問題などにより、倉庫業界の買い案件・売り案件ともに増加しています。

しかし、そのピークが過ぎてしまうとM&A動向が落ち着いて案件も減少するので、理想とするM&Aができない可能性が高くなるかもしれません。

M&A・事業承継を検討している場合、できるだけ早い段階でM&A仲介会社などの専門家に相談するのも大切です。

【関連】会社売却の注意点まとめ!メリット、手続きの流れ、社員の処遇についても解説| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

9. 倉庫業界のM&A・売却・事業譲渡まとめ

本記事では、倉庫業界のM&A動向や事例、相場を紹介しました。倉庫業界は物流の一端を担っており、EC事業の成長とともに需要は大幅に増えています。

その一方で、2024年問題による人材不足への対応や運賃や配送方法の見直しなど、事業者が抱える課題が多いのも事実です。M&Aはそのような課題を解決する有効手段のひとつであり、同時に企業・事業の成長を図ることもできます。

10. 倉庫業界の成約事例一覧

11. 倉庫業界のM&A案件一覧

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